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JP3547341B2 - 焼結金属繊維用グリーン繊維とその製造方法 - Google Patents
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JP3547341B2 - 焼結金属繊維用グリーン繊維とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燒結金属繊維用グリーン繊維及びその製造方法に関する。詳しくは、本発明のグリーン繊維を焼結することにより得られた金属繊維は、植毛状態で電池基板用として使用したり、各種電子機器の電子回路基板用、各種フィルター、触媒用基板等にも有効に使用される。
【0002】
【従来の技術】
近時、金属または合金の粉末を有機バインダー等と混練し、これを押し出し、次いで脱バインダー及び焼結することにより線材を得る粉末成型法が注目されている。この方法は金属線材の生産効率を大きく向上させる。しかしながらこのような粉末成形法の場合は混練物からの押出し成形体(所謂グリーン)の強度が小さく、折損し易いという欠点があった。
そこでこの欠点を解決するため、金属または合金の粉末と有機バインダーとの混練物を押出し成形し、ついで脱バインダー及び焼結する金属線材の製造方法において、金属または合金の粉末の平均粒径を10μm以下とすることにより、グリーンの強度を向上し折損しないものが提案されている(特開平5−25508号公報)。この先行技術は例えば1.5mmという大径の線材を製造するものであり、所謂有機バインダーとしての熱可塑性樹脂や可塑剤の混練割合は特別に重視されていないものである。
【0003】
一方、前記先行技術に対し、金属または合金の粉末の粒径は開示されていないが、金属粉末、有機バインダー(熱可塑性樹脂や可塑剤その他)からなる混合物と溶剤を混練した後、例えば線径0.25mm程度の細線状に成形してなる可撓性を有する金属グリーンワイヤが開示されている(特開平1−184205号公報)。
更に、平均粒径が50μm以下の金属または合金粉末を有機バインダーと混練し、脱バインダー後焼結することにより例えば10〜5mm程度の棒材金属焼結部材を得ることが開示されている(特開昭62−27502号公報)。
【0004】
また、表面に微細凹凸をもつ導電繊維によるフェルト状導電体を使い、該凹凸内に球状活物質を充填したものを電池用電極として使用することについて特開昭61−110966号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来技術として開示された所謂焼結金属線材(ワイヤ)又は繊維用のグリーン成形体何れも一長一短があり、前記グリーン成形体はその後、脱バインダー及び焼結により得られる金属繊維の特性、即ち、耐屈曲性、結束強度等において劣っており、これが改善されることが望まれていた。
本発明は、上記従来技術を背景に、特に焼結後の金属繊維が耐屈曲性、結束強度等において優れたものが得られる前駆体としての焼結金属繊維用グリーン繊維を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の焼結金属繊維用グリーン繊維は、金属粉体または金属化合物粉体を主成分として、これに有機結合剤が含有されてなる焼結金属繊維用グリーン繊維であって、且つ該グリーン繊維の内部には微細空隙が散在しているものであり、これにより前記目的を達成できる。
更に本発明の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法は、次のようにして製造される。即ち、平均粒径0.5〜10μm、比表面積0.5〜10m/gの金属粉体または金属化合物粉体と、該金属粉体または金属化合物粉体に対して10〜40重量%の熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂に対して10〜50重量%の可塑剤からなる有機結合剤との混合組成物を溶融押出紡糸機にて2〜700倍の引き落とし倍率で引き取り、内部に微細空隙が散在するグリーン繊維を得る。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず本発明の焼結金属繊維用グリーン繊維の最大の特徴は、焼結金属繊維用グリーン繊維が、その中に微細空隙を散在して有していることである。
この微細空隙が散在する必要性は次の理由による。
