JP3390495B2 - Mim構造素子およびその製造方法 - Google Patents
Mim構造素子およびその製造方法Info
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- H01J2201/30—Cold cathodes
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高品質な絶縁層を必要
とするMIM構造電子デバイス、例えば電子源に用いら
れる。
とするMIM構造電子デバイス、例えば電子源に用いら
れる。
【0002】
【従来の技術】金属−絶縁層−金属の積層構造は、MI
MダイオードやMIM電子放出素子等において鍵となる
部分であり、特に絶縁層の膜質を高めてリーク電流を低
減したり、絶縁耐圧を高めることが求められている。以
下、電子放出素子を例に従来の技術を説明する。
MダイオードやMIM電子放出素子等において鍵となる
部分であり、特に絶縁層の膜質を高めてリーク電流を低
減したり、絶縁耐圧を高めることが求められている。以
下、電子放出素子を例に従来の技術を説明する。
【0003】図2にMIM構造を電子放出素子として動
作させた時の原理図を示す。上部電極11と下部電極1
3との間に電圧を印加すると、絶縁層12内の電界のた
め、下部電極13中のフェルミ準位近傍の電子はトンネ
ル現象により障壁を透過し、絶縁層12,上部電極11
の伝導帯へ出現する。これらの電子のうち、上部電極1
1の仕事関数φ以上のエネルギーを有する電子は、真空
中に放出されることになる。現在までに、Au−Al2
O3−Al構造においてこの原理による電子放出が観測
されている。この電子源は、上部電極11の表面が環境
ガスの付着により汚染して仕事関数φが変化しても電子
放出特性には大きな影響がない、などの電子源として優
れた性質を有しており、新型電子源として期待されてい
る。
作させた時の原理図を示す。上部電極11と下部電極1
3との間に電圧を印加すると、絶縁層12内の電界のた
め、下部電極13中のフェルミ準位近傍の電子はトンネ
ル現象により障壁を透過し、絶縁層12,上部電極11
の伝導帯へ出現する。これらの電子のうち、上部電極1
1の仕事関数φ以上のエネルギーを有する電子は、真空
中に放出されることになる。現在までに、Au−Al2
O3−Al構造においてこの原理による電子放出が観測
されている。この電子源は、上部電極11の表面が環境
ガスの付着により汚染して仕事関数φが変化しても電子
放出特性には大きな影響がない、などの電子源として優
れた性質を有しており、新型電子源として期待されてい
る。
【0004】この電子源を製作する際は、絶縁層の作製
が重要なポイントである。絶縁層の作製方法には、絶縁
層構成物質の蒸着や、酸素ガス雰囲気中で金属蒸着させ
る反応性蒸着法の他に、下部電極11を酸化液中で陽極
酸化法により酸化する方法が用いられている。Au−A
l2O3−Al構造の電子放出素子を陽極酸化法で形成す
る際、陽極酸化速度を決める化成電流密度を0.25A
/m2と小さくすると、電子放出特性が向上することが
報告されている。(ヴィド・クーシェ・マンス,45
巻,ナンバー253,233〜249頁,1990年,
Vide CouchesMinces, Vol. 45, No. 253, pp. 233 − 2
49 (1990))。
が重要なポイントである。絶縁層の作製方法には、絶縁
層構成物質の蒸着や、酸素ガス雰囲気中で金属蒸着させ
る反応性蒸着法の他に、下部電極11を酸化液中で陽極
酸化法により酸化する方法が用いられている。Au−A
l2O3−Al構造の電子放出素子を陽極酸化法で形成す
る際、陽極酸化速度を決める化成電流密度を0.25A
/m2と小さくすると、電子放出特性が向上することが
報告されている。(ヴィド・クーシェ・マンス,45
巻,ナンバー253,233〜249頁,1990年,
Vide CouchesMinces, Vol. 45, No. 253, pp. 233 − 2
49 (1990))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】MIM電子放出素子の
性能を表す特性として、上部電極11−下部電極13と
の間にダイオード電圧を印加した際に、上部電極11−
下部電極13との間に流れる電流(ダイオード電流I
d)と上部電極11から真空中に放出される放出電流I
eとの比(放出比)、Ie/Idがある。放出比が大き
