短歌や俳句の難しいところは、何といってもその音数の少なさですよね。あれも、これも、と入れると却って伝わらない。自分だけの感性を口に出すから、上手く伝わらない。しかし、ここの歌たちは上手くまとめられています!言外に共感させる力、小さな気づきを読者の側にまで伝える力に優れた作品たちだと思います! 情景や、作者の心の様子がするっと伝わってくる、読んでいて気持ちのいい歌ばかりです。韻文らしい余韻や口に出した時の雰囲気、これぞ短歌!
動物では、蚊や猫やネズミ、植物では、トマトやズッキーニやゴーヤ、家電では、エアコンや冷蔵庫。これらの何の変哲もないものたちが、不思議なくらい楽しげに詠まれています。それはおそらく、作者の人情の厚さが、上記のモチーフに、命を吹き込んでいるからなのでしょう。ああ、身の回りの日常は美しい!そう改めて認識させてくれる、客観と主観の融合した短歌集です。是非ご覧あれ。
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