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JP3454210B2 - 同期モータの位置センサレス制御方法 - Google Patents
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JP3454210B2 - 同期モータの位置センサレス制御方法 - Google Patents

同期モータの位置センサレス制御方法

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JP3454210B2
JP3454210B2 JP33928699A JP33928699A JP3454210B2 JP 3454210 B2 JP3454210 B2 JP 3454210B2 JP 33928699 A JP33928699 A JP 33928699A JP 33928699 A JP33928699 A JP 33928699A JP 3454210 B2 JP3454210 B2 JP 3454210B2
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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P6/00Arrangements for controlling synchronous motors or other dynamo-electric motors using electronic commutation dependent on the rotor position; Electronic commutators therefor
    • H02P6/14Electronic commutators
    • H02P6/16Circuit arrangements for detecting position
    • H02P6/18Circuit arrangements for detecting position without separate position detecting elements

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同期モータの制御
方法に関わり、特に同期モータの位置センサレス制御方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】同期モータの回転子構造には、回転位置
によって巻線インダクタンスが変化する突極型と、ほぼ
一定である非突極型があり、回転子を構成する永久磁石
の配置が、前者ではコア内部に埋め込まれ、後者は回転
子の表面に配置されている。
【0003】これら同期モータを駆動する方法として、 (1)回転位置を検出しないで、誘導モータのインバー
タ制御と同等にオープンループで駆動する、いわゆる同
期運転方法 (2)何らかの回転位置検出手段を用いて閉ループで運
転する、いわゆるブラシレスDCモータ運転方法 の2種類がある。
【0004】このうち、同期運転方法では、インバータ
周波数に見合って、負荷に応じた最適なモータ電圧を印
加することが求められる。このため、何らかの最適電圧
制御を行わないと、モータ電流の増加を招くだけでな
く、負荷の急変化,急加減速時にトルク不足を起こしモ
ータは停止する。
【0005】一方ブラシレスDCモータ運転の場合で
は、何らかの回転子位置センサを設ける場合、誘導モー
タのインバータ駆動と比較して、インバータとモータ間
の配線本数が増加し、その保守性,信頼性を損なうため
に、一般産業への普及及び圧縮機などの特殊雰囲気中で
の使用が妨げられる。この欠点をなくすために、回転子
位置センサを用いずに位置を検出する各種の位置センサ
レス技術が発表されている。
【0006】この位置センサレス技術をまとめると停止
・低速領域の位置センサレス技術と中・高速領域の位置
センサレス技術がある。停止・低速位置検出では、突極
型モータに適用され、巻線インダクタンスが回転位置に
より相違することを利用して、高周波信号の注入など何
らかの手法により位置を測定している。
【0007】また中・高速領域では、モータ巻線に誘起
される電圧を利用し、その利用方法に各種の方式が発表
されている。
【0008】たとえば、特開平8−308286 号公報に開示
された技術がある。この技術は、永久磁石回転子の磁束
方向の位置であるd軸と、それから回転方向に90度進
んだq軸からなるd−q実回転座標系に対して、制御上
の仮想回転位置dc軸と、それから回転方向に90度進
んだ仮想位置qc軸からなる制御上のdc−qc制御回
転座標系を定義付ける。d−q実回転座標上で、モータ
抵抗,モータインダンクタンス,モータ発電定数などの
モータパラメータを用いて、電流と電圧の関係式により
モータモデルを表現し、このモータモデルから予測され
るd軸電流と、制御軸上のdc軸電流の差が位置誤差Δ
θに比例するとしている。
【0009】d軸電流の予測計算においては、モータモ
デルと実モータとでモータパラメータが等しいこと、ま
たΔθが0に近いとしてsinΔθ=Δθ の近似を行い、
また計算に用いる電流値は制御上観測されるdc−qc
回転座標軸での電流を使用する。
【0010】他の方法として、特開平9−191698 号公報
の技術がある。この技術は、先ず、停止状態から見た時
にモータの回転と共に発生するモータ誘起電圧は外乱で
あるとして扱い、周知の外乱オブザーバ手法に則り、モ
ータ誘起電圧の大きさと極性を推定している。この外乱
オブザーバは、先の技術と同様dc−qc回転制御座標
系での状態方程式に基づいている。次に、推定したモー
タ誘起電圧とモータパラメータを用いて速度を演算し、
更にこの速度を積算演算によって位置情報とし、実際の
回転位置とのずれを、誘起電圧dc軸成分推定値と推定
速度から得られる位置誤差Δθを用いて補正を行ってい
る。
【0011】このΔθの算出にあたっては、先の例と同
様に、Δθが0に近いとしてsinΔθ=Δθ の近似を行
っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の誘
起電圧を利用した中・高速領域の位置センサレス技術
は、モータ位置を推定するのに、仮想の回転軸である制
御回転座標系の電流値を用いていること、また、sinΔ
θ=Δθ の近似を行っていることなどの理由により、
位置誤差が大きい場合には制御精度が低下する。このた
め、負荷の急変化,急な加減速運転の用途には適さな
い。また、モータパラメータが含まれる場合には推定位
置に誤差を有する。
【0013】本発明は、中・高速領域の位置センサレス
技術として、同期モータを位置センサレスで駆動するの
に好適な制御方法の提供を目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は次の点を検討した。
【0015】(1)制御軸に依存しない値で位相角を表
現して、軸誤差Δθを求めること。
