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JP3238540B2 - 鉄骨有孔梁及び建造物 - Google Patents
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JP3238540B2 - 鉄骨有孔梁及び建造物 - Google Patents

鉄骨有孔梁及び建造物

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JP3238540B2
JP3238540B2 JP20166093A JP20166093A JP3238540B2 JP 3238540 B2 JP3238540 B2 JP 3238540B2 JP 20166093 A JP20166093 A JP 20166093A JP 20166093 A JP20166093 A JP 20166093A JP 3238540 B2 JP3238540 B2 JP 3238540B2
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勉 加藤
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財団法人熔接研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄骨有孔梁及び建造物に
係り、更に詳しくは、耐震耐風構造で且つ無補強の孔が
穿設された鉄骨有孔梁及びこの鉄骨有孔梁を利用した建
造物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】柱と梁
との構造部材から構成される構造体が、極めて希に発生
する地震あるいは強風によって大きな水平力を受ける
際、梁の端部を塑性化させることによって水平力のエネ
ルギーを吸収する構造方式が一般に採用されている。
【0003】一方、建築物では、その建築物の暖冷房、
給排水等の諸設備配管を床下(あるいは天井裏)に配置
することが多く、その際、建築物の階高の有効利用を図
るため、床下(あるいは天井裏)の梁に孔を穿設し、穿
設した孔に上記配管類を通すことが多い。
【0004】梁に孔を穿設した場合、孔を穿設した部分
(有孔部分)の梁の耐荷力が低下するため、従来、鉄骨
造では、図1(1),(2)に示すように、梁10の孔
が穿設された部分に両側からドーナツ状のプレート12
を溶接する方法や、孔の直径と略同じ外径の短い円形鋼
管で構成されたスリーブを孔に嵌合してウェブに溶接す
る方法や、フランジの幅に相当するプレートを斜め交差
状に溶接する方法などにより、孔穿設による耐力の低下
を補強している。この補強は、通常、梁に穿設した全て
の孔に実施されており、この補強のために鉄骨梁の製作
上多くの費用を必要としている。
【0005】本発明は、上述した従来の事情に鑑みてな
されたものであって、構造体の地震力や風力に対する耐
力を損なうこと無く、梁に設備配管のための孔を無補強
で設け、補強に要する費用を減じた、低コストの鉄骨有
孔梁及びこの鉄骨有孔梁を利用した建造物を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
複数の孔が穿設され且つ柱と剛接又は半剛接される断面
が一様な鉄骨有孔梁であって、柱と剛接又は半剛接され
た鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重の少なくとも一方及
び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔部分の塑性曲げ
耐力が作用曲げモーメントと等しくなる時、有孔部分の
剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領域内に穿設され
た孔を補強しないようにし、且つ該領域外に穿設された
孔を補強するようにしたことを特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】請求項記載の発明は、孔が穿設され且つ
柱と剛接又は半剛接される断面が一様な鉄骨有孔梁であ
って、柱と剛接又は半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重
及び風荷重の少なくとも一方及び積載荷重が作用して鉄
骨有孔梁の有孔部分の塑性曲げ耐力が作用曲げモーメン
トと等しくなる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力よ
り大きくなる領域内に前記孔を穿設して補強しないよう
にし、且つ該領域外に前記孔を穿設しないようにしたこ
とを特徴とする。
【0010】請求項記載の発明は、複数の孔が穿設さ
れ且つ柱と剛接又は半剛接されると共に中央部断面が一
様で且つ両端部断面が中央部断面より幅厚比の小さい鉄
骨有孔梁であって、柱と剛接又は半剛接された鉄骨有孔
梁に地震荷重及び風荷重の少なくとも一方及び積載荷重
が作用して鉄骨有孔梁の中央部の有孔部分の塑性曲げ耐
力が作用曲げモーメントと等しくなる時、有孔部分の剪
断耐力が作用剪断力より大きくなる領域内に穿設された
孔を補強しないようにし、且つ該領域外に穿設された孔
を補強するようにしたことを特徴とする。
【0011】なお、請求項に記載の鉄骨有孔梁におい
て、前記鉄骨有孔梁の両端部の有孔部分の塑性曲げ耐力
が作用曲げモーメントと等しくなる時、有孔部分の剪断
耐力が作用剪断力より大きくなる両端部の領域内に穿設
された孔を補強しないようにすることができる
【0012】請求項記載の発明は、孔が穿設され且つ
柱と剛接又は半剛接されると共に中央部断面が一様で且
つ両端部断面が中央部断面より幅厚比の小さい鉄骨有孔
梁であって、柱と剛接又は半剛接された鉄骨有孔梁に地
震荷重及び風荷重の少なくとも一方及び積載荷重が作用
して鉄骨有孔梁の有孔部分の塑性曲げ耐力が作用曲げモ
ーメントと等しくなる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪
断力より大きくなる領域内に前記孔を穿設して補強しな
いようにし、且つ該領域外前記孔を穿設しないようにし
たことを特徴とする。
【0013】なお、請求項に記載の鉄骨有孔梁におい
て、前記鉄骨有孔梁の両端部の有孔部分の塑性曲げ耐力
