JP3550868B2 - 可変遅延回路 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可変遅延回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から可変遅延回路は、アナログ方式の可変遅延回路が多用されている。例えば、社団法人電子情報通信学会の信学技報SDM94−32,ICD94− 43(1994年5月)の“PLLによるクロック比例タイミング発生回路を搭載した220MHzパイプライン動作の16Mb BiCMOS SRAM”と題する論文に記載されているVCO(Voltage Controlled Oscillator)はその代表的な回路である。
【0003】
図1にこの可変遅延回路の回路図を示す。この図で、nチャネル電界効果トランジスタN21,N11で構成されるのが電流源であり、pチャネル電界効果トランジスタP1,P2〜Pmとnチャネル電界効果トランジスタN1,N2〜 NmとインバータIV1,IV2〜IVm及び出力回路IVOとで構成されるのが遅延回路である。また、P11,P12,N12はカレントミラー回路を構成しており、電流源の発生する電流を遅延回路に供給するための一種のインターフェイス回路である。
【0004】
以下この可変遅延回路の動作を簡単に説明する。本回路は、入力信号INを入力し、この信号をある遅延時間だけ遅延させて、出力信号OUTとして出力する。この遅延時間は、遅延時間コントロール信号VINのレベルによって制御される。
【0005】
N21,N11は電流源を構成しており、N11のゲートには一定電圧が印加されているので、N11は一定電流を発生している。また、N21のゲートには遅延時間コントロール信号VINが印加されており、VINが低レベルの時、 N21は小さな電流を、またVINが高レベルの時、N21は大きな電流を発生する。これらN11,N21で発生した電流は、カレントミラー回路P11, P12,N12によって、遅延回路を構成するP1,P2〜Pm及びN1,N2〜Nmに供給される。
【0006】
ところで、遅延回路を構成するインバータIV1,IV2〜IVmの遅延時間は、P1,P2〜Pm及びN1,N2〜Nmに流れる電流値に略反比例するので、入力信号INが入力されてから出力信号OUTが出力されるまでの遅延時間も電流値に略反比例する。以上の動作により、遅延時間コントロール信号VINのレベルによって、遅延回路の遅延時間を制御することが可能となる。
【0007】
遅延時間コントロール信号VINはアナログ信号であり、そのレベルの高低によって電流値を制御する。従って、VINにノイズが発生すると、電流値が変動し、その結果遅延回路の遅延時間が変動してしまうという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、電流値の制御をアナログ信号でなく、デジタル信号で行えばよいと考え、図2に示すような可変遅延回路について検討した。この図の遅延回路及びカレントミラー回路の構成は図1と全く同じである。また、図2には電流源を制御するカウンタCNTも示してある。
【0009】
カウンタCNTはカウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、これらの信号に応じてクロック信号CKが入力される毎にカウント数を増加または減少し、このカウント数を2進数のカウンタ出力値S1〜Snとして出力する。
【0010】
また、図2の電流源は、nチャネル電界効果トランジスタN21,N22〜 N2nとN11で構成されている。N11のゲートには一定電圧が印加されているので、N11は一定電流を発生している。また、N21〜N2nのゲートにはカウンタ出力値S1〜Snが印加されており、Si(i=1〜nの整数)が0 (Lレベル)の時は、N2iがオフし、N2iは電流を発生しない。また、Siが1(Hレベル)の時は、N2iがオンし、N2iは電流を発生する。なお、 N2iが発生する電流はN2iゲート幅に比例するので、N2iのゲート幅を2の(i−1)乗(以下2^(i−1)と表現する)に比例するように設定すると、N21〜N2nとN11で構成される電流源全体の電流値は上記カウンタのカウント数に比例した値となる。
【0011】
このように、電流値の制御をアナログ信号でなくデジタル信号で行うと、前記ノイズ発生による遅延時間の変動という問題を解決することができる。
【0012】
しかし、図2の回路をさらに詳細に検討した結果、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ったまま、最小可変幅を縮小するのが困難であるという別の問題が存在することがわかった。以下この問題点について述べる。
【0013】
今、図2のN11の電流値を0.1[mA],N21〜N2n がオンしている時のそれぞれN2iの電流値を0.05×2^(i−1)[mA]に設定すると、電流源全体の電流値Iは、I[mA]=0.1+0.05×pとなる。ここで、p(10進数)はカウンタのカウント数であり、p=S1×2^0+S2×2^1+S3×2^2+………という関係が成立している。
【0014】
ところで、既に述べたように遅延回路の遅延時間tpdはこの電流値Iに略反比例する。今、tpdが、tpd[ps]=500+50/I[mA]と表されるとすると、結局、tpd[ps]=500+50/(0.1+0.05×p)となる。すなわち、このカウント数pと遅延時間tpdとの関係は図3に示すように反比例の関係になる。
【0015】
一般に可変遅延回路の性能は、遅延時間をどれくらい大きな範囲まで変化できるかを表す最大可変範囲と、その範囲内でどれくらい小さな幅で遅延時間を変えることができるか、すなわち分解能を表す最小可変幅とによって評価される。通常、この最大可変範囲は大きく、かつ最小可変幅は小さい方が、すなわち大きな範囲を細かく変えられる方がよい。図3より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は1000−559= 441[ps]であることがわかる。一方、可変幅はカウント数が小さい時は大きく、カウント数が大きい時は小さくなっていることがわかる。最小可変幅(分解能)は可変幅が最も大きい所で律則(制限)されるので、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、1000−833=167[ps]となる。
【0016】
以上の説明から、図3のようにカウント数pと遅延時間tpdとが反比例の関係にある図2のような可変遅延回路では、遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ったまま、最小可変幅を縮小するのが困難であることがわかる。すなわち、上述したように、遅延時間の最小可変幅(分解能)は可変幅が最も大きい所で律則(制限)されるので、図3においては、最小可変幅はカウント数が小さい時の特性に律則されてしまう。
【0017】
