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JP5908282B2 - 鉄骨梁貫通孔の補強設計方法・補強設計支援装置 - Google Patents
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JP5908282B2 - 鉄骨梁貫通孔の補強設計方法・補強設計支援装置 - Google Patents

鉄骨梁貫通孔の補強設計方法・補強設計支援装置 Download PDF

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Description

この発明は、鉄骨梁のウェブに、設備用配管類等を通すための貫通孔を設ける場合に、鉄骨梁の貫通孔の形成部周辺を補強する標準の補強内容を示す補強標準表示具を用いる鉄骨梁貫通孔の補強設計方法、および補強設計支援装置に関する。
鉄骨梁のウェブに貫通孔を設けて、設備用配管類を直接貫通させる有孔梁が多用されている。有孔梁を用いて階高を下げれば、鋼材量の削減や外壁面積の削減に繋がり、経済性に大きく貢献する。特に近年では、快適性の追求やOA化の進展に伴って空調容量等が増加し、梁に必要とされる貫通孔の量が増加している。
鉄骨造の梁に貫通孔を設けた場合の問題点は、梁耐力の低下と塑性変形能力の低下である。しかし、有孔梁については学会規準などの一般的な設計規準は定められておらず、各社、各設計者がそれぞれの考え方で標準を定め、補強しているというのが現状である。一般的には、梁貫通孔に作用する曲げモーメントやせん断力の大小にかかわらず、慣例的に貫通孔について補強を行っている。適宜の設計法の論文、書籍等を参考にして、スリーブ孔補強標準図を作成し、実務に活用することも行われているが、鉄骨梁に設ける貫通孔の位置までは考慮されておらず、鉄骨梁の長さ方向のどの位置に貫通孔を設ける場合も、同様な補強を行う補強標準図とされている。
しかし、鉄骨梁に作用する曲げモーメント、せん断力は、材長によって変化し、梁端部での応力は大きく、逆に梁中央部の応力は小さい。このため、上記従来のスリーブ孔補強標準図に従うと、梁の中央部に貫通孔がある場合は、過剰な、つまり無駄な補強となる可能性がある。
このような課題を解消するものとして、梁断面,孔径,孔位置に応じて、必要な補強内容が判り、かつ孔位置に応じた補強不要領域が簡単に判り、無駄な補強をできるだけ避ける設計が容易に行えるようにした一覧表形式の鉄骨梁貫通孔の補強標準表示具、および補強設計支援装置が提案されている(特許文献1)。
特開2005−105672号公報
加藤勉,金子洋文:鉄骨貫通孔の梁端からの限界距離について,日本建築学会構造系論文集,第496号,pp,105−112,1997.6 土井康夫,福知保長:円形孔を有するはりの耐力と設計法,実用的耐力演算算定の提案,日本建築学会構造系論文報告集,第357号,pp44−52,985.11
特許文献1に示された補強は、補強板の外周部と内周部の両方を隅肉溶接する補強内容である。しかし、補強板の外周部と内周部の両方を隅肉溶接するのでは、梁部材の変形が生じる恐れがあり、またコスト増である。
しかも、同文献の一覧表では、大梁の中間領域のみ補強可能であって、端部付近となる塑性化領域を補強する場合は個別に検討が必要であり、検討に手間がかかる。
また、補強内容の検討については、既往の論文に提案されている略算法を使用して検討するため、釣り合い式を用いた詳細な検討方法と比較すると、今一つ信頼性が欠ける。
この発明の目的は、梁断面,孔径,孔位置に応じて、必要な補強内容が判り、かつ孔位置に応じた補強不要領域が簡単に判り、かつ補強内容として、補強板の外周のみを溶接する補強が行えて、補強に伴う梁部材の変形を回避すると共に、補強作業の簡易化が図れ、無駄な補強をできるだけ避ける設計が容易に行えるようにした一覧表形式の鉄骨梁貫通孔の補強設計方法、および補強設計支援装置を提供することである。
この発明の他の目的は、大梁の塑性化領域を補強する場合も、条件を満たせば、一覧表の使用による設計を可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、内周部の溶接を省略した形式で、釣り合い式による信頼性の高い補強内容の提示を可能とすることである。
この発明の鉄骨梁貫通孔の補強設計方法で用いる鉄骨梁貫通孔の補強標準表示具(10)は、内容を示す鉄骨梁貫通孔の補強標準表示具であって、次の一覧表(11)により構成される。
この一覧表(11)は、表の見出しとなる列(B0)の各行(A1〜Am)に行見出し表示(12)として各種断面寸法の鉄骨梁の断面寸法情報を表示する。上記表(11)の見出しとなる行(A0)の各列に列見出し表示(13)として、上記ウェブに明ける貫通孔の各種孔径を順に表示する。上記表の所定の行(An)の行見出し表示(14)として、梁端から無補強領域までの距離(L2)を示す行であることを示す。
この無補強領域(L2)までの距離を示す行における各列部分となる各セル内に、上記無補強領域までの各種の距離(L2))を順に表示する。
上記表(11)の断面寸法情報で行見出しが表示された任意の行(Ai)と孔径で列見出しが表示された任意の列(Bj)とが交差する領域となるセル(Sij)内に、見出し表示内容に対応する断面寸法情報、孔径、およびそのセルの位置する列(Bj)の上記所定行に表示された無補強領域までの距離(L2)、の各条件に対応する補強内容を表示する。
この補強内容は、梁の貫通孔を設ける箇所が上記の無補強領域までの距離(L2)以下である場合に、前記ウェブの前記貫通孔の周囲に、この貫通孔と整合する貫通孔を有する鋼製の補強板を両面または片面に重ねてこの補強板の外周を前記ウェブに隅肉溶接することで補強する内容である。
前記セル(Sij)内に表示する内容は、次の条件(1)〜(3)を全て充足する補強板の大きさ,板厚,および両面であるか片面であるかを示す枚数の表示である。
前記条件は、
(1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)
(2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
(3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
である。
前記補強内容として、補強が不要であるセルには補強不要の旨を示す表示を施し、
前記補強内容として、個別に検討が必要なセルには個別に検討必要である旨の表示を施す。
この構成の補強標準表示具(10)は、次のように使用される。設計しようとする鉄骨梁の断面の寸法情報、貫通孔の孔径、および梁端から孔中心位置までの距離に対応して、次のセル内の補強内容を見る。表(11)中の断面寸法情報で行見出し(12)が表示された任意の行(Ai)と、孔径で列見出しが表示された任意の列(Bj)とが交差する領域となる該当セル(Sij)を見る。この該当セル(Sij)内に、見出し表示内容に対応する断面寸法情報および孔径の場合に必要な補強内容(15)が示されている。また、この該当セル(Sij)内の補強内容は、その該当セル(Sij)の位置する列の所定行(An)に表示された無補強領域までの距離(L2)の各条件を充足する補強内容となっており、貫通孔を設ける位置が該当セルのある列の無補強領域までの距離(L2)よりも梁端側の位置であれば、補強内容に示された補強を行えば良い。貫通孔を設ける位置が該当セル(Sij)の列の無補強領域までの距離(L2)よりも梁中央側であれば、貫通孔を設ける必要がない。該当セル(Sij)内の補強内容として、補強不要の表示(15a)があれば、貫通孔周辺に補強を行う必要がない。
このように、無補強領域までの距離(L2)を表(11)中に示すようにしたため、補強標準として、補強が不要であることを簡明に表示でき、無駄に補強を行うことが回避される。また、各セル(Sij)内の補強内容を、貫通孔の梁端からの距離を条件に含めた内容としてあるため、孔位置が梁中央に近い場合の余裕を補強内容に考慮する必要がなく、補強内容として示す補強量が削減できる。
特に、この補強標準表示具(10)は、補強内容として、補強板の外周のみを隅肉溶接した場合の結果を示しており、これに基づく設計は、補強板の外周のみを溶接し、内周は溶接しない補強となるため、内外周両方の補強に伴う梁部材の変形を回避すると共に、補強作業の簡易化が図れる。この補強板の外周のみの溶接による補強は、上記条件(3)の計算、つまり補強板を設けた場合の補強板のせん断座屈の検討を行うことより可能となった。
この補強標準表示具(10)を用いると、これらにより、無駄な補強をできるだけ避ける設計を容易に行うことができる。
記一覧表(11)として、大梁の中間領域の場合の内容を示した大梁中間領域用補強一覧表(11B,11C)と、大梁の塑性化領域の場合の内容を示した大梁塑性化領域用補強一覧表(11A)と、小梁場合の内容を示した小梁用補強一覧表(11D)と、片持梁の内容を示した片持梁用補強一覧表(11E)とを設け、かつ上記各一覧表(11)を使用する場合の条件を示した使用条件表(111)を設ける
この構成の場合、使用条件表に定められた条件を満たせば、塑性化領域を補強する場合も一覧表による運用が可能となり、個別計算の手間が省ける。
記貫通孔が円形、補強板が矩形であって、前記条件(3)の、
(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)、
の条件充足判定に用いる補強板のせん断座屈応力度τcrを次式で得られる値とする
上記のように計算される補強板のせん断座屈応力度τcrを用いて、前記条件(3)の、 (補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)、
となる演算を行うことで、補強板の外周のみを溶接する補強内容でありながら、より一層信頼性の高い補強の設計が行える。
この場合に、前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Qphについては、
補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、
補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 s1
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 sl
を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和である、次式で与えられる値をせん断耐力Qphとしても良い。
ph= min(VAU,VBU)+ min(VAL,VBL
ただし、
AU:孔上部のせん断降伏機構 su の降伏せん断耐力、
BU:孔上部のせん断降伏機構 su の降伏せん断耐力、
AL:孔下部のせん断降伏機構 sl の降伏せん断耐力、
BL:孔上部のせん断降伏機構 sl の降伏せん断耐力。
