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JP3319483B2 - 耐熱分解性を有するメタクリル樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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JP3319483B2 - 耐熱分解性を有するメタクリル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

耐熱分解性を有するメタクリル樹脂及びその製造方法

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JP3319483B2 JP00058894A JP58894A JP3319483B2 JP 3319483 B2 JP3319483 B2 JP 3319483B2 JP 00058894 A JP00058894 A JP 00058894A JP 58894 A JP58894 A JP 58894A JP 3319483 B2 JP3319483 B2 JP 3319483B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメタクリル樹脂、及びそ
の製造方法に関する。さらに詳しくは、優れた耐熱分解
性を有するメタクリル樹脂、及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来メタクリル樹脂は透明性、耐候性、
機械的強度が優れており、建築用資材や家具・室内装飾
用素材、自動車部品、電気部品等各種成形材料として各
方面に広く利用されている。一般にメタクリル樹脂は2
30℃付近から分解し始め、270℃付近から特に顕著
である。他方、メタクリル樹脂は230℃〜250℃で
射出成形あるいは押出成形される。このとき成形される
メタクリル樹脂が熱分解温度と接近しているため、一部
ポリマーより加熱分解したモノマーが成形品中に残留し
てシルバーストリークスや発泡を発生させたり、着色、
耐熱変形性の低下、臭気による作業環境の悪化等をきた
し、実用上の問題となっている。
【0003】これまでメタクリル樹脂の耐熱分解性を向
上させるために種々の工夫がなされてきている。たとえ
ば、初期において抗酸化剤を添加して加熱成形すること
が試みられたが、充分な効果が得られないばかりか着色
する等の欠点を有していた。近年、メタクリル樹脂を連
続重合法で製造することにより耐熱分解性を改良するこ
とが開示されている。例えば、特公昭52−32665
号公報では温度130〜160℃において1段完全混合
槽型連続重合を行うに当たり、連鎖移動剤としてメルカ
プタン濃度0.01〜1.0モル%および下記式を満足
するモノマー組成物を連続的にフィードしてモノマー転
化率50〜78%に維持する方法が開示されている。 10≧A1/2 ・B-1/2×103 3≧A・B×105 2.9≧A-1・(B+10.3)×10-6 ここで、Aは、単量体フィード100g中のラジカル重
合開始剤のモル数を示し、Bは、ラジカル重合開始剤の
重合温度における半減期(時間)を示す。
【0004】さらに、特開平3−111408号公報で
は1段完全混合槽型連続重合を行うに当たり、重合温度
130〜160℃における半減期が0.5〜2分の開始
剤を用い、重合温度でのラジカル開始剤の半減期と平均
滞留時間の比が1/200〜1/10000となるよう
に平均滞留時間を設定し、モノマー転化率を45〜70
%とする方法が開示されている。これらいずれの発明に
おいても、問題とする耐熱分解性は、未反応モノマー等
残存揮発分を高温下で除去する真空脱揮工程や押出成形
工程等の後処理工程を経たポリマーについて評価したも
のである。本発明者らの検討によれば重合工程で生成し
てくるポリマーそのものの耐熱分解性については必ずし
も十分ではなかった。真空脱揮工程や押出成形工程等の
後処理工程での熱分解による収率低下、熱履歴による着
色等を考慮すれば重合工程で生成するポリマーの耐熱分
解性を向上させることが極めて重要である。
【0005】また、多段完全混合槽型連続重合に関する
発明も開示されている。特開平1−172401号公報
では、メチルアクリレートまたはエチルアクリレート等
のコモノマーや連鎖移動剤の一部を分割フィードするこ
とにより生成ポリマーの熱安定性等品質が向上できるこ
とが記載されているがこれについての具体的な実施例は
一切開示されていない。本発明者らは、先の出願(特願
平5−279861)において、メタノール5〜29重
量%添加した連続溶液重合法を開示した。本法によれ
ば、ポリマー濃度が比較的低濃度領域ではゲル効果の発
現を抑制することができるので重合を安定化することが
できるが、得られるポリマーの耐熱分解性においては必
ずしも満足されるものではない。
【0006】また、特開昭62−241905号公報で
はメタノールを含む溶解度パラメーター(δ)が10.
