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JP3228448B2 - ゴム変性熱可塑性樹脂及びその組成物 - Google Patents
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JP3228448B2 - ゴム変性熱可塑性樹脂及びその組成物 - Google Patents

ゴム変性熱可塑性樹脂及びその組成物

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JP3228448B2
JP3228448B2 JP13711093A JP13711093A JP3228448B2 JP 3228448 B2 JP3228448 B2 JP 3228448B2 JP 13711093 A JP13711093 A JP 13711093A JP 13711093 A JP13711093 A JP 13711093A JP 3228448 B2 JP3228448 B2 JP 3228448B2
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浩一 尾上
博成 村木
洋一 鴨志田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、共役ジエンとビニル芳
香族化合物からなるブロック共重合体の水素添加物の存
在下に、芳香族ビニル化合物を主とした単量体または
(メタ)アクリル酸エステル化合物を主とした単量体を
グラフト共重合して得られる、着色性に優れ、かつフロ
ーマーク等の不良現象が著しく改良され、そして耐候
性、耐衝撃性、耐薬品性および成形加工性に優れたゴム
変性熱可塑性樹脂及びその組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】主鎖に実質的に不飽和結合を含まないE
PM、EPDMをゴム成分として用いたスチレン、アク
リロニトリルなどとのグラフト共重合体(AES樹脂)
は、共役ジエン系ゴムを用いたABS樹脂に比べ、紫外
線、酸素およびオゾンに対する抵抗性が大きく、格段に
耐候性が良いことが知られている。
【0003】しかしAES樹脂には、以下に示す欠点が
ある。着色性に劣る。一般にABS樹脂に代表されるゴ
ム変性樹脂は、均一系樹脂に比べ、着色性に劣るとされ
ている。発明者らが検討したところでは、AES樹脂は
ABS樹脂と比べ、特に彩やかな色や濃い色において鮮
明さと深みが不足し、同じ程度の色の濃さに着色するた
めには、着色剤が多量に必要であった。
【0004】耐薬品性が劣る。AES樹脂は、耐候性に
優れていることから、自動車外装部品などとして使用さ
れているが、耐薬品性が劣るため、ゴム量を低減させる
などの対策が必要であり、その結果強度が低下し、使用
部位や使用方法などに制約を受ける場合があった。
【0005】また、一般に、ポリメタクリル酸メチル樹
脂またはメタクリル酸メチルを主成分とした樹脂は、透
明性、光沢、耐候性などの優れた特性から、自動車部
品、電気関係部品、ディスプレーなどの広い分野で使用
されているが、衝撃強度が低いという欠点がある。この
衝撃強度を改良する方法として、ポリブタジエンなどの
ジエン系ゴムの存在下に、メタクリル酸メチル、スチレ
ンおよびアクリロニトリルなどからなるビニル系単量体
混合物を、ジエン系ゴムの屈折率とビニル系単量体混合
物を単独で重合して得られる重合体の屈折率とが実質的
に一致するようにビニル系単量体混合物の組成を選択し
て、重合する方法が知られている。例えば該方法によっ
て得られたメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン
共重合体樹脂やメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチ
レン−アクリロニトリル共重合体樹脂などが、種々の分
野に使用されている。しかしこれらの樹脂は、分子主鎖
に不飽和二重結合を含有しているため、紫外線や空気中
の酸素によって劣化し、変色や耐衝撃性の低下など、い
わゆる耐候性が悪いという致命的な欠点がある。
【0006】この耐候性を改良する方法として、ジエン
系ゴムの代わりに、分子主鎖が実質的に飽和なゴム状重
合体を用い、これに種々のビニル系単量体をグラフト共
重合する方法が提案されている。しかしながらこのゴム
状重合体は、ジエン系ゴムのように二重結合をもたず、
ラジカル活性が低いため、ビニル単量体がグラフト重合
