このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(222文字)
蔵の掃除を頼まれた〝私〟の体験する一瞬の出来事のお話です。たった733文字に詰められた不思議さは、単に怖いという思いではない奇妙なものです。怖気なのだけど、怖気とも言い難い。どう感じて良いか。なんと表せば良いか。わからない。きっとまだ名前のない感情が呼び起こされます。とびきり不可思議な怪奇談です。本作を読んで、言いようのない感情を抱えてみてはいかがでしょうか。なんと言っていいのかわからない気分になれますよ?
本作はホラー的な導入から一転、静かな哀感を孕む展開が印象的な掌編です。不気味な蔵の描写と幼少期の恐怖心が巧みに重ねられ、最後の一言「開けるな」が持つ重みが胸に残ります。恐怖と共感の境界を巧みに揺さぶる作品です。
本作はこれで完結だが、蔵の中の存在、ドアを開けようとした人物の次が気になる・・・!
スゲえなあ、ここまで、短編で、書き切るとは、特殊な才能なのか?それとも、何かの、詛われた「蔵」の祟りなのか?この私には、とてもとても判断出来ません。ああ、「小説家 ライバル多し 夏の雨」ってか。この私に、座布団、一枚下さいね。日の当たらないこの私の作品も、読んで下さいね。この作品は、勿論としても……。
何の曰くも禁忌もない。屋敷の中に在る蔵の中には一体 ナニ が潜むのか。空恐ろしき想像は 貌 を結び、恰も創造の 異形 のように。心の彼岸と此岸を分ける、その境界にある蔵の扉は固く堅く閉ざされている。開けずに置けば安寧と、何一つ変わらぬ見慣れた日々が。想像の域を保っていれば怖い事など何もない。 開けたくはない、でも。 「開けるな。」その一言で、呼び戻される。
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