【0016】(2)その軸誤差に基づいて周波数を決定
すること。
【0017】(3)制御軸に依存しない電流,電圧に基
づいて速度を推定すること。
【0018】(4)上記軸誤差に含まれるパラメータ誤
差の影響を解決すること。
【0019】(5)中高速領域の位置センサレス技術に
対して、停止,低速時での運転手法を組み合わせること
である。
【0020】上記検討に基づいてなされた本発明による
同期モータの位置センサレス制御方法においては、永久
磁石を界磁とする同期モータのモータ電流と実回転位置
との第1の位相差と、モータ電流と仮想回転位置との第
2の位相差を求める。そして、第1の位相差と前記第2
の位相差の差より、実回転位置と仮想回転位置の位相誤
差を推定する。第1及び第2の位相差を用いるので、位
相誤差が大きい場合でも、制御精度が高くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について、以下
図1から図16を参照して説明する。
【0022】図1は、本発明による同期モータの位置セ
ンサレス制御方法を適用した同期モータ駆動装置であ
る。この装置は、主回路2,検出部4,中間パワー部
5,制御部6に大きく分けられる。
【0023】主回路2は、交流電源1より整流回路2
1,直流リアクトル22,平滑コンデンサ23を用いて
直流電圧Ed を作成し、インバータ回路24によって可
変電圧,可変周波数の3相交流を同期モータ3に加え
る。
【0024】検出部4は、位置センサレス制御に必要な
モータ電流検出のためのモータ電流検出部42と、モー
タに加える電圧を制御するために必要な直流電圧Ed
検出する電圧検出部41からなる。
【0025】中間パワー部5は、インバータ回路24を
構成するスイッチング素子を駆動するドライブ回路5
3,ドライブ回路53のためのドライブ電源51、また
後述の制御部6のための制御電源52からなる。
【0026】制御部6においては、本発明による制御方
法が適用される。この実施例での位置センサレス制御
は、永久磁石回転子の磁束方向の位置をd軸、それから
回転方向に90度進んだq軸からなるd−q実回転座標
系に対して、制御上の仮想回転子位置dc軸と、それか
ら回転方向に90度進んだ制御上の位置qc軸からなる
制御上のdc−qc制御回転座標系での制御を基本とし
ている。なお、これ以降の説明においてdc−qc座標
軸を単に制御軸と呼ぶ。
【0027】座標変換部60では、モータ電流検出部4
2で検出されたモータ電流iu,iw、仮想回転子位置
dc軸の位相θdcを入力として、仮想dc−qc座標系
におけるdc軸電流Idcf ,qc軸電流Iqcf を出力す
る。
【0028】位相誤差演算部61では、dc軸電流I
dcf ,qc軸電流Iqcf 、後述のモータ電圧V1 *,qc
軸とモータ電圧V1 *との位相差δc を入力としてd−q
実座標系と制御軸系との位相誤差Δθを出力する。
【0029】周波数/位相作成・速度検出部62では、
位相誤差Δθを入力として検出速度ωr を演算する。
【0030】速度制御部63では、指令速度ωr*と検出
速度ωr よりqc軸電流指令Iq*を作成する。
【0031】電流制御部64では、qc軸電流指令
q *,検出速度ωr より、qc軸電圧指令Vq **,dc
軸電圧指令Vd **を作成する。
【0032】逆変換部65では、qc軸電圧指令
q **,dc軸電圧指令Vd **より3相電圧指令Vu*
Vv*,Vw* を作成し、PWM信号発生部より周知の
PWMドライブ信号が作られドライブ回路53に伝えら
れる。
【0033】起動・運転管理部66は、停止時,低速時
の運転方法を実現するためのもので、起動時qc軸電流
指令Iqs *,起動時dc軸電流指令Ids *,起動時速度指
令ωlsを電流制御部64や周波数/位相作成・速度検出
部62に伝える。また、選択信号sel は、起動時の運転
法と、位置センサレス制御による運転法を切り替えるた
めの信号データであり、電流制御部64と周波数/位相
作成・速度検出部62に伝える。
【0034】オペレータ7は運転停止指令や速度指令を
マニュアル操作で行ったり、速度の表示や、各種運転パ
ラメータを設定するためのものである。インターフェー
ス部67は、オペレータ7で設定された各種データを起
動・運転管理部66に伝えるもので、これらデータとし
て速度指令ωr ** や加速時間Tacの他に、起動を各種負
荷条件で最適とするための位置決め時間Tp ,初期回転
時間Ts ,位置決め時目標電流指令Im0,初期回転最終
目標周波数ωls0 などがある。
【0035】制御部6中に破線で示したパラメータ推定
部68V,パラメータ推定部68L,位相調整部69
I、及び位相調整部69Sは、いずれも位相誤差演算部
61にて求める位相誤差Δθに含まれるモータ定数の影
響をなくすためのものである。パラメータ推定部68V
は、電圧指令Vu*,Vv*,Vw*と実電圧の誤差が位
相誤差Δθに与える影響を軽減し、パラメータ推定部6
8Lは、モータの実インダクタンスが位相誤差演算で使
用するモータインダクタンス設定値Lとの相違で与える
位相誤差Δθへの影響を軽減する。また、位相調整部6
9Iと位相調整部69Sはいずれも、位相誤差に与える
複数のモータ定数やモータ電圧誤差の影響を軽減するた
めのもので、モータ電流が最小になるように位相調整部
69Iではdc軸電流指令Id*を、位相調整部69S
では位相誤差指令Δθ*を作成する。
【0036】次に本実施例における同期モータの回転子
位置を推定する方法について説明する。
【0037】図2に、同期モータの回転子,固定子、前
述のd−q軸回転座標、及びdc−qc制御回転座標の
関係を示す。なお、図2は同期モータの解析モデル図で
あり、回転角度はモータを駆動する交流電圧の電気角で
表す。前述のように、d軸を永久磁石回転子の磁束方向
の位置にとる。また、制御上の仮想回転子位置としてd
c軸をとる。固定子のU相巻線軸を基準とし、回転して
いるd軸の位相をθdとする。dc軸の位相も同様に固
定子のU相巻線軸を基準として表示し、θdcで表す。な
お、位相の極性は、図2の回転座標軸の回転方向が反時
計回りの場合を正と定める。また、d軸からみたdc軸
の位相を位相誤差Δθとする。本実施例では回転子位置
を推定するため、位相誤差Δθを演算により求める。
【0038】図3に、同期モータが交流電圧により駆動
され、回転子が正方向に回転している場合のベクトル図
を示す。ここでV1 はモータ電圧、Im はモータ電流、
0は誘起電圧を表す。誘起電圧E0 の位相は回転子磁
束軸に対して90度進み位相となるから、誘起電圧E0
とq軸は同じ位相になる。また、モータ電流Im からモ
ータ電圧V1 までの位相をφv、qc軸からみたモータ
電圧V1 の位相をδc、qc軸からみた電流Im の位相
をφc (第2の位相差)、及びq軸からみた電流Im
位相をφm (第1の位相差)と定める。
【0039】モータ電圧V1 をd−q座標系でd軸成分
d ,q軸成分vq に分離して、モータ電流Im のd軸
成分Id ,同q軸成分Iq ,誘起電圧E0 ,モータ定数