せずに単にゴム状重合体とビニル重合体樹脂とのブレン
ド物になることが多い。このため得られた樹脂は、射出
成形した場合、表面にフローマークという樹脂の流動パ
ターンのムラが見られ、光沢や透明性も著しく低く、ま
た耐衝撃性および引張り強度が劣るという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、こうし
た点に関して鋭意検討した結果、少なくとも1種の共役
ジエンとビニル芳香族化合物のブロック共重合体の水素
添加物をゴム成分として用い、芳香族ビニル化合物をグ
ラフト重合、または芳香族ビニル化合物およびこれと共
重合可能な単量体化合物をグラフト共重合させることに
より、着色性、成形加工性、衝撃強度および耐薬品性に
著しく優れた耐候性樹脂を得ることに成功した。また該
ゴム成分の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを主
成分として含有し、かつ特定の条件を満足するビニル系
単量体をグラフト重合することにより、透明性に優れ、
耐衝撃性、特に成形加工性およびフローマーク等のない
外観に優れた耐候性樹脂を得ることに成功し、本発明に
至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、分子中に重合
体ブロックA、BおよびC(ただし、Aはビニル芳香族
化合物が90重量%以上のビニル芳香族化合物を主体と
する重合体ブロック、Bは1,2−ビニル結合含量が2
5〜70%のブタジエンとビニル芳香族化合物との共重
合体ブロック、Cは1,2−ビニル結合含量が25%未
満のポリブタジエン重合体ブロックである。)をそれぞ
れ1個以上有するブロック主重合体であって、該ブロッ
ク共重合体中の重合体ブロックAの含量が1〜40重量
%、重合体ブロックBの含量が30〜80重量%、重合
体ブロックCの含量が10〜50重量%であるブロック
共重合体、または該ブロック共重合体単位がカップリン
グ剤残基を介して上記重合体ブロックA、BおよびCの
うち少なくとも1つの重合体ブロックと結合したブロッ
ク共重合体であり、該ブロオク共重合体中のオレフィン
性不飽和結合の少なくとも80%以上を水素添加してな
る、数平均分子量が4万〜70万の水素化ブロック共重
合体(A)の存在下に、芳香族ビニル化合物単量体およ
び/または、(メタ)アクリル酸エステルからなる単量
体30〜100重量%と、シアン化ビニル化合物70〜
0重量%と、共重合可能な他の単量体0〜70重量%と
をグラフト共重合してなることを特徴とするゴム変形熱
可塑性樹脂、ならびに該ゴム変性熱可塑性樹脂10〜9
9重量%と下記の(ロ)および/または(ハ)からなる
重合体90〜1重量%とからなる組成物であり、かつ該
組成物中の水素化ブロック共重合体(A)の含有量が3
〜45重量%であることを特徴とするゴム変性熱可塑性
樹脂組成物を提供するものである。 (ロ)ビニル芳香族化合物および/または(メタ)アク
リル酸エステルからなる単量体30〜100重量%とシ
アン化ビニル化合物70〜0重量%を重合して得られる
重合体。 (ハ)ビニル芳香族化合物および/または(メタ)アク
リル酸エステルからなる単量体50〜97重量%、マレ
イミド系単量体3〜50重量%、シアン化ビニル化合物
0〜47重量%を重合して得られる重合体。
【0009】以下に、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の水素化ブロック共重合体(A)は、下記の重合
体ブロックA、BおよびCをそれぞれ1個以上有するも
のである。
【0010】ビニル芳香族化合物としては、例えばスチ
レン、パラメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、P−tert−ブチルスチレンなどが挙げ
られ、好ましくはスチレンである。
【0011】重合体ブロックAは、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルス
チレンなどのビニル芳香族化合物から選ばれた1種また
は2種以上のビニル芳香族化合物の90重量%以上を含
む重合体またはビニル芳香族化合物を90重量%以上含
むブタジエンとの共重合体であって、オレフィン性不飽
和結合の80%以上が水素化された重合体である。
【0012】水素化前のブロック共重合体中の重合体ブ
ロックAの含量は1〜40重量%、好ましくは3〜35
重量%であり、重合体中の重合体ブロックAの含量が1
重量%未満であると着色性が低下するとともに、樹脂の
配向性が大きくなり、強度異方性が強くなる。40重量