5〜14.5(cal/cm3 1/2 である脂肪族1価
アルコール30〜80重量%の存在下に重合を行う方法
が開示されているが、本発明者らが実施した試験によれ
ば、30〜80重量%の大量のアルコール添加系では成
形材料として使用される分子量を有するメタクリル樹脂
を製造すると極めて耐熱分解性の低いポリマーしか得ら
れないことがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した課題を解決し、熱成形時におけるシルバーストリー
クスや発泡、着色および臭気等の発生の少ない、耐熱分
解性に優れたメタクリル樹脂、及びその製造方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、一定のラジカル重合開始剤の半減期とその濃
度及び連鎖移動剤濃度、モノマー濃度と溶媒濃度、重合
温度、及び平均滞留時間の条件下で、メチルメタクリレ
ートもしくはメチルメタクリレートを含む単量体混合物
を重合反応させることにより、上記した課題を解決でき
ることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、1段完全混合槽を使
用して、メチルメタクリレート単独、またはメチルメタ
クリレートが75重量%以上とメチルアクリレート、エ
チルアクリレートもしくはブチルアクリレートから選ば
れた少なくとも一種以上が25重量%以下からなる単量
体混合物71〜95重量%及び溶媒29〜5重量%から
なる組成物に対し、組成物中ラジカル重合開始剤濃度が
1.0×10-3〜1.6モル%、及び連鎖移動剤濃度が
1.0×10-3〜3.7モル%となるように調製した反
応組成物を、重合温度100〜170℃、及び平均滞留
時間が重合温度における重合開始剤半減期の5〜700
0倍となるようにして重合率40〜80%に維持しなが
ら連続的に重合して得られ、かつ重合反応終了後で後処
理工程での熱履歴を受ける前の下記式で定義される熱分
解度(DW)が5wt%以下である耐熱分解性を有する
メタクリル樹脂に関する発明である。 DW=γw ・ 0. 87RA (式中、DWは、窒素気流中、30℃から300℃まで
2℃/minの割合で加熱昇温したときの加熱減量率
(wt%)、γw は、全生成ポリマーに対する末端二重
結合を有すポリマーの含有率(wt%)、およびRA
は、生成ポリマー中のアクリレート単位濃度(モル%)
を示す。)
【0010】本発明で使用する単量体成分としてはメチ
ルメタクリレート単独、またはメチルメタクリレート7
5が重量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレ
ートもしくはブチルアクリレートから選ばれた少なくと
も一種以上が25重量%以下からなる単量体もしくはそ
の混合物である。一般にメタクリル樹脂は、メチルメタ
クリレートとアクリレート類との共重合体であり、その
組成比は射出成形グレード、押出成形グレード等成形目
的、すなわちポリマーの流動性によって決定される。通
常、ポリマー中のアクリレート単位濃度は20重量%以
下とされるが、そのためにはメチルメタクリレートを7
5重量%以上及びメチルアクリレート、エチルアクリレ
ートまたはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも
一種以上を25重量%以下とする必要がある。供給され
る単量体混合物組成は生成するポリマーの共重合組成と
異なるが、簡単な実験、例えばポリマーの熱分解ガスク
ロマトグラフィー測定によって予めその関係を知ること
ができる。
【0011】本発明で使用できる溶媒としてはトルエ
ン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノ
ール、エタノール等が挙げられる。これらの中でもメタ
ノールの使用が、重合反応後の処理等を考慮すると特に
望ましい。上記溶媒の使用割合は、単量体もしくは単量
体混合物71〜95重量%に対し、溶媒29〜5重量%
である。溶媒濃度が上記5重量%未満では、メチルメタ
クリレートのラジカル重合に顕著な自動促進効果、すな
わち系内粘度上昇による重合速度の異常加速現象が生じ
て安定な重合反応を維持できなくなる。一方、溶媒濃度
が上記29重量%を超えると、設定できる分子量範囲が
狭められ、かつ生成ポリマー中の末端二重結合を有する
ポリマーの含有率γw を10重量%以下に設定できる条
件が極端に狭くなる。
【0012】重合開始剤としては、ジ−t−ブチルパー
カーボネート、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキ
シルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ
ジネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレー
ト、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエー
