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JP3558868B2 - 増幅回路 - Google Patents
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JP3558868B2 - 増幅回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、バイポーラトランジスタの構造の改良に関し、特に、バイポーラトランジスタの電気的特性を改良するために行うバイポーラトランジスタの構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、NPN型及びPNP型のバイポーラトランジスタが知られている。このバイポーラトランジスタは、n型又はp型の半導体よりなるコレクタと、コレクタに接合され、コレクタと異なる型(すなわち、コレクタがn型ならばp型、p型ならばn型)の半導体よりなるベースと、ベースに接合され、コレクタと同じ型の半導体よりなるエミッタとより構成される。
【0003】
このバイポーラトランジスタは、外部の信号源とベースの間にベース電流を流すと、ベース電流に実質的に比例する量の電流をコレクタ−エミッタ間に流すよう、コレクタ−エミッタ間を含む電流路を制御する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このバイポーラトランジスタにおいて実質的な量のベース電流を流すためには、通常、0.6ボルト程度のベース−エミッタ間電圧を要する。このため、ベースに供給される信号の電圧の遷移とバイポーラトランジスタのオン/オフ状態の遷移との間に時間的なずれが生じ、これが信号伝搬の遅れの原因となる。
【0005】
例えば、0.6ボルト未満であるロー状態から0.6ボルトを超えるハイ状態までを有限の一定時間で立ち上がるデジタル入力に対しては、入力がロー状態から0.6ボルトに達するまでの時間、出力の立ち上がりが開始されず、これが伝搬の遅れとなって表れる。
【0006】
また、このバイポーラトランジスタが非飽和状態において流しうるベース電流の量はベース−エミッタ間電圧の関数となるが、一定のベース−エミッタ間電圧の下で流れるベース電流の値は、温度にも依存する。そして、ベース電流の温度に対する変化率は、ベース−エミッタ間電圧が大きいほど大きい。
【0007】
このため、用途によっては、差動増幅器など、ベース電流の温度に対する変動を補償するための構成を用いる必要が生じ、用途を達成するために必要なバイポーラトランジスタの数が増大して、装置の複雑化、大型化を招き、消費電力も増大する。
【0008】
この発明は上記実状に鑑みてなされたもので、信号を入力する端子の電圧が実質的に接地電位に等しい状態で信号の増幅を行う増幅回路と、そのような増幅回路の製造を容易にする半導体素子とを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点にかかる半導体素子は、
第1導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、
前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、
前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、を備え、
前記第1、第2及び第3の半導体層は、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第1及び第3の半導体層のうち一方がコレクタとして、他方がエミッタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、
前記第2、第4及び第5の半導体層は、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第2及び第5の半導体層のうち一方がコレクタとして、他方がエミッタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす、
ことを特徴とする。
【0010】
このような半導体素子によれば、例えば第1のバイポーラトランジスタをエミッタ接地モードで動作させ、第2の半導体層を第2のバイポーラトランジスタのエミッタとし、第5の半導体層をコレクタとして動作させることにより、第4の半導体層の電位が、接地電位に実質的に等しくなる。
また、例えば第1のバイポーラトランジスタをエミッタ接地モードで動作させ、第5の半導体層を第2のバイポーラトランジスタのエミッタとし、第2の半導体層をコレクタとして動作させ、第2のバイポーラトランジスタを飽和させても、第4の半導体層の電位は、接地電位に実質的に等しくなる。
従って、このような半導体素子によれば、信号を入力する端子の電圧が実質的に接地電位に等しい状態で信号の増幅を行う増幅回路の製造が容易となる。
【0011】
前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベース及び前記エミッタの接合面の面積は、前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタ及び前記ベースの接合面の面積より小さいものであってもよい。
【0012】
これにより、第1及び第2のバイポーラトランジスタのエミッタからコレクタに注入されるキャリアの量は、各バイポーラトランジスタのベースに流れるわずかなベース電流により制御することができる。すなわち、第1及び第2のバイポーラトランジスタのベースの入力インピーダンスは大きくなり、また、第1及び第2のバイポーラトランジスタの電流増幅率が大きくなる。