いほど効率が良い電子放出素子である。しかし、上記の
作製方法で得られたMIM電子放出素子では、(1/1
05)オーダーの低い放出比しか得られなかった。
性能を表す特性として、上部電極11−下部電極13と
の間にダイオード電圧を印加した際に、上部電極11−
下部電極13との間に流れる電流(ダイオード電流I
d)と上部電極11から真空中に放出される放出電流I
eとの比(放出比)、Ie/Idがある。放出比が大き
いほど効率が良い電子放出素子である。しかし、上記の
作製方法で得られたMIM電子放出素子では、(1/1
05)オーダーの低い放出比しか得られなかった。
【0006】このように、放出比が低くなる原因は、下
部電極13と絶縁層12との界面の障壁をトンネリング
により透過した電子のうち大部分が、絶縁層12内の伝
導帯中を通過する際に結晶格子との散乱などによりエネ
ルギーを失い、上部電極11と真空界面の障壁(仕事関
数φ)を越せなくなってしまうためである。また、絶縁
層12の膜質がさらに悪い場合には、トンネリングによ
る透過以外にリーク電流も流れる。リーク電流は絶縁層
12内の導電性経路をオーミックに流れるものなので、
運動エネルギーが低く、電子放出には寄与しない。この
ように、MIM電子放出素子における放出比が低い原因
は、絶縁層の膜質が悪いためであった。
部電極13と絶縁層12との界面の障壁をトンネリング
により透過した電子のうち大部分が、絶縁層12内の伝
導帯中を通過する際に結晶格子との散乱などによりエネ
ルギーを失い、上部電極11と真空界面の障壁(仕事関
数φ)を越せなくなってしまうためである。また、絶縁
層12の膜質がさらに悪い場合には、トンネリングによ
る透過以外にリーク電流も流れる。リーク電流は絶縁層
12内の導電性経路をオーミックに流れるものなので、
運動エネルギーが低く、電子放出には寄与しない。この
ように、MIM電子放出素子における放出比が低い原因
は、絶縁層の膜質が悪いためであった。
【0007】本発明は、絶縁層の膜質を向上させて、電
子放出素子においては放出比を高め、その他のMIM構
造素子においてはリーク電流の低減など素子特性の向上
を図ることを目的とする。
子放出素子においては放出比を高め、その他のMIM構
造素子においてはリーク電流の低減など素子特性の向上
を図ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】陽極酸化の際の化成電流
密度を0.1A/m2以下にして、酸化速度を0.2nm/m
in 以下にすることにより、絶縁層の膜質を向上させる
ことができる。これをMIM電子放出素子に適用する
と、放出比は1×(1/103)となり、従来よりも1桁
高めることができる。
密度を0.1A/m2以下にして、酸化速度を0.2nm/m
in 以下にすることにより、絶縁層の膜質を向上させる
ことができる。これをMIM電子放出素子に適用する
と、放出比は1×(1/103)となり、従来よりも1桁
高めることができる。
【0009】
【作用】下部電極13としてAlを用いて、それを陽極
酸化してAl2O3からなる絶縁層12を形成し、さらに
上部電極11を形成してMIM電子放出素子を作製す
る。下部電極13,上部電極11の膜厚はそれぞれ1
5,10nm程度である。この膜厚は一例であることは
言うまでもない。絶縁層12の膜厚は3〜10nm程度
である。
酸化してAl2O3からなる絶縁層12を形成し、さらに
上部電極11を形成してMIM電子放出素子を作製す
る。下部電極13,上部電極11の膜厚はそれぞれ1
5,10nm程度である。この膜厚は一例であることは
言うまでもない。絶縁層12の膜厚は3〜10nm程度
である。
【0010】この陽極酸化過程を詳述する。化成液とし
ては、例えば、1〜3%の酒石酸水溶液をアンモニア水
で中和し、エチレングリコールで希釈したものを用い
る。この化成液にAlの下部電極13を陽極として、白
金線を陰極として挿入し、両者の間に一定電流I0を流
す。化成液に浸っている下部電極13の面積S(すなわ
ち、酸化される面積)でI0 を除した、J0=I0/S
(化成電流密度)により酸化の速度が支配される。
ては、例えば、1〜3%の酒石酸水溶液をアンモニア水
で中和し、エチレングリコールで希釈したものを用い
る。この化成液にAlの下部電極13を陽極として、白
金線を陰極として挿入し、両者の間に一定電流I0を流
す。化成液に浸っている下部電極13の面積S(すなわ
ち、酸化される面積)でI0 を除した、J0=I0/S
