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JP3547769B2 - 電界発光素子 - Google Patents
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政行 藤田
孝則 藤井
祐次 浜田
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電界発光素子に関し、特に、有機電子輸送層に新規な有機材料を用いた有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の多様化に伴って、CRTより低消費電力で空間占有容積が少ない平面表示素子のニーズが高まっている。このような平面表示素子としては、液晶、プラズマディスプレイ等があるが、特に最近は、自己発光型で表示が鮮明な電界発光素子が注目されている。
【0003】
ここで、電界発光素子は構成する材料により、無機電界発光素子と有機電界発光素子とに大別することができ、無機電界発光素子は既に実用化されている。
しかしながら、無機電界発光素子の駆動方式は、高電界の印加によって加速された電子が、発光中心を衝突励起して発光させるという所謂衝突励起型発光であるため、高電圧で駆動する必要がある。このため、周辺機器の高コスト化を招来するという課題を有していた。
【0004】
これに対し、有機電界発光素子は、電極から注入された電荷が発光体中で再結合して発光するという、所謂、注入型発光であるため、低電圧で駆動することができる。しかも、有機化合物の分子構造を変更することによって任意の発光色を容易に得ることができるといった利点もある。したがって、有機電界発光素子は、これからの表示素子として、非常に有望である。
【0005】
ここで、有機電界発光素子は、一般に、2層構造〔ホール注入電極と電子注入電極との間に、ホール輸送層と、発光層とが形成された構造(SH−A構造)、またはホール注入電極と電子注入電極との間に、発光層と、電子輸送層とが形成された構造(SH−B構造)〕或いは3層構造〔ホール注入電極と電子注入電極との間に、ホール輸送層と、発光層と、電子輸送層とが形成された構造(DH構造)〕のような素子構造を有している。上記ホール注入電極としては、金やITOのような仕事関数の大きな電極材料を用い、上記電子注入電極としては、Mgのような仕事関数の小さな電極材料を用いる。また、上記ホール輸送層、発光層、電子輸送層には有機材料が用いられ、ホール輸送層はp型半導体の性質、電子輸送層はn型半導体の性質を有する材料が用いられる。上記発光層は、上記SH−A構造ではn型半導体の性質、SH−B構造ではp型半導体の性質、DH構造では中性に近い性質を有する材料が用いられる。いずれにしてもホール注入電極から注入されたホールと電子注入電極から注入された電子が発光層とホール(又は、電子)輸送層の界面、及び発光層内で再結合して発光するという原理である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記有機電界発光素子の有機材料の選択は、素子の諸特性に大きく影響を与える。この諸特性の中でも、素子の耐久性の向上は重要な課題である。この耐久性を向上させる一つの方法として、有機電子輸送層に製膜性がよく、結晶化しにくい材料を用いる方法がある。
【0007】
現在、知られている比較的製膜性が良く、結晶化の起こりにくい化合物としては、特願平3−222793号に記載のオキサジアゾール系化合物がある。
しかしながら、この化合物を有機電子輸送層の材料として用いた電界発光素子も耐久性の良さは充分ではなく、更なる耐久性の向上が必要となっている。
本発明は、上記現状に鑑みなされたものであり、耐久性の高い電界発光素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ホール注入電極と、電子注入電極との間に、有機発光層と有機電子輸送層とを備えた電界発光素子において、前記有機電子輸送層には、複数のオキサジアゾー ル環を1つのビフェニル基によって連結してなり、各オキサジアゾール環の置換基が3個以上のベンゼン環からなる縮合多環芳香族で構成されたオキサジアゾー ル系化合物が用いられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の縮合多環芳香族が3個のベンゼン環からなるアントラセン、あるいはフェナントレンであることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の縮合多環芳香族が4個のベンゼン環からなるピレンであることを特徴とする。
【0012】
【作用】
上記のように構成することにより、以下のような作用が得られる。
