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JP2980950B2 - バイオ素子 - Google Patents
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JP2980950B2 - バイオ素子 - Google Patents

バイオ素子

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JP2980950B2 JP2161890A JP16189090A JP2980950B2 JP 2980950 B2 JP2980950 B2 JP 2980950B2 JP 2161890 A JP2161890 A JP 2161890A JP 16189090 A JP16189090 A JP 16189090A JP 2980950 B2 JP2980950 B2 JP 2980950B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、生物の学習・記憶機能に関わる脳の可塑
性を模倣したバイオ素子であって、従来のシリコン系或
いはカリウム砒素系等の無機半導体素子にない新規な機
能を持つバイオ素子に関するものである。
(従来の技術) 従来のコンピューターは、シリコン半導体素子等によ
って構成されており、フォン・ノイマン(Von Neuman
n)方式によって直列型の論理演算を実行するもの(以
下、ノイマン型コンピューターと称する。)であった。
しかし、ノイマン型コンピューターは、正確な論理演
算には適していたが、多数の情報処理を並列的に行うこ
とが本質的に困難なため、高等生物の脳が得意とするパ
ターン認識は不得意であった。さらに、コンピュータ構
成素子が無機系半導体であるため、該素子に可塑性を持
たせることが難しい。従って、脳で行われるようなニュ
ーロン間の結合を適宜変化させての学習・記憶(これを
脳の可塑性による学習・記憶と称する。)を模倣しよう
としても、それは非常に難しい。
そこで、生物学及び大脳生理学の知見等に基づいて、
脳の情報処理機能を模倣した人工的な素子所謂バイオ素
子を構築することが考えられている。
例えば、この出願人に係る特開昭63−111428号公報に
は、生体類似物質を用いて形成したリポソームであって
入射した光をイオン又は化学物質に変換するリポソーム
を基板上に二次元配列し構成されたバイオ素子が開示さ
れている。これにより、生体の網膜上での視細胞の電位
変化の場と同様な場を得ようとしている。
また、文献(膜(MEMBRANE),12(1),(1987),
pp.12〜21)には、合成脂質を含浸させた多孔質膜の一
方の面を高塩濃度の電解液に接触させ、かつ、他方の面
を低塩濃度の電解液に接触させた生体類似機構が開示さ
れている。これによれば、多孔質膜に直流電流と圧力と
を加えることにより数秒周期の電位変化の自励発振が生
じ、神経に見られるような興奮現象の再現が図れるとい
う。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来においては、脳の可塑性と同様な
機能を有するバイオ素子はなかった。
この発明はこのような点に鑑みなされたものであり、
従ってこの発明の目的は、生物の学習・記憶に関する脳
の可塑性を模倣したバイオ素子を提供することを目的と
する。
(課題を解決するための手段) この目的の達成を図るため、この発明のバイオ素子に
よれば、 第一及び第二の電解質溶液と、 これら第一及び第二の電解質溶液間に設けられ、脂質
或いは脂質及び蛋白質を用い構成された生体膜類似の人
工膜とを具え、 前述の第一及び第二の電解質溶液の少なくとも一方中
に、 Ca2+イオンにより脂質膜に膜融合する第一のリポソー
ムと、 Ca2+イオンを内包する第二のリポソームであって光或
いは化学物質の刺激により前述の内包されたCa2+イオン
を放出する第二のリポソームとを含んで成ることを特徴
とする。
なお、この発明の実施に当たり、前述の人工膜を、脂
質を含浸している多孔質膜で構成するのが好適である。
さらに、この発明の実施に当たり、Ca2+イオンを放出す
る前述の第二のリポソームを、視覚細胞の円盤膜より再
構成されたリポソームとするのが好適である。
(作用) この発明のバイオ素子の構成による作用を生体に照ら
して考えると以下のようなことになる。
