概要
彼は、華やかな英雄ではない。
転生者でもチート能力者でもない。
彼の武器は、使い込まれた鋼の剣と、30年に及ぶ実戦の中で磨いた知恵と経験だけ。
それだけを頼りに、おじさん戦士は己がやるべきことをすべて果たしていく。
新米冒険者たちを指導し、
同僚の戦士と共に巨大な魔物を狩り、
時には愛する人と語り合う。
その世界に生きる人たちの暮らしを、頼もしいおじさん戦士がほんの少しだけ支えていく。
これはそんな静かな物語である。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!冒険者がちゃんと冒険者する話。コレって実は超貴重?
これはおっさん冒険者が仲間たちと共に普通に、そしてちゃんと、しっかり冒険者する話です。
これだけ聞くと「普通じゃん」だが、ポイントは「冒険をする」ではなく「冒険者をしている」という点。
昨今では、舞台は異世界、主人公の職業は冒険者なのに、ちゃんと冒険者していないものばかり。
それも悪くはないけど、ちゃんと冒険者をしてくれていると、そこから色々な息づかいが伝わってくるのです。
例えばそれは処世術であったり、生活感。ちゃんとそこに生きてる人がいるんだなぁと感じさせてくれます。
あー、自分もこんな感じの書きてー
無理ーーー!
まだ七話目までしか読んでないけど、おっさんに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!年輪を重ねた者にしか、できないことがある。
物事には「若いうちでなければできないこと」「歳を取ってもできること」「経験を積み重ねてはじめてできること」があります。本作で描かれるのは3番目。冒険者として歳を重ね、戦い続けること30年。主人公は40代半ばのおじさんで、本作はこのおじさんの冒険譚です。
華がないこと夥しいのですが、しかしこのおじさん、無駄に歳を食っているわけではありません。
後輩たちの面倒を見る優しさがあり、戦い続けた経験があり、経験に基づいた勘があり、経験を活かしたコネがあり、コネを的確に使うしたたかさがあります。おじさんには絶対的な強さがあるわけではなく、経験も勘も優しさもしたたかさも、なにか「数値としてはっき…続きを読む - ★★★ Excellent!!!地に足の着いた異世界ファンタジー
ある意味ではとてもオーソドックスな、そしてどこか懐かしい、おそらくとてもありふれた、しかし今はあまり見ることのなかったファンタジー。
何か特別な力があるわけではなく、地味に、しかし確実に仕事をこなす、まさにベテランと呼ぶに相応しい冒険者の姿がそこにあります。
三十年愚直に歩んできた冒険者の、リアルな実力と巧みな、リアリティのある演出が、とても素晴らしく、まさに『地に足の着いた』という印象を受けました。
特に90年代のファンタジー小説が好きだった人には、とても懐かしく、しかしどこか新しい物語として映るのではないでしょうか。
でも、なんかあちこちフラグを立てては折り損ねてるのはご愛敬?(笑)