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JP3336740B2 - 微細構造体の形成方法 - Google Patents
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JP3336740B2 - 微細構造体の形成方法 - Google Patents

微細構造体の形成方法

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JP3336740B2
JP3336740B2 JP10295894A JP10295894A JP3336740B2 JP 3336740 B2 JP3336740 B2 JP 3336740B2 JP 10295894 A JP10295894 A JP 10295894A JP 10295894 A JP10295894 A JP 10295894A JP 3336740 B2 JP3336740 B2 JP 3336740B2
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resist
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synchrotron radiation
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Micromachines (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微細構造体の形成方法
に関し、特に、微細な線幅寸法と、厚みのある、アスペ
クト比の大きい微細構造体を、高精度に、容易かつ簡単
に形成することのできる、微細構造体の形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路の装置の製造技術を応用
して、極めて微細な構造体を形成する微細加工技術の研
究が近年活発になってきている。
【0003】中でも、X線を使った深いリソグラフィ
と、電気メッキを用い、高アスペクト比を有する微細構
造体を形成するLIGA(Lithograph Ga
lvanformung und Abformun
g)法は、特に注目されるところである(Nikkei
Mechanical 1990.11.26、p.
26〜p.28参照)。
【0004】LIGA法は、マイクロマシン、光学素
子、センサまたはアクチュエータなどの製造に利用する
ことができ、その応用範囲は非常に広い。
【0005】図8および図9は、従来のLIGA法につ
いての基本工程の一例を概略的に示す工程図である。
【0006】図8および図9を参照して、まず、図8
(a)に示す工程において、典型的には、ポリメチルメ
タクリレート(PMMA)を主成分(ベース樹脂)とし
て含むレジスト(感光性樹脂)層102を所望の厚さ
(数10μm〜数100μm)で基板101上に形成す
る。
【0007】次に、図8(b)に示す工程において、X
線マスク100を介して、レジスト層102にシンクロ
トロン放射光(SR光)を照射して、レジスト層102
に所望のパターン102pを露光する。
【0008】なお、X線マスク100は、X線吸収率の
大きい金属で所望のパターンが形成されたX線吸収体1
00aと、X線を透過させやすい材料で構成された光透
過膜(マスクメンブラン)100bとを備える。なお、
光透過膜(マスクメンブラン)は、マスク支持膜とも呼
ばれている。
【0009】次に、図8(c)に示す工程において、所
望のパターン102pが露光されたレジスト層102を
現像して、レジストパターン(レジスト構造体)103
を形成する。
【0010】次に、図8(d)に示す工程において、レ
ジストパターン103に基づいて、金属の構造体104
を形成する。
【0011】より詳しくは、レジストパターン103を
有する基板101全体をメッキ液に漬け、基板101の
上に、電気メッキで、たとえば、ニッケル(Ni)、銅
(Cu)、金(Au)等をレジストパターン103の谷
間103vに堆積する。
【0012】次に、図8(e)に示す工程において、基
板101およびレジストパターン103を除去すること
により、金属の構造体104を得る。
【0013】この金属の構造体104は、最終製品とし
て使用に供せられることもあれば、また、金属の構造体
104をモールドのための型として使用することもあ
る。
【0014】金属の構造体104をモールドのための型
として用いる場合には、図9(a)に示す工程におい
て、金属の構造体104に、たとえば、射出成形法によ
り、プラスチック材を充填する。次に、金属の構造体1
04を除去することにより、プラスチックの構造体10
5を得る。
【0015】このプラスチックの構造体105は、最終
製品として使用に供せられることもあれば、また、プラ
スチックの構造体105をモールドのための型として使
用することもある。
【0016】プラスチックの構造体105を型として用
いる場合には、さらに、プラスチックの構造体105を
型として用い、電気メッキまたは電鋳により、金属の構
造体(図示せず)を得たり、セラミックス粉末をプラス
チックの構造体105に入れて焼結したりすることによ
り、セラミックスの構造体(図示せず)を形成すること
ができる。
【0017】図9(b)〜図9(e)に示す工程は、プ
ラスチックの構造体105に基づいて、金属の構造体を
形成する一例を概略的に示す工程図である。
【0018】まず、図9(b)に示す工程において、プ
ラスチックの構造体105として、誘電性のプラスチッ
クの構造体を準備する。そして、プラスチックの構造体
105に従って、誘電性プラスチック106と導電性プ
ラスチックシート107とからなるプラスチック型10
8を形成する。
【0019】次に、図9(c)に示す工程において、プ
ラスチックの構造体105を分離して、プラスチック型
108を準備する。
【0020】次に、図9(d)に示す工程において、プ
ラスチック型108の谷間108vに電鋳または電気メ
ッキにより金属の構造体109を堆積する。
【0021】次に、図9(e)に示す工程において、プ
ラスチック型108を除去し、金属の構造体110を得
る。
【0022】なお、本明細書において用いる用語「微細
構造体」は、特に以下の場合に限定されることはない
が、たとえば、図8(e)に示す工程において形成され
る金属の構造体104や、図9(a)に示す工程におい
て形成されるプラスチックの構造体105や、プラスチ
ックの構造体105に基づいて形成される、金属の構造
体(図示せず)およびセラミックスの構造体(図示せ
ず)や、図9(e)に示す工程において形成される金属
の構造体110等を意味する。
【0023】ところで、微細構造体を形成する技術とし
ては、半導体集積回路の回路部品のような、単に、2次
元的な図形に薄い厚さ(1μm〜3μm)を有する2次
元的な微小化技術でなく、2次元的な図形に厚み(数1
0μm〜数100μm)を有する3次元的な微小化技術
が要求される。
【0024】たとえば、マイクロマシン等を製造する際
には、マイクロマシン等の構成部品として、約1μm〜
約10μm程度の線幅寸法と、約10μm〜約100μ
m程度の厚さ(高さ)を有する種々の大きさの部品を製
造する必要がある。
【0025】また、たとえば、マクロマシン、光学素
子、センサまたはアクチュエータ等の微細構造体では、
一定の機械的強度が要求される場合があり、高アスペク
ト比を有する微細構造体の形成方法が長年望まれてい
る。
【0026】また、たとえば、アクチュエータやマイク
ロ歯車等の駆動機構に用いられる微細構造体では、一定
の駆動力を得る必要等から高アスペクト比を有する微細
構造体を形成する必要がある。
【0027】より具体的には、たとえば、図8(e)、
図9(a)および図9(e)を再び参照して、線幅寸法
Wとして、たとえば、1μm〜10μm程度の微細に加
工された部分と、厚さ(高さ)Hとして、たとえば、数
100μm以上の寸法を有する部分とを備える、高アス
ペクト比(H/W)を有する微細構造体を、高精度に、
容易かつ簡単に形成する微細構造体の形成方法が長年望
まれている。
【0028】上記したLIGA法のような微細構造体の
形成方法では、レジストパターン103に基づいて、微
細構造体を形成しているため、基板101上にレジスト
層102を厚く形成し、しかも、シンクロトロン放射光
(SR光)を用いて、光の回折効果を低減し、かつ、基
板101上に形成したレジスト層102について、深い
露光を行なう必要がある。
【0029】従来、LIGA法のような微細構造体の形
成方法では、マルチスピンコート法を用い、基板上にレ
ジスト層を厚く形成していた(Micro Elect
roMechanical System′92 Tr
avemunde(Germany)、Februar
y4−7、1992、p.93〜p.97参照)。
【0030】マルチスピンコート法とは、スピンコート
法を多数回繰返す方法をいう。以下、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)を主成分(ベース樹脂)として含
むレジスト層を、マルチスピンコート法を用いて、基板
上に厚く形成する方法について説明する。
【0031】まず、出発原料として、メチルメタクリメ
ートモノマー(単量体)を、トルエン等の溶媒中に入れ
る。
【0032】次に、トリエチレングリコールジメタクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋
剤を用い、トルエン等の溶媒中で、溶液重合法により、
メチルメタクリメートモノマー(単量体)を完全に重合
させることにより、メチルメタクリレートポリマー(重
合体)を作製する。
【0033】次に、トルエン等の溶媒中のメチルメタク
リレートポリマー(重合体)を、メタノール等を用い、
沈澱させる。次いで、得られたメチルメタクリレートポ
リマー(重合体)を精製する。次に、精製したメチルメ
タクリレートポリマー(重合体)を、エチルセロソルブ
アセテート(ECA)等の溶剤に溶かすことにより、所
望の粘度を有する溶液(レジスト液)を作製する。
【0034】なお、本明細書において用いる用語「溶
剤」は、重合体を溶かすための、出発原料の単量体とは
異なる溶媒(液体)を意味し、それ自体は、レジスト層
を形成する際に、レジスト層中から除去されるべき材料
をいう。
【0035】次に、この溶液(レジスト液)を用い、ス
ピンコート法により、基板上に、レジスト層を形成す
る。
【0036】より詳しくは、メチルメタクリレートポリ
マー(重合体)と、エチルセロソルブアセート(EC
A)等の溶剤とを含む溶液(レジスト液)を、水平にし
た基板上に、滴下した後、スピナー等を用い、基板を回
転させることにより、遠心力を用い、メチルメタクリレ
ートポリマー(重合体)と、エチルセロソルブアセート
(ECA)等の溶剤とを含む溶液層を、基板上に、均一
の膜厚に形成する。
【0037】次に、基板上に形成した溶液層中に含まれ
るエチルセロソルブアセート(ECA)等の残留溶剤の
除去を目的として、溶液層を有する基板を熱処理(いわ
ゆるプリベーク)することにより、基板上にレジスト層
