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JP3557278B2 - 水力機械の運転方法 - Google Patents
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JP3557278B2 - 水力機械の運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水力機械の吸出し管からの冷却水を水力機械や電気機器の被冷却部に供給するための冷却水循環ラインを備えた水力機械の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水力発電所の水車やポンプ水車等の水力機械は、電力系統の無効電力調整のために調相運転されることがある。この調相運転は、水力機械が収納されたランナ室に圧縮空気を注入しその水面を押し下げて、水力機械を無負荷状態で回転させて行われる。
【0003】
また、水力発電所には、水力機械やその水力機械の近傍に設置された電気機器の発熱部を冷却するための冷却水循環ラインを備えられている。たとえば、水力機械の軸受、水力機械に接続される発電機の軸受、変圧器巻線等の発熱部(以下、被冷却部という)を冷却するために、水力機械の水の吸出し管に取水部を設け、給水ポンプにより取水して水力機械や電気機器の被冷却部にその冷却水を供給し、使用後の排水を再び水力機械の吸出し管に戻す冷却水循環ラインを有するものが用いられている。
【0004】
図13は、このような冷却水循環ラインを有した水力発電所における水力機械の説明図である。図13では、水力機械としてフランシス形ポンプ水車を用いたものを示している。貯水池からの水は、水圧鉄管を通してケーシング1に導かれ、水量を調節するガイドベーン2を介して、水力機械のランナ3に供給される。ランナ3に供給された水はランナ3を回転させ、そこで仕事を終えた水は吸出し管4を介して放水路5に放水される。
【0005】
また、吸出し管4には冷却水循環ライン7が設けられている。すなわち、取水部6から給水ポンプ8により冷却水が取水され、水力機械の軸受部クーラ9で被冷却部を冷却し、その冷却後の排水は吸出し管4に設けられた排水部10から排水されるようになっている。このようにして、水力機械や電気機器の被冷却部に冷却水を送り、被冷却部を冷却している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような水力機械で調相運転を行う場合、ガイドべーン2を全閉にしてランナ3の下方の吸出し管4の上部に、高圧の圧縮空気を供給してランナ3周りの水を吸出し管4に押し下げてからランナ3を空中で回転させているので、水力機械を通しての水流がなくなり、吸出し管4の水は滞留することになる。したがって、この滞留した水を取水して冷却用として使用すると、被冷却部で吸熱した冷却排水が吸出し管4に還流されることになるので、吸出し管4内の水の温度は上昇する。つまり、冷却水自体の温度が上昇するので、冷却能力が低下し、被冷却部を冷却することができなくなり、最悪の場合には許容温度を逸脱して水力機械や発電機等の主機停止に至るおそれがある。
【0007】
そこで、冷却水循環ライン7を有した水力機械においては、取水部6の温度上昇を避けるために、たとえば水力発電所に複数数台の水力機械がある場合には、冷却水の取水と排水を別々の水力機械で行うこともあった。しかし、複数台の水力機械の全てが同時期に調相運転を行うことがあり、この場合は全ての水力機械の冷却水温度が上昇することになる。又、冷却後の排水を吸出し管4内ではなく水力機械の外部に排水することも考えられるが、そうすると貴重なエネルギー源である水を廃棄することになりエネルギー源の損失となり好ましくない。
【0008】
このように、吸出し管4内から冷却水を取水して再び吸出し管4内に冷却排水を還流させる冷却水循環ライン7を有する水力機械においては、長時間の調相運転を行うと冷却水の温度が上昇していくので、冷却水を利用する効果がなくなり、被冷却部の温度が上昇するという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、長時間の調相運転を行っても冷却水温度の上昇を防ぎ、安定した連続調相運転が可能な冷却水循環ラインを有した水力機械の運転方法を得ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、水力機械の吸出し管から取水した冷却水を水力機械及び水力機械の近傍に設置された電気機器の被冷却部に供給し被冷却部を冷却した後、吸出し管へ戻すようにした冷却水循環ラインを備えた水力機械の調相運転を行うにあたり、水力機械のランナ室に供給される水量を調節するガイドべーンを全閉にし、水力機械のランナ室に圧縮空気を供給してランナ室の水面を押し下げ、水力機械のランナを空中で回転させる調相運転を行い、被冷却部温度の関数で表される状態量が所定の設定値を越えたときはランナ室の圧縮空気を排気し、ガイドべーンを無負荷開度で開口一定として発電方向運転を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1における被冷却部温度の関数で表される状態量は、調相運転開始時点からの運転時間、又は吸出し管から取水した冷却水の温度、又は被冷却部の温度としたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