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JP3548660B2 - 超電導体、その前駆体、それらの製造方法、および超電導体の用途 - Google Patents
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JP3548660B2 - 超電導体、その前駆体、それらの製造方法、および超電導体の用途 - Google Patents

超電導体、その前駆体、それらの製造方法、および超電導体の用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超電導体に関し、詳しくは超電導体とその前駆体、およびそれらの製造方法、さらには超電導体の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物超電導体は、従来のNbGeでの臨界温度(Tc)=23〔K〕を超える高温超電導体である。なかでも、RBaCu7−x (式中、Rは希土類元素であって、Yやランタノイドを含む、0≦x≦1)系の超電導体(R123 系超電導体) は、Tcが90〔K〕にも達する。
【0003】
R123 系の超電導体の製造方法の一つとして溶融法が挙げられる。溶融法は、例えば、YBaCu7−x (Y123 )で説明すると、出発原料を加熱し、いったんYBaCuO(Y211 )相と液相とからなる半溶融状態にした後、晶出温度に下げてY123 相を晶出させる方法である。
溶融法によって形成されるR123 系の超電導体のなかでも、Y123 は臨界電流密度(Jc)の高いものとして知られている。
【0004】
従来、上記溶融法を用いてJcの高いR123 系(特にY123 )超電導体を形成するためには、超電導相であるY123 相が結晶成長するときに、Y123 相中に、非超電導相であるYBaCuO(Y211 )相などを微分散させることによって、Y123 のJcを向上させていた。この場合のY211 相は、ピンニングセンターとして作用すると考えられている。次いで、これを熱処理(酸素導入処理)し、こうしてY123 の結晶構造を正方晶から斜方晶へ転移し、超電導体とする。
【0005】
上記溶融法では、仕込み組成(出発原料の構成元素の比率)、Ptなどの添加物、結晶成長温度などを調節することによって、Y123 相の結晶成長中に分散させられるY211 相の量とサイズを制御していた。
しかし、上記従来の溶融法によって形成されるR123 系の超電導体の中でも高いTcと高いJcとを有する超電導体は、実質的には、Y123 だけであった。
また、近年、酸素分圧を制御した溶融法によってRをY以外の元素としたR123 を形成した実験例が報告されているが、それでも得られる超電導体のJcのピークは1〔T〕程度にあって、それより高い磁場にJcのピークを有するようなものは得られていない。
【0006】
上記Y123 のように、結晶成長中に、超電導相の中に非超電導相を微分散させて得られたものは、Y211 相のようなピンニングセンターとして作用するものがミクロンオーダーと大きいため、局磁場下でJcをより高めることができず、磁場の増大と共に単調にJcが低下するものであった。
【0007】
本発明の目的は、従来と同じ成分の材料を用いながら、従来の製造方法では得られなかった高いJcまたは異なる特性のJcを有する超電導体およびその前駆体を提供することである。さらには、本発明の超電導体の用途を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、上記した本発明の超電導体およびその前駆体の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が鋭意研究した結果、R123 系の超電導体には相分離状態が存在することを発見し、かつその相分離状態をコントロールすることによって従来にない特性を有する超電導体を形成することが可能であることを発見した。この発見に基づいてさらに研究を重ねた結果、上記した相分離状態は、結晶育成後、冷却時に起きる反応を抑制するため、得られた結晶をできるだけ早く冷却して超電導体の前駆体を得、この前駆体に、前駆体の相分離温度の上限と下限とを利用して熱処理を施せば、容易にコントロールすることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明によれば、(1)一般式(I):
1+x Ba2−x Cu7−y (I)
(式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1<y≦1である)で表される化合物からなる固溶体であって、相分離状態を呈する領域が固溶体結晶全領域の10%以下を占める超電導体の前駆体が提供される。
【0011】
(2)(1)の超電導体前駆体は、一般式(I):
1+x Ba2−x Cu7−y (I)
(式中の各記号は前記と同義)で表される化合物からなる結晶を、前駆体の相分離温度の上限(ta、℃)を超える温度(t、℃)(ta<t)に加熱した後、急冷することによって得られる。
【0012】
上記(1)記載の前駆体から形成される本発明の超電導体は、大きく分けると、次の互いに特徴の異なる(い)、(ろ)の2種類のタイプのものになる。
【0013】
(い)一般式(II):
1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
(式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の40%以上を占め、(77〔K〕、0〔T〕)および(77〔K〕、4〔T〕)の(温度、磁場)において、臨界電流密度が10000A/cm以上である超電導体。