【0013】
また、第1及び第2のバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の接合面の面積が小さくなることにより、該接合面が形成するコンデンサの接合容量も小さくなり、第1及び第2のバイポーラトランジスタの周波数特性が改善される。
【0014】
また、この発明の第2の観点にかかる半導体素子は、
第1導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、
前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、
前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、を備え、
前記第1、第2及び第3の半導体層は、外部の電源の一方の極から順に、前記第1、第2及び第3の半導体層を経て前記電源の他方の極に至る第1の電流路を形成し、
前記第2、第4及び第5の半導体層は、前記電源の一方の極から順に、前記第5、第4及び第2の半導体層を経て前記電源の他方の極に至る第2の電流路を形成する、
ことを特徴とする。
【0015】
このような半導体素子の第1、第2及び第3の半導体層は、例えばそれぞれコレクタ、ベース及びエミッタとして機能することにより第1のバイポーラトランジスタを形成し、第2、第4及び第5の半導体層は、例えばエミッタ、ベース及びコレクタとして機能することにより第2のバイポーラトランジスタを形成する。
そして、例えば第1のバイポーラトランジスタをエミッタ接地モードで動作させることにより、第4の半導体層の電位が、接地電位に実質的に等しくなる。
従って、このような半導体素子によれば、信号を入力する端子の電圧が実質的に接地電位に等しい状態で信号の増幅を行う増幅回路の製造が容易となる。
【0016】
また、この発明の第3の観点にかかる半導体素子は、
第1導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、
前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、
前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、を備え、
前記第1、第2及び第3の半導体層は、外部の電源の一方の極から順に、前記第1、第2及び第3の半導体層を経て前記電源の他方の極に至る第1の電流路を形成し、
前記第2、第4及び第5の半導体層は、前記電源の一方の極から順に、前記第2、第4及び第5の半導体層を経て前記電源の他方の極に至る第2の電流路を形成する、
ことを特徴とする。
【0017】
このような半導体素子の第1、第2及び第3の半導体層は、例えばそれぞれコレクタ、ベース及びエミッタとして機能することにより第1のバイポーラトランジスタを形成し、第2、第4及び第5の半導体層は、例えばコレクタ、ベース及びエミッタとして機能することにより第2のバイポーラトランジスタを形成する。
そして、例えば第1のバイポーラトランジスタをエミッタ接地モードで動作させ、第2のバイポーラトランジスタを飽和させると、第4の半導体層の電位は、接地電位に実質的に等しくなる。
従って、このような半導体素子によれば、信号を入力する端子の電圧が実質的に接地電位に等しい状態で信号の増幅を行う増幅回路の製造が容易となる。
【0018】
また、この発明の第4の観点にかかる増幅回路は、
第1導電型の第1の半導体層と、前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、を備え、前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がコレクタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がエミッタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がエミッタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がコレクタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
前記第のバイポーラトランジスタの前記エミッタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに入力信号を供給する入力手段と、
前記第2のバイポーラトランジスタの前記エミッタが発生する電圧を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに印加する手段と、
前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
このような増幅回路によれば、第1のバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の電圧は、第2のバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の電圧により実質的に相殺され、第2のバイポーラトランジスタのベースの電位は、第1のバイポーラトランジスタのエミッタの電位にほぼ等しくなる。
このため、例えば第1のバイポーラトランジスタのエミッタが接地されていれば、この増幅回路は、入力信号の入力端である第2のバイポーラトランジスタのベースの電位が実質的に接地電位に等しい状態で入力信号の増幅を行う。
