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JP3163327B2 - 発泡剤含有被覆用組成物及びそれを用いる塗膜の形成方法 - Google Patents
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JP3163327B2 - 発泡剤含有被覆用組成物及びそれを用いる塗膜の形成方法 - Google Patents

発泡剤含有被覆用組成物及びそれを用いる塗膜の形成方法

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JP3163327B2
JP3163327B2 JP29794897A JP29794897A JP3163327B2 JP 3163327 B2 JP3163327 B2 JP 3163327B2 JP 29794897 A JP29794897 A JP 29794897A JP 29794897 A JP29794897 A JP 29794897A JP 3163327 B2 JP3163327 B2 JP 3163327B2
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coating film
foaming agent
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡剤を含む被覆
用組成物及びそれを用いる塗膜形成方法に関する。さら
に詳しくは、良好な塗膜強度、断熱性及び下地隠蔽性を
有する塗膜が形成されるとともに、保存安定性の改良さ
れた熱膨張型発泡剤を含む被覆用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塗料用樹脂及び熱膨張剤を混合した熱膨
張性樹脂組成物は、それを用いて得られる塗膜の構造か
ら自動車の路面側ボディー部に路面からの異物が当った
際の衝撃緩和(耐チッピング性)に好適な塗料として利
用されている。また、その熱膨張性樹脂組成物にエマル
ジョン及び熱膨張剤を添加し、それをシルクスクリーン
方式により壁紙の上に模様状に塗装した後、加熱膨張さ
せると塗膜が膨張隆起して凹凸模様が形成される壁紙の
作製にも利用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
熱膨張性樹脂組成物から得られる塗膜は、空気部分が含
まれているために塗膜強度が弱く、耐擦傷性や耐薬品性
等が要求される箇所には使用できないという問題があ
る。他方、それらの樹脂組成物の塗膜が形成される成型
品及びダイカスト品は、それらの製造工程において発生
した傷、巣穴、ヘコミ及びクボミ等を修正するために、
塗装の仕上げ工程においてパテ埋めを行い、その埋めた
箇所の周辺を研磨して平滑に仕上げる作業等が付加され
ることから製造工程が煩雑である。
【0004】近年、この種の被塗装物の材質には、アル
ミニウムや亜鉛等の金属に限らず、軽量で高強度のマグ
ネシウム合金等を利用する機会が増加してきている。し
かし、マグネシウム合金は、研磨工程で発生する金属粉
が火災の原因になるため、局所排気設備を必要とするこ
と等により設備費が高額になり、また、作業性が非常に
悪くて生産性を低下させることから、全体の加工コスト
が高くなる等の問題がある。
【0005】最近ではバリアフリーがキーワードとな
り、駅や娯楽施設等の公共施設には、体の不自由な人や
高年齢者を対象とした手すりやスロープの設置が押し進
められ、また、民間住宅にもバリアフリー指向が浸透し
て、階段及び廊下のみならずトイレや風呂場にも手すり
やポールが設置されている。これらの手すり及びポール
の材質には、従来より耐久性及び強度の面から主に金属
が用いられてきたが、金属製のものは、触ったときに感
じる冷たさ、特に冬期には冷触感が高まるため、高年齢
者や心臓の弱い人には大きな負担となっている。その対
策として、金属に塩化ビニール樹脂等をライニングした
もの、木製のもの及びプラスチック製のものも現れてい
るが、これらは耐汚染性、耐摩耗性及び耐久性等に劣る
という問題があることから、塗膜強度及び耐久性等に優
れていると共に、暖かみのある素材等の開発が強く要望
されている。
【0006】本発明は、従来の技術における上記した問
題を解消するためになされたものである。すなわち、本
発明の目的は、良好な断熱性及び下地隠蔽性を有する塗
膜を形成できると共に、耐摩耗性及び耐擦傷性に優れた