(化成電流密度)により酸化の速度が支配される。
【0011】図3に陽極酸化時の、陽極−陰極間電圧
(化成電圧V)と陽極−陰極間に流れる電流との関係を
示した。縦軸は化成電流密度Jをとった。酸化の初期で
は、外部回路で化成電流密度JをJ0 に保つ。すると、
化成電圧Vは上昇を続ける。化成電圧Vが所望の膜厚に
対応する電圧値に達したところで(図3中のA点)、外
部回路を定電流回路から定電圧回路を切り替える。する
と、化成電流密度Jが徐々に低下していく。Jが十分小
さくなったら、陽極酸化プロセスを終了する。
(化成電圧V)と陽極−陰極間に流れる電流との関係を
示した。縦軸は化成電流密度Jをとった。酸化の初期で
は、外部回路で化成電流密度JをJ0 に保つ。すると、
化成電圧Vは上昇を続ける。化成電圧Vが所望の膜厚に
対応する電圧値に達したところで(図3中のA点)、外
部回路を定電流回路から定電圧回路を切り替える。する
と、化成電流密度Jが徐々に低下していく。Jが十分小
さくなったら、陽極酸化プロセスを終了する。
【0012】ここで、Alを陽極とした場合を例にし
て、陽極酸化中の陽極表面での反応を述べる。化成液中
の酸化剤Oxは、次の反応によりAlから電子を引き抜
く。
て、陽極酸化中の陽極表面での反応を述べる。化成液中
の酸化剤Oxは、次の反応によりAlから電子を引き抜
く。
【0013】
【化1】
【0014】ここで、(Al+)は遊離したAl+ イオン
ではなく、電極上で電子が不足した状態にある原子を示
す。すると、化成液中の種々の化学種との反応により、
AlxOy(OH)z(x,y,zは整数または小数)で表さ
れるような化合物が生成する。さらに電極反応:
ではなく、電極上で電子が不足した状態にある原子を示
す。すると、化成液中の種々の化学種との反応により、
AlxOy(OH)z(x,y,zは整数または小数)で表さ
れるような化合物が生成する。さらに電極反応:
【0015】
【化2】
【0016】によって、Alがさらに酸化される。この
プロセスのくり返しにより、Alが3価まで酸化される
と、熱力学的に安定な状態であるAl2O3になる。した
がって、酸化プロセスを十分ゆっくりと進行させれば、
熱力学的に安定なAl2O3が得られるが、速度が速い
と、酸化膜中にAlxOy(OH)z という不完全な形の化
合物が残ってしまう。これは、膜質を劣化させる。ま
た、酸化速度を速くすると、酸化膜中にピンホール等も
できやすい。これは上部金属11−下部電極13間のリ
ーク電流を増加させることになる。
プロセスのくり返しにより、Alが3価まで酸化される
と、熱力学的に安定な状態であるAl2O3になる。した
がって、酸化プロセスを十分ゆっくりと進行させれば、
熱力学的に安定なAl2O3が得られるが、速度が速い
と、酸化膜中にAlxOy(OH)z という不完全な形の化
合物が残ってしまう。これは、膜質を劣化させる。ま
た、酸化速度を速くすると、酸化膜中にピンホール等も
できやすい。これは上部金属11−下部電極13間のリ
ーク電流を増加させることになる。
【0017】(化1),(化2)の反応が起こると、A
l電極から化成液に電子が移動するので、陽極−陰極間
に電流が流れる。逆に言うと、外部回路に電流を流さな
ければ、(化1),(化2)の反応が起こらないので、
酸化プロセスは進行しない。これが、化成電流密度J0
を小さくすることにより、酸化速度を遅くし、膜質の向
上を実現する原理である。
l電極から化成液に電子が移動するので、陽極−陰極間
に電流が流れる。逆に言うと、外部回路に電流を流さな
ければ、(化1),(化2)の反応が起こらないので、
酸化プロセスは進行しない。これが、化成電流密度J0
を小さくすることにより、酸化速度を遅くし、膜質の向
上を実現する原理である。
【0018】図4は、上記の方法で作製した電子放出素
子について放出比を測定した結果である。横軸には、化
成電流密度J0 をとってある。この図から明らかなよう
に、J0>0.1A/m2では、放出比にバラツキも多
く、値も低い。J0≦0.1A/m2とすると放出比のバ
ラツキが小さくなり、1×(1/104)以上という高
い放出比が再現性よく得られるようになっている。さら
に、1×(1/103)という高い放出比が得られる場合
もある。これは、J0≦0.1A/m2 では、酸化速度が
十分に遅いために、熱力学支配に近い状況になっている
ために、バラツキが少なく、高品質な絶縁膜ができるこ
とを示している。
子について放出比を測定した結果である。横軸には、化
