概要
あの日止まった君の記憶の中で僕らは出会い、僕の存在を記録し始めた。
~*カクヨムコンテスト11短編小説部門・円城塔賞 参加作品です*~
〔 あらすじ 〕
近未来、人類はMNE(Memory Neural Extraction)と呼ばれる技術により人類の記憶はデジタル化され改変不可の標本としてデーターベースに保存されるようになっていた。死者の記憶も時間軸に沿った脳内の電気信号パターンとして忠実に再現され家族や研究者が『追体験』できる時代。
時任璃空はそんなデジタル記憶標本を管理する『記憶標本館』の管理人であった。日々膨大な過去のデータと向き合う彼には誰にも言えない秘密がある。特定の女性の記憶だけを繰り返し閲覧していることだった。
ある日、璃空はその女性————数年前に事故死した久遠悠里の記憶標本に決定的な異常を発見する。
時間軸に沿って忠実に再
〔 あらすじ 〕
近未来、人類はMNE(Memory Neural Extraction)と呼ばれる技術により人類の記憶はデジタル化され改変不可の標本としてデーターベースに保存されるようになっていた。死者の記憶も時間軸に沿った脳内の電気信号パターンとして忠実に再現され家族や研究者が『追体験』できる時代。
時任璃空はそんなデジタル記憶標本を管理する『記憶標本館』の管理人であった。日々膨大な過去のデータと向き合う彼には誰にも言えない秘密がある。特定の女性の記憶だけを繰り返し閲覧していることだった。
ある日、璃空はその女性————数年前に事故死した久遠悠里の記憶標本に決定的な異常を発見する。
時間軸に沿って忠実に再
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!記憶と命が響き合う、美しく切ないSFヒューマンドラマ
記憶を量子レベルで保存できる未来を舞台にした本作は、SFの設定を土台にしつつ、人間の想いそのものを丁寧に描いた非常にエモーショナルな物語です。
記憶標本館で働く青年・璃空が、死者の記憶の奥に自分の姿を見つけた瞬間から、世界の輪郭が静かに揺らぎ始めます。
そこから展開するのは、ただのSFではなく、時間を越えて響き合う心と心の物語だと感じました。
記憶とは何か、存在とは何かというテーマに優しく迫りながら、読者の胸に温かを届けることも忘れません。
複雑な理屈を使いながらも語り口はとても読みやすくて、切なさと希望が同時に押し寄せてくる感覚が心地良いです!
ラストに込められた救いが静かに美し…続きを読む