塗膜強度が得られる被覆用組成物を提供する。本発明の
他の目的は、良好な下地隠蔽性の塗膜を形成させること
により、生地不良の成型品又はダイカスト品の修正工程
を省くことができる塗膜形成方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した課
題を解決すべく鋭意検討した結果、一般的な塗料用樹脂
を用いて、これにマイクロカプセル型の熱膨張型発泡剤
粒径10〜100μmの樹脂ビーズよりなる塗膜補強
用の充填剤を一定の割合で配合することにより、優れた
塗膜性能を有する下地隠蔽性の塗膜が形成される被覆用
組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0008】すなわち、本発明の被覆用組成物は、下地
隠蔽性の塗膜を形成するためのものであって、有機溶剤
中に、有機溶剤に可溶な塗料用樹脂70〜94重量部、
粒径10〜100μmの樹脂ビーズよりなる充填剤5〜
20重量部及びマイクロカプセル型の熱膨張型発泡剤1
〜10重量部を合計100重量部になるように配合して
なることを特徴とする。本発明に使用する熱膨張型発泡
剤は、その熱膨張温度範囲が塗料用樹脂の焼付硬化温度
又は強制加熱温度と共通するものであることが好まし
い。また、充填剤としては、ポリメタクリル酸、ポリス
チレン及びポリウレタンから選ばれる樹脂のビーズを
いることが好ましい。本発明の塗膜形成方法は、上記の
被覆用組成物を基材に塗布した後、加熱することにより
熱膨張型発泡剤を発泡させて空気部分が存在する塗膜を
形成させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の被覆用組成物は、少なくとも塗料用樹
脂、充填剤及び熱膨張型発泡剤を含むものであり、塗料
用樹脂に、熱膨張型の発泡剤と塗膜の補強剤とする充填
剤とを特定の配合割合で添加させることにより、塗膜性
能の向上した塗膜が形成されるものである。
【0010】本発明において、熱膨張型発泡剤は、塗膜
中に空気を内包させるために配合されるものであり、熱
可塑性プラスチック中に炭化水素等のガスを充填した小
径の発泡剤が使用される。この熱膨張型発泡剤として
は、例えば、塩化ビニリデン樹脂等の熱可塑性プラスチ
ックの外殻中に、炭化水素等を内包した公知のマイクロ
カプセル型の発泡剤等が使用され、市販品としては、マ
ツモトマイクロスフェアーFシリーズ(松本油脂製薬工
業社製)やエクスパンセル(アクゾノーベル社製)等が
好適に使用される。
【0011】本発明の被覆用組成物中の熱膨張型発泡剤
は、被覆用組成物の塗装目的及び用途に応じて選定し使
用される塗料用樹脂により、その熱膨張する温度範囲が
選定されなければならない。すなわち、樹脂架橋系塗料
においては、焼付硬化温度範囲と共通するものを使用し
なければならない。又、ラッカー系塗料(架橋しない塗
料系)においては、熱膨張型発泡剤の発泡温度まで強制
加熱しなければならない。この熱膨張型発泡剤が熱膨張
して発泡する温度範囲よりも上記した焼付硬化温度又は
加熱温度が低いものは、発泡不足により塗膜中の空気部
分の体積が少なくなり、一方、その温度範囲より高いも
のは、一度膨張した発泡剤が収縮し同じく空気部分の体
積が少なくなり、断熱性及び下地隠蔽性が低下すること
になる。被覆用組成物中の熱膨張型発泡剤の配合量は、
1〜10重量部の範囲であり、好ましくは3〜7重量部
の範囲である。その配合量が1重量部より少ないと、空
気部分の体積が少なくなって断熱性及び下地隠蔽性が低
下することになり、一方、10重量部より多くなると、
塗膜強度が低下し部分的に大きく膨れて均一な発泡状態
が得られず外観が損なわれることになる。
【0012】本発明において、充填剤は、塗膜強度を補
強するために配合されるものであり、樹脂ビーズが使用
され、具体的には、ポリメタクリル酸真球ビーズ、ポリ
スチレン真球ビーズ、ポリウレタン真球ビーズ、エポキ
シ真球ビーズ、ベンゾグアナミン真球ビーズ、フッ素ビ
ズ等が使用され、市販のものとしては、アートパール
(根上工業社製)、スコッチガード(住友3M社製)又
はラブコロール(大日精化工業社製)等が好適に使用さ
れる。
【0013】上記の充填剤において、使用材料に塗膜硬
度が要求される用途にはポリアクリル酸真球ビーズが好
ましく、また、塗膜の強度は高くなくても、外部からの
衝撃に対して抵抗性が要求される用途には、外部からの
衝撃に対して復元力のあるポリウレタン真球ビーズを使
