2005-01-19 「ジャッジはあなた」の意味
窓の外は晴天。ポカポカのような気にもなるが外の気温はマイナス10度ぐらい。
さて夕べ考えた、
「極右/ちょと民族派/ちょっとリベラル/極左の4つ組にする 」についてさらに考えた。
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20050118#1106027250
同じことはNHKの番組にも言えて、1本の番組に対して公正だの中立とかをしゃかりきになって求めるのはもうやめたらどうだ? 中道とは時と場合を限定して以外にはありえない(宗教的な見解は置くとして)。このいい加減で曖昧な言葉を政治から外すべきだ。あるのは意見A、B、C.....であってその中で個別の案件に対して個別に中道が存在する。いつも中道なんてただのウソ(後から考え時あの人はいつも真ん中を取っていた、とは総括できるが)。以上。
そう考えるからこそ、「例えば、極右/ちょと民族派/ちょっとリベラル/極左の4つ組にして、極右には極左をぶつける。ちょっとにはちょっとだ」と書いたわけだが、自分で捕捉する。これは別に、政治的立場を固定的に捉えよという発想ではない。
そうではなくて、基本は案件ごとに極端と極端、A案があがったら異論を唱えてる人たちはいるかなと考えて拾う、そういう作業の集積として、何年かデータがたまったら、例えば4つ組になるかな、となるかもしれない、という順序だ。ま、具体的には、仮説しつつ(A案の対抗はあのへんにあるよな、という作業を効率的にできる)、あくまで具体的な案件に添って、組になる説を拾うということだ。この際切り口は別になんでもいい。それこそ編集権だ。
たとえば、
女性たちがクローズドで昔の事件を持ち出して「裁判」を行なっています。これで戦争時代の犯罪、とりわけ性犯罪を裁くという主旨だ。この様子は昨晩XXXでお伝えした通り。これに対して、某氏を中心とするグループは、この「裁判」を主体とした取り組みに対して強い異論を唱えています。今夜はこちらの集会の様子をお伝えします。過去の犯罪を今現在の人びとが裁くことはどこまで可能なのか否か、あなたならどうしますか? あなたの意見をお待ちしています。ご意見は03-000-0000またはe-mailはxxxxxまで。
番組の最後に、あなたの番ですといって数通読む。その際には良い意見というより極端な意見を表示する。その他はウェブサイトで読めますよ、と視聴者に案内する。
こういう経緯でいけばいいのじゃないのか。とやけにさらっと書いたが、それは私がこの様子を始終見ているからさらっと出た。
■ 両論併記カナダの事例
また「海外では」で嫌がられることなんだから黙っておけばいいのに正直に書くが、カナダの事実上国営放送であるCBCのレポート(NHKスペシャルみたいな位置づけのものが毎晩ある)の構成はざっと上に書いたような調子だ。
もちろん、それでも足らない、取り上げ方、つまり切り口がフェアじゃない、と怒る人は後を絶たないこともあるんだが、そういう場合には例えば、ラジオのCBC 1の政治コラムニストの番組でも、あとなんだかよくわからないほど「電話しろ」と呼びかけている番組は一杯ある。そこで個人が結構もクソも無く言いたい放大を言うんだが、おそらくこうやって一般人もまたパブリックな言論の訓練をしているんだろうなと思ったりする。
俺はイヤだ、では言う意味がなくてどこかで誰かを説得するためにこそ俺はわざわざ電話してる、っていうことの意味をこれらのプラクティスを通じて納得すると。なかには自分でパブリックに言ってみてはじめて、俺もへんだったなとか、詰めが甘いなとか考え直して再度準備する人とかいるんだろうなと想像する。
あと、どうにもならないことを言いはじめる人(感情的というやつ)もいるんだが、キャスターはそれに対してジャッジはしない。ご意見ありがとう、でもあなたの言ってることはよく理解できない、これはこういうことか?みたいなアクションを1回ぐらいは起こすが、それ以上になったら「ありがとう」で切っちゃうってのもあり。キャスターはとても大変だしこの裁き方(意見に対してではなくて、人からどうやって意見をくみ出すか)こそがこの位置にいる人に求められる資質、って感じ。
■ 同じ事象と異なる理解
上のような考えを持つ私としては、例えば、内田樹氏の言う、
政治的意見の公表についての私の立場はわりと簡単である。
「言う人」は好きなことを言いたいように言う。
その適否については「聞く人」に判断してもらう。
おしまい。
言論の自由と時間
http://blog.tatsuru.com/archives/000684.php