%を超すと、耐衝撃性が低下する。さらに重合体ブロッ
クAの数平均分子量は、好ましくは5,000〜70,
000である。重合体ブロックAのビニル芳香族化合物
含量が90重量%未満では、着色性が低下する。
【0013】重合体ブロックBは、ブタジエンとビニル
芳香族化合物のランダム共重合体であり、重合体ブロッ
クBの含量は30〜80重量%、好ましくは35〜70
重量%であって、水素化前のブロック共重合体中の重合
体ブロックBの含量が30重量%未満では、耐衝撃性が
低下し、80重量%を超えると着色性が低下する。重合
体ブロックBのブタジエン/ビニル芳香族化合物の比率
は99/1〜60/40であり、好ましくは、98/2
〜65/35、特に好ましくは、96/4〜70/30
である。芳香族ビニル量が1重量%以下の場合、ベース
ゴムの加工性が低下し、フローマークが発生する。一
方、40重量%以上である場合、ベースゴムの硬さが増
し、樹脂とした場合の耐衝撃強度が低下する。
【0014】重合体ブロックBの1,2−ビニル結合含
量は25〜70%、好ましくは30〜60%である。水
素化前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合含量が2
5%未満では水素化されたときポリエチレン連鎖が生成
し、ゴム的性質が失われる。また70%を超えると水素
化されたときガラス転移温度が高くなり、ゴム的性質が
失われる。重合体ブロックBは、好ましくは数平均分子
量30,000〜300,000であり、ポリブタジエ
ン部分を少くとも80%以上水素化した重合体である。
【0015】重合体ブロックCは、ポリブタジエンであ
り、重合体ブロックCの含量は10〜50重量%、好ま
しくは15〜45重量%である。重合体ブロックCの
1,2−ビニル結合含量は25%未満、好ましくは3〜
20%である。重合体ブロックC中の水素化前のポリブ
タジエンの1,2−結合含量が25%を超えると耐薬品
性が低下する。
【0016】重合体ブロックCは、好ましくは数平均分
子量10,000〜300,000のポリブタジエンを
少くとも80%以上水素化した重合体である。また、
1,2−ビニル結合が3%未満のポリブタジエンは、製
造が困難である。水素化前のブロック共重合体中の重合
体ブロックCの含量が10重量%未満では、耐薬品性が
低下し、含量が50重量%を超えると低温衝撃強度が低
下する。
【0017】水素化ブロック共重合体(A)は、重合体
ブロックA、BおよびCからなるブロック共重合体、あ
るいは該ブロック共重合体単位がカップリング剤残基を
介して重合体ブロックA、BおよびCのうち少なくとも
1つの重合体ブロックからなる重合体単位と結合したブ
ロック共重合体である。
【0018】水素化ブロック共重合体(A)の重合体分
子鎖は、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。水素化ブロ
ック共重合体(A)の数平均分子量は4万〜70万であ
る。4万以下では衝撃強度が低下し、70万以上では成
形外観が悪くなる。水素化ブロック共重合体(A)はオ
レフィン性不飽和結合が少くとも80%以上、好ましく
は90%以上水素化されていることが重要で、80%未
満では耐候性が低下する。
【0019】水素化ブロック共重合体(A)は、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などのα,β
−不飽和カルボン酸の酸無水物で酸変性するか、あるい
はグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル
エーテル、ビニルグリシジルエーテルなどのエポキシ基
を有する不飽和化合物で変性して用いてもよい。この場
合、エンプラなどの他の樹脂とブレンドしたときの相溶
性を改良することができ、性能の向上が可能である。
【0020】水素化ブロック共重合体(A)の分子量分
布(Mw /Mn )は成形外観の点で好ましくは10以下
である。
【0021】水素化ブロック共重合体(A)は、例え
ば、有機リチウム開始剤を用い、炭化水素溶媒中でアニ
オンリビング重合を行なうことにより得られる。また、
分岐状重合体は、3官能以上のカップリング剤を前記重
合終了時に必要量添加してカップリング反応を行なうこ
とにより得られる。
【0022】1,2−、3,4−結合などのビニル結合
含量をコントロールするためには、エーテル、3級アミ
ン化合物、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の
