実質追放の公爵令嬢、嫁入り先の隣国で「君を愛することはない」と言われて困り果てる

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（300文字）

よくある婚約破棄された令嬢であっても、追放先で彼女の人柄に懸想された殿方とか彼女の才覚を認め望まれて婚姻を結び幸せになる作品はありますが、今作品は追放先の王家の命で、前妻を亡くした公爵家に嫁入りとは名ばかりの立ち位置に置かれ、公爵からも亡き前妻への想いから、彼女に心を奪われる事が無く、孤立無援のヒロインであったが、心折れずポジティブに日々過ごし終には公爵と結ばれる展開に感動しました。途中実家の兄からの不穏な手紙には恐怖を覚えましたが、ヒロインの心の強さに天晴です。

　デボラ・マウジー公爵令嬢は婚約破棄の末、隣国フォルクス王国のシスレー侯爵へ政略結婚として嫁ぎます。愛なき結婚の末、彼女は人質として扱われることに。ですがデボラは冷静に最善の選択をしながら、侯爵家で自身の立場を確立しようとします。彼女を追放した王太子アーロンは自滅しますが、デボラ自身は復讐に興味を持たず、新しい環境で生き抜くことを優先します。

　恋愛が単なる感情のやりとりではなく「信頼の構築」と「政治的駆け引き」に絡めて描かれている点が本作の特徴です。デボラとシスレー侯爵の関係は「交渉」から始まり、慎重に距離を縮めていきます。彼女の知性と冷静さが物語に深みを与え、単なるロマンスとは異なる戦…続きを読む

人質としての政略結婚で、敵国に嫁いだ元王太子妃候補の令嬢が、嫁ぎ先で感情を出せるようになる物語。淑女教育のたまもので、あまり感情を見せない貴族令嬢らしさを持っていたが、使用人も含めて貴族らしくない家で暮らすことで、自分の感情を知り、自分の感情を認められるようになっていく感情描写が丁寧に描かれていく。
敵国の、後妻として嫁ぐことになって経緯など、重い過去を知っていくことで、一つずつ成長していく。幸せな結婚生活にたどり着けるのか？やきもきしながら読んでみてほしい。

続きが気になる作品です！
ぜひ読んでください！

悪役令嬢を設定した多くの作品の中でも、とてもしっかりとした作品です。ヒロインを始めとして、キャラクターの1人1人が立っていて、特にヒロインの生い立ちや背景がしっかり書き込まれているので、感情移入しやすくて、引き込まれて一気に読んでしまいました。先の展開が楽しみです。

はーい、お馴染みの定食！　きちんと栄養価を考えて前提を深く説明しなくても忙しい読者が寛いで食べられる仕上がり、そんな感じ。

でも、なんか、好きだなあ、この書き出し。
話のタイトルの意表つき具合。主人公が異国に来させられている感。続きを期待します。

過去に別の小説で似たエピソードが存在していたとしても、読者の今の気分で唯一を感じさせる。この書き出しの味、好きです。