といった意見と同じことを言っているものと思う。
このご意見は、「国立でむぱ研究室櫻分室」さんで知った。いいですねこのタイトル。またクリッピングも面白い。いろいろ教えていだいたてありがとうござい泙后
http://d.hatena.ne.jp/dempax/20050118
ただし、内田氏は上の結論を出す基礎として、
人々はしばしば判断を過つ。
それはしかたのないこととして受け容れなければならない。
というのも、今「人々はしばしば判断を過つ」と言ったが、そう言っている私の判断の合法性を私自身が基礎づけられないからである(間違っているのは「私」で、正しいのは「人々」の方なのかもしれない)。
「私が正解で、あなたがたは誤答をしている」と決定する権限が私にはないし、あなたにもないし、誰にもない。
じゃあ、誰が決めるんだ、と気色ばんでも困る。
なんとなく、「流れ」で決まるのである。
といった点に置いていることは私自身はあまり賛同しない。
「両論併記」というのは言い換えれば「誤答にも正解と同等の自己主張権を一定期間は保証する」ということである。
あまり知られていないことだが、「言論の自由」の条件の中には、適否の判断を「一定期間留保する」という時間的ファクターが入っている。
氏のアイデアは、「正解」というのがあって、それに対して現時点では人は判断を「誤る」から時間軸を長く取って様子を見ようということかとみえる。
これに対して私は、個人は同じ事象に対して別の理解をするものだ、どこまで行ってもそれはそ箸涅
しかし人が相集って生きる以上合意しなければならない個別の案件はある。個人はより適切な合意可能な地点を自ら見いださなければならない。両論の併記は、この時、仮説的な見解のレンジかもしれない。ここを叩き台として議論を続けるためにこそあると。別の言い方をすれば、この過程を通じて個人はある案件に対して自らの見解を修正するかもしれないし、修正しないかもしれない。修正しない人はその時点では負けたと感じられるかもしれないが、彼/彼女が捲土重来を期すも期さないも自由である。従ってある時点である判断に対して勝ったと思った側もまたどこかで覆される可能性を当然に内包する、といったことを考えている。つまり個別の判断に対して、正解とか誤答といった語彙の入る機会はかなり少ない。ある個別の議論の妥当性に対して正解、誤りはあるのだろうが。
「ジャッジはあなた」という結果においては差異はないと言えると思うんだが、意味が違うといったところか。私には、「両論併記」というのは言い換えれば「誤答にも正解と同等の自己主張権を一定期間は保証する」ということである。」という表現はかなりひっかかるものはある、ということかな。これでは最初に正解があるとわかっている人(か法則か?)がいるのに人びとは誤ると言っているような感じがするわけで、その意味では氏は時間軸を長期に取るとは言ってみたものの「正しいものがある」というのが想起点なのかと言って言えないこともないように思う。これに対して言うなら私はそうね、徹底的に懐疑論的かもしれない。あるいは、他者の正義に私が頷く必要ってないからさ、っていう雑な感受性の産物か。
■ イラク系米国人、関与を認める
U.S. Accuses Naturalized Citizen in Iraq Oil-For-Food Probe
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=10000087&sid=aWJcl3cFX.t4&refer=top_world_news
サダム時代に課された、食料と薬を買うためには油売ってもいいけどそれ以外はダメだよ、by 国連、といういわゆるoil for foodプログラムをかいくぐって、そんなこと言っても売っちゃえよとサダムに許可されて油を売っては儲けていた人がいると言われる、言われていた話で、で、そうそれは俺だ、って人がいて、その人がアメリカで罪を問われてます、っていうニュース。
と書かずとも、このリードがナイスか。CNN。
Samir Vincent entered the guilty pleas to four charges Tuesday in U.S. District Court in New York, including engaging in prohibited financial transactions with Iraq, acting as an unregistered agent of a foreign government and making false statements on his income tax returns.
