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JP3027821B2 - 害虫駆除剤 - Google Patents
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JP3027821B2 - 害虫駆除剤 - Google Patents

害虫駆除剤

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JP3027821B2
JP3027821B2 JP3225947A JP22594791A JP3027821B2 JP 3027821 B2 JP3027821 B2 JP 3027821B2 JP 3225947 A JP3225947 A JP 3225947A JP 22594791 A JP22594791 A JP 22594791A JP 3027821 B2 JP3027821 B2 JP 3027821B2
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池田暁
井上芳樹
山本尚明
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山本 尚明
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は害虫駆除剤に関し、と
くに建物等に発生する白蟻等の害虫を駆除するものに関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば木造住宅等において白蟻が発生す
ると、柱等の木質部分を食い荒し、住宅の耐久性を損な
うので、従来から新築時に床下等に強力なリン系殺虫剤
等を噴霧して消毒処理を行い、白蟻の発生を防止してい
る。
【0003】また、建物に家だに等の害虫が集団発生す
ることもあり、このような場合にも強力な消毒剤を噴霧
して、害虫の駆除を行なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
して用いられている殺虫剤は、強力な化学物質であるの
で、人畜に毒性があり、かかる消毒処理を行なう作業者
や住人等にその化学物質による悪影響を及ぼさないよう
にすることが必要で、その処理作業にともなって薬剤の
取り扱いには慎重な配慮が必要である。
【0005】また、このような化学的に強力な薬剤が処
理作業にともなって、地下水中に混入すると環境破壊に
つながるので、この意味からも薬剤の取り扱いが慎重に
行なわれることが求められている。
【0006】この発明は、このような背景に基づいてな
されたもので、従来ほど強力でない薬剤でありながら十
分な害虫駆除能力を有する害虫駆除剤を提供することを
目的とし、薬剤が従来ほど強力でないことにより、処理
作業に伴う薬剤の取り扱いの便宜を図ることを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、石炭灰を水と水酸化ナトリ
ウムとを添加して水熱合成処理することによって製造さ
れた石炭灰固化体からなるものである。
【0008】
【作用】請求項1記載の害虫駆除剤によれば、石炭灰固
化体は調湿性を有するのでこの害虫駆除剤を設置した空
間の湿度を害虫の生息に不適当な乾燥状態に保つことが
できる。
【0009】そのため、この害虫駆除剤の施工された空
間においては、害虫は生息しにくく、この空間内に生息
する害虫が少なくなり、また、たとえ害虫が生息すると
してもその害虫は活力の弱った状態で生息することとな
る。
【0010】そして、前記石炭灰固化体は、これと同時
に比較的弱い殺虫成分を具備しており、活力の弱った状
態の害虫にその薬効を働かせるから、従来より弱い薬効
で殺虫することができる。
【0011】すなわち、請求項1記載の発明によれば、
従来ほど強力でない薬剤でありながら十分な害虫駆除能
力を有する害虫駆除剤を提供することができる。
【0012】また、このように薬剤が従来ほど強力でな
いことにより、処理作業に伴う薬剤の取り扱いに慎重さ
が求められず、取り扱いの便宜を図ることができる。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。
【0014】まず、図2〜図5により、本願にかかる害
虫駆除剤の各製造方法を説明するが、使用する石炭灰
は、いずれの場合においても次のものである。
【0015】すなわち、以下の各実施例で用いられた石
炭灰は、石炭火力発電所の石炭ボイラの煙道ガス中から
電気集塵機で採取された,いわゆるフライアッシュであ
る。
【0016】この石炭灰の平均粒径は、およそ24〜2
5μmのものであり、その粒度分布は図6に破線で示す
とおりである。
【0017】また、この石炭灰の化学組成は、SiO2 6
1.0%,Al2O3 22.8%(重量%)を主成分とするものであ
る。
【0018】図2に示す害虫駆除剤の製造方法において
は、かかる石炭灰を7000g採取し、これに15リッ
トルの水と875gの水酸化ナトリウムとを添加する。
【0019】この後、これらの混合物を水熱合成機中に
おいて、例えば摂氏180度で1時間、300r.p.