また、前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力Mphf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構、
補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい値である、次式で与えられる値としても良い。
Figure 0005908282
ただし、
AUphf :孔上部のせん断降伏機構 mu の全塑性曲げ耐力、
BUphf :孔上部のせん断降伏機構 mu の全塑性曲げ耐力、
ALphf :孔下部のせん断降伏機構 ml の全塑性曲げ耐力、
BLphf :孔下部のせん断降伏機構 ml の全塑性曲げ耐力。
このように、せん断耐力の計算につき、孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構を用い、孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和を、前記条件(1)の判断に用いる(補強された梁の孔部のせん断耐力)とするため、せん断耐力の充足判定につき、信頼性の高い判定を行った表となる。
また、曲げ耐力については、孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構を用い、各降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい値を用いるため、曲げ耐力の充足判定にいても、信頼性の高い判定が行った表となる。
この発明の鉄骨梁貫通孔の補強設計方法は、鉄骨梁のウェブに貫通孔を設ける場合に、鉄骨梁の貫通孔の形成部周辺を補強する補強設計の方法であって、上記いずれかの構成の鉄骨梁貫通孔の補強標準表示具を用いる設計方法である。
この設計方法によると、上記構成の補強標準表示具を用いるため、梁断面,孔径,孔位置に応じて、必要な補強内容が判り、かつ孔位置に応じた補強不要領域が簡単に判り、かつ補強内容として、補強板の外周のみを溶接する補強が行えて、補強に伴う梁部材の変形を回避すると共に、補強作業の簡易化が図れ、無駄な補強をできるだけ避ける設計が容易に行える。
この発明方法において、前記補強標準表示具として、前述のように前記一覧表として、大梁の中間領域の場合の内容を示した大梁中間領域用補強一覧表と、大梁の塑性化領域の場合の内容を示した大梁塑性化領域用補強一覧表と、小梁場合の内容を示した小梁用補強一覧表とを設け、かつ上記各一覧表を使用する場合の条件を示した使用条件表を設けたものを用い、前記使用条件表に記載された使用条件に該当しない場合、および補強一覧表に記載の梁以外の梁に適用する場合は、定められた個別検討方法を用いるようにする
この方法の場合、塑性化領域を補強する場合も、条件を満たせば一覧表による運用が可能なる。
記の定められた個別検討方法は、前記貫通孔が円形、補強板が矩形の場合に適用されて、前記条件、
(1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)
(2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
(3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
の充足判定を個別に行う。
この場合に、前記条件(3)の、
(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)、
の条件充足判定に用いる補強板のせん断座屈応力度τcrの値は、前述の数式〔数1〕で演算される値とする。
前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Qphについては、
補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、前述の各降伏機構 mumumlml 、を想定し、次式で与えられる値をせん断耐力Qphとする。
ph= min(VAU,VBU)+ min(VAL,VBL
前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力Mphf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の前記曲げ耐力演算の降伏機構 mumumlml 、を想定し、孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定した曲げ耐力の小さい方の値を用いた次式とする。
Figure 0005908282
この発明の鉄骨梁貫通孔の補強設計支援装置(30)は、鉄骨梁のウェブに貫通孔を設ける場合に、前記ウェブの前記貫通孔の周囲に、この貫通孔と整合する貫通孔を有する鋼製の補強板を両面または片面に重ねてこの補強板の外周を前記ウェブに隅肉溶接することで、鉄骨梁の貫通孔の形成部周辺を補強するときの、補強板の大きさ,板厚,および両面であるか片面であるかを示す枚数を補強内容として示す支援装置である。
この支援装置(30)は、鉄骨梁の断面寸法情報、梁長さ、貫通孔の孔径、および梁端から貫通孔中心までの距離を少なくとも含む条件データを入力しまたは所定のデータ登録手段から取り込む条件入力手段(31)と、
この条件入力手段(31)で得た条件データから、上記補強の有無判定および補強が必要な場合の補強量の演算を行う補強判定演算手段(32)と、
この補強判定演算手段で演算された結果を表示する演算結果表示手段(33)とを備える。
上記補強判定演算手段(33)は、次の条件(A),(B)、
(A)(梁の孔部に作用するせん断力)<(梁の孔部のせん断耐力)
(B)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(梁の孔部の曲げ耐力)
を充足するか否かを演算して充足する場合は補強不要と判定し、
充足しない場合は、次の条件(1)〜(3)、
(1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)
(2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
(3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
を全て充足する補強板の大きさ,板厚,および両面であるか片面であるかの枚数の演算を行う。
上記条件(3)の条件充足判定に用いる補強板のせん断座屈応力度τcrを次式で得られる値とする。
Figure 0005908282
ここで、R :貫通孔の半径
VPL :補強板の縦幅
HPL :補強板の横幅
PL :補強板の厚さ
α :補強板の縦横比
E :ヤング係数
ν :ポアソン比
この発明の支援装置(30)によると、梁断面,孔径,孔位置に応じて、必要な補強内容が判り、かつ孔位置に応じた補強不要領域が簡単に判り、かつ補強内容として、補強板の外周のみを溶接する補強が行えて、補強に伴う梁部材の変形を回避すると共に、補強作業の簡易化が図れ、無駄な補強をできるだけ避ける設計が容易に行える。
この発明の支援装置(3)において、
前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Qphについては、
補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、
補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 s1
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 sl
を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和である、次式で与えられる値をせん断耐力Qph とする
ph= min(VAU,VBU)+ min(VAL,VBL
また、前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力Mphf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構、
補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい値である、次式で与えられる値とする
Figure 0005908282
この構成の場合、孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構、および曲げ耐力演算の降伏機構を用いて演算するため、より一層信頼性の高い設計が行える。
この発明の鉄骨梁貫通孔の補強設計方法、および補強設計支援装置によると、梁断面,孔径,孔位置に応じて、必要な補強内容が判り、かつ孔位置に応じた補強不要領域が簡単に判り、かつ補強内容として、無駄な補強をできるだけ避ける設計が容易に行える。
特に、補強板を設置する際に補強板のせん断座屈の検討を行うようにしたため、補強板の外周のみを溶接する補強が行えて、補強に伴う梁部材の変形を回避すると共に、補強作業の簡易化が図れる。
前記一覧表として、大梁の中間領域の場合の内容を示した大梁中間領域用補強一覧表と、大梁の塑性化領域の場合の内容を示した大梁塑性化領域用補強一覧表と、小梁場合の内容を示した小梁用補強一覧表と、片持梁の内容を示した片持梁用補強一覧表とを設け、かつ上記各一覧表を使用する場合の条件を示した使用条件表を設けた場合は、塑性化領域を補強する場合にも、条件を満たせば、一覧表による運用が可能となる。
また、孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構、および曲げ耐力演算の降伏機構を用いて演算する場合は、内周部の溶接を省略した形式の補強内容でありがら、釣り合い式による信頼性の高い補強内容の提示を可能とすることができ、より一層信頼性の高い設計を行うことができる。
この発明の一実施形態にかかる鉄骨梁貫通孔の補強設計方法に用いる補強標準表示具となる表の要部の説明図である。 同表の全体の説明図である。 同補強標準表示具における使用条件表の一例を示す概略図である。 鉄骨梁の各領域の説明図である。 (A),(B)はそれぞれ鉄骨梁の貫通孔形成部分における補強状態の正面図および断面図である。 同鉄骨梁と補強板の説明に用いる記号を示した説明図である。 梁内面と補強板までの距離の区分、補強板厚と枚数、隅肉溶接の脚長の例を示す説明図である。 孔上部および下部のそれぞれにつき示した各2種類のせん断降伏機構の説明図である。 孔上部および下部のそれぞれにつき示した各2種類の曲げ降伏機構の説明図である。 連続孔間ウェブの降伏機構の説明図である。 連続孔上部のせん断降伏機構の説明図である。 連続孔上部の他のせん断降伏機構の説明図である。 連続孔下部のせん断降伏機構の説明図である。 連続孔下部の他のせん断降伏機構の説明図である。 終局時に梁に作用する外力の説明図である。 梁端部のM−Q相関関係を示すグラフである。 梁端部の短期、長期、および終局時の各時のM−Q相関関係を示すグラフである。 解析対象となる片持梁の正面図である。 有限要素モデルの斜視図である。 実験降伏耐力と前記塑性耐力の定義の説明図である。 この発明の一実施形態にかかる補強設計支援装置の概念構成のブロック図である。 同補強設計支援装置の入力および出力画面例の説明図である。 図3の補強標準表示具における使用条件表の一部の内容例を示す図である。 図3の補強標準表示具における使用条件表の残り部分の内容例を示す図である。