を形成する。
【0038】マルチスピンコート法では、上記のスピン
コート法により、基板上に形成したレジスト層上に、さ
らに、レジスト層を形成する。
【0039】すなわち、マルチスピンコート法では、基
板上に形成されたレジスト層上に、さらに、メチルメタ
クリレートポリマー(重合体)とエチルセロソルブアセ
ート(ECA)等の溶剤等を含む溶液(レジスト液)
を、滴下した後、スピナー等を用い、基板を回転させる
ことにより、遠心力を用い、メチルメタクリレートポリ
マー(重合体)とエチルセロソルブアセート(ECA)
等の溶剤等を含む溶液層を、基板上に形成したレジスト
層上に、均一の膜厚に形成する。
【0040】このように、基板上にレジスト層を2層形
成する方法は、一般に、ダブルスピンコート法(Dou
ble spin coating)といわれており、
同様の方法により、基板上にレジスト層を複数層形成す
る方法は、一般に、マルチスピンコート法(Multi
spin coating)といわれている。
【0041】従来、LIGA法のような微細構造体の形
成方法においては、高アスペクト比を有する微細構造体
を形成する際には、図8(a)を再び参照して、基板1
01上に、マルチスピンコート法を用い、レジスト層1
02を厚く形成していた。
【0042】また、光の回折効果を低減する工夫として
は、シンクロトロン放射光装置の電子蓄積リング(SR
リング)より放射されるシンクロトロン放射光を、シン
クロトロン放射光の出射窓や、X線マスクの光透過膜
(マスクメンブラン)を用い、短波長領域のシンクロト
ロン放射光であって、レジスト層に吸収される波長成分
のシンクロトロン放射光を選択的に取出す技術が知られ
ている(solid state technolog
y/日本版/November 1989、p.33〜
p.41参照)。
【0043】図10は、レジスト層に、シンクロトロン
放射光を照射して、レジスト層に所望のパターンを、光
の回折効果を低減して、露光する、従来の露光工程を模
式的に示す図である。
【0044】図10を参照して、図10(a)は、公知
のX線露光装置を概略的に示す図であり、また、図10
(b)は、シンクロトロン放射光の出射窓と、X線マス
クを中心に、レジスト層にシンクロトロン放射光を照射
して、レジスト層に所望のパターンを露光する、従来の
露光工程を、概略的に示す図である。
【0045】図10(a)および図10(b)を参照し
て、このX線露光装置201は、真空チャンバ202
と、真空チャンバ202内に収容された試料台203を
含む。
【0046】試料台203には、基板101上にレジス
ト層102を形成した試料204が載置できるようにな
っている。
【0047】真空チャンバ202の側壁202aには、
光導入口205が設けられている。また、真空チャンバ
202の側壁202bには、排気口206が設けられて
おり、真空ポンプ(図示せず)等により、真空チャンバ
202内を真空状態にすることができるようになってい
る。
【0048】また、真空チャンバ202の側壁202c
には、雰囲気ガス導入口207が設けられており、バル
ブVを開閉することにより、必要に応じて、真空チャン
バ202内に、ヘリウム(He)ガス等の雰囲気ガスを
導入することができるようになっている。また、試料2
04の上には、X線マスク100が設けられる。
【0049】なお、X線マスク100の構成について
は、図8(b)において、既に説明したので、同一部材
については、同一の参照符号を付して、ここでの説明は
省略する。また、シンクロトロン放射光装置の電子蓄積
リング(SRリング)209により発生したシンクロト
ロン放射光(SR光)は、シンクロトロン放射光の出射
窓210を透過した後、光導入口205から真空チャン
バ202内に入射し、X線マスク100を介して、試料
台203に載置された試料204のレジスト層102に
照射できるようになっている。
【0050】シンクロトロン放射光の出射窓210の窓
材としては、たとえば、ベリリウム(Be)製の窓材が
用いられる。
【0051】次に、線幅寸法1μm程度の微細に加工さ
れた部分を有する半導体集積回路や、微細構造体の形成
方法における、露光工程の原理について詳しく説明す
る。
【0052】光の回折効果を低減するためには、レジス
ト層102に照射するシンクロトロン放射光(SR光)
としては、レジスト層が吸収する波長領域のシンクロト
ロン放射光であって、短波長領域のシンクロトロン放射
光(SR光)を用いる必要がある。
【0053】より具体的には、X線用のレジスト材は、
3Å以下の短波長成分の光をほとんど吸収しないため、
光の回折効果を低減しつつ、レジスト層を露光するに
は、4Å以上20Å以下の波長領域のシンクロトロン放
射光を用いる必要がある。
【0054】図11は、シンクロトロン放射光の出射窓
210と、X線マスク100の光透過膜(マスクメンブ
ラン)100bの効果を示す図である。
【0055】図11を参照して、図11中、曲線A1
は、電子蓄積リング(SRリング)209により発生し
たシンクロトロン放射光(SR光)を示している。な
お、図11では、光の回折効果を低減するため、約10
Åにピーク波長を有するシンクロトロン放射光を発生さ
せた従来例を示している。
【0056】また、図11中、曲線B1 は、シンクロト
ロン放射光の出射窓210を透過した後の、シンクロト
ロン放射光を示しており、曲線C1 は、さらに、X線マ
スク100の光透過膜(マスクメンブラン)100bを
透過した後の、シンクロトロン放射光を示している。
【0057】また、曲線D1 は、さらに、X線マスク1
00のX線吸収体100aを透過した後の、シンクロト
ロン放射光を示す。
【0058】そして、レジスト層102には、X線マス
ク100の光透過膜(マスクメンブラン)100bを透
過したシンクロトロン放射光C1 と、X線マスク100
の光吸収体100aを透過したシンクロトロン放射光D
1 とのコントラスト(明暗)の差により、所望のパター
ン102pが露光される。
【0059】図11より明らかなように、シンクロトロ
ン放射光の出射窓210と、X線マスク100の光透過
膜(マスクメンブラン)100bを介して、4Å以上2
0Å以下の波長領域のシンクロトロン放射光が、レジス
ト層102に照射される。
【0060】以上説明したように、従来は、光の回折効
果を低減するために、シンクロトロン放射光の出射窓2
10や、X線マスク100の光透過膜(マスクメンブラ
ン)100bが利用されていた。
【0061】なお、光透過膜(マスクメンブラン)10
0bの材料としては、X線マスク100の寸法安定性が
要求されるため、たとえば、Si、SiN、SiC、S
34 、BN、Be等の無機系の材料が用いられてい
る。
【0062】また、X線吸収体100aの材料として
は、たとえば、タングステン(W)、タンタル(T
a)、金(Au)などが用いられる。
【0063】なお、従来のX線マスク100のX線吸収
体100aの膜厚d100aは、高々、0.7μmt 程度で
ある。
【0064】
【発明が解決しようとする課題】従来のマルチスピンコ
ート法には、基板上に、レジスト層を厚く形成する際に
は、スピンコート法を多数回繰返す必要があり、手間が
かかるという欠点があった。
【0065】より詳しくは、従来のマルチスピンコート
法では、基板を回転させることにより、遠心力を用い、
基板上またはレジスト層上に、溶剤を含む溶液層を均一
の膜厚に形成(塗布)しているため、1回のスピンコー
ト作業により形成することのできる、レジスト層の膜厚
は、必然的に薄いものとなる。
【0066】このため、従来のマルチスピンコート法で
は、レジスト層を厚く形成する際には、スピンコート作
業を多数回繰返すことが必要となる。
【0067】また、従来のマルチスピンコート法によ
り、基板上に、均一の膜厚に形成することのできるレジ
スト層の膜厚は、平均膜厚として、高々、45μmt
度までであり、45μmt 以上の膜厚を有するレジスト
層を、基板上に形成するのは困難であるという問題があ
った。
【0068】すなわち、従来のマルチスピンコート法
は、上述したように、レジスト層上に、溶剤を含む溶液
を滴下した後、スピナー等を用い、基板を回転させるこ
とにより、レジスト層上に、溶剤を含む溶液層を形成す
るという構成を有する。
【0069】このため、既に形成したレジスト層が、溶
剤に対して溶解性を有する(可溶である)ため、スピン
コート作業中に、既に形成したレジスト層の一部または
全部が溶液層側に溶けてしまったりするからである。
【0070】また、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)を主成分(ベース樹脂)として含むレジスト層に
は、感度が低いという問題がある。
【0071】係る問題を解決する技術として、本願出願
人会社は、特開平5−159996号公報において、微
細構造体の形成方法において、化学増幅型レジストを好
適に用いることができることを開示している。
【0072】また、本発明者等は、本願発明に特に興味
ある関連技術として、特願平5−66676号におい
て、微細構造体の形成方法において、一般式
【0073】
【化1】
【0074】[式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基
(該アルキル基の水素原子は、ハロゲン原子に置換され
ていてもよい)]で示されるユニットと、下記一般式
【0075】
【化2】
【0076】[式中、Xはハロゲン原子または水酸基で
あり、R2 は水素原子またはメチル基である]で示され
るユニットからなる共重合体を主成分(ベース樹脂)と
して含むレジスト材を好適に用いることができることを
開示している。
【0077】特開平5−159996号公報や、特願平
5−66676号に開示されるレジスト材は、従来のポ
リメチルメタクリレート(PMMA)よりも感度が高
い。
【0078】このため、特開平5−159996号公報
や、特願平5−66676号に記載されるレジスト材を
用いれば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を主
成分(ベース樹脂)として含むレジスト材を用いた場合
に比べ、同じ形状のレジストパターン、より具体的に
は、同じ高さ(厚さ)d103 (図8(c)中、d103
示される高さ)を有するレジストパターンを、短時間の
露光により形成することができるという効果がある。
【0079】しかしながら、上述したレジスト材のいず
れを用いた場合でも、高精度に形成することのできるレ
ジストパターン103の厚さ(高さ)d103 には、限界
があるという問題があることを知見した。
【0080】より詳しくは、レジスト層102の厚さd
102 (図8(a)中、d102 で示される厚さ)を厚く
(たとえば、数100μm程度)形成した後、シンクロ
トロン放射光(SR光)を用いて、図10に示す従来の
露光方法に従って、レジスト層102を深く露光する
と、レジスト層102の上層部または表面において、レ
ジスト層102の現像液に対する溶解性が低くなり、レ
ジストパターン103が、下方に細るテーパ形状となっ
たり、レジストパターン103が、レジスト層102の
表面から基板101の方向に深くなるに従って、線幅が