用することが好ましい。その形状としては、真球が好ま
しいが、燐片状や角状でも真球状と比べて若干下地隠蔽
性が劣るものの実用には何ら問題はない。また、その粒
径は10〜100μmの範囲、好ましくは20〜50μ
mの範囲で使用される。粒径がそれより小さいと下地の
隠蔽性が低下し、他方、それより大きい場合は外観が損
われる。被覆用組成物中の充填剤の配合量は、5〜20
重量部の範囲であり、好ましくは10〜20重量部の範
囲である。その配合量が5重量部より少ないと下地隠蔽
性が低下し、塗膜の強度向上に十分に寄与しないし、他
方、20重量部より多いと塗膜の強度が低下する。
【0014】本発明における塗料用樹脂は、通常、有機
系樹脂を有機溶剤に溶解させた樹脂溶液として用いられ
る。使用される塗料用樹脂としては、アクリル系樹脂、
アミノ系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、
フッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂
等が挙げられる。上記のアクリル系樹脂としては、塗料
用として公知のものであれば特に制限なく使用でき、そ
の構成成分としては、ガラス転移温度が低くて柔らかな
主モノマー成分とガラス転移温度が高くて固いコモノマ
ー成分、更に必要に応じて少量の官能基含有モノマー成
分からなるものを用いることが好ましい。上記の主モノ
マー成分としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル等のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸イソブチル等のメタクリル酸アルキ
ルエステル等が用いられる。また、コモノマー成分とし
ては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメ
タクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル又はス
チレン等が用いられる。さらに、官能基含有モノマー成
分としては、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート等が用いられる。
【0015】アミノ系樹脂としては、塗料用として公知
のものであれば特に制限なく使用でき、例えば、メチル
化メラミン、ブチル化メラミン、メチルブチル混合アル
キル化メラミン、メチルブチル混合アルキル化ベンゾグ
アナミン、メチロール化メラミン等が用いられる。ま
た、エポキシ系樹脂としては、塗料用として公知のもの
であれば特に制限なく使用でき、ビスフェノールAジグ
リシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエー
テル、ノボラックグリシジルエーテル等が用いられる。
【0016】ポリエステル系樹脂としては、塗料用とし
て公知のものであれば特に制限なく使用でき、多価アル
コールと多塩基酸の縮合により得られるものは如何なる
ものも使用可能である。その多価アルコール成分として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、
2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,
4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチ
ロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等
が用いられ、一方、多塩基酸成分としては、無水フタル
酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒ
ドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の飽和多塩
基酸が用いられ、これに無水マレイン酸、マレイン酸、
無水イタコン酸、イタコン酸、フマール酸等の不飽和多
塩基酸も併用できる。更に、桐油、アマニ油、大豆油、
綿実油、サフラワ油、やし油等の油変性ポリエステル樹
脂も使用可能である。これらのポリエステル樹脂の分子
量としては、500〜50000の範囲のもの、好まし
くは1000〜30000の範囲のものである。また、
酸価は1〜500程度のものであり、水酸基価は2〜2
00程度のものが実用的である。
【0017】ポリウレタン系樹脂としては、塗料用とし
