概要
――悪夢? 夢ならどれほどよかったことか。
僕、飯田太朗はかつての親友が「静謐の教団」という新興宗教に入信していたことを知る。しかしその宗教団体は黒い噂の絶えない存在で、親友の現在も危ぶまれた。
親友と僕との共通の知人を介して、「静謐の教団」の調査をすることになった僕。総本山があるという、神奈川県秦野市へと足を踏み入れる。そこで悪夢のような出来事が起こるとも知らずに……。
親友と僕との共通の知人を介して、「静謐の教団」の調査をすることになった僕。総本山があるという、神奈川県秦野市へと足を踏み入れる。そこで悪夢のような出来事が起こるとも知らずに……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!夢か現か、現が夢か。かつての親友の真意を問い、カルト教団の闇を暴けるか
本作は小説家・飯田太朗シリーズの一作ですが、この作品から入っても全く問題ありません。
論理派ミステリの多い同シリーズにおいては、サイコスリラーの色味の強い、異色の作品と言えるでしょう。
舞台となるのは『静謐の教団』というカルト教団。
飯田先生は、かつて同じ夢を目指した親友・阪村を追って、教団に潜入します。
まず、この教団内での描写が凄まじい。
一服盛られた飯田先生の見る幻覚がとにかくグロいです。精神を直接的に害されるような最悪の気分になります。とても褒めてます。
恐ろしいのは、幻覚と現実の境目が曖昧なこと。明らかに非現実的な現象なのに、いつからその領域に踏み入れたか分からないのです。
グ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!憎悪誘う悪夢の煮凝り
まず初めに警告。
本作には非常に強い嫌悪感を及ぼす描写が多数見られます。
ゴア表現、ハードなエログロ、倫理観のない重篤な人権侵害などへの耐性がない方は、本作品を読むことを避けられた方が良いでしょう。
ここまで醜悪極まり、嫌悪感を逆なでさせるおぞましい作品も中々ありません。
そして、新興宗教がこれらの常軌を逸した狂気の世界の隠れ蓑に使われているというのも、実に真に迫る胡散臭さを感じさせます。
細かな小道具を子細に描き上げリアルを追求し作品の解像度を高める技法、不安や焦り、恐怖を掻き立てる不快なほど子細な情景と心理の描写、現実感が薄れ何が本当の事なのかわからなくなる不確かさへの疑念など、脳にど…続きを読む