ト)、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ
クミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、
【0013】あるいは2,2’−アゾビス(4−メトキ
シ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フ
ェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビ
スイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブ
チロニトリル)、1,1’−アゾビスイソブチレート、
1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカーボニトリ
ル)等のアゾ化合物が挙げられる。
【0014】単量体もしくは単量体混合物、溶媒等の組
成物中のラジカル重合開始剤濃度は、1.0×10-3
1.6モル%、好ましくは、1.0×10-3〜1.0モ
ル%の範囲である。ラジカル重合重合開始剤濃度が、上
記1.0×10-3モル%未満では、工業的に有利な重合
率、換言すればポリマー濃度を達成できない。一方、
1.6モル%を超えると、高重合率を達成できるが、設
定できる分子量範囲が狭められ、かつ生成ポリマー中の
末端二重結合を有するポリマーの含有率γw を10重量
%以下に設定できる条件が極端に狭くなる。また、大量
の重合開始剤の使用は、製品ポリマーの透明性を低下さ
せる問題が生ずる。
【0015】重合開始剤の半減期および分解速度は、日
本油脂(株)発行の「有機過酸化物」資料集第13版、
アトケム吉富(株)技術資料および和光純薬(株)発行
のアゾ系重合開始剤( AZO POLYMERIZATION INITIATORS
)等のデータから知ることができる。
【0016】連鎖移動剤としては通常のラジカル重合で
得られるt−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸
イソオクチル等が使用できる。単量体もしくは単量体混
合物、溶媒等の組成物中の連鎖移動剤濃度は、1.0×
10-3〜3.7モル%、好ましくは1.6×10-2
0.6モル%の範囲である。連鎖移動剤濃度が、上記
1.0×10-3モル%未満では、生成ポリマー中の末端
二重結合を有するポリマーの含有率γw を10重量%以
下にすることが困難となる。一方、上記3.7モル%を
超えると生成ポリマーの分子量が小さくなり、十分な機
械的物性を得ることができなくなる。
【0017】これらの重合開始剤と連鎖移動剤の重合槽
への供給は、フィードする原料組成物に対して所望の濃
度となるようにそれぞれ単独で供給してもよいが、予め
単量体もしくは単量体混合物、あるいは溶媒に溶解して
から供給するのが望ましい。
【0018】本発明の重合反応温度100〜170℃で
ある。重合温度が上記100℃未満では、生成ポリマー
鎖中に200℃以下で断裂する熱的に極めて弱いヘッド
−ヘッド結合が残存してしまう。一方、上記170℃を
超えると、オリゴマーの生成が著しく、ポリマーに着色
が生ずる。
【0019】本発明において、平均滞留時間は、重合温
度における重合開始剤半減期の5〜7000倍となるよ
うにする。平均滞留時間が、重合開始剤半減期の上記5
倍未満では、重合率が低いにもかかわらず大量の重合開
始剤が必要となり、製品ポリマーの透明性が損なわれ
る。一方、上記7000倍を超えると重合反応槽が大き
くなりすぎて工業的に不利である。
【0020】本発明において、重合率を40〜80%、
好ましくは40〜70%に維持しながら連続的に重合す
る。重合率が上記40%未満では、単位時間当たりのポ
リマー収量が小さくなり、工業的に不利である。一方、
上記80%を超えるとγw 、すなわち、生成ポリマー中
の末端二重結合を有するポリマーの含有率が急激に大き
くなり、10重量%以下に設定できる条件範囲が極端に
狭くなる。
【0021】本発明において、熱分解度DWは5%以
下、好ましくは3%以下、更に好ましくは1.5%以下
とする。熱分解度DWは、式(1)で定義される。 DW=γw ・ 0. 87RA (1) (式中、DWは、熱分解度(wt%)を示し、窒素気流
中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱
昇温したときの加熱減量率、γw は、全生成ポリマーに
対する末端二重結合を有すポリマーの含有率(wt
%)、RAは、生成ポリマー中のアクリレート単位濃度
(モル%)をそれぞれ表す。)
【0022】ここで、本発明におけるγw 、すなわちあ
る瞬間の全安定ポリマー鎖に対する末端二重結合を有す
