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JP2014034358A - プログラム及び列車運行シミュレータ - Google Patents
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JP2014034358A - プログラム及び列車運行シミュレータ - Google Patents

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隆 坂口
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Abstract

【課題】個々の運転士の運転方法を模擬した運転曲線の作成を可能とすること。
【解決手段】列車運行推定装置1は、計画ダイヤを構成する各列車それぞれに、運転士を模擬するパラメータとして、各列車それぞれの駅間走行時分を長くするための運転操作パラメータ530を設定する。そして、各列車の各駅間について、基準運転曲線による次駅の基準着時刻と、計画ダイヤで定められた計画着時刻との差である余裕時分aが余裕到着条件を満たす場合に、運転操作パラメータ530を用いて、基準着時刻を遅くするように基準運転曲線を調整した実績運転曲線を作成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、所与のダイヤデータを処理対象として、各列車の運行をシミュレートする列車運行シミュレータ等に関する。
鉄道では、作成した列車ダイヤの評価や検証のために、その列車ダイヤに従った列車の運行を模擬する列車運行シミュレータが用いられている。列車運行シミュレーションとして、先行列車の運転曲線をもとに、その走行に伴って変化する信号機の信号現示を示す時隔曲線を作成し、その時隔曲線が示す信号現示に対応した制限速度以下で走行できるように、後続列車の運転曲線を作成する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開平11−198815号公報
しかしながら、上述の特許文献1のような従来の列車運行シミュレーションでは、実際の列車の運行を模擬するには不十分であった。すなわち、運転曲線は、勾配や曲率、設置されているトンネルや踏切といった線路条件や、加減速性能や走行抵抗、重量といった列車諸元(列車条件)を満たしつつ、駅間を最短で走行するように作成される。ところが、実際には、運転士の運転操作の違いによって、実際の運転曲線には違いが生じる。例えば、計画ダイヤ上の駅間走行時分に余裕がある場合の余裕時分を消化する方法は運転士毎に異なる。また、先行列車が遅延している場合に、下位現示の信号の制限を受けないようにして自列車への遅延伝播をなるべく小さくするための運転方法を実施する運転士も存在する。しかし、運転士の運転方法を模擬した運転曲線を作成する列車運行シミュレーションは知られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転士の運転方法を模擬した運転曲線の作成を可能とする技術を実現することである。また、第2の目的は、運転士の運転方法を模擬した運転曲線を用いた列車運行シミュレータを実現することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
コンピュータに、各列車の各駅での計画発時刻及び計画着時刻が定められた所与のダイヤデータ(例えば、図6の計画ダイヤデータ523)を処理対象として、前記各列車の運行をシミュレートさせるためのプログラム(例えば、図6の列車運行推定プログラム510)であって、
前記各列車それぞれの運転士を模擬するパラメータとして、駅間走行時分を長くするための予め定められた運転操作パラメータ(例えば、図7の運転操作パラメータ530)を当該各列車に設定する運転操作パラメータ設定手段(例えば、図6の運転操作パラメータ設定部410)、
シミュレーション時刻を計時する計時手段(例えば、図6の処理部40)、
前記シミュレーション時刻に掛かる列車について、次駅までの基準運転曲線を、所定の運転曲線作成処理を実行して算出する基準運転曲線算出手段(例えば、図6の基準運転曲線作成部420)、
前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記次駅の基準着時刻と前記計画着時刻との差が、余裕を持って到着した条件である所与の余裕到着条件を満たす場合に、当該列車について設定された前記運転操作パラメータを用いて、当該基準着時刻を遅くするように当該基準運転曲線を調整する第1の運転士別調整手段(例えば、図6の余裕時運転曲線調整部430)、
として前記コンピュータを機能させ、前記各列車それぞれに設定する運転操作パラメータに応じて異なる実績運転曲線を得ることができるプログラムである。
また、他の発明として、
各列車の各駅での計画発時刻及び計画着時刻が定められた所与のダイヤデータを処理対象として、前記各列車の運行をシミュレートする列車運行シミュレータ(例えば、図6の列車運行推定装置1)であって、
前記各列車それぞれの運転士を模擬するパラメータとして、駅間走行時分を長くするための予め定められた運転操作パラメータを当該各列車に設定する運転操作パラメータ設定手段と、
シミュレーション時刻を計時する計時手段と、
前記シミュレーション時刻に掛かる列車について、次駅までの基準運転曲線を、所定の運転曲線作成処理を実行して算出する基準運転曲線算出手段と、
前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記次駅の基準着時刻と前記計画着時刻との差が、余裕を持って到着した条件である所与の余裕到着条件を満たす場合に、当該列車について設定された前記運転操作パラメータを用いて、当該基準着時刻を遅くするように当該基準運転曲線を調整する第1の運転士別調整手段と、
を備え、前記各列車それぞれに設定する運転操作パラメータに応じて異なる実績運転曲線を得ることができる列車運行シミュレータを構成しても良い。