広くなる形状になったり、また、本来、現像液に溶解す
べき部分が、現像液に溶解せず、レジストパターン10
3が、高精度に形成できないという問題があった。
【0081】図12は、そのようなレジストパターン1
03に生じる現象を模式的に示す断面図である。
【0082】図12を参照して、このレジストパターン
103wは、図8(c)に示すように、本来、シンクロ
トロン放射光の照射方向に形成されるべきレジストパタ
ーンの側壁103sが傾斜したり、本来、現像液に溶解
すべき部分103pが、現像液に溶解しないといった現
象を生じたりしている。
【0083】なお、図12では、説明を容易とするた
め、レジスト材として、ポジ型レジスト材を用いた場合
に生じる現象を示しているが、このような現象は、レジ
スト材が、ポジ型レジスト材であってもネガ型レジスト
材のいずれの場合であっても共通しておこる現象であ
る。
【0084】図8および図9を再び参照して、LIGA
法のような微細構造体の形成方法では、いずれもレジス
トパターン103に基づいて、微細構造体を形成してい
るため、レジストパターンに図12に示すような現象を
生じると、所望の形状の微細構造体が得られないという
問題がある。
【0085】また、LIGA法のような微細構造体の形
成方法では、レジストパターンに基づいて、微細構造体
を形成するため、現像工程において、レジストパターン
が型崩れしにくいことや、電気メッキの工程において、
レジストパターンが型崩れしにくいことが要求される。
【0086】従来のマルチスピンコート法では、基板上
にレジスト層を形成する工程において、溶剤を用いてい
るため、基板上に形成したレジスト層から溶剤が完全に
除去されていない場合があり、現像の工程や、電気メッ
キの工程において、レジストパターンが型崩れを起こ
し、所望形状の微細構造体が得られないという問題があ
った。
【0087】さらには、従来のマルチスピンコート法に
より、レジスト層を厚く形成すると、レジスト層の内部
応力が必然的に大きくなり、レジスト層にクラックを生
じたり、また、レジスト層が基板から剥がれたりすると
いう問題があった。
【0088】従来のLIGA法のような微細構造体の形
成方法では、以上のようなことが原因して、高アスペク
ト比を有する微細構造体を、高精度に、容易かつ簡単に
形成するのが困難であるという問題があった。
【0089】本発明は、以上のような問題を解決するた
めになされたものであって、特に、基板上にレジスト層
を形成する工程を改良すること、および/または、レジ
スト層にシンクロトロン放射光を照射して、レジスト層
に所望のパターンを露光する露光工程を改良することに
より、高アスペクト比を有する微細構造体を、高精度
に、容易かつ簡単に形成することのできる、微細構造体
の形成方法を提供することを目的とする。
【0090】より詳しくは、図8(e)、図9(a)お
よび図9(e)を参照して、線幅寸法Wとして、たとえ
ば、1μm〜10μm程度に微細に加工された部分と、
高さ(厚さ)Hとして、数μm〜数100μmから選ば
れる所望の高さ(厚さ)を有する部分とを備える微細構
造体、または、線幅寸法Wとして、たとえば、1μm〜
10μm程度に微細に加工された部分と、高さ(厚さ)
Hとして、数100μm程度の寸法以上の部分を有する
ことのある微細構造体を、高精度に、容易かつ簡単に形
成することのできる、微細構造体の形成方法を提供する
ことを目的とする。
【0091】
【課題を解決するための手段】本発明者は、長年、高ア
スペクト比を有する微細構造体を、高精度に、容易かつ
簡単に形成することのできる、微細構造体の形成方法に
ついて、研究を続けてきた。
【0092】その結果、高アスペクト比を有する微細構
造体を、高精度に、容易かつ簡単に形成するには、以下
の条件を満たす工夫が必要であることを知見するに至っ
た。
【0093】(1) 従来のマルチスピンコート法に比
べ、容易かつ簡単に、基板上にレジスト層を均一の膜厚
に、かつ厚く形成することのできる工夫が必要である。
【0094】(2) 基板上に厚く形成したレジスト層
から、溶剤を完全に除去することのできる工夫が必要で
ある。
【0095】これは、既に説明したとおり、レジスト層
中に、溶剤が残留していると、レジストパターンが、現
像の工程や、電気メッキの工程において、型崩れしてし
まう。
【0096】そして、LIGA法のような微細構造体の
形成方法では、レジストパターンに基づいて、微細構造
体を形成するため、レジストパターンが型崩れすると、
設計通りの微細構造体が得られないからである。
【0097】(3) 基板上に厚く形成したレジスト層
の内部応力を低減する工夫が必要である。
【0098】(4) レジスト層が、基板から剥がれた
りするのを防止する必要がある。 (5) レジスト層にシンクロトロン放射光を照射し
て、レジスト層に所望のパターンを露光する露光工程お
よび所望のパターンが露光されたレジスト層を現像し
て、レジストパターンを形成する現像工程においては、
以下の工夫が必要である。
【0099】 光の回折効果の低減を図ることによ
り、レジスト層に微細な線幅寸法を高精度に露光するこ
とのできる工夫が必要である。
【0100】 所望のパターンが露光されたレジスト
層を現像して、レジストパターンを形成する現像工程に
おいて、図12に示すような現象を低減させる工夫が必
要である。
【0101】本発明者は、レジストパターンが、図12
に示すように、下方に細るテーパ形状になったり、本
来、現像液に溶解すべき部分が現像液に溶解しなくなる
原因について、研究をした結果、以下の事実を知見する
に至った。
【0102】図13は、レジスト材に吸収されるエネル
ギーを概略的に示す図である。図13では、説明を容易
とするため、レジスト材として、ポジ型レジスト材、よ
り特定的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)
を主成分(ベース樹脂)として含むレジスト材を例に取
り説明する。
【0103】図13を参照して、曲線A2 は、シンクロ
トロン放射光装置の電子蓄積リンク(SRリング)20
9により発生させた、約10Åにピーク波長を有するシ
ンクロトロン放射光を示している。
【0104】また、曲線B2 は、シンクロトロン放射光
の出射窓210を透過した後の、シンクロトロン放射光
を示している。
【0105】また、曲線C2 は、さらに、X線マスク1
00の光透過膜(マスクメンブラン)100bを透過し
た後のシンクロトロン放射光を示している。
【0106】また、図13中、曲線I(図13中、破線
で示される曲線I)は、レジスト材の単位体積当たりに
吸収されるエネルギーを示している。
【0107】図13より明らかなように、シンクロトロ
ン放射光の出射窓210や、X線マスク100の光透過
膜(マスクメンブラン)100bを透過したシンクロト
ロン放射光(図13中、曲線C2 で示される光)は、2
0Å以下の波長領域において、連続光となっている。
【0108】また、上述した、Si、SiN等の無機系
の材料により構成される光透過膜(マスクメンブラン)
100bは、15Åを超える長波長成分の光の大部分を
吸収する一方、5Å以上15Å以下の波長領域の光の透
過性に優れている。
【0109】また、図13より明らかなように、レジス
ト材は、レジスト材が吸収する4Å以上20Å以下の波
長領域の光のうち、特に、5Å以上15Å以下の波長領
域の光を吸収しやすい。
【0110】さらに、本発明者は、現像工程において、
図12に示すような現象を生じることなく、所望形状の
レジストパターンを高精度に形成するためには、レジス
ト層を露光する露光工程において、レジスト層に照射す
るシンクロトロン放射光の露光量に、一定の範囲がある
ことを知見するに至った。
【0111】すなわち、現像工程において、図12に示
すような現象を生じることなく、所望形状のレジストパ
ターンを高精度に形成するためには、レジスト層を露光
する露光工程において、レジスト層に照射するシンクロ
トロン放射光の光の照射量や、レジスト層の吸収する吸
収エネルギー密度に、一定の範囲があることを知見する
に至った。
【0112】より具体的には、レジスト層に照射される
シンクロトロン放射光の照射量には、光の照射量の下限
値と光の照射量の上限値とがあることを知見するに至っ
た。
【0113】本明細書において用いる用語「光の照射量
の下限値」は、レジスト層を構成するレジスト材が、ポ
ジ型レジスト材の場合は、レジスト層を構成するレジス
ト材の主鎖が、光によって、切断されることにより、レ
ジスト材が分解し、分子量が低下して、現像液等の溶媒
に、レジスト層が可溶となるのに必要な最小限の光の照
射量を意味する。
【0114】また、本明細書において用いる用語「光の
照射量の下限値」は、レジスト層を構成するレジスト材
が、ネガ型レジスト材の場合は、レジスト層を構成する
レジスト材の主鎖が、光によって、架橋されることによ
り、レジスト材が重合し、分子量が増大して、現像液等
の溶媒に、レジスト層が不溶となるのに必要な最小限の
光の照射量を意味する。
【0115】また、本明細書において用いる用語「光の
照射量の上限値」は、レジスト層を構成するレジスト材
が、ポジ型レジスト材の場合は、レジスト層を構成する
レジスト材の主鎖が、光によって、切断されることによ
り、一旦、レジスト材が分解し、分子量が低下して、現
像液等の溶媒に、レジスト層が可溶な状態となった後、
レジスト材の光による分解物が、再び光によって、重合
して、現像液等の溶媒にレジスト層が不溶となる光の照
射量を意味する。
【0116】また、本明細書において用いる用語「光の
照射量の上限値」は、レジスト層を構成するレジスト材
が、ネガ型レジスト材の場合は、レジスト層を構成する
レジスト材の主鎖が、光によって、架橋されることによ
り、一旦、レジスト材が重合し、分子量が増大して、現
像液等の溶媒に、レジスト層が不溶な状態となった後、
レジスト材の光による重合物が、再び光によって、分解
して、現像液等の溶媒にレジスト層が可溶となる光の照
射量を意味する。
【0117】また、レジスト層の吸収する吸収エネルギ
ー密度には、吸収エネルギー密度の上限値と、吸収エネ
ルギー密度の下限値とがある。
【0118】本明細書において用いる用語「吸収エネル
ギー密度」は、単位体積当たりに物質が吸収するエネル
ギーを意味し、たとえば、J/cm3 の単位で特定され
る値をいう。
【0119】また、本明細書において用いる用語「吸収
エネルギー密度の下限値」は、レジスト層を構成するレ
ジスト材が、ポジ型レジスト材の場合は、レジスト層を
構成するレジスト材の主鎖が、光によって、切断される
ことにより、レジスト材が分解し、分子量が低下して、
現像液等の溶媒に、レジスト層が可溶となるのに必要な
最小限の吸収エネルギー密度を意味する。
【0120】また、本明細書において用いる用語「吸収
エネルギー密度の下限値」は、レジスト層を構成するレ
ジスト材が、ネガ型レジスト材の場合は、レジスト層を
構成するレジスト材の主鎖が、光によって、架橋される
ことにより、レジスト材が重合し、分子量が増大して、
現像液等の溶媒に、レジスト層が不溶となるのに必要な
最小限の吸収エネルギー密度を意味する。
【0121】また、本明細書において用いる用語「吸収
エネルギー密度の上限値」は、レジスト層を構成するレ