るポリマー鎖の重量分率は、下式のように求められる。 γw = 50Rtdν(2+ν)/(Rp (1+ν)) (2) 式中、 ν=Rp /(Rtr+Rtd+Rtc/2) (3) Rp =kp 〔M〕Q (4) Rtr=(ktrx[X] +ktrs[S] +ktrm[M] +ktri[I] Q (5) Rtd=akt Q (6) Rtc=(1−a)kt Q2 (7) Q=(2fkdI/kt )1/2 (8)
【0023】式(2)〜(8)中の略号は、以下の通り
である。ν:動力学的連鎖(単位時間に成長して消費さ
れたモノマー数と停止した回数との比) [M] :モノマー濃度(モル・L-1) [I] :開始
剤濃度(モル・L-1) [X] :連鎖移動剤濃度(モル・L-1) [S] :溶媒
濃度(モル・L-1) Q :全ラジカル濃度(モル・L-1) Rp :成長速度(モル・L-1・秒-1) Rtd:不均化停止速度(モル・L-1・秒-1) Rtc:再結合停止速度(モル・L-1・秒-1) Rtr:全連鎖移動速度(モル・L-1・秒-1) kp :成長速度定数(L・モル-1・秒-1) kt :全停止速度定数(L・モル-1・秒-1) ktrx :連鎖移動剤Xへの連鎖移動速度定数(L・モル
-1・秒-1) ktrs :溶媒Sへの連鎖移動速度定数(L・モル-1・秒
-1) ktrm :モノマーMへの連鎖移動速度定数(L・モル-1
・秒-1) ktri :開始剤Iへの連鎖移動速度定数(L・モル-1
-1) a:全停止反応に対する不均化停止反応の起こる割合 f:開始剤効率
【0024】1段完全混合槽型連続重合法において所望
のγw 値を有するメタクリル樹脂を製造するには、重合
を維持する槽内の反応組成物(モノマーあるいはコモノ
マー、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒)の各濃
度および所定の重合温度における各素反応速度定数(開
始速度、生長速度、連鎖移動速度、再結合停止速度と不
均化停止速度の各速度定数)を(2)式に代入して所望
のγw 値となるように重合条件の操作設計を行えばよ
い。重合を維持する槽内各反応組成物濃度については、
ガスクロマトグラフィー等の分析により決定されるが、
完全混合槽型連続重合の物質収支式から求めた計算値を
使用することもできる(たとえば、井本立也,李 秀逸
著の「重合反応工学」、第66頁、第121頁(1970)、
日刊工業新聞社発行)。
【0025】重合系の粘度が増加して自動加速現象が現
れる領域では、一般に言われているように停止速度定数
kt が低下したとしてγw を取り扱うと耐熱分解性は良
く一致する。モノマーとポリマーの密度差による反応液
の体積変化が無視できない場合には重合系の各濃度項を
補正すれば良い(幡手泰雄、羽野忠、宮田隆夫、中塩文
行、坂井渡著,「化学工学」,第35巻,第8号,90
3頁(1971))。また、γw によりメタクリル樹脂
の耐熱分解性を予測設計するためには反応系中の酸素は
1ppm以下まで充分に取り除いておかねばならない。
これはメチルメタクリレートと酸素が共重合し、鎖中に
熱的に不安定な過酸化結合を生成するからである。
【0026】本発明において、DWを求めるためにγw
の関係式に使用される種々の素反応速度定数やファクタ
ーは事前に求めておく必要があるが、これらは実験室的
に容易に求めることができる。メチルメタクリレート単
独、またはメチルメタクリレート75が重量%以上とメ
チルアクリレート、エチルアクリレートもしくはブチル
アクリレートから選ばれた少なくとも一種以上が25重
量%以下からなる単量体混合物の生長速度定数、停止速
度定数、ポリマーラジカルの各組成物への連鎖移動速度
定数は、常法により求めることができる(たとえば、大
津隆行・木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」、化学
同人発行)。また、ポリマー・ハンドブック第2版(ウ
ィリィインター、サイエンス社発行)記載のメチルメタ
クリレートの各素反応速度定数データも使用できる。
【0027】不均化停止反応と再結合停止反応の起こる
割合の決定や計算によって求めたポリマー鎖末端二重結
合濃度の評価は核磁気共鳴スペクトル法で末端構造を直
接測定することにより可能である(ハタダ、ポリマー
ジャーナル、第1巻、No5、395頁、1986年、高
分子学会発行)。
【0028】ポリマーの分子量は、極限粘度測定あるい
はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定
できる。動力学的鎖長νは数平均分子量をモノマー単位
の平均分子量で除して求めた。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるもの
ではない。実施例中「部」は「重量部」を示す。尚、本
例で示すポリマーの物性測定は以下の方法により行っ
た。 (1)熱分解度DWは熱重量分析によった。セイコー電
子工業(株)製(型式:RTG220型)熱重量分析
(TGA)装置を用いて、メタクリル樹脂約5mgを白
金パン上に置き、300ml/minの窒素気流中、室