ここで、基準運転曲線とは、運転士の運転方法を考慮せずに、線路条件や列車条件を満たしつつ最短で走行する際の運転曲線である。この第1の発明等によれば、各列車それぞれに設定する運転操作パラメータに応じて異なる実績運転曲線を得ることができる列車運行シミュレータを実現できる。すなわち、所与のダイヤの各列車それぞれに、運転士を模擬するパラメータとして、各列車それぞれの駅間走行時分を長くするための運転操作パラメータが設定される。そして、基準運転曲線による次駅の基準着時刻と、所与のダイヤで定められた計画着時刻との差が余裕到着条件を満たす場合に、運転操作パラメータを用いて、基準着時刻を遅くするように基準運転曲線が調整される。これにより、次駅の到着に余裕が有る場合に、運転士の運転操作を模擬した、駅間走行時分を長くするような運転曲線を作成することができる。
また、第2の発明として、第1の発明のプログラムであって、
前記運転操作パラメータ設定手段は、速度制限区間を走行する際に力行及びだ行を繰り返す準定速運転時の準定速運転操作パラメータ(例えば、図7の制限速度区間だ行増加条件535)を前記運転操作パラメータに少なくとも含めて設定し、
前記第1の運転士別調整手段は、前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線のうち、速度制限区間の運転曲線部分を、当該列車について設定された前記準定速運転操作パラメータを用いて調整する手段(例えば、図6の制限速度区間だ行調整部535)を有する、
プログラムを構成しても良い。
この第2の発明によれば、運転操作パラメータには、速度制限区間を走行する際に力行及びだ行を繰り返す準定速運転時の準定速運転操作パラメータが含まれる。そして、次駅の到着に余裕が有る場合の運転曲線の作成として、基準運転曲線のうち、速度制限区間の運転曲線部分が、この準定速運転操作パラメータを用いて調整される。
また、第3の発明として、第2の発明のプログラムであって、
前記運転操作パラメータ設定手段は、前記準定速運転時に繰り返す力行及びだ行の速度変化幅を少なくとも前記準定速運転操作パラメータに含めて設定する、
プログラムを構成しても良い。
この第3の発明によれば、準定速運転操作パラメータには、準定速運転時に繰り返す力行及びだ行の速度変化幅が含まれる。変化幅が広くなると、だ行距離が長くなるため、駅間走行時分が長くなるが、だ行距離をどの程度増加させるか、すなわち変化幅をどの程度にするかは、運転士によって異なる。これにより、変化幅の設定によって、運転士それぞれに異なる運転操作を模擬することが可能となる。
また、第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明のプログラムであって、
前記運転操作パラメータ設定手段は、ブレーキ直前のだ行距離或いはだ行時間に係る第1のブレーキ直前だ行操作パラメータ(例えば、図7のブレーキ直前だ行増加条件536)を前記運転操作パラメータに少なくとも含めて設定し、
前記第1の運転士別調整手段は、前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線のうち、ブレーキ直前にだ行をしている運転曲線部分を、当該列車について設定された前記第1のブレーキ直前だ行操作パラメータを用いて調整する手段(例えば、図6のブレーキ直前だ行調整部434)を有する、
プログラムを構成しても良い。
この第4の発明によれば、運転操作パラメータには、ブレーキ直前のだ行距離或いはだ行時間に係る第1のブレーキ直前だ行操作パラメータが含まれる。そして、次駅の到着に余裕が有る場合の運転曲線として、基準運転曲線のうち、ブレーキ直前にだ行をしている運転曲線部分が、この第1のブレーキ直前だ行操作パラメータを用いて調整される。だ行距離或いはだ行時間が長くなると駅間走行時分が長くなるが、だ行距離或いはだ行時間をどの程度増加させるかは運転士によって異なる。これにより、第1のブレーキ直前だ行操作パラメータの設定によって、運転士それぞれに異なる運転操作を模擬することが可能となる。
また、第5の発明として、第1〜第4の何れかの発明のプログラムであって、
前記運転操作パラメータ設定手段は、ブレーキ直前のだ行距離或いはだ行時間に係る第2のブレーキ直前だ行操作パラメータ(例えば、図7の下位現示回避条件537)を前記運転操作パラメータに少なくとも含めて設定し、
前記シミュレーション時刻に掛かる列車の先行列車について算出された運転曲線と、前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線とに基づいて、当該シミュレーション時刻に掛かる列車が次駅までの間に下位現示に遭遇することを検出する下位現示遭遇検出手段(例えば、図6の下位現示回避運転曲線調整部440)、
前記下位現示遭遇検出手段により検出された場合に、前記基準運転曲線による前記基準着時刻と前記計画着時刻との差が前記余裕到着条件を満たすか否かに関わらず、当該基準運転曲線のうちの、当該下位現示の遭遇に係る運転曲線部分を、当該列車について設定された前記第2のブレーキ直前だ行操作パラメータを用いて調整する第2の運転士別調整手段(例えば、図6の下位現示回避運転曲線調整部440)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
この第5の発明によれば、運転操作パラメータには、ブレーキ直前のだ行距離或いはだ行時間に係る第2のブレーキ直前だ行操作パラメータが含まれる。そして、先行列車の運転曲線と基準運転曲線とに基づいて、次駅までの間に下位現示に遭遇することが検出された場合には、余裕到着条件を満たすか否かに関わらず、基準運転曲線のうちの下位現示の遭遇に係る運転曲線部分が、第2のブレーキ直前だ行操作パラメータを用いて調整される。
下位現示に遭遇した場合、運転士は、この下位現示によって定められる制限速度まで減速させるため、或いは、現示の変化による制限速度の解除を見越して制限速度区間への進入を遅らせるために、早期にだ行に移行する運転操作を行う場合がある。このとき、だ行をどれだけ早めるかは運転士によって異なる。これにより、第2ブレーキ直前だ行操作パラメータの設定によって、運転士それぞれに異なる運転操作を模擬することが可能となる。
また、第6の発明として、第1〜第5の何れかの発明のプログラムであって、
前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記基準着時刻と前記計画着時刻との差が前記余裕到着条件を満たす場合に、当該基準運転曲線の最高速度を低減した運転曲線に修正する第1の共通修正手段(例えば、図6の最高速度調整部431)、