mで回転させ、水熱合成処理を行なう。
【0020】これをろ過し、さらに40リットルの水を
加えて洗浄の上再度ろ過し、得られた固形分を乾燥する
ことによって害虫駆除剤としての石炭灰固化体が得られ
る。なお、このようにして得られた石炭灰固化体は、以
下区別のため、Na−1粉末という。
【0021】図3に示す害虫駆除剤の製造方法において
は、前記と同様の石炭灰7000gに2.8リットルの
水と875gの水酸化ナトリウムとを添加して、混練機
で混練し、この混練物を水熱合成機中で水熱合成処理を
行なう。
【0022】水熱合成処理のなされた混練物は、例えば
10mm以下の大きさに破砕され、水40リットルを添
加して洗浄ろ過される。このようにして得られた固形分
は、乾燥された後、粒径により選別され、粒径が0.2
mm以下の細粒分が、そのまま害虫駆除剤としての石炭
灰固化体に用いられる。このようにして得られた石炭灰
固化体は、以下区別のためNa−2粒状という。
【0023】なお、この実施例では、前記のようにNa
−2粒状の石炭灰固化体は粒径0.2mm以下の細粒分
としたが、このNa−2粒状の石炭灰固化体の収率を高
める場合には、粒径10mm以下の細粒分としてもよ
い。
【0024】図4に示す害虫駆除剤の製造方法において
は、前記と同様の石炭灰6000gに消石灰1200g
を加え、15リットルの水と120gの水酸化ナトリウ
ムとを添加して前記と同様に水熱合成機で水熱合成処理
を行なう。
【0025】水熱合成処理の後のろ過,洗浄,乾燥等の
各工程は図2の工程と同様である。
【0026】かかる製造方法により得られた石炭灰固化
体は、同様に害虫駆除剤として用いられ、以下区別のた
め、Ca−1粉末という。
【0027】図5に示す害虫駆除剤の製造方法において
は、前記と同様の石炭灰6000gに消石灰1200g
を加え、2.8リットルの水と120gの水酸化ナトリ
ウムとを添加して混練し、この混練物を同様に水熱合成
機で水熱合成処理を行なう。
【0028】水熱合成処理のなされた混練物は、10m
m以下の粒径に破砕され、40リットルの水を添加して
洗浄ろ過し、その固形分を乾燥することにより、害虫駆
除剤としての石炭灰固化体をうる。この石炭灰固化体
は、以下区別のため、Ca−2粒状という。
【0029】このようにして製造された各石炭灰固化体
の化学成分は、重量%で表1のようである。なお、とく
にNa-1粉末およびNa-2粒状の製造には前述のように多量
の水酸化ナトリウムを使用するが、製造された各石炭灰
固化体にはおよそ0.9%程度の低濃度の水酸化ナトリウム
が存在するにすぎず、劇物でないのでその取り扱いは従
来程慎重に行なわずとも支障を生じない。
【0030】
【表1】
【0031】また、これらの石炭灰固化体の粒度分布と
しては、例えばNa−1粉末の場合は図6に実線で示す
ようであり、各石炭灰固化体のカサ比重は表2のとおり
である。
【0032】
【表2】
【0033】さらに、これらの各石炭灰固化体につい
て、吸湿性(大気中での水分吸収能力)あるいは調湿性
(大気中での水分の吸着・放出を繰り返し、一定の湿度
になる能力)を判断するために、一般にこれらの性質と
関連するものと考えられている,イオン交換容量および
BET比表面積の測定を行なった。
【0034】すなわち、イオン交換容量は地力増進施行
令のゼオライト試験方法に準拠して測定を行い、BET
比表面積はガスクロマトグラフィによる窒素ガス吸着法
により測定を行なった。
【0035】その結果、前記の4種類の石炭灰固化体の
イオン交換容量およびBET比表面積の測定値は表3の
通りである。
【0036】
【表3】
【0037】この表3の結果から、前記各石炭灰固化体
は、いずれも吸湿性および調湿性を有することが示され
ている。
【0038】そこで、これらの石炭灰固化体について、
調湿性あるいは吸湿性を実際に確認するため、前記各石
炭灰固化体について次のような実験を行なった。
【0039】すなわち、前記4種類の石炭灰固化体を、
いずれも摂氏110度の乾燥室で1日乾燥した後、デシ
ケータ内で2日間保存して初期状態とし、かかる初期状
態の各石炭灰固化体をそれぞれ100gずつをシャーレ