て公知のものであれば特に制限なく使用でき、そのポリ
イソシアネート成分としてはトリレンジイソシアネート
(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キ
シリレンジイソシアネート(XDI)又はこれらのジイ
ソシアネート類と単量体のトリオールとの反応により得
られたポリイソシアネート化合物等が用いられる。ま
た、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオール、アクリルポリオール等が用いら
れる。
【0018】フッ素系樹脂としては、塗料用として公知
のものであれば特に制限なく使用でき、クロロトリフル
オロエチレン、テトラフルオロエチレン等のフルオロオ
レフィン成分とシクロヘキシルビニルエーテル等のアル
キルビニルエーテル又は高級カルボン酸ビニルエステル
等のアルキルビニルエステルとを主構成成分とし、これ
に特定量のヒドロキシアルキルビニルエーテル又はクロ
トン酸ヒドロキシアルキル等のヒドロキシ基を含有する
単量体成分を共重合させた含フッ素共重合体等がある。
これらは、ラッカー型塗料としても使用できるものであ
り、通常はイソシアネート化合物やメチル化メラミン樹
脂等が硬化剤として使用される。
【0019】アルキッド系樹脂としては、塗料用として
公知のものであれば特に制限なく使用でき、一官能価酸
又はアルコールを付加したポリオールと二塩基酸又は無
水物との反応生成物が用いられる。その二塩基酸として
は、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マ
レイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、オルソ
フタル酸無水物、マレイン酸無水物が用いられる。ま
た、ポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリト
リトールであるが、少量のソルビトールやトリメチロー
ルプロパンも使用される。エステル化用の一官能価酸又
はアルコールには、それぞれ長鎖脂肪酸又はアルコール
が使用され、その長鎖脂肪酸は、単独で又は複数の混合
物を油の形態で用いて、例えば、グリセロールでエステ
ル化して室温で溶解するトリアシルグリセロールにして
使用する。一般に使用される油は、アマニ油又は大豆油
である。
【0020】本発明の被覆用組成物は、塗料用樹脂を有
機溶媒に溶解させて使用される。その有機溶媒として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素や酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチ
ルエーテル、ブチルエーテル、メチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エ
チレングリコール、エチレングリコールモノエチルエー
テル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル等
のグリコール誘導体等が用いられる。ところで、本発明
においては、有機溶媒としてメタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコー
ル類は使用に適さないものであり、特に、メタノール、
エタノール等の低級アルコール(アルキル鎖が短いも
の)は使用不可である。また、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルイソブチル
ケトン等のケトン類もアルコール類と同様に使用に適さ
ない。これらのアルコール類又はケトン類は、熱膨張型
発泡剤の核構成材料の溶解力の高いものであることを意
味しており、これらの有機溶剤が存在すると、被覆用組
成物の保存時にカプセル型発泡剤の核を構成する成分が
殻から溶出し、熱膨張させる際には、既に殻の中に核成
分が存在しないため発泡しなくなるからである。
【0021】本発明の被覆用組成物においては、上記の
有機溶媒に溶解させた塗料用樹脂に熱膨張型発泡剤及び
充填剤を添加する際に、塗料用樹脂に熱膨張型発泡剤及
び充填剤が均一に分散安定化させることが必要であり、
そのためボールミル、三本ロール、ダイノミル、ビーズ
ミル、ディスパー等の様々な分散機を用いて分散させ
る。しかし、その分散により被覆用組成物に過度のテン
ションが負荷されると、熱膨張型発泡剤は、その隔壁が
損傷されて正常な機能を果たすことができなくなる可能