として前記コンピュータを更に機能させるためのプログラムを構成しても良い。
この第6の発明によれば、基準運転曲線による基準着時刻と、所与のダイヤで定められる計画着時刻との差が余裕到着条件を満たす場合に、基準運転曲線の最高速度を低減した運転曲線に修正される。
また、第7の発明として、第6の発明のプログラムであって、
前記第1の共通修正手段は、前記基準着時刻と前記計画着時刻との差である余裕時分に応じて、前記最高速度より低い低減最高速度を決定し、前記基準運転曲線の最高速度を当該低減最高速度とする運転曲線に修正する、
プログラムを構成しても良い。
この第7の発明によれば、余裕時分に応じて基準運転曲線の最高速度より低い低減最高速度が決定され、基準運転曲線の最高速度を、この低減最高速度とする運転曲線に修正される。
また、第8の発明として、第1〜第7の何れかの発明のプログラムであって、
前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記基準着時刻と前記計画着時刻との差が前記余裕到着条件を満たす場合に、当該基準着時刻と当該計画着時刻との差である余裕時分に基づいて、当該基準運転曲線の減速部分を、減速度を低減した運転曲線に修正する第2の共通修正手段(例えば、図6の減速度調整部432)、
として前記コンピュータを更に機能させるためのプログラムを構成しても良い。
この第8の発明によれば、基準運転曲線による基準着時刻と、所与のダイヤで定められる計画着時刻との差が余裕到着条件を満たす場合に、余裕時分に基づいて、基準運転曲線の減速部分が、減速度を低減した運転曲線に修正される。
走行時分に余裕が有る場合の最高速度の低下の説明図。 走行時分に余裕がある場合の減速度の低下の説明図。 走行時分に余裕が有る場合の速度制限区間でのだ行増加の説明図。 走行時分に余裕が有る場合のブレーキ直前のだ行増加の説明図。 下位現示に遭遇した場合のだ行増加の説明図。 列車運行推定装置の機能構成図。 運転操作パラメータのデータ構成例。 列車運行推定処理のフローチャート。 列車運行推定処理における余裕時運転曲線調整処理のフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
[原理]
本実施形態の列車運行推定(列車運行シミュレーション)は、所与の列車ダイヤに従って列車運行させた場合の実績ダイヤを作成(推定)するものである。具体的には、駅間を単位として各列車の運転曲線(ランカーブ)を作成し、この運転曲線にもとづいて駅間の走行時分を算出することで実績ダイヤを作成する。運転曲線は、横軸を列車位置(キロ程)、縦軸を列車速度としたグラフで表現され、位置に対する速度変化を示したものである。
本実施形態は、この運転曲線の作成において、運転士の運転方法を考慮した点を特徴としている。すなわち、実際には、運転士によって運転方法に違いがある。その結果、同一の駅間であっても、運転士毎に運転曲線が異なるのが実情である。本実施形態では、この運転士毎の運転方法の違いを模擬する。運転士の運転方法の違いは、主に、(A)走行時分に余裕が有る場合、(B)下位現示に遭遇した場合、の二種類の場面において表れる。
(A)走行時分に余裕が有る場合
走行時分に余裕が有る場合とは、計画ダイヤで定められる計画着時刻と、駅間を最短で走行した際の基準着時刻との差である余裕時分が、所定の余裕閾値以上の場合である。なお、この余裕閾値は運転士によって異なる。
そして、走行時分に余裕が有る場合、運転士は、この余裕時分を使うように、すなわち走行時分を増やすように運転する。本実施形態では、この余裕時分を使うような運転方法として、(A−1)最高速度を低下する、(A−2)減速度を低下する、(A−3)制限速度付近でだ行を増やす、(A−4)ブレーキ直前のだ行を増やす、の四種類を模擬する。
(A−1)最高速度の低下
基準運転曲線に従って運転した場合と比較して最高速度を低下させることで、走行時分を長くする運転方法である。なお、基準運転曲線とは、運転士の運転方法を考慮せずに、線路条件や列車条件を満たしつつ最短で走行する際の運転曲線である。
図1は、最高速度の低下の説明図である。図1(a)は、対象駅間における、時刻tに対する列車速度Vの変化を示すグラフの一例であり、図1(b)は、対象駅間の基準運転曲線の一例である。
図1(a)に示すように、駅間走行での基準運転曲線は、時刻tに対する列車速度Vが、加速度αで加速する加速期間と、定速走行区間と、減速度βで減速する減速期間と、からなる台形状のグラフに近似できる。この基準運転曲線での最高速度を低下させると、走行時分を長くすることができる。具体的には、基準走行時分T1で走行した際の最高速度を速度Vmとし、基準走行時分T1に余裕時分aを加算した走行時分T2(=T1+a)で走行した際の最高速度を速度V0とすると、面積U=面積T、となるように運転曲線が変更される。面積U,Tは、距離に相当し、次式(1a),(1b)で与えられる。但し、Vm<V0、である。
Figure 2014034358
これより、走行時分T2(=T1+a)で走行する際の最高速度V0は、次式(2)となる。
Figure 2014034358
ただし、対象駅間の全区間を対象として最高速度を低下させるのは、実際の運転操作にそぐわない。運転途中で、走行時分を長くする運転操作に切り替えるのが自然である。そこで、対象駅間の一部区間、具体的には、位置dp以降の区間を対象として、最高速度を低下させる場合を考える。この場合、最高速度Vは、速度V0より更に低下させることができる。位置dpは、例えば、位置dpから次駅までの信号現示が、全て進行現示(速度制限の無い現示)に確定する時刻tpにおける列車位置とすることができる。
そして、速度V0を初期値として、これより低い最高速度候補Vi(i=0,1,・・・,k:Viは30km/h以上)を設定する。次いで、これらの最高速度候補Viそれぞれについて、図1(b)に示す基準運転曲線から、最高速度候補Vi以上の速度で走行した距離xiを算出する。そして、これらの距離xiのうちから、面積T(=V0×a)に最も近いものを選択し、選択した距離Xiの最高速度候補Viを、低下させた最高速度(調整最高速度)とする。
(A−2)減速度の低下
減速度を低下させることで、走行時分を長くする運転方法である。図2は、減速度の低下の説明図である。図2(a)は、減速区間における、列車位置dに対する列車速度Vの変化の一例を示すグラフであり、図2(b)は、時刻tに対する減速度βの変化の一例を示すグラフである。