【0014】
このタイプの超電導体は、上記(1)の前駆体に、tb≦t≦ta〔ta:前駆体の相分離温度の上限(℃)、tb:前駆体の相分離温度の下限(℃)〕を満足する温度t(℃)、即ち前駆体の相分離温度で、結晶中に相分離状態を呈する領域が形成されるように熱処理し、酸素導入することによって得られる。
【0015】
(ろ)一般式(II)
1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
(式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の10%以下を占め、温度77〔K〕一定下における磁場1〔T〕以上において、臨界電流密度が10000A/cm未満である超電導体。
【0016】
このタイプの超電導体は、(1)の前駆体を、前駆体のtb未満の温度で、結晶中に相分離状態を呈する領域が形成されないように酸素を導入することによって製造される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本明細書でいう「相分離温度」とは、本発明者等によってR123 系の材料に存在することが発見された、結晶が相分離状態になりうる温度範囲であり、構成元素(酸素を除く)の固相反応が可能な温度範囲である。この温度範囲はRの種類や式(I)の組成比によって特有の範囲を示す。
【0018】
本明細書でいう「相分離状態」とは、ひとつの結晶内に互いに異なる組成比をもつ複数の結晶構造の領域が局所的に分離して存在し、これらが互いに結晶相を異にする領域として観測される状態をいう。ただし、結晶全体としての組成比は、単相の時と同じである。R123 系の結晶における相分離状態は、本発明者らによって初めて着目されたものである。
例えば、Nd1+x Ba2−x Cu7−y (Nd123 )は、部分的に
Nd1+z Ba2−z Cu7−m とNd1+w Ba2−w Cu7−n (式中、0≦z≦1、0≦w≦1、−1≦m≦1、−1≦n≦1、ただしz≠w、m≠n)で表される2つの結晶に分離した領域を有し、2相分離状態を呈する。このような相分離状態は、例えば、電子顕微鏡によって観察可能である。全体としての組成比は単相の時と比べて変化はない。
【0019】
taよりも高い温度(ta<)においては、R123 系材料の結晶は単相(相分離状態が結晶全領域の10%以下を占めるものを含む)を呈する。また、tb≦t≦taでは、R123 系材料は固相反応を起こすことができ、それによって結晶中に相分離状態を呈し得る。tb未満の温度(<tb)においては、低温であるがゆえに実質的には固相反応を起こすことが困難であり、それまでの熱履歴で形成された組織の状態(酸素を除く)は、この温度域では実質的に維持される。
【0020】
本発明は、原料から目的の超電導体が形成されるまでの工程において、単相(相分離状態が結晶全領域の10%以下を占めるものを含む)結晶を有する中間物質(即ち、上記前駆体)を用いて形成することが重要な特徴の一つである。
前駆体は、本発明者等によって発見された相分離温度の範囲外の、上下いずれの温度にあってもよい。相分離温度の上限より高い温度にある前駆体は、結晶成長過程の温度から一度も相分離温度の上限以下の温度になったことのないものであってもよい。一方、相分離温度の領域の下限より低い温度にある前駆体は、本発明による製造方法が必須であって、相分離温度の上限外から下限外へと急冷することによって得られる。
このような前駆体に対して、相分離温度に関してコントロールされた熱処理を施すことによって、従来では得られなかった優れた特性を有する超電導体に到達できる。
【0021】
本発明の超電導体の前駆体(以下、単に前駆体ともいう)は一般式(I):
1+x Ba2−x Cu7−y (I)
(式中の各記号は前記と同義)で表される化合物からなる結晶を、相分離温度の上限(ta、℃)を超える温度(t、℃)に加熱し、その後急冷することによって得られる。
結晶の形成方法は種々の方法があるが、例えば、目的とする前駆体を構成する元素、即ち、R(希土類元素)、BaおよびCuを含む化合物あるいは化合物の混合物から、トラベリングソルベントフローティング法、トップシードソリューショングロス法、スロークーリング法等の方法により結晶を得る。
結晶の原料となるR(希土類元素)、Ba、CuおよびOを含む化合物は、例えば、Na、BaO、BaCO、CuO、BaCuO等の金属酸化物等が挙げられる。
さらに前駆体の原料として、必要なR123 系の成分比を全体として有するならば、酸素導入が不充分な段階の物質でも、さらには既に超電導体として形成されたものも使用できる。
【0022】
前駆体を形成するために用いられる原料は、その製造方法や熱履歴は限定されず、スパッタリングなど種々の成膜法を含む気相法、上記溶融法を含む液相法、焼結法を含む固相法など、公知の合成法によって形成されたものでよい。また、上記のように、全体の成分が等しければ、結晶の状態を問わない。
【0023】
これをta<tを満足する温度tに加熱した後、急冷すると、前駆体が室温などの低温ででも得ることができる。
【0024】
taは、R123 の代表例としてNd123 を取り上げると、Nd123 前駆体では、一般式(I)における組成比xの値によって変動するが、例えばx=0では、実施例6のように、500℃と600℃の間に存在する。同様に、tbも、x=0では、実施例6のように400℃と500℃の間に存在する。組成比xの各値についての正確なta、tbの値は、各々、500℃と600℃、400℃と500℃の間で実験温度のサンプリング間隔をより細分化し試行錯誤的に特定すればよい。