性があるため、適度な分散条件を設定することが必要で
ある。
【0022】従来、発泡剤が配合された塗料は、得られ
る塗膜の構造から、断熱性及び下地の隠蔽性に優れた塗
膜が形成されるものと期待されていた。しかし、その得
られた塗膜は、構造強度が弱いことから、耐摩耗性及び
耐擦傷性が求められる用途には実用化された例はなく、
また、壁紙の模様部分及び車の耐チッピング塗料等の市
場における実用実績は僅かなものに留まっている。とこ
ろが、本発明の被覆用組成物において、熱膨張型の発泡
剤を塗膜の補強剤としての充填剤と共に配合し、結合成
分として用いる塗料用樹脂の焼付乾燥温度範囲又は硬化
温度範囲と熱膨張型発泡剤の熱膨張温度範囲とをリンク
させた配合設計をしたものでは、塗膜の性能、特に耐摩
耗性、耐擦傷性等を大幅に向上させることが可能になっ
た。すなわち、例えば、人の手に頻繁に触れるドアノ
ブ、手すり及びポール等において、耐摩耗性、耐擦傷性
及び耐汚染性が必要とされる箇所の金属素材に、本発明
の被覆用組成物の塗膜を形成させることにより、耐久性
及び強度を保持させることができると共に、暖かみのあ
る素材が実現できるようになる。
【0023】また、成型品やダイカスト品の作成工程に
おいて発生する傷、その他に巣穴、ヘコミ及びクボミを
修正するために、従来行われていたパテ埋め及び研磨等
の補修作業については、本発明の被覆組成物の塗膜を形
成させることにより、その補修作業工程の削減が可能に
なる。それにより、本発明では、製造工程の簡素化を計
ることができるとともに、マグネシウム合金等の特種金
属については研磨工程で発生する粉による火災の危険性
等を伴う研磨工程を省くことができるから、安全性の確
保にも貢献することができる。
【0024】次に、本発明の被覆用組成物の使用方法に
ついて説明する。上記のようにして塗料用に調製された
被覆用組成物溶液を、基材の上に塗布し、これを強制的
に乾燥させることにより焼付乾燥塗膜が得られる。その
基材としては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、真
鍮、マグネシウム合金、亜鉛合金、その他の金属類、ガ
ラス類、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート、塩化ビニール樹脂、アクリル樹
脂等のプラスチック類が使用できる。
【0025】その強制乾燥させる条件とは、温度はポリ
マーの結合成分として使用している塗料用樹脂が硬化反
応を行う温度範囲であり、また、その時間は塗料用樹脂
の硬化反応が十分に行われる時間範囲であればよい。い
ずれの樹脂系においても、ラッカー用塗料とする場合に
は、熱膨張型発泡剤の低温発泡グレードの発開始温度
である80℃以上であればよい。但し、この際には使用
している熱膨張型発泡剤の発泡温度領域内において必ず
焼付乾燥を行う必要がある。一方、塗膜形成が架橋反応
により行われる樹脂架橋タイプのものでは、樹脂架橋の
進行状況や溶剤の蒸発状態が熱膨脹発泡剤の発泡状態に
影響を及ぼすため、熱膨張型発泡剤の発泡温度範囲、特
に最大発泡温度は、熱膨張型発泡剤のカタログ値とずれ
る可能性があるので、熱膨張型発泡剤の選定は慎重に行
うことが必要である。その結合成分として用いる塗料用
樹脂の硬化温度と熱膨張型発泡剤の熱膨張温度がリンク
しない場合には、下地隠蔽性や断熱効果が充分に得られ
ないため、本発明の目的を達成させることは困難であ
る。例えば、塗料用樹脂ワニスとしてポリエステル樹脂
とアミノ樹脂を含む2成分系を用い、熱膨張型発泡剤は
100〜170℃の範囲で発泡するものを用い、焼付乾
燥を210℃で3分間行った場合は、下地の傷を隠蔽で
きていない。これと同様に、アクリル樹脂とポリウレタ
ン樹脂を含む2成分系を用い、熱膨張型発泡剤は100
〜170℃の範囲で発泡するものを用い、焼付乾燥を8
0℃で30分間行った場合についても下地の傷を隠蔽で
きていない。
【0026】上記の被覆用樹脂組成物を基材に塗布する
方法としては、ディッピング法、エアスプレー法、エア
レススプレー法、ロールコーター、グラビアコーター等
の公知の塗布方法の中から、基材の形状、必要な膜厚、
塗料の性状等を考慮して適宜選択される。焼付硬化によ
り形成される塗膜の膜厚は、10〜50μmの範囲が好
ましい。その膜厚が10μm以下のものでは、塗膜の保
護効果が低下するとともに、ピンホール等の塗膜欠陥が
生じ易くなったり、下地キズやヘコミの隠蔽性も低下す
