JP3554633B2 - メタセシス重合触媒液、反応性溶液の組み合わせおよびそれより得られるオレフィンメタセシス重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状オレフィンモノマー中での保存安定性の優れたメタセシス重合触媒およびその触媒を使用し得られた重合体成形物に関するものである。さらに詳しくは、環状オレフィンモノマーのカチオン重合を抑制するための安定化剤をメタセシス重合触媒の遷移金属に直接結合させることによる、従来よりも遙かに保存安定性の優れたメタセシス重合触媒の発明およびこのようにして得られたメタセシス重合触媒を使用して得られた重合体成形物に関するものである。またこれにより、メタセシス重合触媒を含むメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液A)の長期保存における反応活性の低下、液粘度の上昇の問題を解決することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、メタセシス重合触媒系(複分解触媒系ともいう)の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液と、活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液とを混合し、金型内へ注入し、金型内で重合・架橋させて架橋重合体成形物を製造する方法は知られている(例えば特公平3−28451号公報参照)。
【0003】
この反応射出成形法は、入手容易な原料モノマーを使用しうること、モノマーの粘度が低く射出成形の圧力が低いこと、重合・架橋反応が速く成形サイクルが短いこと、大型の成形物を比較的容易に得ることができることおよび成形物は剛性と耐衝撃性のバランスがよいことなどの優れた利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般には、メタセシス重合触媒の調製のための出発原料としてはWCl6やMoCl5が使われるが、かかるWCl6やMoCl5などのハロゲン化遷移金属化合物はカチオン重合触媒でもあり、オレフィンモノマー中に添加すると瞬時にカチオン重合反応が開始されゲル状物を与えることが知られている。これまで、このカチオン重合を防止するためにアルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールの両末端がエーテル化されたエーテル化合物が使用されてきた。しかしこのようなエーテル化合物は遷移金属と錯体を形成し安定化するものの、その結合は緩くメタセシス重合触媒を含むメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液A)を長期間保存すると反応活性の低下、液粘度の上昇の問題を引き起こした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来カチオン重合反応を防止するためにアルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールの両末端がエーテル化されたエーテル化合物と遷移金属との分子間錯体を形成させたのに対し、アルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールのうちの1つがエーテル化されたモノエーテル化合物を遷移金属にアルコキシル化させることで分子内錯体を形成させたメタセシス重合触媒を調製し、この重合触媒を使用することで、従来よりも遙かに保存安定性に優れたメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液A)を製造できることを見出した。
【0006】
なお、メタセシス重合触媒、活性化剤の存在下に塊状重合させてノルボルネン系ポリマーを製造する方法において、アルキレングリコールおよび/または、ポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールのうちの一つがエーテル化されたモノエーテル化合物を活性調節剤として添加する方法(特公平8−019220号公報参照)が知られているが、これはメタセシス重合活性化剤を含むメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液B)に添加されており、この活性調節剤は有機アルミニウム系活性化剤と反応して活性化剤のアルキル基をアルコキシ化するために使われている。従って、本発明のように溶液Aの保存安定性を改善するものではない。
【0007】
すなわち、本発明は、
1. メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その原料混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された重合体を得る方法に用いるメタセシス重合触媒であって、該メタセシス重合触媒が、下記の式(1)、(2)、(3)、(4)の一般式で表される化合物の少なくとも一つより成ることを特徴とするメタセシス重合触媒(ここで、x=0.5〜3、R1は炭素数2〜6のアルキレン鎖を持つアルキレングリコールを示し、nは0〜40の整数でポリアルキレングリコールの繰り返し単位を示し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を持つ末端エーテル基を示す。)、
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】
2. 実質的に請求項1または2のメタセシス重合触媒を触媒成分として含有するメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液A)と実質的にメタセシス重合活性化剤を含むメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液B)との組み合わせ
である。
【0013】
本発明で使用されるメタセシス重合性環状オレフィンモノマーはメタセシス重合可能なものであって、特にポリマーを生成する環状のオレフィン化合物が好ましい。
【0014】
メタセシス重合のポリマーの原料となるオレフィンモノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共二量体、5−エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)などを挙げることができこれらの混合物も使用することができる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物が好適に用いられる。
