【時代劇】月夜の破れ寺

月夜の山道、剣豪・柳生十兵衛と少年忍者・城太郎は、一人の娘と出会う。

化け物に村を滅ぼされたという娘の案内で向かった先は、破れ寺――
そこには血を啜る吸血鬼の罠が待ち受けていた。

伝説の剣と忍の技が、闇を斬る。

和×洋の時代劇ホラー、開幕！

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（67文字）

柳生十兵衛が駆ける、斬る。
服部半蔵の後継者城太郎が跳ぶ。
妖しく美しい女吸血鬼が立ちはだかる。
しゃれた映像美が眼前に展開し、読んだらもうやみつき。

西洋のもののけが入り込んだ日ノ本の国。村々が襲われ、潰えて行く……。

今宵もひとりの娘が、道端で泣き崩れて怪異の被害を訴える。

そんな彼女の前に颯爽と現れるのが、影ある謎の剣士と、しっかり者だけれど、どこか愛らしい少年。このふたりが、実に良いバディなのです！

彼らの活躍を是非見届けてほしい、和風退魔伝。是非、ご一読を！

山路を行く深編笠の侍とお付きの小僧。
夕陽が山入端に懸り、影ばかりが伸びて
ゆく逢魔時に。
　　　　　　　着物の袂で顔を覆う　女

ヒョォ　ヒョォ　と鳴く聲が遠く響き。

聞けば、村を　化け物　が襲ったという。
彼女の両親をはじめ、村は壊滅したのだと
さめざめと涙する。

この怪談めいた話からの、正統派時代劇を
彷彿とさせる流れは、まさにわくわくする
気持ちを抱えながら読み進める。だが、
ここで日本の時代物から一転、西洋の古典
ホラーの様相を呈される。その、驚きと
剣戟による高揚。物語を展開する巧緻。
そして又も怪談めく妙味。

　　　ヒョォ　ヒョォ　　ヒョォ　と。

何処からともなく聴こえ…続きを読む

隻眼の侍と、従者の小僧は、旅の道中地面にしゃがみ伏せ泣いている赤い着物の女性と出会う。

なんでも、村に血を吸う化け物が現れて村のものは女を残して皆死んだと言う。

夕日が血のように山路を照らす中、侍は村へと向かう……。


果たして妖と、
この侍の正体は……。



短編ですが重厚で歯応えのある物語にございます。

ご一読を。

助けを求める娘の訴えに応じて、人影なき村の破れ寺に赴く武士あり。
人外の化生により村人の悉くを殺されたのだと娘は言う。

果たして寺には怪しい女が奇怪な様にて襲い来る。
しかし、彼の武士は少しも慌てることなく刀を抜いた。

〝兵法は人を斬るには非ず、悪を殺す也〟

見よ。疾駆の剣速を。
誰あろう、その武士こそは─────


暗澹たる妖気を切り払う剣戟の行く方や如何に。
さあさあ、本邦伝統、退魔時代活劇の幕開けだ。
どちらもどちらも、お見逃しなく。