アルコキシド、フェノキシド、スルフォン酸塩が用いら
れる。
【0023】有機リチウム開始剤としては、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチル
リチウムなどが用いられる。炭化水素溶媒としては、ヘ
キサン、ヘプタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキ
サン、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルブテ
ン−1、2−メチルブテン−2などが用いられる。
【0024】重合はバッチ方式でも連続方式でもよく、
重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜100
℃の範囲であり、重合時間は10分〜3時間の範囲で行
われる。カップリング剤は3官能以上のカップリング剤
であり、その例としてはテトラクロロケイ素、ブチルト
リクロロケイ素、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロ
スズ、テトラクロロゲルマニウム、ビス(トリクロロシ
リル)エタン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジエステ
ル、エポキシ化液状ポリブタジエン、エポキシ化大豆
油、エポキシ化亜麻仁油、トリレンジイソシアナート、
ジフェニルメタンジイソシアナート、1,2,4−ベン
ゼントリイソシアナートなどが挙げられる。
【0025】こうして重合されたブロック重合体を水素
添加することにより、水素化ブロック重合体(A)が得
られる。水素化反応は上記ブロック重合体を炭化水素溶
媒中に溶解し、20〜150℃、1kg/cm2 〜10
0kg/cm2 の加圧水素下で水素化溶媒の存在下に行
われる。
【0026】水素化触媒としては、パラジウム、ルテニ
ウム、ロジウム、白金などの貴金属をシリカ、カーボ
ン、ケイソウ土などに担持した触媒、ロジウム、ルテニ
ウム、白金などの錯体触媒、コバルト、ニッケルなどの
有機カルボン酸と有機アルミニウムまたは有機リチウム
からなる触媒、ジシクロペンタジエニルチタンジクロリ
ド、ジシクロペンタジエニルジフェニルチタン、ジシク
ロペンタジエニルチタンジトリル、ジシクロペンタジエ
ニルチタンジベンジルなどのチタン化合物とリチウム、
アルミニウム、マグネシウムよりなる有機金属化合物か
らなる水素化触媒が用いられる。
【0027】本発明のゴム変形熱可塑性樹脂において
は、水素化ブロック共重合体(A)の存在下に、ビニル
単量体をラジカル重合する方法、例えば乳化重合法、塊
状重合法、懸濁重合法などを採用することができる。
【0028】本発明において用いる上記単量体は、芳香
族ビニル化合物単量体、および/または(メタ)アクリ
ル酸エステル30〜100重量%とシアン化ビニル化合
物70〜0重量%および共重合可能な他の単量体0〜7
0重量%である。
【0029】芳香族ビニル化合物単量体としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキ
シレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノ
ブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、
ビニルナフタレンなどがあり、これらは1種または2種
以上で使用される。好ましい芳香族ビニル化合物単量体
(B)は、スチレンまたは芳香族ビニル化合物中にスチ
レンを50重量%以上含んだものである。
【0030】(メタ)アクリル酸エステルとしては、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピレンア
クリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレ
ート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートな
どのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピレンメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘ
キシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタク
リレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタ
クリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタク
リレートなどのメタクリル酸アルキルエステルなどであ
る。特にメチルメタクリレートが好ましい。シアン化ビ
ニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリルなどのシアン化ビニル化合物があり、これらは1
種または2種以上で使用される。特にアクリロニトリル
が好ましい。共重合可能な他の単量体としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、シクロヘキシルマレイミドなどの
N−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミドなど
のN−芳香族マレイミドなどが挙げられる。
【0031】本発明において用いる好ましい単量体の組
合せの具体例を以下に例示する。 スチレン−アクリロニトリル スチレン−メチルメタクリレート スチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリレー
ト 上記のスチレンの一部または全部をα−メチルスチレン
に置換えることで、耐熱性を付与することができる。ま
たスチレンの一部または全部をハロゲン化スチレンで置
換えることで、難燃性を付与することができる。また、
上記の単量体の組合せでメチルメタクリレートを併用す
ると、ゴム変性熱可塑性樹脂の透明性が向上し、優れた
着色性を有する。
【0032】上記の製造方法で得られるゴム変性熱可塑
性樹脂は、メチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕
(30℃で測定)が好ましくは0.2dl/g以上、さ
らに好ましくは0.22〜1.5dl/g、特に好まし
くは0.24〜1.2dl/gのものである。
【0033】また、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂のグ
ラフト率は、好ましくは20〜90%の範囲のものであ
り、さらに好ましくは25〜85%、特に好ましくは3
0〜80%のものである。グラフト率が20%以下の場
合、実質的にグラフトしていなくとも、衝撃強度は十分
であるが、耐灯油性、耐ガソリン性などの耐溶剤性が著
しく低下し、また着色性、ウェルド外観の成形外観も悪
くなる。
【0034】上記ゴム変性熱可塑性樹脂における水素化
ブロック共重合体(A)の含有量(以下、ゴム含有量と
いう。)は、目的に応じて任意に選ぶことができるが、
樹脂の耐衝撃性、成形性や透明性を満足するために、そ
の範囲は5〜70重量%、好ましくは10〜65重量%
である。ゴム含有量が5重量%未満では耐衝撃性の不十
分な樹脂しか得られず、また70重量%を越えると表面
硬度が低下するため好ましくない。
【0035】上記ゴム変性熱可塑性樹脂を製造するため
の重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重
合法および乳化重合法など公知の方法が採用できる。
【0036】かくして得られるゴム変性熱可塑性樹脂
は、成形外観、耐候性、耐衝撃性、成形加工性および耐
薬品性が優れており、これらの特性を生かした種々の用
途に広く利用することができる。
【0037】本発明のゴム変性熱可塑性樹脂(イ)は、
目的に応じて下記の他の重合体とブレンドすることが可
能である。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエ
ーテル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポ
リアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ハイ
インパクトポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル
共重合体、ABS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩素化
ポリエチレン、本発明以外のAES樹脂、EPR、EP
DM、1,2−ポリブタジエンなどが挙げられる。これ
らは1種または2種以上で使用することができる。
【0038】他の重合体として、好ましくは、下記の
(ロ)、(ハ)が挙げられる。 (ロ)ビニル芳香族化合物および/または(メタ)アク
リル酸エステルからなる単量体30〜100重量%、好
ましくは30〜90重量%とシアン化ビニル化合物70