そして、速度V1から速度V2(<V1)まで減速する場合、減速時間T1で減速する場合の減速度を減速度β1、減速時間T1に余裕時分aを加算した減速時間T2(=T1+a)で減速する場合の減速度を減速度β2とすると、次式(3)が成立する。
Figure 2014034358
これより、減速時間T2(=T1+a)で減速する際の減速度β2は、次式(4)となる。
Figure 2014034358
この減速度β2を、低下させた減速度(調整減速度)とする。
(A−3)制限速度付近でのだ行の増加
速度制限区間において、だ行距離を長くすることで走行時分を長くする運転方法である。図3は、制限速度付近でのだ行の増加の説明図であり、速度制限区間における運転曲線の一例を示している。図3に示すように、速度制限区間では、定められた制限速度Vsを超えないよう、力行とだ行とを繰り返しながら、制限速度Vsよりやや低いほぼ一定の速度で走行する準定速走行が行われることがある。すなわち、力行によって加速し、速度Vが制限速度Vsに近づくと、ノッチオフによってだ行に移行して減速し、速度Vが制限速度Vsより所定の変化幅Wだけ低い下限速度Vl(=Vs−W)まで低下すると、再度、ノッチオンして力行に移行する。
このとき、ノッチオンを開始する基準となる下限速度Vl(すなわち、速度変化幅W)が異なると、運転曲線が異なることから走行時分が異なる。例えば、図3(a)は、速度変化幅W1の場合の運転曲線であり、図3(b)は、速度変化幅W2(>W1)の場合の運転曲線である。速度変化幅Wが大きいほど、だ行期間(すなわち、だ行距離)が長くなり、走行時分が長くなる。
そこで、複数の速度変化幅候補Wi(i=1,2,・・、n)を定める。次いで、これらの変化幅Wiそれぞれの準定速走行で制限速度付近を走行した場合の対象駅間の運転曲線を作成し、駅間走行時分Tiを算出する。そして、これらの駅間走行時分Tiのうちから、基準走行時分に余裕時分aを加算した走行時分に最も近いものを選択し、選択した走行時分Tiに対応する変化幅Wiを、だ行を長くするための変更幅(調整変更幅)とする。
ここで、下限値Vi、すなわち速度変化幅Wiは、運転士によって異なる。このため、運転士それぞれに、速度変化幅Wの上限値Wmと、速度変化幅の変更単位Δwとを定める。そして、変化幅候補Wiを、次式(5)に従って設定する。
Wi=W0+i×Δw ・・(5)
但し、i=1,2,・・、Wi≦Wm、である。
(A−4)ブレーキ直前でのだ行の増加
ブレーキ直前のだ行距離を長くすることで、走行時分を長くする運転方法である、図4は、ブレーキ直前におけるだ行の増加の説明図であり、運転曲線の一例を示している。図4に示すように、速度制限区間に進入する直前では、定められた制限速度まで減速するよう、力行から、ノッチオフしてだ行に移行した後、ブレーキをかけて減速するといった運転が行われることがある。
このとき、ノッチオフ位置dnを変更することで、運転曲線が変化し、走行時分が変化する。すなわち、ノッチオフ位置dnが手前であるほど、だ行距離が長くなるため、走行時分が長くなる。ここで、ノッチオフ可能な範囲は、ブレーキをかけずだ行のみで減速して制限速度Vsとなる位置d1から、基準運転曲線におけるノッチオフ位置d2までの範囲となる。
また、このノッチオフ位置dnは、運転士によって異なる。このため、運転士それぞれに、ノッチオフ可能範囲における相対的なノッチオフ位置を示す条件を定める。そして、基準運転曲線におけるノッチオフ可能範囲(位置d1〜d2の範囲)において、ノッチオフ位置条件に従ってノッチオフ位置dnを決定する。
(B)下位現示に遭遇した場合
鉄道では、閉そく区間を単位として、現示によって示される制限速度が設定される。このため、下位現示に遭遇した場合、運転士は、ブレーキをかけて、この下位現示による速度制限区間に進入する前に、定められた制限速度まで減速するように運転する。また特に、停止現示の場合には、駅間での停止を回避するために、減速して速度制限区間への到達を遅らせ、なるべく停止せずに速度制限区間に進入しようとする運転も行われる。
図5は、下位現示に遭遇した場合の運転方法の説明図である。図5では、「進行現示(青)」の区間から、その下位現示である「注意現示(黄)」の速度制限区間に進入する場合の運転曲線の一例を示している。
速度制限区間に進入する直前では、定められた制限速度まで減速するよう、力行から、ノッチオフしてだ行に移行した後、ブレーキをかけて減速するといった運転が行われることがある。このとき、ノッチオフ位置dnを変更することで、運転曲線が変化する。すなわち、ノッチオフ位置dnが手前であるほど、だ行距離が長くなるため、走行時分が長くなる。
ここで、ノッチオフ可能な範囲は、ブレーキをかけずだ行のみで減速して制限速度Vsとなる位置d1から、基準運転曲線におけるノッチオフ位置d2までの範囲となる。また、このノッチオフ位置dnは、運転士によって異なる。このため、運転士それぞれに、ノッチオフ可能範囲における相対的なノッチオフ位置を示す条件を定める。そして、基準運転曲線におけるノッチオフ可能範囲(位置d1〜d2の範囲)において、ノッチオフ位置条件に従ってノッチオフ位置dnを決定する。
[構成]
図6は、列車運行シミュレータである列車運行推定装置1の機能構成を示すブロック図である。列車運行推定装置1は、機能的には、入力部10と、表示部20と、通信部30と、処理部40と、記憶部50とを有して構成される。
入力部10は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等で実現される入力装置であり、操作入力に応じた入力信号を処理部40に出力する。
表示部20は、例えばLCD等で実現される表示装置であり、処理部40から入力される表示信号に基づく各種画面を表示する。
通信部30は、例えば無線通信モジュールやルータ、モデム、TA、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等で実現される通信装置であり、外部機器との間でデータ通信を行う。