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1〜図3は、この鉄骨梁貫通孔の補強設計方法に用いる補強標準表示具を示し、図4は対象となる鉄骨梁および貫通孔の関係を、図5は鉄骨梁の形状とその補強構造の例をそれぞれ示す。鉄骨梁貫通孔の補強標準表示具を示し、図4は対象となる鉄骨梁および貫通孔の関係を、図5は鉄骨梁の形状とその補強構造の例をそれぞれ示す。
図4において、鉄骨梁1のウェブ1aに貫通孔2を設ける場合に、鉄骨梁1の貫通孔2の形成部周辺を補強板3で補強する。鉄骨梁1は、図5に示すようにH形鋼からなり、ウェブ1aと上下のフランジ1bを有する。貫通孔2は円孔である。補強板3は、ウェブ1aに重ねて溶接される鋼板であり、鉄骨梁1に明ける貫通孔2と整合する貫通孔3aを形成した正方形状ないし矩形状の鋼板とされる。補強板3の貫通孔3aの径は、鉄骨梁1の貫通孔2と同径とされる。補強板3の溶接部3bは隅肉溶接であり、その外周の全周に渡って行われる。補強板3の溶接は内周にもその全周に渡って行っても良いが、内周は溶接を行う必要がなく、以下の説明では外周のみに溶接した場合につき説明する。なお、内周にも溶接を行う場合は、補強板3の貫通孔3aの径は、鉄骨梁1の貫通孔2よりも略溶接代分だけ大きな径の孔とされる。補強板3をウェブ1aの両面に設けるか、片面に設けるかは、必要な補強量によって定められる。補強板3の材質は、鉄骨梁1と同等以上の強度を有する材質とされる。
図4において、鉄骨梁1に貫通孔2を設ける場合に、どれだけの補強が必要であるか、補強が不要であるか、また設けることが不可能であるかは、鉄骨梁1の断面寸法諸元、貫通孔2の孔径の他に、貫通孔2の梁端からの距離(すなわち柱フェース4aからの距離)によって変わる。これは、梁端からの距離によって、鉄骨梁1に作用する曲げモーメントおよびせん断力が変わり、梁スパンの中央ほど、荷重要件が軽減されるためである。
貫通孔2の孔径や鉄骨梁1の断面寸法によっても距離が変わるが、同図に示すように、梁端から所定の距離L1までは、鉄骨梁1に貫通孔2を設ける場合に、条件が厳しく制限される。この領域E1を塑性化領域E1と呼ぶことにする。梁端から所定の距離L2以上の領域E2は、補強を要しない。これを無補強領域E2と呼ぶことにする。この塑性化領域E1と無補強領域E2との間では、梁端からの距離等に応じた補強量の補強を行えば、支障なく貫通孔2を設けることができる。
なお、適用範囲は、鉄骨造の建築物、または鉄骨造と鉄筋コンクリート造、その他の構造とを併用する建築物の鉄骨造の梁である。建築物の規模に制限はないが、鉄骨梁1や、貫通孔2、補強板3についての寸法については、制限された範囲である。
図1〜図3に示す鉄骨梁貫通孔の補強標準表示具10は、このような、梁断面寸法、孔径、孔位置に応じた補強の有無、補強量を、設計の標準として表に示したものである。図2は、補強標準表示具10となる一覧表11の全体の概要を示し、図1は図2の一部を拡大して示す。図2に示すように、この実施形態では、一覧表11として、大梁の塑性化領域の場合の内容を示した大梁塑性化領域用補強一覧表11Aと、大梁の中間領域の場合の上下偏心無し及び有りの内容をそれぞれ示した大梁中間領域用補強一覧表11B,11Cと、小梁場合の内容を示した小梁用補強一覧表11Dと、片持梁の場合の内容を示した片持梁用補強一覧表11Eを設け、これら5種類の表11A〜11Eのそれぞれにつき、JIS規格の細幅系の鉄骨梁2に適用する細幅系用補強一覧表(符号aを追加して示す)と、JIS規格の中幅系の鉄骨梁2に適用する中幅系用補強一覧表(符号bを追加して示す)とに区分して設けている。
なお、図2の例では、鉄骨梁を細幅系列と中幅系列とに区分して、表の左右部分に分けて示しているが、必ずしもこの区分は必要ではない。また、上記3種類の表11A〜11Eは、上下に並べているが、左右に並べても良い。以下の説明は、一覧表11が図2の構成である場合につき説明する。
また、上記の一覧表11は、紙等に表示されたものに限らず、例えば電子データであって、画面または用紙等への出力によって、人間が視覚的に表として認識できるものであれば良い。
この補強標準表示具10は、一覧表11のみからなるものであっても良く、またこの表11と補足説明表示手段とを含むものであっても良い。補足説明表示手段として、例えば、上記各補強一覧表11A〜11Cを設計に使用する場合の条件を示した使用条件表111を設ける。
使用条件表111には、例えば図3、図23、図24に示すように、一覧表11を用いる場合の共通の条件と、大梁用で塑性化領域(大梁塑性化領域用補強一覧表11Aを用いる場合)の条件と、大梁用で上下偏心無しの場合および有りの場合の中間領域(大梁中間領域用補強一覧表11B,11Cを用いる場合)の条件と、小梁用(小梁用補強一覧表11Dを用いる場合)の条件と、片持梁用(片持梁用補強一覧表11Eを用いる場合)の条件とがそれぞれ区分して記述されている。共通の区分の条件については貫通孔2の孔位置の条件、補強板についての条件、および荷重条件に区分されている。大梁塑性化領域用としては、孔位置、孔数、梁長さ、梁種別、荷重条件、梁端の形式に区分されている。大梁中間領域用としては、孔位置、梁長さ、荷重条件、梁端の形式に区分されている。小梁用としては、孔位置、梁長さ、荷重条件に区分されている。片持梁用としては、孔位置、梁長さ、荷重条件に区分されている。
図1において、この補強標準表示具10となる一覧表11は、見出しとなる列B0の各行A1〜Am(mは任意の整数)に、行見出し表示12として各種断面寸法の鉄骨梁の断面寸法情報を表示する。断面寸法情報は、断面寸法諸元であっても、また梁材の断面を示す区分、型番等の情報であっても良いが、この実施形態では断面寸法諸元を用いている。この断面寸法諸元として、梁せいH、梁幅B、ウェブ板厚t1、およびフランジ板厚t2を、例えば「H− 175×90× 5× 8」のように、順次並べて表示している。
見出しとなる行A0の各列には、列見出し表示13として、上記ウェブ1b(図5)に明ける貫通孔2の各種孔径を順に表示する。図1の例では、「2R=50」,「2R=75」等の表示形態で、貫通孔半径を示す文字「R」と、その直径である「2R」の数値とを表示している。
一覧表11の所定の行Anには、行見出し表示14として、梁端から無補強領域E2(図4)までの距離L2を示す行である旨を示す。梁端の位置は柱フェースの位置のことであり、この一覧表11では、行見出し表示14として、「柱フェースから無補強領域までの距離:L2」と示している。なお、貫通孔2の梁端からの距離は、鉄骨梁1の一端からの距離と他端からの距離とで異なるが、短い方の距離、つまり曲げモーメントが大きく計算される方の距離を上記の距離L2とする。一覧表11を使用する場合も上記と同じく、短い方の距離を用いる。
この無補強領域E2までの距離L2を示す所定の行Anにおける各列部分となる各セルSn1…内に、無補強領域までの各種の距離L2を順に表示する。同図の例では、距離L2が短い方から2番目の距離「1300mm」のみを図中に実際の数字で示し、他の距離については図中に「□□」として略記しているが、実際の一覧表11では、同図の「□□」の中に、例えば、「700mm」、「2000mm」、等のような実際の数字で距離を表示している。この各セルSn1…内に示す距離L2の値は、設計の便宜等に応じて適宜の値とすれば良い。
一覧表11において、断面寸法情報で行見出し12が表示された任意の行Aiと、孔径で列見出し13が表示された任意の列Bjとが交差する領域となるセルSij内に、各見出し表示12,13の内容に対応する断面寸法情報、孔径、およびそのセルSijの位置する列Bjの上記所定行AnのセルSniに表示された無補強領域までの距離L2を条件とする補強内容の表示15を施す。補強内容は、補強板3(図5)の板厚tPL、幅I( VPL)、および1枚か2枚かの区別表示によって補強内容を示している。「2枚」は両面に補強板3を設けことを意味する。また、補強板3は正方形であるとし、その1辺の寸法を上記の幅Iとして示している。
なお、図1において○印を付した各箇所には、実際の一覧表11では上記の板厚、幅、および枚数がそれぞれ記載されるが、図示の便宜上、実際の数値に代えて○印で代用している。
各セルSij内の補強内容表示15の補強内容は、鉄骨梁1の貫通孔2を設ける箇所が上記の無補強領域までの距離L2以下である場合に、次の3つの条件(1)〜(3)を全て充足する場合の補強内容である。
前記3つの条件は、
(1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)
(2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
(3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
である。
この補強内容として、補強が不要であるセルSij内には、補強不要の旨を示す表示15aを施す。この例では、「補強不要」と表示している。補強が不要である複数のセルSijが隣接する場合に、それらのセルSijを統合した範囲に、まとめて上記「補強不要」等の補強不要の旨を示す表示15aを施しても良い。この表示15aは、「無補強」等であっても良く、また単なる記号やハッチングであっても良く、補強が不要である旨を使用者に分からせることが可能な表示であれば良い。
図1は、図2の大梁中間領域用補強一覧表11Aのうちの細幅系用補強一覧表11Aaの一部であるが、上記塑性化領域E1(図4)に対して表示した図2の大梁塑性化領域用補強一覧表11Bの場合も、行見出し、列見出し、各セル内の表示の形態は、大梁中間領域用補強一覧表11Aと同様である。
貫通孔2の孔径が、鉄骨梁1の断面寸法に対して大きい場合等は、強度不足となって孔明けの条件が不可であるが、一覧表11におけるそのようなセル内には、個別に検討必要である旨の表示17(図1ではハッチングを付してある)が施される。この表示は、例えば、「個別検討必要」等のような文字による表示であっても、また単なる記号やハッチングであっても良く、個別に検討必要である旨を使用者に分からせることが可能な表示であれば良い。
なお、上記の一覧表11は、図5のように貫通孔2の中心位置が鉄骨梁1の梁芯と一致する場合の補強内容を示しており、貫通孔2が偏心する場合については、その偏心した場合の一覧表(図示せず)を偏心量に応じて区分して、あるいは区分することなく、別に設ける。偏心した場合の一覧表は、上記一覧表11に対して補強内容は変わるが、各表示の形態は同じである。