〜0重量%、好ましくは5〜70重量%を重合して得ら
れる重合体。 (ハ)ビニル芳香族化合物および/または(メタ)アク
リル酸エステルからなる単量体50〜97重量%、好ま
しくは55〜95重量%、マレイミド系単量体3〜50
重量%、好ましくは5〜45重量%、シアン化ビニル化
合物0〜47重量%、好ましくは2〜40重量%を重合
して得られる重合体。
【0039】上記のビニル芳香族化合物、(メタ)アク
リル酸エステル、シアン化ビニル化合物は先に挙げたも
のが該当し、好ましいビニル芳香族化合物はスチレン、
α−メチルスチレン、好ましい(メタ)アクリル酸エス
テルは、メチルメタクリレートである。
【0040】上記のマレイミド系単量体としては、マレ
イミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェ
ニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどが
挙げられ、好ましくはN−フェニルマレイミドである。
また無水マレイン酸等を共重合させ、それをイミド化す
る方法でもよい。
【0041】上記、ゴム変性熱可塑性樹脂(イ)に対す
る、(ロ)および/または(ハ)の重合体からなる組成
物の組成割合は好ましくは10〜99/90〜1重量
%、さらに好ましくは30〜95/70〜5重量%であ
り、かつ該組成物中の(イ)で使用されている水素化ブ
ロック共重合体(A)の含有量は3〜45重量%、好ま
しくは5〜40重量%である。上記の(ハ)を用いた組
成物は耐熱性が一段と優れる。
【0042】なお、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂およ
びこれを用いた組成物に対し、ヒンダートフェノール
系、リン系、および硫黄系などの酸化防止剤や、光安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、難燃剤、増強剤など
通常用いられる添加剤を、添加することができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。以下の文中、「部」「%」はすべて重量によ
る。各種物性試験法は、下記の要領に従って測定した。 記 (1) アイゾット衝撃強度:ASTM D−256
(断面1/4×1/2インチ、ノッチ付き) (2) 落錘衝撃強度:デュポンインパクトテスターを
用いて打撃棒先端R=1/2″で、厚み1.6mmの成
形品の落錘衝撃強度を測定した。 (3) 耐候性:カーボンアークを光源とするサンシャ
インウェザオメーター(スガ試験機株式会社WEL−6
XS−DC)に1000時間曝露し、アイゾット衝撃強
度を測定し、保持率を算出した。 試験条件 ブラックパネル温度 63±3℃ 槽内温度 60±5%RH 降雨サイクル 2時間毎に18分 カーボン交換サイクル 60Hr アイゾット衝撃強度 ASTM D−256 (断面1/8×1/2インチ) (4) 耐温灯油性:黒色ペレット(配合樹脂100重
量部、カーボンブラック0.5重量部、ステアリン酸C
a0.3重量部)による成形品をJIS 6号灯油(灯
油温度80℃)に浸漬し、50℃で1時間放置後表面を
拭き取り、乾燥後異常の有無を判断した。 判定基準 ◎…変色が全く認められない。 ○…変色が若干認められる。 ×…白化、光沢低下などの変化が認められる。 (5) グラフト率は、次の方法によって測定した。グ
ラフト重合体の一定量(x)をアセトン中に投入し、振
とう機で2時間振とうし、遊離の共重合体を溶解させ
る。遠心分離機を用いて、この溶液を23000r.
p.mで30分間遠心分離し、不溶分を得る。次に真空
乾燥により、120℃で1時間乾燥し不溶分(y)を得
る。グラフト率を次式より算出した。 (6) 着色性 熱可塑性樹脂組成物を下記配合量にて配合して、押出機
を通して着色ペレットを得た。それをさらに成形して色
調評価プレートを得た。また、黒色配合物の着色性につ
いては、色差計にて、明度を測定し、マンセル色数値
(値が大きい程着色性は悪い)で表わした。他の着色配
合については、彩度を目視で判定した。 黒色配合 樹脂 100 カーボンブラック 0.5 ステアリン酸Ca 0.3 赤色配合 樹脂 100 ベンガラ 1.0 ステアリン酸Ca 0.5 青色配合 樹脂 100 群青 1.0 ステアリン酸Ca 0.5 判定基準 ◎…非常に鮮明である。 ○…鮮明である。 △…○と×のあいだ ×…鮮明さが不足 ××…鮮明さがない。 (7) フローマーク 型締め圧力120tonの射出成形機を用い、肉厚2.
