前途多難な高市内閣の発足
すったもんだの末ではあったものの、日本初の女性首相が誕生した。10月21日、国会で自民党の高市早苗氏が第104代の首相に指名された。
高市氏が自民党の総裁に選出されると、1999年以来連立を組んできた公明党が、連立を解消する方針を打ち出した。そのため、一時は女性首相誕生が危ぶまれた。しかし、自民党が日本維新の会と連立を組むことで、高市内閣が成立する運びとなったのである。
ただし、自民党は少数与党である。公明党と連立を組んでいたときにも、衆議院で両党の議席は過半数に達していなかった。それは維新との連立でも同じで、過半数には届かない。その点では、これからの政権運営に問題が続出することが予想される。高市新首相は、維新と国家についての考え方が共通するとしているものの、両党は維新が基盤とする大阪で激しく対立してきた歴史を持っており、前途は相当に多難である。
女性の首長が増えてきた日本社会
それでも、戦後80年の記念の年に、日本初の女性首相が誕生したことの意義は大きい。「ガラスの天井」が打ち破られたことは間違いなく、各方面に影響を与えることになるであろう。
見回してみるならば、女性が組織の頂点に立つことは決して珍しいことではなくなってきている。首都のある東京の都知事は小池百合子氏である。女性の知事や市長も多くなってきた。
労働界でも、連合(日本労働組合総連合会)の会長は芳野友子氏がすでに3期目に入っている。検事総長も2024年に畝本直美氏が初めて就任している。
あるいは、ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子氏はプロ野球界初の女性オーナーであり、現在は、日本プロ野球オーナー会議議長にも就任している。次々とガラスの天井は破られてきたのである。
これは皆最近の出来事ということになるが、女性が世の中で中心的な役割を果たすようになり、そこに意義があることは、すでに鎌倉時代から指摘されていた。歴史を振り返ってみるのは興味深い。そして本稿では、この流れが「愛子天皇待望論」にいかに影響を与えるかを指摘したい。