【0020】
また、この発明の第5の観点にかかる増幅回路は、
第1導電型の第1の半導体層と、前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、を備え、前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がコレクタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がエミッタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がエミッタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がコレクタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
前記第のバイポーラトランジスタの前記エミッタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を飽和させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに入力信号を供給する入力手段と、
前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路に流れる電流を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、
前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
このような増幅回路によれば、第1のバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の電圧は、第2のバイポーラトランジスタのコレクタ−ベース間の電圧により実質的に相殺され、第2のバイポーラトランジスタのベースの電位は、第1のバイポーラトランジスタのエミッタの電位にほぼ等しくなる。
このため、例えば第1のバイポーラトランジスタがエミッタ接地モードで動作していれば、この増幅回路は、入力信号の入力端である第2のバイポーラトランジスタのベースの電位が実質的に接地電位に等しい状態で入力信号の増幅を行う。
【0022】
また、この発明の第6の観点にかかる増幅回路は、
第1導電型の第1の半導体層と、前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、を備え、前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がコレクタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がエミッタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がエミッタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がコレクタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
前記第のバイポーラトランジスタの前記エミッタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を能動領域で導通させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
入力端と、前記入力端に印加された入力信号を表す電流を前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、を備える入力手段と、
前記入力端の電位が前記第1のバイポーラトランジスタの前記エミッタの電位にほぼ等しくなるように、前記入力端と前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースとの間の電圧を制御する電位固定手段と、
前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路に流れる電流を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、
前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
このような増幅回路によれば、第2のバイポーラトランジスタが能動領域で動作する一方、電位規制手段により、入力端の電位は第1のバイポーラトランジスタのエミッタの電位にほぼ等しくなる。
このため、例えば第1のバイポーラトランジスタがエミッタ接地モードで動作し、第1のバイポーラトランジスタのエミッタが接地されていれば、この増幅回路は、入力端の電位が実質的に接地電位に等しい状態で入力信号の増幅を行う。
【0024】
また、このような増幅回路では、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間の電流は、入力信号の電圧の変化とは実質的に逆相で変化する。このため、例えば第1のバイポーラトランジスタがエミッタ接地で動作している場合、第1のバイポーラトランジスタのコレクタの電圧を出力信号とすれば、出力信号は、入力信号と同相で変化する。
【0025】
前記バイアス手段は、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する前記バイアス電流の大きさを、前記負荷に流れる電流の増加量に実質的に比例して減少させる負帰還手段を備えるものであってもよい。