本発明の目的は、デジタル方式の可変遅延回路の、遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、基本的には、可変遅延回路の遅延時間の可変幅をカウント数によらずほぼ一定にすることにより達成される。
【0019】
これを実現するために本発明が採用した手段は、カウントアップ信号またはカウントダウン信号を入力し、上記信号に応じてカウント数を増加または減少し、カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタと、上記カウンタ出力値を入力し、上記カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源と、上記電流源に駆動され、遅延時間が上記電流源の電流値に略反比例する遅延回路とで構成され、上記カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、上記遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、上記カウンタはカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、上記電流源はカウンタ出力値に略比例する電流を発生する電流源とする手段、または、上記カウンタはカウント数(またはその補数)に略比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、上記電流源はカウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源とする手段である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図4は本発明の第1の実施例を示す図である。本実施例では本発明に従って、カウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、カウント信号に応じてカウント数を増加または減少し、カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタNLCNTと、カウンタ出力値を入力し、カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源(N11,N21〜N2n)と、電流源に駆動され、遅延時間が電流源の電流値に略反比例する遅延回路(P1,P2〜PmとN1,N2〜NmとIV1,IV2〜IVm及びIVO)とで構成され、カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、カウンタNLCNTはカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、電流源はカウンタ出力値に略比例する電流を発生する電流源としている。
【0021】
すなわち、本実施例の電流源と遅延回路は図2と同じであり、カウンタのみが異なっている。図2のカウンタCNTは、カウント数を2進数のカウンタ出力値S1〜Snとして出力しており、言い換えるとカウント数に比例するカウンタ出力値を出力していた。一方、本実施例のカウンタNLCNTはカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するようにしている。このようなカウンタの具体的な構成例については後述する。さて、このようにカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタを使用すると、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることを以下に示す。
【0022】
今、カウンタのカウント数をp(10進数),カウンタ出力値をq(10進数)とする。既に述べたように、本発明の目的は、可変遅延回路の遅延時間の可変幅をカウント数によらずほぼ一定にすることにより達成される。すなわち、遅延時間tpdがカウント数p(またはその補数)に比例するようにすればよい。今、カウント数pが図3と同様に0〜15の範囲で変化するとし、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、tpdの最大値を1000[ps], tpdの最小値を550[ps]とするには、tpd[ps]=550+30×(15−p)が成立するようにすればよい。ここで、(15−p)はpの補数であり、tpdはpの補数に比例している。
【0023】
一方、図4の電流源はカウンタ出力値qに略比例する電流を発生する電流源なので、その電流値IをI=I0+q×I1と書き表す。既に述べたように、遅延回路の遅延時間tpdは電流源の電流値Iに略反比例し、例えば、tpd[ps]=500+50/I[mA]と表される。今、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、tpdの最大値が1000[ps],tpdの最小値が550[ps]となるように、I0とI1を設定する。tpdが最大になるのは、q=0の時なので、上式よりI0=0.1[mA]となる。また、tpdが最小になるのは、qが最大の時なので、例えばqの最大値を100程度に設定すると、上式よりI1=0.01[mA]となる。
【0024】
以上より、tpdをpの関数及びqの関数として書き表せたので、両者を等しいと置くと、pとqの関係がq=500/{5+3×(15−p)}−10のように求まる。この式より、カウント数pが0,1,2,3,4〜15のように変化した時、カウンタ出力値qが0,1,2,3,4,5,6,7,9,12,15,20,26,35,53,90のように変化するカウンタを用いると、カウント数pと遅延時間tpdとの関係は図5のようになる。図5より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は 1000−550=450[ps]であることがわかる。一方、可変幅はカウント数によらずほぼ一定になっており、可変幅が最も大きい所でもその値は1000−955=45[ps]となっている。すなわち、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、45[ps]となり、図3の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を図3の167[ps]から45[ps]に、すなわち27%に縮小できる。
【0025】
以上より、カウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタを使用すると、遅延時間tpdがカウント数(またはその補数)に略比例し、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることがわかる。
【0026】
