概要
今、私の真下には一人の亡者がいる。名前はカンダタ。彼は生前に悪行を働いたが、一匹の蜘蛛を助けたこともわかっている。
私は彼を救おうとした。一本の蜘蛛の糸を垂らし、極楽へと上がって来られるよう。
だが、糸は途中で切れてしまった。彼が他の亡者を蹴落とすようなことをしたから。
それでももう一度チャンスを与える。彼も今度は反省し、仲良く他の亡者たちと共に蜘蛛の糸を登ってこようとした。
しかし、そこで事故は起きた。やはり所詮は蜘蛛の糸。亡者たちの体重に耐えられなかった。
気まずい。私が理不尽に亡者を弄んだように見られ、鬼たちからも『ドン引き』される事態になっている。
今度こそ大丈夫。次の蜘蛛の糸は絶対に切れない。そう思い、私は再び糸を垂らした
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- ★★★ Excellent!!!設定から展開から解決から全部面白い。
本作で取り上げられるのは芥川龍之介『蜘蛛の糸』。天国から仏様が蜘蛛の糸を垂らし、亡者のカンダタが掴んで登ろうとするも最後は転落してしまう、あの有名すぎる文学作品です。
本作では『蜘蛛の糸』の続きのような形で物語が始まります。
主人公の仏様は慈悲の心でもう一度糸を垂らします。しかし再び切れてしまい、さらにもう一度試すもまた失敗。
何度も落とされるカンダタと地獄から見上げる亡者たちは疑い始めます。
「こんなに何度も騙し討ちのように落とされるのには、仏様の何らかの意図が潜んでいるに違いない」と。
実際のところ仏様はカンダタを落とすつもりは毛頭なく、ただ蜘蛛の糸の強度が弱いだけな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ブッダさんは何をしても、きっと大丈夫です。
カンダタさん、このお名前にお聞き覚えがございますか?
しかし、このお話は、カンダタさんのお話ではありません。ブッダさんのお話なのです。
ブッダさん、さすが、ブッダさんです。
何をやっても実は好転。さすが、信じてもらっている人はすごいです。
ところが、自分に自信がなくなっていくのは、なぜかブッダさんのようで、彼は助けたい一心なのです。
何でしょう、このもどかしさ。
地獄の方々はブッダさんのおかげで喜びにあふれ、ブッダさんは反省し、そして……物語は。
明と暗に分かれていますが、みんなは幸せになっていく。
とにかくブッダさんが面白い。
ぜひ、読んでいただきたい小説です。 - ★★★ Excellent!!!頑張れば頑張るほど、思わぬ方向へ、悪い方向へいく事態が止められない!
『蜘蛛の糸』
有名なお話ですよね。
この作品は、『蜘蛛の糸』のその後の、とってもコメディなお話。
とにかく面白いです。
頑張れば頑張るほど、亡者を救おうとするブッダさんの思わぬ方向へ、悪い方向へ転がっていく事態が止められない。
地獄では、カンダタを筆頭とする亡者たちが『蜘蛛の糸』が切れる理由について推理をめぐらせています。
その推理もどんどん変な方向に行き、推理について証言をする亡者も、
「ここでこの人が証言に出てくるんですかぁぁぁ」
とシャウトしたくなるような人ばかり。
そしてついには……
読んでください、面白いです!