ただし、上記の一覧表11を、貫通孔2の中心位置が鉄骨梁1の梁芯と一致する場合の他に、貫通孔2が偏心していても、梁芯から孔中心までの偏心量eが所定の偏芯量までの範囲に位置する場合に用いるものとしても良い。
図10ないし図14に示すように、鉄骨梁1に貫通孔2が複数設けられる場合は、隣合う貫通孔2間の距離が所定の離間距離、例えば梁せいH以上、または例えば隣合うちの大きい方の孔径の3倍以上であること等を適用条件とする。これらの適用条件下で上記(1)曲げ耐力,(2)せん断耐力、(3)補強板の鋼材の許容せん断応力度の条件が充足する補強内容が補強内容表示15に示される。
この構成の補強標準表示具10を使用する補強設計方法を説明する。設計しようとする鉄骨梁1の断面の寸法情報、貫通孔2の孔径、および梁端から孔中心位置までの距離L2に対応して、次のセル内の補強内容を見る。一覧表11中の断面寸法情報で行見出し12が表示された任意の行Aiと、孔径で列見出し13が表示された任意の列Bjとが交差する領域となる該当セルSijを見る。この該当セルSij内に、見出し表示12,13の内容に対応する断面寸法情報および孔径の場合に必要な補強内容が、補強板3の板厚,幅、枚数によって示されている。この該当セルSij内の補強内容は、その該当セルSijの位置する列Bjの所定行Anに表示された無補強領域までの距離L2の各条件を充足する補強内容となっており、貫通孔2を設ける位置が該当セルSijのある列Bjの無補強領域までの距離L2よりも梁端側の位置であれば、補強内容表示15に示された補強を行えば良い。
該当セルSij内の補強内容として、補強不要の表示15aがあれば、貫通孔周辺に補強を行う必要がない。
このように、無補強領域までの距離L2を一覧表11中に示すようにしたため、補強標準として、補強が不要であることを簡明に表示できて、無駄に補強を行うことが回避される。
また、各セルSij内の補強内容を、貫通孔2の梁端からの距離L2を条件に含めた内容としてあるため、孔位置か梁端に近い場合の余裕を補強内容に考慮する必要がなく、補強内容として示す補強量が削減できる。例えば、従来の画一的な補強の場合に比べて、全体的に板厚が1サイズ小さくなるなど、補強量が大幅に削減される。
特に、この補強標準表示具10は、補強内容として、補強板4の外周のみを隅肉溶接した場合の結果を示しており、これに基づく設計は、補強板3の外周のみを溶接し、内周は溶接しない補強となるため、内外周両方の補強に伴う梁部材の変形を回避すると共に、補強作業の簡易化が図れる。この補強板3の外周のみの溶接による補強は、上記条件(3)の計算、つまり補強板を設けた場合の補強板3のせん断座屈の検討を行うことより可能となった。
この補強標準表示具10は、このように経済的な補強標準となっており、これを用いると、無駄な補強をできるだけ避ける設計を容易に行うことができる。
また、前記一覧表11として、大梁塑性化領域用補強一覧表11Aと、大梁中間領域用補強一覧表11B,11Cと、小梁用補強一覧表11Dと、片梁用補強一覧表11Eを設け、かつ上記各一覧表11A〜11Dを使用する場合の条件を示した使用条件表111設けたため、使用条件表111に定められた条件を満たせば、塑性化領域を補強する場合も一覧表11による運用が可能となり、個別計算の手間が省ける。
上記の補強板3の溶接につき、外周溶接だけで補強可能とした上記の条件(3)は、具体的には次の内容とされる。ただし、前記貫通孔2が円形、補強板3が矩形であることを前提とする。
条件(3)の「(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)」の条件充足判定に用いる補強板3のせん断座屈応力度τcrを次式で得られる値とする。
Figure 0005908282
ここで、R :貫通孔の半径
VPL :補強板の縦幅
HPL :補強板の横幅
PL :補強板の厚さ
α :補強板の縦横比
E :ヤング係数
ν :ポアソン比
上記のように計算される補強板3のせん断座屈応力度τcrを用いて、前記条件(3)の「(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)」となる演算を行うことで、補強板の外周のみを溶接する補強内容でありながら、より一層信頼性の高い補強の設計が行える。
この場合に、前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Qphについては、
補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、
補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 s1
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 sl
(図8(A)〜(D))を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和である、次式で与えられる値をせん断耐力Qphとしている。
なお、上記各降伏機構におけるせん断耐力の具体的計算については、後の個別検討方法の説明箇所で説明する。
ph= min(VAU,VBU)+ min(VAL,VBL
ただし、
AU:孔上部のせん断降伏機構 su の降伏せん断耐力、
BU:孔上部のせん断降伏機構 su の降伏せん断耐力、
AL:孔下部のせん断降伏機構 s1 の降伏せん断耐力、
BL:孔上部のせん断降伏機構 sl の降伏せん断耐力。
また、前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力Mphf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構、
補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
(図9(A)〜(D))を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定した曲げ耐力のうちの最も小さい値を用いた、次式で与えられる値としている。
なお、上記各降伏機構における曲げ耐力の具体的計算については、後の個別検討方法の説明箇所で説明する。
Figure 0005908282
ただし、
AUphf :孔上部のせん断降伏機構 mu の全塑性曲げ耐力、
BUphf :孔上部のせん断降伏機構 mu の全塑性曲げ耐力、
ALphf :孔下部のせん断降伏機構 ml の全塑性曲げ耐力、
BLphf :孔下部のせん断降伏機構 ml の全塑性曲げ耐力。
このように、せん断耐力の計算につき、孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構を用い、孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和を、前記条件(1)の判断に用いる(補強された梁の孔部のせん断耐力)とするため、せん断耐力の充足判定につき、信頼性の高い判定を行った表となる。
また、曲げ耐力については、孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構を用い、各降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい値を用いるため、曲げ耐力の充足判定にいても、信頼性の高い判定が行える一覧表11となる。
前記条件(1)の(補強された梁の孔部のせん断耐力)、および条件(2)の(補強された梁の孔部の曲げ耐力)は、この例では、短期、長期、および終局時の耐力のいずれについても条件を充足するものとしている。そのため、より一層、信頼性の高い判定が行える一覧表11となる。
次に、個別検討方法につき説明する。個別検討の場合も、補強の形態は、図5に示した補強板3の外周溶接で補強する形態であり、一覧表11内の補強内容で補強する場合と同様である。
なお、図6は記号図である。図7は、梁フランジの内面から補強板3までの距離L5 の区分の例、補強板3の板厚と枚数の例、および隅肉溶接の脚長の例をそれぞれ示す。
貫通孔2の補強設計につき説明する。図17に、貫通孔2の形成部のM‐Q相関関係の模式図を示す。設計者は、長期・短期・終局時のそれぞれについて、孔心位置に作用する曲げモーメントとせん断力の絶対値がM‐Q相関図の内側にあることを確認する。
ここで、以下の説明で用いる各記号の定義の一欄を示す。
[モーメントに関する記号]
ph 孔部の降伏せん断耐力(2.1式)
yh 孔部の短期許容せん断耐力 =Qph
ah 孔部の長期許容せん断耐力 =Qyh/1.5
ph せん断力が作用しない場合の孔部の全塑性モーメント =Zph・F
yh せん断力が作用しない場合の孔部の短期許容曲げモーメント =Zh・F
ah せん断力が作用しない場合の孔部の長期許容曲げモーメント =Zh・F/1.5
phf せん断力Qphが作用する場合の孔部の全塑性曲げモーメント (3.1式)
yhf せん断力Qyhが作用する場合の孔部の短期許容曲げモーメント =(Zh/Zph)Mphf
ahf せん断力Qahが作用する場合の孔部の長期許容曲げモーメント =Myhf/1.5
h 孔部の断面係数
ph 孔部の塑性断面係数
F 鋼材の基準強度
[耐力、応力に関する記号]
AU 孔上部のせん断降伏機構suの降伏せん断耐力
BU 孔上部のせん断降伏機構suの降伏せん断耐力
AL 孔下部のせん断降伏機構s1の降伏せん断耐力
Bl 孔下部のせん断降伏機構slの降伏せん断耐力
u 孔上部に作用するせん断耐力
L 孔下部に作用するせん断耐力
o 降伏断面Cのせん断耐力
AUphf 孔上部の曲げ降伏機構muの全塑性曲げ耐力
BUphf 孔上部の曲げ降伏機構muの全塑性曲げ耐力
ALphf 孔下部の曲げ降伏機構mlの全塑性曲げ耐力
BLphf 孔下部の曲げ降伏機構mlの全塑性曲げ耐力
co 降伏断面Cに作用する直応力によるモーメント
co 降伏断面Cに作用するせん断力によるモーメント
o せん断力Voによって生じるT点のモーメント
N 梁に作用する軸力
τy 鋼材の許容せん断応力度
σw フィーレンディール作用によりウェブおよび補強板に生じる直応力度
σf フィーレンディール作用によりフランジに生じる直応力度
σn 軸力によりフランジに生じる直応力度
s 補強板のせん断座屈係数(孔有り)
o 補強板のせん断座屈係数(孔無し)
τcr 補強板のせん断座屈応力度
s 鋼材の許容せん断応力度
D 補強板の曲げ剛性
E ヤング係数
ν ポアソン比
[寸法に関する記号]
H 梁せい
B 梁幅
w ウェブ厚
f フランジ厚
PL 補強板厚
R 孔半径
1 上下方向の孔偏心距離(梁心に対して孔心が上の場合が正、下の場合が負)
2 左右方向の孔偏心距離(補強板心に対して孔心が左の場合が正、右の場合が負)
VPL 補強板の縦幅
HPL 補強板の横幅
P 孔心間隔
2 隣接孔半径
PL2 隣接孔の補強板厚
VPL2 隣接孔の補強板の縦幅