【0015】
また、必要に応じて、酸素、窒素などの異種元素を含有する極性基を有するメタセシス重合性環状オレフィンを共重合モノマーとして用いることができる。かかる共重合モノマーも、ノルボルネン構造単位を有するものが好ましく且つ極性基としてはエステル基、エーテル基、シアノ基、N−置換イミド基、ハロゲン基などが好ましい。かかる共重合モノマーの具体例としては、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−(2−エチルヘキシロキシ)カルボニル−5−メチルノルボルネン、5−フェニロキシメチルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、6−シアノ−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、N−ブチルナデック酸イミド、5−クロルノルボルネンなどを挙げることができる。これらルイス塩基を有するモノマーを使用する場合にはそれに調節剤の役目を兼ねさせることもできる。
【0016】
遷移金属化合物としては、タングステン、モリブデンなどの金属のハライドなどの塩類が用いられる。特にタングステンヘキサクロライド、モリブデンペンタクロライド、タングステンオキシハライドまたは、モリブデンオキシハライドがアルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールのうちの一つがエーテル化されたモノエーテル化合物をタングステンまたはモリブデンにアルコール部分の酸素原子で遷移金属に結合させやすい点から好ましい。
【0017】
本発明でのアルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物のうちアルキレングリコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオールなどがあり、なかでも炭素数2〜6のアルキレン基を有するものが好ましい。ポリアルキレングリコールの具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコールのごとき低重合度のもののほか、繰り返し単位が4〜40程度の分子量が2,000程度までの高重合度のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらのグリコール類に導入されるエーテル結合を形成する置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、本発明で使用されるアルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールのうちの1つがエーテル化されたモノエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテルなどを挙げることができる。
【0018】
これらモノエーテル化合物は、タングステンヘキサクロライド、モリブデンペンタクロライド、タングステンオキシハライドまたは、モリブデンオキシハライドと混合し反応させた場合に、塩化水素が発生することから、アルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物のモノエーテル化合物の末端アルコールがタングステンまたはモリブデンと反応してアルコキシル化したものと判断される。
【0019】
本発明で使用されるモノエーテル化合物と遷移金属化合物の量的関係は、エーテル化合物のモル数が遷移金属化合物のモル数に対し、0.5当量から3当量の間で適宜使用される。
【0020】
本発明の好ましい触媒成分を化学式であらわすと、下記のようになる。ここでx=0.5〜3、R1は炭素数2〜6のアルキレン鎖を持つアルキレングリコールを示し、nは0〜40の整数でポリアルキレングリコールの繰り返し単位を示し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を持つ末端エーテル基を示す。
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
メタセシス重合体を得るには、本発明で調製されたオレフィンモノマーを溶媒としたメタセシス重合触媒液を含むメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液A)とメタセシス重合性活性化剤を含むメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液B)を用いてバルク重合する。この溶液Bに使用される活性化剤成分は、周期律表第I〜第III族の金属のアルキル化物を中心とする有機金属化合物、特にテトラアルキル錫、アルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライド化合物が好ましく、具体的には塩化ジエチルアルミニウム、ジ塩化エチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジオクチルアルミニウムアイオダイド、テトラブチル錫、ジアルキルマグネシウム化合物等などを挙げることができる。活性化剤成分は、触媒との組み合わせにより選択されるものであり、本発明においては、メタセシス重合に使用されるものであれば特に限定されるものではない。
【0026】
基本的には前記溶液Aおよび溶液Bを混合し、金型内に注入することによって、架橋重合体成形物を得ることができるが、上記組成のままでは重合反応が非常に早く開始され、成形金型に十分流れ込まない間に硬化が起こるような場合活性調節剤が用いられる。
【0027】
かかる調節剤としては、ルイス塩基類が一般に用いられ、なかんずく、エーテル類、エステル類、ニトリル類などが用いられる。具体例としては安息香酸エチル、ブチルエーテル、ジグライムなどを挙げることができる。かかる調節剤は一般的に、有機金属化合物の活性化剤の成分の溶液(溶液B)の側に添加して用いられる。
【0028】
