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JP3368595B2 - シリンダライナ - Google Patents
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JP3368595B2 - シリンダライナ - Google Patents

シリンダライナ

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JP3368595B2
JP3368595B2 JP22993692A JP22993692A JP3368595B2 JP 3368595 B2 JP3368595 B2 JP 3368595B2 JP 22993692 A JP22993692 A JP 22993692A JP 22993692 A JP22993692 A JP 22993692A JP 3368595 B2 JP3368595 B2 JP 3368595B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジンのシリンダライ
ナに係り、特にEGRシステムに適したシリンダライナ
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車排気ガスの改善に対する社
会的要請が益々強まっている。この自動車排気ガスにお
けるNOx低減の対策の一つとして、エンジンから排気
されるガスの一部を再度吸入管に戻し吸入するEGRシ
ステムが既に実用化されている。しかし、エンジンの長
寿命化や信頼性が要求される中、大型トラック・バス用
ディーゼルエンジンにおいては、未だ一般化されていな
い。その理由の一つは、該ディーゼルエンジンにおける
EGRシステムの信頼性,耐久性が未だ確立されていな
いことにある。また他の理由は、EGRシステムによっ
て燃費が悪化すると同時に、黒煙が生じるなど排気ガス
も悪化することにある。しかしながら、NOx低減対策
として他に有効な対策がない今日、上記EGRシステム
の再検討が必要になってきている。
【0003】また、このEGRシステムにおいては、燃
焼後の排気ガス中に含まれるSO2 が酸化されてSO3
となり、水(H2 O)と反応すると硫酸(H2 SO4
が生成され、温度が低下すると硫酸が結露してEGR管
路の部品を腐蝕するという欠点がある。また、シリンダ
内に吸入されたSO2 は上述したと同様に硫酸になり、
温度が低下したときは煤粒子を核としてその周りに結露
するという欠点がある。
【0004】従って、硫酸に対する耐蝕性を改善する対
策としては、次のような技術があった。まず第1の手段
は化学蒸着法(CVD),物理蒸着法(PVD)等の表
面処理であり、被処理材の表面にセラミックス成分や炭
化物の蒸着を行い、強化層を得るという技術である。
【0005】また第2の手段は耐蝕・耐摩耗材料の開発
であり、特に鋳鉄系の被処理材としては耐蝕性を向上さ
せるべくCuを含有した合金鋳鉄が有名である。
【0006】さらに第3の手段は溶射処理であり、被処
理材の表面に鉄−モリブデン系等の材料を溶射して被覆
する技術である。
【0007】そして第4の手段は汎用のアルミナイズ処
理であり、汎用のアルミ溶湯内に被処理材をディッピン
グして、その表面にFeAlの金属間化合物を得る技術
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の耐蝕
性を改善する技術にあっては、次のような問題があっ
た。まず、第1の手段としてのCVD,PVD等の表面
処理は、処理コストが高いだけでなく、被処理材の表面
に形成し得る層は10〜20μm程度の厚さの薄い層で
あった。特に、シリンダライナに使用する場合、エンジ
ンの吸入管から吸入した空気に混入した塵埃中の成分に
よる引っ掻き摩耗によって、この薄い層がすぐに剥離
し、耐蝕・耐摩耗性の信頼性に欠けるという問題があっ
た。
【0009】また第2の手段としての耐蝕・耐摩耗材料
は、硫酸に対しては極めて優れた耐蝕性を有するが、耐
摩耗性については充分な効果が得られないという問題が
あった。
【0010】さらに第3の手段としての溶射処理は、耐
摩耗性に対してはある程度の効果が認められている。し
かし、溶射層がポーラスであることから、このポーラス
層から硫酸成分が浸透し、結局母材を腐蝕させてしまう
という問題があった。また、溶射層は長期使用において
剥離する虞れがあり、信頼性に欠けるという問題があっ
た。
【0011】そして第4の手段としての汎用アルミナイ
ズ処理にあっては、鉄基の被処理材の表面に形成される
層はFeAlの硬質層である。この層は非常に脆く、シ
リンダライナに使用する場合、ピストンリングとの接触
負荷によって容易に剥離し信頼性に欠けるという問題が
あった。また、剥離しなくとも表面処理層に亀裂が生
じ、この亀裂から硫酸成分が浸透し、母材を腐蝕させて
しまうという問題があった。
【0012】本発明の目的は、上記課題に鑑み、硫酸に
対する良好な耐蝕性を有すると共に、ピストンリング等
との接触負荷に対する良好な耐摩耗性を有し、EGRシ
ステムの信頼性を向上させることができるシリンダライ
