概要
「ねえ、君の『神様』食べさせて」
小学校からの帰り道、僕は『入れ歯』みたいな変な奴と遭遇した。そいつの頼みに、僕はなんとなく「いいよ」って答えちゃった。
その日からどんどん、町の様子が変わって行った。そいつが『神様』を食べることにより、今まで町にあったはずのものが『初めから何もなかった』かのようになっている。
宗教団体の集会所。神社。図書館にあった本。そして夜空の星座。
『神様』に関わるものを、『あいつ』は次々と食べて行ってしまう。
そして毎日のように、放課後に僕を待ち伏せする。
「ねえ、君の『神様』食べさせて」
僕はどうすればいい? 次は何を食べさせれば、被害を少なく済ませられるだろう。
最後には僕まで、こいつ
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- ★★★ Excellent!!!恐怖の「言葉遊び」が始まる!
小学六年生のユキオは、宗教に浸りきった両親に育てられた影響で、「神様」というものが嫌いだった。
ある日出会った奇妙な存在に「君の『神様』食べさせて」と言われたユキオは承諾する。すると両親が信仰していた宗教がなくなった。
喜ぶユキオだったが、「それ」は他の「神様」も食べようとして……。
あって当たり前だったものが、消えていく。
思いもよらないものが、もともと無かったことになる。
ユキオを襲う、どうしようもないほどの恐怖。しかし、ユキオはなんとかして「それ」を止めようとする。その方法とは? ユキオは、世界はどうなるのか?
神をも恐れぬ、恐怖の物語をお楽しみください。 - ★★★ Excellent!!!ちはやぶる「黒澤カヌレ」
読後、悶絶しました。
だって、だって、だって。
「か」から始まるあの言葉で作者を誉めたくなってしまうのです。
だけど、もしそんなことをしたら……。
困る。万が一にも作者が食べられちゃったら、なにより愛読者の私が困る(笑)
ああ、でも言いたい、誉めちぎりたい。「か」から始まるあの言葉で~!!
……と。
それくらい、面白い作品です。
着眼点の面白さ、デザイン性、奥行きのある展開、どれをとっても秀逸。
なによりバランス感覚が優れて良い作品で、結果、とても品の良いホラー短編に仕上がっていると思います。
え? 大袈裟ですって?
まあ、まあ。騙されたと思って読んでみて欲しいです。
だけど約束して…続きを読む - ★★★ Excellent!!!厄介なSPCの誕生です……。
まあ、オブジェクトクラスはketerでしょうな……。
主人公は、なにやら複雑な事情を抱えております。
日曜は、おそらく友達とも会わずに、母親に連れられてあちこち回っているそうです。
「おやすみプンプン」だね……。
そしてそんな主人公は、『神』という言葉を嫌うようになります。
そんな時に現れたのが、この、『神を咀嚼する入れ歯』というSPCなんですがね。
……ほんと、なんで入れ歯なんだろう?
そいつのいうことを聞くと、『神』を食ってくれるんだそうです。
しかし、まあ、『神』って名詞は漠然としておりますからな。
こやつが食うのは、『神』と名前がつくものです。
本当にそうなんで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!まさに「言葉遊び」の集大成。「神」という言葉を食らうミステリーホラー!
突如として遭遇してしまった『入れ歯』の怪物……『神』にまつわる言葉が概念ごと食われていく描写が秀逸で、少しずつにじり寄ってくる恐怖に背筋が冷えました。
最初は不遇な少年が「救われる」ところから入るのが、物語として巧妙を感じる部分。まさに「上げて落とす」ことで生じるギャップが、明に恐怖感へと繋がっていきましたから……!
個人的に怪物を『入れ歯』という想像しやすいビジュアルに持ってきてくださっているのが、更に面白く感じるところ。頭に思い浮かべやすく、そして実際、なんだか単品で見ると怖かったりするんですよね、『入れ歯』……! 分かりやすさと納得が両立する、面白い試行!
本当に多くの「神…続きを読む