hPL2 隣接孔の補強板の横幅
n1 隣接孔の上下方向の偏心距離(梁心に対して孔心が上の場合が正、下の場合が負)
n2 隣接孔の左右方向の偏心距離(補強板心に対して孔心が左の場合が正、右の場合が負)
U 補強板縁からフランジまでの距離(上部)
L 補強板縁からフランジまでの距離(下部)
3 必要寸法
f 補強板の有効部の最小幅
h 孔中心より上あるいは下のウェブせい
s せん断核の長さ
ν 直応力度を負担する部分のせい
θ 孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度
θA 孔心と降伏断面Aの孔縁を結ぶ線分の角度
θC 孔心と降伏断面Cの孔縁を結ぶ線分の角度
b 降伏断面Bの長さ
0 補強板同士の間隙
1 孔間の補強板有効幅
2 孔間の補強板有効幅(隣接孔側)
ν1 曲げモーメントによる直応力度を負担する部分幅
ν2 曲げモーメントによる直応力度を負担する部分幅(隣接孔側)
y 孔心からT形断面の図心までの距離
α 補強板の縦横比
孔部のせん断耐力
孔部のせん断耐力は、フィーレンディール作用によって、ウェブおよび補強板の全断面が降伏せん断応力度に達するとして求めたせん断耐力よりも低下する。そこで、孔の上下に別れたT形断面内に、せん断力を受け持つ部分(せん断核)とフィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分に分けて考える。
図8(A),(B)に,孔上部のせん断降伏機構susuを示す。降伏機構suは補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合、降伏機構suは補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合を示す。 孔上部のせん断耐力は、降伏機構susuで算定されるせん断耐力のうち小さい方とする。孔下部のせん断耐力についても同様にして求める。有孔梁の降伏せん断耐力Qphは、孔上部と下部のせん断耐力の和とする。
ph=min(VAU,VBU)+min(VAL,VBL) ・・・・(2.1)
孔上部のせん断降伏機構suのせん断耐力
図8(A)に,孔上部のせん断降伏機構suを示す。フィーレンディール作用を考慮した孔上部のせん断耐力VAUを次式で与える。
AU=hs・tw・τy+(h−gU)・tPL・τy
ここで、せん断核の長さhsは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVAUを最小にする条件で決定される。フィーレンディール作用による曲げモーメントMAUは次式で表される。
AU=VAU・Rsinθ
ここで、孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度θは変数で、VAUを最小にする条件で決定される。MAUが、図8(A)に示す応力分布によるモーメントと釣り合うので次式が成り立つ。
Figure 0005908282
孔上部のせん断降伏機構suのせん断耐力
図8(B)に、孔上部のせん断降伏機構suを示す。フィーレンディール作用を考慮した孔上部のせん断耐力VBUを次式で与える。
BU=h・tw・τy
ここで、せん断核の長さhsは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVBUを最小にする条件で決定される。降伏断面Bの水平方向の耐力をUとすると、ミーゼスの降伏条件より次式が成り立つ。
Figure 0005908282
なお、降伏機構suは、場合によっては力の釣合い式を満足できず、解が得られない場合がある。その場合、suは生じず、機構suが生じると考える。
孔下部のせん断降伏機構s1のせん断耐力
図8(C)に、孔下部のせん断降伏機構s1を示す。フィーレンディール作用を考慮した孔下部のせん断耐力VALを次式で与える。
AL=h・tw・τy+(h−gL)・tPL・τy
ここでせん断核の長さhは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVALを最小にする条件で決定される。フィーレンディール作用による曲げモーメントMALは次式で表される。
AL=VAL・Rsinθ
ここで、孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度θは変数で、VALを最小にする条件で決定される。MALが図8(C)に示す応力分布によるモーメントと釣り合うので次式が成り立つ。
Figure 0005908282
孔下部のせん断降伏機構slのせん断耐力
図8(D)に、孔下部のせん断降伏機構slを示す。フィーレンディ作用を考慮した孔下部のせん断耐力VBLを次式で与える。
BL=h・tw・τy
ここで、せん断核の長さhは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVBLを最小にする条件で決定される。降伏断面Bの水平方向の耐力をUとすると、ミーゼスの降伏条件より次式が成り立つ。
Figure 0005908282
なお、降伏機構slは、場合によっては力の釣合い式を満足できず、解が得られない場合がある。その場合、機構slは生じず、機構s1が生じると考える。
孔部の曲げ耐力
図9(A)〜(D)に4つの曲げ降伏機構を示す。降伏機構muは補強板の上側に曲げ降伏断面が形成される場合、降伏機構mlは補強板の下側に曲げ降伏断面が形成される場合を示す。降伏機構mumlは補強板の側面に曲げ降伏断面が形成される場合を示す。せん断力Qphが作用している場合の全塑性曲げ耐力Mphfは、各降伏機構で算定される曲げ耐力の小さい値を用いた次式とする。
Figure 0005908282
孔上部の曲げ降伏機構muの曲げ耐力
図9(A)に孔上部の曲げ降伏機構muを示す。梁に作用する軸力はフランジが負担する。梁にQphのせん断力が作用している場合、降伏機構muの全塑性曲げ耐力AUphfは次式で与えられる。
AUphf=B・t・(H−tf)(F−σf−σn
ここでσfはフィーレンディール作用によりフランジに生じる直応力度、σnは軸力によりフランジに生じる直応力度である。σnは次式で与える。
Figure 0005908282
ここで直応力度を負担する部分のせいhと、孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度θは変数で、力の釣り合い式を満足しながらAUphfを最小にする条件で決定される。
孔上部の曲げ降伏機構muの曲げ耐力
図9(B)に、孔上部の曲げ降伏機構muを示す。梁に作用する軸力はフランジが負担する。梁にQphのせん断力が作用している場合、降伏機構muの全塑性曲げ耐力Buphfは次式で与えられる。
Buphf=B・tf・(H−tf)(F−σf−σn
ここでσfはフィーレンディール作用によりフランジに生じる直応力度、σnは軸力によりフランジに生じる直応力度である。降伏断面Bの水平方向耐力をUとすると、ミーゼスの降伏条件より次式が成り立つ。
Figure 0005908282
ここで、直応力度を負担する部分のせいhyと、孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度θは変数で、力の
釣り合い式を満足しながらBuphfを最小にする条件で決定される。
なお、降伏機構muは、場合によっては力の釣合い式を満足できず、解が得られない場合がある。その場合は機構muは生じず、機構muが生じると考える。
孔下部の曲げ降伏機構m1の曲げ耐力
図9(C)に、孔下部の曲げ降伏機構mlを示す。梁に作用する軸力はフランジが負担する。梁にQphのせん断力が作用している場合、降伏機構mlの全塑性曲げ耐力ALphfは次式で与えられる。
ALphf=B・tf・(H−tf)(F−σf−σn
ここでσfはフィーレンディール作用によりフランジに生じる直応力度、σnは軸力によりフランジに生じる直応力度である。モーメントの釣り合いより、次式が成り立つ。
Figure 0005908282
ここで、直応力度を負担する部分のせいhと、孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度θは変数で、力の釣り合い式を満足しながらALphfを最小にする条件で決定される。
孔下部の曲げ降伏機構mlの曲げ耐力
図9(D)に、孔下部の曲げ降伏機構mlを示す。梁に作用する軸力はフランジが負担する。梁にQphのせん断力が作用している場合、降伏機構mlの全塑性曲げ耐力BLphfは次式で与えられる。
BLphf=B・tf・(H−tf)(F−σf−σn) ・・・(3.4.1)
ここでσfはフィーレンディール作用によりフランジに生じる直応力度、σnは軸力によりフランジに生じる直応力度である。降伏断面Bの水平方向耐力をUとすると、ミーゼスの降伏条件により、次式が成り立つ。
Figure 0005908282
ここで、直応力度を負担する部分のせいhと孔心と降伏断面の孔緑を結ぶ線分の角度θは変数で、力の釣り合い式を満足しながらBLphfを最小にする条件で決定される。
なお、降伏機構mlは、場合によっては力の釣合い式を満足できず、解が得られない場合がある。その場合は機構mlは生じず、機構mlが生じると考える。
連続孔部のせん断耐力
連続孔の場合、孔心間隔が梁せい以上であれば、単独孔として扱う。孔心間隔が梁せい以下の場合は、隣接する孔の影響を考慮して以下の検討を行う。
連続孔間ウェブのせん断耐力
図10に連続孔間ウェブの降伏機構を示す。同図に示すように、隣接孔については仮想矩形孔を仮定する。
孔心間隔が梁せい以下の場合は、隣り合う孔間のウェブが降伏する。降伏断面Cのせん断耐力V0は次式で表される。
0=(k−ν)(tw+tPL)τy+k0・tw・τy+(k−ν)(tw+tPL2)τy
ここで、曲げモーメントによる直応力度を負担する部分の幅νは変数で、以下に示す力の釣り合い式を満足しながらV0を最小にする条件で決定される。
補強板間の間隔kを次式で与える。
Figure 0005908282
連続孔上部のせん断降伏機構suのせん断耐力
図11に連続孔上部のせん断降伏機構suを示す。
フィーレンディール作用を考慮した孔上部のせん断耐力VAUを次式で与えられる。
AU=hs・tw・τy+(h−gU)・tPL・τy
ここで、せん断核の長さhは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVAUを最小にする条件で決定される。降伏断面Aに作用する曲げモーメントMAUを次式で与える。
Figure 0005908282
ここで、孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度θは変数で、VAUを最小にする条件で決定される。M0は隣接孔間の降伏せん断力V0によって生じるT点のモーメントである。T点は孔心断面上部のT形断面の図心と両孔間中心線との交点である。孔心からT形断面の図心までの距離をyとすると、M0は次式で与えられる。
0=V0・y