に入れて試料とし、試験室内に放置し、60日間に渡っ
て毎日一度ずつその重さを測定した。これと同時に、室
内の気温と相対湿度もあわせて測定した。
【0040】そして、各石炭灰固化体の吸湿率は、初期
状態の試料の重さに対する,重さの増減を百分率で表わ
したものと定義して、各石炭灰固化体の吸湿率を計算に
より毎日測定することによって、吸湿率に関するデータ
を得た。
【0041】このようにして得られた各試料の吸湿率
(平均値)と、前記のイオン交換容量あるいはBET比
表面積との関係は、図7,図8に示すようである。
【0042】吸湿率とBET比表面積との関係において
は、図7に示すように、回帰直線を引くことができ、相
関性を有している。
【0043】また、吸湿率とイオン容量との関係におい
ては、図8から明らかなように、各石炭灰固化体の吸湿
率が分散していることから強い相関性は無いものと考え
られる。
【0044】したがって、これらの結果から、石炭灰固
化体の吸湿性はイオン交換容量よりもBET比表面積の
方が寄与率が大きいものであると結論することができ
る。
【0045】一方、前記各石炭灰固化体についての調湿
性は、次のようにして評価した。
【0046】すなわち、前記試料の重さの測定値を、各
石炭灰固化体の種類別に、最小二乗法による一元回帰を
行って、それぞれの石炭灰固化体について重相関係数と
回帰係数とを得た。
【0047】そして、イオン交換容量とBET比表面積
とに関して、重相関係数あるいは回帰係数をそれぞれプ
ロットすることにより、図9〜図12を作成した。
【0048】図9,図10に示すように、各石炭灰固化
体のイオン交換容量は重相関係数および回帰係数のいず
れにおいても回帰直線を引くことができる。
【0049】これは、各石炭灰固化体の重さ,すなわち
水分量が、各石炭灰固化体のイオン交換容量に対するば
らつきが小さく、またイオン交換容量の変化に敏感に反
応するものであることを意味する。
【0050】そして、各石炭灰固化体の水分量の変動
が、調湿性を意味するものであるから、各石炭灰固化体
の調湿性はそのイオン交換容量と強い相関性があること
がわかる。
【0051】また、図11,図12に示す各石炭灰固化
体のBET比表面積は、重相関係数および回帰係数のい
ずれにおいても、分散した状態にプロットされ、回帰直
線を引くことができない。
【0052】したがって、石炭灰固化体の水分量はBE
T比表面積との間に相関性はほとんど認められず、石炭
灰固化体の調湿性への影響は小さいものである。
【0053】以上の結果から、石炭灰固化体の調湿性は
BET比表面積よりもイオン交換容量の方が大きく寄与
するものであると判断することができる。
【0054】したがって、これらの石炭灰固化体はいず
れも調湿性を有するものであるが、前記Na−1粉末や
Na−2粒状等のNa系石炭灰固化体はとくに顕著な調
湿性を有するものと考えられる。
【0055】そのため、前記のイオン交換容量やBET
比表面積から、顕著な効果の期待できる,Na−1粉末
とNa−2粒状とについては、前記した試料重量の測定
値から試料1000cm3あたりの水分量を求め、この
水分量と相対湿度とを軸として図13を作成した。
【0056】図13に示すように、これらのNa−1粉
末およびNa−2粒状の場合、顕著な調湿性を確認する
ことができる。
【0057】さらに、Na−1粉末については、別に等
温条件下の密閉空間内で相対湿度を変化させて、前記と
同様に吸湿率を測定して、吸着等温試験を行なった。
【0058】その結果、Na−1粉末の吸湿・放湿は図
14に示すように相対湿度52%〜93%の範囲でサイ
クル的であった。
【0059】なお、図1に示すように実際の建物の床下
空間内にNa−1粉末を設置して吸湿率を測定した結果
によると、建物の床下空間は密閉空間でなく,換気口や
隙間を経て床下空間外から水分を含んだ外気の流入があ
る等によって、Na−1粉末の調湿機能は、例えば吸湿
・放湿相対湿度が52%〜84%の範囲内で機能するこ
とが確認された。
【0060】そして、このように調湿性を有する石炭灰
固化体は、次に説明する各実験の結果から明かとなるよ
うに害虫に対する殺虫効果を有するものであり、これら