ナを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく第
1の発明に係るシリンダライナは、ライナ素材の上死点
近傍部に形成した窪みに、ニッケル系合金を高密度エネ
ルギ溶接により肉盛し、この肉盛を含むライナ素材の表
面にMn,Hf,Bを含有する溶湯によりアルミナイズ
処理を施したものである。
【0014】また、第2の発明に係る他のシリンダライ
ナは、ライナ素材の上死点近傍部に形成した窪みに、耐
摩耗成分を母粒子としフープ材と同質の材料を子粒子と
するカプセル粉末を耐蝕性金属からなるフープ材内に充
填したカプセル溶接ワイヤを、高密度エネルギ溶接によ
り肉盛したものである。
【0015】
【作用】上記第1の発明の構成によれば、ライナ素材に
アルミナイズ処理を施す前に、該ライナ素材の上死点近
傍部に窪みを形成し、この窪みにニッケル系合金を高密
度エネルギ溶接により肉盛している。従って、上記ニッ
ケル系合金を肉盛した部位が優先的にアルミナイズ処理
される。この部位は、アルミ溶湯が微量の第三元素M
n,Hf,Bを含有しているため、伸びが増大し、靱性
を有する表面層が形成されることになる。
【0016】また、第2の発明の構成によれば、ライナ
素材の上死点近傍部に形成した窪みにカプセル溶接ワイ
ヤが高密度エネルギ溶接により肉盛されている。このカ
プセル溶接ワイヤは、耐摩耗成分を母粒子としフープ材
と同質の材料を子粒子とするカプセル粉末を、フープ材
内に充填したものである。従って、ライナ素材の上死点
近傍部に形成された肉盛部は、腐蝕に強い材料を基礎材
料として、これに摩耗に強い成分が均一に分散された分
散強化型合金の組織を呈するものである。
【0017】
【実施例】以下、本発明に係る耐摩耗シリンダライナの
好適実施例を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】図1及び図2は、第1の実施例のシリンダ
ライナを示す概略図である。図2に示すように、シリン
ダライナ1のライナ素材2の上死点近傍部3には、予め
中子型により又は切削加工により深さ約1mmの窪み4
が形成されている。この窪み4にニッケル系合金を高密
度エネルギ溶接により肉盛5する。具体的には、ニッケ
ル系溶加棒を使用して、TIG溶接又はMIG溶接にて
肉盛5を行う。この溶接施工に際して約200℃の予熱
を施し、溶接後に同温度で後熱を施すと、溶接割れが発
生することなく良好な肉盛部を得ることができる。
【0019】次に、肉盛5を施したライナ素材を、M
n,Hf,Bを約0.1〜1.0重量%を含有するアル
ミ溶湯内にディッピングしてアルミナイズ処理する。
【0020】以上の加工処理を行うことにより、ライナ
素材2の上死点近傍部3にニッケル系合金の肉盛5が施
され、該肉盛5を含むライナ素材2の表面に特殊なアル
ミナイズ処理の施されたシリンダライナ1を得ることが
できるものである。
【0021】次に、第1の実施例における作用を述べ
る。
【0022】前述したように、硫酸に対する耐蝕性に優
れた処理として汎用のアルミナイズ処理がある。しか
し、このアルミナイズ処理によって鉄基のライナ素材2
の表面に形成される層はFeAlの硬質層である。この
層は非常に脆く、ライナ素材2の表面に使用する場合、
ピストンリングとの接触負荷によって容易に剥離及び亀
裂が生じ、この亀裂,剥離により母材が腐蝕する。
【0023】しかしながら、本実施例のようにライナ素
材2の上死点近傍部3にニッケル系合金の肉盛5を施
し、該肉盛5を含むライナ素材2の表面にMn,Hf,
Bを含有するアルミ溶湯による特殊なアルミナイズ処理
を施すことで、上記ニッケル系合金を肉盛5した部位が
優先的にアルミナイズ処理される。この部位は微量の第
三元素Mn,Hf,Bを含有しているため、伸びが約5
%程度増大し、靱性を有する表面層が形成されることに
なる。
【0024】このニッケル系合金を肉盛5した部位は上
死点近傍部3のみであり、他の部位には通常のアルミナ
イズ処理と同様にFeAlの金属間化合物の表面層が形
成される。従って、FeAlの硬化層の部位は脆いが、
上死点近傍部3程の負荷を受けないため、実用上何等問
題はない。
【0025】また、ライナ素材2の裏面(シリンダと反
対側の面)もアルミナイズ処理が施されることになる。
このライナ素材2の裏面に形成されたFeAlの硬化層
は、ウェット方式のエンジンの場合に、耐キャビテーシ
ョン対策として有効な働きをする。この裏面に形成され
た表面層の除去はかえってコスト高となるので、該裏面
に表面層を形成したくない場合には、マスキング等を施
した後アルミナイズ処理する必要がある。
【0026】このように第1の実施例は溶接肉盛を使用
しているので、母材としてのライナ素材2との密着性に
優れ、且つ良好な耐蝕性及び耐摩耗性を有し、EGRシ
ステムの信頼性を向上させることができるものである。
【0027】次に、第2の実施例のシリンダライナにつ
いて説明する。
【0028】図2に示したように、シリンダライナ1の
ライナ素材2の上死点近傍部3には、予め中子型により
又は切削加工により窪み4が形成されている。第2の実
施例にあっては、この窪み4は深さ約2mmに形成され