前駆体の加熱温度(急冷前の温度)は、taを超え、結晶の分解温度までであればどのような温度でもよいが、例えばx=0ではtaより約600℃程度以上、特に約900℃程度高くすれば好ましい結果が得られる。このような好ましい温度は、材料によって異なる。
また、急冷後の温度はtb未満である。tbよりもどの程度低い温度とすると好ましいかも材料によって異なり、例えば、x=0では約400℃程度以下とすると好ましい結果が得られる。後工程の熱処理に従って、急冷後の温度を室温とするなど適宜設定できる。
【0025】
本明細書において「急冷」とは、taを超える温度(急冷前の温度)から、好ましくはtb未満の温度(急冷後の温度)へ、結晶中に相分離状態を呈する領域が生じないような温度降下速度をもって、相分離温度域を通過することをいう。冷却中、即ち相分離温度を通過するときの温度降下の速さが緩やかになると結晶中で固相反応が起こり、相分離状態を呈する領域が生じるので、それが生じない程度に速い温度降下で冷却することをいう。
【0026】
温度降下の速さの上限は、鋼に対して焼き入れ処理を施す場合のように衝撃的に速い温度降下であってもよいが、通常、材料が熱的な衝撃で割れない程度の降下速度が好ましい。
【0027】
急冷方法としては、炉から直接室内において空気中に放置する方法や、急冷用の冷媒中に浸漬させる方法などが挙げられ、目的の生産物の形状や質量に応じて最適な方法を選択すればよい。
【0028】
急冷時の酸素雰囲気などの条件は特に問題としない。急冷工程で酸素を導入してもよいが、良好な超電導特性を得るためには後工程で十分な酸素導入をすることが好ましい。
【0029】
前駆体の具体的な製造工程の一例として、低酸素分圧下(1%酸素分圧)、一定温度(約1020℃)で比較的Nd−Baの置換の少ないNd123 結晶を成長させ、結晶成長後の急冷においては、結晶成長炉からできるだけ速く結晶を取り出すことによって、冷却時において相分離が生じるような徐冷の時間帯を排除する方法が挙げられる。
【0030】
このようにして得られた前駆体は、結晶構造がほぼ単相を呈するものである。この場合の単相とは、その結晶中における相分離状態を呈する領域が結晶全領域の10%以下、好ましくは1%以下を占めている結晶をいう。理想的には完全な単相、即ち相分離状態を呈する領域が0であることが望ましい。
Nd123 前駆体の結晶がどの程度の単相であるか、即ち、結晶全領域中における相分離状態を呈する領域の占める割合を計測する手段としては、電子顕微鏡による観測が挙げられる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、局部的にそのような領域を発見した場合、画面では分離した2相が10nm〜100nm程度の幅の帯として交互に並んだ縞模様、またはその縞模様が異方向に集合し織柄模様を呈するように見える。従って、試料から観測すべき箇所をn=20、無作為抽出し、その結果から結晶全領域中における相分離状態を呈する領域が占める割合を算出する。
【0031】
前駆体は単結晶であっても多結晶であってもよく、各々に用途があるが、例えば、高いJcを有する超電導体を形成してマグネットなどを構成するならば、単結晶のほうが好ましい。
【0032】
前駆体は、一般式(I):
1+x Ba2−x Cu7−y (I)
(式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1<y≦1である)で表される化合物からなる固溶体であり、超電導性は示さない。
一般式(I)におけるRは、希土類元素であって、Y、Sc、ランタノイドなどが例示される。ランタノイドは、原子番号57のLaから原子番号71のLuに至る15個の希土類元素の総称である。
Rの中でも、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuおよびGdは、R123 の固溶体を容易に形成するので、本発明に好適な元素である。特にNdは、Laと並んでTcが高く、また前駆体を単相で均一な固溶体として形成することが容易であり、さらに相分離を起こさせ易い点から好ましい元素である。
【0033】
固溶体は、Rが違う2種以上の混合物であってもよい。
特に固溶体が、一般式(I’):
R’1+x Ba2−x Cu7−y (I’)
(式中、R’はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素であり、xおよびyは前記と同義)で表される化合物と一般式(I’’):
R’’1+x Ba2−x Cu7−y (I’’)
(式中、R’’はランタノイドおよびYから選ばれる希土類元素であり、xおよびyは前記と同義)で表される化合物とを含む混合物からは、それぞれの元素固有の臨界電流密度の長所だけを加え合わせ、低磁場から高磁場まで高い臨界電流密度を示す超電導体を形成することが可能となる。
【0034】
このようにして得た前駆体に、熱処理および酸素導入処理を施すことによって超電導体が得られるが、熱処理の温度条件によってJc特性が大きく異なる2種類の超電導体が得られる。
その一方は、高いJcを示す超電導体(以下、「高Jc体」という)であり、他方は低いJcを示す超電導体(以下、「低Jc体」という)である。
【0035】
高Jc体は、前駆体をtb≦t≦taを満足する温度tに保って結晶中に相分離状態を呈する領域が形成されるように処理する。即ち前駆体を、tb≦t≦taを満足する温度tに、相分離状態が形成されるのに要する時間、保つ。この熱処理の前後に施される、本発明での熱処理とは違う熱処理の温度は、tb≦t≦taの範囲外である。ただし、得られた超電導体の形成された相分離状態が解消されて前駆体にもどることを避けるために、相分離状態が形成された後には、taよりも高い温度から急冷することは避ける。