成電流密度J0 をとってある。この図から明らかなよう
に、J0>0.1A/m2では、放出比にバラツキも多
く、値も低い。J0≦0.1A/m2とすると放出比のバ
ラツキが小さくなり、1×(1/104)以上という高
い放出比が再現性よく得られるようになっている。さら
に、1×(1/103)という高い放出比が得られる場合
もある。これは、J0≦0.1A/m2 では、酸化速度が
十分に遅いために、熱力学支配に近い状況になっている
ために、バラツキが少なく、高品質な絶縁膜ができるこ
とを示している。
【0019】図5は、化成電流密度J0 と酸化速度との
関係を示したものである。ここで酸化速度とは、図3で
酸化開始後から時刻Aまでの時間をt1 、酸化膜膜厚を
dとした時、d/t1として定義している。上記のメカ
ニズムから予想されるように、酸化速度と化成電流密度
とはほぼ比例している。図5からわかるように、J0<
0.1A/m2という条件は、酸化速度を0.2nm/min
以下にすることに他ならない。
関係を示したものである。ここで酸化速度とは、図3で
酸化開始後から時刻Aまでの時間をt1 、酸化膜膜厚を
dとした時、d/t1として定義している。上記のメカ
ニズムから予想されるように、酸化速度と化成電流密度
とはほぼ比例している。図5からわかるように、J0<
0.1A/m2という条件は、酸化速度を0.2nm/min
以下にすることに他ならない。
【0020】J0 と酸化速度とがほぼ比例するので、J
0=0.0001A/m2 にすると酸化速度は、0.00
02nm/minとなり、2nm酸化するのに160時間
要するようになる。これだけ長時間にわたって陽極酸化
を続けると、逆に化成液中の残留不純物の影響により膜
質の劣化が起こる。したがって、化成電流密度は、0.
0001<J0<0.1A/m2の範囲に設定するとよ
い。
0=0.0001A/m2 にすると酸化速度は、0.00
02nm/minとなり、2nm酸化するのに160時間
要するようになる。これだけ長時間にわたって陽極酸化
を続けると、逆に化成液中の残留不純物の影響により膜
質の劣化が起こる。したがって、化成電流密度は、0.
0001<J0<0.1A/m2の範囲に設定するとよ
い。
【0021】なお、前述のように酸化速度は電極から流
れる電流、すなわち外部回路を流れる電流で支配されて
いるので、図3に示したデータは使用する化成液の種類
に依存しない。したがって、化成液として、例えば、酒
石酸アンモニウム水溶液や、クエン酸アンモニウム水溶
液,シュウ酸アンモニウム水溶液などを用いた場合も上
記の化成電流密度の条件は同じである。
れる電流、すなわち外部回路を流れる電流で支配されて
いるので、図3に示したデータは使用する化成液の種類
に依存しない。したがって、化成液として、例えば、酒
石酸アンモニウム水溶液や、クエン酸アンモニウム水溶
液,シュウ酸アンモニウム水溶液などを用いた場合も上
記の化成電流密度の条件は同じである。
【0022】前述のように、MIM電子放出素子におけ
る放出比は、絶縁層の膜質の良否を示す指標にもなって
いるので、本発明によって作られたMIM構造素子は、
電子放出素子以外、たとえばMIMダイオードなどの場
合でも特性の向上を図ることができる。
る放出比は、絶縁層の膜質の良否を示す指標にもなって
いるので、本発明によって作られたMIM構造素子は、
電子放出素子以外、たとえばMIMダイオードなどの場
合でも特性の向上を図ることができる。
【0023】
【実施例】本発明の一実施例を図1を用いて説明する。
絶縁性の基板14上に下部電極13としてAlを15n
m形成する。Alの形成には、例えばRFマグネトロン
スパッタリングを用いる。これを前述の組成の化成液に
いれて、白金線を陰極として陽極酸化を行う。化成電流
密度J0は、0.05A/m2 に制限する。この陽極酸化
により絶縁層12が形成できる。次に、SiO2 やAl
2O3などの絶縁体を化学気相蒸着法(CVD法)などに
より50nm程度の膜厚で蒸着し、保護層15とする。
続いて、RFマグネトロンスパッタリングや蒸着法によ
りAuを5nm程度成膜し、上部電極11とする。さら
に、50nm程度のAu,Alなどを蒸着して電極端子
16とする。このようにして作製したMIM型電子放出
素子を、真空度1×(1/107)Torr程度の真空槽内に
いれて、下部電極13をアース電位として、電極端子1
6、すなわち、上部電極11に+5〜7V程度の電圧を
印加すると、下部電極13から上部電極11に向かって
