概要
罰ゲームの一環で、少女に告白した。
名前は――恋仲ひな緒。
声を持たず、喋ることができない少女だった。
冗談のつもりだった。
だが返ってきたのは、一頁のノートと、一発のビンタ――
沈黙のまま、彼女は拒絶を叩きつけた。
それで終わるはずだった。
しかし、SNS、いじめ、家庭の影、心の傷――
現実の光と影が、舞台の観客のように彼らを照らし出す。
現代を生きる高校生たちは、さまざまな「声」をぶつけ合い、
必死に、届くことを信じて手を伸ばし続ける。
これは、過去を赦し、誰かを壊し、
そして自分さえ疑いながら、再び立ち上がろうとする群像劇。
声がなくても。
それでも届くものは、きっとある――そう信じて。
――――――
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!アオハルから始まる、予想を超えた物語
文章構成がとにかく読みやすくて、ストーリーの展開にどんどん惹き込まれていきました。
冒頭は「罰ゲームで少女に告白してビンタされる」という、どこかアオハルな恋愛小説の始まり。
ふむふむ、青春ラブコメかな?と思っていたら――
その予想はいい意味で裏切られました💦
物語が進むにつれて、感情が揺さぶられる展開が待っていて、まさに“感情のジェットコースター”。
時に切なく、時に温かく、そして最後には胸に灯がともるような読後感がありました。
登場人物たちはそれぞれに葛藤や傷を抱えていますが、だからこそ一つひとつの言葉や選択が心に重く響きます。声にならない想いが、確かに伝わってくる瞬間があり、ページを…続きを読む - ★★★ Excellent!!!確かにそこに生きる、少年少女たちの声
ある過去を抱える少年、蔦森善吉を通してこの世界に溢れる様々な『声』に耳を傾けることになります。
それは、耳で聞くことのできる声そのものかも知れないし、文字で表されるものかも知れないし、あるいは立ち振舞いが醸すわずかな違和感かも知れない――。
この物語の中で確かに生きている彼らの声に、きっと心を掴まれて、ときに温かく、ときに激しく感情を揺さぶられるでしょう。
この世界に溢れる声に触れたその先で、彼らが愛おしい存在になるはずです。
現代ドラマがお好きな方はもちろん、普段はあまり触れないという方にもぜひ読んでいただきたいです。
苦難の先にある希望を感じられる、そんな素敵な作品です。 - ★★★ Excellent!!!伝わりました。声がなくても。
伝える、ということはとても難しいことで、時に優しく、時に残酷で。
自分の抱く思いを伝えたくても、抱く感情自体が複雑で、どう伝えたいかも分からないこともある。
でも、伝える事は、とても、とても大切なこと。生きていく上で避けられない事。
そこに向き合って、自分に向き合って、相手に向き合って、伝えて、伝えられた事を受け入れて、前に進んでいく。
この物語で、私は、いえ、きっと読んでくださった方皆、伝える、という事に改めて向き合える。
そして、この物語の登場人物と一緒に悩み、もがき、怒り、悲しみ、そして喜び、希望を、感じることで、私たちの、明日への1歩が、強く、明るいものへと変わることでし…続きを読む