これにより、第1のバイポーラトランジスタは、例えば実質的に自己バイアスされ、周囲の温度変化に対して安定に動作する。また、この増幅回路の周波数特性も改善される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図8を参照して、この発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(トランジスタ)
図1は、この発明の実施の形態にかかるトランジスタの構成を模式的に示す図である。図示するように、このトランジスタは、第1〜第5の半導体層1〜5を備えている。
【0028】
第1の半導体層1は、n型半導体領域(以下、n型領域と呼ぶ)からなり、第2の半導体層2に接合されている。第1の半導体層1には、外部接続用のコレクタ端子tCが接続されている。
【0029】
第2の半導体層2は、p型半導体領域(以下、p型領域と呼ぶ)からなる。第2の半導体層2には、外部接続用のバイアス端子tBIASが接続されている。
【0030】
第3の半導体層3はn型領域からなり、第2の半導体層2に接合されていて、外部接続用の第1エミッタ端子tE1が接続されている。
【0031】
第4の半導体層4は、n型領域からなり、第3の半導体層3と互いに接することなく、第2の半導体層2に接合されている。第4の半導体層4には、外部接続用のベース端子tBが接続されている。
【0032】
第5の半導体層5はp型領域からなり、第4の半導体層4に接合されていて、外部接続用の第2エミッタ端子tE2に接続されている。
【0033】
図1に示すように、このトランジスタにおいては、第1〜第3の半導体層1〜3がNPN型の第1のバイポーラトランジスタを形成し、第2、第4及び第5の半導体層2、4及び5がPNP型の第2のバイポーラトランジスタを形成する。
【0034】
第1の半導体層1は第1のバイポーラトランジスタのコレクタとして機能する。
第2の半導体層2は第1のバイポーラトランジスタのベース及び第2のバイポーラトランジスタのエミッタとして機能する。第3の半導体層3は第1のバイポーラトランジスタのエミッタとして機能する。
第4の半導体層4は第2のバイポーラトランジスタのベースとして機能する。第5の半導体層5は第2のバイポーラトランジスタのコレクタとして機能する。
【0035】
ただし、後述するように、第2の半導体層2は第2のバイポーラトランジスタのエミッタの機能を行ってもよい。第2の半導体層2が第2のバイポーラトランジスタのエミッタの機能を行う場合、第5の半導体層5は第2のバイポーラトランジスタのコレクタの機能を行う。
【0036】
(増幅回路)
次に、この発明の実施の形態にかかる増幅回路を説明する。
図2は、この増幅回路の構成を示す回路図である。
図示するように、この増幅回路は、トランジスタQと、抵抗器R1〜R3と、入力端INと、出力端OUTとからなる。
【0037】
トランジスタQは、図1に示すトランジスタと実質的に同一のものである。ただし、この増幅回路のトランジスタQにおいては、第2のバイポーラトランジスタのコレクタの機能を行うのは第5の半導体層5であり、第2のバイポーラトランジスタのエミッタの機能を行うのは第2の半導体層2である。
【0038】
トランジスタQのコレクタ端子tCと外部の直流電源の正極との間には抵抗器R1が接続され、また、コレクタ端子tCには、出力端OUTが接続されている。第1エミッタ端子tE1及び第2エミッタ端子tE2はいずれも接地され、直流電源の負極も接地されている。バイアス端子tBIASと直流電源の正極との間には抵抗器R2が接続されている。ベース端子tBには入力端INが接続され、また、ベース端子tBには抵抗器R3の一端が接続され、抵抗器R3の他端は接地されている。
【0039】
抵抗器R1〜R3の抵抗値は、トランジスタQに含まれる上述の第1及び第2のバイポーラトランジスタが実質的にA級動作をするような値に選ばれている。すなわち、抵抗器R1〜R3の抵抗値は、入力端INから実質的に信号が供給されていない場合において、第1及び第2のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間に、これらの各バイポーラトランジスタがほぼ完全にオンしたときに流れる電流のほぼ半分の電流が流れるよう設定されている。
【0040】
そして、図2の回路において、直流電源の両極より電源電圧を印加すると、第1及び第2のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間に、これらの各バイポーラトランジスタがほぼ完全にオンしたときに流れる電流のほぼ半分の電流が流れる。
【0041】
そして、第2及び第3の半導体層2及び3の間には、第2及び第3の半導体層2及び3が形成するダイオードの順方向特性に従って順方向電圧が発生する。具体的には、第1のバイポーラトランジスタのエミッタ(すなわち、第3の半導体層3)に対する第1のバイポーラトランジスタのベース(すなわち、第2の半導体層2)の電圧は、例えば約0.6ボルトとなる。
【0042】
また、第2及び第4の半導体層2及び4の間にも、第2及び第4の半導体層2及び4が形成するダイオードの順方向特性に従って順方向電圧が発生する。従って、第2のバイポーラトランジスタのエミッタ(すなわち、第2の半導体層2)に対する第2のバイポーラトランジスタのベース(すなわち、第4の半導体層4)の電圧も、例えば約0.6ボルトとなる。
【0043】
従って、第2及び第3の半導体層2及び3が形成するダイオードの順方向電圧の絶対値と、第2及び第4の半導体層2及び4が形成するダイオードの順方向電圧の絶対値とが互いにほぼ等しければ、第3及び第4の半導体層3及び4の間の電圧はほぼ0となる。すなわち、第4の半導体層4に接続されている入力端INの電圧は、接地電位にほぼ等しくなる。