生体においては、外界からの種々の刺激を受容器で入
力し、ニューロンで構成される脳で情報として知覚す
る。即ち、各ニューロンでは、軸索末端に神経インパル
スが到達すると小胞体中に内包されていた化学物質がシ
ナプス前膜より放出され隣接したニューロンの後膜まで
拡散して後膜上のレセプタに結合した新たな神経インパ
ルスが誘起される。脳ではこのような神経インパルスの
数やパターンの変化により情報処理を行っている。ま
た、ニューロン間の情報伝達にはイオンや化学物質が使
用されており、これによりニューロン間の接合部変化即
ちシナプスの機能変化・形態変化が引き起こされ学習・
記憶機能が行われる。
このような生体の機構に対し、この発明のバイオ素子
の第一及び第二の電解質溶液のうちの一方の電解質溶液
及び人工膜で構成される部分は生体の1つのニューロン
に相当すると考えることが出来、該人工膜及び他方の電
解質溶液で構成される部分は前記1つのニューロンに隣
接するニューロンに相当すると考えることが出来、人工
膜は生体のニューロン間の接合部に相当すると考えるこ
とが出来る。そして、第一及び第二の電解質溶液の少な
くとも一方にはCa2+イオンにより人工膜に膜融合する第
一のリポソームと、外部刺激によりCa2+を放出する第二
のリポソームとを含ませてあるので、当該バイオ素子に
光刺激或いは化学物質の刺激が加えられると第二のリポ
ソームからCa2+イオンが放出されこれにより第一のリポ
ソームが人工膜に融合する。このため、人工膜には第一
のリポソームの機能が付加され人工膜の機能変化が起こ
る。人工膜のこのような変化は、生体におけるニューロ
ン間の接合部の変化に相当するので、当該バイオ素子
は、脳の可塑性に類似の性質を持つようになる。
(実施例) 以下、図面を参照して、この発明のバイオ素子の実施
例について説明する。
なお、以下の説明中で述べる薬品名、数値的条件、使
用装置等は、この発明の範囲内の好適例にすぎない。従
って、この発明が、これら薬品、数値的条件、使用装置
等のみに限られるものではないことは理解されたい。
バイオ素子の構成説明 始めに、実施例のバイオ素子の構成について説明す
る。
先ず、第一及び第二の電解質溶液によって挟まれる人
工膜であって脂質或いは脂質及び蛋白質から成る生体膜
類似の人工膜として、この実施例の場合、脂質を含浸し
ている多孔質膜を用いる。この人工膜は以下に説明する
ように作製する。
なお、脂質としては、下記式で示される合成脂質ジ
オレイルホスフェート(dioleyl phosphate:以下、DOP
Hと略称することもある。)を用いる。このDOPHは、オ
レイルアルコール(関東化学(株)製)とオキシ塩化リ
ン(POCl3)(関東化学(株)製)とを用い、これらを
周知の合成手段によって反応させ、その後、得られた合
成物質を加水分解し、さらにクロマト法により精製して
得ている。また、多孔質膜としては、孔径8umのセルロ
ースエステル製のもの(例えば、ミリポア社製のミリポ
アフィルタ)を用いる。
DOPHをベンゼンに溶解し、次に、この溶液中に上述の
セルロース・エステル製の多孔質膜を浸漬する。その
後、溶液中からこの多孔質膜を取り出しベンゼンを蒸発
させて、DOPHを吸着させた多孔質膜を得る。なお、この
実施例の場合、DOPHの吸着量は3〜6mg/cm2としてい
る。
このような人工膜は、文献に開示のものに相当し、
既に説明したように、これの一方の面を高塩濃度の電解
液に接触させ、かつ、他方の面を低塩濃度の電解液に接
触させ、さらにこの人工膜に直流電流と圧力とを加える
と数秒周期の電位変化の自励発振が生じる。
また、この人工膜を作製する際にDOPHに加えて2本の
オレイル基を有するリン脂質、例えばジオレオイルホス
ファチジルコリン(dioleoyl phosphatidylcholine;以
下、DOPCと略称する場合もある。)を所定量添加した場
合、その人工膜は、圧力を加えずに電流を流すのみで上
述の自励発振を生ずるようになることが、この出願人に
係る特願平1−052611に述べられている。
しかし、この発明のバイオ素子は、脂質含浸の上記人
工膜を挟む第一及び第二の電解質溶液を以下のような構
成とすることにより独特の効果を得る。第1図は、その
説明に供する図であり、実施例のバイオ素子の構成を概
略的に示した図である。
この第1図に示すように、実施例のバイオ素子におい
ては、DOPH含浸の人工膜31は、一方の面が第一の電解槽
33aに収容された第一の電解質溶液としての100mMのKCl