【0036】
この相分離状態が形成される熱処理の時間は、温度や試料の組成によって異なるが、通常10h〜5000h、好ましくは50h〜500h程度である。一般に長時間である方が好ましい。
【0037】
超電導体となるために必要な酸素導入は、この熱処理中に行なってもよく、またその後該熱処理とは違う工程として行ってもよい。酸素導入処理のための詳しい条件は公知の通りである。
【0038】
得られた高Jc体は、一般式(II):
1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
(式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の40%以上を占め、(77〔K〕、0〔T〕)および(77〔K〕、4〔T〕)の(温度、磁場)において、Jcが10000A/cm以上である超電導体である。
一般式(I)の前駆体に熱処理、酸素導入処理を施して一般式(II)の超電導体が得られるので、一般式(I)での説明は一般式(II)についても援用される。また、一般式(I)R1+x Ba2−x Cu7−y から造られる超電導体(II)R1+x Ba2−x Cu7−y1のyとy1の関係はy<y1である。
また、前駆体が一般式(I’)と一般式(I’’)で表される化合物の混合物を使用すると、下記一般式(II’)と一般式(II’’)で表される化合物の混合物の超電導体が得られる。
R’1+x Ba2−x Cu7−y1 (II’)
R’’1+x Ba2−x Cu7−y1 (II’’)
(式中の各記号は前記と同義)
【0039】
上記高Jc体は、その結晶中において相分離状態を呈する領域が結晶全領域の40%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上を占有するものである。相分離状態を呈する領域の占有率の上限は特に限定されないが、好ましくは80%、さらに好ましくは90%程度である。
該高Jc体の場合、得られた超電導体のJcが最も高くなるように、相分離状態を呈する領域の占有率を決定することができる。
結晶中の相分離状態を呈する領域が占める割合を計測する手段については、上記前駆体の説明で述べたと同様の条件による電子顕微鏡による観測に加えて、SQUIDなどによる磁化測定が挙げられる。
【0040】
この高Jc体は、少なくとも(77〔K〕、0〔T〕)および(77〔K〕、4〔T〕)の(温度、磁場)において、臨界電流密度が10000A/cm以上となる。これは、この材料系では従来得られなかった高いJcを有する超電導体である。特に注目すべき特性は、従来にはなかった高い磁場においてJcのピークを示すことであり、従来77〔K〕において1〔T〕程度にあったJcのピークが、本発明の高Jc体では、2〔T〕以上でピークを示す。
例えば本発明の方法によって製造されたNd123 では、、図15の黒丸のプロットで示す(77〔K〕一定における磁場の強さとJcの関係を示す)ように、約4〔T〕(=約40000〔G〕)の付近に、約30000A/cmもの高いピークを有するJcの特性を示す超電導体となっている。
【0041】
低Jc体は、上記前駆体を形成し、これに、t<tbを満足する温度tで、結晶中に相分離状態を呈する領域が形成されることがないように酸素導入処理を施すことによって得られる。
上記温度範囲t<tbを満足する温度tでは、低温であるために結晶は相分離を起こさず、酸素だけが導入されて超電導体が形成される。
例えば、Nd123 では、一辺2mm程度の立方体の試料であれば、酸素供給状態を100%のフロー状態として、340℃で200h保持する熱処理の例が挙げられる。
超電導体となるための酸素導入処理はこの熱処理中に行なわれるが、要望によって別の工程としてさらに酸素を導入してもよい。酸素導入処理のための詳しい条件は公知の通りでよい。
【0042】
この熱処理(酸素導入処理を含む)によって得られた低Jc体は、結晶中に相分離状態を呈する領域が形成されず、その結晶構造は上記前駆体とほぼ同様、相分離状態を呈する領域が結晶全領域の10%以下となる。
相分離状態について、および、相分離状態を呈する領域が占める割合を計測する手段については、上記高Jc体の場合と同様である。
【0043】
低Jc体は、温度が77〔K〕一定の場合、磁場1〔T〕以上における臨界電流密度が、10000A/cm未満の特性を有する超電導体である。
なかでも、Nd123 では、77〔K〕一定における磁場の強さとJcの関係を、図4の黒丸のプロットで示すように、0〔T〕から約5〔T〕においてJcが単調に減少するという、従来のNd123 にはなかった、新たなJcの特性を示す超電導体となっている。
【0044】
本発明の超電導体によって、種々の優れた製品が得られる。
例えば、高Jc体を導電部分として用いることによって、従来よりも強い磁場を発生させ得るなどの優れた磁気特性を有するマグネットを構成することができる。マグネットの態様は限定されないが、超電導コイルや、超電導テープなどの態様が挙げられる。
また、低Jc体を導電部分として用いることによって、例えばNd123 では従来形成できなかった、ジョセフソン効果を利用した種々の超電導素子が形成できる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す。
実施例1
本実施例では、Nd123 の前駆体を実際に製造した例を示す。
製造目標とした前駆体の組成は、Nd1.0 Ba2.0 Cu3.0 6.0 である。