であるモータ巻線抵抗r及びモータ巻線インダクタンス
L、並びにd−q座標の回転速度ωr を用いて、式
(1)の電圧方程式が表わされる。但し、pは微分演算
を表わす演算子である。
【0040】
【数1】
【0041】式(1)左辺のvd ,vq のそれぞれの2
乗の和の平方根がモータ電圧V1 の大きさ|V1 |であ
り、制御軸でのdc軸成分vdc,qc軸成分vqc、とす
ると、次式の関係があり、制御軸の位置に依存しない値
である。
【0042】
【数2】
【0043】式(1)右辺の第1項は、モータ電流Im
と同方向の電圧降下分ベクトル、第2項は電流Im を9
0度回転させた方向の電圧降下分ベクトルである。これ
ら電圧降下分ベクトルの大きさは、モータ電流Im の制
御軸成分Iqc,Idc、大きさ|Im |とすると、次式で
表わされる。
【0044】
【数3】
【0045】すなわち、それぞれの電圧降下分ベクトル
の大きさは、制御軸と実軸の位置関係に無関係に、モー
タ電流Im の大きさによって表現される。
【0046】尚、以下の説明にあたり、モータ電圧
1 、及びモータ電流の大きさは単に、それぞれV1
m と表わす。
【0047】本実施例では、位相誤差Δθを求めるに当
たり、前述の位相φc 及び位相φmを選び、式(4)に
より位相誤差Δθを表す。
【0048】
【数4】 Δθ=φm −φc …式(4) ここで、位相φc は、観測可能な、モータ電流Im のd
c−qc軸の値Idc,Iqcから式(5)に従って求めら
れる。
【0049】
【数5】
【0050】次に位相φm を求める式の導出について述
べる。図3に示すベクトル図において、直角三角形(A
−B1 −C1 )に着目する。ここで、直角三角形の底辺
(A−C1 )の長さは、辺(A−C2 )から辺(C1
2 )を差し引いたものであり、式(6)により求めら
れる。なお、式(6)では辺の長さについて符号情報を
持たせている。
【0051】
【数6】 辺(A−C1)=V1 cosφv −(r+pL)・Im …式(6) また、直角三角形の高さは辺(B2 −C2 )からモータ
巻線インダクタンスでの電圧降下分を差し引いたもので
あり、式(7)により求められる。なお、式(7)につ
いても辺の長さについて符号情報を持たせている。
【0052】
【数7】 辺(B1−C1)=V1 sinφv −ωrL・Im …式(7) さらに、直角三角形の斜辺(A−B1 )は誘起電圧ベク
トルE0 の長さであり、式(8)により求められる。た
だし、kE は発電定数である。
【0053】
【数8】 辺(A−B1)=kE ・ωr …式(8) また、式(6),式(7)における、φv は次式で求め
られる。
【0054】
【数9】
【0055】すなわち、直角三角形(A−B1 −C1
の3辺の長さは、すべて制御部6が観測可能で、かつ制
御軸の位置に影響されない量によって求められる。
【0056】以上より直角三角形の角度φm は式(1
0)〜(12)に示す3通りの式により求められる。
【0057】
【数10】
【0058】
【数11】
【0059】
【数12】
【0060】なお、式(5),式(9),式(10)に
示す三角関数の逆関数は、関数の出力範囲を−π〜π
[rad] にひろげた拡張関数を用いる。特に断りのない
かぎり、本実施例において用いる三角関数の逆関数は上
述のように拡張された関数とする。
【0061】以上示したように、本実施例では位相φm
が制御軸に依存しない量より求めることができる。さら
に、本実施例では位相誤差Δθの大きさに基づいて、Δ
θが零になるようにモータに加える交流電圧の周波数を
修正する。このように周波数を制御することによって、
仮想回転軸である制御軸はモータの回転子位相に合わせ
て回転する。
【0062】なお、これまではモータ回転子の回転方向
が正の場合について説明したが、回転方向が逆の場合で
は、φm 算出時、関数の出力範囲を−π〜π[rad] に
広げるにあたり、分母,分子の符号を考慮することによ
り、同様に位相φm を求めることができる。
【0063】ところで、先の直角三角形(A−B1 −C
1 )の3辺の長さの関係より、
【0064】
【数13】 (kEωr)2=(V1sinφv−ωrLIm)2+{V1cosφv−(r+pL)Im)2 …式(13) を得て、これよりモータ速度は、次式で表現できる。
【0065】
【数14】
【0066】以上、式(10)ないし式(11)による
φm の演算、及び式(14)によるモータ速度の演算に
おいて、電流の変化成分pL・Im の項は、制御系の応
答が速ければ無視してよく、また、抵抗rなり、ωLが
それぞれ他の値に比して十分小さければ、これらを無視
してもよい。
【0067】次に座標変換部60について、図4を用い
て演算内容を説明する。
【0068】モータ電流検出部42より出力された観測
電流iu,iw、及び周波数/位相作成・速度検出部6
2より出力された位相θdcは演算部601に入力され
る。演算部601ではiu,iwから固定座標軸上の2
相電流iα,iβが演算され、さらに位相θdcを用いて
dc−qc座標軸上の電流Idc,Iqcが演算される。電
流Idcはフィルター602に入力される。フィルター6
02では、観測電流Idcから高周波成分を取り除いた電
流Idcf が演算される。電流Iqcはフィルター603に
入力される。フィルター603では、観測電流Iqcから
高周波成分を取り除いた電流Igcf が演算される。な
お、フィルター602及び603は、モータ電流に含ま
れるスイッチングリプル及びノイズを除去する。また、
フィルターの時定数TIDは、インバータのスイッチング
周波数やモータ電流検出部42の回路仕様にあわせて所
定の値に設定される。
【0069】次に位相誤差演算部61について、図5を
用いて演算内容を説明する。
【0070】位相誤差演算部61においては、位相φm
を、式(10)に基づいて算出する。また、先に示した
軸誤差Δθ算出の説明と相違する点は、位相φm 算出に
必要なモータ電圧V1 、及びモータ定数であるモータ巻
線抵抗rとモータ巻線インダクタンスLとして、それぞ
れモータ電圧に対する指令値V1 *,モータ巻線抵抗設定
値rc ,モータ巻線インダクタンス設定値Lc を用いて
いる点、及び回転速度ωr に対してモータ速度指令ωr *
を用いる点である。更に、制御系の応答が十分速いとし
て、電流変化の成分である(pL・Im )の項は無視し
ている。
【0071】座標変換部60より出力された観測電流I
dcf 及びIqcf は演算部611及び612に入力され
る。演算部611では式(15)により位相φc が演算
される。
【0072】
【数15】
【0073】上記の位相φc は演算部612及び613
に入力される。演算部612では式(16)によりモー
タ電流の大きさIm が演算される。
【0074】
【数16】 Im=−Idcf・sinφc+Iqcf・cosφc …(式16)
逆変換部65より出力されたモータ電圧指令V 及び
位相δc は演算部613に入力される。起動・運転管理
部66から出力されたモータ速度指令ωr *は演算部61