の石炭灰固化体のうち、前記Na-1粉末およびNa-2粒状の
場合、その薬効成分は主にNa2Oであると考えられ、前記
Ca-1粉末およびCa-2粒状の場合にはCaOであると考えら
れる。
【0061】以下に説明する実験は、図15に略図する
ように、直径およそ10cm程度のシャーレ21内に、およ
そ10g程の試料22と、巣23のままの状態での害虫5
匹とを配置して行なうこととし、試料22としての石炭
灰固化体は前記Na-1粉末を用い,また害虫としてはこの
石炭灰固化体の用途を考慮して白蟻および一般的な蟻に
ついて行なうこととした。
【0062】まず、第1の実験は、シャーレ21内に試
料22として石炭灰固化体と、巣23のまま5匹の害虫
として白蟻を入れ、石炭灰固化体の設置された空間内で
の白蟻の挙動を観察した。
【0063】この状態では、白蟻はほとんど巣の中に居
り、たまに巣から出て石炭灰固化体のところに向かうが
すぐに後ずさりして巣にもどることを繰り返した。
【0064】このような白蟻の挙動を確認した後、シャ
ーレ中の白蟻の巣のまわりに石炭灰固化体を追加して行
くと、白蟻は5匹とも巣から脱出した。
【0065】これらの白蟻に石炭灰固化体を直接ふりか
けると、白蟻の動きが徐々に鈍くなり、半日後には5匹
とも死亡した。
【0066】この実験の結果から石炭灰固化体は、白蟻
に対して殺虫効果を有することが確認できた。
【0067】次に、前記石炭灰固化体による殺虫効果が
蟻に対しても有効であるかを確認するとともに、前記殺
虫効果が前記石炭灰固化体より強アルカリ性の粉体であ
るセメントや前記石炭灰固化体の原料としての石炭灰と
比較してどのようであるかを確認するため、第2の実験
を行なった。
【0068】この第2の実験に用いたセメントは、通常
のポルトランドセメントであって、そのPHは12.29であ
り、前記石炭灰固化体のPHは11.65である。
【0069】この第2の実験においては、前記第1の実
験と同様にシャーレ21内に試料22と巣23のままの
害虫とを配置して行なった。
【0070】すなわち、この第2の実験においては、同
一形状のシャーレ21を5個用意し、その内の2つずつ
に試料22としてセメントあるいは石炭灰を入れ、同種
の試料22の配置された各2つのシャーレ21の一方に
害虫として白蟻を、他方には蟻を入れ、また試料22と
して前記石炭灰固化体を入れたシャーレ21には害虫と
して蟻を入れて観察を行なった。
【0071】このような各シャーレ21内において、白
蟻あるいは蟻はいずれもセメントや石炭灰あるいは石炭
灰固化体等の試料22にほとんど近づかず、ほとんど巣
23の中であった。
【0072】この後、前記白蟻あるいは蟻の巣23に各
シャーレ23内に配置されたと同種の試料22を混ぜ合
わせた状態としてさらに観察を続けた。
【0073】このような状態としても、前記試料22が
セメントあるいは石炭灰である白蟻や蟻は動きが鈍くな
らず、半日後も生息した。
【0074】一方、前記試料22が石炭灰固化体である
シャーレ21の蟻は、4匹の動きが鈍く、その4匹は半
日後には死亡した。
【0075】この第2の実験の結果から、石炭灰固化体
の殺虫効果は白蟻に限らず、蟻にも有効であり、また、
石炭灰固化体は強アルカリのセメントや石炭灰遊離灰よ
り顕著な殺虫効果を有するものであることが確認でき
た。
【0076】さらに、このような石炭灰固化体の殺虫効
果の経年変化がどの程度であるかを確認するため、製造
後2年を経過した石炭灰固化体(Na-1粉末)を試料22
として用いて前記と同様に白蟻と蟻についてそれぞれシ
ャーレ23内に配置して観察した。
【0077】この場合においても、各シャーレ21中の
害虫としての白蟻および蟻は、石炭灰固化体には全く近
づかず、ほとんど巣23の中にひそんでいた。
【0078】この後、白蟻や蟻の巣23と前記石炭灰固
化体とを混ぜ合わせて観察を継続すると、半日後には白
蟻は5匹中の4匹が死亡し、蟻は5匹中の3匹が死亡し
た。
【0079】この第3の実験の結果から、前記石炭灰固
化体による殺虫効果は、製造後2年を経過した時点にお
いても、十分に維持されていることが確認された。
