概要
私たちは最初から一つだったよね。生まれる前から——永遠に。
徳島県・祖谷の奥にひっそりと佇む、御影神社。
その麓の山里・御影村で育った双子の兄妹、功と誘は、互いの影を離してはならないかのように結びついていた。
しかし、ひとつの喪失をきっかけに、村の底に沈め隠されていた「なにか」が、静かに身を翻しはじめる。
黒く濁る川、崩れ落ちる空、狂い出す気象。命を喰らい、愛に縋るそれは、功と誘だけでなく、御影神社の巫覡の末裔である深川響と、功の恋人・桃子、そして桃子の胎内に宿った命にまで、じわじわと影を伸ばしていく。
「すべては現れにすぎない。目に見えるものは、見えないものの影絵——」
黄泉と常世の狭間で、四人は問われる。
自分たちの喪失と祈りは、どんな「影絵」として、この世界に投げかけられているのか。
行きはよいよい、帰りはこわい。御影様の細道
その麓の山里・御影村で育った双子の兄妹、功と誘は、互いの影を離してはならないかのように結びついていた。
しかし、ひとつの喪失をきっかけに、村の底に沈め隠されていた「なにか」が、静かに身を翻しはじめる。
黒く濁る川、崩れ落ちる空、狂い出す気象。命を喰らい、愛に縋るそれは、功と誘だけでなく、御影神社の巫覡の末裔である深川響と、功の恋人・桃子、そして桃子の胎内に宿った命にまで、じわじわと影を伸ばしていく。
「すべては現れにすぎない。目に見えるものは、見えないものの影絵——」
黄泉と常世の狭間で、四人は問われる。
自分たちの喪失と祈りは、どんな「影絵」として、この世界に投げかけられているのか。
行きはよいよい、帰りはこわい。御影様の細道