図7はカウンタの従来例を示す図である。このカウンタは、例えば図2に示したカウンタCNTに適用できる。本カウンタは5個のフリップフロップ回路FFで構成される。フリップフロップ回路FFの具体的な構成例については後述する。このカウンタはカウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、これらの信号に応じてクロック信号CKが入力される毎にカウント数を増加または減少し、このカウント数を2進数のカウンタ出力値S1〜S5として出力する。なお、本図のTCはクロック信号CKのディスエイブル信号であり、通常TCはHレベルになっている。このTCをLレベルにすると、クロック信号CKが入力されてもカウント数の増加または減少が行われないように制御することが可能になる。また本図のRSはリセット信号であり、RSをLレベルにすると、カウンタ出力値S1〜S5は全て0にリセットされる。また、本図のS1〜S5をUPまたはDNが入力されるゲートにフィードバックしているのは、カウンタ出力値が0の時DN信号をディスエイブルするため、及びカウンタ出力値が15の時UP信号をディスエイブルするためである。
【0027】
図8は本発明の第2の実施例を示す図であり、図4に示したカウンタNLCNT の構成例を示している。本カウンタはカウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、これらの信号に応じてクロック信号CKが入力される毎にカウント数を増加または減少し、このカウント数に対応する2進数のカウンタ出力値S1〜S5を出力する。本図が図7と異なるのは、S4,S5を用いて /C1,/C2,/C4を発生し、(S5,S4)=(0,0)の時は、図7と同様UP及びDN信号がS1を出力するフリップフロップ回路に入力されるようにし、(S5,S4)=(0,1)の時は、UP及びDN信号がS2を出力するフリップフロップ回路に入力されるようにし、(S5,S4)=(1,0)または(1,1)の時は、UP及びDN信号がS3を出力するフリップフロップ回路に入力されるようにしている点である。カウンタをこのように構成すると、カウント数pが0,1,2,3,4〜15のように変化した時、カウンタ出力値qは0,1,2,3,4,5,6,7,8,10,12,14,16,20,24,28のように変化する。
【0028】
同様の原理で、多少複雑にはなるものの、図4の説明で述べたような、カウント数pが0,1,2,3,4〜15のように変化した時、カウンタ出力値qが0,1,2,3,4,5,6,7,9,12,15,20,26,35,53, 90のように変化するカウンタを構成できるのは明らかである。しかし、実際にはこのように複雑にしなくても、本図に示したカウンタでも十分本発明の効果は得られる。
【0029】
図6は、図8のカウンタを図4のカウンタNLCNTに適用した場合の、カウント数pと遅延時間tpdとの関係を示している。ただし、この場合ではqの最大値が28なので、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、図4の説明で述べたI1 の値をI1=0.03[mA]に設定している。図6より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は1000−553=447[ps]であることがわかる。一方、可変幅が最も大きい所でもその値は1000−885=115[ps]となっている。すなわち、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、115[ps]となり、図3の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を図3の167 [ps]から115[ps]に、すなわち69%に縮小できる。
【0030】
図9は本発明の第3の実施例を示す図であり、図8に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路FFの具体的な構成例を示している。本回路は、よく知られた2個のNAND回路の入出力を互いにクロスカップルしたラッチ回路を2組設けたフリップフロップ回路を基本構成としている。従って、本フリップフロップ回路の動作については、当業者にとって明らかなので、ここでの説明は省略する。なお、本回路は図7に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路 FFにも使用できる。
【0031】
図10は本発明の第4の実施例を示す図であり、図8に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路FFの他の具体的な構成例を示している。本回路も、よく知られた2個のNAND回路の入出力を互いにクロスカップルしたラッチ回路を2組設けたフリップフロップ回路を基本構成としている。従って、本フリップフロップ回路の動作については、当業者にとって明らかなので、ここでの説明は省略する。なお、本回路は図7に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路FFにも使用できる。
【0032】
図11は本発明の第5の実施例を示す図である。本実施例では本発明に従って、カウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、信号に応じてカウント数を増加または減少し、カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタCNTと、カウンタ出力値を入力し、カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源(SW1,SW2〜SWn及びR0,R1,R2 〜Rn)と、電流源に駆動され、遅延時間が電流源の電流値に略反比例する遅延回路(P1,P2〜PmとN1,N2〜NmとIV1,IV2〜IVm及びIVO)とで構成され、カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、カウンタCNTはカウント数(またはその補数)に略比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、電流源はカウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源としている。
【0033】
すなわち、本実施例のカウンタと遅延回路は図2と同じであり、電流源のみが異なっている。既に述べたように、図2の電流源はnチャネル電界効果トランジスタN21,N22〜N2nとN11で構成されており、この電流源の電流値はカウンタのカウンタ出力値に比例した値となっている。
【0034】
一方、本実施例の電流源は、カウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源になっている。すなわち、本実施例の電流源は、抵抗RiとスイッチSWi(i=1〜nの整数)を並列接続した回路を複数個直列接続した回路ブロックを含んで構成され、カウンタの出力値Siでスイッチのオンとオフを制御することで回路ブロックの抵抗を変化させ、回路ブロックの抵抗に略反比例する電流値を発生する電流源になっている。