温から500℃まで2℃/minの昇温速度で加熱し減
量率変化を測定した。熱分解度はDTG曲線で解重合型
のジッパー分解のピークとランダム分解のピークとの変
曲点における減量率とした。この変曲点は本TG条件で
は実質的に300℃にある。 (2)重合率は、GLサイエンス製GC−380型ガス
クロマトグラフィーを用いて重合槽から流出する反応液
中の未反応モノマー濃度を測定することにより求めた。
【0030】(3)ポリマーの分子量は東ソー(株)
製、型式8010型ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーにより測定した。動力学的鎖長νは数平均分子量
Mn をモノマー単位の平均分子量で除して求めた。 (4)ポリマーの全光線透過率の測定には日本電色工業
製、型式:Z−センサーΣ80 NDHを用いて、透過
法で測定した。
【0031】実施例1 メチルメタクリレート88.3部、メチルアクリレート
5.2部、及びメタノール6.2部からなる混合物に、
n−ドデシルメルカプタンを0.15モル%、2, 2’
−アゾビスイソブチロニトリルを4.2×10-3モル%
の濃度となるように配合して得られた組成物をヘリカル
リボン翼付き10リットル完全混合槽に、1Kg/Hr
で連続的にフィードして連続重合を行った。重合槽内の
反応液量は5Kgとした。したがって、平均滞留時間は
5時間となった。重合温度は150℃となるようにジャ
ケット温度を調整した。重合率は60.3%、ポリマー
の数平均分子量は45,000でそれぞれ一定となり、
安定に運転できた。
【0032】表1に連続重合定常運転時の各素反応速
度、動力学的鎖長νとポリマー中メチルアクリレート組
成比を示す。これらの値を(1)式に代入すると、γw
は2.7と求められた。ポリマー中メチルアクリレート
単位のモル分率は5.8であるので熱分解度DWは1.
2%と求められた。なお、各素反応速度は、常法により
求めた値を使用した。耐熱分解性を調べるため、重合槽
液面が一定となるように底部から反応液をギヤポンプで
抜き出し、反応液を沈澱精製することによってもポリマ
ーを得た。一方、上記反応液を熱交換器で250℃に加
熱した後、圧力が10torrに調節された脱揮槽内に
連続的に導入してフラッシュさせた。揮発分を除去した
溶融ポリマーは底部よりギヤポンプでストランドとして
抜き出し、切断してペレットとした。
【0033】熱履歴を受ける前の再沈澱精製ポリマーと
熱履歴を受けた後の真空脱揮後のポリマーの耐熱分解性
を調べた結果を図1、図2にそれぞれ示す。両者とも実
質的な熱分解開始温度は300℃であり、TGおよびD
TG曲線において差はほとんど認められず、重合工程、
脱揮工程にかかわらず耐熱分解性良好なポリマーが得ら
れたことがわかった。真空脱揮したポリマーをアーブル
ク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ
×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークスの
発生は全くみられなかった。全光線透過率は93%であ
り、優れた透明性を有していた。
【0034】 表1 重合槽内の各素反応速度(ミリモル・L-1・秒-1)、動力学的鎖長、 ポリマー中メチルアクリレート単位濃度(モル%)、γw と熱分解度(wt%) 生長速度 Rp 0. 291 不均化停止速度 Rtd 3. 56×10-5 動力学的鎖長 449 γw 2. 7 メチルアクリレート単位濃度 5. 8 熱分解度 DW 1. 2
【0035】実施例2〜5 実施例1と同様の方法により表2に示す各種条件で連続
重合を実施した。いずれの実施例でも重合反応は安定に
制御され耐熱分解性良好な重合体が得られた。表2に原
料組成、重合条件、重合率、樹脂の特性(数平均分子
量、ポリマー中コモノマー、組成比、γw 、熱分解度D
W)を示した。
【0036】 表2 実施例番号 2 3 4 5 原料組成 MMA(部) 82.9 79.4 89.3 82.6 コモノマー(部) MA EA MA BA 3.6 7.2 4.6 6.8 溶媒(部) ME ME TOL TOL 13.3 12.7 6.9 10.1 重合開始剤(10-3モル%) AIBN DTAP DTAP DTBP 1.3 7.7 4.7 3.8 重合開始剤半減期(10-2時間) 0.102 10.4 17.5 7.29 連鎖移動剤(モル%) DM DM OM OM 0.13 0.12 0.15 0.13 重合条件 重合温度(℃) 150 160 155 170 原料組成供給速度(kg/時) 0.77 0.83 0.91 1.0 平均滞留時間(時間) 6.5 6.0 5.5 5.0 重合率(%) 50.0 70.0 60.4 63.2 樹脂の特性 数平均分子量(Mn ×10-4) 5.0 4.5 4.9 5.0 RA(ポリマー中のコモノマー 4.1 9.3 5.2 8.1 単位濃度(モル%)) γw (wt%) 1.3 3.9 2.4 2.3 熱分解度DW(wt%) 0.7 1.1 1.2 0.7 成形品の特性 シリバーストリークスの発生 なし なし なし なし 全光線透過率(%) 93 93 93 93