降伏断面Aに作用する直応力によるモーメントとMAUの釣り合い条件により、次式が成り立つ。
Figure 0005908282
連続孔上部のせん断降伏機構suのせん断耐力
図12に連続孔上部のせん断降伏機構suを示す。
フィーレンディール作用を考慮した孔上部のせん断耐力VBUを次式で与える。
BU=h・tw・τy
ここで、せん断核の長さhsは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVBUを最小にする条件で決定される。降伏断面Bの水平方向の耐力をUとすると、ミーゼスの降伏条件より次式が成り立つ。
Figure 0005908282
ここで、M0は隣接孔間の降伏せん断力V0によって生じるT点のモーメントである。T点は孔心断面上部のT形断面の図心と両孔間中心線との交点である。孔心からT形断面の図心までの距離をyとすると、M0は次式で与えられる。
0=V0・y
降伏断面Aに作用する直応力によるモーメントとMAUの釣り合い条件より、次式が成り立つ。
Figure 0005908282
なお、降伏機構suは、場合によっては力の釣合い式を満足できず、解が得られない場合がある。その場合は機構suは生じず、機構suが生じると考える。
連続孔下部のせん断降伏機構s1のせん断耐力
図13に連続孔下部のせん断降伏機構s1を示す。
フィーレンディール作用を考慮した孔下部のせん断耐力VALを次式で与える。
AL=h・tw・τy+(h−gL)・tPL・τy
ここで、せん断核の長さhは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVALを最小にする条件で決定される。降伏断面Aに作用する曲げモーメントMALを次式で与える。
Figure 0005908282
ここで、孔心と降伏断面の孔縁を結ぶ線分の角度θは変数で、VALを最小にする条件で決定される。M0は隣接孔間の降伏せん断力V0によって生じるT点のモーメントである。T点は孔心断面下部のT形断面の図心と両孔間中心線との交点である。孔心からT形断面の図心までの距離をyとすると、M0は次式で与えられる。
0=V0・y
降伏断面Aに作用する直応力によるモーメントとMALの釣り合い条件により、次式が成り立つ。
Figure 0005908282
連続孔下部のせん断降伏機構slのせん断耐力
図14に連続孔下部のせん断降伏機構slを示す。フィーレンディール作用を考慮した孔下部のせん断耐力VBLを次式で与える。
BL=h・tw・τy
ここで、せん断核の長さhは変数で、以下に示す力の釣合い式を満足しながらVBLを最小にする条件で決定される。降伏断面Bの水平方向の耐力をUとすると、ミーゼスの降伏条件より次式が成り立つ。
Figure 0005908282
ここで、M0は隣接孔間の降伏せん断力V0によって生じるT点のモーメントである。T点は孔心断面下部のT形断面の図心と両孔間中心線との交点である。孔心からT形断面の図心までの距離をyとすると、M0は次式で与えられる。
0=V0・y
降伏断面Aに作用する直応力によるモーメントとMALの釣り合い条件より、次式が成り立つ。
Figure 0005908282
なお、降伏機構slは、場合によっては力の釣合い式を満足できず、解が得られない場合もある。その場合は機構slは生じず、機構sLが生じると考える。
連続孔の曲げ耐力
孔心間隔が梁せいより小さい場合、単独孔の場合よりもせん断耐力が小さいため、フィーレンディール作用によって生じるフランジ内直応力は単独孔の場合に比べて小さくなる。したがって連続孔の曲げ耐力は、単独孔の場合よりも大きくなる。本工法では安全側として、連続孔の曲げ耐力は単独孔の曲げ耐力と同じ値を用いる。
補強板の座屈に対する検討
この検討は、本件発明で見出した事項であり、早期にせん断座屈しないようにすることで、補強板内側の溶接を省略可能とした。
孔の空いた補強板がせん断力を受ける場合、補強板の大きさに対する孔径の比に応じてせん断座屈係数が低下する。せん断座屈係数ksは、鋼構造座屈設計指針を参考にして次式で与える。
Figure 0005908282
次に、貫通孔に作用する曲げモーメントとせん断力について説明する。この実施形態では、曲げモーメントおよびせん断力は、短期荷重時、長期荷重時、および終局時の各値を補強判断に用いているが、ここでは終局時の場合のみを説明し、短期荷重時、長期荷重時については説明を省略する。
終局時に貫通孔に作用する曲げモーメントとせん断力
加藤、金子の文献(非特許文献1)を参考にして、有孔梁の設計式を導く。図15に示すように、水平荷重と等分布荷重wを受ける梁を想定する。梁端部(無欠損部)の全塑性状態における曲げモーメントME とせん断力QE のM−Q相関関係(図16)を次式のように仮定する。
Figure 0005908282
ここで、Mp は梁の全塑性モーメント、Mpfはフランジの全塑性モーメント、Qyはウェブの降伏せん断力(無欠損部)である。
梁が両端でせん断力を考慮した全塑性状態になっている時の曲げモーメント分布は次式で表される。
Figure 0005908282
ここで、MPLとMPRはそれぞれ左端と右端の全塑性状態における曲げモーメント、Lは梁スパン、xは梁端からの距離、wは梁に作用する等分布荷重である。
等分布荷重wは、終局時においてスパン内に最大曲げモーメントが生じないことを条件とする。この条件は(4) 式で表される。
Figure 0005908282
全塑性状態における梁端せん断力は次式(5L),(5R)で表される。
Figure 0005908282
ここでQL とQR は、それぞれ左端と右端の全塑性状態におけるせん断力である。
梁端の全塑性状態における曲げモーメントMPL,MPR、(1) 式のQE に(5) 式を代入して連立方程式を解けば、次式が得られる。
Figure 0005908282
ここでhは梁せいである。(6) 式を(5) 式に代入すれば、梁端の全塑性状態におけるせん断力QL とQR は次式で表される。
Figure 0005908282
梁端からd離れた位置に作用するせん断力 DLDR は、(3) 式でx=d,L−dとし、(6) 式を用いれば次式で表される。上記のdは、図1,図4等に示した距離L2に対応する。
Figure 0005908282
梁端からd離れた位置に作用する曲げモーメント DPLDPRは、(2) 式でx=d,L−とし、(6) 式を用いれば次式で表される。
Figure 0005908282
このように演算した曲げモーメントとせん断力を、せん断耐力および曲げ耐力との比較における、終局時に貫通孔に作用する曲げモーメントとせん断力として用いる。
実験による性能確認につき説明する。
有限要素法を用いた数値解析により、設計式ならびに補強の妥当性について検討する。解析方法は材料非線形と幾何学的非線形を考慮した弾塑性有限要素解析で、汎用構造解析プログラムMSC.Marc2000(商品名)を用いて行った。
図18に解析対象、図19に有限要素モデルを示す。要素は4節点厚肉シェル要素を用いている。材端に集中荷重が作用する片持梁を想定し、等分布荷重についてはw=0と仮定する。
表1,表2に試験体一覧を示す。実験はPHASE-1 及びPHASE-2 の2回行なっており、試験体数はPHASE-1 において12体、PHASE-2 において11体の計23体行なった。梁の鋼種は全てSS400 材である。梁のサイズはP2-9を除いて全てフランジ、ウェブ共にFAランクのRH-400×200 ×8xl3を使用し、P2-9のみ梁ウェブがFBランクとなるBH-400×200 ×6 ×12を使用した。柱を模擬した治具にはRH-400×400 ×13×21を使用しており、梁フランジの溶接は裏当て金を用いたレ形グルーブ完全溶け込み溶接、ウェブは隅肉溶接とし、ノンスカラップとしている。実験変数は開孔率、孔偏心、連続孔、補強板の有無および梁長さである。
Figure 0005908282
Figure 0005908282
耐力
表3にPHASE-1 の実験結果一覧を示し、表4にPHASE-2 の実験結果一覧を示す。降伏耐力及び全塑性耐力は、図20に示すように1/3 slope factor法及び1/6 slope factor法により求めた。PHASE-1 では、梁端から梁せいのl/2 倍及び1,0 倍の距離の位置に開孔率60%の貫通孔を設置したものについては降伏荷重、全塑性荷重及び最大荷重が全て低下していることがわかる。なお、一方、梁せいの1倍の距離に開孔率60%の貫通孔を設置したものについては、最大荷重の低下は観察されるが、降伏荷重及び全塑性荷重の著しい低下は観察されない。PHASE-2 のP2-1〜P2-8では無補強の試験体であるP2-2及びP2-7以外については全ての試験体について降伏荷重、全塑性荷重及び最大耐力全てがほぼ同等となっている。
Figure 0005908282
Figure 0005908282
初期剛性
表5、表6にせん断スパン1700mmのRH−400 ×200 ×8 ×13の試験体の初期剛性一覧を示す。 曲げ破壊が先行する、P1-2〜P1-12 及びP2-2〜P2-8は補強の有無、偏心、孔数及び補強方法に係らず0.95〜1.07となっており、無孔梁とほぼ同じ剛性となっている。
Figure 0005908282
Figure 0005908282
実験値耐力と計算値の比較
表7にPHASE-1の降伏耐力と全塑性耐力の実験値及び計算値の比較を示し、表8にPHASE-1 の降伏耐力と全塑性耐力の実験値及び計算値の比較を示す。PRASE-1 の無補強貫通孔を主とした実験では実験値/ 計算値の比が降伏耐力では1.02〜1.26、全塑性耐力では1.02〜1.26と適切に評価できている。PHASE-2 の貫通孔を補強した実験では実験値/ 計算値の比が降伏耐力では1.04〜1,34、全塑性耐力では1.09〜1.41とPHASE-1 と同様、適切に評価できている。
Figure 0005908282
Figure 0005908282
塑性変形能力
表9、表10に各試験体の塑性率を示す。表11,表12に各試験体の塑性変形倍率を示す。PHASE-1 のP1-1試験体を基本試験体として他の試験体と比較すると、無補強試験体の開孔率30%無補強の試験体P1-2、開孔率60%無補強の試験体P1-3、開孔率60%で開孔位置が梁せいの1.0 倍の無補強の試験体P1-4については塑性変形能力の低下が確認されたが、それ以外の試験体については同等以上であった。PHASE-2 のP2-1試験体を基本試験体としてP2-2〜P2-8の試験体と比較すると、全ての試験体において補強・無補強にかかわらず無孔梁のP2-1試験体以上の塑性変形能力を有している。
Figure 0005908282
Figure 0005908282
Figure 0005908282
Figure 0005908282
補強板のウェブ変形に対する追従性
