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あれから数日が経ち、
ジャックの仕事が休みの日に買い物に出かけようとしたら、目の前にある人物がいた。
忘れもしない人物。
「ローズマリー様…。何故ここに?」
「話があるの。お邪魔していいかしら?」
ジャックは買い物に行くのをやめて、ローズマリーとローズマリーの後ろにいた使用人のアリアを家の中に入れた。
「あまり大したものではないですが…」
ジャックはお茶を淹れてローズマリーに差し出した。
アリアからは断られた。
「そんなことないわ。いい香りよ。」
ローズマリーはゆっくりとカップをもち優雅にお茶を飲んだ。
「…あの、何故ここに?」
ジャックは疑問に思っていたことを伝えた。
「面接の結果を伝えに来たわ。こちらの方に用があったので、手紙を出すより早いからよ?」
ジャックはどうせ不採用だと思っていた。やっぱり母親を一人置いてはいけないし。
復讐はまた考えればいいし。
「…採用よ。支度に時間がかかるでしょうから、来月から働いてもらうわ。」
ジャックはその言葉に驚いたと同時に母親のことを考えた。
「…やはり、辞退します。母のことがありますから。」
ジャックがそう言うと、後ろからカタッと音が聞こえた。
「…ジャック。私のことはいいから、働かせて貰いなさい。」
今にも倒れそうなジャックの母親がいた。
「…でも」
「ジャックのお母様。お母様さえよろしければ、私の方で療養施設に入所できるよう手配済みですわ。私の領地内です。施設には常時医者も看護する者もいますし、食事も提供されます。ジャックの仕事がお休みの日には一緒に過ごすことができますわ?」
「…そんな、私は、大丈夫です。お金もないですし…。」
ジャックの母親はローズマリーの提案に乗ることができなかった。
「お金は心配いりませんわ。私がお支払いします。」
「いえ、甘えるわけにはいきません。」
そう、目の前にいるのは家族を壊した人だ。
「では、ジャックのお給料から天引きという形はいかがです?ジャックさえよければ、になりますが。」
それでもジャックの母親は渋っていた。
「母さん、俺の給料から引かれるのなら、施設に入ろう?一人でここにおいておくのは心配だから…」
ジャックは母親にそう言うと、母親はローズマリーに頭を下げた。
「決まりですわね。お母様、こちらにサインを。ジャック、契約書よ。よく読んでからサインを。」
そこから、執事としての日々が始まった。
母親はただの働き過ぎではなく、重い病におかされていた。施設に入所してから2年も絶たずになくなった。
イザベラとは、手紙のやり取りをしていたが、母親が男爵に見初めれて結婚すると聞いてから、手紙のやり取りはへり、たまに手紙が来るとどうでもいいようなお願いごとをしてきた。
復讐の為にローズマリーの執事見習いとなったが、ローズマリーも公爵も一切の不正はなかった。
イザベラは殺すことが最大の復讐だと思っているが、俺はローズマリーが俺のように家族が壊れることが俺なりの復讐。だけど、クロフォード家はもう壊れていた。
復讐ってなんなんだろうか…。
俺は一体どうしたんだろうか…。
そんなことを考えていたら、ローズマリーが帰ってくる時間が迫ってきた。
ジャックは玄関にローズマリーを迎えに行く準備を始めた。