ジスト材が、ポジ型レジスト材の場合は、レジスト層を
構成するレジスト材の主鎖が、光によって、切断される
ことにより、一旦、レジスト材が分解し、分子量が低下
して、現像液等の溶媒に、レジスト層が可溶な状態とな
った後、レジスト材の光による分解物が、再び光によっ
て、重合して、現像液等の溶媒にレジスト層が不溶とな
る光の吸収エネルギー密度を意味する。
【0122】また、本明細書において用いる用語「吸収
エネルギー密度の上限値」は、レジスト層を構成するレ
ジスト材が、ネガ型レジスト材の場合は、レジスト層を
構成するレジスト材の主鎖が、光によって、架橋される
ことにより、一旦、レジスト材が重合し、分子量が増大
して、現像液等の溶媒に、レジスト層が不溶な状態とな
った後、レジスト材の光による重合物が、再び光によっ
て、分解して、現像液等の溶媒にレジスト層が可溶とな
る光の吸収エネルギー密度を意味する。
【0123】また、本発明者は、光の吸収エネルギー密
度の上限値と、光の吸収エネルギー密度の下限値とは、
それぞれ、光の波長成分によらず、レジスト材の組成・
成分により、固有の値を有することを知見するに至っ
た。
【0124】より具体的には、図13を再び参照して、
レジスト材の吸収エネルギー密度の上限値は、単位体積
当たりの曲線Imax で囲まれる領域の絶対値(積分値)
として特定される値であり、曲線Imax の形状にはよら
ない。
【0125】同様に、レジスト材の吸収エネルギー密度
の下限値は、単位体積当たりの曲線Imin で囲まれる領
域の絶対値(積分値)として特定される値であり、曲線
mi n の形状によらない。
【0126】レジスト層に吸収されやすい波長領域の光
のうち、特にレジスト層に吸収されやすい波長領域の
光、具体的には、5Å以上15Å以下の波長領域の光
は、レジスト層の上層部ないし表面で吸収されやすく、
レジスト層の深さ方向には、レジスト層の上層部ないし
表面で吸収された光の分だけが、減衰した光として到達
する。
【0127】したがって、現像工程において、高精度
に、所望の形状に形成することのできるレジストパター
ンの高さd103 (図8(c)に示すd103 )の最大値
は、レジストの上層部ないし表面において、吸収エネル
ギー密度が上限値となる際に、レジスト層の深さ方向に
おいて、レジスト層の吸収エネルギー密度の下限値とな
っている位置との距離により一義的に定まることにな
る。
【0128】したがって、レジスト層の深さ方向に、図
12に示すような現象を生じることなく、高さ(厚さ)
103 のあるレジストパターン103を形成するには、
レジスト層の上層部ないし表面での吸収エネルギー密度
の増加を低減しつつ、レジスト層に吸収される波長領域
の光であって、レジスト層の上層部ないし表面で吸収さ
れやすい波長領域の光、より特定的には、5Å以上20
Å以下の波長領域の光の成分の一部または全部を取除い
た、レジスト層の深さ方向に、減衰しにくい光を用いれ
ばよいことになる。
【0129】本発明者は、上記(1)〜(5)の条件を
満たす技術について、鋭意努力した結果、本発明を完成
するに至った。
【0130】すなわち、第1の発明は、レジスト層にシ
ンクロトロン放射光を照射して、レジスト層に所望のパ
ターンを露光する露光工程を改良するものであって、特
に、上記(5)に示す、レジスト層の上層部ないし表
面での吸収エネルギー密度の増加を低減しつつ、かつ、
レジスト層の深さ方向への光の減衰効果の小さいシンク
ロトロン放射光を照射することのできる、微細構造体の
形成方法に関するものである。
【0131】すなわち、第1の発明に従う微細構造体の
形成方法は、基板上にレジスト層を形成する工程と、レ
ジスト層にシンクロトロン放射光を照射して、レジスト
層に所望のパターンを露光する露光工程と、所望のパタ
ーンが露光されたレジスト層を現像して、レジストパタ
ーンを形成する現像工程と、レジストパターンに基づい
て、微細構造体を形成する、微細構造体の形成方法にお
いて、露光工程は、レジスト層と実質的に同一の吸収ス
ペクトルを有するフィルターを介して、レジスト層を露
光することを特徴とする。
【0132】また、第2の発明は、上記(1)〜(5)
の条件を満たす微細構造体の形成方法に関するものであ
る。
【0133】すなわち、第2の発明に従う微細構造体の
形成方法は、基板上にレジスト層を形成する工程と、レ
ジスト層にシンクロトロン放射光を照射して、レジスト
層に所望のパターンを露光する露光工程と、所望のパタ
ーンが露光されたレジスト層を現像して、レジストパタ
ーンを形成する現像工程と、レジストパターンに基づい
て、微細構造体を形成する微細構造体の形成方法であっ
て、基板上にレジスト層を形成する工程は、基板上に、
中空部を有する枠材を載置する工程と、中空部内に、単
量体と、単量体が重合してなる重合体とを含むシロップ
を充填する工程と、単量体と、単量体が重合してなる重
合体とを含むシロップを基板上で完全に重合する重合完
結工程とを備え、露光工程は、レジスト層と実質的に同
一の吸収スペクトルを有するフィルターを介して、レジ
スト層を露光する。
【0134】また、第1または第2の発明において、好
ましくは、フィルターを構成するフィルター材料は、レ
ジスト層を形成する材料と実質的に同一材料であること
を特徴をする。
【0135】また、第1または第2の発明において、好
ましくは、フィルターを構成するフィルター材料は、ポ
リイミドであることを特徴とする。ポリイミドは、20
Å以下の波長領域における、光吸収スペクトル、吸収係
数が、X線用のレジスト材のそれと近似している材料で
あり、しかも、耐熱性、耐光性に優れており、さらに
は、X線損傷が生じにくい等、耐放射性に優れる材料で
あるからである。
【0136】なお、本明細書において用いる用語「レジ
スト層と実質的に同一の吸収スペクトルを有するフィル
ター」は、レジスト層と実質的に同一の吸収係数を有す
るフィルターとして特定されてもよい。
【0137】また、第1または第2の発明において、基
板上に形成するレジスト層を構成するレジスト材として
は、公知のX線用のレジスト材を挙げることができる。
【0138】そのようなX線用のレジスト材としては、
ポジ型レジスト材や、ネガ型レジスト材を挙げることが
できる。
【0139】また、そのようなX線用のレジスト材とし
ては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を主成分
(ベース樹脂)として含むポジ型レジスト材を挙げるこ
とができる。
【0140】また、そのようなX線用のレジスト材とし
ては、一般式
【0141】
【化3】
【0142】[式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基
(該アルキル基の水素原子は、ハロゲン原子に置換され
ていてもよい)]で示されるユニットと、下記一般式
【0143】
【化4】
【0144】[式中、Xはハロゲン原子または水酸基で
あり、R2 は水素原子またはメチル基である]で示され
るユニットからなる共重合体を主成分(ベース樹脂)と
して含むポジ型の共重合体レジスト材を挙げることがで
きる。
【0145】より特定的には、共重合体レジスト材は、
メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸(MA
A)との共重合体を主成分(ベース樹脂)として含むポ
ジ型の共重合体レジスト材が好ましい。
【0146】また、そのようなX線用のレジスト材とし
ては、ポリ(グリシジルメタクリレート)を主成分(ベ
ース樹脂)として含むネガ型レジスト材を挙げることが
できる。
【0147】また、そのようなX線用のレジスト材とし
ては、グリシジルメタクリレートとエチルアクリルレー
トとの共重合体や、グリシジルメタクリレートとメタク
リル酸メチルとの共重合体を主成分(ベース樹脂)とし
て含むネガ型の共重合体レジスト材を挙げることができ
る。
【0148】また、そのようなX線用のレジスト材とし
ては、クロロメチル化ポリスチレン、ヨウ素化ポリスチ
レン、塩化ポリメチルスチレンを主成分(ベース樹脂)
として含むネガ型レジスト材を挙げることができる。
【0149】また、本明細書において用いる用語「シン
クロトロン放射光」は、光速に近い速さの高エネルギー
電子が、加速器中の磁場によって軌道を曲げられると
き、放射される電磁波のことである。
【0150】そして、シンクロトロン放射光は、広い波
長領域にわたる連続スペクトルを有する光である。より
詳しくは、シンクロトロン放射光は、約0.1Å程度の
硬X線から遠赤外に至る連続スペクトルを有する光であ
る。
【0151】また、本明細書において用いる用語「ピー
ク波長」は、シンクロトロン放射光の光子の量または光
子パワーが極大となっている波長を意味する。
【0152】なお、ピーク波長は、シンクロトロン放射
光装置(光源)の電子蓄積リング(SRリング)の磁力
の大きさを変えることにより、所望の波長に制御するこ
とができる。
【0153】そして、第1または第2の発明で用いるシ
ンクロトロン放射光は、好ましくは、10Å未満にピー
ク波長を有するシンクロトロン放射光であり、より好ま
しくは4Å以上5Å以下にピーク波長を有するシンクロ
トロン放射光であり、さらに好ましくは、5Åにピーク
波長を有するシンクロトロン放射光である。
【0154】また、第1または第2の発明において、
「フィルターを構成するフィルター材料が、レジスト層
を構成するレジスト材と実質的に同一材料である」は、
特に以下の場合に限定されることはないが、たとえば、
基板上に形成されるレジスト層が、アクリル系のレジス
ト材で構成される場合は、フィルターを構成する材料
が、アクリル系の樹脂により構成されるような関係を意
味する。より好ましくは、たとえば、基板上に形成する
レジスト層が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)
を主成分(ベース樹脂)として含むレジスト材で構成さ
れる場合には、フィルターを構成する材料が、ポリメチ
ルメタクリレート(PMMA)を主成分とする樹脂によ
り構成され、基板上に形成するレジスト層が、たとえ
ば、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸(M
AA)との共重合体を主成分(ベース樹脂)として含む
レジスト材料で構成される場合には、フィルターを構成
する材料が、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリ
ル酸(MAA)との共重合体を主成分とする樹脂により
構成される、または、このような関係と等価な関係にあ
ることを意味する。
【0155】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくは、メチルメタクリレートモノマーであり、重合
体は、ポリメチルメタクリレートであることを特徴とす
る。
【0156】また、第2の発明において、単量体は、下
記一般式
【0157】
【化5】
【0158】[式中R1 は炭素数1〜4のアルキル基
(該アルキル基の水素原子はハロゲン原子に置換されて
いてもよい)]で示されるモノマーと、下記一般式
【0159】
【化6】
【0160】[式中Xはハロゲン原子または水酸基であ