が作用曲げモーメントと等しくなる時、有孔部分の剪断
耐力が作用剪断力より大きくなる両端部の領域内に前記
孔を更に穿設することができる。
【0014】請求項記載の発明に係る鉄骨有孔梁は、
フランジとウェブとから成り、断面が一様なH形鋼の梁
端からの距離dが以下の式を満足するウェブの領域に、
無補強の孔を穿設し、且つ該領域外に孔を穿設しないよ
うにしたことを特徴とする。
【0015】
【数7】
【0016】ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp :H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
部分の降伏剪断力 Mphf :フィーレンディール効果を考慮したフランジの
全塑性モーメント である。
【0017】請求項記載の発明、フランジとウェブ
とから成り、フランジ中央部の幅厚比が所定値で且つフ
ランジ両端部の幅厚比が前記所定値より小さいH形鋼の
梁端からの距離de が以下の式を満足するウェブの領域
に、無補強の孔を穿設し、且つ該領域外に孔を穿設しな
いようにしたことを特徴とする。
【0018】
【数8】
【0019】ただし、 Meh:有孔部分の弾性限モーメント de :梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp :H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qeh:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
部分の降伏剪断力に降伏剪断耐力係数を乗じた値 Mehf :フィーレンディール効果を考慮したフランジの
みの弾性限モーメント である。
【0020】請求項記載の発明は、請求項記載の鉄
骨有孔梁において、前記H形鋼の梁端からの距離dが以
下の式を満足するウェブの領域に、無補強の孔を更に穿
設したことを特徴とする。
【0021】
【数9】
【0022】ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp :H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
部分の降伏剪断力 Mphf :フィーレンディール効果を考慮したフランジの
全塑性モーメント である。
【0023】
【0024】請求項記載の発明は、柱と孔が穿設され
た断面が一様な鉄骨有孔梁とから構成された剛接又は半
剛接骨組みを備えた建造物において、鉄骨有孔梁に地震
荷重及び風荷重の少なくとも一方及び積載荷重が作用し
て鉄骨有孔梁の有孔部分の塑性曲げ耐力が作用曲げモー
メントと等しくなる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断
力より大きくなる領域内に前記孔を穿設して補強しない
ようにし、且つ該領域外に前記孔を穿設しないようにし
たことを特徴とする。
【0025】請求項記載の発明は、柱と、孔が穿設さ
れると共に中央部断面が一様で且つ両端部断面が中央部
断面より幅厚比の小さい鉄骨有孔梁とから構成された剛
接又は半剛接骨組みを備えた建造物において、鉄骨有孔
梁に地震荷重及び風荷重の少なくとも一方及び積載荷重
が作用して鉄骨有孔梁の有孔部分の塑性曲げ耐力が作用
曲げモーメントと等しくなる時、有孔部分の剪断耐力が
作用剪断力より大きくなる領域内に前記孔を穿設して補
強しないようにし、且つ該領域外に前記孔を穿設しない
ようにしたことを特徴とする。
【0026】なお、請求項記載の建造物において、前
記鉄骨有孔梁の両端部の有孔部分の塑性曲げ耐力が作用
曲げモーメントと等しくなる時、有孔部分の剪断耐力が
作用剪断力より大きくなる両端部の領域内に前記孔を更
に穿設することができる。
【0027】請求項10記載の発明に係る建造物は、柱
と、フランジとウエブとから成る断面が一様なH形鋼の
梁端からの距離dが以下の式を満足するウエブの領域
に、孔を穿設して補強しないようにし、且つ該領域外に
前記孔を穿設しないようにした鉄骨有孔梁と、から構成
された剛接又は半剛接骨組を備えている。
【0028】
【数10】
【0029】ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp :H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
部分の降伏剪断力 Mphf :フィーレンディール効果を考慮したフランジの
全塑性モーメント である。
【0030】請求項11記載の発明に係る建造物は、柱
と、フランジとウェブとから成り,フランジ中央部の幅
厚比が所定値で且つフランジ両端部の幅厚比が前記所定
値より小さいH形鋼の梁端からの距離de が以下の式を
満足するウェブの領域に、孔を穿設して補強しないよう
にし、且つ該領域外に前記孔を穿設しないようにした鉄
骨有孔梁と、から構成された剛接又は半剛接骨組みを備
えている。
【0031】
【数11】
【0032】ただし、 Meh:有孔部分の弾性限モーメント de :梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp :H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qeh:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
部分の降伏剪断力に降伏剪断耐力係数を乗じた値 Mehf :フィーレンディール効果を考慮したフランジの
みの弾性限モーメント である。
【0033】請求項12記載の発明は、請求項11記載
の建造物において、前記H形鋼の梁端からの距離dが以
下の式を満足するウェブの領域に、無補強の孔を更に穿
設して補強しないようにしたことを特徴とする。
【0034】
【数12】
【0035】ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp :H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
部分の降伏剪断力 Mphf :フィーレンディール効果を考慮したフランジの
全塑性モーメント である。
【0036】
【作用】請求項1記載の鉄骨有孔梁は、断面が一様で、
複数の孔が穿設され且つ柱と剛接又は半剛接され、建造