その理由1は、最終的に得られる焼結金属繊維の特性、とりわけ耐屈曲性、結束強度等の向上が挙げられる。一般に金属粉体を有機結合剤中で成形した物は強度が弱く、特に繊維状という微細成形体の場合屈曲性に劣るという問題を抱えていた。焼結を目的とするために金属又は金属化合物粉体の含有量は多量に含まねばならず、有機結合剤量を多くして上記問題に対応する事は困難であった。この様な耐屈曲性等を有効に上げる手段としては、ある一定量の割合で微細空隙を設けることが最も効果があることを本発明者らは知見した。即ち繊維中に微細空隙を設けることによって屈曲の力が掛かったときに内部応力がすばやく分散することが出来る作用によるものである。もちろん微細空隙の形態は問わないがより微細で金属粉体の分散性を損なわない程度が良い。
【0008】
その理由2は、内部に微細空隙を有する事によって、脱媒する際に有機結合剤等の熱分解によって発生するガスを効率よく外部に逃がしてやることが出来る。内部で発生したガスが外部に速やかに逃げないと膨張し、そして一気に外部に逃げるか、または内部に滞留したままになる。前者は外部に逃げる際に大きな穴が空く事が多く見られ、また後者は一部膨張したままの繊維形状となる。
この微細空隙の形状(形体、大きさ)は特に制限がない。一方散在状態は、特に制限ないが、全体的には表面層部分よりも内部に多く散在する方が好ましいが、同時に表面に露出する状態で若干散在している方が、前記脱媒時のガス抜けがよりスムースに行われるので好ましい。
【0009】
尚、微細空隙の散在の割合はあまりにも多くても、逆にあまりにも少なくても好ましくないので、適正割合は事前に適宜確認して決めるのがよい。
次に、前記微細空隙形成手段について説明する。これには次の(a)〜(d)が例示できる。これら例示については、更に後述する。
(a)混合物に空気を内在させて紡糸する方法。
空気の内在化は、敢えて空気を吹き込むようなことをしなくても良いが、予備混合(溶融混練ペレタイズ化)段階とか、紡糸段階等で積極的に脱泡をしないことである。空気が内在していることで口金から吐出されると同時的に発泡作用が働き、グリーン繊維の内部に微細空隙が形成される。この発泡作用は空気が主体であるが、有機結合剤、中でも可塑剤が助勢的に作用している。
【0010】
(b)有機結合剤としての熱可塑性樹脂が融点の異なる2種以上のブレンド樹脂を使用することによって形成する方法。
2種以上でも2〜3種を用い、しかも樹脂間の中で相互に相容性の良くない樹脂同志の組合せがより微細空間が生成し易い、(後述する実施例2はこの良い例の1つである)。これによる微細空隙生成のメカニズムは、紡糸の際に行う引き落としで発生するフィブリル化現象(分散樹脂間の相分離による微細割れ現象)が積極的になる。その結果微細空隙の形成となって表れる。
【0011】
(c)紡糸後の引き落とし(2〜700倍)による方法。
紡糸しつつ引っ張ることで、金属粒子と樹脂とが分離しフィブリル化現象により微細空隙の生成作用に寄与する。
(d)グリーン繊維表面の化学エッチングによる方法。
尚、微細空隙の形成手段の基本となるものは、前記(c)の紡糸後の引き落とし(2〜700倍)による方法であり、他の(a)(b)(d)はこれを併用することでより好ましく行われると言うものである。
【0012】
次に本発明の焼結金属繊維用グリーン繊維の構成について説明する。本発明で使用する金属粉体又は金属化合物粉体は、その粒形状には特に制限ないが、粒径(平均)は可能な限り小さいのが良く、具体的には10μm程度以下、好ましくは8μm以下で、そしてその粒子の比表面積は、可能な限り大きいほど良く、具体的には0.5m/g以上、好ましくは1m/g以上である。そしてこれに混合する有機結合剤の量は、10〜60重量%(該粉体に対して)、好ましくは15〜50重量%である。この粒子径と比表面積の金属粉体又は金属化合物粉体と該結合剤の混合とが相まってその相乗作用によって、より細い該グリーン繊維でも糸切れなく、適正な強度ももって、所望する微細空隙も好ましく散在する状態で得ることがより容易になる。ここで該粒径は特に好ましい紡糸性に、そして該比表面積は適正な微細空隙(あまりに大きくない)の散在と繊維強度に作用するものである。
【0013】
尚、前記粒径は、レーザー回折散乱法や沈降法等の一般的な方法によって測定されたものであり、比表面積はガス吸着法、BET比表面積法等によって測定し求められたものである。
