2006-06-16
■ オープンソーステクノロジー勉強会 
第4回 オープンソーステクノロジー勉強会でお話をした。後で書きます。
「PostgreSQLのスケーラビリティ」の話と「エンジニアのキャリア?」の話をしてきた。前半は推進フォーラムの開発基盤WGでやったES7000でのベンチマークのお話で、ユニアデックスの米田さんの持ちネタのhyoshiokバージョンである。後者はまったくもってヨタ話で懇親会への前座的なお話。それぞれ資料はGreeの勉強会のページから公開予定なので楽しみにしておいてほしい。
参加者層は20代、30代半々くらいでわたしから見れば若手である。40代はいなかった。10代がお一人いたので、U-20プログラミングコンテストの宣伝をしておいた。*1
さて、「エンジニアのキャリア?」、副題として「hyoshiokの作り方」。Greeの藤本さん(バリバリのPHPハッカー)から、ぜひお話を伺いたいなどと直お願いされちゃったもんだから、わたしでよければヨタ話をとお受けした。
「高速道路時代のキャリア」って何よというところからはじまる。「高速道路」はもちろん梅田望夫が
で紹介している将棋の羽生善治の言葉だ。「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」*2
インターネットのおかげで2次情報へ素早くアクセスできる。しかし高速道路の先は渋滞である。
- 人の下を行け〜
- 流行を追うな、本質を追え
- 続けろ〜
- 成長をしているか
人の下をいけ。結局のところ1次情報へあたるしかない。CPUの話であれば、Intelのマニュアルを丁寧に読む。コンピュータアーキテクチャの勉強をしたかったら
- 作者: John L. Hennessy, David A. Patterson
- 出版社/メーカー: Morgan Kaufmann Pub
- 発売日: 2002/05/15
- メディア: ハードカバー
を読み、それから引用されている論文にあたってみる。時間はかかるがそれが血となり肉となる。無駄ではない。
流行は追うな。技術の進歩は日進月歩でとてつもないスピードで進化しているように一見思える。そのような技術の変化に追従するのは大変である。疲れてしまうと思わないことはない。しかし、本質はほとんど変化していないのである。前半戦で話したRDBMSのスケーラビリティのお話などはまさにその際たるもので、ロックの競合をどのようにやって発見するか(プロファイラーを使え)、CPUボトルネックをどう発見するか、IOは(vmstatを見ろ)、というような問題は定石、王道のパターンが存在する。
続けろ〜。10年続ければプロフェッショナルに(多分)なれるだろう。35歳で引退するな〜続けろ〜
カーネル読書会も99年4月からやっていて最近では64回目を数えたが、7年どうにか続いている。あと3年続ければたぶん100回に到達するだろう。続けるコツは肩の力を抜いてやりたいことをやる。楽しいことをやる。それにつきると思う。
そうやって続けたとき自分は成長しているか?半年前、3年前、10年前と比べて成長したか確認してみるといい。「ユメのチカラを信じる」、「10年歯を食いしばる」、「プロフェッショナルになる」ということである。
場所を移してビールを飲みながらさらに熱いヨタ話は続いたのであった。
インターネットのおかげで、わたしが言葉を発信すれば世界の誰かがそれが3人しかいなくてもその言葉を発見してくれるかもしれない。はてなやmixiやGreeのおかげでその3人にめぐり合えるかもしれない。それによって今まで不可能であった人との出会いとそれから生まれる核融合のようなものがありうるのではないか。
Greeの若手のエンジニアに、あなたの書いているコードによって世界を幸せにしているのですよ、コードには力があるのですよ、というようなことをしゃべったような気がする。
多くの人は思っても行動に移さない。今日、ここで出会った人々は、わざわざ勉強会に出てきた。その行動によって私たちは出会った。それは奇跡に近いことである。
会ったことも話したこともない人々がインターネットのおかげでこうやって勉強会に参加し、実際会って酒を飲み、意見を交換できると言うのは素晴らしいことではないか?