物に使用される。この鉄骨有孔梁において、柱と剛接又
は半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重の少な
くとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔部
分の塑性曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しくなる
時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領
域内に穿設された孔は補強されていない。この領域外に
も孔を穿設しても良いが、その場合には補強する必要が
ある。
【0037】
【0038】
【0039】また、請求項に記載の鉄骨有孔梁の如く
上記領域内にのみ孔を穿設することができる。
【0040】請求項記載の鉄骨有孔梁は、中央部断面
が一様で且つ両端部断面が中央部断面より幅厚比が小さ
く、孔が穿設され且つ柱と剛接又は半剛接され、建造物
に使用される。この鉄骨有孔梁において、柱と剛接又は
半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重の少なく
とも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の中央部の
有孔部分の弾性限曲げ耐力が作用曲げモーメントと等し
くなる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きく
なる領域内に穿設された孔は補強されていない。この領
域外にも孔を穿設しても良いが、その場合には補強する
必要がある。
【0041】また、請求項記載の鉄骨有孔梁の如く、
上記領域内にのみ孔を穿設することができる。
【0042】なお、請求項記載の鉄骨有孔梁におい
て、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる両
端部の領域内に穿設された孔も補強されていない。この
領域外の両端部の領域に孔を穿設しても良いが、その場
合には補強する必要がある。
【0043】
【0044】請求項記載の鉄骨有孔梁の如く、梁が断
面一様であるH形鋼の場合には、梁端からの距離dが上
記の式を満足するウエブの領域に、無補強の孔を穿設す
ることができる。
【0045】請求項記載の鉄骨有孔梁の如く、梁がフ
ランジ中央部の幅厚比が所定値で且つフランジ両端部の
幅厚比が前記所定値より小さいH形鋼の場合には、梁端
からの距離de が上記の式を満足するウエブの領域に、
無補強の孔を穿設することができる。
【0046】請求項記載の鉄骨有孔梁の如く、梁がフ
ランジ中央部の幅厚比が所定値で且つフランジ両端部の
幅厚比が前記所定値より小さいH形鋼の場合に、梁端か
らの距離de が上記の式を満足するウエブの領域に、無
補強の孔を穿設し、梁端からの距離dが上記の式を満足
するウエブの領域に、無補強の孔を更穿設することが
できる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の第1実施例を図2ないし図8
に基づいて説明する。
【0048】図2(1),(2)に示すように、本実施
例の鉄骨有孔梁16は、無補強の孔18が複数個穿設さ
れ、両端が柱20と剛接又は半剛接されている。孔18
の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、台
形等の何れでもよいが、以下では説明を簡単にするため
に、幅がB、厚みがtf のフランジ16Aと、うちのり
の梁成がhで厚みがtw のウエブ16Bから成るH形鋼
の梁16に円形貫通孔18を穿設する場合を例にとって
説明する。
【0049】無補強の孔18を穿設することができる梁
端からの最短距離dは次のように決定する。先ず、鉄骨
有孔梁には、終局状態における応力分布として、鉛直荷
重と梁の両端がヒンジとなる地震力(または風力)とが
作用していると仮定する。この状態で梁端の曲げモーメ
ントと剪断力とが求まれば、設定された断面の梁の任意
の位置で作用する曲げモーメント分布と剪断力分布とが
既知となる。
【0050】次に、設定された梁の無孔部分と有孔部分
との終局状態における耐力を設定する。梁が曲げモーメ
ントと同時に剪断力を受ける時には、剪断力の大きさに
よって全塑性モーメントの値は減少する。これは、曲げ
モーメントMと剪断力Qの相関関係図で表すことがで
き、無孔部分の曲げモーメントと剪断力の相関関係は図
3のようになる。ここに、Mp は全塑性モーメント、M
pf はフランジのみの全塑性モーメント、及びQy は剪
断降伏耐力である。
【0051】また、有孔部分の曲げモーメントMと剪断
力Qとの相関関係は図4のように表せる。ここに、Mph
は孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント、M
phf はフィーレンディール効果を考慮したフランジのみ
の全塑性モーメント、及びQphはフィーレンディール効
果を考慮した有孔部分ウェブの降伏剪断力である。そし
て、図3の相関関係を用いて梁の両端の終局状態におけ
る曲げモーメントM PL(図5において左端)、MPR(図
5において右端)を算出する。曲げモーメントMPL、M
PRにより、梁の任意点における曲げモーメントと剪断力
とが決定できる。これにより、図4の相関関係を用いて
有孔部分の曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しくな
り、且つ有孔部分の剪断力が作用剪断力より大きいとき
の最短距離dが求まる。
【0052】この最短距離dの求め方について更に詳述
する。まず、適用条件として次の4つの条件を考える。
ただし、Rは孔の半径、hはうちのり梁成、tW はウエ
ブの厚みである。
【0053】(1)孔は梁成の中心にあける。
【0054】
【数13】
【0055】すなわち、孔の直径2Rは梁成の60%以
下とする。 (3)ウエブ幅厚比h/tW は、基準法で定めるFAラ
ンクとする。
【0056】(SS41,SM50) (4)複数孔のときは孔のピッチP(孔の中心から中心
までの距離)はP>hとする。
【0057】上記の適用条件で終局状態における応力分
布を考える(但し、以下では、歪硬化を考えず、完全−
弾塑性形のσ−ε関係を用いて行っている)。なお、鉛
直荷重時の柱の軸変形、節点回転によって生ずる剪断力