【0035】
図11のスイッチSWiはカウンタ出力値Siで制御されており、Siが0 (Lレベル)の時は、SWiがオフし、抵抗RiとスイッチSWiを並列接続した回路の抵抗値はRi[Ω]となる。また、Siが1(Hレベル)の時は、SWiがオンし、抵抗RiとスイッチSWiを並列接続した回路の抵抗値は0[Ω]となる。今、抵抗値Riを2^(i−1)に比例するようにRi=2^(i−1)×R1に設定すると、抵抗R0と抵抗Ri及びスイッチSWiで構成される回路ブロック全体の抵抗RTは、RT=R0+S1×2^0×R1+S2×2^1×R1 +………+Sn×2^(n−1)×R1=R0+q×R1(qはカウンタ出力値であり、q=S1×2^0+S2×2^1+S3×2^2+………という関係が成立している)となり、電流源の電流値Iは、I=VT/RT(VTは回路ブロック全体にかかる電圧)となる。すなわち、回路ブロック全体の抵抗RTはカウンタのカウンタ出力値qに比例した値となり、電流源の電流値Iはカウンタ出力値qに反比例した値となる。
【0036】
このようにカウンタ出力値に反比例する電流を発生する電流源を使用すると、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることを以下に示す。
【0037】
今、カウンタのカウント数をp,カウンタ出力値をqとし、カウンタ出力値qがカウント数pの補数(15−p)に比例するカウンタを使用するとする。この時、抵抗RTは、RT=R0+(15−p)×R1、電流源の電流値Iは、I[mA]=1/RT[kΩ](VT=1[V]に設定するとした。)と書ける。
【0038】
既に述べたように、遅延回路の遅延時間tpdは電流源の電流値Iに略反比例し、例えば、tpd[ps]=500+50/I[mA]と表される。今、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、tpdの最大値が1000[ps],tpdの最小値が550[ps]となるように、R0とR1を設定する。tpdが最小になるのは、p=15の時なので、上式よりR0 =1[kΩ]となる。また、tpdが最大になるのは、p=0の時なので、上式よりR1=0.6[kΩ]となる。
【0039】
以上より、tpdは、tpd[ps]=500+50×RT[kΩ]=500+50×{1+(15−p)×0.6}となる。このカウント数pと遅延時間tpdとの関係は図12のようになる。図12より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は1000−550= 450[ps]であることがわかる。一方、可変幅はカウント数によらず常に一定になっており、その値は30[ps]となっている。すなわち、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、30[ps]となり、図3の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を図3の167[ps]から30[ps]に、すなわち18%に縮小できる。
【0040】
以上より、カウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源を使用すると、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることがわかる。
【0041】
図13は本発明の第6の実施例を示す図である。本図が図11と異なるのは、電流源の構成のみである。図11では電流源をスイッチSW1,SW2〜SWn及び抵抗R0,R1,R2〜Rn とで構成していた。これに対し、本図ではスイッチSWiをnチャネル電界効果トランジスタN2i,抵抗Riをnチャネル電界効果トランジスタN3iで構成している。このように、スイッチ及び抵抗を全て電界効果トランジスタで構成すると、本回路を構成するために余分な素子を導入する必要がなくなり好都合である。また、抵抗として使用するnチャネル電界効果トランジスタN3iの抵抗値は、トランジスタのゲート幅、またはゲート長、またはゲート電圧を変化させることによって任意の値に設定できる。従って本回路の特性も図11の回路の特性とほぼ同じにすることができ、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できるという同様の効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】
本発明を用いると、デジタル方式の可変遅延回路の、遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を、例えば27%,69%または18%に縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を示す回路図。
【図2】発明の一実施例の回路図。
【図3】図2の回路の特性図。
【図4】本発明の第1の実施例を示す回路図。
【図5】図4の回路の特性図。
【図6】図4のNLCNTに図8の回路を適用した場合の特性図。
【図7】カウンタの従来例を示す回路図。
【図8】本発明の第2の実施例に用いたカウンタの例を示す回路図。
【図9】本発明の第3の実施例のフリップフロップを用いたカウンタの例を示す回路図。
【図10】本発明の第4の実施例のフリップフロップを用いたカウンタの例を示す回路図。
【図11】本発明の第5の実施例を示す回路図。
【図12】図11の回路の特性図。
【図13】本発明の第6の実施例を示す回路図。
【符号の説明】
CNT…カウンタ、UP…カウントアップ信号、DN…カウントダウン信号、CK…クロック信号、SWi…スイッチ、Ri…抵抗、Ni…nチャネル電界効果トランジスタ、Pi…pチャネル電界効果トランジスタ、IV1,IV2〜 IVm及びIVO…インバータ。
【発明の属する技術分野】
本発明は可変遅延回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から可変遅延回路は、アナログ方式の可変遅延回路が多用されている。例えば、社団法人電子情報通信学会の信学技報SDM94−32,ICD94− 43(1994年5月)の“PLLによるクロック比例タイミング発生回路を搭載した220MHzパイプライン動作の16Mb BiCMOS SRAM”と題する論文に記載されているVCO(Voltage Controlled Oscillator)はその代表的な回路である。
【0003】
図1にこの可変遅延回路の回路図を示す。この図で、nチャネル電界効果トランジスタN21,N11で構成されるのが電流源であり、pチャネル電界効果トランジスタP1,P2〜Pmとnチャネル電界効果トランジスタN1,N2〜 NmとインバータIV1,IV2〜IVm及び出力回路IVOとで構成されるのが遅延回路である。また、P11,P12,N12はカレントミラー回路を構成しており、電流源の発生する電流を遅延回路に供給するための一種のインターフェイス回路である。
