2005-03-28
■『ユリイカ』4月号 特集*ブログ作法
ユリイカ2005年4月号 特集=ブログ作法 あるいはweblog戦記
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2005/03/28
- メディア: ムック
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今日28日に店頭に並ぶ予定です。よろしくお願いします。
担当したのは、座談会「激突!はてな頂上作戦」(すごいタイトルだ)の司会・構成と、「ブログ・ガイド100@2005」の編者。
座談会の出席者は、吉田アミid:amiyoshidaさん、鈴木謙介id:charlie_kさん、仲俣暁生id:solarさん、それからわたくし栗原裕一郎で、読んでいただければわかるように、はてなを中心に、といいつつ、黎明期から現在までのネットワーク事情の「極めて特殊な一面」(仲俣暁生氏)を蛇行しながらたどり、来るべきブログおよびネットワークの明日をライブドアの行く末に重ねてうつろに見遣るといった放談になっております。収拾がつかなくなりそうで案外まとまったネットワーク論になっているのではないかと。フランキー・オンラインとかレアな話題も。
が、そうした「論」はじつのところメタ・メッセージにすぎません。「feat. 吉田アミ」との表記から、察しのいい読者諸兄におかれては的確に読み取られることを期待しますが、この座談会は、ブログ論にかこつけ野郎3人が寄ってたかって吉田アミ嬢をネット・アイドルに祭り上げ、その陰でおいしい思いをしようというみだらなたくらみであり、わが発言の端々にその陰謀は透けているかと思いますが、鈴木謙介氏の絶妙な、要所要所における彼女へのツッコミも、吉田アミというアイドルのキャラクターづくりを狙ってのものであることはいうまでもありません。
音楽の話なんかろくにしていないのにここを見てくださっている大手レコード会社各社の皆さま、いかがですか、吉田アミ。
だがさらにしかし。そんな陰謀もまたメタ・メッセージにすぎないのです。ユリイカ編集部の思惑はさらにべつのところにあって、人文雑誌フリーペーパー化の趨勢に怯えるかの編集部としては、われわれが吉田アミをまんまとアイドルに押し上げたところをかっさらい、同誌の看板に利用しようという腹づもりらしい。オトナってずるい。
と、かように重層的に野望が折り重なったこの「大河座談会」ですが、仲俣さんは100枚といっていましたけど、じつは130枚くらいあります(笑)。何しろテープが5時間分もあり、これでも話題としては3分の1くらいに絞られているんですが。それにしてもあまりに長大になったので削ろうかと申し上げたところ、面白いのでこのままでいきたいという編集部の意向によりそのまま掲載とあいなりました。
「ブログ・ガイド100」の方は、わたくし栗原がこれは!と思うブロガーのリストをつくり、編集部と相談の上、そのなかの十組(十一名)に原稿をお願いしたという流れです。一部オンオフで知己のある人もいますけれど、ほとんどはこちらが一方的に存じ上げている方々で、彼らにいきなり原稿依頼のメールを送りつけたかたち。
しかし、あれですね。こういうふうに、ほとんど任せっぱなしですばらしい原稿が集まって、それが手柄になるというんだから、編者っていいですね。あー、もう、おれはこの先、編者として生きていこうかとさえ思いました(笑)。編集部も大喜びで、前書きに載せた編集部の弁は編集長直筆です。以下、執筆陣の方々についてかんたんにコメントを。
- 松永英明id:matsunaga氏(メタブログ)……さすが、の一言でした。ご提案申し上げる余地もなく完成された原稿を右から左。
- 加野瀬未友id:kanose氏(オタク系)……同じくさすが。でも、メールには返事をください(笑)。
- 山本貴光id:yakumoizuru+吉川浩満id:clinamen氏(人文系)……ある意味でいちばんやりにくそうなカテゴリをトリッキーに編纂してくださいました。ご著書『心脳問題―「脳の世紀」を生き抜く』が名古屋大学の入試に出題されたそうでおめでとうございます。
- 野中モモid:Tigerlilyさん(アート)……受け取った原稿を拝読した瞬間、あまりのチャーミングさに恋に落ちそうになりました。
- 増田聡id:smasuda氏(音楽)……『音楽未来形―デジタル時代の音楽文化のゆくえ』で売り出し中の新進気鋭の音楽学者(笑)氏にこんな細かい仕事をお願いして恐縮です(笑)。
- 末廣恒夫id:copyright氏(著作権)……ネット上でなされている著作権がらみの議論をクールに総括してもらうには末廣さんをおいて他にいない!
- 上山和樹id:ueyamakzk氏(ニート・ひきこもり)……腹を割って包み隠さず話をする関係を「親友」と呼ぶなら、おれたちはもはやマブだ。いろいろとありがとうございました。
- 近藤正高id:d-sakamata氏(文学?)……これまたやりにくい、というか雲をつかむように覚束ないテーマなのにもかかわらず、きっちり仕上げてくださいました。売文魂!
- 速水健朗id:gotanda6氏(ブログの書籍化)……テーマが二転三転してすみませんでした。転がすと面白そうなネタがいくつも含まれていてこの文字数ではもったいない感じ。どっかでおっぴろげたいところですな。
- ばるぼら氏(ネクスト・ブログ)……打診のメールを夜中の3時くらいに打ったんですが、翌朝、返ってきたメールになんと! 完成原稿が添付されていました。早! つーか早すぎ。いつか真似しようと思いました(笑)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』ぼちぼち出るそうです。みんな買おう。
■ユリイカこぼればなし
ところで、西島大介氏による表紙のこのイラストですが、編集部いわく、座談会出席者面々のキャラが隠されているのだそうです。
「どれが誰かわかりますか?」
「栗原さんもいますよ」
「うそ。どれだろう。この丸い物体は違いますよね。……わかんねっす」
「破れたハートがあるじゃないですか(笑)」
「ハートブレイクか! じゃあ、そのとなりではいはいしているのが……」
「そう、「陸這記」で仲俣さん(笑)」
「鈴木さんのメインサイト名は「Soul for Sale」でしょ?」
「って、この漂ってる魂かよ! つーかオバケじゃんこれ(笑)」
印をつけてみました。
でもまあ、昨今のひねくれ栗原さんには珍しいアイロニー希薄なコメントっぷりに、ご心労(特にオレがかけたところの)を忍ぶところでございます。おつかれさまでした。つーかまだ現物見てないんですけど(笑)