概要
寛永十四年、島原────
徳川諸藩十二万人の軍勢は、切支丹を中心とした三万人の叛徒を制圧しようとしていた。
翌年二月。原城址で抗戦する縫、嘉助、独去、三千世の切支丹忍びは、当主である十干勘解由の次元を跳躍する忍法により攻め落とされる前の原城阯を脱した。
彼らの辿り着いた場所は、魔法を使う者らが相争う異世界。
世界を超えた反動で昏睡状態に陥った土干忍群の当主である勘解由。
彼の命を救ったのは、当地ツパルク村の司祭セブ。
セブの魔法により、勘解由は一命を取り留めた。
しかし危機は続く。
忍び達のいるツパルク村へ侵略者の軍勢が迫っていたのだ。
攻め入るは、ガロツク国軍第三魔法化騎士団。
進路にあるものをすべて殺す凶悪な軍勢。
忍びたちは、当主の命を助けてくれた司祭セ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!理解できんだろうな。侵略者ども!!
読了したので書きます。
島原の乱で死ぬはずだった反乱サイドの忍たちが異世界へと飛び、戦うというのが本作の基本的な要素となります。そして、この要素がこの物語において重要な役割を持ちます。
違う世界の者同士となるとまず決定的に違ってくるのは、価値観の違い。特に島原の乱の以前はドンパチ殺し合っていた戦国時代からまだ時間が大して経過しておらず、基本的に武断の面が目立っていました。つまり、命への見方がまるで違います。
ここ1つとっても価値観への齟齬が生じるわけですから他の要素にも当然当てはまるわけです。ネタバレになるので以降のことは書けませんが、丁寧な描写と比較には驚きました。
もう1つは、お待…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そうまでして戦うのはなんのためなのか。かっこいいシノビの小説です。
シノビと呼ばれる者たちは、いったい何者なのか。
日本という小さな島国でも、たくさんの戦いがあった。中でもシノビと呼ばれた人々。
シノビについては、何者であるのか、年は? 名前は? 文献が残されていないのも、残っていてはシノビとはいえない?
この小さな島国で生まれたシノビたちの主君への忠誠は、通常あり得ない事までやってのけてしまう。
かつて、徳川諸藩と戦っていた切支丹シノビたちが当主と共に逃げた先は、異世界でした。
そこで彼らを助けてくれた村人に恩返しをと、異世界の騎士たちに戦いを挑みます。
その壮絶な戦いに、きっと度肝を抜かれることと思います。
どうしてそこまでしてみんな戦うの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!忍びVS.魔法騎士団——忍びたちの雄姿、見逃せません!!!
島原の乱、その戦場から忍法(!)で異世界に飛んできた切支丹忍びたち。
かれらの当主が転移の反動で死に瀕しているところを、村の司祭に救われる。
しかしその村は、「国を守るため」という名目のもと、魔法騎士たちの手によって横暴な略奪行為を受けていた。
忍びたちは恩に報いるために、魔法騎士たちと戦うことになるが……。
この物語、展開はシンプルで読みやすいのですが、その背景にとてつもないものを感じます。
何といっても、その文章の凄さ。
無駄のない淡々とした切り口、忍びたちの九州弁……歴史物を読んでいる感覚をしっかりと味わえました。
そうでありながら、忍法や魔法が凄まじい迫力!ファンタジーとしても…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とにかく生々しい
寛永十四年。島原の乱。切支丹。忍者。
ガッツリ時代物かと思ったら、異世界転移。
魔法や司祭や騎士団がでてきたので、ファンタジーなふわっとした戦闘がはじまるのかと思ったら、大間違いでした。
自分の見識と読書範囲の狭さを恥じるばかりです。
歴史や忍者、宗教、民俗学、方言研究をしているわけではないので、正しいのか考証できないのですが、すごくリアルで人物たちが生きているような物語と感じました。
会話は方言、時代を感じさせる単語も随所にみられ、作品(人物、背景)に厚みがでています。
読めば、黒澤監督作品や忍法系の有名作品を思い出すのではないでしょうか。
忍び故の悲しい生き方、敵の勝利へかける…続きを読む - ★★★ Excellent!!!切支丹ニンジャ(武闘派)、異世界へ行く
ごりっごりの武闘派ニンジャが異世界行って魔法軍団と闘いまくったら――
しかもそれがキリシタンニンジャで、死に場所を求める段階のニンジャだったら――
もうめちゃくちゃ面白い。
上に書いた設定だけでももう絶対面白いのに、巧みな文章に丁寧なルビ、
さらにこの異世界人が口にする魔法文言、
『球系魔法陣ッ一重三連────発現──火気、起動ぉ』
めっちゃカッコいい。好き。
さらにワタシが個人的にオススメなのは!
肥前訛り!
読みにくそうに思うくらい訛ってんのに、途中からこれがもう可愛くってしょうがない。
うっかりエセ肥前訛りが口をつくくらいに影響される今日このごろです(*⁰▿⁰*)
とにかくオ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「一巻おくあたわず」なおもしろさ
全四十話を一気に読んで、今呆然としている。
あまりのおもしろさにつるべ打ちされたからで、この読後感は山田風太郎の忍法帖を読んだときの感覚によく似ている。
冒頭切支丹忍びの五人は敗北した原城から抜け出し異世界へ行く。
原城は島原の乱で反乱軍の居城となった城で、歴史好きはその名を聞くだけで血が騒ぐ。
その原城をのぞむ夜の海で繰り広げられる伊賀者との戦闘場面が、早くもクライマックス級のおもしろさで読者を一気に引きずり込む。
縫、嘉助、独居、勘解由の忍法はいずれも想像を絶するものだ。
この忍法のユニークさと、彼らと戦う異世界の魔法騎士の戦闘場面が最大のクライマックスである。
二千人の騎士対五人の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!研ぎ澄まされし力と技と心の強さ! 圧倒的な熱量で綴る異世界忍法活劇!
読み始めてすぐに、圧倒的な熱量に心を奪われました。
異世界転移を扱った作品で、縫や独去、嘉助たし、『切支丹の忍たち』が、魔法の存在する異世界へと転移することで物語が始まります。
異世界では魔法を操る騎士たちが平気で民衆を虐げる。そんな場面に遭遇してしまった縫たちが、バッタバッタと敵を薙ぎ倒していく。そんな痛快な展開が描かれています。
この作品の何よりもの特徴は、縫たちが持っている『忍の技』の凄まじさ。
冒頭では、異世界転移する前に『島原の乱』での戦いのシーンが描かれますが、そこで縫が圧倒的な身体能力を駆使し、襲ってくる蜂たちを目にも止まらぬ速さで素手で潰していく場面が登場し…続きを読む