【0044】
そして、入力端INに、増幅の対象となる入力信号を印加すると、第2のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間を流れる電流は、入力信号が正極性のとき、入力信号の振幅に実質的に比例して減少し、入力信号が負極性のとき、入力信号の振幅に実質的に比例して増加する。
【0045】
従って、第2のバイポーラトランジスタのベースの機能を行う第2の半導体層2の電圧は、接地電位に対し、入力信号が正極性のとき入力信号の振幅に比例して上昇し、入力信号が負極性のとき入力信号の振幅に比例して降下する。
【0046】
第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間を流れる電流は、第2の半導体層2の電圧が上昇すれば増加し、降下すれば減少する。
このため、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間を流れる電流は、入力端INに印加された入力信号の電圧が上昇すれば増加し、降下すれば減少する。
【0047】
この結果、第1の半導体層1に接続されている出力端OUTの電圧は、入力端INに印加された入力信号の電圧が上昇すれば降下し、入力信号の電圧が降下すれば上昇する。すなわち、出力端OUTの電圧は、入力端INの電圧の極性を反転した信号を表す。
【0048】
図2に示す増幅回路の入力端INに、接地電位を挟んで瞬時値が振動する正弦波を供給した場合の出力端OUTの電位の波形の一例を図3に示す。図示するように、入力端INの電位が接地電位を挟んで上下しても、出力端OUTからは、入力端INの電位の変化を逆相で増幅したものに相当する電位が供給される。
【0049】
なお、図2の増幅回路において、トランジスタQに含まれる第1及び第2のバイポーラトランジスタは、いずれも実質的にA級動作をする必要はなく、いずれも、入力端INから信号が実質的に供給されていない状態において実質的に能動領域にあればよい。すなわち、第1及び第2のバイポーラトランジスタは、入力端INから信号が新たに供給されたとき、各々のコレクタ−エミッタ間に流れる電流の変化分が、各々のベース電流の変化分を増幅したものに相当する電流が流れる状態にあればよい。
【0050】
この発明の実施の形態にかかる増幅回路は、例えば、図4に示す構成をとってもよい。図示するように、この増幅回路は、トランジスタQと、抵抗器R1〜R3と、入力端INと、出力端OUTとからなる。
【0051】
図4の増幅回路において、トランジスタQは、図1に示すトランジスタと実質的に同一のものである。ただし、この増幅回路のトランジスタQにおいては、第2のバイポーラトランジスタのコレクタの機能を行うのは第2の半導体層2であり、第2のバイポーラトランジスタのエミッタの機能を行うのは第5の半導体層5である。
【0052】
また、図4の増幅回路においては、図2に示す増幅回路と同様、トランジスタQのコレクタ端子tCと外部の直流電源の正極との間には抵抗器R1が接続され、また、コレクタ端子tCには出力端OUTが接続されている。また、ベース端子tBに入力端IN及び抵抗器R3の一端が接続され、抵抗器R3の他端は接地されている。第1エミッタ端子tE1及び直流電源の負極も接地されている。
【0053】
一方、図4の増幅回路において、抵抗器R2は、トランジスタQの第2エミッタ端子tE2と直流電源の正極との間に接続されている。また、バイアス端子tBIASは開放されている。
【0054】
図4の増幅回路において、抵抗器R1〜R3の抵抗値は、トランジスタQの第1のバイポーラトランジスタが実質的にA級動作をし、且つ、トランジスタQの第2のバイポーラトランジスタが実質的に飽和するような値に選ばれている。
【0055】
図4の増幅回路において、直流電源の両極より電源電圧を印加すると、第2のバイポーラトランジスタは飽和し、第2のバイポーラトランジスタのエミッタからコレクタに(すなわち、第5の半導体層5から第2の半導体層2に)流れる飽和電流は、第1のバイポーラトランジスタのベースに流れ込む。
【0056】
この飽和電流により第1のバイポーラトランジスタは駆動され、第1のバイポーラトランジスタのコレクタからエミッタに(すなわち、第1の半導体層1から第3の半導体層3に)、第1のバイポーラトランジスタがほぼ完全にオンしたときに流れる電流のほぼ半分の電流が流れる。
【0057】
そして、第2及び第3の半導体層2及び3の間には、第2及び第3の半導体層2及び3が形成するダイオードの順方向特性に従って順方向電圧が発生し、また、第2及び第4の半導体層2及び4の間にも、第2及び第4の半導体層2及び4が形成するダイオードの順方向特性に従って順方向電圧が発生する。
従って、図2の増幅回路と同様、第3及び第4の半導体層3及び4の間の電圧はほぼ0となり、入力端INの電圧は、接地電位にほぼ等しくなる。
【0058】
直流電源より電源電圧を印加した状態で、入力端INに、増幅の対象となる入力信号が供給されたとする。
この場合、第2のバイポーラトランジスタは飽和しているので、第2及び第5の半導体層2及び5の間の電圧は実質的に0であり、抵抗器R2の両端に印加される電圧は、直流電源の電圧から、第2及び第3の半導体層2及び3が形成するダイオードの順方向電圧を差し引いたものに実質的に等しい。従って、抵抗器R2に流れる電流の大きさは実質的に一定である。
【0059】