処理部40は、例えばCPU等のプロセッサで実現され、入力部10から入力されたデータや、記憶部50に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、列車運行推定装置1を構成する各部への指示やデータ転送を行い、列車運行推定装置1の全体制御を行う。また、処理部40は、運転操作パラメータ設定部410と、基準運転曲線作成部420と、余裕時運転曲線調整部430と、下位現示回避運転曲線調整部440と、実績ダイヤ作成部450と、信号現示遷移予測部460とを有し、所与の計画ダイヤ(列車ダイヤ)に従った列車の運行を、シミュレーション時刻を進めながら予測(シミュレーション)して実績ダイヤを作成(推定)する列車運行推定処理(図8参照)を行う。
ここで、所与の計画ダイヤに関するデータは計画ダイヤデータ523として記憶され、作成された実績ダイヤに関するデータは実績ダイヤデータ524として記憶される。
運転操作パラメータ設定部410は、所与の計画ダイヤを構成する各列車について、運転士の運転方法を模擬する運転操作パラメータ530を設定する。設定方法としては、ランダムとしても良いし、ユーザの入力指示に従って設定しても良い。
図7は、運転操作パラメータ530のデータ構成の一例を示す図である。運転操作パラメータ530は、列車毎に生成され、対象列車番号531とともに、余裕閾値532と、余裕時分の配分比率533と、余裕時調整条件534と、下位現示回避条件537とを格納している。
余裕時調整条件534は、走行時分に余裕が有る場合の運転曲線の調整に関する条件であり、制限速度区間だ行増加条件535と、ブレーキ直前だ行増加条件536を含む。制限速度区間だ行増加条件535は、速度制限区間のだ行増加に関する条件であり、速度変化幅上限値と、変化幅変更単位とを含む。ブレーキ直前だ行増加条件536は、ブレーキ直前のだ行増加に関する条件であり、ノッチオフ位置条件を含む。
下位現示回避条件537は、下位現示に遭遇した場合の運転曲線の調整に関する条件であり、ノッチオフ位置条件を含む。
基準運転曲線作成部420は、公知の運転曲線作成処理によって、対象列車の対象駅間における基準運転曲線を作成する。具体的には、線路に定められる制限速度や、信号現示遷移情報525から判断される信号現示などから、対象駅間に制限速度を設定する。そして、設定した制限速度を守るよう、対象駅間の線路条件や、対象列車の列車条件をもとに、対象駅間の運転曲線を作成する。
線路条件は、線路長や勾配、曲率、制限速度、閉そく区間といった線路に関する条件であり、線路条件データ521として記憶されている。また、列車条件は、加速度や最高速度、減速度、重量といった列車の性能に関する条件(諸元)であり、列車条件データ522として記憶されている。
余裕時運転曲線調整部430は、最高速度調整部431と、減速度調整部432と、制限速度区間だ行調整部433と、ブレーキ直前だ行調整部434とを有し、対象駅間の走行時分に余裕が有る場合に、基準運転曲線作成部420によって作成された基準運転曲線に対して、対象列車に設定された運転操作パラメータ530を用いた調整を行って、実績運転曲線を作成する。
具体的には、基準運転曲線による着駅の基準着時刻と、計画ダイヤで定められる計画着時刻との差である余裕時分aを、対象列車の運転操作パラメータ530として定められる余裕閾値532と比較し、余裕時分aが余裕閾値532以上ならば(余裕到着条件を満たす)、余裕有りと判断する。
余裕有りと判断した場合には、運転操作パラメータ530として定められる余裕時分の配分比率533に従って、この余裕時分aを、4種類の調整方法(すなわち、(1)最高速度の低下、(2)減速度の低下、(3)速度制限区間でのだ行増加、(4)ブレーキ直前でのだ行増加)それぞれに余裕時分a1〜a4として配分する。そして、最高速度調整部431、減速度調整部432、制限速度区間だ行調整部433、及び、ブレーキ直前だ行調整部434のそれぞれによって算出された調整パラメータ(すなわち、最高速度V、減速度β、速度変化幅W、ノッチオフ位置dp)を用いた運転曲線作成処理を行って、対象列車の対象駅間における実績運転曲線を作成する。
最高速度調整部431は、調整パラメータの一つである最高速度を算出する(図1参照)。具体的には、先ず、最高速度を低下させる対象区間を設定する。すなわち、信号現示遷移情報525をもとに、対象列車が次駅に到着するまでの間に信号現示が全て進行現示(青現示)に確定する時刻tpを特定し、この時刻tpにおける対象列車の位置dp以降の区間を、対象区間とする。なお、信号現示の遷移は、後述する信号現示遷移予測部460によって予測される。
次いで、対象駅間の基準走行時分T1と、基準運転曲線における最高速度Vmと、割り振られた余裕時分a1と、列車条件として定められている加速度α及び減速度βとをもとに、式(2)に従って、対象駅間の全区間を対象とした場合の低減させた最高速度V0を算出する。
続いて、この速度V0を初期値として、これより低い最高速度候補Vi(i=0,1,・・・,k:Viは30km/h以上)を設定する。そして、これらの最高速度候補Viそれぞれについて、基準運転曲線において最高速度候補Vi以上の速度で走行した距離xiを算出し、これらの距離xiのうちから、面積T(=V0×a)に最も近い距離Xiの最高速度候補Viを、調整最高速度とする。
減速度調整部432は、調整パラメータの一つである減速度βを算出する(図2参照)。具体的には、基準運転曲線における減速期間T1を特定し、この減速期間T1と、割り振られた余裕時分a2と、車両条件として定められている減速度β1とから、式(4)に従って減速度β2を算出し、調整減速度とする。
制限速度区間だ行調整部433は、調整パラメータの一つである速度制限区間の速度変化幅を算出する(図3参照)。具体的には、基準運転曲線において、速度制限区間であって、力行とだ行とを繰り返しながら制限速度Vsよりやや低い速度で定速走行に準じた運転(準定速運転)をする区間を特定する。
次いで、特定した区間の速度変化幅W0と、対象列車の運転操作パラメータ530として定められている制限速度区間だ行増加条件535(速度変化幅上限値Wm、及び、変化幅変更単位Δw)をもとに、式(5)に従って、変化幅候補Wiを設定する。続いて、これらの変化幅候補Wiそれぞれについて、対象駅間の運転曲線を作成して駅間走行時分Tiを算出する。そして、これらの駅間走行時分Tiのうちから、対象駅間の基準走行時分に、割り振られた余裕時分a3を加算した走行時分に最も近いものを選択し、選択した走行時分Tiに対応する変化幅Wiを、調整変更幅とする。