【0004】
以下この可変遅延回路の動作を簡単に説明する。本回路は、入力信号INを入力し、この信号をある遅延時間だけ遅延させて、出力信号OUTとして出力する。この遅延時間は、遅延時間コントロール信号VINのレベルによって制御される。
【0005】
N21,N11は電流源を構成しており、N11のゲートには一定電圧が印加されているので、N11は一定電流を発生している。また、N21のゲートには遅延時間コントロール信号VINが印加されており、VINが低レベルの時、 N21は小さな電流を、またVINが高レベルの時、N21は大きな電流を発生する。これらN11,N21で発生した電流は、カレントミラー回路P11, P12,N12によって、遅延回路を構成するP1,P2〜Pm及びN1,N2〜Nmに供給される。
【0006】
ところで、遅延回路を構成するインバータIV1,IV2〜IVmの遅延時間は、P1,P2〜Pm及びN1,N2〜Nmに流れる電流値に略反比例するので、入力信号INが入力されてから出力信号OUTが出力されるまでの遅延時間も電流値に略反比例する。以上の動作により、遅延時間コントロール信号VINのレベルによって、遅延回路の遅延時間を制御することが可能となる。
【0007】
遅延時間コントロール信号VINはアナログ信号であり、そのレベルの高低によって電流値を制御する。従って、VINにノイズが発生すると、電流値が変動し、その結果遅延回路の遅延時間が変動してしまうという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、電流値の制御をアナログ信号でなく、デジタル信号で行えばよいと考え、図2に示すような可変遅延回路について検討した。この図の遅延回路及びカレントミラー回路の構成は図1と全く同じである。また、図2には電流源を制御するカウンタCNTも示してある。
【0009】
カウンタCNTはカウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、これらの信号に応じてクロック信号CKが入力される毎にカウント数を増加または減少し、このカウント数を2進数のカウンタ出力値S1〜Snとして出力する。
【0010】
また、図2の電流源は、nチャネル電界効果トランジスタN21,N22〜 N2nとN11で構成されている。N11のゲートには一定電圧が印加されているので、N11は一定電流を発生している。また、N21〜N2nのゲートにはカウンタ出力値S1〜Snが印加されており、Si(i=1〜nの整数)が0 (Lレベル)の時は、N2iがオフし、N2iは電流を発生しない。また、Siが1(Hレベル)の時は、N2iがオンし、N2iは電流を発生する。なお、 N2iが発生する電流はN2iゲート幅に比例するので、N2iのゲート幅を2の(i−1)乗(以下2^(i−1)と表現する)に比例するように設定すると、N21〜N2nとN11で構成される電流源全体の電流値は上記カウンタのカウント数に比例した値となる。
【0011】
このように、電流値の制御をアナログ信号でなくデジタル信号で行うと、前記ノイズ発生による遅延時間の変動という問題を解決することができる。
【0012】
しかし、図2の回路をさらに詳細に検討した結果、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ったまま、最小可変幅を縮小するのが困難であるという別の問題が存在することがわかった。以下この問題点について述べる。
【0013】
今、図2のN11の電流値を0.1[mA],N21〜N2n がオンしている時のそれぞれN2iの電流値を0.05×2^(i−1)[mA]に設定すると、電流源全体の電流値Iは、I[mA]=0.1+0.05×pとなる。ここで、p(10進数)はカウンタのカウント数であり、p=S1×2^0+S2×2^1+S3×2^2+………という関係が成立している。
【0014】
ところで、既に述べたように遅延回路の遅延時間tpdはこの電流値Iに略反比例する。今、tpdが、tpd[ps]=500+50/I[mA]と表されるとすると、結局、tpd[ps]=500+50/(0.1+0.05×p)となる。すなわち、このカウント数pと遅延時間tpdとの関係は図3に示すように反比例の関係になる。
【0015】
一般に可変遅延回路の性能は、遅延時間をどれくらい大きな範囲まで変化できるかを表す最大可変範囲と、その範囲内でどれくらい小さな幅で遅延時間を変えることができるか、すなわち分解能を表す最小可変幅とによって評価される。通常、この最大可変範囲は大きく、かつ最小可変幅は小さい方が、すなわち大きな範囲を細かく変えられる方がよい。図3より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は1000−559= 441[ps]であることがわかる。一方、可変幅はカウント数が小さい時は大きく、カウント数が大きい時は小さくなっていることがわかる。最小可変幅(分解能)は可変幅が最も大きい所で律則(制限)されるので、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、1000−833=167[ps]となる。
【0016】
以上の説明から、図3のようにカウント数pと遅延時間tpdとが反比例の関係にある図2のような可変遅延回路では、遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ったまま、最小可変幅を縮小するのが困難であることがわかる。すなわち、上述したように、遅延時間の最小可変幅(分解能)は可変幅が最も大きい所で律則(制限)されるので、図3においては、最小可変幅はカウント数が小さい時の特性に律則されてしまう。
【0017】
本発明の目的は、デジタル方式の可変遅延回路の、遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、基本的には、可変遅延回路の遅延時間の可変幅をカウント数によらずほぼ一定にすることにより達成される。
【0019】