このため、入力端INに供給された入力信号により第2のバイポーラトランジスタのベース(すなわち、第4の半導体層4)に流れる電流のほぼすべてが、第1のバイポーラトランジスタのベースである第2の半導体層2にベース電流として流れる。
【0060】
そして、入力端INから第2の半導体層2に流れる電流は、第1のバイポーラトランジスタにより増幅される。従って、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ(すなわち、第1の半導体層1)と第1のバイポーラトランジスタのエミッタ(すなわち、第3の半導体層3)との間には、入力信号の振幅に実質的に比例して増減する電流が流れる。
【0061】
この結果、第1の半導体層1に接続されている出力端OUTの電圧は、入力端INに印加された入力信号の電圧が上昇すれば、入力信号の上昇量に実質的に比例して降下し、入力信号の電圧が降下すれば、入力信号の降下量に実質的に比例して上昇する。すなわち、出力端OUTの電圧は、入力端INの電圧の極性を反転した信号の大きさに実質的に比例する。
【0062】
図4に示す増幅回路の入力端INに、接地電位を挟んで瞬時値が振動する正弦波を供給した場合の出力端OUTの電圧の波形の一例を図5に示す。図示するように、図4の増幅回路においても、出力端OUTからは、接地電位を挟んで上下する入力端INの電圧を逆相で増幅したものに実質的に等しい電圧が出力される。
【0063】
なお、既に説明した図2の増幅回路では、第1のバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の電圧の変化量が、入力信号の電圧の変化量に実質的に比例する。バイポーラトランジスタのベース電流の大きさは、そのバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の電圧の変化量の指数関数に実質的に比例する。このため、図2の増幅回路では、出力端OUTの電圧の変化量が入力端INの電圧の変化量に比例しているとみなせず、歪みが無視できなくなる場合が生じる。
【0064】
具体的には、例えば図3に示すように、出力波形のうち電位が高い部分において、第1のバイポーラトランジスタが実質的にオフすることによって、理想的な出力波形(図3において破線で示す波形)が表す電位より高い電位が出力端OUTに発生し、非直線歪みが大きくなる。
【0065】
これに対し、図4に示す増幅回路では、上述の通り、第1のバイポーラトランジスタのベース電流の変化量は、入力信号の電圧の変化量に実質的に比例する。このため、図4の増幅回路は、図2の増幅回路に比べて入力信号に対する出力信号の直線性が優れ、例えば図5に示すように、図3に示す出力波形に比べ非直線歪みが少ない出力波形が得られる。
【0066】
なお、図4の増幅回路において、トランジスタQの第1のバイポーラトランジスタは実質的にA級動作をする必要はなく、入力端INから信号が実質的に供給されていない状態において実質的に能動領域にあればよい。
【0067】
この発明の実施の形態にかかる増幅回路は、例えば、図6に示す構成をとってもよい。
図6の増幅回路は、図示するように、抵抗器R2がトランジスタQの第2エミッタ端子tE2とコレクタ端子tCとの間に接続されている点を除いて、図4に示す増幅回路と実質的に同一である。
【0068】
また、抵抗器R2及びR3の抵抗値は、図4の増幅回路と同様、トランジスタQの第1のバイポーラトランジスタが実質的にA級動作をし、且つ、トランジスタQの第2のバイポーラトランジスタが実質的に飽和するような値に選ばれている。
【0069】
図6の増幅回路においても、直流電源の両極より電源電圧を印加すると、第2のバイポーラトランジスタは飽和し、第1のバイポーラトランジスタのコレクタからエミッタには、第1のバイポーラトランジスタがほぼ完全にオンしたときに流れる電流のほぼ半分の電流が流れる。
【0070】
従って、入力端INの電圧は、第2及び第3の半導体層2及び3が形成するダイオードの順方向電圧と、第2及び第4の半導体層2及び4が形成するダイオードの順方向電圧との差にほぼ等しくなる。すなわち、入力端INの電圧は、接地電位にほぼ等しくなる。
【0071】
直流電源より電源電圧を印加した状態で、入力端INに、増幅の対象となる入力信号が供給されたとする。
この場合、第2のバイポーラトランジスタは飽和しているので、第2及び第5の半導体層2及び5の間の電圧は実質的に0である。また、抵抗器R2の両端に印加される電圧は、直流電源の電圧から、抵抗器R1の両端の電圧を差し引き、更に、第2及び第3の半導体層2及び3が形成するダイオードの順方向電圧を差し引いたものに実質的に等しい。
そして、抵抗器R1の両端の電圧降下は、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間に流れる電流が抵抗器R1に流れることにより発生するものである。
【0072】
従って、第1のバイポーラトランジスタに流れるベース電流の大きさは、抵抗器R1に流れる電流が増加するとその増加量に実質的に比例して減少し、抵抗器R1に流れる電流が減少するとその減少量に実質的に比例して増加する。すなわち、第1のバイポーラトランジスタは実質的に自己バイアスされ、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間の電流の変化はベースに負帰還される。
【0073】
そして、入力端INから供給される入力信号により第2のバイポーラトランジスタのベースに流れる電流のほぼすべてが第1のバイポーラトランジスタのベースに流れ、この電流は第1のバイポーラトランジスタにより増幅される。
【0074】