先ず、本発明のオキサジアゾール系化合物は、分子内に嵩高い縮合多環芳香族基を有する。製膜された化合物の結晶化は、分子が規則正しく並ぶことによって起こるが、本発明のオキサジアゾール系化合物の場合、この嵩高い縮合多環芳香族基が分子が規則正しく並ぶことを邪魔することにより、製膜後も結晶化を起こしにくく製膜性がよい。
【0013】
加えて、本発明のオキサジアゾール系化合物は、膜形成を行なった際に、上記特願平3−222793号に記載のオキサジアゾール系化合物より、有機発光層に用いた化合物となじみが良く、製膜した後の膜の状態が良いという利点を有している。
ここで、本発明のオキサジアゾール系化合物は、一般に、下記化1或いは化2に示すような方法で合成する。尚、反応時間については、各々の化合物により異なっている。
【0014】
【化1】
Figure 0003547769
【0015】
【化2】
Figure 0003547769
【0016】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて以下に、説明を行なう。
(参考例1)
図1は、本発明の一実施例に係る電界発光素子の断面図であり、ガラス基板1
上には、ホール注入電極2と、有機ホール輸送層3と、有機発光層4と、有機電
子輸送層5と、電子注入電極6とが、ガラス基板1側から順に形成されている。
【0017】
それぞれの部材の材料としては、ホール注入電極2にはインジウム−スズ酸化物(ITO)、有機ホール輸送層3には下記化3に示すジアミン誘導体(TPD)、有機発光層4には下記化4に示すペリレン誘導体、有機電子輸送層5には下記化5に示すオキサジアゾール系化合物、電子注入電極6にはMgIn合金が、それぞれ用いられている。
【0018】
【化3】
Figure 0003547769
【0019】
【化4】
Figure 0003547769
【0020】
【化5】
Figure 0003547769
【0021】
ここで、上記構成の電界発光素子を、以下のようにして作製した。
先ず、ガラス基板1上にインジウム−スズ酸化物(ITO)からなるホール注入電極2が形成された基板を、中性洗剤、及び、水により洗浄した後、アセトン中で20分間、イソプロピルアルコール中で約20分間超音波洗浄をした。この後、上記ホール注入電極2上に、ジアミン誘導体(TPD 上記化3に示す)を真空蒸着して有機ホール輸送層3を形成した後、この有機ホール輸送層3上に、ペリレン誘導体(上記化4に示す)を真空蒸着して、有機発光層4を形成した。さらに、有機発光層4上にオキサジアゾール系化合物(上記化5に示す)を真空蒸着して有機電子輸送層5を作製した。しかる後、有機電子輸送層5上に、MgとInとを10:1の比率で共蒸着して、電子注入電極6を形成して、電界発光素子を作製した。尚、上記蒸着はいずれも、真空度1×10−6Torr、基板温度20℃、有機層の蒸着速度2Å/secという条件下で行った。
【0022】
ところで、上記オキサジアゾール系化合物の合成は、以下のようにして行った。
先ず、下記化6に示すように、市販のカルボキシル基を有する縮合多環芳香族化合物より、C. Gundu Rao等の方法(ORGANIC PREPARETIONS AND PROCEDURES INT. 12(3−4),P.225−228(1980))に基づいてエチルエステルを合成した。
【0023】
【化6】
Figure 0003547769
【0024】
続いて、下記化7に示すように、上記反応によって得られたエチルエステルを用いて浜田等の方法(日本化学会誌,1991,(11),p.1540−1548)に基づいて合成した。
【0025】
【化7】
Figure 0003547769
【0026】
このように作製した電界発光素子を、以下(a1 )素子と称する。
(参考例2)
有機電子輸送層の材料として、下記化8に示すオキサジアゾール系化合物を用いた以外は、上記参考例1と同様に素子を作製した。
(実施例1)
有機電子輸送層の材料として、下記化9に示すオキサジアゾール系化合物を用いた以外は、上記参考例1と同様に素子を作製した。
(参考例3)
有機電子輸送層の材料として、下記化10に示すオキサジアゾール系化合物を用いた以外は、上記参考例1と同様に素子を作製した。
【0027】
【化8】
Figure 0003547769
【0028】
【化9】
Figure 0003547769
【0029】
【化10】
Figure 0003547769
【0030】
また、オキサジアゾール系化合物の合成も上記参考例1の合成方法と同様の手
順で行なった。
このように作製した電界発光素子を、それぞれ以下(a2 )素子〜(a4 )素
子と称する。
(比較例1、2)
有機電子輸送層の材料として、下記化11、化12に示す縮合多環芳香族を有
していないオキサジアゾール系化合物を用いた以外は、上記参考例1と同様に素