トンネル電流が流れ、真空中に電子放出が起こる。な
お、本実施例において、下部電極13として高配向膜、
または単結晶膜を用いると、それを陽極酸化して形成し
た絶縁層12の特性は一層向上し、より高性能な電子放
出素子が得られる。
絶縁性の基板14上に下部電極13としてAlを15n
m形成する。Alの形成には、例えばRFマグネトロン
スパッタリングを用いる。これを前述の組成の化成液に
いれて、白金線を陰極として陽極酸化を行う。化成電流
密度J0は、0.05A/m2 に制限する。この陽極酸化
により絶縁層12が形成できる。次に、SiO2 やAl
2O3などの絶縁体を化学気相蒸着法(CVD法)などに
より50nm程度の膜厚で蒸着し、保護層15とする。
続いて、RFマグネトロンスパッタリングや蒸着法によ
りAuを5nm程度成膜し、上部電極11とする。さら
に、50nm程度のAu,Alなどを蒸着して電極端子
16とする。このようにして作製したMIM型電子放出
素子を、真空度1×(1/107)Torr程度の真空槽内に
いれて、下部電極13をアース電位として、電極端子1
6、すなわち、上部電極11に+5〜7V程度の電圧を
印加すると、下部電極13から上部電極11に向かって
トンネル電流が流れ、真空中に電子放出が起こる。な
お、本実施例において、下部電極13として高配向膜、
または単結晶膜を用いると、それを陽極酸化して形成し
た絶縁層12の特性は一層向上し、より高性能な電子放
出素子が得られる。
【0024】本発明の方法により作製した絶縁層は膜質
が優れているために、膜厚を薄くしても電子放出素子と
して動作させることができる。MIM電子放出素子にお
いては、絶縁層12内に印加される高電界によるトンネ
ル電流を利用しているので、絶縁層膜厚を薄くすると上
部電極11と下部電極13の間に印加する電圧(ダイオ
ード電圧Vd)を小さくしても絶縁層内に十分な電界が
印加されることになるので、十分な放出電流が得られ
る。
が優れているために、膜厚を薄くしても電子放出素子と
して動作させることができる。MIM電子放出素子にお
いては、絶縁層12内に印加される高電界によるトンネ
ル電流を利用しているので、絶縁層膜厚を薄くすると上
部電極11と下部電極13の間に印加する電圧(ダイオ
ード電圧Vd)を小さくしても絶縁層内に十分な電界が
印加されることになるので、十分な放出電流が得られ
る。
【0025】上記の実施例に述べた方法で、絶縁層12
の膜厚を5nmとすると、上部電極11−下部電極13
間に5Vの電圧を印加した時の絶縁層内電界が1MV/
cmとなり電子放出が起こる。このようにダイオード電圧
を低電圧化すると放出電子のエネルギー分散が小さくな
るという利点がある。
の膜厚を5nmとすると、上部電極11−下部電極13
間に5Vの電圧を印加した時の絶縁層内電界が1MV/
cmとなり電子放出が起こる。このようにダイオード電圧
を低電圧化すると放出電子のエネルギー分散が小さくな
るという利点がある。
【0026】上部電極11に例えばAuを用いると、上
部電極11と真空との界面の障壁(仕事関数)は4.7
V 程度なので、Vd=5Vで動作させた場合には、エネ
ルギー分散が0.3V 程度と小さくなる。このように、
絶縁層12の膜厚を6nm以下にすると大きなメリット
があるが、従来の絶縁層の形成方法では、絶縁耐圧が不
足しているために10nm〜20nm程度の膜厚を必要
としていた。
部電極11と真空との界面の障壁(仕事関数)は4.7
V 程度なので、Vd=5Vで動作させた場合には、エネ
ルギー分散が0.3V 程度と小さくなる。このように、
絶縁層12の膜厚を6nm以下にすると大きなメリット
があるが、従来の絶縁層の形成方法では、絶縁耐圧が不
足しているために10nm〜20nm程度の膜厚を必要
としていた。
【0027】ジャーナル・オブ・アプライド・フィジク
ス,第45巻,ナンバー1,119〜125頁,197
4年(Journal of Applied Physics, Vol. 45, No. 1,
pp.119〜125 (1974))では膜厚6.5nmのMIM電子
放出素子が報告されているが、これは絶対温度200K
以下の低温では動作するが、室温で動作させると直ちに
フォーミングしてしまい、放出電子の電流量にノイズが
含まれる不安定な動作モードになってしまう。
ス,第45巻,ナンバー1,119〜125頁,197
4年(Journal of Applied Physics, Vol. 45, No. 1,