溶液35aと接し、他方の面が第二の電解槽33bに収容され
た第二の電解質溶液としての5mMのKCl水溶液35bと接し
た状態で、二つの電解質溶液に挟まれている。そして、
5mMのKCl水溶液35b中には、第一のリポソーム51とし
て、DOPCより構成したリポソーム51を分散させてあり、
さらに、第二のリポソーム52としてウシの視細胞の円盤
膜より再構成しかつCa2+イオンを内包させたリポソーム
52をガラス基板52aに固定させた状態で設置してある。
また、このバイオ素子の一方のKCl水溶液35a中には標
準電極37a及び43aを、他方のKCl水溶液35b中には標準電
極37b及び43bを浸漬させてある。そして、100mMKCl溶液
35a中に浸漬された標準電極37aを直流電源39の陽極側
に、5mMKCl水溶液35b中の標準電極37bを直流電源39の陰
極側にそれぞれ接続させてあり、また、標準電極43a,43
bは、人工膜31間の電位差を測定して記録するための、
高インピーダンス電位計とX−Yレコーダーとからなる
測定器41に接続してある。
また、このバイオ素子の第一の電解槽33aには、マノ
メーター45が設けてある。このマノメータ45を介して人
工膜31に第1図中に矢印aを付して示す外的な圧力を加
えることが出来る。
また、このバイオ素子の第二の電解槽33bの一部には
光透過窓37aが設けてあり、これを介し第二のリポソー
ム52に光源49の光(この場合可視光)を照射出来る構成
となっている。
また、この実施例の場合、バイオ素子は暗箱47内に格
納してあり、光源49からの光以外は照射出来ない構成と
してある。
なお、リポソーム52をガラス基板に固定した状態で電
解液中に設置している理由は次の通りである。リポソー
ム52を電解液中に分散させた場合、電解液の濃度変化等
があるとリポソーム52自体も膜31に膜融合してしまう。
そうなると、リポソーム52が放出するCa2+イオンにより
リポソーム51を人工膜に膜融合させ当該バイオ素子に可
塑性を付与するというこの発明の目的が充分に達成出来
なくなる。これを防止するため、リポソームをガラス基
板52a(勿論、リポソーム52を固定出来ればガラス基板
にこだわらない。)に固定する。リポソーム52のガラス
基板52aへの固定はこの実施例の場合、ガラス基板52aに
抗体をLB法で固定し、抗体固定済みガラス基板にリポソ
ームを抗原−抗体反応を利用し固定している。この方法
の詳細についてはこの出願人にかかる特開昭63−111428
号に開示されている。勿論、リポソーム52aの基板への
固定法はこれらに限られない。
バイオ素子の特性測定 次に、上述のような構成の実施例のバイオ素子に光源
49の光を照射する。そして、光照射開始後所定時間経過
後毎に直流電源39により0.3μAの電流をバイオ素子に
印加する。さらに、この状態で、マノメータ45を介し外
的圧力を変化させ、人工膜の発振開始の外的圧力を測定
する。第2図は、横軸に光照射開始後の経過時間(mi
n)をとり、縦軸に発振開始の外的圧力(発振開始圧力;
cmH2O)をとって、両者の関係をプロットした図であ
る。
第2図から理解出来るように、この発明のバイオ素子
は、これに光照射すると発振に要する外的圧力が除々に
低下し約40分後には外的圧力を加えなくとも発振が生じ
るようになることが分る。
この現象は、第二のリポソーム52に内包されているCa
2+イオンが光照射によってリポソーム52から電解液35b
に放出され、このCa2+イオンの作用により第一のリポソ
ーム51が人工膜31に融合されDOPCの機能が人工膜31に付
加されたことにより起こると考えられる。このことは、
例えば文献(FEBS LETTERS(フェブス レターズ)Vo
l.76,No.1,(1977),p.45)に開示されているCa2+によ
りリポソームが平面膜に融合されるという事実と、特願
平1−052611に開示されているDOPH及びDOPC含浸膜が外
的圧力なしで電流のみで発振するという事実とからも理
解できる。また、実際、5mMKCl水溶液35b中のCa2+イオ
ンが光照射により増加することは、Ca2+イオン濃度感受
性蛍光色素Quin2(同仁化学研究所製;商品名)をこの
水溶液中に加えて蛍光強度を測定することにより確認出
来、さらに、第一のリポソーム51が人工膜31に融合した
ことは、人工膜31より有機溶媒で脂質成分を抽出し液体
クロマトグラフィによってDOPCの構成成分の存在を同定