前記金属粉体または金属化合物粉体は、例えばニッケル、ニッケル合金、コバルト、アルミニウム、鉄、銅といった金属又はこれらを主成分とする合金、前記金属の酸化物、硫化物、水酸化物、塩化物といった金属化合物などが挙げられる。これら金属化合物の中では酸化物、又は水酸化物が好ましい。これは焼結効率もよく、公害も出さない等の点でより優れているからである。言うまでもないが該金属化合物の場合は、焼結が還元的に行われ金属単体に化し、金属繊維に変化することのできる金属化合物と言うことになる。これら2種以上の混合でも良い。
【0014】
前記有機結合剤は、金属又はその化合物粉体に対して良好な結合剤となり、そして押出機中で容易に熱可塑化し、適正な強度をもって容易に紡糸出来、且つ微細空隙が該粒体との界面や該結合剤内で形成できるようなもの、換言すれば該粉体との間に適度の相容性(あまり良いのも好ましくない)があり、溶融粘度、又は溶融時の引っ張りに対する張力が適度にあるものといえる。更には少なくとも焼成温度では円滑に燃焼除去されるものと言える。
前記機能を持つ有機結合剤は、主として熱可塑性樹脂によって達成される。例えば、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、スチレン/アクリル共重合体、(高分子量)ポリエチレングリコール、ポリウレタン、脂肪族ポリエステル(例えばポリ乳酸)、セルロース系高分子、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。これらの各樹脂は種々の求める性能によって決めればよいが、これらの中でも、焼成による脱媒性の点も考えて、炭素と水素又は炭素、水素及び酸素よりなる脂肪族ポリマーが好ましく、更には混合・紡糸中における熱安定性も考慮して炭素、水素及び酸素からなる各原子からなるポリマから選ぶのが好ましい。例えば前記中ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体又はポリメチルメタアクリレートが対象として例示できる。これらはより燃焼温度も低く、より早く焼却、除去され、また焼成されて残る金属粉体も相互に緻密に連結し、より優れた金属繊維が得られやすい。他にこれら好まし脂肪族ポリマーは、金属又はその化合物粉体に対して、特に焼成環境で化学的悪影響を及ぼすこともなく、公害になるような廃ガスも発生もない。
【0015】
又前記熱可塑性樹脂は、一種に限らず融点の違う2種類以上、好ましくは2〜3種類の樹脂を混合しても良い。2種類以上の場合には、良紡糸性と共に微細空隙の散在がより好ましく形成され、且つ適正な焼成時の繊維としての形状の保持性(相互にくっつき合うとか、倒れるとかということがない)が広い温度範囲で一種よりも良いという理由による。これは、焼成に伴って現象として起こる熱可塑性樹脂の溶融課程で、まず融点の低い該樹脂が融けそして燃焼して行くが、その間でも融点の高い該樹脂が存在することで繊維形状が維持できるので、ほとんど形状が崩れることなくスムースに焼却除去されて、最終の金属繊維を得ることができるためと考えられる。この二種以上の混合の場合には低融点の該樹脂を多く、高融点のそれを少ない量で使用するのが好ましい。
【0016】
更に前記有機結合剤における熱可塑性樹脂にあって、該樹脂を可塑化する可塑剤の併用はより好ましい。これは次のような理由による。
前記の通り焼結金属繊維用グリーン繊維は、少なくとも金属又はその化合物粉体と熱可塑性樹脂を主とする有機結合剤とによりなっているが、しかしこの2成分のみでは、例えば紡糸の際に必要な溶融張力が不足し、より細繊化出来なかったり、出来あがったグリーン繊維の耐屈曲性等が劣ったり、後加工がしにくい等の場合がある。この様なときに該可塑剤の存在は、より安定して紡糸が出来、且つ後加工に必要な物性が得やすく、又微細空隙率が調整されながら紡糸され易いといった効果がある。これは該粉体と該結合剤との混合によって得られる溶融粘度の調整が容易になり、その結果紡糸の際のノズルからの引き落とし(溶融状態での引き延ばし)が広範囲で出来るようになり、所望する空隙も容易に形成される様になるためである。
【0017】
前記可塑剤は、前記の作用の他に、溶融混合状態で分解等もなく常に安定して連続紡糸が出来、得られたグリーン繊維からブリードアウト(繊維からのしみだし)等するようなことのないことも考慮して、事前にテストして最適なものを選択することになる。以上のことから、望ましい可塑剤を具体的に例示すると次の通りである。まず沸点が150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲にある高沸点有機化合物でより具体的には芳香族エステル、脂肪族エステル、ポリアルキレンエーテルの各系が挙げられる。該芳香族エステル系としては、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステルが好ましく挙げられる。