Ndるつぼ内にNd−Ba−Cu−O溶液を1000〜1100℃の温度に保持し、液相からNd123 結晶を引き上げる方法によって、Nd123 結晶を形成すると共に、液面上の空中(室温)で急速に冷却し、前駆体を得た。
図1は、液相からNd123 結晶を引き上げる際に、Nd123 の結晶に対して作用する温度変化を模式的に示すグラフ図である。
【0046】
得られた前駆体の結晶を透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価したところ、結晶全体は、ほとんど、均一固溶体の単相を呈しており、相分離状態を呈する部分は発見できなかった。測定箇所は、無作為に抽出した20箇所である。
【0047】
実施例2
本実施例では、上記実施例1で製造した前駆体を用いて、低Jc体を製造した例を示す。
図2は、前駆体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。酸素雰囲気下で、同グラフに示すように、この前駆体のtb未満の温度である340℃にて200時間保持した後、炉内(グラフ中a: Cooled in the furnace、以下同)で室温( R.T. )まで温度降下させた。酸素の供給条件はフロー状態によるO−100%の雰囲気である。
この熱処理によって、前駆体に、組織中に相分離状態を呈する領域が新たに形成されることなく酸素導入処理が施され、低Jc体が得られた。
【0048】
本実施例によって得られた低Jc体の77〔K〕におけるTcとJcを、SQUID(超電導量子干渉計)により測定した。
図3は、Tcを計測した結果を示すグラフであって、超電導転移温度までの冷却時に、磁場を作用させた場合(FC)と、磁場を作用させなかった場合(ZFC)について、測定している。測定時においては、結晶のc軸に平行に10〔G〕の磁場を作用させた。
図3から明らかなように、96.5〔K〕において超電導転移を示しており、本実施例によって得られた低Jc体の臨界温度(Tc)は、96.5〔K〕であった。
【0049】
図4は、本実施例で得られた低Jc体のJcの特性、即ち、外部から磁場を作用させた時のJcの変化を計測した結果を示すグラフである。Jcはエクステンディッドビーンモデルにより算出した。また、外部から作用させる磁場の方向を変えて2通り計測し、試料結晶のa軸に平行に磁場を作用させた場合の結果を白丸でプロットし、試料結晶のc軸に平行に磁場を作用させた場合の結果を黒丸でプロットした。
図4から明らかなように、本発明の低Jc体は異方性を示さず、外部から作用させる磁場の方向が異なっても、Jcは同様の単調現象の特性を示す。そして、結晶のa軸、c軸いずれの軸に平行に磁場を作用させた場合でも、77〔K〕、10000〔G〕(=1〔T〕)の磁場の強では、10000A/cm未満であり、磁場の増大に伴い、単調に減少する特性であることが分かる。このようなJcの特性は、従来公知の溶融法によって形成されたNd123 には無かった特性である。
【0050】
実施例3
本実施例では、上記実施例1で製造した前駆体を用いて、高Jc体を製造した例を示す。
図5は、前駆体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。酸素雰囲気下、図5に示すように、前駆体を、前駆体のtaよりも高い温度である600℃まで加熱し、その温度からtb未満の温度350℃まで、200時間かけて降下させた後、炉内( Cooled in the furnace; 炉冷)で室温( R.T. )まで温度降下させた。酸素の供給条件はフロー状態によるO−100%の雰囲気である。
この600℃から350℃までの徐冷には、相分離温度にて試料を保持する工程(時間帯)が十分に含まれており、前駆体の組織中に相分離状態を呈する領域が新たに形成されると共に、酸素導入がなされた。
【0051】
得られた試料の組織を、実施例1の前駆体と同様の組織評価方法にて評価したところ、極微細な相分離状態が確認できた。
【0052】
図6は、本実施例で得られた高Jc体のJcを計測した結果を示すグラフ図である。Jcの計測条件およびグラフの表示方法などは、上記実施例2における図4と同様である。
図6から明らかなように、本実施例によって得られた高Jc体は、上記実施例2における低Jc体の場合と異なり、結晶軸について異方性を示し、外部から作用させる磁場の方向によってJcは異なる特性を示した。
特に、同図のグラフ中の黒丸によるプロットから明らかなように、c軸に平行に磁場を作用させた場合、磁場5000〔G〕付近ではJcは13000A/cm程度の極小となるが、高磁場側においては従来のこの材料系には無かった高いピークを持ち、約30000〔G〕では25000A/cmに達していることが分かった。
【0053】
実施例4
本実施例は、上記実施例3と同様、実施例1で得た前駆体を用いて高Jc体を製造した例であるが、実施例3の熱処理の後にさらに酸素導入処理工程を付け加えた。
図7は、前駆体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。同図(a)に示す熱処理の条件は、実施例3における熱処理(図5)と同様である。また、同図(b)に示す熱処理の条件は、実施例2における熱処理(図2)と同様である。
即ち、本実施例は、上記実施例3の高Jc体に対して、上記実施例2と同様の酸素導入処理を施した例であり、このことによって、高Jcの原因が、Nd123 結晶内の酸素欠陥(酸素濃度のむら)ではないことがわかる。
【0054】
図8は、上記熱処理を施したあとの試料のJcを計測した結果を示すグラフ図である。Jcの計測条件、グラフの表示方法などは、上記実施例2における図4のグラフと同様である。