pp.119〜125 (1974))では膜厚6.5nmのMIM電子
放出素子が報告されているが、これは絶対温度200K
以下の低温では動作するが、室温で動作させると直ちに
フォーミングしてしまい、放出電子の電流量にノイズが
含まれる不安定な動作モードになってしまう。
【0028】これに対し、上記の実施例で述べた方法
で、絶縁層12の膜厚を5.5nm としたMIM電子放
出素子を製作した場合は、Vd=5.5Vで動作させると
室温においても安定な電子放出が観測され、低エネルギ
ー分散の電子ビームを得ることができた。
で、絶縁層12の膜厚を5.5nm としたMIM電子放
出素子を製作した場合は、Vd=5.5Vで動作させると
室温においても安定な電子放出が観測され、低エネルギ
ー分散の電子ビームを得ることができた。
【0029】
【発明の効果】以上のように、陽極酸化法による絶縁膜
形成プロセスにおいては、化成電流密度を0.1A/m2
以下に制限して、酸化速度を遅くすることにより、絶縁
層膜質の向上を図り、MIM構造素子の高性能化が図れ
る。
形成プロセスにおいては、化成電流密度を0.1A/m2
以下に制限して、酸化速度を遅くすることにより、絶縁
層膜質の向上を図り、MIM構造素子の高性能化が図れ
る。
【図1】本発明により作製した電子放出素子の構造を示
す断面図。
す断面図。
【図2】MIM型電子放出素子の動作原理の説明図。
【図3】陽極酸化過程での化成電流と化成電圧の変化を
示す特性図。
示す特性図。
【図4】化成電流密度と放出比との相関を示す特性図。
【図5】化成電流密度と酸化速度との関係を示す説明
図。
図。
10…真空、11…上部電極、12…絶縁層、13…下
部電極、14…基板、15…保護層、16…電極端子、
20…電源。
部電極、14…基板、15…保護層、16…電極端子、
20…電源。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 佐々木 進
東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地
株式会社 日立製作所 中央研究所内
(72)発明者 矢口 富雄
東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地
株式会社 日立製作所 中央研究所内
(72)発明者 成清 正
東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地
株式会社 日立製作所 中央研究所内
(72)発明者 山田 絵実子
東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地
株式会社 日立製作所 中央研究所内
(56)参考文献 特開 平2−121227(JP,A)
特開 平5−289113(JP,A)
特開 平7−45950(JP,A)
特公 昭40−10338(JP,B1)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01J 9/02
H01J 1/30
Claims (4)
- 【請求項1】金属1の層,絶縁層,金属2の層をこの順
序で積層した構造を有し、前記金属1の層と前記金属2
の層との間に電圧を印加することにより、前記金属2の
層の表面から真空中へ電子を放出させるMIM構造素子
の製造方法において、0.0001A/m2以上で0.1
A/m2以下の化成電流密度で前記金属1の層を構成す
る前記金属1を陽極酸化することにより前記絶縁層を形
成することを特徴とするMIM構造素子の製造方法。 - 【請求項2】金属1の層,絶縁層,金属2の層をこの順
序で積層した構造を有し、前記金属1の層と前記金属2
の層との間に電圧を印加することにより、前記金属2の
層の表面から真空中へ電子を放出させるMIM構造素子
の製造方法において、毎分0.0002nm以上かつ毎
分0.2nm以下の速度で前記金属1の層を構成する前
記金属1を陽極酸化することにより前記絶縁層を形成す
ることを特徴とするMIM構造素子の製造方法。 - 【請求項3】請求項1又は2において、前記金属1とし
てアルミニウム(Al)を用いたことを特徴とするMI
M構造素子の製造方法。 - 【請求項4】請求項1又は2において、前記金属1とし
てタンタル(Ta)またはチタン(Ti)を用いたこと
を特徴とするMIM構造素子の製造方法。
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