ガルシア戦記

砂塵の熱気と光景を文字そのもので体感させる作品。
冒頭から、炎天下のゴビール砂漠の危険と美しさが、詳細でリズミカルな描写で描かれ、文章はシーンごとの間合いや緊張感を巧みに操り、ガルシアやマッシュの心理的動きやテンションの変化を細やかに伝えています。

ガルシアの無鉄砲さ、マッシュの慎重さ、砂漠に現れる奇怪な生物や砂船の描写が、ユーモアと緊張を絶妙に混ぜ合わせています。

少年たちの好奇心や冒険心、ユーモアが織り込まれて、SFファンタジーでありながら人間味のある物語です。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（355文字）

砂漠×冒険×ちょっと自由すぎる主人公。
熱と風を感じるようなリアルな描写に引き込まれ、ガルシアたちの旅にぐいぐいと惹き込まれていきます。
キャラ同士のテンポの良い掛け合いも魅力で、シリアスとユーモアのバランスが絶妙。
ぜひ読んでほしい一作です！

　『ガルシア戦記』は、ただの冒険ファンタジーではない。広大なゴビール砂漠に漂う熱気や、砂船の帆を掠める風の描写に、読者はまるで自ら砂漠を旅しているかのような錯覚に陥る。そして登場人物たちの言動がとにかく個性的！冷静沈着なはずのマッシュが意外とお茶目な一面を見せたり、セダ＝チャンドラの「王族感あふれるワガママ」が妙に可愛かったりする。

　また、砂漠に潜むデザートクラブとの対決シーンは、砂嵐の中で振り下ろされる剣の閃きが目に浮かぶほどの迫力だ。一方、妙にコミカルな会話が緊迫感を和らげ、絶妙なバランスで進行するのもこの作品の魅力だろう。ガルシアの「自由すぎる」振る舞いにハラハラしつつも、彼の成長…続きを読む