図8から明らかなように、本実施例で得た試料は、上記実施例3で得た高Jc体のJc特性(図6)とほとんど同様の特性を有すものである。このことから、酸素欠陥が高Jcの要因ではなく、600℃から350℃に至る過程に存在する相分離温度の領域において固相反応が起こり、これが高Jcの要因となっていることが確認できた。
【0055】
実施例5
本実施例は、上記実施例4で得られた高Jc体に対してtaよりも十分高い温度900℃にて熱処理を施した後、室温まで急冷し、さらに実施例2と同様の酸素導入処理工程を施した例である。即ち、本実施例は、いったん高Jc体が形成された後に、この結晶の履歴を消してこれを前駆体に戻すことができるかどうかを確認した実験である。
【0056】
図9は、超電導体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。同図(a)(グラフ中b: Quenched in air、以下同)に示す熱処理は、試料に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフ図である。同図のグラフに示すように、試料(超電導体)を、この試料のtaよりも高い温度である900℃にて100時間保持した後、炉内からすばやく取出し、エアークエンチした。
また、同図(b)に示す熱処理は、同図(a)に示す熱処理を施した後の試料(前駆体)に対して施した熱処理を示すグラフ図であって、実施例2で行った熱処理(図2のグラフ)と同様である。
【0057】
図10は、上記熱処理を施したあとの試料(超電導体)のJcを計測した結果を示すグラフ図である。Jcの計測条件、グラフの表示方法などは、上記実施例2における図3のグラフと同様である。
図10から明らかなように、得られた超電導体は、高磁場側のピークが消え、実施例2と同様の低Jc体になっている。この結果から、高磁場側においてピークを持つ高Jc体であっても、本発明で規定する熱処理を施すことにより高磁場側のピークを消して前駆体に戻し、さらにこの前駆体に本発明で規定する処理を施すことにより低Jc体にすることが可能であることがわかった。
【0058】
実施例6
本実施例では、実施例1で製造した前駆体に対して、図11、12、13に示すように、600℃、500℃、400℃の3種類の温度で保持した〔図11(a)、図12(a)、図13(a)〕後急冷した。その後、各々酸素導入処理を十分施し〔図11(b)、図12(b)、図13(b)〕、得られた超電導体の特性からこの材料の相分離温度の範囲を概略的に調べた。
図14、15、16に示すJc特性は、各々、図11、12、13に示す3種類の熱処理の結果に対応するものである。
【0059】
図11(a)のグラフのように、前駆体に対する熱処理温度が600℃のときは、図14のグラフのようなJcが単調減少を示す低Jc体が得られた。即ち、相分離状態はなく固相反応は起こらなかった。従って、600℃は相分離温度の範囲の外側にあるといえる。
【0060】
また、図12(a)のグラフのように、前駆体に対する熱処理温度が500℃のときは、図15のグラフのようにJcは高磁場側約40000〔G〕においてピーク30000A/cmを示し、高Jc体となっていることが分かる。即ち、相分離状態を有し、固相反応が起きたことがわかる。従って、500℃は相分離温度の範囲内にあるといえる。
【0061】
さらに、図13(a)のグラフのように、前駆体に対する熱処理温度が400℃のときは、図16のグラフのようなJcが単調減少を示す低Jc体が得られた。即ち、前記600℃の場合と同様、相分離状態はなく固相反応は起こらなかった。従って、400℃は相分離温度の範囲の外側にあるといえる。
【0062】
これらの結果から、600℃は相分離温度よりも高く、500℃は相分離温度の範囲内、400℃は相分離温度よりも低い温度であることがわかる。従って、相分離温度の上限taが500℃と600℃との間に存在し、相分離温度の下限tbが400℃と500℃との間に存在することがわかる。
【0063】
比較例1
本比較例では、従来の溶融法によって形成した場合の、Y123 およびNd123 超電導体の従来例を示す。
Nd123 の形成条件は、低酸素分圧下において結晶を成長させた後、図17に示す温度降下条件にて酸素導入処理を行ったものである。このような従来例ではこの材料系における相分離状態および相分離温度の存在を意識することもなく、温度降下させていたことがよくわかる。
【0064】
図18は、このようにして得た超電導体のJc特性を計測した結果を示すグラフである。図18中、太い実線はNd123 、破線はY123 を示している。図18から明らかなように、従来法によるY123 超電導体のJc特性は単調減少、Nd123 超電導体のJc特性は、約12000〔G〕程度にピークがあり、本発明によって得られる高Jc体とは全く異なる事がわかる。
【0065】
【発明の効果】
上記のように、本発明によって、熱処理条件を変えるだけで、微細構造を制御することが可能となり、従来の同じ成分の材料では得られなかった高いJcまたは異なる特性のJcを有する超電導体を提供することができる。
また、本発明による超電導体によって、高いTc、高いJcを有する超電導コイルなどの優れたマグネットを形成することができる。また、例えば、Nd123 などでは従来得られなかった素子を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、前駆体を形成する為の熱処理の温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図2】実施例2において、前駆体に対して施した熱処理の温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図3】実施例2で得られた超電導体(低Jc体)の臨界温度を計測した結果を示すグラフである。