写真により、+2 θp 時および試験終了後の貫通孔近傍の状態を比較した(写真は図示を省略す)。試験体は補強板の外周部のみ全周隅肉溶接した試験体であり、P1-12 、P2-3、P2-4、P2-5、P2-6、P2-8、P2-9及びP2-10 である。補強板の板厚(4.5 mm)が梁ウェブの板厚(8 mm)よりも2サイズ薄いP2-10 については、梁ウェブよりも先に補強板が座屈するのが確認された。しかし、その後梁ウェブに座屈が発生すると補強板は梁ウェブの変形に追従する挙動を示した。その他の試験体については、最終状態に至るまで補強板の座屈挙動は梁ウェブに追従する挙動を示した。
まとめ
・実験値降伏耐力と計算値降伏耐力の比は1.02〜1.34であり、安全側に適切に評価できる。
・実験値全塑性耐力と計算値全塑性耐力の比は1.02〜1.41であり、安全側に適切に評価できる。
・PHASE-1 、PHASE-2 共に無孔梁試験体と貫通孔を有する試験体の初期剛性の比は0.95〜1.07であり貫通孔による初期剛性の低下の影響は見られなかった。
・塑性変形倍率は貫通孔径が大きい場合、無孔梁と比較して低下する傾向があるが、補強板によって補強することより無孔梁と同等の性能を示した。
・補強板と梁ウェブは、実験終了まで同様の挙動を示した。
以上の試験結果から、設計式ならびに補強の妥当性が確認できた。
次に、図21,図22と共に、鉄骨梁貫通孔の補強設計支援装置30につき説明する。この補強設計支援装置30は、コンピュータにより構成される。この補強設計支援装置30は、上記のように鉄骨梁1(図5)のウェブ1aに貫通孔2を設ける場合に、鉄骨梁1の貫通孔2の形成部周辺を補強する補強内容を示すものであって、次の条件入力手段31、補強判定演算手段32、演算結果表示手段33、および表示装置34を備える。表示装置34は、液晶表示装置やCRT等の画面表示を行う装置である。
条件入力手段31は、鉄骨梁の断面寸法情報、梁長さ、貫通孔の孔径、および梁端から貫通孔中心までの距離dを少なくとも含む条件データを入力し、または所定のデータ登録手段から取り込む手段である。条件入力手段31によるデータ入力は、キーボード等からオペレータが入力するようにしても、また適宜の建物設計過程で自動入力されるものとしても良い。条件入力手段31は、具体的には、例えば図22に示すように、入力画面G1を表示装置34に出力し、この画面に、入力項目に対応した空欄部分を設け、この空欄部分に入力項目となる数値または数字,記号等を入力させるものとする。
図18の演算結果表示手段33は、補強判定演算手段32で演算された結果を表示装置34またはプリンタ等に出力する手段である。図22の下部に、その演算結果の出力画面G2の例を示す。同図の例では、入力画面G1と演算結果の出力画面G2とが同じ表示装置34の同じ画面上に並べて表示されている。また、この入力画面G1と出力画面G2を表示した画面に、記号説明図の画像G3と、貫通孔M-Q相関図の画像G4とが併せて表示される。
図18の補強判定演算手段32は、条件入力手段31で得た条件データから、上記補強の有無の判定および補強が必要な場合の補強量の演算を行う手段である。
この補強判定演算手段32は、次の条件(A),(B)、
(A)(梁の孔部に作用するせん断力)<(梁の孔部のせん断耐力)
(B)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(梁の孔部の曲げ耐力)
を充足するか否かを演算して充足する場合は補強不要と判定する。
充足しない場合は、次の条件(1)〜(3)、
(1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)
(2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
(3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
を全て充足する補強板の大きさ,板厚,および両面であるか片面であるかの枚数の演算を行い、
上記条件(3)の条件充足判定に用いる補強板のせん断座屈応力度τcrを次式で得られる値とする。
なお、以下の各式中の各符号の示す意味は、補強標準表示具10について説明した意味と同じである。
Figure 0005908282
補強判定演算手段32による演算において、前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Qphについては、
補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、
補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 s1
補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 sl
を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和である、次式で与えられる値をせん断耐力Qphとする。
ph= min(VAU,VBU)+ min(VAL,VBL
ただし、
AU:孔上部のせん断降伏機構 su の降伏せん断耐力、
BU:孔上部のせん断降伏機構 su の降伏せん断耐力、
AL:孔下部のせん断降伏機構 s1 の降伏せん断耐力、
BL:孔上部のせん断降伏機構 sl の降伏せん断耐力、
前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力Mphf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構、
補強板の上側にせん断降伏断面が成形される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の側面にせん断降伏断面が成形される場合の孔上部の降伏機構 mu
補強板の下側にせん断降伏断面が成形される場合の孔上部の降伏機構 ml
補強板の側面にせん断降伏断面が成形される場合の孔上部の降伏機構 ml
を想定し、
孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい値を用いた、次式で与えられる値とする。
Figure 0005908282
この構成の補強設計支援装置30によると、鉄骨梁1の断面寸法情報、梁長さ、貫通孔2の孔径、および梁端から貫通孔中心までの距離d等の条件データを入力することで、補強の有無判定、および補強が必要な場合の補強量の演算が行われ、その結果が表示装置34の画面に表示される。そのため必要な補強内容が簡単にわかる。この場合の補強の有無判定および補強量の演算は、梁端から貫通孔中心までの距離dを条件に含み、上記の各式によるため、孔位置に応じた必要な補強となり、無駄に補強を行うことが回避される。
特に、この構成の補強設計支援装置30では、補強板3を設置する際に補強板3のせん断座屈の検討を行うようにしたため、補強板3の外周のみを溶接する補強の設計が行えて、補強に伴う鉄骨梁の変形を回避すると共に、補強作業の容易化が図れる。
1…鉄骨梁
2…貫通孔
3…補強板
4…柱
10…補強標準表示具
11…一覧表
11A…大梁中間領域領域用補強一覧表
11B…大梁塑性化領域用補強一覧表
11C…小梁用補強一覧表
12…行見出し表示
13…列見出し表示
14…無補強領域までの距離を示す行であることを示す表示
15…補強内容表示
15a…補強不要の旨を示す表示
111…使用条件表
susus1s1 …せん断降伏機構
mumum1m1 …曲げ降伏機構
E1…塑性化領域
E2…無補強領域
L1…塑性化領域までの距離
L2…無補強領域までの距離

Claims (4)

  1. 鉄骨梁のウェブに貫通孔を設ける場合に、鉄骨梁の貫通孔の形成部周辺を補強する補強設計の方法であって、鉄骨梁貫通孔の補強標準表示具を用い、この補強標準表示具は、
    一覧表において、表の見出しとなる列の各行に行見出し表示として各種断面寸法の鉄骨梁の断面寸法情報を表示し、上記表の見出しとなる行の各列に列見出し表示として、上記ウェブに明ける貫通孔の各種孔径を順に表示し、上記表の所定の行の行見出し表示として、梁端から無補強領域までの距離を示す行であることを示し、
    この無補強領域までの距離を示す行における各列部分となる各セル内に、上記無補強領域までの各種の距離を順に表示し、
    上記表の断面寸法情報で行見出しが表示された任意の行と孔径で列見出しが表示された任意の列とが交差する領域となるセル内に、見出し表示内容に対応する断面寸法情報、孔径、およびそのセルの位置する列の上記所定行に表示された無補強領域までの距離、の各条件に対応する補強内容を表示し、
    この補強内容は、梁の貫通孔を設ける箇所が上記の無補強領域までの距離以下である場合に、前記ウェブの前記貫通孔の周囲に、この貫通孔と整合する貫通孔を有する鋼製の補強板を両面または片面に重ねてこの補強板の外周を前記ウェブに隅肉溶接することで補強する内容であって、
    前記セル内に表示する内容は、次の条件(1)〜(3)を全て充足する補強板の大きさ,板厚,および両面であるか片面であるかを示す枚数の表示であり、
    前記条件は、
    (1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)
    (2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
    (3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
    であり、
    前記補強内容として、補強が不要であるセルには補強不要の旨を示す表示を施し、
    前記補強内容として、個別に検討が必要なセルには個別に検討必要である旨の表示を施し、
    前記補強標準表示具の前記一覧表として、大梁の中間領域の場合の内容を示した大梁中間領域用補強一覧表と、大梁の塑性化領域の場合の内容を示した大梁塑性化領域用補強一覧表と、小梁の場合の内容を示した小梁用補強一覧表と、片持梁の内容を示した片持梁用補強一覧表とを設け、かつ上記各一覧表を使用する場合の条件を示した使用条件表を設けたものを用い、
    前記使用条件表に記載された使用条件に該当しない場合、および補強一覧表に記載の梁以外の梁に適用する場合は、定められた個別検討方法を用い、
    前記の定められた個別検討方法は、前記貫通孔が円形、補強板が矩形の場合に適用されて、
    前記条件、
    (1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力) (2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
    (3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
    の充足判定を個別に行い、
    前記条件(3)の、
    (補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)、
    の条件充足判定に用いる補強板のせん断座屈応力度τcrを次式で得られる値とし、
    Figure 0005908282