る。一方、50μmより厚いものでは、クラックが生じ
易くなったり、塗膜形成時の内部応力により密着性が低
下する。また、成型物に塗装する場合には、塗装した後
に部品同士を組み合せることが多く、そのような場合に
は嵌合部の組み合せが困難になる。
【0027】さらに、本発明の被覆用組成物は、顔料、
染料等の着色剤を配合した着色塗料として使用すること
ができる。その塗料に使用される顔料としては、酸化チ
タン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、アルミ
ナ等の白顔料、カーボンブラック、黒鉄等の黒顔料、フ
タロシアニンブルー等の青顔料、黄鉛、ハンザイエロー
等の黄顔料、ベンガラ、レーキレッド等赤顔料等が挙げ
られる。さらにまた、本発明の被覆組成物には、必要に
応じて、その他の樹脂用添加剤、例えば、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性付与剤、スリップ
剤、タレ止め剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピ
ック性付与剤等を適宜配合することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例等により本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。 [塗料用樹脂の調製] (A)アクリル樹脂/アミノ樹脂2成分系 アクリル樹脂ワニス(ダイヤナールHR−632、三菱
レーヨン社製、固形分50%、酸価7)50gとメチル
化メラミン樹脂ワニス(サイメル370、三井サイテッ
ク社製、固形分80%)15gを混合し、さらに、この
混合溶液をn−ブタノール10g、酢酸エチル10g及
びトルエン7.5gからなる混合溶剤を用いて希釈させ
て、アクリル樹脂及びアミノ樹脂を含む2成分系の塗料
用樹脂ワニスA92.5gを得た。この塗料用樹脂ワニ
スAの焼付硬化温度領域は、140℃×30分から18
0℃×20分である。
【0029】(B)ポリエステル樹脂/アミノ樹脂2成
分系 ポリエステル系樹脂(ポリエスターTP−290、日本
合成化学工業社製、分子量17000、プロピレングリ
コールと無水フタル酸との縮重合物)40gとメチル化
メラミン樹脂ワニス(サイメル370、三井サイテック
社製、固形分80%)3gを混合し、さらに、この混合
溶液をn−ブタノール25g、酢酸エチル25g及びト
ルエン14gからなる混合溶剤を用いて希釈させて、ポ
リエステル樹脂及びアミノ樹脂を含む2成分系の塗料用
樹脂ワニスB107gを得た。この塗料用樹脂ワニスB
の焼付硬化温度領域は、140℃×30分から210℃
×3分である。 (C)アルキッド樹脂/アミノ樹脂/エポキシ樹脂3成
分系 アルキッド樹脂ワニス(ユリックス210S、三井東圧
化学株式会社製、油長38%、フタル酸43%、不揮発
分70%)50gと、メチル化メラミン樹脂ワニス(サ
イメル370、三井サイテック社製、固形分80%)1
5gと、エポキシ樹脂ワニス(エピコート1001、油
化シェル社製、エポキシ当量475 10gをトルエン
6.7gで溶解させたもの)4.2gとを混合し、さら
に、この混合溶液をn−ブタノール20g、酢酸エチル
20g及びトルエン14.6gからなる混合溶剤を用い
て希釈させて、アルキッド樹脂、アミノ樹脂及びエポキ
シ樹脂を含む3成分系の塗料用樹脂ワニスC123.8
gを得た。この塗料用樹脂ワニスCの焼付硬化温度領域
は、140℃×20分から180℃×15分である。
【0030】(D)フッ素樹脂/ポリウレタン樹脂2成
分系 フッ素樹脂ワニス(ゼッフルGK−510、ダイキン工
業社製、不揮発分50%、水酸基価60)50gとポリ
イソシアネート(タケネートD−140N、武田薬品工
業社製、IPDI系、NCO%10.5、不揮発分75
%)10.5gとを混合し、さらに、この混合溶液をn
−ブタノール8g、酢酸エチル8g及びトルエン5.7
gからなる混合溶剤を用いて希釈させて、フッ素樹脂及
びポリウレタン樹脂を含む2成分系の塗料用樹脂ワニス
D82.2gを得た。この塗料用樹脂ワニスDの焼付硬
化温度領域は、100℃×20分から140℃×15分
である。 (E)アクリル樹脂/ポリウレタン樹脂2成分系 アクリル系樹脂ワニス(アクリディックA−807、大
日本インキ化学工業社製、水酸基価25、不揮発分50
%)50gとポリイソシアネート(タケネートD−14
0N、武田薬品工業社製、IPDI系、NCO%10.