5mm、縦横の長さ各々150×150mmの平板を成
形し(成形温度22℃)、フローマークの発生状況を目
視で判定した。
【0044】〔ベースゴムNo.1の製造〕 (1) 50Lオートクレーブに脱気・脱水したシクロ
ヘキサン25000g、1,3−ブタジエン800gを
仕込んだのち、n−ブチルリチウム1.0gを加えて、
重合温度が50℃の等温重合を行なった。転化率がほぼ
100%となったのち、テトラヒドロフラン30.0
g、1,3−ブタジエン2400g、スチレン200g
を添加し、50℃から80℃の昇温重合を行なった。
【0045】転化率がほぼ100%となったのち、スチ
レン600gを加え、15分間重合を行なった。得られ
たA−B−Cトリブロック共重合体(末水素化重合体)
の分子特性を表1に示した。 (2) 次に別の容器でチタノセンジクロライド15.
0gをシクロヘキサン240mlに分散させて、室温で
トリエチルアルミニウム20gと反応させた。得られた
暗青色の見かけ上均一な溶液を(1)で得られたポリマ
ー溶液に加え、50℃で、50kgf/cm2 の水素圧
力下、2時間水素化反応を行なった。その後、メタノー
ル・塩酸で脱溶媒し、2,6−ジ−tert−ブチルカ
テコールを加えて減圧乾燥を行なった。得られた水素化
A−B−Cトリブロック共重合体(水素化重合体)の分
子特性を表1に示した。
【0046】〔ベースゴムNo.2〜20の製造〕モノ
マー組成、重合条件を変更して、表1,2,3に示すポ
リマー構造を有するベースゴムNo.2〜20を製造し
た。
【0047】
【表1】
【表2】
【表3】
【0048】実施例1 リボン型攪拌翼を備えた内容積10Lのステンレス製オ
ートクレーブに予め均一溶液にした水添ベースゴムN
o.1を30重量部、スチレン70重量部、トルエン1
20重量部およびターシャリ−ドデシルメルカプタン
0.1重量部を仕込み、攪拌しながら昇温し50℃にて
ベンゾイルパーオキサイド0.5重量部、ジクミルパー
オキサイド0.1重量部を添加し、さらに昇温し、80
℃に達した後は80℃で一定に制御しながら攪拌回転数
200rpmにて重合反応を行なわせた。反応開始後6
時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、さらに
2時間反応を行って終了した。重合転化率は97%であ
った。
【0049】100℃まで冷却後2,2−メチレンビス
−4−メチル−6−t−ブチルフェノール0.2重量部
を添加したのち、反応混合物をオートクレーブより抜き
出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し細かく
粉砕したのち40mmφベント付押出機(220℃、7
00mmHg真空)にて実質的に揮発分を留去するとと
もに重合体をペレット化した。
【0050】比較例1 ベースゴムをJSR EP22(ヨウ素価15、ムーニ
ー粘度42、プロピレン含有率43重量%、ジエン成分
5−エチリデン−2−ノルボルネン)を25重量部と
し、スチレン52.5重量部、アクリロニトリル22.
5重量部とし、実施例1と同方法で重合体を得た。
【0051】実施例2 ベースゴム種をNo.1とし単量体をスチレン49重量
部、アクリロニトリル21重量部とした以外は実施例1
と同方法で重合体を得た。
【0052】実施例3 単量体をメチルメタクリレート35重量部、スチレン3
5重量部とした以外は、実施例1と同方法で重合体を得
た。
【0053】実施例4 単量体をメチルメタクリレート35重量部、スチレン1
7.5重量部、アクリロニトリル17.5重量部とした
以外は、実施例1と同方法で重合体を得た。
【0054】実施例5 ゴムNo.1を50重量部、スチレン35重量部、アク
リロニトリル15重量部、トルエン150重量部、t−
ドデシルメルカプタン0.05重量部、ベンゾイルパー
オキシド0.4重量部、ジフミルパーオキサイド0.0
6重量部とし、実施例1と同方法で重合後、本例と同じ
モノマー組成のマトリックス樹脂をブレンドし、最終的
なゴム含有率を25重量%とした。
【0055】実施例6 モノマー組成として、メチルメタクリレート25重量
部、スチレン12.5重量部、アクリロニトリル12.
