概要
沈黙は、最大の凶器だった
病室の相部屋、カーテンで仕切られた四人の静寂を破ったのは、一発の「屁」だった。誰がかましたのか名乗り出ぬまま、疑念は病室を覆い、ささやかな音が、人間関係をじわじわと軋ませていく。だが、追及と沈黙の果てに現れたのは、まさかの赦しだった。たかが屁、されど屁。日常のほころびからあぶり出される羞恥、孤独、赦しの本質。そしてその先に見る神。これは、誰もが思わず笑い、そしてふと泣きたくなる、屁をめぐる哲学と信仰の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!誰かの小さな屁が、 誰かの大きな救いになるかもしれません
放屁(もう一発変換できるようになりました)の第一人者、沈黙のおじさんさんの、放屁短編連作集です。てか、この方、三作全て放屁小説でございますw
いやー、面白かったです。夢中で読んでしまいました。最後は「ブッ、ダ」で〆るとは、なんという荘厳かつ壮大な幕切れかと感心致しましたw
ストーリーは、ヒロインの河合咲嬢が病気で入院した際、次々と「放屁が許されない沈黙の世界」(例えば、コンサートホール、野球場のヒーローインタビュー、お見合いの会食など)に転生してしまい、都度、プスーっとやらかしてしまい、犯人探しとともに、人生のピンチに陥る、というものです。
毎度毎度「おならが禁忌」なシーンをしつ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そこはかとない美しさすら感じる。これは一体?
読むほどに深く没入することが出来ました。
途中で読むのを止めて作品から離れたのに、じわじわとまた読みたくなるクセになっている不思議。
屁……なんと奥深いのでしょう。
子供の時にケラケラ笑い、
恋人の前で羞恥のあまり真っ白になり、
夫婦になれば空気で微笑み合う……
同じ屁なのに、思えばこんなにシーンで受け止め方が変わるなんて。
長年この身と共にやってきたはずなのに、これを読むまで知らなかった、いや、分かっていたはずなのに見えていなかった。
……そんな、生理現象の新たな一面。
これまでに前例のない、どこか美しさすら感じられる文学と言える気がします。
読み終わったあとの満足感。
これ…続きを読む