子を作製した。
【0031】
【化11】
Figure 0003547769
【0032】
【化12】
Figure 0003547769
【0033】
このように、作製した電界発光素子を、それぞれ以下(x1 )素子、(x2 )
素子と称する。
〔実験1〕
上記参考例の(a 1 )(a 2 )(a 4 )素子、上記本発明の(a 3 )素子、及び、比較例の(x1 )素子、(x2 )素子を用いて、ホール注入電極2側にプラス、電子注入電極5側にマイナスを直流電圧として印加し、発光時間、最高輝度等の発光特性を調べたので、下記表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003547769
【0035】
発光色は、赤色で発光ピーク波長は630nmであった。
表1から明らかなように、本発明の(a3)素子は、比較例の(x1 )素子、(x2 )素子と比較して、発光時間が長かく、参考例と比べても最高輝度の値が最も高いことが分かる。これは、有機電子輸送層に用いたオキサジアゾール系化合物の製膜性が良く、結晶化しにくいため、化合物の結晶化による素子の破壊を抑えることができたためと考えられる。
【0036】
更に、製膜性の向上について調べるために、以下のような実験を行った。
〔実験2〕
上記(a)素子、(a)素子、及び、(x)素子(x)素子を用いて、製膜状態を調べたので、その結果を図2に示す。
具体的な実験条件としては、作成した素子を発光させずそのまま放置した場合の、素子1mm当たりの結晶領域の経時変化を調べた。
【0037】
図2から明らかなように、(x1 )素子(x2 )素子と比較して、参考例の(a1 )素子、(a4 )素子は、約1/2〜1/3結晶が発生しにくく、また結晶の成長も遅く製膜性が良いことがわかる。
〔その他の事項〕
上記実施例では素子構造が、3層構造についての説明を行なったが、2層構造の内でも、電子注入電極とホール注入電極との間に有機電子輸送層と、有機発光層とを有するSH−B構造のもので同様の効果を得ることができる。
【0038】
また、上記実施例では、縮合多環芳香族がアントラセン、または、ナフタレンであるオキサジアゾール系化合物についてしか述べていないが、本発明はこれに限らず、縮合多環芳香族としてフェナントレン、ピレンを用いることもできる。
これに加えて、複数のオキサジアゾール環の間に、アルキル鎖が存在するオキサジアゾール系化合物も用いることができる。
【0039】
更に、ホール注入電極として、上記実施例ではITO膜を用いたが、この他に金の半透明膜等、仕事関数が高く、透明性が高いものであれば用いることができる。
また、有機ホール輸送材料として、上記化1に示すジアミン誘導体(TPD)を用いたが、他の各種ジアミン誘導体(Y.Takeshita et.al.,Report on Progressin Polymer Physics in Japan,vol.30,503(1987))やポリビニルカルバゾール(T.Fujii et al.,J.PhotoPolymer Sci.and Tech.,vol.4,135(1991)) 等も用いることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製膜性に優れ、結晶化しにくい縮合多環芳香族基を有するオキサジアゾールを複数有したオキサジアゾール系化合物を、有機電子輸送層の材料として用いることにより、電界発光素子の耐久性が向上するという効果を奏した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例にかかる電界発光素子の断面図である。
【図2】電界発光素子1mm当たりの結晶領域の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 ホール注入電極
3 有機ホール輸送層
4 有機発光層
5 有機電子輸送層
6 電子注入電極

Claims (3)

  1. ホール注入電極と、電子注入電極との間に、有機発光層と有機電子輸送層とを備えた電界発光素子において、前記有機電子輸送層には、複数のオキサジアゾー ル環を1つのビフェニル基によって連結してなり、各オキサジアゾール環の置換基が3個以上のベンゼン環からなる縮合多環芳香族で構成されたオキサジアゾー ル系化合物が用いられていることを特徴とする電界発光素子。
  2. 上記縮合多環芳香族が、3個のベンゼン環からなるアントラセン、あるいはフェナントレンであることを特徴とする請求項1記載の電界発光素子。
  3. 上記縮合多環芳香族が、4個のベンゼン環からなるピレンであることを特徴とする請求項1記載の電界発光素子。
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