この結果、出力端OUTの電圧は、入力端INの電圧の極性を反転した信号の大きさに実質的に比例する。入力端INの電圧の変化に対する出力端OUTの電圧の変化率は、第1のバイポーラトランジスタの電流増幅率と、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間の電流の変化がベース電流に負帰還される帰還率(すなわち、抵抗器R1に流れる電流の変化量に対するベース電流の変化量の割合)とにより決定される。
【0075】
図6の増幅回路では、第1のバイポーラトランジスタが実質的に自己バイアスされる結果、第1のバイポーラトランジスタの動作点は、トランジスタQの周囲の温度に対して安定となる。
また、エミッタ接地モードでのバイポーラトランジスタの電圧増幅率は一般に、増幅の対象の信号の周波数が増大するにつれミラー効果に従って減少する。しかし、図6の増幅回路では、第1のバイポーラトランジスタに上述の通り負帰還がかかるため、図6の増幅回路のカットオフ周波数は、例えば図4の増幅回路に比べ高くなる。すなわち周波数特性が改善される。
【0076】
なお、図6の増幅回路においても、トランジスタQの第1のバイポーラトランジスタは実質的にA級動作をする必要はなく、入力端INから信号が実質的に供給されていない状態において実質的に能動領域にあればよい。
【0077】
この発明の実施の形態にかかる増幅回路は、例えば、図7に示す構成をとってもよい。
図示するように、この増幅回路は、トランジスタQと、ダイオードDと、抵抗器R4〜R8と、入力端INと、出力端OUTとからなる。
【0078】
トランジスタQは、図1に示すトランジスタと実質的に同一のものである。ただし、この増幅回路のトランジスタQにおいては、第2のバイポーラトランジスタのコレクタの機能を行うのは第2の半導体層2であり、第2のバイポーラトランジスタのエミッタの機能を行うのは第5の半導体層5である。
【0079】
トランジスタQのコレクタ端子tCと外部の直流電源の正極との間には抵抗器R4が接続され、また、コレクタ端子tCには、出力端OUTが接続されている。コレクタ端子tCと第2エミッタ端子tE2との間には抵抗器R5が接続され、第1エミッタ端子tE1と第2エミッタ端子tE2との間には抵抗器R6が接続されている。第1エミッタ端子tE1及び直流電源の負極は接地されている。直流電源の正極とベース端子tBとの間には抵抗器R7が接続され、ベース端子tBにはダイオードDのアノードが接続され、ダイオードDのカソードは入力端INに接続されている。入力端INと第1エミッタ端子tE1との間には抵抗器R8が接続されている。
【0080】
抵抗器R4〜R8の抵抗値は、トランジスタQの第1のバイポーラトランジスタが実質的にA級動作を行い、入力端INの電位が接地電位にほぼ等しくなるような値に選ばれている。
【0081】
例えば、第2のバイポーラトランジスタのエミッタ(すなわち、第5の半導体層5)に対する第2のバイポーラトランジスタのベース(すなわち、第4の半導体層4)の電圧が約−0.7ボルトであるとする。また、直流電源の正極から抵抗器R7、ダイオードD及び抵抗器R8を経て直流電源の負極に至る電流によりダイオードDの両端(すなわち、アノード及びカソード)の間に発生する順方向電圧が、グラウンドに対して約+0.5ボルトであるとする。
この場合、抵抗器R4〜R8の抵抗値は、第2のバイポーラトランジスタのエミッタの電圧が、グラウンドに対して約+1.2ボルトとなるような値に選ばれる。
【0082】
図7の増幅回路においては、直流電源の両極より電源電圧を印加すると、第1のバイポーラトランジスタのコレクタからエミッタには、第1のバイポーラトランジスタがほぼ完全にオンしたときに流れる電流のほぼ半分の電流が流れる。
【0083】
また、第2のバイポーラトランジスタのコレクタ(すなわち、第2の半導体層2)には、第2の半導体層2及び第3の半導体層3により形成されるダイオードの順方向電圧が印加される。
そして、第2のバイポーラトランジスタのエミッタには、第4の半導体層4及び第5の半導体層5が形成するダイオードの両端間に発生する順方向電圧と、ダイオードDの両端間に発生する順方向電圧との和に実質的に等しい電圧が印加される。
【0084】
従って、第2のバイポーラトランジスタのコレクタの電位はエミッタの電位より0.6ボルト程度低くなり、第2のバイポーラトランジスタは、能動領域での動作を行う。なお、入力端INの電圧は、抵抗器R4〜R8の抵抗値が上述した通りに選ばれている結果、ほぼ0となる。
【0085】
直流電源より電源電圧を印加した状態で、入力端INに、増幅の対象となる入力信号が供給されたとする。この場合、第2のバイポーラトランジスタのベースである第4の半導体層4に供給される電流の大きさは、入力信号の電圧の増加量に実質的に比例して減少し、また、入力信号の電圧の減少量に実質的に比例して増加する。
【0086】
そして、第2のバイポーラトランジスタのエミッタからコレクタに流れる電流の大きさは、第2のバイポーラトランジスタのベースに供給される電流の増減の量に実質的に比例して増減する。
【0087】
第2のバイポーラトランジスタのエミッタ−コレクタ間に流れる電流は、第1のバイポーラトランジスタのベース電流として、第2及び第3の半導体層2及び3の間にも流れ、第1のバイポーラトランジスタは、このベース電流を増幅した電流を、第1のバイポーラトランジスタのエミッタ−コレクタ間に流す。
【0088】
そして、抵抗器R4の両端に発生する電圧は、第1のバイポーラトランジスタのエミッタ−コレクタ間に流れる電流の大きさに比例し、第1のバイポーラトランジスタのエミッタ−コレクタ間の電圧は、電源電圧から抵抗器R4の両端間の電圧を差し引いたものに実質的に等しい。