1における被冷却部温度の関数で表される状態量のうち、調相運転時間が予め定められた運転時間を越え、かつ、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えたときに、ランナ室の圧縮空気を排気するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1における被冷却部温度の関数で表される状態量のうち、調相運転時間が予め定められた運転時間を越え、かつ、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越え、かつ、圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上であるときに、ランナ室の圧縮空気を排気するようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4における被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時の状態に復帰したと判断されたときは、ランナ室に圧縮空気を供給して再度調相運転を行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5における被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時の状態に復帰したとの判断は、発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越えたとき、又は吸出し管から取水した冷却水の温度が調相運転開始時の状態に復帰したとき、又は被冷却部の温度が調相運転開始時の状態に復帰したときのいずれかであることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項5における被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時の状態に復帰したとの判断は、発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越え、かつ、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が調相運転開始時の状態に復帰したときに、再度、調相運転を行うようにしたことを特徴とする。
【0017】
【作用】
本発明においては、まず調相運転を行う場合、調相運転時間、冷却水温度、冷却水を供給している部位の被冷却部温度のいずれか、又はそれらの組合せに基づいて、冷却水が異常に上昇したり被冷却部の温度が異常に上昇する以前に、一旦、調相運転から無負荷の発電方向運転に移行する。
【0018】
これにより、吸出し管内に滞留する排熱を受けた温度の高い水を放水し、貯水池から温度の低い水を供給する。この無負荷の発電方向運転により水力機械や電気機器の被冷却部は、温度上昇していない貯水池からの水により冷却され全体に温度が低下する。
【0019】
そして、発電方向運転により水力機械や電気機器の被冷却部の温度が調相運転開始時の状態に復帰したときは、再度、連続的に発電方向運転から調相運転に移行する。したがって、いわゆる調相運転機能を中断させることなく調相運転を継続できる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。図1は本発明の第1の実施例を示すフローチャートである。まず、水力機械に発電調相運転の開始指令が出されると、水力機械のランナ室に供給される水量を調節するガイドべーンを全閉にし(S1)、水力機械のランナ室に圧縮空気を供給してランナ室の水面を押し下げる(S2)。そして、水力機械のランナを空中で回転させる調相運転を行う(S3)。この発電調相運転は水力機械に接続された発電機を無負荷で運転し励磁量を変化させることにより、無効電力を調整するものである。この調相運転中においては、冷却水循環ラインは動作しており、水力機械や電気機器の被冷却部は吸出し管4に滞留する水により冷却されている状態である。したがって、調相運転により吸出し管4に滞留する水の温度は調相運転の時間にほぼ比例して上昇している状態にある。
【0021】
そこで、本発明では、被冷却部温度の関数で表される状態量を監視し、被冷却部温度の関数で表される状態量が、所定の設定値を越えたか否かを判定する(S4)。被冷却部温度の関数で表される状態量が所定の設定値を越えていないときは、吸出し管4に滞留する水の温度は被冷却部を冷却するに適切な温度範囲にあると判定し、一定の遅延時間を持って調相運転を継続する(S5)。一方、被冷却部温度の関数で表される状態量が所定の設定値を越えたときは、吸出し管4に滞留する水の温度が上昇したと判断しランナ室の圧縮空気を排気し(S6)、ガイドべーン2を開いて貯水池からランナ室に水を供給し、ガイドべーン2を無負荷開度で開口一定として発電方向運転を行う(S7)。
【0022】
これにより、吸出し管4に滞留した温度上昇した水に入れ替わり、温度の低い水が貯水池からランナ室に供給されることになり、水力機械や電気機器の被冷却部へ供給される冷却水は、温度の低い冷却水となる。したがって、水力機械や電気機器の被冷却部の冷却は円滑に行われることになる。
【0023】