これを実現するために本発明が採用した手段は、カウントアップ信号またはカウントダウン信号を入力し、上記信号に応じてカウント数を増加または減少し、カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタと、上記カウンタ出力値を入力し、上記カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源と、上記電流源に駆動され、遅延時間が上記電流源の電流値に略反比例する遅延回路とで構成され、上記カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、上記遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、上記カウンタはカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、上記電流源はカウンタ出力値に略比例する電流を発生する電流源とする手段、または、上記カウンタはカウント数(またはその補数)に略比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、上記電流源はカウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源とする手段である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図4は本発明の第1の実施例を示す図である。本実施例では本発明に従って、カウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、カウント信号に応じてカウント数を増加または減少し、カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタNLCNTと、カウンタ出力値を入力し、カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源(N11,N21〜N2n)と、電流源に駆動され、遅延時間が電流源の電流値に略反比例する遅延回路(P1,P2〜PmとN1,N2〜NmとIV1,IV2〜IVm及びIVO)とで構成され、カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、カウンタNLCNTはカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、電流源はカウンタ出力値に略比例する電流を発生する電流源としている。
【0021】
すなわち、本実施例の電流源と遅延回路は図2と同じであり、カウンタのみが異なっている。図2のカウンタCNTは、カウント数を2進数のカウンタ出力値S1〜Snとして出力しており、言い換えるとカウント数に比例するカウンタ出力値を出力していた。一方、本実施例のカウンタNLCNTはカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するようにしている。このようなカウンタの具体的な構成例については後述する。さて、このようにカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタを使用すると、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることを以下に示す。
【0022】
今、カウンタのカウント数をp(10進数),カウンタ出力値をq(10進数)とする。既に述べたように、本発明の目的は、可変遅延回路の遅延時間の可変幅をカウント数によらずほぼ一定にすることにより達成される。すなわち、遅延時間tpdがカウント数p(またはその補数)に比例するようにすればよい。今、カウント数pが図3と同様に0〜15の範囲で変化するとし、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、tpdの最大値を1000[ps], tpdの最小値を550[ps]とするには、tpd[ps]=550+30×(15−p)が成立するようにすればよい。ここで、(15−p)はpの補数であり、tpdはpの補数に比例している。
【0023】
一方、図4の電流源はカウンタ出力値qに略比例する電流を発生する電流源なので、その電流値IをI=I0+q×I1と書き表す。既に述べたように、遅延回路の遅延時間tpdは電流源の電流値Iに略反比例し、例えば、tpd[ps]=500+50/I[mA]と表される。今、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、tpdの最大値が1000[ps],tpdの最小値が550[ps]となるように、I0とI1を設定する。tpdが最大になるのは、q=0の時なので、上式よりI0=0.1[mA]となる。また、tpdが最小になるのは、qが最大の時なので、例えばqの最大値を100程度に設定すると、上式よりI1=0.01[mA]となる。
【0024】
以上より、tpdをpの関数及びqの関数として書き表せたので、両者を等しいと置くと、pとqの関係がq=500/{5+3×(15−p)}−10のように求まる。この式より、カウント数pが0,1,2,3,4〜15のように変化した時、カウンタ出力値qが0,1,2,3,4,5,6,7,9,12,15,20,26,35,53,90のように変化するカウンタを用いると、カウント数pと遅延時間tpdとの関係は図5のようになる。図5より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は 1000−550=450[ps]であることがわかる。一方、可変幅はカウント数によらずほぼ一定になっており、可変幅が最も大きい所でもその値は1000−955=45[ps]となっている。すなわち、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、45[ps]となり、図3の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を図3の167[ps]から45[ps]に、すなわち27%に縮小できる。
【0025】
以上より、カウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタを使用すると、遅延時間tpdがカウント数(またはその補数)に略比例し、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることがわかる。
【0026】
図7はカウンタの従来例を示す図である。このカウンタは、例えば図2に示したカウンタCNTに適用できる。本カウンタは5個のフリップフロップ回路FFで構成される。フリップフロップ回路FFの具体的な構成例については後述する。このカウンタはカウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、これらの信号に応じてクロック信号CKが入力される毎にカウント数を増加または減少し、このカウント数を2進数のカウンタ出力値S1〜S5として出力する。なお、本図のTCはクロック信号CKのディスエイブル信号であり、通常TCはHレベルになっている。このTCをLレベルにすると、クロック信号CKが入力されてもカウント数の増加または減少が行われないように制御することが可能になる。また本図のRSはリセット信号であり、RSをLレベルにすると、カウンタ出力値S1〜S5は全て0にリセットされる。また、本図のS1〜S5をUPまたはDNが入力されるゲートにフィードバックしているのは、カウンタ出力値が0の時DN信号をディスエイブルするため、及びカウンタ出力値が15の時UP信号をディスエイブルするためである。
【0027】
