君とAIが繋ぐ未来 ～ プログラムされた運命

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（175文字）

昨今AIは少し前では考えられなかったほどにその精度を上げています。
そんな中だからこそ、この作品には考えされられることが多くあります。

便利なAI。利点や救いも。けれど、それに頼ることの弊害も……。
小学生、中学生といったこれからを担う世代の視線で書かれているから余計にリアルに感じます。

いずれこういう社会になるのだろうなと思わせるものがあるのですが、何を選び取るかは人間のはず。
ぜひお読み頂きたい一作です！

山田健翔は父親の使っているパソコンのAIアシスタントに心奪われ、小学五年生の夏休みの自由研究のテーマに「人工知能の作成」を完成させたときに、AIの未来に期待と希望を抱きます。
しかし中学生になったとき、ストレスを感じる生徒、生気のない教師という、大きな違和感に気づきます。
このままではいけないと感じた健翔は、AI導入による問題点を探っていきます。

健翔さんが要点をまとめながら物事を進めていくので大変読みやすく、理解しやすいお話となっています。
便利ゆえの弊害という、意外な切り口からAIについて語られるので面白いです。
ぜひ読んでみてください。

小さい頃にAIの可能性に目を輝かせていた主人公。
そんな主人公だからこそ、感じたAI社会の課題。

その問題を丁寧に丁寧に掘り下げ、描写される社会は真に迫ってきます。

まだ少年の主人公には社会を変えるまでの力はありません。
ですが、この社会に疑問を持っているのは主人公だけではありません。大人たちの中にも疑問を持ち、変えていこうと考えている人がいる。

そんな大人たち、そして自身の行動の結実としての、かつてのクラスメイトとの出会い。

AIの光と影を描きながら希望も忘れない。

優しく素敵な中編でした。

近い未来。
AIと人はどういう関係を築けているのか。

教育現場にAIが導入されたら……。
医療ではどう使われるのか。

便利で明るい未来が待っているという夢物語ではなく、とてもリアル。もしかしたら、少し先はこのような社会になっているのかも……という説得力があるお話でした。
いいことばかりでなく、デメリットにも触れられています。

でも、これはまだ先の話しだから、まだまだこれからAIとの付き合い方を考えていけば、こんなことにはならないだろうという可能性を感じました。
こんな風にAIが活用されたら、未来に希望が持てるなと思える場面もあって、主人公の少年の目線で私も色々と考え、感じることができま…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（170文字）

ひと昔前は、映画や小説の中の出来事だった、人工知能が身近になっていく世界。
それを目の当たりにする「今」だからこそ、この小説を読んで良かったと思いました。

AIの広がりによるデメリットを描きつつ、それでもAIと共にあることに、どう意味を見出すのか――。
それを、筆者一流のライトなタッチの文章で、考えさせつつも、けっして重くなり過ぎないように「読ませる」小説です。
AIだからこその設定を利用した、ヒロインとのやり取りはとっても尊いと思いました！
ぜひ、ご一読を。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（375文字）

舞台は日本。
主人公が小学生の時、ＡＩプログラムを制作したところから物語は始まります。
そして中学生となり、様々な疑問を感じ、幼馴染の女の子に会うために北海道へ…。

物語は、現代社会が抱えている問題に対して、主人公君が葛藤しつつ物事を考えていくみたいな流れでしょうか。
幼馴染との再会時は、読んでいてとても緊張してしまいました。（これは感想ですね）

とても読みやすい文書になっており、ノーストレスで読み進められるかと思います。
中学校内でのお話しについては、少しキャラ数が多いため、誰が誰だったか分からなくなるところも有るかもしれません。
社会派小説が好きな読者様にお勧めさせて頂きます。
一読…続きを読む

AIが変える未来の姿。


こちらの作品はとても丁寧な文章で分かり易く描かれていて、AIに興味を持ちAIを自作までしてしまう主人公健翔の心情が遺憾なく伝わってきます。


AIは人類にとって便利な反面、様々な難しい問題を社会にもたらします。


おかしくなっていく社会、人間関係に憂慮する健翔。


最初の一歩は小さいけれど、友人の抱える問題など身近なところから解決していこうとする健翔の優しさに心打たれます。

当たり前のように使用され始めたAIに対するアンチテーゼをも含むこちらの作品。


この作品を最後まで読み終えたとき、あなたのAIに対する考え方が変わるかもしれません……