ている。そしてこの窪み4に、カプセル溶接ワイヤを使
用して高密度エネルギ溶接により肉盛5する。
【0029】具体的には、このカプセル溶接ワイヤは幅
7mm,厚さ0.3mmのニッケル(Ni)またはクロ
ム(Cr)のフープ材にカプセル粉末を充填したメタル
・コアードワイヤである。このフープ材に充填するカプ
セル粉末は、溶接時の電流密度,融点の関係から選定し
ている。すなわち、母粒子として耐摩耗成分粉末を用
い、子粒子として上記フープ材と同じ材質の粉末を用い
ており、ハイブリゼーション装置,メカネミル装置等で
カプセル化処理を行っている。上記耐摩耗成分粉末に
は、例えば、SiO2 ,Al2 3 等のセラミックス
や,WC,TiC等の金属系の炭化物粉末を採用し、そ
の粒径は50〜200μmが望ましい。また、子粒子
は、母粒子の径の約1/10に相当する5〜20μm径
の粉末であることが望ましい。このカプセル化状態と
は、図3に示すように、母粒子の周囲を子粒子が覆って
いる状態をいい、このようにカプセル化処理した粉末
を、上記フープ内に充填しローラにて成形すれば溶接用
のワイヤとなる。
【0030】また、上記高密度エネルギ溶接には、第1
の実施例と同様にTIG溶接又はMIG溶接を採用す
る。さらに、この溶接施工において約200℃の予熱・
後熱を施すことが望ましい点も第1の実施例と同様であ
る。
【0031】次に、第2の実施例における作用を述べ
る。
【0032】従来より、硫酸に対して耐蝕性に優れた材
料として、ニッケル,クロム等の材料が知られている。
しかし、ニッケル,クロム等の材料のみでは優れた耐蝕
性を有するものの、耐摩耗性に対して充分な効果が望め
ない。このことから、腐蝕に強い材料を基礎材料とし
て、これに摩耗に強い成分を分散強化できれば所望の性
質を得ることができる。このような優れた性質を有する
材料として、インコネル,ハステロイ等の超合金が開発
・市販されているが、これらの材料を溶接ワイヤとする
ことは困難である。また、上記ライナ素材2自体を全て
これらの材料で製造することも可能であるが、非常に高
価なものとなる。従って、本実施例に採用するカプセル
溶接ワイヤによれば、低コストでかつ量産性のある技術
を提供することができるものである。
【0033】このカプセル溶接ワイヤにより肉盛強化し
た部位の金属組織は、フープ材及び子粒子としてニッケ
ルを使用し母粒子としてセラミックスを使用した場合、
ニッケルの中にセラミックス成分が均一に分散した分散
強化型合金の組織となる。
【0034】このように第2の実施例にあっては、上記
第1の実施例と同様に、溶接肉盛を使用しているので、
母材としてのライナ素材2との密着性に優れ、且つ良好
な耐蝕性及び耐摩耗性を有し、EGRシステムの信頼性
を向上させることができるものである。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係るシリンダ
ライナによれば、硫酸に対する良好な耐蝕性を有すると
共に、ピストンリング等との接触負荷に対する良好な耐
摩耗性を有し、EGRシステムの信頼性を向上させるこ
とができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダライナの第1の実施例を
示す概略図である。
【図2】本発明に係るシリンダライナの第1の実施例に
使用するライナ素材を示す概略図である。
【図3】本発明に係るシリンダライナの第2の実施例に
おけるカプセル化状態を示す概略図である。
【符号の説明】
2 ライナ素材 3 上死点近傍部 4 窪み 5 肉盛
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−185224(JP,A) 特開 平3−86387(JP,A) 特開 平1−177440(JP,A) 特開 昭63−174798(JP,A) 特開 昭62−21465(JP,A) 特開 昭49−121743(JP,A) 特開 平5−25655(JP,A) 特開 平6−249057(JP,A) 特開 平6−246428(JP,A) 特開 平6−81710(JP,A) 特開 平5−195864(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02F 1/00 B23K 9/04 B22D 19/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ライナ素材の上死点近傍部に形成した窪
    みに、ニッケル系合金を高密度エネルギ溶接により肉盛
    し、該肉盛を含むライナ素材の表面にMn,Hf,Bを
    含有する溶湯によりアルミナイズ処理を施したことを特
    徴とするシリンダライナ。
  2. 【請求項2】 ライナ素材の上死点近傍部に形成した窪
    みに、耐摩耗成分を母粒子としフープ材と同質の材料を
    子粒子とするカプセル粉末を耐蝕性金属からなるフープ
    材内に充填したカプセル溶接ワイヤを、高密度エネルギ
    溶接により肉盛したことを特徴とするシリンダライナ。
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