図8は本発明の第2の実施例を示す図であり、図4に示したカウンタNLCNT の構成例を示している。本カウンタはカウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、これらの信号に応じてクロック信号CKが入力される毎にカウント数を増加または減少し、このカウント数に対応する2進数のカウンタ出力値S1〜S5を出力する。本図が図7と異なるのは、S4,S5を用いて /C1,/C2,/C4を発生し、(S5,S4)=(0,0)の時は、図7と同様UP及びDN信号がS1を出力するフリップフロップ回路に入力されるようにし、(S5,S4)=(0,1)の時は、UP及びDN信号がS2を出力するフリップフロップ回路に入力されるようにし、(S5,S4)=(1,0)または(1,1)の時は、UP及びDN信号がS3を出力するフリップフロップ回路に入力されるようにしている点である。カウンタをこのように構成すると、カウント数pが0,1,2,3,4〜15のように変化した時、カウンタ出力値qは0,1,2,3,4,5,6,7,8,10,12,14,16,20,24,28のように変化する。
【0028】
同様の原理で、多少複雑にはなるものの、図4の説明で述べたような、カウント数pが0,1,2,3,4〜15のように変化した時、カウンタ出力値qが0,1,2,3,4,5,6,7,9,12,15,20,26,35,53, 90のように変化するカウンタを構成できるのは明らかである。しかし、実際にはこのように複雑にしなくても、本図に示したカウンタでも十分本発明の効果は得られる。
【0029】
図6は、図8のカウンタを図4のカウンタNLCNTに適用した場合の、カウント数pと遅延時間tpdとの関係を示している。ただし、この場合ではqの最大値が28なので、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、図4の説明で述べたI1 の値をI1=0.03[mA]に設定している。図6より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は1000−553=447[ps]であることがわかる。一方、可変幅が最も大きい所でもその値は1000−885=115[ps]となっている。すなわち、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、115[ps]となり、図3の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を図3の167 [ps]から115[ps]に、すなわち69%に縮小できる。
【0030】
図9は本発明の第3の実施例を示す図であり、図8に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路FFの具体的な構成例を示している。本回路は、よく知られた2個のNAND回路の入出力を互いにクロスカップルしたラッチ回路を2組設けたフリップフロップ回路を基本構成としている。従って、本フリップフロップ回路の動作については、当業者にとって明らかなので、ここでの説明は省略する。なお、本回路は図7に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路 FFにも使用できる。
【0031】
図10は本発明の第4の実施例を示す図であり、図8に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路FFの他の具体的な構成例を示している。本回路も、よく知られた2個のNAND回路の入出力を互いにクロスカップルしたラッチ回路を2組設けたフリップフロップ回路を基本構成としている。従って、本フリップフロップ回路の動作については、当業者にとって明らかなので、ここでの説明は省略する。なお、本回路は図7に示したカウンタを構成するフリップフロップ回路FFにも使用できる。
【0032】
図11は本発明の第5の実施例を示す図である。本実施例では本発明に従って、カウントアップ信号UPまたはカウントダウン信号DNを入力し、信号に応じてカウント数を増加または減少し、カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタCNTと、カウンタ出力値を入力し、カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源(SW1,SW2〜SWn及びR0,R1,R2 〜Rn)と、電流源に駆動され、遅延時間が電流源の電流値に略反比例する遅延回路(P1,P2〜PmとN1,N2〜NmとIV1,IV2〜IVm及びIVO)とで構成され、カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、カウンタCNTはカウント数(またはその補数)に略比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、電流源はカウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源としている。
【0033】
すなわち、本実施例のカウンタと遅延回路は図2と同じであり、電流源のみが異なっている。既に述べたように、図2の電流源はnチャネル電界効果トランジスタN21,N22〜N2nとN11で構成されており、この電流源の電流値はカウンタのカウンタ出力値に比例した値となっている。
【0034】
一方、本実施例の電流源は、カウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源になっている。すなわち、本実施例の電流源は、抵抗RiとスイッチSWi(i=1〜nの整数)を並列接続した回路を複数個直列接続した回路ブロックを含んで構成され、カウンタの出力値Siでスイッチのオンとオフを制御することで回路ブロックの抵抗を変化させ、回路ブロックの抵抗に略反比例する電流値を発生する電流源になっている。
【0035】
図11のスイッチSWiはカウンタ出力値Siで制御されており、Siが0 (Lレベル)の時は、SWiがオフし、抵抗RiとスイッチSWiを並列接続した回路の抵抗値はRi[Ω]となる。また、Siが1(Hレベル)の時は、SWiがオンし、抵抗RiとスイッチSWiを並列接続した回路の抵抗値は0[Ω]となる。今、抵抗値Riを2^(i−1)に比例するようにRi=2^(i−1)×R1に設定すると、抵抗R0と抵抗Ri及びスイッチSWiで構成される回路ブロック全体の抵抗RTは、RT=R0+S1×2^0×R1+S2×2^1×R1 +………+Sn×2^(n−1)×R1=R0+q×R1(qはカウンタ出力値であり、q=S1×2^0+S2×2^1+S3×2^2+………という関係が成立している)となり、電流源の電流値Iは、I=VT/RT(VTは回路ブロック全体にかかる電圧)となる。すなわち、回路ブロック全体の抵抗RTはカウンタのカウンタ出力値qに比例した値となり、電流源の電流値Iはカウンタ出力値qに反比例した値となる。