http://edition.cnn.com/2005/LAW/01/18/oil.for.food/
関係ないけど普通アメリカで起こったことを手っ取り早くまとめたい(詳しく知る、じゃなくて)と思ったらアメリカでないところの発信がグー。なぜなら現地発記事ではすでに前提になってるところがオミットされててよそ者にはわかりにくいことが多いから。もちろんこの場合のアメリカはどこの国にでもあてはまる。が、この件に関してはアメリカ発の方が圧倒的に[ちょっとだけ、に訂正]読み易いというのは少し奇妙な印象と日記だから気楽に記しておく(なんで断る?)。
これ関連のニュースは、去年の春ごろに一回出て来た時には、盛大に日本語でニュースになっていたようだが今般はどうも様子が違う。googleったら阿修羅に新聞記事がまとまってた。(この頃阿修羅は壊滅状態になってると私には見えたので足が遠かったがこういう時確かに便利だな、あの形式は。)
【「石油と食料の交換プログラム」一大スキャンダル】イラク:旧フセイン政権、違法収入101億ドル [毎日新聞]
http://www.asyura2.com/0403/war49/msg/740.html
■ 朝日、ボール持って走ってます@英語版
LDP pressure led to cuts in NHK show
http://www.asahi.com/english/politics/TKY200501120160.html
A program on a mock war-crime trial was revised.
The public Japan Broadcasting Corp. (NHK) apparently caved in to the demands of two conservative politicians and drastically revised a 2001 program dealing with sexual violence in World War II.
明らかにNHKは二人の保守政治家の要求に屈し、第二次世界大戦中の性的暴力を扱った2001年の番組を大幅に(または、抜本的に、劇的に強烈に)見直した。
なんつーか、NHKの今日の抗議を待つまでもなく、修正部分に関して、修正開始はどうも政治家に言う前に内部調整したようだ、ってのは今日までのところ妥当に受け入れられている結論くさいんだが…。
朝日新聞社への抗議文(2005年1月18日)by NHKなんていうものまで出てしまって、つまりこの事情にある限り、Englishの結論は早いというか勝手というかだと思うわけだが、と穏やかに言ってみる。
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/004.html
http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000436.html
gori氏、いいタイトルをつけたけど、この意味はもう一段深いってのが恐い話だ。
しかし、それにつけても朝日。どうして自爆してんの?
これもすごいと思うんだな。ただいささか皮肉な意味で。
Footage of a mock trial that found the emperor responsible for the Japanese military's sex-slave system was cut. And parts of the testimony given by a former ``comfort woman'' from China were also omitted.
日本軍の性奴隷制について天皇に責任があると判決を下した模擬裁判の映像がカットになった。また中国からの元「慰安婦」による証言の部分も除かれた。
これでつまり、日本では天皇に関する議論はタブーなのだとこの英文を読む人にわかってほしいってことだろうか? 今だに圧力があるのだと。まぁそれはそうとも言えるのか。しかしさぁ、ネタがネタなんだわ。日本軍のセックス奴隷について天皇に責任がある、っていう断定だけでも引いてしまうセーヨー人及び他のアジア人は世界中に多数いるだろうと推測していい理由は充分にある。ただ、この書き方だと、もし初見なら、「the Japanese military's sex-slave system」ってのが普通に認められた語みたいにも読めるからなぁ。
なんにしても、朝日は誰のために書いているんだろうか、ってのがキーなのかな、と気づく。
■ ああ
S. Korea agreed not to make compensation demands from Japan
SEOUL, Jan. 17, Kyodo - (EDS: ADDING DETAILS)
http://home.kyodo.co.jp/all/display.jsp?an=20050117075
The release of some diplomatic documents on normalizing ties with Japan has been expected to prompt a series of reparation demands from more than 1 million individual sufferers from the Japanese colonial rule, including ''comfort women'' forced into sex slavery for Japanese soldiers before or during World War II.