ブレーキ直前だ行調整部434は、調整パラメータの一つであるブレーキ直前のノッチオフ位置dnを算出する(図4参照)。具体的には、基準運転曲線において、速度制限区間の直前であって、力行からだ行、減速と移行する部分を特定する。
次いで、特定しただ行部分について、ブレーキをかけずだ行のみで減速して制限速度Vsとなる位置d1から、基準運転曲線におけるノッチオフ位置d2までの範囲を、ノッチオフ可能範囲として設定する。そして、このノッチオフ可能範囲において、対象列車の運転操作パラメータ530として定められているブレーキ直前だ行増加条件536(ノッチオフ位置条件)に従って、ノッチオフ位置dnを決定する。
下位現示回避運転曲線調整部440は、対象列車が次駅の到着までに下位現示に遭遇すると判断した場合に、基準運転曲線作成部420によって作成された基準運転曲線に対して、対象列車に設定された運転操作パラメータを用いた調整を行って、実績運転曲線を作成する。
具体的には、基準運転曲線及び信号現示遷移情報525をもとに、対象列車が次駅の到着までに下位現示に遭遇するか否かを判断する。下位現示に遭遇すると判断した場合には、基準運転曲線において、遭遇すると判断した下位現示による速度制限区間を特定し、速度制限区間の直前のだ行部分について、ブレーキをかけずだ行のみで減速して制限速度Vsとなる位置d1から、基準運転曲線におけるノッチオフ位置d2までの範囲を、ノッチオフ可能範囲として設定する。そして、このノッチオフ可能範囲において、対象列車の運転操作パラメータ530としてい定められる下位現示回避条件537(ノッチオフ位置条件)に従って、ノッチオフ位置dnを決定する。
実績ダイヤ作成部450は、作成された各列車の各駅間の実績運転曲線をもとに、所与の列車ダイヤに対する実績ダイヤを作成する。すなわち、各実績運転曲線をもとに対象駅間の実績走行時分を算出し、発時刻に算出した実績走行時分を加算して実績到着時刻を算出することで、実績ダイヤとする。
信号現示遷移予測部460は、列車運行に伴う信号現示の時間変化を予測する。具体的には、線路条件データ521を参照して、基準運転曲線作成部420によって作成された基準運転曲線に従って列車が運行したと仮定した場合に予測される信号現示の時間変化を算出し、信号現示遷移情報525として設定する。
信号現示遷移情報525は、閉そく確保を実現するように、閉そく区間それぞれに対して信号現示の時間変化を定めた情報であり、列車位置や進路設定等に基づいて定められる。なお、「信号現示」とは信号が示す符号のことで、赤、青、黄等の信号機の表示色のほか、制限速度を示す符号も含まれる。
更に、信号現示遷移予測部460は、余裕時運転曲線調整部430、或いは、下位現示回避運転曲線作成部440によって1列車毎および1駅間毎の実績運転曲線が作成された場合には、この実績運転曲線に従って信号現示遷移情報525を更新する。通常、ある駅間の当該列車の実績運転曲線を作成する前に、当該駅間の先行列車の実績運転曲線が作成されるため、当該列車の実績運転曲線を作成する際には、先行列車による信号現示遷移情報525を利用することができる。なお、この信号現示遷移予測部460の機能は、公知技術を適用することとしても良い。
記憶部50は、処理部40が列車運行推定装置1を統合的に制御するための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、本実施形態の列車運行推定処理を実行するためのプログラムやデータを記憶しているとともに、処理部40の作業領域として用いられ、処理部40が各種プログラムに従って実行した演算結果や、入力部10からの入力データが一時的に格納される。本実施形態では、記憶部50には、列車運行推定プログラム510と、線路条件データ521と、列車条件データ522と、計画ダイヤデータ523と、運転操作パラメータ530と、実績ダイヤデータ524と、信号現示遷移情報525とが記憶される。
[処理の流れ]
図8は、列車運行推定処理の流れを説明するフローチャートである。図8によれば、先ず、運転操作パラメータ設定部410が、処理対象の計画ダイヤを構成する各列車について、運転操作パラメータ530を設定する(ステップA1)。
また、シミュレーション時刻tsを、所与の開始時刻t0に設定する(ステップA3)。次いで、信号現示遷移予測部460が、シミュレーション時刻tsにおける信号現示遷移情報を生成する(ステップA5)。続いて、計画ダイヤにおいてシミュレーション時刻tsに存在する列車を抽出し(ステップA7)、抽出した各列車を進行方向順に対象としたループAの処理を行う。
ループAでは、基準運転曲線作成部420が、対象列車について、次駅までの基準運転曲線を作成する(ステップA9)。次いで、下位現示回避運転曲線調整部440が、作成された基準運転曲線及び信号現示遷移情報525を参照して、対象列車が次駅に到着する前に下位現示に遭遇するか否かを判断する。下位現示に遭遇すると判断したならば(ステップA11:YES)、下位現示回避運転曲線調整処理を行って、対象列車の次駅までの運転曲線を作成する、(ステップA13)。そして、シミュレーション時刻tsにおける対象列車の位置ds以降の区間について、作成した運転曲線を実績運転曲線として更新する(ステップA21)。
一方、下位現示に遭遇しないと判断したならば(ステップA11:NO)、続いて、対象列車の発時刻の遅れの有無を判断する。発時刻の遅れは、直前の発駅の発時刻であって、シミュレーション時刻ts以前の実績運転曲線によって定まる実績発時刻が計画ダイヤにおける計画発時刻より遅い場合に判断する。
発時刻に遅れ無しと判断したならば(ステップA15:NO)、続いて余裕時運転曲線調整部430が、走行時分に余裕が有るか否かを判断する。走行時分の余裕の有無は、計画ダイヤで定められる次駅の着時刻taと、基準運転曲線に従って走行した場合に次駅の着時刻tbとの差である余裕時分a(=ta−tb)を算出し、この余裕時分aが、対象列車の運転操作パラメータ530として設定される余裕閾値532以上である場合に、走行時分に余裕有りと判断する。余裕有りと判断したならば(ステップA17:YES)、余裕時運転曲線調整処理を行って、次駅までの運転曲線を作成する(ステップA19)。
図9は、余裕時運転曲線調整処理の流れを説明するフローチャートである。