【0018】
一方脂肪族エステル系としては、例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル等が挙げられる。
また、ポリアルキレンエーテル系としては、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル等が挙げられる。
前記有機結合剤が熱可塑性樹脂と可塑剤とからなる場合の各成分の混合比は、次の通り好ましく例示できる。
【0019】
前記金属又はその化合物粉体に対して、10〜40重量%好ましくは15〜35重量%の熱可塑性樹脂、該樹脂に対して10〜50重量%好ましくは15〜40重量%である。ここで該樹脂を前記融点の異なる2種を使った場合には、低融点の該樹脂の混合量は、該10〜40重量%の中で0.5〜0.9割占めるようにすると良い。該混合比の意義はつぎのとおりである。該樹脂が10重量%未満では該粉体同志が特に紡糸の際に十分な結合でもって完全につながらない方向に作用する。その結果グリーン繊維に紡糸しても途中で切れる事が多くなる。一方40重量%を越えると該粉体の含有量が少ないので、繊維への紡糸性は良いが、得られたグリーン繊維を焼結した場合、該粉体間の焼結が十分な緻密さをもって行われず、その結果所望する特性を有する金属繊維を得ることが困難になる。
【0020】
そして該可塑剤においては、これが該樹脂に対して50重量%を越えて含むと、特に得られたグリーン繊維からブリードアウトし易くなる。この現象はグリーン繊維間でブロッキングを起し取扱いにくくなる。又繊維としての形状保持性も悪くなる。一方、10重量%未満では紡糸は可能であるが、可塑化効果を十分に発揮できず、前記可塑剤による作用効果が十分に発揮できなくなる。
尚、これら3主成分に更に必要に応じて各種添加剤(分散剤、滑剤等)の少量の添加は許容される。
【0021】
また特に前記可塑剤の併用の場合には、得られる焼結金属繊維用グリーン繊維がどうしても相互にブロッキングし易い傾向にある。このブロッキングは取扱い性もさることながら、ブロッキング状態での焼結は一本としての独立した金属繊維の状態で得られず、これは特に植毛状態での金属繊維としての使用に極めて不都合である。この問題解決のためにブロッキング防止剤の使用が望まれる。該防止剤は、ブロッキング防止性は勿論必要であるが、焼結によって不都合(燃焼して残査とし付着するとか、燃えないとか、廃ガス公害を出すとか等)のものであってはならない。但し燃焼せずに残査として付着するものでも得られる金属繊維の特性に悪影響を及ぼすことなく、より有効に作用するようなものはより好ましいものということができる。このようなブロッキング防止性もありながら、より有効なものとしても本発明では見出していて、それは前記配合する金属粉体をブロッキング防止として使用する場合である(請求項8)。これによる作用効果は焼結することによって、表面付着した金属粉体が本来の焼結金属繊維の金属と結合し表面に凹凸を有する繊維となり、表面積の大きいものとなる。このより大きな表面積をもつ金属繊維は、用途(例えばフィルターや触媒システムなど)によってはより有利になる。付着する金属粉は該焼結金属繊維用グリーン繊維の金属粉と同一が基本的には好ましいが、異種の物であっても新たな機能を付与する効果が期待できる場合もあるのでかまわない。
【0022】
また、単にブロッキング防止の作用をするブロッキング防止剤として、例えば澱粉、スチレンファインパウダー、アクリルファインパウダー等も使用できる(請求項9)。
尚、前記ブロッキング防止剤を該前記グリーン繊維に付着させる方法については、例えば紡糸中に側面から吹き付ける方法、(一般的な油剤付け装置のように)該防止剤の付着されている回転ローラー上を、該グリーン繊維を通過させつつ付着させる方法、刷毛を使って塗るようにして付着させる方法等がある。又特に予め短繊維にカットして後、付着させる方法を採る場合には、まず短繊維を攪拌機等に入れて該防止剤を上から分散状態で落としつつ攪拌するといった方法も採られる。
【0023】
前記グリーン繊維の繊維径としては20〜300μmφの範囲内であるが好ましく、更には50〜200μmφがより好ましい。この様な繊維径の中で前記微細空隙が散在していると、より一層焼結し易く、得られる焼結金属繊維の特性(耐屈曲性結束強度等)も優れることになる。