は無視する。
【0058】原点よりxの位置における剪断力Qx は、
梁の長さ(スパン長)をL、鉛直荷重密度をwとする
と、次の(1)式で与えられる。
【0059】
【数14】
【0060】図5のような右手座標系では、Qx は負号
となるが、絶対値を問題とするので正号で表示してい
る。
【0061】(1)式から理解されるように、剪断力Q
x はxが増加するに従って、左Lから右Rの方へ増大す
る。
【0062】曲げモーメントMPL、MPRは剪断力の大き
さにより異なる値をとる。また、合成梁の場合は正曲
げ、負曲げによっても値が異なる。
【0063】ここでは問題を単純化して、スラブの寄与
を無視して、鉄骨梁のみで考える。スラブの耐力寄与分
は余力とする。
【0064】H形断面無孔部分の終局状態における曲げ
モーメントMx と剪断力Qx との関係、すなわちM−Q
相関関係は図4より近似的に次式で与えられる。
【0065】
【数15】
【0066】ただし、Qx ≦Qy であり、MpfはBtf
(h+tf )σy f で表せるフランジのみの全塑性モー
メント(ただし、B:フランジの幅、tf :フランジの
厚み、σy f :フランジ材の降伏点である)、Qy はh
w τyw で表せるウエブの降伏剪断力(ただし、
w :ウエブの厚み、τyw =σyw /√3(σyw
ウエブ材の降伏点))である。
【0067】(1)式において、x=0,Lのときの剪
断力QL ,QR は次のようになる。
【0068】
【数16】
【0069】この剪断力QL ,QR を(2)式のQxに
代入し、
【0070】
【数17】
【0071】と、Qy =htw σyw/√3の関係を用い
て曲げモーメントMPL、MPRを求めると次のようにな
る。
【0072】
【数18】
【0073】梁端から距離dの位置に作用する剪断力 d
L dR は、(1)式にそれぞれ、x=d、x=L
−dを代入し、且つ、(3)式のMPL、MPRを用いて
(4)式のように表せる。
【0074】
【数19】
【0075】原点からxの位置に作用する曲げモーメン
トMx は、次の式で与えられる。
【0076】
【数20】
【0077】上記(3)式と(5)式より梁端よりx=
d、x=L−dの位置での曲げモーメント dL d
R はそれぞれ次のようになる。
【0078】
【数21】
【0079】なお、上式で dR の負号は抹消して絶対
値で考える。上記(4)、(6)式より、明らかに d
L dR dL dR であり、梁端から距離dの
位置の剪断力と曲げモーメントは左右端で大小関係が逆
になっている。
【0080】地震時や強風時にはモーメント分布は逆転
を繰り返すので、左側と右側のうち条件が厳しい方を検
討すればよい。
【0081】孔位置での図5に示す終局状態における曲
げモーメントMh と剪断力Qh の相関関係式は、上記
(2)式と同様に次の(7)式で与えられる。
【0082】
【数22】
【0083】なお、上記、α、βにおいて、設計的には
第3項を無視してよい。また、上記(7)、(8)式に
おける記号は次の通りである。
【0084】Mph:孔断面欠損を考慮した、梁の全塑性
モーメント Mpf:フランジのみの全塑性モーメント Mphf :フィーレンディール効果を考慮したフランジの
みの全塑性モーメント Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
部分の降伏剪断力 梁の端部が終局状態になる場合、すなわち有孔部分の曲
げ耐力が作用曲げモーメントと等しくなる時、有孔部分
の剪断耐力が作用剪断力より大きくなれば、孔を補強し
なくてよい。
【0085】まず、上記条件より、有孔部分の曲げ耐力
が作用曲げモーメントと等しいことが必要であるので、
左端Lに於いては(6)式の dL と(7)式のMh
が等しければよい。これより、剪断力Qh を求めると、
【0086】
【数23】
【0087】また、上記条件より剪断力Qh が(4)式
の作用剪断力 dL より大きくなる必要があるので次の
(10)式が得られる。
【0088】
【数24】
【0089】一方、右端Rに於いては、左端Lの場合と
同様に、(6)式の dR と(7)式のMh とが等しけ
ればよい。これより、剪断力Qh を求めると、
【0090】
【数25】
【0091】また、上記条件より、剪断力Qh が(4)
式の作用剪断力 dR より大きくなる必要があるので、
次の(11)式が得られる。
【0092】
【数26】
【0093】上記(10)、(11)式の右端、左端での条
件よりそれぞれ距離dを求め、いづれか大きい方が許容
される距離dの値になる。なお、(10)、(11)式中の
諸量は、以下の通りである。
【0094】
【数27】
【0095】フィーレンディール効果を考慮した有孔部
分ウエブの降伏剪断力Qph:(9)式 フィーレンディール効果を考慮したフランジの全塑性モ
ーメントMphf :(8)式 以上の結果、梁の両端から距離d以上の梁スパン中間の
ウェブ領域には梁成h(フランジ内のり成)より大きい
間隔(ピッチ:P)で円形貫通孔を複数個設けることが
できる。孔の直径は梁成の60%以下である。また、耐
震性能を有する梁として、梁端のヒンジを形成する塑性
域における幅厚比は、学会P−Iクラス又はセンターF
Aクラスの幅厚比を満足する。
【0096】次に、適用限界について考察する。適用限
界は、梁スパン中間に塑性ヒンジ(最大モーメント)が
生じないことである。塑性ヒンジ点で剪断力が零、即ち
曲げモーメントの1階微分が
【0097】
【数28】
【0098】の条件を満足する上記(5)式より塑性ヒ
ンジ点位置xを求め、(3)式を用いてMPL、MPRを消
去すると、x≦0とL≦xより次の条件が得られる。
【0099】
【数29】
【0100】実用計算に於いては、孔位置での曲げモー
メントMh と剪断力Qh の相関式を表す上記(7)式に
おいて、Qh ≦Qphを先に確認しておくのがよい。
【0101】次に上記(10)、(11)式を以下の記号の
関係に無次元量を導入して書き換えると次の(13)式が
得られる。
【0102】
【数30】
【0103】右辺の第2項は明らかに正であるから正号
の場合について検討すればよい。
【0104】
【数31】
【0105】即ち、(14)式を満足するdを採用すれば
孔は無補強でよい。短スパンの梁では(14)式を満足さ
せるのは難しい場合が多いが、1)孔を小さくする、
2)ウェブの降伏点を上げる、3)フランジ面積を小さ
