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彼女に少し嫌われたい ~俺を魔王と呼ぶ美少女と運命の出会いをしたけど、忠誠度が高すぎるので少し下げて普通の恋人を目指したい~ - 26 魔族の集会
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26 魔族の集会

 俺は千聡が用意してくれたいかにもな魔王服を着て、みんなが待つリビングへと戻る。


「――ああ、魔王様、とてもよくお似合いです! どこか苦しい所や違和感などはございませんか?」


 嬉しそうな表情を浮かべた千聡が駆け寄ってきて、袖口やすそなど、あちこちをチェックし始めた。

 なんかじゃれついてくる子犬みたいで、とてもかわいい。


 苦しさや違和感に関しては、千聡の細い指先が俺の体に触れるたびに胸が苦しくなるし、違和感は服装全体的にあるけど。多分そういう事を訊かれているのではないだろうから黙っておく。


 なので『問題ないよ』と答え、千聡にあちこち確認されるのを照れくさく感じながら立っていると、リーゼも近寄ってきて『なんだか昔を思い出しますね』と言って、楽しそうに笑顔を浮かべて俺達をながめている。


 美人にじっと見られるとなんかとても緊張するが、喜んでもらえているようなので我慢しよう……って、あれ?


 そういえば、こういう時に真っ先に反応しそうな人の姿がない。

 部屋を見回すと、潮浬はテーブルでお茶とお菓子を用意してくれていた。


 ……俺の視線を敏感びんかんに感じ取ったのだろう。潮浬は視線をこちらに向けると、いつもの微笑をたたえて言葉を発する。


「わたしがお慕いしているのは、魔王陛下ご本人ですからね。どんな格好をしているかは重要ではありません。一糸纏いっしまとわぬ姿をしているとかなら、全力で食いつきますが」


 うん、潮浬は相変わらずだな……と生暖かい目になる一方で。ちょっと悲しい現実も見えてしまう。


 潮浬は中身をと言ってくれたが、千聡にとっては俺はあくまで『魔王様』なのであり。俺が魔王の生まれ変わりだと信じているから、そばにいてくれるのだ。


 俺の魔王服姿を見て嬉しそうにしている千聡を見ると、寂しいようなだましているようで申し訳ないような。微妙な気持ちになってくる……。



 ひとしきり千聡の衣装チェックが済んだ所で、みんなも着替えをするらしく、交代でシャワーを浴びに行く。


 潮浬がかなり食い気味に二番手に立候補していたけど、なんか変な事する気じゃないよね?

 脱いだ服は回収したし、お湯も抜いたので大丈夫だと思うけど……。


 そんな事を考えながら千聡に髪を整えて貰い。それが終わったらまだ潮浬が出てこない内から、千聡もシャワーを浴びに向かった。


 ……まぁ、女の子同士だから問題ないのだろう。シャワールームはわりと広かったし、もうシャワーは終わって、着替えや髪のセットに時間がかかっているだけかもしれないしね。


 そんな事を考えながら、ゴキゲンなリーゼとお菓子を食べながら待っていると、ドレス姿に着替えた潮浬が戻ってきた。


「おお……」


 思わず感嘆かんたんの声が出てしまうほどに、潮浬の姿は美しい。


 薄い水色のロングドレスをまとった姿はまるで水の女神のようで、そでは長くて手袋もはめているので、肌の露出こそいつも俺の部屋にいる時より少ないが。上品な美しさと言うか、いっそ神々(こうごう)しささえ感じられる。


 潮浬と入れ替わるようにリーゼがシャワーを浴びに行き。潮浬は何個もソファーがある中でなぜか当然のように俺の隣に座るが。なんだかすごく緊張してしまう。


 ――潮浬が体を寄せてくるので、ちょっとずつ退避し。また体を寄せられてでソファーの端まで追い詰められた頃、千聡が。そしてすぐ後にリーゼも着替えを終えて戻ってきた。


 リーゼはいつも通りのスーツ姿だが。千聡はなんか映画に出てくる偉い軍人さんみたいな、肩から胸に金色のひもが伸びた軍服みたいなのを着ている。


 自分は参謀役だと言っていたのを思い出すが、似合いすぎていて怖いくらいだ。宝塚とかにいそうである。


 そうして、カッコイイ系が二人に美しい系が一人。微妙な俺の四人が揃ったので簡単な打ち合わせをするらしく、千聡が口を開く。


「会合は零時からですので、その少し前に会場に向かいます。リーゼ、貴女は魔王様の護衛を、なにがあっても絶対におそばを離れないように。たとえ襲撃を受けて相手が逃げても追ったりせず。離れた場所で私が殺されるのを見ても駆けつけたりせずに、魔王様の安全だけを考えなさい」


「はい!」


 ……すごくいい返事だが、内容はかなり物騒だ。たとえばの話……だよね?