することにより確認できたことからも、上記現象が生じ
る原因は理解出来る。
上述においては、この発明のバイオ素子の実施例につ
き説明したがこの発明は上述の実施例のみに限定される
ものではなく以下に説明するような種々の変更を加える
ことが出来る。
例えば、実施例では人工膜をDOPHを含浸している多孔
質膜で構成していたが、DOPH以外の脂質を含浸せた多孔
質膜、また、脂質を主成分としこれと蛋白質とを含浸さ
せた多孔質膜でも実施例と同様な効果が得られた。
また、この実施例では人工膜を脂質を含浸している多
孔質膜で構成したが、人工膜はこれ以外の構成でも良
い。
また、上述の実施例では、第二のリポソームは、光刺
激によりCa2+イオンを放出するリポソームで構成してい
たが、化学物質(例えば味物質や臭い物質)に応答しCa
2+イオンを放出するリポソームとすれば、味や臭い等に
反応するバイオ素子の構築が可能になる。
(発明の効果) 上述した説明からも明らかなように、この発明のバイ
オ素子によれば、光又は化学物質の刺激により第二のリ
ポソームがCa2+イオンを放出し、このCa2+イオンにより
第一のリポソームが生体膜類似の人工膜に融合し人工膜
の機能が変化する。従って、この発明のバイオ素子は、
ニューロン間の接合部の変化と同様な変化が得られるバ
イオ素子と考えることが出来るので、脳の可塑性に類似
した機能を示すようになる。
従って、例えばバイオコンピューターを構築する際の
構成素子等として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例のバイオ素子の構成説明に供する図、 第2図は、実施例のバイオ素子の特性説明に供する図で
ある。 31……生体膜類似の人工膜 33a……第一の電解槽、33b……第二の電解槽 35a……100mMのKCl水溶液 35b……50mMのKCl水溶液 37a,37b,43a,43b……標準電極 37c……光透過窓、39……直流電源 41……測定器、45……マノメーター a……外的な圧力、47……暗箱 49……光源、51……第一のリポソーム 52……第二のリポソーム 52a……ガラス基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海部 勝晶 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (72)発明者 加藤 雅一 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−136034(JP,A) 特開 昭63−32364(JP,A) 特開 昭63−111428(JP,A) 特開 平2−231557(JP,A) FEBS LETTERS,76 〔1〕,(蘭),(1977),M.C.B lok.K.I.Hellingwer f,K.Van Dam,p.45〜50 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01J 1/00 G01N 27/416

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一及び第二の電解質溶液と、 これら第一及び第二の電解質溶液間に設けられ、脂質或
    いは脂質及び蛋白質を用い構成された生体膜類似の人工
    膜とを具え、 前記第一及び第二の電解質溶液の少なくとも一方中に、 Ca2+イオンにより脂質膜に膜融合する第一のリポソーム
    と、 Ca2+イオンを内包する第二のリポソームであって光或い
    は化学物質の刺激により前記内包されたCa2+イオンを放
    出する第二のリポソームとを含んで成ること を特徴とするバイオ素子。
  2. 【請求項2】前記人工膜を、脂質を含浸している多孔質
    膜としたことを特徴とする請求項1に記載のバイオ素
    子。
  3. 【請求項3】Ca2+イオンを放出する前記第二のリポソー
    ムを、視覚細胞の円盤膜より再構成されたリポソームと
    したことを特徴とする請求項1に記載のバイオ素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FEBS LETTERS,76 〔1〕,(蘭),(1977),M.C.Blok.K.I.Hellingwerf,K.Van Dam,p.45〜50

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