くする、4)ウェブを厚くする等の対策をとればよい。
【0106】次に、上記の内容を実験によって検討す
る。まず、鉛直荷重が作用しない場合は上記においてw
=0とすればよい。この条件より、上記(10)、(11)
式は次のようになる。
【0107】
【数32】
【0108】以下で孔位置降伏先行の実験データだけを
集めて、理論値の妥当性の検証を行う。理論評価式で
は、断面の幅厚比(h/tw 、b/tf )、孔の大き
さ、
【0109】
【数33】
【0110】材料強度が関係するので、普遍的評価は困
難であるが、これらの比較的近いものを取り上げ比較、
検討を行う。表1は比較の一覧である。
【0111】
【表1】
【0112】これを1つの図上に表したものが図6であ
る。線Aは純剪断を受けるHS−1、HS−2、HS−
3の試験体、線Bは曲げ剪断を受けるHBS−1,HB
S−2,HBS−3,HBS−4である。○、●印はH
S−1〜HS−3及びHBS−1の実験値、□、■はH
BS−2〜HBS−4の実験値、またそれぞれの白抜き
の印は降伏荷重、黒く塗りつぶした印は、終局耐力であ
る。降伏耐力に関しては、理論値と実験値との対応は良
好である。問題は有孔梁の終局状態での耐力・変形能力
であるから、有孔部分の降伏(全塑性状態)後終局耐力
に至る迄の余力と無孔部分である梁端の全塑性耐力から
終局耐力に至る迄の余力とを比較しておく必要がある。
【0113】上記各試験体の終局耐力の降伏耐力に対す
る比は表2のようになっている。
【0114】
【表2】
【0115】一方H形断面部材の材端における、終局耐
力のH形断面の全塑性モーメントM p からの上昇率は、
鋼材料の応力−歪関係(降伏比)、断面要素の局部座屈
強さで決り、h/tw 、b/tf がその主なパラメータ
であるが鋼材料の応力−歪関係(降伏比)にも影響され
る。今回の試験体の応力−歪関係をSM490並みのそ
れとして評価すると
【0116】
【数34】
【0117】S:全塑性状態から最大耐力迄の耐力上昇
率 上式により、それぞれAグループ、Bグループの試験体
の耐力上昇率を計算すると Aグループ:S=1.133 Bグループ:S=1.141 となり、有孔部分の耐力上昇率と著しい差はなく、概し
て孔部分の耐力上昇率の方が大きいので、補強要否の評
価は、降伏(全塑性)ベースで評価しておけばよい。
【0118】次に、変形能力を、
【0119】
【数35】
【0120】で評価する。本論で取り上げた孔部分降伏
先行型の梁の変形能力は表3のようになる(図7参
照)。
【0121】
【表3】
【0122】一方、梁端降伏が先行した場合(曲げ剪断
力;R=0.23)および孔のないH形鋼の変形能力は表4
のようになっている(図8参照)。
【0123】
【表4】
【0124】表3、表4に見る如く、孔降伏先行型と梁
端降伏先行型では、変形能力に歴然たる差異があり、後
者の変形能力が優れていることが判る。B−1〜B−2
の梁フランジの幅厚比がH形鋼のフランジ幅厚比よりか
なり大きいことを考えると、これらの変形能力は同寸法
のH形鋼の変形能力に匹敵するものであると言える。
【0125】結論として鉄骨有孔梁の設計では、上記
(10)式または(11)式に従って、梁端降伏先行型にな
るよう設計するとよい。
【0126】なお、上記第1実施例では、2個の孔を穿
設した例について説明したが図9に示すように3以上の
孔を穿設してもよい。
【0127】次に、本発明の第2実施例を図10ないし
図14に基づいて説明する。図10(1),(2)に示
すように、本実施例の鉄骨有孔梁26は、無補強の孔1
8A,18Bが複数個穿設され、両端が柱20と剛接又
は半剛接されている。この鉄骨有孔梁26は、長手方向
中央部(長さL1 の部分)の第1のH形鋼28と、この
H形鋼28の両端に溶接された第2のH形鋼30とから
成る。なお、鉄骨有孔梁26は、第1のH形鋼28部分
及び第2のH形鋼30部分が一体成形されたものであっ
てもよい。
【0128】第1のH形鋼28部分は、幅がB1 、厚み
がtf1のフランジ28Aと、うちのりの梁成がh1 で厚
みがtw1のウェブ28Bから成り、第2のH形鋼30部
分は、長手方向中央部よりの端部の幅がB1 で長手方向
両端の幅がB2 、厚みがt f2 のフランジ30Aと、う
ちのりの梁成がh2 で厚みがtw2のウェブ30Bから成
る。ここで、フランジの幅厚比は、フランジ28A部分
で学会P−III クラス、又はセンターFCクラスとし、
フランジ30A部分で学会P−Iクラス、又はセンター
FAクラスとする。従って、フランジ28A部分では、
フランジ30A部分の3倍の局部座屈に対する耐力が保
証される。
【0129】孔18A,18Bの形状は、円形、楕円
形、正方形、長方形、三角形、台形等の何れでもよい
が、以下では説明を簡単にするために、上記鉄骨有孔梁
26の第1のH形鋼28と第2のH形鋼30部分にそれ
ぞれ半径R1 ,R2 の円形貫通孔18A,18Bを穿設
する場合を例にとって説明する。
【0130】本実施例においては、dの決定は第1実施
例と同様の方法で決定することができ、この際に、フラ
ンジの幅が一定でなく、長手方向に沿って変化すること
を考慮すれば足りる。また、梁長手方向両端の所要ウェ
ブ厚tw2の決定に際して、Q h ≦ Qphの確認する場合
には次式による。
【0131】
【数36】
【0132】この場合において、図13に示されるよう
に梁材端にスカラップがある時はhを実高さhe とす
る。
【0133】無補強の孔18Aを穿設することができる
梁端からの最短距離de は次のように決定する。
【0134】先ず、鉄骨有孔梁には、終局状態における
応力分布として、鉛直荷重と梁の両端が塑性ヒンジとな
る地震力(または風力)とが作用していると仮定する。
なお、本実施例の場合、梁の両端部分は、割増断面が用
いられており、この端部を塑性化させて水平力をエネル
ギーを吸収する構造方式となっている。
【0135】上記の仮定の下で、梁端の曲げモーメント
と剪断力とが求まれば、設定された断面の梁の任意の位
置で作用する曲げモーメント分布と剪断力分布とが既知
となる。
【0136】ここで、前提となる適用条件は、第1実施
例と同様の条件を用いる。即ち、 (1)孔は梁成の中心にあける。
【0137】
【数37】
【0138】ただし、h1 ≒h2 ≒hとする。即ち、孔
の直径2R1 ,2R2 はそれぞれの梁成の60%以下と
する。
【0139】(3)ウェブ幅厚比h/tw2は、学会P−