3に入力される。演算部613では入力されたV1 *,I
m ,ωr *,δc 及びφc と、モータ巻線抵抗設定値
c ,モータ巻線インダクタンス設定値Lc から式(1
7)により位相誤差Δθが演算される。本実施例によれ
ば、sinΔθ =Δθなどの近似を用いることとなく、直
接的に位相誤差を推定することができる。従って、位相
誤差が大きい場合でも、制御精度が高くなる。
【0075】
【数17】
【0076】次に周波数/位相作成・速度検出部62に
ついて、図6を用いて演算内容を説明する。
【0077】位相誤差演算部61により出力された位相
誤差Δθ,位相調整部69sにより出力された位相誤差
指令Δθ*は加算器621に入力され、差分(Δθ*)−Δ
θが演算される。なお、位相誤差指令Δθ* としては、
後述の位相調整部69Sを用いた場合に有効な値が入力
され、位相調整部69Sを用いない場合はΔθ* =0に
設定される。差分(Δθ*)−ΔθはPI補償器622に
入力される。
【0078】PI補償器622では、リミッタ623と
組み合わされて、インバータ出力周波数ω1 が演算され
る。このインバータ出力周波数ω1 はフィルター624
に入力され、周波数ω1 から高周波変動成分を取り除い
たモータ速度ωr が演算される。
【0079】インバータ出力周波数ω1 ,起動・運転管
理部66が出力した選択信号sel 及び起動時速度信号ω
lsはセレクタ625に入力される。セレクタ625で
は、選択信号sel が後述の位置決め初期回転モードを表
す「起動時」の場合はωlsが選択され出力され、選択信
号sel が後述の位置センサレス運転モードを表す「通常
運転時」の場合はω1 が選択され出力される。
【0080】セレクタ625により選択出力された周波
数ω1selは、演算部626に入力される。演算部626
では周波数ω1selの値に基づいて位相θdcが演算され
る。
【0081】PI補償器622はΔθをΔθ* に追従さ
せるようにインバータ出力周波数ω1 を演算する。同じ
機能を有するPI補償以外の手段を用いてもよい。ま
た、リミッタ623の上限値及び下限値の設定は、上限
値として定格周波数以上の所定の固定値を設定する。な
お、下限値には、上限値の極性を負にした値を設定し、
モータ回転方向が逆の場合の制限値とする。
【0082】PI補償器622の出力は、位相誤差Δθ
を調整するために常に変動しており、高い周波数成分を
含んでいる。このため、PI補償器622の出力をモー
タの検出速度としてモータの速度制御を行うと、速度制
御特性が悪化する。そこで本実施例では低域通過フィル
ター624を設け、高周波成分を取り除いたものをモー
タの検出速度とする。
【0083】演算部626では入力された周波数により
位相θdcが求められる。なお、図6の演算部626にお
いては、周波数/位相作成・速度検出部62がソフトウ
ェア演算処理により実行され、制御周期Δtの時間間隔
で演算が実行される。位相演算は、前回位相θdc(i−
1)にω1sel×Δtを加算することで今回位相θdc(i)
を求めている。
【0084】前述のように、図6では、PI補償器62
2の出力にモータの検出速度分と位相誤差Δθを調整す
る高周波成分が含まれる。このため検出速度を求めるに
あたり、PI補償器622の出力をそのまま速度制御で
用いることはできず、高周波成分が低域通過フィルタに
よって除去される。ここでは、別の実施例として、モー
タ回転速度を推定演算することで、低域通過フィルタを
用いない方式を示す。図7に周波数/位相作成・速度検
出部62の他の構成を示す。インバータ出力周波数ω1
を第1の周波数と第2の周波数の2つの和として求め、
第1の周波数は式(14)に基づいて、モータ電流の大
きさと、モータ電圧の大きさと、これらモータ電流とモ
ータ電圧の位相差と、モータ誘起電圧定数、及びモータ
巻線抵抗とモータ巻線インダクタンスを用いて求めたモ
ータ速度として、第2の周波数はΔθがΔθ* に等しく
するための周波数とする。モータ電流の大きさIm ,モ
ータ電圧指令値V1 *、及びモータ電流とモータ電圧の位
相差φv が演算部627に入力され、第1の周波数であ
るモータ速度ωr が演算される。ただし、この演算にあ
たっては、式(14)と相違して、モータ電圧V1 →V
1 *,モータ巻線抵抗r→rc 、及びモータ巻線インダク
タンスL→Lc ,モータ発電定数kE →同設定値kEc
電流変化の成分である(pL,Im )の項を無視して、
次式による。
【0085】
【数18】
【0086】Δθ* とΔθの差を入力としたPI補償器
622とリミッタ623と組み合わされて第2の周波数
ωpll が演算される。
【0087】モータの検出速度ωr と第2の周波数ω
pll とが加算器628に入力され、両者の和が演算され
インバータ出力周波数ω1 として出力される。ここで、
PI補償器622の出力は位相誤差Δθを調整する高周
波成分である。従って、リミッタ623の上限値及び下
限値は、先の図6に示したリミッタの上限値,下限値よ
り小さくてよい。
【0088】図6及び図7に示す実施例では、位相誤差
Δθを位相誤差指令Δθ* に合わせるため、PI補償器
622によりインバータ出力周波数が修正される。ここ
では別の方法として、演算した位相θdcを直接修正する
ことにより、位相誤差Δθを位相誤差指令Δθ* に合わ
せる方法を示す。
【0089】図8に周波数/位相作成・速度検出部62
の更に他の構成を示す。ここでは、図7と異なる部分に
ついて信号の接続と流れを説明する。検出速度ωr ,選
択信号sel 及び起動時速度信号ωlsはセレクタ625に
入力される。セレクタ625では、選択信号sel の値に
応じてωr またはωlsが選択され、選択速度ω1selが出
力される。演算部626では周波数ω1selの値に基づい
て位相が演算される。加算器628では、演算部626
の出力位相及び加算器621の出力(Δθ*)−Δθが入
力され、位相θdcが出力される。加算器621が出力し
た位相ずれ(Δθ*)−Δθの分だけ、演算部626が出
力した位相が直接修正される。このため、図7において
必要だったPI補償器およびリミッタが不要になり、制
御部の演算量を減らすことができる。
【0090】次に速度制御部63について、図9を用い
て説明する。起動・運転管理部66から出力された速度
指令値ωr *、及び周波数/位相作成・速度検出部62か
ら出力された検出速度ωr は、加算器631に入力され
る。加算器631では(ωr *)−ωr が演算され、その差
はPI補償器632に入力される。PI補償器632で
はωr がωr *に追従するように、電流指令値が演算され
る。PI補償器632の出力はリミッター633に入力
される。リミッター633では、あらかじめ設定された
上限値及び下限値を超えないように入力された値のリミ
ット演算が行われ、q軸電流指令Iq *が出力される。
【0091】次に電流制御部64について、図10を用
いて内容を説明する。
【0092】周波数/位相作成・速度検出部62から出