また、被冷却部温度の関数で表される状態量としては、本発明では、調相運転開始時点からの運転時間、又は吸出し管から取水した冷却水の温度、又は被冷却部の温度を用いる。図2は、被冷却部温度の関数で表される状態量として、発電調相運転開始からの運転時間を用いた場合のものを示している。まず、発電調相運転指令で水力機械が発電調相運転を始動すると、時限タイマを動作させ、この時限タイマで予め定められた時間が経過すると、発電方向運転指令を出し、ランナ室周りの空気を排気する。そして、入口弁及びガイドべーンを開口してガイドべーンを無負荷開度に制御し発電方向運転を行う。したがって、この発電方向運転においても無負荷で運転されることから調相運転機能を損なうことがない。
【0024】
ここで、予め定める調相運転時間は、水力機械の大きさ、被冷却部の温度上昇の度合い、許容設計温度などを考慮し、また検証試験の結果などを参照してその水力機械及び電気機器にあった最適な時間を設定することは言うまでもない。
【0025】
次に、図3は被冷却部温度の関数で表される状態量として、冷却水温度を用いた場合のものを示している。この場合、冷却水温度は冷却水取水温度を用いている。発電調相運転指令で水力機械が発電調相運転を始動すると、水力機械の吸出し管4から冷却水を取り出している取水部6における冷却水取水温度を測定し、この冷却水取水温度が予め定めた設定温度を越えたときは、発電方向運転の指令を出し、ランナ室周りの空気を排気する。そして、入口弁及びガイドべーンを開口してガイドべーンを無負荷開度に制御し発電方向運転を行う。したがって、この発電方向運転においても無負荷で運転されることから調相運転機能を損なうことがない。
【0026】
ここで、予め定める冷却水の設定温度は、上述の調相運転時間の設定の場合と同様に、水力機械の大きさ、被冷却部の温度上昇の度合い、許容設計温度などを考慮し、また検証試験の結果などを参照してその水力機械及び電気機器にあった最適な時間を設定することは言うまでもない。
【0027】
また、図4は被冷却部温度の関数で表される状態量として、水力機械や電気機器の被冷却部の温度、すなわち、軸受部等の冷却水供給部温度を用いた場合のものを示している。この場合も図3で示した冷却水取水温度の場合と同じように、水力機械や電気機器の被冷却部の温度を測定し、この被冷却部の温度が予め定めた設定温度を越えたときは、発電方向運転の指令を出し、ランナ室周りの空気を排気する。そして、入口弁及びガイドべーンを開口してガイドべーンを無負荷開度に制御し発電方向運転を行う。したがって、この発電方向運転においても無負荷で運転されることから調相運転機能を損なうことがない。
【0028】
ここで、予め定める被冷却部の設定温度は、上述の冷却水取水温度の設定の場合と同様に、水力機械の大きさ、被冷却部の温度上昇の度合い、許容設計温度などを考慮し、また検証試験の結果などを参照してその水力機械及び電気機器にあった最適な時間を設定することは言うまでもない。
【0029】
このように、第1の実施例によれば、調相運転により吸出し管に滞留する水は廃熱の影響により温度が上昇するが、調相運転時間、冷却水取水温度、被冷却部温度を監視し、これらが所定の設定値を越えたときは調相運転から発電方向運転に切り替え、被冷却部の温度が異常に上昇することを防止するので、安定した調相運転を提供することができる。また、設定時間あるいは設定温度は機器の実情に合わせて最適なものを選定でき、経年変化がおきた場合でもその設定値を調整することで信頼性を維持することができる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施例を説明する。図5は、本発明の第2の実施例を示すフローチャートである。この第2の実施例は、図1に示した第1の実施例における被冷却部温度の関数で表される状態量の監視ステップを、監視対象である被冷却部温度の関数で表される状態量のうち、調相運転時間が予め定められた運転時間を越えているか否かの判定(S4)、及び吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えたか否かの判定(S6)としたものである。そして、調相運転時間が予め定められた運転時間を越え、かつ、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えたときに、ランナ室の圧縮空気を排気するようにしている。
【0031】
すなわち、水力機械に発電調相運転の開始指令が出されると、第1の実施例の場合と同様に、水力機械のランナ室に供給される水量を調節するガイドべーンを全閉にし(S1)、水力機械のランナ室に圧縮空気を供給してランナ室の水面を押し下げる(S2)。そして、水力機械のランナを空中で回転させる調相運転を行う(S3)。
【0032】
次に、この第2の実施例では、被冷却部温度の関数で表される状態量の監視は、まず、被冷却部温度の関数で表される状態量のうち調相運転時間が予め定められた運転時間を越えているか否かを判定する(S4)。調相運転時間が予め定めた設定時間を越えていないときは、吸出し管4に滞留する水の温度は被冷却部を冷却するに適切な温度範囲にあると判定し、一定の遅延時間を持って調相運転を継続する(S5)。
【0033】
次に、調相運転時間が予め定めた設定時間を越えているときは、吸出し管4から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えているか否かを判定する(S6)。そして、吸出し管4から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えていないときは、吸出し管4に滞留する水の温度は被冷却部を冷却するに適切な温度範囲にあると判定し、一定の遅延時間を持って調相運転を継続する(S7)。