Iクラス又はセンターFAクラスとし、ウェブ幅厚比h
/tw1は学会P−III クラス、又はセンターFCクラス
とする。
【0140】(4)複数孔のときは孔のピッチP(孔の
中心から中心までの距離)はP>hとする。
【0141】梁スパン中間領域(距離L1の部分)に設
けられた孔位置に作用する力(M,Q)が、有孔断面の
弾性限耐力( eh eh )より小さくなるような梁
端からの距離de を求める。
【0142】フィーレンディール効果は、弾性と塑性で
変わらないと仮定して有孔部分のM−Q相関関係図は、
図14に示されるようになる。
【0143】図14より、有孔断面の弾性限に達すると
きのモーメント eh と弾性限に達するときの剪断力 e
h との間の関係は、次の(16)式で近似できる。
【0144】
【数38】
【0145】ただし、 Meh:次式で表される有孔部分の弾性限モーメント(sh
ape factorを1.15程度と仮定する)
【0146】
【数39】
【0147】Mehf :次式で表されるフィーレンディー
ル効果を考慮したフランジのみの弾性限モーメント
【0148】
【数40】
【0149】Mef:次式で表されるフランジのみの弾性
限モーメント
【0150】
【数41】
【0151】Qeh:次式で表されるフィーレンディール
効果を考慮したウェブの有孔部分の降伏せん断耐力(係
数0.8は座屈理論式を参考に決めている。)
【0152】
【数42】
【0153】ここで、梁中央部の有孔部分の弾性限曲げ
耐力が作用曲げモーメントと等しくなるとき、有孔部分
の剪断耐力が作用剪断力より大きくなれば、孔を補強し
なくてよいので、この条件を満足する限界の梁の材端か
らの距離,即ち、孔位置に作用する力M,Q,
〔(6),(4)式〕が(16)式を満足する限界長さd
e を下記〜のようにして求める。 eh ≦Qehの確認 上記(15)式において、dをde に変えた式を用いれば
よい。Mp としては、梁材端断面の値を用いる。 上記条件より、有孔部分の弾性限曲げモーメント(弾
性曲げ耐力)が作用モーメントと等しくなる必要がある
ので、このときの剪断耐力を求める。即ち、(6)式の
dL dR と(16)式の eh を等置し、その時の
有孔部分のせん断耐力 eh を求める。
【0154】
【数43】
【0155】上記条件より、上で求めた eh が、作
用せん断力 dL dR より大きくなる必要があるの
で、次の(17)式が得られる。
【0156】
【数44】
【0157】上記(17)式を解いて距離de (上式の複
合符号に対応して解は2つある)を求め、いずれか大き
い方が許容されるde の値になる。このde の値を考慮
して、図に示した要領で両端の割増部分長さL2 を決定
する。このde の長さを短くしたい時は、仮定断面のt
w を大きくして、再計算する。
【0158】なお、(17)式中の諸量は、以下の通りで
ある。 Meh:次式で表される有孔部分の弾性限モーメント(sh
ape factorを1.15程度と仮定する)
【0159】
【数45】
【0160】Mp :次式で表されるH形断面の全塑性モ
ーメント
【0161】
【数46】
【0162】Qeh:次式で表されるフィーレンディール
効果を考慮したウェブの有孔部分の降伏せん断耐力(係
数0.8は座屈理論式を参考に決めている。)
【0163】
【数47】
【0164】Mehf :次式で表されるフィーレンディー
ル効果を考慮したフランジのみの弾性限モーメント
【0165】
【数48】
【0166】以上の結果、梁の両端から距離de 以上の
梁中央部(長さL1 の部分)のウェブ領域には梁成hよ
り大きい間隔(ピッチP)で円形貫通孔を複数個設ける
ことができる。孔の直径は梁成の60%以下である。ま
た、耐震性能を有する梁として、梁端の塑性ヒンジを形
成する塑性域における幅厚比は、学会P−Iクラス、又
はセンターFAクラスの幅厚比を満足し、梁中央部の弾
性域における幅厚比は、学会P−III クラス、又はセン
ターFCクラスの幅厚比を満足する。
【0167】次に、適用限界について考察する。適用限
界は、梁スパン中間に塑性関接(最大モーメント)が
生じないこと、材端でウェブの剪断降伏が先行しない
ことである。 曲げモーメントの最大値が、スパン領域内に無いこと
を確認する。
【0168】(12)式に前述したMPf,MPwを代入し、
無次元化を行うと、
【0169】
【数49】
【0170】材端でウェブのせん断降伏が先行しない
ことを確認する。梁の材端剪断力は、前述した(4)式
にd=0を代入することにより、得られ大きい方の材端
剪断力QR が剪断降伏Qy 以下である条件式は次式のよ
うになる。
【0171】
【数50】
【0172】上式を無次元化すると、
【0173】
【数51】
【0174】この場合において、材端にスカラップのあ
る時は(18)式右辺のhがhe となるので、右辺を
【0175】
【数52】
【0176】とする。次に、中央部断面最初の孔位置が
降伏しないことを確認するための実用計算について説明
する。
【0177】学会P−III クラス、又はセンターFCク
ラスの幅厚比を満足するものとして、中央部断面を仮定
する。同時に材端断面を学会P−Iクラス、又はセンタ
ーFAクラスの幅厚比を満足するものとして仮定する。
材端のウェブ板厚tw2も仮定するので、あとでこのtw2
は修正される可能性がある。
【0178】中央部断面領域(長さL1 の領域)の最初
の孔位置に作用する力(M、Q)が開口部の弾性限耐力
より小さくなるような距離de を求める。まず、有孔部
分のせん断耐力Qehが作用剪断力 eh より大きいこ
と、即ちQeh eh を確かめる。
【0179】
【数53】
【0180】ただし、
【0181】
【数54】
【0182】上記(19)式を無次元表示すると、
【0183】
【数55】
【0184】但し、
【0185】
【数56】
【0186】次に、(17)式を無次元表示すると、
【0187】
【数57】
【0188】ただし、
【0189】
【数58】
【0190】両端割増断面長さL2 はL2 <de −R1
になるように決めると(図10参照)、孔は無補強でよ
い。
【0191】次に、割り増し断面部の必要ウェブ厚みt
w2の決定の実用計算について説明する。
【0192】柱端よりの孔位置d及び孔径R2 を求め
る。d位置での梁フランジ幅Bo は、Bo =B2 −(B
2 −B1 )(d/L2 )である。 Qh <Qph、(15)式が成立することを確認する。