力された検出速度ωr と起動・運転管理部66から出力
された速度指令ωls,速度制御部63から出力された電
流指令Iq *と起動・運転管理部66から出力された電流
指令Iqs *,位相調整部69Iから出力された電流指令I
d *と起動・運転管理部66から出力されたIds * は、そ
れぞれ組として、セレクタ640に入力される。同じ
く、セレクタ640に入力される選択信号sel に従っ
て、選択信号sel が「起動時」を表す場合は、起動時d
軸電流指令Ids * ,起動時q軸電流指令Iqs * 、及び起
動時速度指令ωlsがそれぞれ選択され、選択信号sel が
「通常運転時」を表す場合はd軸電流指令Id *,q軸電
流指令Iq *、及び検出速度ωr が選択され出力される。
【0093】セレクタ640により選択されたd軸電流
指令Ids * もしくはId *、及び座標変換部60から出力
されたd軸電流Idcf は加算器641に入力され、両者
の差が演算される。PI補償器643では加算器641
の出力を零にするような補償電圧が演算される。補償電
圧はリミッター645に入力され、あらかじめ設定され
た上限値及び下限値を値が超えないように処理が行わ
れ、d軸補償電圧VIdが出力される。
【0094】一方、セレクタ640により選択されたq
軸電流指令Iqs * もしくはIq *、及び座標変換部60か
ら出力されたq軸電流Iqcf は加算器642に入力さ
れ、両者の差が演算される。PI補償器644では加算
器642の出力を零にするような補償電圧が演算され
る。補償電圧はリミッター646に入力され、あらかじ
め設定された上限値及び下限値を値が超えないように処
理が行われ、q軸補償電圧VIq が出力される。
【0095】更に、d軸電流指令Ids * もしくはId *
q軸電流指令Iqs * もしくはIq *、及び起動時速度指令
ωlsもしくは検出速度ωr は、モータ電圧モデル647
に入力され、d軸モデル電圧Vd *、及びq軸モデル電圧
q *が出力される。このモータ電圧モデルには、Id *
q *,ωr を用いる場合には、次式にて表現される。
【0096】
【数19】 Vd *=rcd *−ωrcq * q *=ωrcd *+rcq *+KEcωr …式(19) 上式のように、このモータ電圧モデルは、式(1)より
導出されるもので、式(1)に対して、電流変化項を省
略し、電圧,電流をすべて指令値に、また、モータ定数
をすべて設定値に置き換えたものである。
【0097】d軸補償電圧VId 及びd軸モデル電圧V
d *は加算器648に入力され、両者の和がdc軸電圧指
令Vd ** として出力される。同様にq軸補償電圧VIq
及びq軸モデル電圧Vq * は加算器649に入力され、
両者の和がqc軸電圧指令Vq ** として出力される。
【0098】ここで、d軸補償電圧VId とq軸補償電
圧VIq は、加速時,減速時、または定常時であって
も、モータ電圧モデルに用いる抵抗設定値rc ,巻線イ
ンダクタンス設定値Lc ,発電定数kEcのいずれかが実
際の値と相違する場合に、何らかの値を発生するもの
で、それ以外は0の値となる。
【0099】次に逆変換部65について、図11を用い
て内容を説明する。
【0100】図11に示す逆変換部65は、制御軸電圧
指令Vd ** ,Vq ** を受けて3相電圧指令を生成する。
電流制御部64より出力されたdc軸電圧指令Vd **
びqc軸電圧指令Vq ** は演算部651に入力される。
演算部651ではqc軸からみたモータ電圧V1 の位相
δc が式(9)に従い演算される。位相δc ,dc軸電
圧指令Vd **、及びqc軸電圧指令Vq **は演算部652
に入力される。演算部652では電圧指令の大きさV1 *
が演算される。位相δc 及び位相θdcは演算部653に
入力され、位相θv が演算される。位相θv 及び電圧指
令の大きさV1 *は演算部654に入力され、3相電圧指
令Vu*,Vv*,Vw* が演算される。なお、位相θdc
は固定子U相巻線軸からみた仮想回転子磁束軸(dc
軸)の位相を表しており、演算部653で演算された位
相θv は出力電圧ベクトルの位相を表している。
【0101】次に起動・運転管理部66について、図1
2を用いて内容を説明する。
【0102】インタフェース部67より出力された位置
決め時間Tp ,電流目標値Im0,初期回転時間Ts ,初
期周波数ωls0 ,加速時間Tac、及び設定周波数ωr **
はシーケンス演算部661に入力される。シーケンス演
算部661では、設定値の入力と、経過時間に応じた指
令値が演算される。ここで、時間tに対してシーケンス
演算部661の出力値は式(20)により演算される。
【0103】
【数20】
【0104】シーケンス演算部より出力された位相指令
φc *及び電流指令Im *は、演算部662に入力され、位
置決めと初期回転時のdq軸電流指令Ids * ,Iqs *
式(21)により演算される。
【0105】
【数21】
【0106】以上の構成により運転を行えば、モータ運
転開始から時間がTp 経過するまでは位置決めモード,
位置決めモード終了から時間がTs 経過するまでは初期
回転モード、及び初期回転モード終了後は位置センサレ
ス運転モードの合計3つの制御モードを連続的に変化さ
せることにより、永久磁石モータの起動を行うことがで
きる。なお、周波数/位相作成・速度検出部62及び電
流制御部64では各制御モードに応じた制御を行う。こ
のため、制御モードに応じた選択信号sel が出力され
る。
【0107】次に各制御モードでの電圧位相、及び電流
指令の変化について説明する。まず、位置決めモードで
は、周波数ωlsが零に固定されるため、電圧位相はあら
かじめ設定された所定の値に固定されて変化しない。ま
た、電流指令Im *は所定値Im0まで徐々に増加するが、
位相φc *は−π/2に固定されるため、dq軸電流指令
にはIds * =Im *,Iqs * =0がそれぞれ出力される。
次に、初期回転モードでは周波数ωlsが徐々に増加する
ため、電圧位相が回転方向に変化する。また、電流指令
m *はIm0に固定されるが、位相φc *は位相が−π/2
から0まで変化する。従ってdq軸電流指令は、最初に
ds * =Im0,Iqs * =0の状態から、Ids * が徐々に
減少かつIqs * が徐々に増加していき、最終的にはIds
* =0,Iqs * =Im0に変化する。
【0108】なお、位置決めモード、及び初期回転モー
ドでは図9に示した速度制御を行わない。従って、制御
モードが位置センサレス運転モードに返り替わった以降
に、モータ速度指令ωr *の値が速度制御部63に出力さ
れる。
【0109】なお、インタフェース部67より出力され
る位置決め時間Tp ,電流目標値Im0,初期回転時間T
s ,初期周波数ωls0 、及び設定周波数ωr ** の値のう
ち少なくとも一つは、設定値の変更が可能である。これ
により、モータ定数の変動や負荷条件が変動しても、モ
ータを確実に起動させることができる。なお、図1に示
す実施例では、オペレータ7による操作により、設定値