【0034】
一方、吸出し管4から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えているときは、吸出し管4に滞留する水の温度が上昇したと判断しランナ室の圧縮空気を排気し(S8)、ガイドべーン2を開いて貯水池からランナ室に水を供給し、ガイドべーン2を無負荷開度で開口一定として発電方向運転を行う(S9)。
【0035】
このように、この第2の実施例では、調相運転時間が予め定められた運転時間を越え、かつ、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えたときに、被冷却部温度の関数で表される状態量が所定値を逸脱したとして、調相運転から発電方向運転に切り替えるようにしている。
【0036】
図6は、第2の実施例における運転モードの説明図である。まず、発電調相運転指令により水力機械が発電調相運転を開始すると、時限タイマを動作させる。一方、冷却水取水温度又は被冷却部温度を測定する。そして、調相運転が予め定めた時間継続したこと、及び冷却水取水温度又は被冷却部温度が予め定めた設定温度を越えたことの二組の条件が同時に成立したときに、発電方向運転指令を出し、ランナ室周りの空気を排気する。そして、入口弁及びガイドべーンを開口してガイドべーンを無負荷開度に制御し発電方向運転を行う。
【0037】
この第2の実施例では、調相運転時間と温度との両者を同時に監視するので、それぞれの単独の測定監視に対して運転制御の信頼性が向上する。すなわち、温度上昇条件が季節あるいは機器の設置条件によって変化する場合でも、運転時間と温度の両者を同時に測定するので、バランスの取れた合理的な運転が可能である。冷却水取水温度は場所によっては夏と冬で20℃以上も相違することがあり、このような場合は運転時間と温度の両者を測定しておけば季節的なアンバランスを回避できる。
【0038】
図7に、本発明の第3の実施例のフローチャートを示す。この第3の実施例は、図5に示した第2の実施例における温度判定ステップS6の後段に、ランナ室の水面押し下げ用の圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上であるか否かの判定ステップ(S8)を追加して設けたものである。これは、発電方法運転の開始にあたり、発電方向運転終了後に再度ランナ室の水面押し下げて調相運転を行うことができることを確認するためである。空気タンクの圧力が所定の圧力以上であるとき、つまり、再度ランナ室の水面を押し下げて調相運転が可能であるときに、ランナ室の圧縮空気を排気し発電方向運転に移行する。
【0039】
この場合、ランナ室の水面押し下げ用の圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上でないときは警報を出力し(S9)、一定の遅延時間を持って調相運転を継続することになる(S10)。また、ランナ室の水面押し下げ用の圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上であるときは、ランナ室の圧縮空気を排気し(S11)、ガイドべーン2を開いて貯水池からランナ室に水を供給し、ガイドべーン2を無負荷開度で開口一定として発電方向運転を行う(S12)。その他の内容は図5に示した第2の実施例と同様であるので、その説明は省略する。
【0040】
図8は、この第3の実施例の運転モードの説明図である。調相運転から発電方向運転に切り替える際に、調相運転時間が予め定められた運転時間を越え、かつ、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が所定の設定値を越えたことの条件に、さらに、ランナ室の水面押し下げ用の圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上であることの条件を追加している。こうすることによって、調相運転から発電方向運転に切り替えた後に、さらに調相運転への円滑な切り替えが可能となる。
【0041】
図9は、本発明の第4の実施例のフローチャートである。この第4の実施例は、第1の実施例に対し、被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰したか否かの判断ステップS8を追加して設けたものである。そして、被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰していないと判断されたときは、一定の遅延時間を持って調相運転を継続することになる(S9)。一方、被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰したと判断されたときは、ガイドべーンを全閉にし、ランナ室に圧縮空気を供給して再度調相運転を行う。この場合、被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰したか否かの判断は、発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越えたとき、又は吸出し管から取水した冷却水の温度が調相運転開始時の状態に復帰したとき、又は被冷却部の温度が調相運転開始時点の状態に復帰したときのいずれかの条件を満たしたときとする。