り、R2 は水素元素またはメチル基である]で示される
モノマーとの混合物であり、重合体は、たとえば、下記
一般式で例示的に表すことのできる共重合体であること
を特徴とする。
【0161】
【化7】
【0162】[式中R1 は炭素数1〜4のアルキル基
(該アルキル基の水素原子はハロゲン原子に置換されて
いてもよい)、Xはハロゲン原子または水酸基であり、
2 は水素原子またはメチル基である] より具体的には、上記化5に示すモノマーとしては、た
とえば、メチルメタクリレート(メタクリル酸メチ
ル)、2−フルオロエチルメタクリレート、2,2,2
−トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロ
イソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメ
タクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−
ブロモエチルメタクリレート等を挙げることができ、ま
た、上記化6に示すモノマーとしては、たとえば、メタ
クリル酸、メタクリロイルハロゲナイド、アクリル酸、
アクリロイルハロゲナイド等を挙げることができる。
【0163】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくは、メタクリル酸メチル(MMA)モノマーとメ
タクリル酸(MAA)モノマーの混合物であり、重合体
は、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸(M
AA)との共重合体であることを特徴とする。
【0164】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくは、グリシジルメタクリレートモノマーであり、
重合体は、ポリグリシジルメタクリレートであることを
特徴とする。
【0165】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくは、グリシジルメタクリレートモノマーとエチル
アクリレートモノマーとの混合物であり、重合体は、グ
リシジルメタクリレートとエチルアクリレートとの共重
合体であることを特徴とする。
【0166】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくは、グリシジルメタクリレートモノマーとメタク
リル酸メチルモノマーとの混合物であり、重合体は、グ
リシジルメタクリレートとメタクリル酸メチルとの共重
合体であることを特徴とする。
【0167】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくはクロロメチル化スチレンモノマーであり、重合
体は、クロロメチル化ポリスチレンであることを特徴と
する。
【0168】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくは、ヨウ素化スチレンモノマーであり、重合体
は、ヨウ素化ポリスチレンであることを特徴とする。
【0169】また、第2の発明において、単量体は、好
ましくは、塩化メチルスチレンモノマーであり、重合体
は、塩化ポリメチルスチレンであることを特徴とする。
【0170】また、単量体と、単量体が重合してなる重
合体とを含むシロップを調製する方法としては、仕込ん
だ単量体(モノマー)を一定量重合させて、仕込んだ単
量体(モノマー)の一部と、生成した重合体(ポリマ
ー)とを共存した状態にすること(以下、予備重合とい
う)により調製しても、また、単量体と重合体とを混合
することにより調製してもよい。
【0171】また、第2の発明において、枠材は、好ま
しくは、ステンレスに代表される金属であることを特徴
とする。
【0172】また、第2の発明において用いる枠材は、
好ましくは、少なくともその表面が、フッ素樹脂に代表
される離型性を有する樹脂で覆われていることを特徴と
する。
【0173】そのようなフッ素樹脂としては、たとえ
ば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフル
オロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビ
ニリデンフルオライド(PVdF)、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン(PCTFE)等をその具体例として挙
げることができる。
【0174】また、第2の発明において、単量体と、単
量体が重合してなる重合体とを含むシロップの粘度は、
好ましくは、2.0dPa・s(20℃)以上10.0
dPa・s(20℃)以下であることを特徴とする。よ
り好ましくは、2.0dPa・s(20℃)以上8.0
dPa・s(20℃)以下であることを特徴とする。
【0175】シロップの粘度が2.0dPa・s(20
℃)未満であれば、枠材の中空部からシロップが漏れ出
し、形成されるレジスト層の膜厚が薄くなり好ましくな
く、他方、上記した上限値を超えると、枠材の中空部内
に、シロップを充填する工程において、シロップ内に巻
き込まれる気泡が、シロップから抜け難くなり好ましく
ない。
【0176】
【0177】なお、本明細書において用いる用語「単量
体」または「モノマー」は、溶質、より具体的には、重
合体を溶かすための機能と、それ自体、反応性を有し、
重合することにより重合体になる材料をいう。
【0178】より特定的には、「単量体」または「モノ
マー」は、分子内に、ビニル基等の重合官能基を有する
材料をいう。
【0179】なお、本明細書において用いる用語「リソ
グラフィ」は、レジスト層を露光する露光工程と、レジ
スト層を現像する現像工程をいう。
【0180】また、本明細書において、単に「電気めっ
き」という用語を用いるときは、文字通りの電気めっき
のほか、電鋳を含む。
【0181】また、第1または第2の発明において用い
るフィルターの膜厚は、レジスト層について、露光した
いパターンの厚さ(高さ)に依存する。
【0182】
【0183】また、第1または第2の発明において、基
板上に形成するレジスト層の平均膜厚は、特に以下の場
合に限定されることはないが、好ましくは、3μmt
超える膜厚、より好ましくは45μmt 以上、さらに好
ましくは、100μmt 以上、さらに好ましくは、10
0μmt 以上1mmt 以下である。
【0184】また、第1または第2の発明において用い
るフィルターは、公知の薄膜の形成方法に従って製造す
ることができる。
【0185】より具体的には、公知のロールコータ法等
の製造方法を挙げることができる。
【0186】
【作用】第1の発明に従う微細構造体の形成方法は、特
に、レジスト層にシンクロトロン放射光を照射して、レ
ジスト層に所望のパターンを露光する露光工程におい
て、レジスト層と実質的に同一の吸収スペクトルを有す
るフィルターを介して、レジスト層を露光することを特
徴とする。
【0187】レジスト層は、レジスト層を構成するレジ
スト材の種類によっても異なるが、一般に、X線用のレ
ジスト材は、4Å以上20Å以下の波長領域の光を吸収
する。
【0188】第1の発明では、レジスト層に所望のパタ
ーンを露光する露光工程において、レジスト層に、シン
クロトロン放射光を、レジスト層と実質的に同一の吸収
スペクトルを有するフィルターを介して照射している。
【0189】レジスト層と実質的に同一の吸収スペクト
ルを有するフィルターは、レジスト層に吸収される波長
領域の光、すなわち、4Å以上20Å以下の波長領域の
光のうち、特に、レジスト層に吸収されやすい波長領域
の光、より特定的には、5Å以上20Å以下の波長領域
の光を多く吸収する。
【0190】したがって、レジスト層と実質的に同一の
吸収スペクトルを有するフィルターを透過したシンクロ
トロン放射光は、レジスト層に吸収される波長領域の光
のうち、特に、レジスト層に吸収されやすい波長領域の
光の全部、または、一部が取除かれた光となっている。
【0191】第1の発明では、レジスト層に吸収される
波長領域の光のうち、特に、レジスト層に吸収されやす
い波長領域の光が、予め減衰したシンクロトロン放射光
を照射している結果、レジスト層の上層部または表面に
おいて、吸収される波長領域の光の成分が少ない。
【0192】したがって、この光は、レジスト層の深さ
方向への光の減衰効果が著しく低い。
【0193】このため、第1の発明では、レジスト層の
上層部または表面が、吸収エネルギー密度の上限値とな
る前に、レジスト層の深さ方向に深い露光を行なうこと
ができる。
【0194】より具体的には、レジスト層の上層部また
は表面が、吸収エネルギー密度の上限値となる前に、レ
ジスト層の吸収エネルギー密度の下限値となっている位
置を、レジスト層の深さ方向に、より深い位置におい
て、形成することができる。
【0195】したがって、第1の発明によれば、図12
に示すような現象を生じることなく、高さ(図2(c)
中に示すd3 )のあるレジストパターン(レジスト構造
体)を高精度に形成することができる。
【0196】第1の発明によれば、高精度に形成され、
かつ高さのあるレジストパターンに基づいて、微細構造
体を形成している。
【0197】この結果、第1の発明によれば、微細な線
幅寸法と、厚みのある、アスペクト比の大きい微細構造
体を、高精度に形成することができる。
【0198】また、第2の発明に従う微細構造体の形成
方法は、特に、基板上にレジスト層を形成する工程にお
いて、以下の構成を備える。
【0199】(1) 基板上に、中空部を有する枠材を
載置する工程を備える。 (2) 中空部内に、単量体と、単量体が重合してなる
重合体を含むシロップを充填する工程を備える。
【0200】(3) 単量体と、単量体が重合してなる
重合体とを含むシロップを基板上で完全に重合する重合
完結工程を備える。
【0201】第2の発明に従う微細構造体の形成方法に
よれば、上記(1)〜(3)に示す工程により、基板上
にレジスト層を形成している。
【0202】すなわち、基板上に形成されるレジスト層
の膜厚は、枠材の高さに依存する。したがって、上記
(1)に示す工程において、枠材の高さを変えるだけ
で、容易かつ簡単に、レジスト層の膜厚を制御すること
ができる。
【0203】また、上記(2)に示す工程において、中
空部内に、重合体と溶剤とを含むシロップではなく、単
量体と単量体が重合してなる重合体とを含むシロップを
充填し、さらに、上記(3)に示す工程において、単量
体と単量体が重合してなる重合体とを含むシロップを基
板上で完全に重合している結果、第2の発明に従って形
成されるレジスト層中には、溶剤が、元々、含まれてい
ない。
【0204】すなわち、第2の発明に従って形成される
レジスト層中には、元々、溶剤が含まれていない結果、
シンクロトロン放射光を用い、レジスト層を露光し、露
光したレジスト層を現像し、レジストパターンを形成す
る際に、レジストパターンが型崩れしない。
【0205】また、このようにして形成されるレジスト
パターン中には、元々、溶剤が含まれていない結果、電
気めっきの工程においても、レジストパターンが型崩れ
しない。
【0206】また、第2の発明によれば、単量体と、単
量体が重合してなる重合体とを含むシロップを、基板上