先ず、余裕時運転曲線調整部430は、対象列車の運転操作パラメータ530として設定されている余裕時分の配分比率533に従って、余裕時分aを、四種類の調整方法それぞれに配分する(ステップB1)。
次いで、最高速度調整部431が、割り振られた余裕時分a1を用いて、調整最高速度と、この調整最高速度を適用する区間(位置tp以降の区間)を算出する(ステップB3)。また、減速度調整部432が、割り振られた余裕時分a2を用いて、速度制限区間における調整減速度を算出する(ステップB5)。また、速度制限区間だ行調整部433が、割り振られた余裕時分a3を用いて、速度制限区間における速度変更幅Wを算出する(ステップB7)。また、ブレーキ直前だ行調整部434が、割り振られた余裕時分a4を用いて、ブレーキ直前のノッチオフ位置を決定する(ステップB9)。
そして、余裕時運転曲線調整部430は、算出されたこれらの最高速度、減速度、制限速度区間における速度変化幅W、及び、ブレーキ直前のノッチオフ位置を用いて、調整運転曲線を作成する(ステップB11)。余裕時運転曲線調整処理は、このように行われる。
余裕時運転曲線調整処理が終了すると、シミュレーション時刻tsにおける対象列車の位置ds以降の区間について、作成した調整運転曲線を実績運転曲線として更新する(ステップA21)。
一方、発時刻に遅れ有りと判断した場合(ステップA15:YES)、或いは、走行時分に余裕無しと判断した場合には(ステップA17:NO)、シミュレーション時刻tsにおける対象列車の位置ds以降の区間について、作成した基準運転曲線を実績運転曲線として更新する(ステップA23)。ループAの処理は、このように行われる。
続いて、シミュレーション時刻tsを所定時間Δtだけ進める(ステップA25)。
そして、信号現示遷移予測部460が、各対象列車の実績運転曲線に基づいて、信号現示遷移情報525を更新する(ステップA27)。
次いで、シミュレーション時刻tsが所与の終了時刻teに達したか否かを判断し、達していないならば(ステップA29:NO)、ステップA7に戻り、所定の処理を繰り返す。また、シミュレーション時刻tsが終了時刻teに達しているならば(ステップA29:YES)、実績ダイヤ作成部450が、作成された各列車の各駅間の実績運転曲線をもとに、実績ダイヤを作成する(ステップA31)。そして、列車運行推定処理を終了する。
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、各列車それぞれに設定する運転操作パラメータに応じて異なる実績運転曲線を得ることができる列車運行シミュレーションを実現できる。すなわち、所与のダイヤを構成する各列車それぞれに、運転士を模擬するパラメータとして、各列車それぞれの駅間走行時分を長くするための運転操作パラメータ530が設定される。そして、基準運転曲線による次駅の基準着時刻と、所与のダイヤで定められた計画着時刻との差である余裕時分が余裕到着条件を満たす場合に、運転操作パラメータ530を用いて、基準着時刻を遅くするように基準運転曲線が調整される。これにより、次駅の到着に余裕が有る場合に、運転士の運転操作を模擬した、駅間走行時分を長くするような運転曲線を作成することができる。
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)非適用区間
上述の実施形態では、走行時分に余裕有りの場合の基準運転曲線に対する調整を、駅間の全ての区間を対象として行うことにしたが、例えば、踏切や待避区間等、後続の列車に影響を及ぼす閉そく区間については、走行時分を長くする対象としない非適用区間としても良い。
(B)調整方法
また、上述の実施形態では、走行時分の調整方法として4種類((1)最高速度の低下、(2)減速度の低下、(3)速度制限区間でのだ行増加、(4)ブレーキ直前でのだ行増加)を例に挙げて説明したが、その他の調整方法を更に加えてもよいし、4種類のうちの1種類以上を取捨選択して適用することとしてもよい。取捨選択する方法としては、例えば、余裕時分a1〜a4の配分をゼロにすることで、対応する調整方法を適用しないこととすることができる。
(C)用途
列車運行推定装置1には次のような用途がある。
(C−1)省エネ運転の検討
運転方法の違いによる消費電力の違いを比較することができる。例えば、想定する複数の運転方法それぞれに応じた運転操作パラメータ530を設定する。次いで、これらの運転操作パラメータ530それぞれに基づいて列車運行推定装置1を機能させて、運転方法に応じた運転曲線を作成して、実績ダイヤを作成する。変電所は所定位置に設置されており、各列車の諸元も既知であることから、各列車の運転曲線を用いれば、実績ダイヤ全体の消費電力を算出することができる。そして、これらの実績ダイヤそれぞれの消費電力を比較することで、どのような運転方法によれば消費電力が最小となる省エネ運転が実現されるかを判断するといったことが可能となる。これにより、最も省エネ運転が実現される運転方法を、運転士に対する運転指針とするといったことが可能となる。
(C−2)運転方法別の余裕時分の消化具合の検証
計画ダイヤに対して、運転方法の違いによって余裕時分の消化(減少)がどの程度違うかを検証できる。すなわち、同一の計画ダイヤであっても、運転操作パラメータ530が異なると、4種類の調整方法((1)最高速度の低下、(2)減速度の低下、(3)速度制限区間でのだ行増加、(4)ブレーキ直前でのだ行増加)のそれぞれによる基準運転曲線に対する調整の程度が異なる。例えば、(1)最高速度の低下、であれば、割り振る余裕時分a1が異なることで、どの程度まで最高速度を低下させることができるのかといったことを把握することが可能となる。これにより、運転操作パラメータ530を様々に設定することで、計画ダイヤにおける運転方法の違いによる余裕時分の消化の程度を把握するといったことが可能となる。余裕時分を最も消化した運転方法を当該計画ダイヤに対する運転指針とすることも可能である。
1 列車運行推定装置
10 入力部、20 表示部、30 通信部
40 処理部
410 運転操作パラメータ設定部、420 基準運転曲線作成部
430 余裕時運転曲線調整部
431 最高速度調整部、432 減速度調整部
433 制限区間だ行調整部、434 ブレーキ直前だ行調整部
440 下位現示回避運転曲線調整部
450 実績ダイヤ作成部、460 信号現示遷移予測部
50 記憶部
510 列車運行推定プログラム