【0042】
この場合、吸出し管から取水した冷却水の温度が調相運転開始時の状態に復帰したとき、又は被冷却部の温度が調相運転開始時点の状態に復帰したときの判定を行うに当たっては、予めこれらの温度設定値を定め、これら冷却水取水温度や被冷却部温度がその温度設定値未満になったときに、調相運転開始時の状態に復帰したと判断するようにしても良い。その他の内容は図1に示した第1の実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0043】
図10は、この第4の実施例の運転モードの説明図である。発電調相運転から発電方向運転に切り替えた後に、時限タイマを動作させ、発電方向の運転時間が予め定めた時間を越えた場合、発電方向運転中に冷却水取水温度が予め定めた温度設定値より低くなった場合、被冷却部温度が予め定めた温度設定値より低くなった場合のいずれかの場合に、再び、ランナ室周りに圧縮空気を注入して調相運転に移行して調相運転を継続する。この場合、予め定める発電方向の運転時間、冷却取水温度の温度設定値、被冷却部温度の温度設定値は、水力機械の大きさ、温度下降状況、検証試験結果などを参照して、その機器にあった最適な発電方向の運転時間や温度設定値を設定することは言うまでもない。
【0044】
ここで、この第4の実施例において、図7に示したランナ室の水面押し下げ用の圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上であるか否かの判定ステップS8を追加して設けても良い。
【0045】
この第4の実施例によれば、発電方向運転中においては、貯水池から温度の上昇していない水を連続的に水力機械に供給し、この水を冷却水として使用するので、被冷却部温度は低下する。また、水力機械のランナ室やその周りの配管類の温度も貯水池からくる流水が冷却水の役割を果たすので、全体的に温度が低下する。そして、この発電方向運転により、被冷却部温度の関数で示される状態量が調相運展開し時点の状態に復帰したときは、再度、調相運転に戻すので、冷却機能を維持しつつ円滑に調相運転を行うことができる。
【0046】
次に、図11に本発明の第5の実施例のフローチャートを示す。この第5の実施例は、図5に示した第2の実施例に対し、被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰したとの判断として、発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越えているか否かの判断ステップS10、及び吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が前記調相運転開始時点の状態に復帰したか否かの判断ステップS12を追加して設けたものである。
【0047】
発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越えていないときは、一定の遅延時間を持って調相運転を継続することになる(S11)。一方、発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越えたときは、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が、調相運転開始時点の状態に復帰したか否かを判定する(S12)。冷却水温度又は被冷却部の温度が調相運転開始時点の状態に復帰していないときは、一定の遅延時間を持って調相運転を継続することになる(S13)。
【0048】
一方、冷却水温度又は被冷却部の温度が調相運転開始時点の状態に復帰しているときは、ガイドべーン開度を全閉にしランナ室に圧縮空気を供給して、再度、調相運転に移行する。
【0049】
このように、この第5の実施例は、発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越え、かつ、吸出し管から取水した冷却水の温度又は被冷却部の温度が調相運転開始時点の状態に復帰したときに、再度、調相運転を行うようにしたものである。この場合、図7に示したランナ室の水面押し下げ用の圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上であるか否かの判定ステップS8を追加して設けても良い。その他の内容は図5に示した第2の実施例と同じであるので、その説明は省略する。
【0050】
図12は、第5の実施例の運転モードの説明図である。発電調相運転から発電方向運転に切り替えた後、時限タイマを動作させると共に、冷却水取水温度又は軸受などの被冷却部の温度を測定する。そして、発電方向運転が予め定めた時間継続したこと、及び冷却水温度又は被冷却部温度が予め定めた温度より低くなったことの二つの条件を同時に満足した場合に、再びランナ室周りに圧縮空気を注入して調相運転を継続させるものである。
【0051】
この第5の実施例によれば、発電方向運転の時間と冷却水取水温度又は被冷却部温度の両者を、再度の発電調相運転の開始条件としているので、それぞれ単独での判定条件よりも運転制御の信頼性が向上する。すなわち、冷却水温度又は被冷却部の温度降下条件が、季節や機器の設置条件によって変化する場合でも円滑で合理的な運転が可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、発電調相運転中に吸出し管に滞留した水の温度が上昇したときは、無負荷の発電方向運転に切り替えて、一旦、吸出し管に滞留した温度の高い水と排熱の影響を受けていない貯水池の水とを置換させ、水力機械の軸受部のような被冷却部への冷却水を貯水池の温度の低い水で入れ替える。これにより、また、水力機械そのものも貯水池の水が冷却水の役割を果たすことで温度を下げることができ、発電方向運転移行前の調相運転の影響を排除させることができる。