を変更できる。
【0110】図13に、本実施例の制御方法を用いて同
期モータを運転した場合の、モータ回転周波数とインバ
ータ出力周波数の関係を示す。図13では、モータ運転
開始から、3つの制御モード(位置決めモード,初期回
転モード、及び位置センサレス制御モード(通常運転モ
ード))を経てモータが駆動される様子を表している。
また、位置センサレス制御モードでは加速,減速,負荷
増加,負荷減少の4つの要因による周波数変化を示す。
なお、モータ回転周波数はモータ電気角周波数を表すも
のとする。以下、各モードにおけるモータ回転周波数と
インバータ出力周波数の関係を述べる。
【0111】(1)位置決めモードではインバータ出力
周波数は零に固定される。一方、位置決め制御によって
回転子が所定の位置へ方向を変えるため、モータ回転周
波数は正負の間で振動する。速度の振動は次第に減衰し
ていく。
【0112】(2)初期回転モードでは、モータ回転周
波数及びインバータ周波数が上昇する。
【0113】(3)位置センサレス制御モードにおいて
加速運転を行うと、インバータ周波数はモータ回転周波
数に対して低くなるように制御される。
【0114】(4)位置センサレス制御モードにおいて
減速運転を行うと、インバータ周波数はモータ回転周波
数に対して高くなるように制御される。
【0115】(5)位置センサレス制御モードにおいて
モータの負荷を増やすと、負荷変化の直後にはインバー
タ周波数はモータ回転周波数に対して高くなるように制
御される。
【0116】(6)位置センサレス制御モードにおいて
モータの負荷を減らすと、負荷変化の直後にはインバー
タ周波数はモータ回転周波数に対して低くなるように制
御される。
【0117】なお、上述(3)〜(6)において、イン
バータ出力周波数とモータ回転周波数の高低が決まるの
は、周波数/位相作成・速度検出部62において、位相
誤差Δθが位相誤差指令Δθ* に一致するようにインバ
ータ出力周波数をモータ回転周波数に追従させるためで
ある。
【0118】図5に示した位相誤差演算部61では、位
相φm を、モータ電圧に対する指令値V1 *,モータ巻線
抵抗設定値rc ,モータ巻線インダクタンス設定値
c 、及びモータ速度指令ωr *が用いて求める。このう
ちモータ定数であるモータ巻線抵抗設定値rc ,モータ
巻線インダクタンス設定値Lc 、また電圧指令値V1 *
実際の値とずれると、演算で求めた位相φm は実際の値
と異なり、位相誤差Δθに定常誤差が発生する。ここで
は、その誤差を低減する方法としてd軸補償電圧VId
及びq軸補償電圧VIq を用いた方法及びモータ電流が
最小になるように位相調整をする方法について、それぞ
れ2つの例を示す。
【0119】補償電圧VId 及びVIq を用いた方法を
説明するにあたり、簡単のため、電圧とインダクタンス
が実際値と相違する場合を示す。
【0120】式(1)の電圧方程式は、位相誤差Δθ=
0の場合であり、位相誤差が発生すると、電圧方程式は
式(22)となる。ただし、電流変化項は無視してい
る。
【0121】
【数22】 vdc=r・idc−ωr・L・iqc+kE・ωr・sinΔθ vqc=ωr・L・idc+r・iqc+kE・ωr・cosΔθ …式(22) ここで、
【0122】
【数23】 vd ** =vdc+dvd ,vq ** =vqc+dvq ,v1 * =v1+dv Id * =idc ,Id * =iqc …式(23) Lc=L+dL,rc=r,kEC=kE とおいて、まとめると式(24)となる。
【0123】
【数24】 vdc ** =(rcd *−ωrcq *)−dredc *+ωrdLIq * +kEcωrsinΔθ+dvd qc ** =(ωrcq *+rcd *+kEωr)−ωrdLIdc *−kEωr +kEcωrcosΔθ+dvq …式(24) 式(24)のそれぞれの第1項は、モータ電圧モデル6
47に相当するから、他の項はそれぞれd軸補償電圧V
d 及びq軸補償電圧VIq に対応する。これより次式
が得られる。
【0124】
【数25】 VId =ωrdLIq *+kEcωrsinΔθ+dvd VIq =−ωrdLId *−kE *ωr+kECωrcosΔθ+dvq …式(25) ここで、1次電圧指令その誤差,d軸指令その誤差,q
軸指令その誤差の比率は同じとすると式(26)の関係
が得られ、更に式(27)の関係式を用いて式(25)
からΔθを消去すると式(28)が得られる。
【0125】
【数26】
【0126】
【数27】 sin2θ+cos2θ=1 …式(27)
【0127】
【数28】
【0128】式(28)は、インダクタンス誤差と電圧
誤差を含んでいる。もし、どちらか一方のみの誤差があ
る場合には、式(28)を用いて、その誤差を推定する
ことができる。
【0129】パラメータ推定部68Lについて、図14
を用いて説明する。電流制御部64内の演算で出力され
るd軸電流制御の補償電圧VId 、及びq軸電流制御の
補償電圧VIq 、dq軸電流指令Id *及びIq *、及び速
度指令ωr *はパラメータ推定部68Lに入力される。パ
ラメータ推定部68Lでは、図5における演算部613に
おいて用いる周波数指令・インダクタンス積(ωr *)×
c と実際値のずれ量としてωr *×dLが演算される。
【0130】ここに、ωr *×dLは、式(28)におい
てdv=0とおいて求めたもので、式(29)で得られ
る。この値を図5で示した位相誤差演算部の式(17)
での(ωr *)×Lc から引くことによって正しいインダ
クタンスが式に反映される。ただし式(29)では、平
方根の演算結果を加算するか、減算するかによって2通
りの値が求められるが、これは、誤差の大きさによりい
ずれか一方を選ぶことになる。
【0131】
【数29】
【0132】次にパラメータ推定部68Vについて、図
15を用いて説明する。電流制御部64内の演算で出力
されるd軸電流制御の補償電圧VId 、及びq軸電流制
御の補償電圧VIq ,dq軸電圧指令Vd ** 及び
q ** 、モータ電圧の大きさV1 *、及び指令速度ωr *
パラメータ推定部68Vに入力される。パラメータ推定
部68Vでは、図5中の演算部613において用いるモ
ータ電圧の大きさV1 *と実際値のずれ量としてdVが演
算される。
【0133】
【数30】
【0134】ここにdVは、式(28)においてdL=
0とおいて求めたもので、式(30)で得られる。この値
を図5で示した位相誤差演算部の式(17)でのV1 *
ら引くことによって正しい電圧が式に反映される。ただ
し式(30)では、平方根の演算結果を加算するか、減
算するかによって2通りの値が求められるが、これは、
誤差の大きさによりいずれか一方を選ぶことになる。
【0135】図14及び図15で示したパラメータ誤差
のためのd軸補償電圧VId 及びq軸補償電圧VIq
用いた方法は、複数のパラメータの中でひとつのパラメ
ータのみに誤差が生じた場合に有効な方法である。これ
に対し、複数パラメータ誤差に対して有効な方法とし
て、図1の全体構成の図では位相調整部69I及び69S
