風切るシビック

東京での仕事に疲れ、心のエンジンが止まりかけていた青年――高木 蓮（たかぎ・れん）。
祖父・高木 俊一の訃報を受け、数年ぶりに故郷の町へ帰った。
そこで彼が見つけたのは、ガレージの奥に眠る一台のホンダ・シビック（EG6）。
かつて祖父が夜な夜な工具を握り、手を加えていた車だった。

エンジンルームの中に貼られた一枚の古い地図。
そこには、全国各地に散らばるように赤い丸印がいくつも描かれていた。
蓮は、祖父が何を思ってその印を残したのかを確かめるため、
埃をかぶったシビックを再び走らせる決意をする。

エンジンをかける音が、静かな町に響く。
祖父が生きた日々と、自分が見失っていた「生きる意味」を探す旅が、
その瞬間、始まった――。