5、不揮発分75%)9.8gとを混合し、さらに、こ
の混合溶液をn−ブタノール8g、酢酸エチル8g及び
トルエン5.1gからなる混合溶剤を用いて希釈させ
て、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂を含む2成分系
の塗料用樹脂ワニスE80.9gを得た。この塗料用樹
脂ワニスEの焼付硬化温度領域は、80℃×30分から
120℃×15分である。
【0031】 実施例1 アクリル系樹脂ワニス(固形分50%、酸価7) 50g (ダイヤナールHR−632、三菱レーヨン社製) メチル化メラミン樹脂ワニス(固形分80%) 15g (サイメル370、三井サイテック社製) 300mlのステンレス製容器に、上記の樹脂ワニスを
入れて混合した後、n−ブタノール10g、酢酸エチル
10g及びトルエン7.5gからなる混合溶剤を用いて
希釈させることによりアクリル樹脂及びアミノ樹脂を含
む2成分系の塗料用樹脂ワニス(前記塗料用樹脂ワニス
A)92.5gを得た。この塗料用樹脂ワニスAの焼付
硬化は、表1に示す条件(140℃において30分間)
下で行った。次に、その塗料用樹脂ワニス92.5g
に、下記の熱膨張型発泡剤1.35g、充填剤(ラブコ
ロールF、大日精化工業社製、ポリメタクリル酸ビー
ズ、粒径約20μm)2.7gを添加し、分散性を向上
させるために1mmφのガラスビーズ50ccを入れ
た。これらをディスパー(TKホモディスパー、特殊機
化工業社製、インペラ径:3cm羽根)を用いて250
0rpmで20分間分散させ、得られた分散液の全量を
100メッシュの金網を用いて濾過することにより、被
覆用組成物を得た。 「熱膨張型発泡剤」 商品名:マツモトマイクロスフェアーF−40(松本油
脂製薬工業社製) (粒子径約15μm、熱膨張開始温度約100℃、熱膨
張温度領域100〜170℃、膨張剤:イソブタン/イ
ソペンタン)
【0032】実施例2〜5 実施例1において、表1に示すように、熱膨張型発泡剤
及び充填剤の配合量を代えたこと以外は、実施例1と同
様にして、それぞれの被覆用組成物を得た。
【0033】比較例1〜3 実施例1において、表1に示すように、熱膨張型発泡剤
及び充填剤のいずれか一方又は両方を配合することな
く、それぞれの被覆用組成物を得た。
【0034】実施例6 実施例1において、塗料用樹脂ワニスとして、前記のポ
リエステル樹脂及びアミノ樹脂を含む2成分系の塗料用
樹脂ワニスC92.5gを用いたこと以外は、実施例1
と同様にして被覆用組成物を得た。 実施例7 実施例1において、塗料用樹脂ワニスとして、前記のア
ルキッド樹脂、アミノ樹脂及びエポキシ樹脂を含む3成
分系の塗料用樹脂ワニスD92.5gを用いたこと以外
は、実施例1と同様にして被覆用組成物を得た。
【0035】実施例8 実施例1において、熱膨張型発泡剤として、マツモトマ
イクロスフェアーF−20(商品名:松本油脂製薬工業
社製、粒子径約15μm、熱膨張開始温度約80℃、熱
膨張温度領域80〜140℃、膨張剤:イソブタン)を
用いたこと以外は、実施例1と同様にして被覆用組成物
を得た。 実施例9 実施例1において、熱膨張型発泡剤として、マツモトマ
イクロスフェアーF−100(商品名:松本油脂製薬工
業社製、粒子径約20μm、熱膨張開始温度約140
℃、熱膨張温度領域140〜210℃、膨張剤:イソブ
タン)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして被覆
用組成物を得た。
【0036】実施例10 塗料用樹脂ワニスとして、前記のアクリル樹脂及びポリ
ウレタン樹脂を含む2成分系の塗料用樹脂ワニスE9
2.5gを用い、熱膨張型発泡剤として、商品名:マツ
モトマイクロスフェアーF−20(松本油脂製薬工業社
製、粒子径約15μm、熱膨張開始温度約80℃、熱膨
張温度領域80〜140℃、膨張剤:イソブタン)を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして被覆用組成物を