5重量部とした以外は実施例5と同方法で重合体を得、
本例と同一のモノマー組成のマトリックス樹脂をブレン
ドし、最終的なゴム含有率を25重量%とした。
【0056】実施例7〜12 ベースゴムNo.を各々2〜7とした以外は、実施例2
と同じ方法で重合体を得た。尚、実施例7はスチレン−
N−フェニルマレイミド−メチルメタクリレート共重合
体のブレンド物の例を示す。 実施例13 単量体をメチルメタクリレート70重量部とした以外
は、実施例1と同方法で重合体を得た。
【0057】比較例2〜14 ベースゴム種をNo.8〜20とした以外は実施例2と
同方法で重合体を得た。実施例、比較例を各々表4,
5,6,7に示す。
【0058】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0059】
【発明の効果】表3,4に掲げた本発明のゴム変性熱可
塑性樹脂および、その組成物に関する実施例及び比較例
から明らかなように、本発明のゴム構造以外のゴムを使
用した場合、塗装等表面処理をしない事を前提とした耐
候性樹脂に求められる要件、即ち耐衝撃性、成形外観
(着色性、フローマークetc.)、耐薬品性、耐候性
を全て満足させるものは見出せなかった。一方、本発明
のゴム強化樹脂を用いることで、これらの特性すべてを
満足させることができることが判った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 55/02 C08L 55/02 (72)発明者 鴨志田 洋一 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−302415(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 287/00 C08L 25/04 C08L 33/06 C08L 35/00 C08L 35/04 C08L 55/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に重合体ブロックA、BおよびC
    (ただし、Aはビニル芳香族化合物が90重量%以上の
    重合体ブロック、Bは1,2−ビニル結合含量が25〜
    70%のブタジエンとビニル芳香族化合物の共重合体ブ
    ロック、Cは1,2−ビニル結合含量が25%未満のポ
    リブタジエン重合体ブロックである。)をそれぞれ1個
    以上有するブロック共重合体であって、該ブロック共重
    合体中の重合体ブロックAの含量が1〜40重量%、重
    合体Bの含量が30〜80重量%、重合体ブロックCの
    含量が10〜50重量%であるブロック共重合体、また
    は該ブロック共重合体単位がカップリング剤残基を介し
    て上記重合体ブロックA、BおよびCのうち少なくとも
    1つの重合体ブロックと結合したブロック共重合体であ
    り、該ブロック共重合体中のオレフィン性不飽和結合の
    80%以上を水素添加してなる、数平均分子量が4万〜
    70万の水素化ブロック共重合体(A)の存在下に、ビ
    ニル芳香族化合物および/または(メタ)アクリル酸エ
    ステルからなる単量体30〜100重量%と、シアン化
    ビニル化合物70〜0重量%と、共重合可能な他の単量
    体0〜70重量%とをグラフト共重合してなることを特
    徴とするゴム変性熱可塑性樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1のゴム変性熱可塑性樹脂10〜
    99重量%(イ)と下記の(ロ)および/または(ハ)
    からなる重合体90〜1重量%とからなる組成物であ
    り、かつ該組成物中の水素化ブロック共重合体(A)の
    含有量が3〜45重量%であることを特徴とするゴム変
    性熱可塑性樹脂組成物。 (ロ)ビニル芳香族化合物および/または(メタ)アク
    リル酸エステルからなる単量体30〜100重量%とシ
    アン化ビニル化合物70〜0重量%を重合して得られる
    重合体。 (ハ)ビニル芳香族化合物および/または(メタ)アク
    リル酸エステルからなる単量体50〜97重量%、マレ
    イミド系単量体3〜50重量%、シアン化ビニル化合物
    0〜47重量%を重合して得られる重合体。
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