また前記グリーン繊維の断面形状は、一般には円形であるが異形断面であってもかまわない。例えば四角、三角、菱形、星形、十字等が例示できる。異形断面の場合の繊維径は外角の全てが入るように仮想円を描きその直径を繊維径とする。例えば四角では対角距離が繊維径となる。
【0024】
次に前記焼結金属繊維用グリーン繊維の好ましい製造方法を例示する。
まず既述した具体的な金属又はその化合物粉体、熱可塑性樹脂及び可塑剤とを採取し混合からスタートするが、混合の手順としては例えば予め所定量の該粉体と該熱可塑性樹脂とを加熱加圧付き混合攪拌機(例えばニーダー)に入れ、攪拌混合しながら該樹脂の可塑化する程度にまで加熱し、均一分散状態とする。次にこの中に所定量の可塑剤を添加して再び同一条件にて混合し十分に分散せしめる。そして更にこれを混練しペレット化するために、2軸混練押出機(プランジャ式等)に供給し溶融混練押し出しつつペレットとして得る。ここで溶融混練押し出し中又は該混合攪拌機による予備混合中に適当な脱気を行うと、得られるグリーン繊維に含まれる空隙の大きさ(例えばより小さく)とか、散在状態(例えば内外全体に均一に散在)が変わる。つまり空隙を適宜コントロールする事ができる。しかし、脱気をしすぎると所望する空隙の形成に良くないので、注意する必要がある。
【0025】
次に該ペレットをバレル温度を予め設定しておいた溶融押出紡糸機に供給し所定サイズ径の口金から吐出させる溶融紡糸を行なう。ここで紡糸吐出後はそのまま冷却して引き取るのではなく、引き落とし倍率で2〜700倍、好ましくは5〜500倍で引き落として引き取る。これによって希望する繊維径の焼結金属繊維用グリーン繊維が容易に得られると共に、該粉体と有機結合剤とが適当に乖離することでフィブリル化がより好ましく行われ、その結果より好ましい状態で微細空隙が形成されるようになる。更に引き落とし操作によって全体が配向される事になり強度向上にも役立つ。
【0026】
尚、ここで引き落とし倍率とは口金の断面積表面積d1と最終固化した後のグリーン繊維の断面積d2から求めた値であり、即ちd1/d2=2〜700(好ましくは5〜500)の事である。
また、焼結金属繊維用グリーン繊維の有する微細空隙に関し、特に該表面に散在する該空隙は化学的又は物理的処理することで新たな形成又は増やすことができる。中でも化学的に該表面をエッチング処理することが好ましい。
例えば可塑剤としてエステル系又はエテール系が併用された場合には、苛性ソーダ等のアルカリ溶液で浸漬処理すると良い。これによって前記可塑剤が化学的エッチングされ微細空隙を形成する。
【0027】
かくして得られた焼結金属繊維用グリーン繊維は、種々の目的をもって種々の形で使用される。例えば該グリーン繊維を予めアスペクト比(繊維長/繊維)で2〜50、好ましくは5〜40にカットしこれを基体上に静電等によって植毛するという植毛用があり、これはこの状態で焼結して例えば電池用基板として有効に使用される。
【0028】
【実施例】
<実施例1>
平均粒径2.4μm、比表面積3.14m/gのニッケル粉末と、これに対して26.6重量%のポリビニルブチラール(PVB)(積水化学株式会社製 品番BL−1)とを混合機で混合し、次いで120℃に予め加熱された加圧ニーダーに入れて、30分間溶融状態で混練した後フタル酸ジブチルをポリビニルブチラールに対して25重量%を添加し引き続き同一条件にて30分間混練した。得られた混練物をそのまま予め100℃に加熱しておいたプランジャー式押し出し機に供給して、押し出しペレットを得た。そしてこれを吐出孔経0.7mmφの口金を有する溶融紡糸機に供給し、引き落とし倍率196倍にて引き落とした。この様にして得られた焼結金属繊維用グリーン繊維は、断面が円形でその直径は50±10μmであった。また該グリーン繊維の断面を電子顕微鏡で観察し、これを図1に示した。中央部の方が外周部よりも小さな空隙サイズでもって散在していることが判る。そして該グリーン繊維を空気雰囲気中で400℃で20分脱媒後、900℃にて水素雰囲気中、10分間保持することによって焼結して、ニッケル繊維を得た。該繊維は、外径は収縮を起こしているものの緻密なしっかりした繊維状態を保持しており、湾曲や折れる等の問題は発生しなかった。得られたニッケル繊維の比表面積を窒素吸着法によって測定したところ0.05m/gであった。
【0029】
<実施例2>