【0037】表2中の略語の説明 MMA:メチルメタクリレート MA:メチル
アクリレート EA:エチルアクリレート BA:ブチル
アクリレート ME:メタノール TOL:トル
エン AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル DTAP:ジ−t−アミルパーオキサイド DTBP:ジ−t−ブチルパーオキサイド DM:n−ドデシルメルカプタン OM:n−オクチルメルカプタン
【0038】比較例1 メチルメタクリレート54.8部、メチルアクリレート
4.0部、メタノール42.9部からなる混合物に、n
−ドデシルメルカプタンを2.3モル%、ジ−t−アミ
ルパーオキサイドを0.002モル%の濃度となるよう
に配合して得た組成物1.67Kg/Hrを実施例1と
同様の重合槽に連続的にフィードして平均滞留時間3時
間、重合温度は140℃で連続重合を行ったところ、重
合率65.7%、数平均分子量50,000、RA4.
1モル%のポリマーが得られた。表3に連続重合定常運
転時の各素反応速度、動力学的鎖長νとポリマー中メチ
ルアクリレート単位濃度比を示す。これらの値を(2)
式に代入すると、γw は16.0であった。ポリマー中
メチルアクリレート単位濃度は3.5%であるので熱分
解度DWは9.0%であった。
【0039】実施例1と同様に運転開始後15時間後に
重合槽から流出する反応液より再沈澱精製したポリマー
(熱履歴を受けていない)と250℃で真空脱揮した後
のポリマー(熱履歴を受けている)の耐熱分解性を調べ
た結果を図3、図4にそれぞれ示す。熱分解温度は重合
槽から流出するポリマー、250℃の真空脱揮した後の
ポリマーともに250℃であった。重合槽から流出する
ポリマーの実質的にジッパー分解する300℃までの分
解率は8.8であった。DTG曲線は両者とも約280
℃、370℃に2つのピークが現れたが、真空脱揮した
後のポリマーでは280℃のピークが若干小さくなっ
た。真空脱揮時、末端二重結合含有ポリマーが一部分解
したものと考えられる。真空脱揮したポリマーをアーブ
ルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mm
φ×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークス
が発生し、全光線透過率は89%であった。
【0040】 表3 重合槽内の各素反応速度(ミリモル・L-1・秒-1)、動力学的鎖長、 ポリマー中メチルアクリレート単位濃度(モル%)、γw と熱分解度(wt%) 生長速度 Rp 0. 477 不均化停止速度 Rtd 2. 06×10-4 動力学的鎖長 474 γw 16. 0 メチルアクリレート単位濃度 4.1 熱分解度 DW 9. 0
【0041】比較例2 メチルメタクリレート66.8部、メチルアクリレート
1.8部、トルエン31.4部からなる混合物に、ジ−
t−ブチルパーオキサイドを0.18モル%となるよう
に配合して得た組成物を実施例1と同様の重合槽に連続
的に1.47Kg/Hrの割合でフィードして平均滞留
時間3.0時間、重合温度は130℃で連続重合を行っ
たところ、重合率75.7%、数平均分子量40,00
0、RA3.2モル%のポリマーが得られた。生成ポリ
マーのγw は32.3、ポリマー中メチルアクリレート
単位濃度は、3.2モル%であるのでDWは20.7で
あった。実施例1と同様に、運転開始後15時間後に重
合槽から流出する反応液より再沈澱精製したポリマーと
270℃の真空脱揮した後のポリマーの耐熱分解温度を
測定したところ、いずれも250℃であった。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、1段完全混合槽型連続
重合法において、一定のラジカル重合開始剤の半減期と
その濃度、連鎖移動剤濃度、モノマー濃度および溶媒濃
度、重合温度、平均滞留時間の条件下で反応させること
により、重合工程直後、すなわち真空脱揮工程や押出成
形工程を経る前のポリマーの熱分解度DWが5重量%以
下である優れた耐熱性を有するメタクリル樹脂を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で沈殿精製した得られたポリマーの
TGおよびDTG曲線を示す。
【図2】 実施例1で真空脱揮したポリマーのTGおよ
びDTG曲線を示す。
【図3】 比較例1で沈殿精製した得られたポリマーの
TGおよびDTG曲線を示す。
【図4】 比較例1で真空脱揮したポリマーのTGおよ
びDTG曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−294307(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1段完全混合槽を使用して、メチルメタ