【図4】実施例2で得られた超電導体(低Jc体)の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフである。
【図5】実施例3において、前駆体に対して施した熱処理の温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図6】実施例3で得られた超電導体(高Jc体)の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフ図ある。
【図7】実施例4において、前駆体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図8】実施例4で得られた超電導体(高Jc体)の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフである。
【図9】実施例5において、試料に対して施した熱処理の温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図10】実施例5で得られた超電導体の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフである。
【図11】実施例6において、前駆体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図12】実施例6において、前駆体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図13】実施例6において、前駆体に対して施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフ図である。
【図14】実施例6において、図11に示す熱処理で得られた超電導体の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフである。
【図15】実施例6において、図12に示す熱処理で得られた超電導体の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフである。
【図16】実施例6において、図13に示す熱処理で得られた超電導体の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフである。
【図17】比較例において、Nd123 超電導体を形成するために施した熱処理の、温度と時間との関係を模式的に示すグラフである。
【図18】比較例において得られたY123 、Nd123 超電導体の臨界電流密度を計測した結果を示すグラフである。

Claims (19)

  1. 一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1<y≦1である)で表される化合物からなる固溶体であって、相分離状態を呈する領域が固溶体結晶全領域の10%以下を占める超電導体の前駆体。
  2. 一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中の各記号は前記と同義)で表される結晶を、前駆体の相分離温度の上限を超える温度に加熱した後、急冷することによって得られる請求項1記載の超電導体の前駆体。
  3. Rが、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素である請求項1記載の超電導体の前駆体。
  4. 固溶体が、一般式(I’):
    R’1+x Ba2−x Cu7−y (I’)
    (式中、R’はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素であり、xおよびyは前記と同義)で表される化合物と一般式(I’’):
    R’’1+x Ba2−x Cu7−y (I’’)
    (式中、R’’はランタノイドおよびYから選ばれる希土類元素であり、xおよびyは前記と同義)で表される化合物とを含む混合物である請求項1記載の超電導体の前駆体。
  5. 一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1<y≦1である)で表される結晶を、前駆体の相分離温度の上限を超える温度に加熱した後、急冷することからなる、一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中の各記号は前記と同義)で表される化合物からなる固溶体であって、相分離状態を呈する領域が固溶体結晶全領域の10%以下を占める超電導体の前駆体の製造方法。
  6. Rが、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素である請求項5記載の超電導体前駆体の製造方法。
  7. 固溶体が、一般式(I’):
    R’1+x Ba2−x Cu7−y (I’)
    (式中、R’はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素であり、xおよびyは前記と同義)で表される化合物と一般式(I’’):
    R’’1+x Ba2−x Cu7−y (I’’)
    (式中、R’’はランタノイドおよびYから選ばれる希土類元素であり、xおよびyは前記と同義)で表される化合物とを含む混合物である請求項5記載の超電導体前駆体の製造方法。
  8. 一般式(II):