「潮浬、貴女は魔王様のエスコートと通訳を。私は対人対応をします」


「了解」


「魔王様。雑事は全てこちらで対応いたしますが、もしなにかありましたらいつでもご発言ください。それ以外は泰然たいぜんとして座っていて頂ければ結構です」


「うん」


「では、会場に向かいましょう」


 部屋にかかっている時計を見ると、今11時50分くらいだ。俺のスマホの時計は日本時間なので役に立たない……と思っていたら、どういう仕組みかちゃんと現地時間が表示されていた。さすが千聡推薦のスマホである。


 船内の構造が頭に入っているらしい千聡が先頭に立ち。俺とエスコート役らしい潮浬が横に並び、リーゼが後ろにつく。なんかRPGのパーティーみたいだな。


 そんな事を思いながら船内を歩き。エレベーターに乗ったりもして船内を進むと、入り口だけで三つもある、大きな部屋にたどり着いた。


 とびらをくぐると、中は大きめの体育館くらいの広さがあって、奥にはステージが。その横には楽団が待機していて、両端には豪華な料理や飲み物が山と並んだテーブルに、それらを運ぶメイドさん達の姿。


 壁沿いにはぐるりと、高そうな彫刻や絵画の合間にソファーが並べられていて。中央はダンスとかするのだろうか? 広く空けてある。


 初めて見る絵に描いたようなパーティー会場の光景に、呆気に取られて固まってしまったが。千聡に『魔王様、こちらへ』とうながされ。並んでいるソファーの一つに腰を下ろす。


 潮浬が嬉しそうに隣に座り。千聡がソファーの右に、リーゼが左に立つ。


 ちょっと落ち着いた所で改めて会場を見回してみると、すでに100人くらいの人が集まっていて、いくつかの小グループで固まって談笑していたり、鋭い目で周囲をにらみつけている人もいたりする。


 大半の人はスーツやタキシード、ドレス姿だが。俺や千聡みたいにちょっと痛めの格好をした人や、多分小道具……だと思いたい大きな剣やオノ。なぜか自動小銃っぽいものを持った人達までいた。

 最近は魔族も銃とか使うのだろうか?


 物騒ぶっそうな事この上ないが、よく考えたら俺達もリーゼのギターケースには刀が入っているし、潮浬が脇に立てかけている布が巻かれた長い棒は、中身槍だ。


 あんまり人の事は言えない気がしてきたので、気にしない事にして視線をステージへと向ける。


 なにか動きがあるなと思ったら。マイクを持った男の人が出てきて、言葉を発した。


『皆様よくお集まりくださいました。これより第783回、魔族交友会を始めたいと思います。まずは今年の主催、カルメ伯爵よりご挨拶を申し上げます』


 言葉はなに言っているか分からない外国語だが、潮浬が同時通訳をしてくれる。


「潮浬すごいね、これ何語? 英語っぽくないのはわかるけど」


「魔族の言葉です。何語かと問われれば魔族語……いえ、元の世界の人間も同じ言葉を話していましたから、異世界語でしょうか」


「お、おう……」


 そういえば千聡と初めて会った日にも、『この言葉はお分かりになりませんか?』と言われて、なんか分からない言葉を話された記憶がある。


 とりあえず、異世界語という設定のどこかの国の言葉なのだろうと自分の中で結論を出して、意識をステージへと戻す。


 ちょうど司会の人と入れ替わりに、小柄な中年男性が出てきた所だった。


 いよいよこれから、千聡の言う魔族の集会が始まるのだ。



 俺は心を強く持って、これから起こる事態に備えて心の準備を整えるのだった……。




 現時点での世界統一進行度……0.1%(西日本の魔族を配下と、小さな拠点がいくつか)


 千聡の主人公に対する忠誠度……100%(カンスト)

※ご希望を頂いたので、前作のような物語の進行度をつけてみました。

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[良い点] >>わたしがお慕いしているのは、魔王陛下ご本人ですからね。どんな格好をしているかは重要ではありません。一糸纏いっしまとわぬ姿をしているとかなら、全力で食いつきますが 後半のセリフで全て台…
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