【0193】
【数59】
【0194】無次元表示すると、
【0195】
【数60】
【0196】(10),(11)式を検討する。
【0197】
【数61】
【0198】ただし、
【0199】
【数62】
【0200】無次元表示すると、
【0201】
【数63】
【0202】(22)、(23)式を満足しないときは、t
w2を増す(開口補強を行ってもよい)。
【0203】なお、上記第2実施例では、梁長手方向両
端の断面割増部分(長さL2 の部分)と長手方向中央部
分(長さL1 の部分)に孔が穿設される場合を例示した
が、いずれか一方の部分にのみ孔が穿設されてもよいこ
とは勿論である。
【0204】なお、上記第1,第2実施例では、梁につ
いてのみ説明したが、この梁は建造物にも適用できる。
【0205】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、梁
の地震力や風力に対する耐力を損なうことがない位置に
無補強の孔を穿設したので、補強に要する費用を減じ
た、低コストの鉄骨梁を提供することがでしき、従って
低コストの建造物を提供することができる、という効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)、(2)は従来の補強した有孔梁の正面
図とa−a線断面図である。
【図2】(1)、(2)は本発明の第1実施例の正面図
とb−b線断面図である。
【図3】曲げモーメントと剪断力との相関関係図であ
る。
【図4】曲げモーメントと剪断力との相関関係図であ
る。
【図5】モーメントを求めるための概略図である。
【図6】理論値と実験値とを比較して示す線図である。
【図7】孔降伏先行型の変形能力を比較して示す線図で
ある。
【図8】梁端降伏先行型の梁の変形能力を比較して示す
線図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す正面図である。
【図10】(1)、(2)は本発明の第2実施例の正面
図と平面図である。
【図11】図10(1)の11−11線断面図である。
【図12】図10(1)の12−12線断面図である。
【図13】梁材端にスカラップがある場合の梁の一部省
略した正面図である。
【図14】弾性状態における梁に作用する曲げモーメン
トと剪断力との相関関係図である。
【符号の説明】 16 梁 18 孔 18A 孔 18B 孔 20 柱 26 梁

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の孔が穿設され且つ柱と剛接又は半剛
    接される断面が一様な鉄骨有孔梁であって、柱と剛接又
    は半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重の少な
    くとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔部
    分の塑性曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しくなる
    時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領
    域内に穿設された孔を補強しないようにし、且つ該領域
    外に穿設された孔を補強するようにしたことを特徴とす
    る鉄骨有孔梁。
  2. 【請求項2】孔が穿設され且つ柱と剛接又は半剛接され
    断面が一様な鉄骨有孔梁であって、柱と剛接又は半剛
    接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重の少なくとも
    一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔部分の
    曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しくなる時、有孔
    部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領域内に前
    記孔を穿設して補強しないようにし、且つ該領域外に前
    記孔を穿設しないようにしたことを特徴とする鉄骨有孔
    梁。
  3. 【請求項3】複数の孔が穿設され且つ柱と剛接又は半剛
    接されると共に中央部断面が一様で且つ両端部断面が中
    央部断面より幅厚比の小さい鉄骨有孔梁であって、柱と
    剛接又は半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重
    の少なくとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の
    中央部の有孔部分の塑性曲げ耐力が作用曲げモーメント
    と等しくなる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より
    大きくなる領域内に穿設された孔を補強しないように
    し、且つ該領域外に穿設された孔を補強するようにした
    ことを特徴とする鉄骨有孔梁。
  4. 【請求項4】孔が穿設され且つ柱と剛接又は半剛接され
    と共に中央部断面が一様で且つ両端部断面が中央部断
    面より幅厚比の小さい鉄骨有孔梁であって、柱と剛接又
    は半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重の少な
    くとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔部
    分の塑性曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しくなる
    時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領
    域内に前記孔を穿設して補強しないようにし、且つ該領
    域外に前記孔を穿設しないようにしたことを特徴とする
    鉄骨有孔梁。
  5. 【請求項5】前記鉄骨有孔梁は、フランジとウェブとか
    ら成る断面が一様なH形鋼であり、梁端からの距離dが
    以下の式を満足するウェブの領域に、前記孔 を穿設し、
    且つ該領域外に孔を穿設しないようにした請求項2記載