    1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の40%以上を占め、(77〔K〕、0〔T〕)および(77〔K〕、4〔T〕)の(温度、磁場)において、臨界電流密度が10000A/cm以上である超電導体。
  9. Rが、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素である請求項8記載の超電導体。
  10. 超電導体が、一般式(II’):
    R’1+x Ba2−x Cu7−(y−y1) (II’)
    (式中、R’はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素であり、x、yおよびy1は前記と同義)で表される化合物と一般式(II’’):
    R’’1+x Ba2−x Cu7−(y−y1) (II’’)
    (式中、R’’はランタノイドおよびYから選ばれる希土類元素であり、x、yおよびy1は前記と同義)で表される化合物とを含む混合物である請求項8記載の超電導体。
  11. 一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1<y≦1である)で表される化合物からなる固溶体であって、相分離状態を呈する領域が固溶体結晶全領域の10%以下を占める超電導体の前駆体を、前駆体の相分離温度(℃)で結晶中に相分離状態を呈する領域を形成するように熱処理し、かつ酸素を導入することによって得られる請求項8記載の超電導体。
  12. 一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y≦1である)で表される化合物からなる固溶体であって、相分離状態を呈する領域が固溶体結晶全領域の10%以下を占める超電導体の前駆体を、前駆体の相分離温度(℃)で結晶中に相分離状態を呈する領域を形成するように熱処理し、かつ酸素を導入することを含む、一般式(II):
    1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の40%以上を占め、(77〔K〕、0〔T〕)および(77〔K〕、4〔T〕)の(温度、磁場)において、臨界電流密度が10000A/cm以上である超電導体の製造方法。
  13. 一般式(II)
    1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の10%以下を占め、温度77〔K〕一定下における磁場1〔T〕以上において、臨界電流密度が10000A/cm未満である超電導体。
  14. Rが、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素である請求項13記載の超電導体。
  15. 超電導体が、一般式(II’):
    R’1+x Ba2−x Cu7−y1 (II’)
    (式中、R’はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、EuまたはGdの希土類元素であり、xおよびy1は前記と同義)で表される化合物と一般式(II’’):
    R’’1+x Ba2−x Cu7−y1 (II’’)
    (式中、R’’はランタノイドおよびYから選ばれる希土類元素であり、xおよびy1は前記と同義)で表される化合物とを含む混合物である請求項13記載の超電導体。
  16. 一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1<y≦1である)で表される化合物からなる固溶体であって、相分離状態を呈する領域が固溶体結晶全領域の10%以下を占める超電導体の前駆体を、前駆体の相分離温度の下限未満の温度で酸素を導入して得られたものである請求項13記載の超電導体。
  17. 一般式(I):
    1+x Ba2−x Cu7−y (I)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1<y≦1である)で表される化合物からなる固溶体であって、相分離状態を呈する領域が固溶体結晶全領域の10%以下を占める超電導体の前駆体を、前駆体の相分離温度の下限未満の温度で酸素を導入する工程を含む、一般式(II)
    1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の10%以下を占め、温度77〔K〕一定下における磁場1〔T〕以上において、臨界電流密度が10000A/cm未満である超電導体の製造方法。
  18. 一般式(II)
    1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−1≦y1<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の40%以上を占め、(77〔K〕、0〔T〕)および(77〔K〕、4〔T〕)の(温度、磁場)において、臨界電流密度が10000A/cm以上である超電導体からなる導電部分を有することを特徴とするマグネット。
  19. 一般式(II)
    1+x Ba2−x Cu7−y1 (II)
    (式中、Rは希土類元素を示し、0≦x≦1、−10≦y<1である)で表される化合物からなり、相分離状態を呈する領域が超電導体結晶全領域の10%以下であって、温度77〔K〕一定下における磁場1〔T〕以上において、臨界電流密度が10000A/cm未満である超電導体からなる導電部分を有することを特徴とする超電導素子または電子部品。
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