メタセシス重合触媒液および活性化剤の使用量は、例えば触媒成分としてタングステン化合物を用いる場合は、上記原料モノマーに対するタングステン化合物の比率は、モル基準で1,000対1〜40,000対1、好ましくは、1,500対1〜20,000対1であり、また、活性化剤成分はアルキルアルミニウム類を用いる場合には、上記原料モノマーに対するアルミニウム化合物の比率は、モル基準で100対1〜20,000対1、好ましくは200対1〜10,000対1の範囲で用いられる。
【0029】
また、メタセシス重合性反応性溶液には、オレフィンモノマー、ゴム成分、特定の目的のために添加される各種添加剤を含めることができる。
【0030】
また、本発明の重合体成形物は、酸化防止剤を添加しておくことが好ましく、そのためフェノール系または、アミン系の酸化防止剤を予め溶液中に加えておくことが好ましい。これら酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチルクレゾ−ル、N,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタンなどが挙げられる。
【0031】
また、本発明による重合体成形物は、他の重合体を単量体溶液状態の時に添加しておくことができる。かかる重合体添加剤としては、エラストマーの添加が成形物の耐衝撃性を強めることおよび溶液の粘度を調節するうえで効果がある。かかる目的に用いられるエラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンターポリマー、ニトリルゴムなどの広範なエラストマーを挙げることができる。
【0032】
他の添加剤としては、反応率を高めるためのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化合物があり、ヘキサクロロキシレン、α,α,α−トリクロロトルエン、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、アリルクロライド、ベンジルクロライドなどを挙げることができる。また、ケイ素、硼素、イオウ、リン元素を含むハロゲン化合物なども効果がある。
【0033】
添加剤としての補強材または充填剤は、曲げモジュラスを向上するのに効果がある。かかるものとしては、ガラス繊維、雲母、カーボンブラック、ウオラストナイト等を挙げることができる。これらをいわゆるシランカプラーなどにより表面処理したものを好適に使用できる。
【0034】
本発明成形物は前記した如く、重合と成形を同時に行うことによって製造される。かかる成形方法としては前記の如く、触媒系と溶液を前もって混合したプレミックスを金型内に流入せしめるレジンインジェクション方式、触媒系を二つに分けた溶液Aと溶液Bとをミキシングヘッド部分で衝突混合せしめてそのまま流し込むRIM方式を取ることができる。いずれの場合も金型への注入圧力は比較的低圧であることができ、従って安価な鋳型を使用することが可能である。また、金型内の重合反応が開始されると反応熱によって金型内の温度は急速に上昇し、短時間に重合反応が終了する。ポリウレタンRIMの場合と異なり、金型からの離脱は容易であり、特別の離型剤を使用しないで済む場合が多い。
【0035】
成形物は、空気雰囲気中に放置すると短時間で表面に酸化層ができることによってエポキシやウレタン等の一般に使用される塗料への付着性は良好である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例をあげて、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
[実施例1]
1リットルのフラスコに300mlのトルエンを入れ、これに窒素を吹き込むことによってトルエン溶媒中の酸素を窒素で置換した。この系に、窒素雰囲気下、99.1g(0.25モル)のWCl6の結晶を徐々に添加し、撹拌混合することにより均一に分散させた。次いで、室温下、4.4g(0.06モル)のt−ブタノールを滴下し、さらにこれに、窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換した33.5g(0.25モル)のジエチレングリコールモノエチルエーテルを滴下して反応を行った。反応熱による最高到達温度は30℃であり、滴下には約1時間を要した。最後に窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換したトルエンを加え全体の容量を500mlとして、タングステン濃度が0.5モル/リットルの触媒液(1)を調製した。
【0038】
[実施例2]
1リットルのフラスコに300mlのトルエンを入れ、これに窒素を吹き込むことによってトルエン溶媒中の酸素を窒素で置換した。この系に、窒素雰囲気下、85.5g(0.25mol)のWOCl4の結晶を徐々に添加し、撹拌混合することにより均一に溶解させた。次いでこれに、室温下、窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換した30.0g(0.25mol)のジエチレングリコールモノメチルエーテルを滴下し反応を行った。反応熱による最高到達温度は30℃であり、滴下には約1時間を要した。最後に窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換したトルエンを加え全体の容量を500mlとして、タングステン濃度が0.5モル/リットルの触媒液(2)を調製した。
【0039】
[実施例3]
1リットルのフラスコに300mlのトルエンを入れ、これに窒素を吹き込むことによって溶媒中の酸素を窒素で置換した。この系に、窒素雰囲気下、85.5g(0.25mol)のWOCl4の結晶を徐々に添加し、撹拌混合することにより均一に溶解させた。次いでこれに、窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換した41.0g(0.25mol)のトリエチレングリコールモノメチルエーテルを滴下して室温下反応を行った。反応熱による最高到達温度は30℃であり、滴下には約1時間を要した。最後に窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換したトルエンを加え全体の容量を500mlとして、タングステン濃度が0.5モル/リットルの触媒液(3)を調製した。
【0040】
[比較例1]