得た。
【0037】上記実施例1〜10及び比較例1〜3にお
ける被覆用組成物中の各成分の配合量及び使用した熱膨
張型発泡剤の熱膨張温度領域と、その被覆用組成物を用
いて塗膜を形成させた焼付硬化条件を表1に示す。
【表1】
【0038】[塗膜が形成された試験片の作成]実施例
1〜10及び比較例1〜3で得られた被覆用組成物を用
いて、それぞれマグネシウム合金のダイカスト材(AZ
91、150×100×2mm)の上にエアスプレー塗
装を施し、それぞれ表1中に示す焼付硬化条件で処理す
ることにより乾燥塗膜付着量30g/m2 (膜厚30μ
m)の焼付塗膜を得て、これを試験片として用いた。な
お、上記のダイカスト材からなる被試験材には、深さ2
00〜300μmの傷が付いているものを用いた。
【0039】[焼付塗膜の評価方法] 1)密着性:塗膜と基材との密着性は、JIS K 5
400に基づいて測定し、 評価を行った。 2)鉛筆硬度:塗膜の損傷度は、JIS K 5400
に基づいて測定し、評価を行った。 3)耐侯性:アークカーボン式サンシャインウエザオメ
ーター暴露試験に準じて評価を行った。 この試験条件としては、温度63℃、降雨時間12分及
び降雨周期60分として実施した。評価基準は、暴露時
間を1000時間とし、試験の前後における塗膜の60
度光沢変化及び色差測定により行った。色差測定には、
ミノルタCR−300型を用いた。 4)下地の隠蔽性 試験片の仕上り外観を目視により判定した。5…傷が見
えず良好なもの、4…殆ど傷が見えないもの、3…僅か
に傷が見えるもの、2…傷が見えるもの、1…傷が良く
見えるもの。上記1)〜4)により得られた結果を表2
に示す。
【0040】
【表2】
【0041】5)塗膜の断熱効果 上記の塗膜が形成された試験片をそれぞれ0℃に冷却
し、これを20代の男性の背中に3秒間接触させた後、
その背中の試験片が接触した箇所の温度変化について、
10秒経過後から10秒単位で60秒経過後まで、サー
モグラフィーを用いて測定した。試験片のそれぞれの経
過時間について、接触箇所の温度の測定結果を表3に示
す。
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明の被覆用組成物は、特定の熱膨張
型発泡剤及び充填剤を配合して特定の強制乾燥温度範囲
で塗膜形成を行うものであるから、その被覆用組成物を
用いて形成される塗膜は、断熱性及び下地隠蔽性に優れ
ているとともに、耐摩耗性及び耐擦傷性等の機械的強度
が大きく、長期に亘り耐候性に優れた塗膜性能を有する
ものである。また、本発明によれば、上記の被覆用組成
物を用いて良好な下地隠蔽性の塗膜が形成されるから、
生地不良の成型品又はダイカスト品等の基材の修正工程
を削減できる簡易な塗膜形成方法が得られる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶剤中に、有機溶剤に可溶な塗料用
    樹脂70〜94重量部、粒径10〜100μmの樹脂ビ
    ーズよりなる充填剤5〜20重量部及びマイクロカプセ
    ル型の熱膨張型発泡剤1〜10重量部を合計100重量
    部になるように配合してなることを特徴とする下地隠蔽
    性の塗膜を形成するための被覆用組成物。
  2. 【請求項2】 熱膨張型発泡剤は、その熱膨張温度範囲
    が塗料用樹脂の焼付硬化温度、又は強制加熱温度と共通
    するものであることを特徴とする請求項1に記載の被覆
    用組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の被覆用組成物を基材に
    塗布した後、加熱することにより熱膨張型発泡剤を発泡
    させて空気部分が存在する下地隠蔽性の塗膜を形成させ
    る方法。
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