一流の秘書は、自分のボスに会わせるべき人、会わせないほうがいい人を的確に見分ける鑑識眼を持っている。服装や話し方、発言の妥当性、仕事ぶり……。ボスをトラブルから守るために秘書たちが蓄積してきたテクニックとは?

目の前の人が怪しいと見抜くプロのノウハウ

これまでの人生で、一度も人にだまされることなく、一人前のビジネスパーソンに成長した人は少ないだろう。だまされれば、たいていは大金を失うことになる。下手をすれば周囲から同類だと疑いの目で見られる。だから、できるだけ早い機会に、できれば初対面で、目の前にいる人が信用できるか、信用できないかを見分けたいと思うのは当然である。

自分のボスに、信用できない人を会わせたら、たちまちにして、プロではないと評価される人たちがいる。企業トップや政治家の秘書である。彼らは信用できない人を見分けるノウハウを持っているに違いない。そこで、元外資系エグゼクティブの秘書で、信頼されるビジネスマンになる方法についての著書(注1)をもつ能町光香さん、秘書セミナー講師なども務める「カレーハウスCoCo壱番屋」の中村由美さんをはじめとして、国会議員秘書、上場企業の役員秘書などに取材をした。予想通り、彼ら(彼女たち)はどっさりノウハウを持っていた。彼らのノウハウはおおよそ3つに分けられる。