【0080】以上の各実験で確認された、Na-1粉末の石
炭灰固化体の殺虫効果は、前記石炭灰固化体中に含有さ
れている,比較的弱い薬効のNa2O等により確実に生じて
いるが、これは前記したように石炭灰固化体の設置空間
内での湿度が乾燥側に調整されることにより害虫の活力
を低下させ、活力の低下した害虫に前記石炭灰固化体か
らの弱い薬効成分が作用することにより害虫を確実に死
亡させるものであると考えられる。
【0081】したがって、Na-1粉末に限らず、石炭灰固
化体として先に示したその他の各石炭灰固化体も調湿性
を備え、かつ弱い薬効成分としてのNa2OやCaOを有して
いるので、前記Na-1粉末と同様に害虫駆除剤として使用
することができる。
【0082】また、前記各実験においては、害虫として
白蟻および蟻を用いて殺虫効果を確認したが、これに限
らず,家だにやその他の一般的な害虫に使用することと
してもよい。
【0083】ところで、このような石炭灰固化体を害虫
駆除剤として用いる場合、例えば図1のように建物の床
下に設置される。
【0084】すなわち、この実施例は、木造住宅1の居
間の床2の下方の布基礎3の間に形成された床下空間4
内に石炭灰固化体5を害虫駆除剤として設置したもので
ある。
【0085】この床下空間4を形成する布基礎3には、
従来の木造住宅と同様に適宜間隔で換気口6が形成され
ており、この換気口6を経て床下空間4内の空気は出入
りできるようになっている。
【0086】そして、この床下空間4の下方となる,土
間7の表面の概ね全体に渡って、ビニールシート8が設
置されており、このビニールシート8の上面には、段ボ
ール紙からなるクッション材9を介して害虫駆除剤とし
ての石炭灰固化体5が設置されている。
【0087】このクッション材9は、前記ビニールシー
ト8の損傷を防止するとともに、このビニールシート8
が石炭灰固化体5の袋下面に密着状態に接触し、石炭灰
固化体5への通気性を損なうことを防止するためであ
る。なお、場合により、かかるクッション材9の設置を
省略してもよい。
【0088】石炭灰固化体5は、前記Na−1粉末を適
度な通気性を有する不織紙からなる袋中に封入したもの
である。
【0089】なお、この実施例の場合には、後述するよ
うに、石炭灰固化体5を実際に害虫駆除剤として用いた
場合のデータを採取するために、第1の温湿度計11と
第2の温湿度計12をも床下空間4中に設置してある。
【0090】すなわち、第1の温湿度計11は、石炭灰
固化体5の中央部に設置され、第2の温湿度計12は床
下空間4中の石炭灰固化体5から離間した位置に配置さ
れている。
【0091】そして、これらの温湿度計11,12によ
る相対湿度および温度の測定値を比較することにより、
石炭灰固化体5は次のような効果を奏していることが明
かとなった。
【0092】すなわち、床下空間4内の相対湿度が50
%〜84%の間では、第1の温湿度計11の測定値が第
2の温湿度計12の測定値より相対湿度で約3〜5%小
さく、石炭灰固化体5が吸湿機能を生じている。
【0093】また、床下空間4内の相対湿度が38%〜
50%の間では、第1の温湿度計11の測定値が第2の
温湿度計12の測定値より相対湿度で約1〜4%大き
く、石炭灰固化体5が放湿機能を生じている。
【0094】すなわち、このNa−1粉末からなる石炭
灰固化体5は、木造住宅1の床下空間4内に設置した場
合、床下空間4内の相対湿度が高い場合には吸湿し、逆
に相対湿度が低い場合に放湿することによって、床下空
間4内の湿度を適度な状態に調整する調湿性を有する。
【0095】そして、前記白蟻等の害虫の生息条件とし
ての湿度は高湿度であり、前記石炭灰固化体5は吸湿機
能を生じ、床下空間は乾燥状態に維持されるので、害虫
が生息しにくく、生息する場合にも害虫の活力が小さ
い。
【0096】そのうえ、前記したように、この石炭灰固
化体は同時に害虫に対する殺虫効果を有するものであ
り、害虫の活力を低下させたうえでその殺虫効果を発揮
するので従来の殺虫剤と較べて比較的弱い薬効成分であ
っても確実に害虫駆除を行なうことができる。
【0097】このように、建物の床下等にこの種の害虫
駆除剤を設置する場合、例えば、前記Na−1粉末から