    の鉄骨有孔梁。 【数1】 ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp:H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
    部分の降伏剪断力 Mphf:フィーレンディール効果を考慮したフランジの
    全塑性モーメントである。
  6. 【請求項6】前記鉄骨有孔梁は、フランジとウェブとか
    ら成るフランジ中央部の幅厚比が所定値で且つフランジ
    両端部の幅厚比が前記所定値より小さいH形鋼であり、
    梁端からの距離deが以下の式を満足するウェブの領域
    に、前記孔を穿設し、且つ該領域外に前記孔を穿設しな
    いようにした請求項4記載の鉄骨有孔梁。 【数2】 ただし、 Meh:有孔部分の弾性限モーメント de:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp:H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qeh:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
    部分の降伏剪断力に降伏剪断耐力係数を乗じた値 Mehf:フィーレンディール効果を考慮したフランジの
    みの弾性限モーメントである。
  7. 【請求項7】前記H形鋼の梁端からの距離dが以下の式
    を満足するウェブの領域に、前記孔を更に穿設した請求
    項6記載の鉄骨有孔梁。 【数3】 ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp:H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
    部分の降伏剪断力 Mphf:フィーレンディール効果を考慮したフランジの
    全塑性モーメントである。
  8. 【請求項8】柱と、孔が穿設された断面が一様な鉄骨有
    孔梁とから構成された剛接又は半剛接骨組みを備えた建
    造物において、鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重の少な
    くとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔部
    分の塑性曲げ 耐力が作用曲げモーメントと等しくなる
    時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領
    域内に前記孔を穿設して補強しないようにし、且つ該領
    域外に前記孔を穿設しないようにしたことを特徴とする
    建造物。
  9. 【請求項9】柱と、孔が穿設されると共に中央部断面が
    一様で且つ両端部断面が中央部断面より幅厚比の小さい
    鉄骨有孔梁とから構成された剛接又は半剛接骨組みを備
    えた建造物において、鉄骨有孔梁に地震荷重及び風荷重
    の少なくとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の
    有孔部分の塑性曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しく
    なる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくな
    る領域内に前記孔を穿設して補強しないようにし、且つ
    該領域外に前記孔を穿設しないようにしたことを特徴と
    する建造物。
  10. 【請求項10】柱と、フランジとウエブとから成る断面
    が一様なH形鋼の梁端からの距離dが以下の式を満足す
    るウエブの領域に、孔を穿設して補強しないようにし、
    且つ該領域外に前記孔を穿設しないようにした鉄骨有孔
    梁と、から構成された剛接又は半剛接骨組を備えた建造
    物。 【数4】 ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp:H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
    部分の降伏剪断力 Mphf:フィーレンディール効果を考慮したフランジの
    全塑性モーメントである。
  11. 【請求項11】柱と、フランジとウェブとから成り,フ
    ランジ中央部の幅厚比が所定値で且つフランジ両端部の
    幅厚比が前記所定値より小さいH形鋼の梁端からの距離
    e が以下の式を満足するウェブの領域に、孔を穿設し
    て補強しないようにし、且つ該領域外に前記孔を穿設し
    ないようにした鉄骨有孔梁と、から構成された剛接又は
    半剛接骨組みを備えた建造物。 【数5】 ただし、 Meh:有孔部分の弾性限モーメント de:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp:H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qeh:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
    部分の降伏剪断力に降伏剪断耐力係数を乗じた値 Mehf:フィーレンディール効果を考慮したフランジの
    みの弾性限モーメントである。
  12. 【請求項12】前記H形鋼の梁端からの距離dが以下の
    式を満足するウェブの領域に、更に孔を穿設して補強し
    ないようにした請求項10記載の建造物。 【数6】 ただし、 Mph:孔断面欠損を考慮した梁の全塑性モーメント d:梁端から孔の中心までの距離 L:梁の全長 h:うちのりの梁成 Mp:H形断面の全塑性モーメント w:梁の荷重密度 Qph:フィーレンディール効果を考慮したウエブの有孔
    部分の降伏剪断力 Mphf:フィーレンディール効果を考慮したフランジの
    全塑性モーメントである。
JP20166093A 1993-04-28 1993-08-13 鉄骨有孔梁及び建造物 Expired - Lifetime JP3238540B2 (ja)

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