メゾン三角

都内の古びたマンションに暮らすのは、いずれも一筋縄ではいかない住人たち。
性格も、生活リズムも、悪習慣もぶつかり合い、火花が散る日常は不穏さに満ちています。

住人同士の軋轢が積もり積もって歪んでいき、やがてどんな悲劇へ繋がるのか。

一話目を読み終わったら、次に何が起こるか少し考えてから二話目を読むとより楽しめるかと思います。

緻密な人物描写と日常に潜む狂気が際立つブラックコメディの秀作。登場人物それぞれの過去や性格が丁寧に描かれ、事件が起こる土壌が自然に構築されている点が見事です。特に、誰もが抱える些細な苛立ちが殺意に転化するプロセスがリアルで、笑いながらも背筋が寒くなるような感覚を味わえる逸品です。

想像してください。
癖の強い性質で他罰的で周りに配慮しない住人たち。
この人たちが固まって住む、あり得ないマンション。

それは、一触即発です。
必然的に事件は起きました。
でもその理由が────

嘘みたいな設定での唐突な事件の解決。
読む者は呆気に取られることでしょう。
クスリと微笑むことでしょう。

さあどうぞ。呆気に取られてください。
楽しいですよ。

　ラストのオチまで読み、「なんと！」と頬が緩みました。

　メゾン三角の通称を持つマンション。そこに住む住人はアル中やパチンコ狂いなど問題を抱えた者たちが住み、互いに激しく迷惑を掛け合っていた。

　嫌悪や憎悪を通り越して「殺意」すら抱き合っていた住人たち。まさに一触即発。いつ事件が起こってもおかしくない「臨界点」ギリギリな状況が生まれていた。

　こんな緊迫感の中で、最終的にどんな「爆発」が起こるのか。読者は描かれている「
性質」や「事情」に注目し、彼らの人生がどう絡んでいくのか、とページをめくることに。

　そして起こった事実と、その先にあった動機。

　「え？　そっち？」と、思いもよら…続きを読む

1階層に1部屋のメゾン三角。入居者は5人。
人数が少なければ近隣問題も少ないのかというとそうでもない。1階から4階までの4人は、それぞれ上下階の入居者に迷惑をかけて暮らしている。
そんな環境で、特に不自由なく暮らしている若者が一人。とてもマイペースな性格で、他人の生活などまるで気にしていない。異分子に思える彼の存在が、この集合住宅にある異変を起こす…！

宣伝文にも「察知した方は、決して読まないで下さい」と警告される本作。

僕は察知できませんでした。結末に虚を突かれたほどです。ネットのミームとかあるのかな……

本作を読むと自分の知識と勘の鋭さを試せると僕は思います。