僕と月ノ瀬の怪異録

だいぶ前の、学生時代のことを思い出して、懐かしくなりました。
年齢を重ねるにつれてあまり恐怖心がなくなってしまい……（笑）
失ってしまった感覚を思い出すことができました。
あの頃は学校のあらゆる場所が、そういえば怖かったなあ、と。
改行や会話文など、とても読みやすく、適度に怖くて面白かったです。

人目を避けるように教室の隅で佇む、美しくも冷たい少女――月ノ瀬冴。
同級生の五十井涼介は、彼女にふとした興味から声をかける。
噂話にすぎなかったはずの「超常現象マニア」という奇妙な肩書。
けれどその先にあったのは、噂では済まされない「何か」だった。

奇妙な蔵、封じられた鏡、不自然な静寂、そして伸びてくる黒い影。
彼女の家に流れる「怪異」の血と、「呪い」という言葉が現実味を帯びるたび、
涼介は、ただの好奇心では踏み込んではならない領域へと近づいていく。

それでも彼女は、一人ですべてを抱えようとする。
誰にも頼らず、誰にも心を明かさず。
それでも彼は――彼女の震える声と、その背を、見過ごすこ…続きを読む

冷たい雰囲気の美少女に
話しかけ続けていたら
ある日家に招かれる

怨霊の呪いに巻き込まれ
封印をしようとする

中編の除霊ホラー
怖さもちょうど良く
読みやすくて面白いです！

超常現象マニアと噂される月ノ瀬冴。そんな彼女が気になって声をかける五十井涼介に向かって、なぜか消しゴムが飛んできた。最近こんなことが多いという五十井。
ある日、家のものを運ぶ手伝いをしてほしいと、月ノ瀬は五十井に声をかける……。

なんだか不思議、という程度だった怪異は、突如として恐ろしいものとなる。
謎に包まれた月ノ瀬の家には、何があるのか。
奇妙な世界に足を踏み入れた五十井の運命は。

謎だらけの物語、読んだら目が離せなくなりますよ。

月ノ瀬という少女の存在が、静かな学園の日常に異質な風を吹き込む。淡々とした語り口が不穏な空気を際立たせ、最後の一言が運命の予兆として読者に深く刺さる秀逸な一作品。