の2つの例を示した。以下、位相調整部69I及び69
Sについて、図16を用いて説明する。
【0136】前述のように、位相誤差Δθの演算結果に
は、パラメータ誤差に起因する誤差分が含まれる。この
誤差のためdc−qc軸回転座標の位相はd−q軸回転
座標に一致させることはできず、定常軸ずれΔθe が残
る。電流制御部64においてq軸方向成分にのみ電流を
流すようにdc軸電流指令Id *を零として制御するが、
実軸と制御軸が軸ずれしている場合には、実線のd軸方
向にも電流が流れてしまい、その分q軸方向のトルク電
流成分は減少する。トルク電流成分は軸ずれΔθe が大
きいほど減少する。
【0137】この結果速度の低下を招くため、速度制御
部63がトルク電流指令Iq *を増加させることになり、
結局、モータ電流の大きさIm が軸ずれのため増加す
る。逆に言えば、実軸と制御軸の位相が一致し、最もト
ルクが発生する位相で電流が流れると、モータ電流の大
きさIm は最小値をとる。そこで、モータ電流位相を調
整して、電流の大きさIm が最小になる位相にて電流を
流す。
【0138】電流位相の変える2つの方法を示す。
【0139】第1の方法は、励磁電流指令値Id *に所定
の値を設定する方法である。通常は零が設定されるId *
に値を代入してやることにより、モータ電流の位相を任
意に変化させることができる。第2の方法は、位相誤差
指令Δθ* に所定の値を設定する方法である。通常は零
が設定されるΔθ* に値を代入してやることにより、実
軸と制御軸の軸ずれは、前述のパラメータ誤差に起因す
る軸ずれΔθe と位相誤差指令Δθ*の和となる。そこ
で、位相誤差指令Δθ*を調整し(Δθ*)+Δθeを零に
することにより、実軸と制御軸を一致させることができ
る。第1の方法は位相調整部69Iにより実現される。
また、第2の方法は位相制御部69Sにより実現され
る。
【0140】図16に、励磁電流指令値Id *或いは位相
誤差指令Δθ* を調整し、モータ電流Im を最小にする
方法の一例を示す。制御周期i番目において、励磁電流
指令値Id *或いは位相誤差指令Δθ* に値が設定され、
モータ電流の大きさがIm (i)であるとする。次に、制
御周期i+1番目において、Id *或いはΔθ*にランダ
ムに選んだ値を代入し、モータ電流の大きさがIm(i+
1)に変化したとする。Im(i+1)がIm(i)よりも
小さければ、Id *或いはΔθ* の値として制御周期i+
1番目で用いた設定値を選ぶ。以上を繰り返すことによ
り、モータ電流Im を最小にする設定値を探すことがで
きる。また、上記方法以外では、既知のニュートン・ラ
プソン法などの最適解探索アルゴリズムを用いれば、設
定値を求めることができる。
【0141】
【発明の効果】本発明によれば、制御軸の位置に依存し
ない値で位相角を表現して位相誤差を求めており、負荷
の急変化や急加減速運転など、大きな位相誤差が発生す
る場合でも安定な同期モータの位置センサレス制御系を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる同期モータの位置センサレス制
御方法を実現するための全体構成図である。
【図2】同期モータの回転子,固定子、前述のd−q軸
回転座標、及びdc−qc制御回転座標の関係を示した
解析モデル図である。
【図3】同期モータが交流電圧により駆動され、回転子
が正方向に回転している場合のベクトル図を示す。
【図4】座標変換部の演算内容をブロックで示した図で
ある。
【図5】位相誤差演算部の演算内容をブロックで示した
図である。
【図6】周波数/位相作成・速度検出部の演算内容をブ
ロックで示した図である。
【図7】周波数/位相作成・速度検出部の他の演算内容
をブロックで示した図である。
【図8】周波数/位相作成・速度検出部のさらに他の演
算内容をブロックで示した図である。
【図9】速度制御部の演算内容をブロックで示した図で
ある。
【図10】電流制御部の演算内容をブロックで示した図
である。
【図11】逆変換部の演算内容をブロックで示した図で
ある。
【図12】起動・運転管理部の演算内容をブロックで示
した図である。
【図13】本発明による制御方法を用いて同期モータを
運転した場合の、加速,減速、及び負荷変化に対応する
モータ回転周波数とインバータ出力周波数の関係を示し
た図である。
【図14】インダクタンスLのパラメータ誤差を推定す
る方法を示した図である。
【図15】出力電圧V1 *のパラメータ誤差を推定する方
法を示した図である。
【図16】位相調整部によって、電流位相を最適な状態
に合わせる原理を説明する図である。
【符号の説明】
1…交流電源、2…主回路部、3…同期モータ、4…検
出部、5…中間パワー部、6…制御部、7…オペレー
タ、21…整流回路、22…直流リアクトル、23…平
滑コンデンサ、24…インバータ回路、41…電圧検出
部、42…モータ電流検出部、51…ドライブ電源、5
2…制御電源、53…ドライブ回路、60…座標変換
部、61…位相誤差演算部、62…周波数/位相作成・
速度検出部、63…速度制御部、64…電流制御部、6
5…逆変換部、66…起動・運転管理部、67…インタ
ーフェース部、68V,68L…パラメータ推定部、69
I,69S…位相調整部、Ed …直流電圧、iu…U相
モータ電流、iw…W相モータ電流、d軸…永久磁石回
転子の磁束方向の位置の軸、q軸…d軸に対し回転方向
に90度進んだ位置の軸、dc軸…制御上の仮想回転子
位置の軸、qc軸…dc軸に対し回転方向に90度進ん
だ位置の軸、Idcf …仮想dc−qc座標系のdc軸電
流、Iqcf …仮想dc−qc座標系のqc軸電流、V1 *
…モータ電圧、δc …qc軸とモータ電圧V1 *との位相
差、Δθ…d−q実座標系とdc−qc仮想座標系との
位相誤差、ωr …検出速度、ωr *…指令速度、Id *…d
c軸電流指令、Iq*…qc軸電流指令、Vd **…dc軸
電圧指令、Vq **…qc軸電圧指令、Vu*,Vv*,V
* …3相電圧指令、Ids * …起動時dc軸電流指令、
qs * …起動時qc軸電流指令、ωls…起動時運転周波
数、sel …選択信号、Tp …位置決め時間、Ts …初期
回転時間、Im0…位置決め時目標電流指令、ωls0 …初
期回転最終目標周波数、Δθ* …位相誤差指令。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 治雄 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社 日立製作所 土浦事業部内 (56)参考文献 特開 平10−174499(JP,A) 特開 平8−308286(JP,A) 特開 平11−18499(JP,A) 特開 平10−80180(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/16

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】永久磁石を回転子とする同期モータの位置