【0053】
また、この発電方向運転は無負荷状態でかつ無効電力を調整することになるので、いわゆる調相機能を維持できる。したがって、電力系統に対しては、当初の調相運転から途中の発電方向運転も含めて、調相機能を中断させることなく調相運転を連続的に継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すフローチャート。
【図2】本発明の被冷却部温度の関数で表される状態量として調相運転時間を用いた場合の運転モードの説明図。
【図3】本発明の被冷却部温度の関数で表される状態量として冷却水温度を用いた場合の運転モードの説明図。
【図4】本発明の被冷却部温度の関数で表される状態量として被冷却部温度を用いた場合の運転モードの説明図。
【図5】本発明の第2の実施例を示すフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施例の運転モードの説明図。
【図7】本発明の第3の実施例を示すフローチャート。
【図8】本発明の第3の実施例の運転モードの説明図。
【図9】本発明の第4の実施例を示すフローチャート。
【図10】本発明の第4の実施例の運転モードの説明図。
【図11】本発明の第5の実施例を示すフローチャート。
【図12】本発明の第5の実施例の運転モードの説明図。
【図13】冷却水循環ラインを有した水力機械の説明図。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 ガイドべーン
3 ランナ
4 吸出し管
5 放水路
6 取水部
7 冷却水循環ライン
8 給水ポンプ
9 軸受部クーラ
10 排水部

Claims (7)

  1. 水力機械の吸出し管から取水した冷却水を前記水力機械及び前記水力機械の近傍に設置された電気機器の被冷却部に供給し前記被冷却部を冷却した後前記吸出し管へ戻すようにした冷却水循環ラインを備えた水力機械の運転方法において、前記水力機械のランナ室に供給される水量を調節するガイドべーンを全閉にし、前記水力機械のランナ室に圧縮空気を供給してランナ室の水面を押し下げ、前記水力機械のランナを空中で回転させる調相運転を行い、前記被冷却部温度の関数で表される状態量が所定の設定値を越えたときは前記ランナ室の圧縮空気を排気し、前記ガイドべーンを無負荷開度で開口一定として発電方向運転を行うようにしたことを特徴とする水力機械の運転方法。
  2. 前記被冷却部温度の関数で表される状態量は、前記調相運転開始時点からの運転時間、又は前記吸出し管から取水した冷却水の温度、又は前記被冷却部の温度であることを特徴とする請求項1に記載の水力機械の運転方法。
  3. 前記被冷却部温度の関数で表される状態量のうち前記調相運転時間が予め定められた運転時間を越え、かつ、前記吸出し管から取水した冷却水の温度又は前記被冷却部の温度が所定の設定値を越えたときに、前記ランナ室の圧縮空気を排気するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の水力機械の運転方法。
  4. 前記被冷却部温度の関数で表される状態量のうち前記調相運転時間が所定の設定値を越え、かつ、前記吸出し管から取水した冷却水の温度又は前記被冷却部の温度が所定の設定値を越え、かつ、前記圧縮空気を貯蔵している空気タンクの圧力が所定の圧力以上であるときに、前記ランナ室の圧縮空気を排気するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の水力機械の運転方法。
  5. 前記被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰したと判断されたときは、前記ランナ室に圧縮空気を供給して再度前記調相運転を行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の水力機械の運転方法。
  6. 前記被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰したとの判断は、発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越えたとき、又は前記吸出し管から取水した冷却水の温度が調相運転開始時の状態に復帰したとき、又は前記被冷却部の温度が調相運転開始時点の状態に復帰したときのいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の水力機械の運転方法。
  7. 前記被冷却部温度の関数で表される状態量が調相運転開始時点の状態に復帰したとの判断は、前記発電方向運転時間が予め定めた運転時間を越え、かつ、前記吸出し管から取水した冷却水の温度又は前記被冷却部の温度が前記調相運転開始時点の状態に復帰したときに、再度、前記調相運転を行うようにしたことを特徴とする請求項5に記載の水力機械の運転方法。
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