521 線路条件データ、522 列車条件データ
523 計画ダイヤデータ、524 実績ダイヤデータ
525 信号現示遷移情報、530 運転操作パラメータ

Claims (9)

  1. コンピュータに、各列車の各駅での計画発時刻及び計画着時刻が定められた所与のダイヤデータを処理対象として、前記各列車の運行をシミュレートさせるためのプログラムであって、
    前記各列車それぞれの運転士を模擬するパラメータとして、駅間走行時分を長くするための予め定められた運転操作パラメータを当該各列車に設定する運転操作パラメータ設定手段、
    シミュレーション時刻を計時する計時手段、
    前記シミュレーション時刻に掛かる列車について、次駅までの基準運転曲線を、所定の運転曲線作成処理を実行して算出する基準運転曲線算出手段、
    前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記次駅の基準着時刻と前記計画着時刻との差が、余裕を持って到着した条件である所与の余裕到着条件を満たす場合に、当該列車について設定された前記運転操作パラメータを用いて、当該基準着時刻を遅くするように当該基準運転曲線を調整する第1の運転士別調整手段、
    として前記コンピュータを機能させ、前記各列車それぞれに設定する運転操作パラメータに応じて異なる実績運転曲線を得ることができるプログラム。
  2. 前記運転操作パラメータ設定手段は、速度制限区間を走行する際に力行及びだ行を繰り返す準定速運転時の準定速運転操作パラメータを前記運転操作パラメータに少なくとも含めて設定し、
    前記第1の運転士別調整手段は、前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線のうち、速度制限区間の運転曲線部分を、当該列車について設定された前記準定速運転操作パラメータを用いて調整する手段を有する、
    請求項1に記載のプログラム。
  3. 前記運転操作パラメータ設定手段は、前記準定速運転時に繰り返す力行及びだ行の速度変化幅を少なくとも前記準定速運転操作パラメータに含めて設定する、
    請求項2に記載のプログラム。
  4. 前記運転操作パラメータ設定手段は、ブレーキ直前のだ行距離或いはだ行時間に係る第1のブレーキ直前だ行操作パラメータを前記運転操作パラメータに少なくとも含めて設定し、
    前記第1の運転士別調整手段は、前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線のうち、ブレーキ直前にだ行をしている運転曲線部分を、当該列車について設定された前記第1のブレーキ直前だ行操作パラメータを用いて調整する手段を有する、
    請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラム。
  5. 前記運転操作パラメータ設定手段は、ブレーキ直前のだ行距離或いはだ行時間に係る第2のブレーキ直前だ行操作パラメータを前記運転操作パラメータに少なくとも含めて設定し、
    前記シミュレーション時刻に掛かる列車の先行列車について算出された運転曲線と、前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線とに基づいて、当該シミュレーション時刻に掛かる列車が次駅までの間に下位現示に遭遇することを検出する下位現示遭遇検出手段、
    前記下位現示遭遇検出手段により検出された場合に、前記基準運転曲線による前記基準着時刻と前記計画着時刻との差が前記余裕到着条件を満たすか否かに関わらず、当該基準運転曲線のうちの、当該下位現示の遭遇に係る運転曲線部分を、当該列車について設定された前記第2のブレーキ直前だ行操作パラメータを用いて調整する第2の運転士別調整手段、
    として前記コンピュータを機能させるための請求項1〜4の何れか一項に記載のプログラム。
  6. 前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記基準着時刻と前記計画着時刻との差が前記余裕到着条件を満たす場合に、当該基準運転曲線の最高速度を低減した運転曲線に修正する第1の共通修正手段、
    として前記コンピュータを更に機能させるための請求項1〜5の何れか一項に記載のプログラム。
  7. 前記第1の共通修正手段は、前記基準着時刻と前記計画着時刻との差である余裕時分に応じて、前記最高速度より低い低減最高速度を決定し、前記基準運転曲線の最高速度を当該低減最高速度とする運転曲線に修正する、
    請求項6に記載のプログラム。
  8. 前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記基準着時刻と前記計画着時刻との差が前記余裕到着条件を満たす場合に、当該基準着時刻と当該計画着時刻との差である余裕時分に基づいて、当該基準運転曲線の減速部分を、減速度を低減した運転曲線に修正する第2の共通修正手段、
    として前記コンピュータを更に機能させるための請求項1〜7の何れか一項に記載のプログラム。
  9. 各列車の各駅での計画発時刻及び計画着時刻が定められた所与のダイヤデータを処理対象として、前記各列車の運行をシミュレートする列車運行シミュレータであって、
    前記各列車それぞれの運転士を模擬するパラメータとして、駅間走行時分を長くするための予め定められた運転操作パラメータを当該各列車に設定する運転操作パラメータ設定手段と、
    シミュレーション時刻を計時する計時手段と、
    前記シミュレーション時刻に掛かる列車について、次駅までの基準運転曲線を、所定の運転曲線作成処理を実行して算出する基準運転曲線算出手段と、
    前記基準運転曲線算出手段により算出された基準運転曲線による前記次駅の基準着時刻と前記計画着時刻との差が、余裕を持って到着した条件である所与の余裕到着条件を満たす場合に、当該列車について設定された前記運転操作パラメータを用いて、当該基準着時刻を遅くするように当該基準運転曲線を調整する第1の運転士別調整手段と、
    を備え、前記各列車それぞれに設定する運転操作パラメータに応じて異なる実績運転曲線を得ることができる列車運行シミュレータ。
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