なる石炭灰固化体を用いる場合には、床下面積3.3m
2あたり85Kg程度の分量を用いることが好ましい。
【0098】なお、この実施例の場合、ビニールシート
8上にNa−1粉末からなる石炭灰固化体5を配置した
のは、前述のように、Na−1粉末の調湿性は84%を
越える,高い湿度条件下では十分にその性能を発揮する
ことが困難であり、土間7から上がる水分をビニールか
らなる不透水性のシート8で抑制することによって石炭
灰固化体5に十分にその吸湿機能を発揮させ、確実に害
虫駆除を行なわせるうえで有利だからである。
【0099】以上説明した実施例の場合には、石炭灰固
化体5としてNa−1粉末を用いたものをあげて説明し
たが、本願はこれに限らず、前記の各石炭灰固化体をこ
のように使用することができ、また、本願の石炭灰固化
体5は、床下空間4の土間7上に直接設置することとし
てもよい。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、石炭灰固化体は調湿性を有するのでこの害
虫駆除剤を設置した空間の湿度を害虫の生息に不適当な
乾燥状態に保つことができる。
【0101】そのため、この害虫駆除剤の施工された空
間においては、害虫は生息しにくく、たとえ害虫が生息
するとしてもその害虫は弱った状態で生息することとな
る。
【0102】そして、前記石炭灰固化体は、これと同時
に水酸化ナトリウムを主成分とする比較的弱い殺虫成分
を具備しており、弱った状態の害虫を従来より弱い薬効
により殺虫することができる。
【0103】すなわち、請求項1記載の発明によれば、
従来ほど強力でない薬剤でありながら十分な害虫駆除能
力を有する害虫駆除剤を提供することができる。
【0104】また、このように薬剤が従来ほど強力でな
いことにより、処理作業に伴う薬剤の取り扱いに慎重さ
が求められず、取り扱いの便宜を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】床下空間内に害虫駆除剤を設置した建物の要部
断面図である。
【図2】害虫駆除剤としての石炭灰固化体(Na-1粉末)
の製造工程図である。
【図3】害虫駆除剤としての石炭灰固化体(Na-2粒状)
の製造工程図である。
【図4】害虫駆除剤としての石炭灰固化体(Ca-1粉末)
の製造工程図である。
【図5】害虫駆除剤としての石炭灰固化体(Ca-2粒状)
の製造工程図である。
【図6】石炭灰および石炭灰固化体の粒度分布図であ
る。
【図7】BET比表面積と吸水率との関係を示すグラフ
である。
【図8】イオン交換容量と吸水率との関係を示すグラフ
である。
【図9】イオン交換容量と重相関係数との関係を示すグ
ラフである。
【図10】イオン交換容量と回帰係数との関係を示すグ
ラフである。
【図11】BET比表面積と重相関係数との関係を示す
グラフである。
【図12】BET比表面積と回帰係数との関係を示すグ
ラフである。
【図13】吸湿量と相対湿度との関係を示すグラフであ
る。
【図14】Na−1粉末の吸着等温試験による調湿機能
の説明図である。
【図15】害虫に対する殺虫効果の確認実験の状況説明
図である。
【符号の説明】
1 木造住宅 2 床 4 床下空間 5 石炭灰固化体 7 土間 8 ビニールシート 21 シャーレ 22 試料 23 巣(害虫)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 59/06 A01N 61/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭灰を水と水酸化ナトリウムとを添加
    して水熱合成処理することによって製造された石炭灰固
    化体からなる害虫駆除剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の害虫駆除剤において、前
    記石炭灰を消石灰とともに水と水酸化ナトリウムとを添
    加して水熱合成処理したことを特徴とする害虫駆除剤。
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