    クリレート単独、またはメチルメタクリレートが75重
    量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートも
    しくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種
    以上が25重量%以下からなる単量体混合物71〜95
    重量%及び溶媒29〜5重量%からなる組成物に対し、
    組成物中ラジカル重合開始剤濃度が1.0×10-3
    1.6モル%、及び連鎖移動剤濃度が1.0×10-3
    3.7モル%となるように調製した反応組成物を、重合
    温度100〜170℃、及び平均滞留時間が重合温度に
    おける重合開始剤半減期の5〜7000倍となるように
    して重合率40〜80%に維持しながら連続的に重合し
    て得られ、かつ重合反応終了後で後処理工程での熱履歴
    を受ける前の下記式で定義される熱分解度(DW)が5
    wt%以下である耐熱分解性を有するメタクリル樹脂。 DW=γw ・ 0. 87RA (式中、DWは、窒素気流中、30℃から300℃まで
    2℃/minの割合で加熱昇温したときの加熱減量率
    (wt%)、γw は、全生成ポリマーに対する末端二重
    結合を有すポリマーの含有率(wt%)、およびRA
    は、生成ポリマー中のアクリレート単位濃度(モル%)
    を示す。)
  2. 【請求項2】 1段完全混合槽を使用して、メチルメタ
    クリレート単独、またはメチルメタクリレートが75重
    量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートも
    しくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種
    以上が25重量%以下からなる単量体混合物71〜95
    重量%及び溶媒29〜5重量%からなる組成物に対し、
    組成物中ラジカル重合開始剤濃度が1.0×10-3
    1.0モル%、及び連鎖移動剤濃度が1.6×10-2
    0.6モル%となるように調製した反応組成物を、重合
    温度100〜170℃、及び平均滞留時間が重合温度に
    おける重合開始剤半減期の5〜7000倍となるように
    して重合率40〜70%に維持しながら連続的に重合し
    て得られ、かつ重合反応終了後で後処理工程での熱履歴
    を受ける前の下記式で定義される熱分解度(DW)が
    1.5wt%以下であることを特徴とする耐熱分解性を
    有するメタクリル樹脂。 DW=γw ・ 0. 87RA (式中、DWは、窒素気流中、30℃から300℃まで
    2℃/minの割合で加熱昇温したときの加熱減量率
    (wt%)、γw は、全生成ポリマーに対する末端二重
    結合を有すポリマーの含有率(wt%)、およびRA
    は、生成ポリマー中のアクリレート単位濃度(モル%)
    を示す。)
  3. 【請求項3】 1段完全混合槽を使用して、メチルメタ
    クリレート単独、またはメチルメタクリレートが75重
    量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートも
    しくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種
    以上が25重量%以下からなる単量体混合物の重合反応
    を行うに際し、反応溶媒を単量体もしくは単量体混合物
    71〜95重量%及び反応溶媒29〜5重量%となるよ
    うに配合し、かつ反応組成物中ラジカル重合開始剤濃度
    が1.0×10-3〜1.6モル%、及び連鎖移動剤濃度
    が1.0×10-3〜3.7モル%となるように調整した
    反応組成物を、重合温度100〜170℃、及び平均滞
    留時間が重合温度における重合開始剤半減期の5〜70
    00倍となるようにして重合率40〜80%に維持しな
    がら連続的に重合して得られ、かつ重合反応終了後で後
    処理工程での熱履歴を受ける前のポリマーの熱分解度D
    W(窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/min
    の割合で加熱昇温したときの加熱減量率)が5wt%以
    下を満足する条件下で反応することを特徴とする耐熱分
    解性を有するメタクリル樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶媒が、メタノールである請求項に記
    載の耐熱分解性を有するメタクリル樹脂の製造方法。
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