    センサレス制御方法において、 前記永久磁石を回転子とする同期モータのモータ電流位
    相と回転子の実回転位相との第1の位相差と、 前記モータ電流位相と制御上の回転子の位相である仮想
    回転位相との第2の位相差とを求め、 前記第1の位相差と前記第2の位相差の差とから、前記
    回転子の実回転位置と前記回転子の仮想回転位置との位
    相誤差を推定する同期モータの位置センサレス制御方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記第の位相差を、
    モータ電圧と、前記モータ電流、及びモータ定数を用い
    て求める同期モータの位置センサレス制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、さらに、前記位相誤差
    が零に近づくように前記同期モータに加える交流電圧の
    周波数を修正する同期モータのセンサレス制御方法。
  4. 【請求項4】永久磁石を回転子とする同期モータの位置
    センサレス制御方法において、 モータ電流の大きさと、モータ電圧の大きさと、前記モ
    ータ電流と前記モータ電圧の位相差、及びモータ定数を
    用いてモータ電流位相と前記回転子の実回転位相との差
    を第1の位相差として求め、 他方、モータ電流ベクトルと回転子の仮想回転位相との
    差を第2の位相差として求め、前記第1の位相差と前記
    第2の位相差とが等しくなるように制御上の回転子位置
    を修正する同期モータの位置センサレス制御方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記第1の位相差は、
    誘起電圧を、モータ電流位相と同相となる電流同相誘起
    電圧成分と、モータ電流位相とは90度位相が進んだ電
    流直交誘起電圧成分とに分解し、前記電流同相誘起電圧
    成分と前記電流直交誘起電圧成分とをモータ電流の大き
    さと、モータ電圧の大きさと、これらモータ電流位相と
    モータ電圧位相との位相差、及び少なくともモータ巻線
    抵抗とモータ巻線インダクタンスのいずれかを用いて求
    め、前記電流同相誘起電圧成分、前記電流直交誘起電圧
    成分、及び誘起電圧の大きさの3つのうち少なくとも2
    つの値を用いて算出する同期モータの位置センサレス制
    御方法。
  6. 【請求項6】請求項4において、前記第1の位相差と前
    記第2の位相差とが等しくなるようにインバータ出力周
    波数を修正することにより制御上の回転子の推定位置を
    修正する同期モータの位置センサレス制御方法。
  7. 【請求項7】請求項6において、インバータ出力周波数
    は、第1の周波数と第2の周波数の和から構成され、該
    第1の周波数はモータ電流の大きさと、モータ電圧の大
    きさと、これらモータ電流位相とモータ電圧位相の位相
    差と、モータ誘起電圧定数、及び少なくともモータ巻線
    抵抗とモータ巻線インダクタンスの1つを用いて求めた
    回転速度に関わる周波数であり、前記第2の周波数は、
    前記第1の位相差と前記第2の位相差とが等しくなるよ
    うに決定される周波数である同期モータの位置センサレ
    ス制御方法。
  8. 【請求項8】請求項6において、インバータ出力周波数
    から高周波成分を減衰させたものを検出速度とし、該検
    出速度と指令速度とを比較してモータ電圧を制御する同
    期モータの位置センサレス制御方法。
  9. 【請求項9】請求項7において、前記第1の周波数を検
    出速度として指令速度と比較してモータ電圧を制御する
    同期モータの位置センサレス制御方法。
  10. 【請求項10】請求項1または請求項4の何れかにおい
    て、モータ電流の誘起電圧と同相となるトルク電流成分
    をトルク電流指令に一致させるq軸電流制御のためのq
    軸補償電圧と、モータ電流の誘起電圧と直交する励磁電
    流成分を励磁電流指令に一致させるd軸電流制御のため
    のd軸補償電圧とを用いて、モータ電圧またはモータ定
    数を推定し、該推定値を用いて前記第1の位相差を求め
    る同期モータの位置センサレス制御方法。
  11. 【請求項11】永久磁石を回転子とし、インバータ回路
    によって駆動される同期モータの回転子位置を推定する
    同期モータの位置センサレス制御方法において、 運転開始から順に、位置決めモードと、初期回転モード
    と、位置センサレス運転モードとの3つの制御モードを
    備え、 前記位置決めモードは、電圧位相を任意に固定してモー
    タ巻線に加える電流を所定の電流値まで上昇させて前記
    回転子を特定の位置に定め、 前記初期回転モードは、電圧位相を回転方向に回転させ
    て所定のインバータ出力周波数まで上昇させ、前記位置
    センサレス運転モードはモータ電流の大きさと、モータ
    電圧の大きさと、これらモータ電流位相とモータ電圧位
    相の位相差とから、モータ電流位相と回転子の実回転位
    相との差を第1の位相差として演算で求め、他方、モー
    タ電流位相と制御上の回転子の仮想回転位相との差を第
    2の位相差として演算で求め、前記第1の位相差と第2
    の位相差とが等しくなるように前記回転子の推定位置を
    修正する同期モータの位置センサレス制御方法。
  12. 【請求項12】請求項11において、前記位置決めモー
    ドの時間と前記所定の電流値、前記初期回転モードの時
    間と前記所定のインバータ出力周波数が、変更可能であ
    る同期モータの位置センサレス制御方法。
  13. 【請求項13】永久磁石を回転子とし、インバータ回路
    によって駆動される同期モータの回転子位置を推定する
    同期モータの位置センサレス制御方法において、 前記永久磁石を回転子とする同期モータのモータ電流位
    相と、回転子の実回転位相との位相差である第1の位相
    差と、 前記モータ電流位相と制御上での回転子の仮想回転位相
    との位相差である第2の位相差とを求め、 前記第1の位相差と前記第2の位相差の差とから、前記
    回転子の実回転位置と前記回転子の仮想回転位置との位
    相誤差を推定し、 前記インバータ出力周波数を、同期モータの加速時はモ
    ータ電気角周波数より低くし、同期モータの減速時はモ
    ータ電気角周波数より高くし、同期モータに加わる負荷
    の増加時は同期モータ電気角周波数より高く、同期モー
    タに加わる負荷の減少時は同期モータ電気角周波数より
    低くして、インバータ出力周波数をモータ電気角周波数
    に追従させることによりモータの回転子位置を推定する
    同期モータの位置センサレス制御方法。
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