実施例1と同様なニッケル粉と、該ニッケル粉に対して22重量%のポリビニルブチラール(実施例1の品番BL−1)融点71.9℃(示差熱分析計による)と融点129.2℃(同測定による)の高密度ポリエチレン(三井化学株式会社製 品番2100JP)を同ニッケル粉に対して6重量%混合し、前記混合熱可塑性樹脂に対して14.3重量%のフタル酸ジブチルを加え150℃に加熱した加熱加圧ニーダーに入れ実施例1と同様に混練りした。更に140℃に加熱したプランジャーに供給し混練してペレタイズ化した。そして得られたペレットを、ノズル孔径0.7mmφの口金を有する溶融紡糸機に供給し、引き落とし倍率196倍にて引き落とした。この様にして得られたグリーン繊維は断面が円形でその直径は50±10μmであった。また電子顕微鏡で該繊維の断面を観察すると、図2に示すように内部、表面共に微細空隙が散在していた。そして該繊維を空気雰囲気中で400℃で20分脱媒後、900℃にて水素雰囲気中、10分間保持して焼結を終了し、所望するニッケル繊維を得た。このニッケル繊維は、実施例1と同様に緻密で湾曲もなく形状を保持し、強靱なものであった。
【0030】
尚、別途該グリーン繊維を直立させた状態で同様に加熱焼結してみたが、この加熱焼結中に該繊維は倒れることなく焼結され、直立を保ってニッケル繊維と化した。つまり耐屈曲性に優れていることを示している。
<実施例3>
実施例1におけるニッケル粉末に対して、エチレン/ビニルアルコール共重合体(日本合成化学株式会社、品番3835)27.5重量%と、ポリエチレングリコール安息香酸エステル(三洋化成工業株式会社、品番EB−200)を該共重合体に対して、29重量%をそれぞれ準備し実施例1と同じ手順にて加圧ニーダーでの混合及び混練し、ペレット化を行った。得られたペレットを実施例1と同様の口金で、バレル温度70〜200℃にて行ない直径180μmのグリーン繊維を得た(引き落とし倍率15.2)。このグリーン繊維の断面を電子顕微鏡で観察すると、ほぼ実施例1と同じ状態で微細空隙が繊維全体に均一に散在していた。そして該グリーン繊維を空気雰囲気下400℃にて20分かけて脱媒後、900℃にて水素雰囲気中、焼結してニッケル繊維を得た。該繊維を湾曲してみたが変形することもなく、強靱な繊維であった。
【0031】
<実施例4>
まず平均粒径2.9μm、比表面積3.2m/gのニッケル粉と平均粒径1.2μm、比表面積8.2m/gの酸化ニッケルとをそれぞれ8:2(重量%)の割合で混合したニッケル系混合粉体、該混合粉体に対して実施例1と同様にPVBが26.6重量%、PVBに対して25重量%のフタル酸ジブチルとを混合し、混練してペレットを得た。そして該ペレットを用いて実施例1と同様に溶融紡糸機にて引き落とし率196倍にて紡糸し、繊維径55μmのグリーン繊維を得た。グリーン繊維の断面を電子顕微鏡で観察すると空隙の散在状態は内部、表面ともほぼ同じであったが、その大きさは若干小さかった。
【0032】
該グリーン繊維を実施例1と同様に脱媒・焼結して焼結繊維を得た。該焼結繊維は、外観的にも実施例1と差はなく、また湾曲しても変形することなく強靱で緻密なものであった。
<実施例5>
実施例1で得た焼結金属繊維用グリーン繊維を1mm(アスペクト比20)にカットし、20%の水酸化ナトリウム液に24時間浸漬した後、水洗して真空乾燥機中で乾燥した。この繊維を電子顕微鏡で表面観察すると表面空隙は実施例1よりも多く増えていた。次に該表面処理のカット繊維を、接着剤の塗布された(未乾燥)金属板に植毛(直立)するように接着固定して、この全体を空気雰囲気中で400℃で20分加熱(脱媒)後、更に900℃、水素雰囲気中にて10分間保持して焼結しニッケル繊維得た。該繊維は倒れることなく一本、一本独立して直立状態で変形もせずの状態で得られた。
【0033】
<実施例6>
平均粒径1.66μm、比表面積2.2m/gのニッケル粉と、これに対して27.5重量%のPVB(実施例1の品番BL−1)、該PVBに対して33.4重量%のフタル酸ジブチルとで、実施例1と同様に加圧ニーダーに入れて1時間攪拌混合し、これを更に溶融混練してペレタイズで得た。そしてこれを口径1mmのノズルから溶融紡糸し、引き落とし率100倍で引き落としして、直径100μmのグリーン繊維を得た。そして該繊維を束にして長さ1mmカットした。カットは順調に行うことができたが、実施例1と異なりブロッキングして該カット糸は個々に分離しなかった。そこでこのブロッキングを解消するために、該カット繊維を攪拌機に入れブロッキング防止剤として同じニッケル粉体を使い、これを該カット繊維に対して8重量%分を採取してゆっくりと攪拌しながら添加した。該カット繊維の1本1本の表面に均一にニッケル粉が付着し、ブロッキングは完全に解消した。そしてこのニッケル付着のカット繊維を空気雰囲気下400℃にて20分加熱(脱媒)後、更に900℃にて、水素雰囲気中で10分間加熱し焼結した。得られたニッケル繊維の比表面積を窒素吸着法によって測定したところ0.08m/gであった(実施例1よりも表面積が大きくなっていることが判る)。