あ、そうか。
(後で考えることにする)
■ 「ジャッジはあなた」今回予測
上に書いたように、とにかくなんでも露出されてるようにしろと思っているわけだが、だからといってそ私の見解が、今回カットされた部分があると言っている人たちにとって幸いになるとは考えられない。が、どうもこういう皮肉じみた言い方というのは効かない人には効かないらしい。
作家の大石氏が観察し、意見し、予測されているところが私には考えられる限り妥当な感じだなと思えたので引用させていただく。
でも、やっぱりマスコミの中って、左翼に大きなシンパシーを抱いているそんなわれわれですら、引いてしまうような、ある種のカルト的思想信条に固まった人々が大勢いるんだよねぇ。所が、彼らが作る映像とか、記事とかには、それは出ないわけですよ。それは新興宗教の勧誘と似たようなもので、はたで見ていればかなり異常な状況というのが、商品化されるとうまい具合に隠蔽されてしまう。
NHKがやるべきことは、その番組の改編前のものとの比較再放映じゃなく、あれを企画した連中をスタジオに並べて従軍慰安婦や日本の戦争責任や天皇制や自衛隊、憲法問題に関して、思う存分喋らせることだと思う。そしたら、国民の9割は、なるほどこんなトンデモ連中の主張を垂れ流す番組は、どんな公権力の介入を招いたとしても潰して当たり前だという認識を持つだろうと思う。
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2005/01/post_17.html
うまい具合に商品化されないように、編集者がいて、キャスターなりレポーターなりが、今ここで何が起こっているのか、問題は何なのかを言わせるよう編集するってのが大事。とはいえ、それを上回る商品になるんだろうなぁ、とかも思う。
まったく不幸なことはこれら商品によって育っている人たちにとってそれはすでにリアリティだということだろう。
# serena 『こんにちは。>「ジャッジはあなた」、同感です。
’素材’のひとつとして、伝える意義はあったと
思います。提供されたさまざまな角度からの素材を
以ってジャッジするのは視聴者、でいいんじゃない
かと思います。
そちらは本当に寒そうですね。(窓際が凍りますか?!)
お体に気をつけて。』
# serena 『公平といえば、今住む国のTVガイドや週刊誌が、地上波局を
対象にこんな調査をしています。例 各局における党首・
閣僚クラス議員の露出度。(ニュースでコメント5秒+
政治対談番組17分・・)
各局がA事件を取り上げた時間。B事件を取り上げた時間。
大物司会者やタレントのそれもあったりで、なかなか
おもしろいです。
連投、長文失礼しました。』
# Soreda 『serenaさん、こんにちは。
素材の一つとして放送していたら、多分もうあの手の団体の人を見誤る人もさぞや少なかっただろうに、と個人的には思います。繕うことに専心したであろうNHK内部の人というのは、公平、公正の点からと言うんでしょうが、「これってマズ」と思ったとしたら、それは別系統の左翼だからなのかなと思ったりもしました。まったくの極右、右翼側だったら、レポーターたてて、どういう人他たちが主催しているのかの人物紹介をしながら(当然いいことだ、詳しくしようというんだから)、会場の様子を漏らさず丁寧に放送しろと言うんじゃないかと思います。』
# 素ー 『はじめまして
ジャッジはあなた・・・といえるように番組ができていればねえ。
ネットで洗脳される者もいるぐらいだし、NHK見るのは情報弱者だしね。そのためのNHKだし。
比較対象されるために取材されたくない、てやからはいますね・・・なぜか同類らしいが。』