    前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Qphについては、
    補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、
    補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
    補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 sl
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 sl
    を想定し、
    孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和である、次式で与えられる値をせん断耐力Qphとし、
    ph= min(VAU,VBU)+ min(VAL,VBL
    前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力Mphf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構、
    補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
    補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
    を想定し、
    孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい値を用いた、次式で与えられる値とする。
    Figure 0005908282
  2. 請求項1に記載の鉄骨梁貫通孔の補強設計方法において、前記貫通孔が円形、補強板が矩形であって、前記条件(3)の、
    (補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)、
    の条件充足判定に用いる補強板のせん断座屈応力度τ cr を次式で得られる値とする鉄骨梁貫通孔の補強設計方法。
    Figure 0005908282
    ここで、R :貫通孔の半径
    V PL :補強板の縦幅
    H PL :補強板の横幅
    PL :補強板の厚さ
    α :補強板の縦横比
    E :ヤング係数
    ν :ポアソン比
  3. 請求項2に記載の鉄骨梁貫通孔の補強設計方法において、前記補強標準表示具として、
    前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Q ph については、
    補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、
    補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 s u
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 s u
    補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 s l
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 s l
    を想定し、
    孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和である、次式で与えられる値をせん断耐力Q ph とし、
    ph = min(V AU ,V BU )+ min(V AL ,V BL
    ただし、
    AU :孔上部のせん断降伏機構 s u の降伏せん断耐力、
    BU :孔上部のせん断降伏機構 s u の降伏せん断耐力、
    AL :孔下部のせん断降伏機構 s l の降伏せん断耐力、
    BL :孔下部のせん断降伏機構 s l の降伏せん断耐力、
    前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力M phf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構、
    補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 m u
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 m u
    補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 m l
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 m l
    を想定し、
    孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい値を用いた、次式で与えられる値とする補強標準表示具を用いる鉄骨梁貫通孔の補強設計方法。
    Figure 0005908282
    ただし、
    AU phf :孔上部のせん断降伏機構 m u の全塑性曲げ耐力、
    BU phf :孔上部のせん断降伏機構 m u の全塑性曲げ耐力、
    AL phf :孔下部のせん断降伏機構 m l の全塑性曲げ耐力、
    BL phf :孔下部のせん断降伏機構 m l の全塑性曲げ耐力。
  4. 鉄骨梁のウェブに貫通孔を設ける場合に、前記ウェブの前記貫通孔の周囲に、この貫通孔と整合する貫通孔を有する鋼製の補強板を両面または片面に重ねてこの補強板の外周を前記ウェブに隅肉溶接することで、鉄骨梁の貫通孔の形成部周辺を補強するときの、補強板の大きさ,板厚,および両面であるか片面であるかを示す枚数を補強内容として示す鉄骨梁貫通孔の補強設計支援装置であって、
    鉄骨梁の断面寸法情報、梁長さ、貫通孔の孔径、および梁端から貫通孔中心までの距離を少なくとも含む条件データを入力しまたは所定のデータ登録手段から取り込む条件入力手段と、
    この条件入力手段で得た条件データから、上記補強の有無判定および補強が必要な場合の補強量の演算を行う補強判定演算手段と、
    この補強判定演算手段で演算された結果を表示する演算結果表示手段とを備え、
    上記補強判定演算手段は、次の条件(A),(B)、
    (A)(梁の孔部に作用するせん断力)<(梁の孔部のせん断耐力)
    (B)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(梁の孔部の曲げ耐力)
    を充足するか否かを演算して充足する場合は補強不要と判定し、
    充足しない場合は、次の条件(1)〜(3)、
    (1)(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)
    (2)(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)
    (3)(補強板のせん断座屈応力度)>(補強板の鋼材の許容せん断応力度)
    を全て充足する補強板の大きさ,板厚,および両面であるか片面であるかの枚数の演算を行い、
    上記条件(3)の条件充足判定に用いる補強板のせん断座屈応力度τ cr を次式で得られる値とし、
    Figure 0005908282
    ここで、R :貫通孔の半径
    VPL :補強板の縦幅
    HPL :補強板の横幅
    PL :補強板の厚さ
    α :補強板の縦横比
    E :ヤング係数
    ν :ポアソン比
    前記条件(1)の「(梁の孔部に作用するせん断力)<(補強された梁の孔部のせん断耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部のせん断耐力Qphについては、
    補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分であるせん断核となる部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類のせん断耐力演算の降伏機構として、
    補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 su
    補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 sl
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 sl
    を想定し、
    孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの小さい方の値を採用し、その採用した孔上部と孔下部のせん断耐力の和である、次式で与えられる値をせん断耐力Qphとし、
    ph= min(VAU,VBU)+ min(VAL,VBL
    ただし、
    AU:孔上部のせん断降伏機構 suの降伏せん断耐力、
    BU:孔上部のせん断降伏機構 suの降伏せん断耐力、
    AL:孔下部のせん断降伏機構 slの降伏せん断耐力、
    BL:孔下部のせん断降伏機構 slの降伏せん断耐力、
    前記条件(2)の「(梁の孔部に作用する曲げモーメント)<(補強された梁の孔部の曲げ耐力)」の条件充足判定に用いる、補強された梁の孔部の曲げ耐力Mphf については、補強された梁を貫通孔に対する孔上部と孔下部に分けた各断面内に、せん断力を受け持つ部分と、フィーレンディール作用による曲げを受け持つ部分とに分けた各2種類の曲げ耐力演算の降伏機構、
    補強板の上側にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔上部の降伏機構 mu
    補強板の下側にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
    補強板の側面にせん断降伏断面が形成される場合の孔下部の降伏機構 ml
    を想定し、
    孔上部と孔下部のそれぞれにつき、両降伏機構で算定したせん断耐力のうちの最も小さい値である、次式で与えられる値とする鉄骨梁貫通孔の補強設計支援装置。
    Figure 0005908282
    ただし、
    AUphf :孔上部のせん断降伏機構 mu の全塑性曲げ耐力、
    BUphf :孔上部のせん断降伏機構 mu の全塑性曲げ耐力、
    ALphf :孔下部のせん断降伏機構 ml の全塑性曲げ耐力、
    BLphf :孔下部のせん断降伏機構 ml の全塑性曲げ耐力。
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