【0034】
<実施例7>
実施例4と同じ処方でまずペレットをつくり、同様に紡糸した。但しこの場合の引き落とし率は306倍としてより大きく引き落としてグリーン繊維の径を40μmに小さくして紡糸した。該繊維の断面を電子顕微鏡で観察すると実施例4よりも若干大きな空隙が散在していた。そして該繊維を該例と同様条件で加熱脱脂、焼結してニッケル繊維を得た。該ニッケル繊維を湾曲テストしたが変形するようなこともなく強靱であった。
【0035】
<比較例1>
実施例1と同じ成分、組成比で同様にしてまず予め120℃に加熱された加圧ニーダーにて加熱混練した。そしてこの得られた混練物を真空ポンプによって減圧のできる加熱(100℃)2軸押出機に供給して、70mmHg減圧下で押し出しつつペレットに造粒した。そして得られた該ペレットを実施例1と同様に紡糸して52μm径のグリーン繊維を得た。該繊維の断面を電子顕微鏡で観察して写真を撮った。これを図3に示す。該図から明らかなように図1と比較して内部に微細空隙は実質的に散在していないことが判る。該繊維表面も樹脂に覆われたような状態で空隙はなく緻密状態である。該繊維を曲げようとすると、すぐに折れ、脆いものであった。更に該繊維を実施例1と同様に空気雰囲気中で400℃で20分脱媒後、900℃にて、水素雰囲気中で、10分間保持して焼結した。得られた焼結繊維は気泡のようなものを抱き込み、そして元の繊維形状を保持せずに一塊りのような状態で焼結していた。
【0036】
【発明の効果】
本発明の焼結金属繊維用グリーン繊維は、金属粉体または金属化合物粉体を主成分として、これに有機結合剤が含有されてなる焼結金属繊維用グリーン繊維であって、且つ該グリーン繊維の内部には微細空隙が散在しているので、該グリーン繊維に屈曲の力が掛かったときに内部応力がすばやく分散されることで耐屈曲性,結接強度に優れたグリーン繊維が得られるようになった。また、脱媒する際に有機結合剤等の熱分解によって発生するガスを効率良く外部に逃がしてやることが出来る。これにより該グリーン繊維を焼結することにより得られる焼結金属繊維は、耐屈曲性、結束強度等の向上が顕著に見られ、強靱な金属繊維が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のグリーン繊維の断面の電子顕微鏡で観察した写真。
【図2】実施例2のグリーン繊維の断面の電子顕微鏡で観察した写真。
【図3】比較例1のグリーン繊維の断面の電子顕微鏡で観察した写真。

Claims (19)

  1. 金属粉体または金属化合物粉体を主成分として、これに有機結合剤が含有されてなる焼結金属繊維用グリーン繊維であって、且つ該グリーン繊維の内部には微細空隙が散在していることを特徴とする焼結金属繊維用グリーン繊維。
  2. 平均粒径10μm以下、比表面積0.5m/g以上の金属粉体または金属化合物粉体と該金属粉体または金属化合物粉体に対して10〜60重量%の有機結合剤とを含有されてなる請求項1に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  3. 前記金属粉体または金属化合物粉体がニッケル、ニッケル合金、コバルト、アルミニウム、鉄、銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化銅、水酸化ニッケル及び水酸化コバルトの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  4. 前記有機結合剤が金属粉体または金属化合物粉体に対して10〜40重量%の熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂に対して10〜50重量%の可塑剤とによりなる請求項3に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  5. 前記熱可塑性樹脂が融点の異なる少なくとも2種類のブレンド樹脂である請求項4に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  6. 前記有機結合剤における可塑剤が沸点150〜350℃の芳香族エステル、脂肪族エステル、及びポリアルキレンエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  7. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維の繊維径が20〜300μmφである請求項6に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  8. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維の表面に、前記金属粉体または金属化合物粉体が付着されてなることを特徴とする請求項7に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  9. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維の表面にブロッキング防止剤が付着されていることを特徴とする請求項8に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  10. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維のアスペクト比が2〜50よりなる植毛用カット繊維であることを特徴とする請求項9に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維。
  11. 平均粒径0.5〜10μm、比表面積0.5〜10m/gの金属粉体または金属化合物粉体と、該金属粉体または金属化合物粉体に対して10〜40重量%の熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂に対して10〜50重量%の可塑剤からなる有機結合剤との混合組成物を溶融押出紡糸機にて2〜700倍の引き落とし倍率で引き取り、内部に微細空隙が散在するグリーン繊維を製造することを特徴とする焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  12. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維の表面を化学エッチング処理した請求項11に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  13. 前記金属粉体または金属化合物粉体がニッケル、ニッケル合金、コバルト、アルミニウム、鉄、銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化銅、水酸化ニッケル及び水酸化コバルトの群から選ばれた少なくとも1種を用いた請求項11に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  14. 前記熱可塑性樹脂が融点の異なる少なくとも2種類のブレンド樹脂を用いた請求項13に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  15. 前記有機結合剤における可塑剤が沸点150〜350℃の芳香族エステル、脂肪族エステル、及びポリアルキレンエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いた請求項14に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  16. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維の繊維径が20〜300μmφとした請求項15に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  17. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維の表面に、前記金属粉体または金属化合物粉体を付着させた請求項16に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  18. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維の表面にブロッキング防止剤を付着させた請求項17に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
  19. 前記焼結金属繊維用グリーン繊維のアスペクト比が2〜50よりなる植毛用カット繊維としたことを特徴とする請求項18に記載の焼結金属繊維用グリーン繊維の製造方法。
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