で、完全に重合している結果、基板とレジスト層との密
着性に優れる。
【0207】さらに、第2の発明に従う微細構造体の形
成方法は、レジスト層にシンクロトロン放射光を照射し
て、レジスト層に所望のパターンを露光する露光工程に
おいて、特に、以下の工程を備えるものである。
【0208】(4) 露光工程は、レジスト層と実質的
に同一の吸収スペクトルを有するフィルターを介して、
レジスト層を露光する工程を備える。
【0209】したがって、第2の発明によれば、第1の
発明と同様、図12に示すような現象を生じることな
く、高さ(図2(c)中に示すd3 )のあるレジストパ
ターン(レジスト構造体)を、高精度に形成することが
できる。
【0210】第2の発明によれば、高精度に形成され、
かつ、高さのあるレジストパターン(レジスト構造体)
であって、さらに、現像の工程や、電気めっきの工程に
おいて、型崩れのしにくいレジストパターン(レジスト
構造体)に基づいて、微細構造体を形成している。
【0211】この結果、第2の発明によれば、微細な線
幅寸法と、厚みのある、アスペクト比の大きい微細構造
体を、高精度に、容易かつ簡単に形成することができ
る。
【0212】
【実施例】以下、好適な実施例を用い、本発明について
説明するが、本発明は、以下の実施例によって、何ら限
定されることはない。
【0213】また、図1および図2は、本発明に従う微
細構造体の形成方法の一例としての製造プロセスを概略
的に示す工程図である。
【0214】以下、説明を容易とするため、図1および
図2を参照しながら、実施例について説明する。
【0215】実施例1〜3および参考例 実施例1〜3は、レジスト材として、メタクリル酸メチ
ル(MMA)とメタクリル酸(MAA)との共重合体を
主成分(ベース樹脂)として含むレジスト材を用い、微
細構造体を形成した例を示す。
【0216】実施例1 (1) 単量体と単量体が重合してなる重合体とを含む
シロップの調製 出発原料として、メタクリル酸メチル(MMA)モノマ
ー(分子量100)を95g(0.95モル)と、メタ
クリル酸(MAA)モノマー(分子量86)を5g
(0.051モル)の割合で混合した混合溶液を準備す
る。次に、この混合溶液に重合開始剤として、2,2−
アゾイソブチロニトリルを0.2g(上記モノマーの混
合溶液に対して、約0.2重量%)を加え、N2 ガス雰
囲気下で、塊状重合法により、60℃で50分間予備重
合させて、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル
酸(MAA)との共重合体を主成分とする共重合体シロ
ップを作製する。
【0217】この共重合体シロップの重量平均分子量
は、400,000であった。なお、実施例1では、予
備重合する条件を、40℃〜120℃の温度範囲で、5
分〜240分の範囲で、変える以外は同様にして、種々
の粘度を有する共重合体シロップを作製した。
【0218】(2) レジスト層の形成 図1は、基板上に、レジスト層を形成する工程の一実施
例を概略的に示す工程図である。
【0219】図1を参照して、まず、図1(a)に示す
工程において、ホットプレート(加熱手段)11上に、
たとえば、シリコン(Si)基板等の基板1を載置す
る。
【0220】次に、基板1上に、中空部12mを有する
枠材(スペーサ)12を載置する。なお、枠材(スペー
サ)12を構成する構成材料としては、ステンレス等の
金属材料や、ガラス材、フッ素樹脂等を挙げることがで
きる。
【0221】また、ステンレス製の枠材(スペーサ)
や、ガラス製の枠材(スペーサ)を用いる場合は、その
表面、フッ素樹脂が塗布されていることが好ましい。
【0222】これは、後の工程において、枠材(スペー
サ)と、レジスト層との離型性を向上させるためであ
る。
【0223】枠材(スペーサ)12は、基板1上に形成
するレジスト層の塗布面積が、塗布領域や、レジスト層
の膜厚を制御するものである。
【0224】より詳しくは、枠材(スペーサ)12の中
空部12mの開口部の大きさにより、レジスト層の塗布
面積が制御され、中空部3mの開口部の形状により、レ
ジスト層の塗布領域が制御され、また、中空部12mの
側壁12sの高さ12hにより、レジスト層の膜厚が制
御される。
【0225】以下の説明では、説明を容易とするため、
中空部12mの開口部が、直径25mmの円形形状を有
し、側壁12sの高さ12hが、100μmの枠材(ス
ペーサ)を用いた例を中心にして説明する。
【0226】図1(b)に示す工程において、上記
(1)により作製した、メタクリル酸メチル(MMA)
モノマーと、メタクリル酸(MAA)モノマーと、メタ
クリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸(MAA)と
の共重合体とを含むシロップ(レジスト液)S2 を、枠
材(スペーサ)12の中空部12m内に、滴下し、充填
する。
【0227】次に、図1(c)に示す工程において、枠
材(スペーサ)12の上に、カプトンシート(離型シー
ト)13を載置し、さらに、カプトンシート(離型シー
ト)13上に、金属板14を載置し、金属板14上に錘
15を載せる。
【0228】なお、「カプトンシート」は、ポリイミド
製のシートであり、「カプトン」は、デュポン社の商品
名である。
【0229】本実施例では、枠材(スペーサ)12とし
て、ステンレス製のものを用いた。また、カプトンシー
ト13は、レジスト層との離型性と、カプトンシートと
シロップ(レジスト液)S2 の表面との間に、気体が入
るのを防止するのを容易ならしめるために用いるもので
ある。
【0230】なお、カプトンシート(離型シート)13
とシロップ(レジスト液)S2 の表面との間に、気体が
入るのを防止するためには、図1(b)に示す工程にお
いて、シロップ(レジスト液)S2 を、中空部12m内
に、表面張力により、中空部12mの上部より、シロッ
プ(レジスト液)S2 の表面が、盛り上がるように充填
しておくのが好ましい。
【0231】このようなことを考慮した場合、シロップ
(レジスト液)S2 の粘度は、2.0dPa・s(20
℃)以上10.0dPa・s(20℃)以下であること
が好ましい。より好ましくは、2.0dPa・s(20
℃)以上8.0dPa・s(20℃)以下である。
【0232】すなわち、枠材(スペーサ)12の中空部
12mに充填するシロップ(レジスト液)は、高粘度を
有する液体でなければならない。
【0233】より具体的には、中空部12m内に、シロ
ップ(レジスト液)S2 を充填する工程において、シロ
ップ(レジスト液)S2 が、中空部12m内に保持され
ているとともに、中空部12m内に、シロップ(レジス
ト液)S2 を、完全に充満する必要があるからである。
【0234】次に、ホットプレート(加熱手段)11に
より、中空部12m内に充填したシロップ(レジスト
液)S2 を加熱することにより、基板1上で、シロップ
(レジスト液)S2 を完全に重合させた後、室温(20
℃)まで冷却することにより、レジスト層2を形成す
る。
【0235】なお、基板1上に形成されるレジスト層2
は、固化時に、内部応力を蓄える。この内部応力を緩和
(低減)するためには、熱処理、いわゆる焼きなまし
(アニール)処理を適当に行なうのが好ましい。
【0236】
【0237】このような熱処理を、適当に行なうことに
より、基板1上に形成したレジスト層2にクラックが発
生するという現象を防止することができる。
【0238】次に、図1(d)に示す工程において、錘
15、金属板14、カプトンシート(離型シート)13
および枠材(スペーサ)12を取除くことにより、レジ
スト層2を有する基板1を取出す。
【0239】このようにして、基板1上に、膜厚100
μmの均一な膜厚を有するレジスト層2を形成した。
【0240】次に、中空部12mの側壁12sの高さ1
2hが異なる枠材(スペーサ)を用いる以外は、上記と
同様にして、種々の膜厚(数10μm〜数100μm)
を有するレジスト層を有する基板1(以下、試料とい
う)を複数作製した。
【0241】次に、以上のようにして作製した複数の試
料について、レジスト層のクラックの発生の有無と、レ
ジスト層と基板との剥がれの有無とを観察した。
【0242】 レジスト層のクラックの発生の有無 上記により作製した試料は、いずれも、クラックがほと
んど発生しておらず、シンクロトロン放射光によるリソ
グラフィを用いてレジストパターンを形成する工程に、
好適に用いられることが確認された。
【0243】 基板とレジスト層の剥がれの有無 レジスト層の膜厚が、100μm以下の試料は、いずれ
も、レジスト層への基板への密着性が良好であり、レジ
スト層と基板との剥がれは、ほとんど確認されなかっ
た。
【0244】他方、レジスト層の膜厚が、100μmを
超える試料では、レジスト層を形成後、枠材(スペー
サ)をレジスト層から除去する工程において生じたと思
われる、基板とレジスト層との剥がれが観察された。
【0245】この基板とレジスト層との剥がれの原因
は、レジスト層の膜厚が、100μmを超えると、枠材
(スペーサ)とレジスト層との離型性が著しく悪くなる
ためである。
【0246】そこで、枠材(スペーサ)とレジスト層と
の離型性を向上することを目的として、枠材(スペー
サ)の表面に、フッ素樹脂をコーティングしたものを用
い、上記と同様にして、シリコン(Si)基板等の基板
上に、100μmを超える膜厚を有するレジスト層を形
成したところ、レジスト層の基板への密着性が良好とな
り、レジスト層と基板との剥がれが、ほとんどなくなる
ことが確認された。
【0247】また、枠材(スペーサ)とレジスト層との
離型性を向上することを目的として、フッ素樹脂からな
る枠材(スペーサ)を用い、上記と同様にして、シリコ
ン(Si)基板等の基板上に、100μmを超える膜厚
を有するレジスト層を形成したところ、レジストの基板
への密着性が良好となり、レジスト層と基板との剥がれ
が、ほとんどなくなることが確認された。
【0248】(3) 微細構造体の形成 なお、本実施例では、説明を容易とするため、微細構造
体として、基板上にレジスト層を形成し、レジスト層に
ついて、シンクロトロン放射光によるリソグラフィを用
いて、レジストパターンを形成し、レジストパターンに
従って、電気めっきにより構造体を堆積させる例につい
て説明する。
【0249】図2は、レジスト層について、シンクロト
ロン放射光によるリソグラフィを用いて、レジストパタ
ーンを形成する工程と、レジストパターンに従って、電
気めっきにより微細構造体を形成する工程を概略的に示
す工程図である。
【0250】図2および図8を参照して、図2(a)〜
図2(e)に示す工程は、図2(a)に示す工程が、図
8(a)に示す工程と異なっており、また、図2(b)
に示す工程が、図8(b)に示す工程と異なっている以
外は、基本的には、図8(a)〜図8(e)に示す工程
と同様である。
【0251】すなわち、本実施例に示す微細構造体の形
成方法は、図2(a)および図2(b)に示す工程にお
いて、上記(1)および(2)において形成したレジス
ト層2について、シンクロトロン放射光の出射窓21
0、X線マスク100のほかに、レジスト層2と実質的
に同一の吸収スペクトルを有するフィルター50を介し