1リットルのフラスコに300mlのトルエンを入れ、これに窒素を吹き込むことによって溶媒中の酸素を窒素で置換した。この系に、窒素雰囲気下、85.5g(0.25mol)のWOCl4の結晶を徐々に添加し、撹拌混合することにより均一に溶解させた。次いでこれに、窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換した55.0g(0.25mol)のノニルフェノールを滴下して室温下反応を行った。反応熱による最高到達温度は30℃であり、滴下には約1時間を要した。最後に窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換したトルエンを加え全体の容量を500mlとして、タングステン濃度が0.5モル/リットルの触媒液(4)を調製した。
【0041】
[比較例2]
1リットルのフラスコに300mlのトルエンを入れ、これに窒素を吹き込むことによって溶媒中の酸素を窒素で置換した。この系に、窒素雰囲気下、85.5g(0.25mol)のWOCl4の結晶を徐々に添加し、撹拌混合することにより均一に溶解させた。次いでこれに、窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換した55.0g(0.25mol)のノニルフェノールを滴下して室温下反応を行った。反応熱による最高到達温度は30℃であり、滴下には約1時間を要した。さらに、窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換した67.0(0.5モル)のエチレングリコールジメチルエーテルを滴下して、室温下触媒の安定化を行った。最後に窒素を吹き込むことによって含有酸素を窒素で置換したトルエンを加え全体の容量を500mlとして、タングステン濃度が0.5モル/リットルの触媒液(5)を調製した。
【0042】
[実施例4]
(溶液Aの調製と液粘度の安定性)
ジシクロペンタジエン95重量部、エチリデンノルボルネン5重量部よりなるモノマー混合物に対して、エチレン含有量70モル%のエチレンプロピレン−エチリデンノルボルネン重合ゴムを3重量部、酸化防止剤としてエタノックス702を2重量部加えた溶液に上記5種類(触媒液(1)、(2)、(3)、(4)、(5))の触媒液を、それぞれ窒素雰囲気下密栓した1リットルのガラス瓶中で、タングステン含量が0.01モル/リットルになるように加え、5種類の溶液A(以下、これらの溶液Aを、触媒液(1)、(2)、(3)、(4)、(5)に対応してそれぞれ、A(1)、A(2)、A(3)、A(4)、A(5)と呼ぶ)を調製した。調製直後のこれらの溶液Aの粘度は、30℃で300cpsであった。
【0043】
上記5種類の溶液Aの粘度安定性を調べるために、上記5種類(A(1)、A(2)、A(3)、A(4)、A(5))の溶液Aの入った密栓1リットルのガラス瓶を25℃にて保存し、定期的に液を取り出し、東京計器社製B型粘度計で30℃での粘度を測定した。結果を表1に示す。表1の結果から、アルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールのうちの1つがエーテル化されたモノエーテル化合物のアルコール部分の酸素原子を遷移金属に結合させたメタセシス重合触媒は、長期保存安定性において粘度変化の点から優れていることが理解される。
【0044】
【表1】
【0045】
[参考例1]
(溶液Bの調製)
ジシクロペンタジエン95重量部、エチリデンノルボルネン5重量部よりなるモノマー混合物に対して、エチレン含有量70モル%のエチレンプロピレン−エチリデンノルボルネン重合ゴムを3重量部加えた溶液に、その全溶液量に対しアルミニウムの含量が0.03モル/リットルになるように、トリオクチルアルミニウム85、ジオクチルアルミニウム15、DG100のモル比で混合調製した重合用活性化剤混合溶液を混合し、活性化剤成分を含有する溶液Bを調製した。この溶液Bの粘度は、30℃で300cpsであった。
【0046】
[実施例5]
(反応安定性の評価)
実施例4で定期的に取り出した液について重合発熱時間を評価した。
【0047】
すなわち、実施例4で定期的に取り出した溶液A(A(1)、A(2)、A(3)、A(4)、A(5))の内の一つと参考例1による溶液Bの両方の液を30℃に制御した後、各10mlづつを注射器にて計量し、この注射器中の液を撹拌装置付きの窒素置換された100mlのガラス容器中に押し出し、重合を開始させ、注入時から、液の重合発熱により温度が100℃に達する間での時間を測定することで評価した。
【0048】
結果を表2に示す。なお液の粘度が3000cpsを越えた場合には、注射器にて液を計量することが不可能であり反応安定性の試験はできなかった。表2の結果から、アルキレングリコールおよび/またはポリアルキレングリコール化合物の2つの末端アルコールのうちの1つがエーテル化されたモノエーテル化合物のアルコール部分の酸素原子が遷移金属に結合したメタセシス重合触媒は、長期保存安定性において反応性の点からも優れていることが理解される。
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本願発明によって、メタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液A)を長期間保存しても、反応活性が低下せず、液粘度の上昇もない重合触媒とこれを用いた反応性溶液の組み合わせおよびそれより得られるオレフィンメタセシス重合体が提供される。
Claims (2)
- メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その原料混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって成形された重合体を得る方法に用いるメタセシス重合触媒であって、該メタセシス重合触媒が、下記の式(1)、(2)、(3)、(4)の一般式で表される化合物の少なくとも一つより成ることを特徴とするメタセシス重合触媒(ここで、x=0.5〜3、R 1 は炭素数2〜6のアルキレン鎖を持つアルキレングリコールを示し、nは0〜40の整数でポリアルキレングリコールの繰り返し単位を示し、R 2 は炭素数1〜8のアルキル基を持つ末端エーテル基を示す。)。
- 実質的に請求項1または2のメタセシス重合触媒を触媒成分として含有するメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液A)と実質的にメタセシス重合活性化剤を含むメタセシス重合性オレフィン化合物の反応性溶液(溶液B)との組み合わせ。
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