できない理由を100ならべるのではなく、とりあえずやってみよう。続けてみよう。それは自分のためになる。
40半ばの熱いオヤジのアジテーションが六本木の居酒屋で深夜まで続くのであった♪
素晴らしい機会を提供していただいたGreeの藤本さん、田中さん、そして参加者の皆さん、どうもありがとうございました。心から感謝しています。
追伸:感想等ありましたらコメント、トラックバックよろしくお願いしますね。
追伸その2:OSS時代の人材育成というブログも書きました。
その3:レポートが早速アップされています。ありがとうございました。http://labs.gree.jp/Top/Study/20060615/Report.html
- http://d.hatena.ne.jp/sakaik/20060615
- http://d.hatena.ne.jp/pingoo/20060615
- http://d.hatena.ne.jp/yappo/20060616
- GREE Labs 第4回オープンソーステクノロジー勉強会
- http://d.hatena.ne.jp/kybrdst/20060616
- GREE Labs 第4回 オープンソーステクノロジー勉強会 [memo]
- http://d.hatena.ne.jp/vestige/20060615
- http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20060621
- http://d.hatena.ne.jp/himainu/20060622
# tanakayoshikazu 『ありがとうございました!』
# kokoromo 『ためになりました、ありがとうございました。』
# Linux好き事務員 『こんばんは。
>流行を追うな、本質を追え
表面的なハウツーでも結構仕事ができてしまいますので、その誘惑に負けないためにも、いかに本人に「本質を追う必要性」を実感として持たせるかがポイントだと思います。私の場合、不器用なせいか、表面的なハウツーだけですとドツボにハマり抜けられないパターンなので、失敗の原因を追求したり、トラブルを事前に回避するために、少しでも踏み込んで調べていく事を心がけています。』
# hyoshiok 『kokoromoさま、コメントありがとうございます。ヨタ話ですので、話半分くらいにして聞いていただけたらと思います。』
# hyoshiok 『tanakayoshikazuさま、こちらこそありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。』
# hyoshiok 『Linux好き事務員さま、コメントありがとうございます。本質を追うことが、遠回りではなく結局は近道なような気がしています。』
# 21century.po 『> 流行を追うな、本質を追え
根底にある文化の違う技術同士がせめぎ合ってトップランナーがめまぐるしく入れ替わっている状態を表面的に見ると急激な技術の進歩に見えるわけで、本質を追うこととは、要は勝ち組につくことだと言ってしまうのは身も蓋もなさすぎ?』
# hyoshiok 『21century.poさま、コメントありがとうございます。日本という地域で、根底にある文化の違う技術同士がせめぎ会うという状況はあんまり発生していないような気がしています。わたしは意図してそれを起そう(?)と妄想しています。
勝ち組というのが何をさすのかはわかりませんが…
自分の人生なんだから、どう生きてもいいわけなんだけど、わたしは、流行を追うより本質を追った方が面白いと思っています。
とかいいながらウェブ進化論とか流行を追っているわけですが。まあ、何事も程度問題ということで。』
# norah 『ウェブ進化論のおかげでIT業界ってますます本質を見失っている気がするのですが;
中学生の頃U-20プログラミングコンテストの前進である全国高校生・専門学校生プログラミング・コンテストを見て、結局この業界も才能や技術じゃなくて学歴なのねと思いこの業界から足が遠のいています・・・。』
# hyoshiok 『norahさま、コメントありがとうございます。本質を見失うというのは具体的には何をさしているのでしょうか?
U-20プログラミングコンテストのどこらへんが学歴重視なのか教えていただけると幸いです。この業界と一くくりにされても困ります。U-20プログラミングコンテストが業界を代表しているわけでもないですし。』
# yamaz 『こんにちは.Lockの質問をした坊主男です.
お話に触発されてmixiで書きためてたメモなどを表に出すことにしてみました.
遅くなりましたが,飲み会では貴重な話をありがとうございました!』
# hyoshiok 『yamazさま、コメントありがとうございます。素晴らしいですね。フィードバックが来るといいですね。』