て、シンクロトロン放射光を照射して、レジスト層2を
露光している点において、図8(a)および図8(b)
に示す工程において、従来のマルチスピンコート法によ
り形成したレジスト層102について、シンクロトロン
放射光の出射窓210、X線マスク100とを介して、
シンクロトロン放射光を照射して、レジスト層102を
露光する、従来の微細構造体の形成方法と、特に異なっ
ている。
【0252】すなわち、図2を参照して、まず、図2
(a)に示す工程において、上記(1)および(2)に
おいて形成した、レジスト層2を有する基板1(以下、
「試料4」という)を準備する。
【0253】次に、図2(b)に示す工程において、レ
ジスト層2に、シンクロトロン放射光(SR光)を照射
して、レジスト層2に所望のパターンを露光する。
【0254】図3は、図2(b)に示す工程をさらに詳
細に説明する図である。図3を参照して、図3(a)
は、本実施例において用いたX線露光装置を概略的に示
す図であり、また、図3(b)は、図2(b)に相当す
る図である。
【0255】図3(a)および図3(b)を参照して、
このX線露光装置61は、図10(a)に示すX線露光
装置201と同様の構成であるので、相当する部材につ
いては、相当する参照符号を付して、その説明を省略す
る。
【0256】次に、レジスト層2にシンクロトロン放射
光(SR光)を照射して、レジスト層2に所望のパター
ンを露光する露光工程について、詳しく説明する。
【0257】まず、試料台203上に、基板1上にレジ
スト層2を形成した試料4を載置する。
【0258】次に、試料4の上に、X線マスク100
と、レジスト層2と実質的に同一の吸収スペクトルを有
するフィルター50を設ける。
【0259】次に、真空チャンバ202内を、真空ポン
プ(図示せず)等により、所望の真空状態(10-3To
rr〜10-5Torr)に保持する。
【0260】また、必要に応じて、真空チャンバ202
内に、ヘリウム(He)ガス等の雰囲気ガスを導入(〜
760Torr)してもよい。
【0261】次に、シンクロトロン放射光装置の電子蓄
積リング(SRリング)209により発生したシンクロ
トロン放射光(SR光)を、シンクロトロン放射光の出
射窓210、X線マスク100およびフィルター50を
介して、試料台203に載置された試料4のレジスト層
2に照射する。
【0262】なお、本実施例では、シンクロトロン放射
光の出射窓210として、平均膜厚35μmt のベリリ
ウム(Be)製の窓を使用した。
【0263】また、X線マスク100の光透過膜(マス
クメンブラン)100bとして、平均膜厚2μmt のS
iN製の光透過膜(マスクメンブラン)を使用した。
【0264】また、X線マスク100の光吸収体100
aとして、平均膜厚5μmt の金(Au)製の光吸収体
を使用した。
【0265】また、フィルター50として、平均膜厚5
0μmt のポリイミド製のフィルター(商品名カプト
ン,東レデュポン社製)を使用した。
【0266】ポリイミドは、4Å以上20Å以下の波長
領域において、メタクリル酸メチル(MMA)とメタク
リル酸(MAA)との共重合体を主成分(ベース樹脂)
として含むレジスト層2と、実質的に同一の吸収スペク
トル、実質的に同一の光吸収係数を有する。
【0267】本実施例では、レジスト層2として、50
μm〜350μmの範囲の厚さの膜厚を有するレジスト
層を試料として用いた。
【0268】また、本実施例では、シンクロトロン放射
光装置として、NIJI−III(電総研)を使用し
た。
【0269】そして、シンクロトロン放射光装置(電総
研NIJI−III)の電子蓄積リング(SRリング)
209により、約5Åにピーク波長を有するシンクロト
ロン放射光(SR光)の0次光を発生させた。
【0270】なお、照射量は、蓄積ビーム電流値で、2
0mA・時間〜400mA・時間であった。
【0271】また、光源(シンクロトロン放射光装置)
と試料との距離は、10mであった。
【0272】図4は、シンクロトロン放射光の出射窓2
10と、X線マスク100の光透過膜(マスクメンブラ
ン)100bと、フィルター50の効果を示す図であ
る。
【0273】図4を参照して、図4中、曲線Aは、電子
蓄積リング(SRリング)209により発生したシンク
ロトロン放射光(SR光)を示している。
【0274】また、図4中、曲線Bは、シンクロトロン
放射光の出射窓210を透過した後の、シンクロトロン
放射光を示しており、曲線Cは、さらに、X線マスク1
00の光透過膜(マスクメンブラン)100bを透過し
た後の、シンクロトロン放射光を示している。
【0275】また、曲線E1 は、さらに、フィルター5
0を透過した後の、シンクロトロン放射光を示す。
【0276】次に、図2(c)に示す工程において、図
2(b)に示す工程において露光したレジスト層2を現
像し、レジストパターン3を形成する。
【0277】なお、本実施例では、上記により露光した
レジスト層2を有する基板1を、メチルイソブチルケト
ン(MIBK)原液に、室温下で、基板1を静止した状
態で、約2分間浸し、現像した。
【0278】次に、得られたレジストパターン(レジス
ト構造体)3の形状について観察した。
【0279】複数の試料から形成されたレジストパター
ン3のうち、レジストパターン3の高さd3 (図2
(c)に示すd3 )が、154μm以下の群では、図1
2に示すような現象を生じることなく、レジストパター
ン3を高精度に形成できることがわかった。
【0280】他方、複数の試料から形成されたレジスト
パターン3のうち、レジストパターン3の高さd3 が、
154μmを超える群では、図12に示すような現象が
観察された。
【0281】また、複数の試料から形成されたレジスト
パターン3のいずれにおいても、現像の工程において、
レジストパターンの一部が現像液に溶け出した痕跡は観
察されなかった。
【0282】複数の試料から形成されたレジストパター
ン3のうち、レジストパターン3の高さd3 が154μ
m以下の群は、以上説明したように、型崩れしておら
ず、また、硬さも十分であることがわかった。
【0283】次に、図2(d)に示す工程において、レ
ジストパターン3を有する基板1をめっき液に漬け、基
板1上に、電鋳または電気めっきで、たとえば、Ni、
Cu、Au等をレジストパターン3の谷間等に堆積さ
せ、金属の構造体4を形成する。
【0284】次に、図2(e)に示す工程において、レ
ジスト材を除去し、金属の構造体4を得る。
【0285】本実施例では、レジストパターン3の高さ
3 が、154μm以下の群について、図2(c)およ
び図2(d)に示す工程に従って、ニッケルの構造体を
作製した。
【0286】以上のようにして得られたニッケルの構造
体について、不必要な部分にまで、めっきが行なわれて
いないかどうかを観察した。
【0287】観察の結果、ニッケルの構造体は、不必要
な部分が、めっきされておらず、ほぼ設計通りの微細構
造体となっていることが明らかとなった。
【0288】また、得られたニッケルの構造体には、電
鋳または電気めっきの工程において、レジストパターン
3が型崩れしたような痕跡は認められなかった。
【0289】実施例2 フィルター50として、平均膜厚25μmt のポリイミ
ド製のフィルター(商品名カプトン,東レデュポン社
製)を用いる以外は、実施例1と同様の実験を行なっ
た。
【0290】実施例2において用いた、複数の試料のう
ち、レジストパターン3の高さd3が、48μmt 以下
の群においては、図12に示すような現象を生じること
なく、レジストパターン3を形成できることが明らかに
なった。
【0291】なお、参考のため、実施例2で用いたシン
クロトロン放射光を図4に示す。図4中、曲線E2 は、
実施例2で用いた、シンクロトロン放射光の出射窓21
0、X線マスク100の光透過膜(マスクメンブラン)
100b、および、実施例2で用いたフィルター50を
透過した後のシンクロトロン放射光を示す。
【0292】実施例3 フィルター50として、平均膜厚50μmt のメタクリ
ル酸メチル(MMA)とメタクリル酸(MAA)との共
重合体を主成分とするフィルター(自社作製品)を用い
る以外は、実施例1と同様の実験を行なった。
【0293】実施例3により、複数の試料のうち、レジ
ストパターンの高さd3 が、48μmt 以下の群におい
ては、図12に示すような現象を生じることなく、レジ
ストパターン3を高精度に形成できることが明らかにな
った。
【0294】参考例 フィルター50を用いることなく、シンクロトロン放射
光の出射窓210とX線マスク100を透過したシンク
ロトロン放射光を用い、レジスト層2を露光し、現像す
ることにより、レジストパターンを形成した。
【0295】参考例では、レジストパターンの高さd3
が、約48μm以上の群において、図12に示すような
現象を生じていた。
【0296】図5および図6は、本発明の効果を示す図
である。図5を参照して、図5は、メチルメタクリル酸
メチル(MMA)とメタクリル酸(MAA)との共重合
体を主成分(ベース樹脂)として含むレジスト材の吸収
エネルギー密度と、図12に示したような現象を生じる
ことなく、現像工程において、高精度にレジストパター
ン(レジスト構造体)3を形成することのできるレジス
トパターン3の厚さ(高さ)d3 (図2(c)に示すd
3 )との相関関係を示す図である。
【0297】図5中、曲線Fは、フィルター50を用い
た、実施例1の効果を示す曲線であり、曲線Gは、フィ
ルター50を用いなかった、参考例の効果を示す曲線で
ある。
【0298】実験に基づいて、本実施例において使用し
た、メタクリル酸メチル(MMA))とメタクリル酸
(MAA)との共重合体を主成分(ベース樹脂)として
含むレジスト材の吸収エネルギー密度の上限値と下限値
を、以下の数式に基づいて算出した。
【0299】
【数1】
【0300】式中、ΔPR (λ)は、レジスト材へ吸収
されるエネルギーを示し、PS (λ)は、シンクロトロ
ン放射光のスペクトルを示し、TW (λ)は、ベリリウ
ム(Be)窓や、露光雰囲気ガスなどの、X線マスクま
たはフィルター前面に至るまでのビームラインの構成要
素における透過率を示し、TM (λ)は、X線マスクの
光透過膜および/またはフィルターの透過率を示し、e
xp(−μ(λ)z)は、レジスト層の深さ方向への深
さzにおける減衰を表わし、μ(λ)は、レジスト材の
吸収係数である。
【0301】そして、λは、波長を示す。本実施例にお
いて使用した、メタクリル酸メチル(MMA)とメタク
リル酸(MAA)との共重合体を主成分(ベース樹脂)
として含むレジスト材の吸収エネルギー密度の上限値
は、12kJ/cm3 であり、下限値は0.8kJ/c
3であった。
【0302】曲線Gを参照して、参考例では、レジスト
層2の上層部または表面が吸収エネルギー密度の上限
値、すなわち、12kJ/cm3 となった時点におい
て、吸収エネルギー密度の下限値、すなわち、0.8k
J/cm3 となっている位置は、レジスト層2の表面か
ら、深さ方向へ、48.6μmの位置である。
【0303】他方、曲線Fを参照して、実施例1では、
レジスト層2の上層部または表面が吸収エネルギー密度
の上限値、すなわち、12kJ/cm3 となった時点に
おいて、吸収エネルギー密度の下限値、すなわち、0.