【0036】
このようにカウンタ出力値に反比例する電流を発生する電流源を使用すると、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることを以下に示す。
【0037】
今、カウンタのカウント数をp,カウンタ出力値をqとし、カウンタ出力値qがカウント数pの補数(15−p)に比例するカウンタを使用するとする。この時、抵抗RTは、RT=R0+(15−p)×R1、電流源の電流値Iは、I[mA]=1/RT[kΩ](VT=1[V]に設定するとした。)と書ける。
【0038】
既に述べたように、遅延回路の遅延時間tpdは電流源の電流値Iに略反比例し、例えば、tpd[ps]=500+50/I[mA]と表される。今、遅延時間の最大可変範囲を図3とほぼ同じにするために、tpdの最大値が1000[ps],tpdの最小値が550[ps]となるように、R0とR1を設定する。tpdが最小になるのは、p=15の時なので、上式よりR0 =1[kΩ]となる。また、tpdが最大になるのは、p=0の時なので、上式よりR1=0.6[kΩ]となる。
【0039】
以上より、tpdは、tpd[ps]=500+50×RT[kΩ]=500+50×{1+(15−p)×0.6}となる。このカウント数pと遅延時間tpdとの関係は図12のようになる。図12より、カウント数pが0〜15まで変化する場合、この可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲は1000−550= 450[ps]であることがわかる。一方、可変幅はカウント数によらず常に一定になっており、その値は30[ps]となっている。すなわち、この可変遅延回路の遅延時間の最小可変幅は、30[ps]となり、図3の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を図3の167[ps]から30[ps]に、すなわち18%に縮小できる。
【0040】
以上より、カウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源を使用すると、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できることがわかる。
【0041】
図13は本発明の第6の実施例を示す図である。本図が図11と異なるのは、電流源の構成のみである。図11では電流源をスイッチSW1,SW2〜SWn及び抵抗R0,R1,R2〜Rn とで構成していた。これに対し、本図ではスイッチSWiをnチャネル電界効果トランジスタN2i,抵抗Riをnチャネル電界効果トランジスタN3iで構成している。このように、スイッチ及び抵抗を全て電界効果トランジスタで構成すると、本回路を構成するために余分な素子を導入する必要がなくなり好都合である。また、抵抗として使用するnチャネル電界効果トランジスタN3iの抵抗値は、トランジスタのゲート幅、またはゲート長、またはゲート電圧を変化させることによって任意の値に設定できる。従って本回路の特性も図11の回路の特性とほぼ同じにすることができ、可変遅延回路の遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を縮小できるという同様の効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】
本発明を用いると、デジタル方式の可変遅延回路の、遅延時間の最大可変範囲をほぼ一定に保ちながら、最小可変幅を、例えば27%,69%または18%に縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を示す回路図。
【図2】発明の一実施例の回路図。
【図3】図2の回路の特性図。
【図4】本発明の第1の実施例を示す回路図。
【図5】図4の回路の特性図。
【図6】図4のNLCNTに図8の回路を適用した場合の特性図。
【図7】カウンタの従来例を示す回路図。
【図8】本発明の第2の実施例に用いたカウンタの例を示す回路図。
【図9】本発明の第3の実施例のフリップフロップを用いたカウンタの例を示す回路図。
【図10】本発明の第4の実施例のフリップフロップを用いたカウンタの例を示す回路図。
【図11】本発明の第5の実施例を示す回路図。
【図12】図11の回路の特性図。
【図13】本発明の第6の実施例を示す回路図。
【符号の説明】
CNT…カウンタ、UP…カウントアップ信号、DN…カウントダウン信号、CK…クロック信号、SWi…スイッチ、Ri…抵抗、Ni…nチャネル電界効果トランジスタ、Pi…pチャネル電界効果トランジスタ、IV1,IV2〜 IVm及びIVO…インバータ。
Claims (3)
- カウントアップ信号またはカウントダウン信号を入力し、上記信号に応じてカウント数を増加または減少し、上記カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタと、上記カウンタ出力値を入力し、上記カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源と、上記電流源に駆動され、遅延時間が上記電流源の電流値に略反比例する遅延回路とで構成され、上記カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、上記遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、上記カウンタはカウント数(またはその補数)に略反比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、上記電流源はカウンタ出力値に略比例する電流を発生する電流源としたことを特徴とする可変遅延回路。
- カウントアップ信号またはカウントダウン信号を入力し、カウント信号に応じてカウント数を増加または減少し、上記カウント数に対応するカウンタ出力値を出力するカウンタと、上記カウンタ出力値を入力し、上記カウンタ出力値によって電流値が制御される電流源と、上記電流源に駆動され、遅延時間が上記電流源の電流値に略反比例する遅延回路とで構成され、上記カウントアップ信号またはカウントダウン信号でカウンタ出力値及び電流源の電流値を制御することにより、上記遅延回路の遅延時間を制御する可変遅延回路において、上記カウンタはカウント数(またはその補数)に略比例するカウンタ出力値を出力するカウンタとし、上記電流源はカウンタ出力値に略反比例する電流を発生する電流源としたことを特徴とする可変遅延回路。
- 請求項2に記載の上記電流源は、抵抗とスイッチを並列接続した回路を複数個直列接続した回路ブロックを含んで構成され、上記カウンタの出力値で上記スイッチのオンとオフを制御することで上記回路ブロックの抵抗を変化させ、上記回路ブロックの抵抗に略反比例する電流値を発生する電流源である可変遅延回路。
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