8kJ/cm3 となっている位置は、レジスト層2の表
面から、深さ方向へ、154μmの位置である。
【0304】すなわち、フィルター50を用いなけれ
ば、現像工程において、レジスト層2について、高精度
に、所望の形状に形成することのできるレジストパター
ンの高さの最大値は、約48μmとなるが、実施例1に
従って、レジスト層2と実質的に同一の吸収スペクトル
を有する、ポリイミド製のフィルター50を用いると、
レジスト層2の上層部また表面で吸収されやすかった波
長成分の光が、フィルター50により吸収され、その結
果、154μmの高さを有するレジストパターンを高精
度に形成することができる。
【0305】また、図6を参照して、図6は、図12に
示したような現象を生じることなく、現像工程におい
て、高精度にレジストパターン(レジスト構造体)を形
成することのできるレジストパターン3の厚さ(高さ)
(図2(c)に示すd3 )と、レジスト層2に対するシ
ンクロトロン放射光の照射量との相関関係を示す図であ
る。
【0306】図6中、実線で示す直線Fは、フィルター
50を用いた、実施例1の効果を示す直線であり、破線
で示す直線Gは、フィルター50を用いなかった、参考
例の効果を示す直線である。
【0307】実線で示す直線Fおよび破線で示す直線G
を参照して、フィルター50を用いることにより、時間
さえかければ、基板1に対して垂直に形成された側壁を
有するレジストパターン(レジスト構造体)を得ること
ができる。
【0308】また、フィルター50を用いることによ
り、レジスト層2内での、深さ(厚さ)方向に対する、
吸収エネルギー密度の減衰が小さくなっているため、現
像の工程において、現像が、レジスト層の上層部と下層
部とで同程度に進行するため、レジストパターン(レジ
スト構造体)の解像度が向上する。
【0309】また、レジスト層2について、深い露光を
するために、シンクロトロン放射光をレジスト層2に対
し、X線マスク100越しに、長時間照射すると、X線
吸収体100aをシンクロトロン放射光が透過してしま
い、レジスト層2について、露光を必要としない部分ま
でが露光されてしまい、所望のレジストパターンを得る
ことができないという問題がある。
【0310】本発明では、このような問題を解決するた
めに、X線吸収体100aの平均膜厚が、5μmt 以上
の膜厚を有するX線マスクを用いるのが好ましいことを
付記しておく。
【0311】なお、X線吸収体の平均膜厚として、5μ
t 以上の膜厚を有するX線マスクの製造方法は、特願
平4−277266号に詳しく記載されているので、こ
こでの説明は省略する。
【0312】また、X線マスクの光透過膜(マスクメン
ブラン)を構成する材料として、ポリイミドを用いたX
線マスクが存在することは知られている。しかしなが
ら、ポリイミドを光透過膜(マスクメンブラン)として
用いたX線マスクは、40Å程度の波長の光を用いて、
レジスト層に所望のパターンを露光するために使用する
X線マスクであって、寸法安定性等の点から、20Å以
下の波長領域の光を用いて、レジスト層に所望のパター
ンを露光するためのX線マスクとしては使用されること
はない。
【0313】他方、本発明は、20Å以下の波長領域の
シンクロトロン放射光を用いて、レジスト層に所望のパ
ターンを露光する際に、X線マスクとは別に、ポリイミ
ド製のフィルターを用いた点に特徴がある。
【0314】そして、ポリイミド製のフィルターを用い
るという特有の構成により、X線用のレジスト材に吸収
される波長領域の光のうち、特に、X線用のレジスト材
に吸収されやすい波長領域の光、より特定的には、4Å
以上20Å以下の波長領域の光のうち、特に、レジスト
層に吸収されやすい波長領域の光、具体的には、5Å以
上15Å以下の波長領域の光の全部または一部を取除く
ことができ、そのような、レジスト層に特に吸収されや
すい波長領域の光を予め減衰したシンクロトロン放射光
を照射することにより、単に、微細な線幅寸法を有す
る、レジストパターンではなく、厚みのある、レジスト
パターンを高精度に所望の形状に形成することができる
という特有の効果は、本発明者の知る限りにおいて、従
来知られていなかった技術であることを付記しておく。
【0315】なお、以上の実施例に関する開示は、本発
明の単なる具体例にすぎず、本発明の技術範囲を何ら制
限するものではない。
【0316】図3を再び参照して、本実施例では、フィ
ルター50が、シンクロトロン放射光の出射窓210
と、X線マスク100との間に設けられた例について説
明したが、図7を参照して、フィルター50は、X線マ
スク100と、レジスト層2との間に設けられていて
も、実施例と同様の効果を奏することはいうまでもな
い。
【0317】さらに、本実施例では、シンクロトロン放
射光装置の電子蓄積リング(SRリング)により発生し
たシンクロトロン放射光が、シンクロトロン放射光の出
射窓210を介して照射された例について説明したが、
シンクロトロン放射光の出射窓210は、必ずしも、必
須の構成部材ではないことを付記しておく。すなわち、
シンクロトロン放射光装置の電子蓄積リング209によ
り発生したシンクロトロン放射光を、直接、X線マスク
100またはフィルター50に照射する、シンクロトロ
ン放射光の出射窓210を用いることのない真空直結方
式を用いてもよいことを付記しておく。
【0318】また、本実施例では、レジスト層2を構成
するレジスト材として、メタクリル酸メチルとメタクリ
ル酸との共重合体を主成分(ベース樹脂)として含むレ
ジスト材を用いた例について説明したが、これは、単
に、説明するためにのみ用いたものであって、本発明
を、メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体を
主成分(ベース樹脂)として含むレジスト材を用いる、
微細構造体の形成方法に限定するものでないことはいう
までもない。
【0319】本発明は、原理的には、他の公知のX線用
のレジスト材を用いても、本実施例と、同様の効果を奏
し得るものであることを付記しておく。
【0320】また、本実施例では、フィルター50とし
て、ポリイミド製のフィルターを用いた例について説明
したが、フィルター50としては、原理的には、レジス
ト層と実質的に同一の吸収スペクトルを有する材料であ
ればよく、ポリイミド以外のスーパーエンジニアリング
プラスチック材、より具体的には、ポリエチレンテレフ
タレート等が適用可能であることを付記しておく。
【0321】また、本実施例では、説明を容易とするた
め、レジスト材を作製する際に使用する密着助剤や、架
橋剤については、特に触れなかったが、本発明で用いる
レジスト材を作製する際に、密着助剤や、架橋剤を使用
してもよいことは、言うまでもない。
【0322】そのような架橋剤としては、たとえば、エ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレートなどをその好ましい具体例とし
て挙げることができる。
【0323】また、密着助剤としては、種々のシランカ
ップリング剤を挙げることができる。そのような密着助
剤としては、たとえば、γ−メタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ヘキサメ
チルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルメチルジメトキシシランなどをその好ましい
具体例として挙げることができる。
【0324】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に従え
ば、高アスペクト比を有する微細構造体を、高精度に、
容易にかつ簡単に製造することができる。
【0325】より詳しくは、第1の発明によれば、特
に、露光工程において、レジスト層と実質的に同一の吸
収スペクトルを有するフィルターを介して、レジスト層
にシンクロトロン放射光を照射することにより、レジス
ト層2の表面から基板1の方向に深くなるに従い線幅は
広くなるような形状を生じることなく、高精度なレジス
トパターンが形成でき、レジストパターンに基づいて、
微細構造体を形成することにより、微細な線幅寸法と、
厚みのある、アスペクト比の大きい微細構造体を、高精
度に、容易かつ簡単に形成することができる。
【0326】また、第2の発明によれば、特に、基板上
にレジスト層を形成する工程において、基板上に、中空
部を有する枠材を載置する工程と、中空部内に、単量体
と、単量体が重合してなる重合体とを含むシロップを充
填する工程と、単量体と、単量体が重合してなる重合体
とを含むシロップを、基板上で、完全に重合する重合完
結工程とを備える結果、以下の効果を奏する。
【0327】(1) 従来のマルチスピンコート法に比
べ、基板上にレジスト層を均一に厚く形成することがで
きる。
【0328】(2) 基板上にレジスト層を厚く形成し
ても、レジスト層にクラックが生じにくい。
【0329】(3) 基板とレジスト層との密着性に優
れている。 (4) 現像により、レジストパターンを形成する工程
において、レジストパターンに型崩れを生じにくい。
【0330】(5) 電気めっきにより、レジストパタ
ーンに従って、微細構造体を堆積させる工程において、
レジストパターンに、型崩れを生じにくい。
【0331】(6) さらに、第2の発明によれば、露
光工程は、レジスト層と実質的に同一の吸収スペクトル
を有するフィルターを介して、レジスト層にシンクロト
ロン放射光を照射している結果、現像工程において、良
好なレジストパターンが形成でき、レジストパターンに
基づいて、微細構造体を形成することにより、微細な線
幅寸法と、厚みのある、アスペクト比の大きい微細構造
体を、高精度に、容易かつ簡単に形成することができ
る。
【0332】(7) また、第2の発明によれば、基板
上にレジスト層を形成する工程において、塊状重合法を
用いている結果、基板上に形成されるレジスト層には、
元々、溶剤が含まれていない。
【0333】このため、現像時のレジストパターンの型
崩れや、レジストパターンに基づいて、電気めっきによ
り微細構造体を形成する工程において、レジストパター
ンにクラックや型崩れが生じにくい結果、当初の設計通
りの微細構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って、基板上に、レジスト層を形成
する工程の一実施例を概略的に示す工程図である。
【図2】本発明に従う微細構造体の形成方法において、
特に、レジスト層にシンクロトロン放射光を照射して、
レジスト層に所望のパターンを露光する露光工程と、所
望のパターンが露光されたレジスト層を現像して、レジ
ストパターンを形成する現像工程と、レジストパターン
に基づいて、微細構造体を形成する工程の一実施例を概
略的に示す工程図である。
【図3】本発明に従う微細構造体の形成方法において、
レジスト層にシンクロトロン放射光を照射して、レジス
ト層に所望のパターンを露光する露光工程を概略的に示
す工程図である。
【図4】シンクロトロン放射光の出射窓210と、X線
マスク100の光透過膜(マスクメンブラン)100b
と、レジスト層2と実質的に同一の吸収スペクトルを有
するフィルター50の効果を示す図である。
【図5】本発明の効果を示す図である。
【図6】本発明の効果を示す図である。
【図7】本発明に従う微細構造体の形成方法において、
露光工程における、他の実施例を概略的に示す工程図で
ある。
【図8】従来のLIGA法についての基本工程を概略的
に示す工程図である。
【図9】従来のLIGA法についての基本工程を概略的
に示す工程図である。
【図10】従来のLIGA法において、特に、レジスト
層にシンクロトロン放射光を照射して、レジスト層に所
望のパターンを露光する従来の露光工程を概略的に示す
工程図である。
【図11】シンクロトロン放射光の出射窓210と、X
線マスク100の光透過膜(マスクメンブラン)101
bの効果を示す図である。
【図12】図10に示すような露光工程を用い、レジス
ト層に所望のパターンを露光し、しかる後に、所望のパ
ターンが露光されたレジスト層を現像して、レジストパ
ターンを形成する現像工程において、レジストパターン
に生じる現象を模式的に示す図である。
【図13】レジスト材に吸収されるエネルギーを概略的
に示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 レジスト層 2p パターン 3 レジストパターン(レジスト構造体) 3v 谷間 4 金属の構造体 11 ホットプレート(加熱手段) 12 枠材 12m 中空部 12h 枠材の高さ 12s 枠材の側壁 13 カプトンシート(離型シート) 14 金属板 15 錘 50 フィルター 100 X線マスク 100a X線吸収体 100b X線透過膜(マスクメンブラン) 210 シンクロトロン放射光の出射窓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にレジスト層を形成する工程と、 前記レジスト層にシンクロトロン放射光を照射して、前
    記レジスト層に所望のパターンを露光する露光工程と、 前記所望のパターンが露光されたレジスト層を現像し
    て、レジストパターンを形成する現像工程と、 前記レジストパターンに基づいて、微細構造体を形成す
    る、微細構造体の形成方法において、 前記露光工程は、前記レジスト層と実質的に同一の吸収
    スペクトルを有するフィルターを介して、レジスト層を
    露光することを特徴とする、微細構造体の形成方法。
  2. 【請求項2】 基板上にレジスト層を形成する工程と、 前記レジスト層にシンクロトロン放射光を照射して、前
    記レジスト層に所望のパターンを露光する露光工程と、 前記所望のパターンが露光されたレジスト層を現像し
    て、レジストパターンを形成する現像工程と、 前記レジストパターンに基づいて、微細構造体を形成す
    る、微細構造体の形成方法であって、 前記基板上にレジスト層を形成する工程は、 前記基板上に、中空部を有する枠材を載置する工程と、 前記中空部内に、単量体と、前記単量体が重合してなる
    重合体とを含むシロップを充填する工程と、 前記単量体と、前記単量体が重合してなる重合体とを含
    むシロップを前記基板上で完全に重合する重合完結工程
    とを備え、 前記露光工程は、前記レジスト層と実質的に同一の吸収
    スペクトルを有するフィルターを介して、レジスト層を
    露光する、微細構造体の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記フィルターを構成するフィルター材
    料が、前記レジスト層を構成するレジスト材と実質的に
    同一材料であることを特徴とする、請求項1または請求
    項2に記載の微細構造体の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記フィルターを構成するフィルター材
    料が、ポリイミドであることを特徴とする、請求項1ま
    たは請求項2に記載の微細構造体の形成方法。
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