【0089】
この結果、出力端OUTの電圧は、入力端INの電圧の上昇量に実質的に比例して上昇し、また、入力端INの電圧の降下量に実質的に比例して降下する。すなわち、図7に示す増幅回路は、入力端INに印加された電圧を実質的に同相で増幅した電圧を、出力端OUTに発生させる。
【0090】
そして、図7の増幅回路では、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間に流れる電流が増加すると、第1のバイポーラトランジスタのコレクタの電圧が降下し、従って、抵抗器R5及びR6の接続点に接続されている、第2のバイポーラトランジスタのエミッタの電位も降下する。
このため、第2のバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の電位差が縮小し、第2のバイポーラトランジスタのエミッタ−コレクタ間を流れる電流(すなわち、第1のバイポーラトランジスタのベース電流)が減少して、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間に流れる電流も減少する。
【0091】
従って、第1のバイポーラトランジスタは、図6の増幅回路における第1のバイポーラトランジスタと同様、実質的に自己バイアスされ、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間の電流の変化はベースに負帰還される。
これにより、図7の増幅回路においても、第1のバイポーラトランジスタの動作点はトランジスタQの周囲の温度に対して安定となり、また、増幅回路全体の周波数特性も改善される。
【0092】
なお、図7の増幅回路では、入力端INの電圧の変化に対する出力端OUTの電圧の変化率は、第1及び第2のバイポーラトランジスタの電流増幅率と、第1のバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間の電流の変化がベース電流に負帰還される帰還率とにより決定される。
【0093】
また、図7の増幅回路においては、トランジスタQに含まれる第1のバイポーラトランジスタは実質的にA級動作をする必要はなく、第2のバイポーラトランジスタと同様に、入力端INから信号が実質的に供給されていない状態において実質的に能動領域にあればよい。
【0094】
なお、この発明の実施の形態にかかるトランジスタの構成は上述のものに限られない。
例えば、第1の半導体層1、第3の半導体層3及び第4の半導体層4の導電型(不純物型)はn型である必要はなく、p型としてもよい。第1の半導体層1、第3の半導体層3及び第4の半導体層4がp型である場合、第2の半導体層2及び第5の半導体層5はn型であればよい。
【0095】
第1の半導体層1、第3の半導体層3及び第4の半導体層4がp型で、第2の半導体層2及び第5の半導体層5がn型である場合におけるこのトランジスタの動作は、このトランジスタ各部に流れる電流の向きが逆になる点を除き、第1の半導体層1、第3の半導体層3及び第4の半導体層4がn型で、第2の半導体層2及び第5の半導体層5がp型である場合のこのトランジスタの動作と実質的に同一である。
【0096】
また、第1の半導体層1及びコレクタ端子tCが第3の半導体層3及び第1エミッタ端子tE1の機能を行うようにし、且つ、第3の半導体層3及び第1エミッタ端子tE1が第1の半導体層1及びコレクタ端子tCの機能を行うようにしてもよい。
【0097】
また、この発明の実施の形態のトランジスタは、例えば図8(a)及び図8(b)に示すように、第2の半導体層2及び第3の半導体層3の接合面の面積が、第2の半導体層2及び第4の半導体層4の接合面の面積より小さくなっていてもよい。
また、図8(a)に示すように、第4の半導体層4及び第5の半導体層5の接合面の面積が、第2の半導体層2及び第4の半導体層4の接合面の面積より小さくなっていてもよい。また、図8(b)に示すように、第2の半導体層2及び第4の半導体層4の接合面の面積が、第4の半導体層4及び第5の半導体層5の接合面の面積より小さくなっていてもよい。
【0098】
これにより、このトランジスタに含まれる上述の第1及び第2のバイポーラトランジスタのエミッタからコレクタに注入されるキャリアの量は、各バイポーラトランジスタのベースに流れるわずかなベース電流により制御することができる。すなわち、第1及び第2のバイポーラトランジスタのベースの入力インピーダンスは大きくなり、また、第1及び第2のバイポーラトランジスタの電流増幅率が大きくなる。
【0099】
なお、各バイポーラトランジスタのエミッタからベースに流れ込んだ少数キャリアはベースに幅広く拡散し、各バイポーラトランジスタのコレクタに流れるコレクタ電流として吸収される。
【0100】
また、各バイポーラトランジスタのベース−エミッタ間の接合面の面積を小さくすることにより、これらの接合部が形成するコンデンサの接合容量も小さくなる。このため、このトランジスタでは、良好な周波数特性を得ること(すなわち、このトランジスタに含まれる第1及び第2のバイポーラトランジスタのトランジション周波数を高くすること)もできる。
【0101】
従来の大電力用トランジスタは、電流増幅率が小さく周波数特性も悪いという欠点があった。これに対し、図8(a)及び図8(b)に示すトランジスタは、大電力用であっても小電力用並に制御が容易であるので、電力制御用として幅広く使用することができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、信号を入力する端子の電圧が実質的に接地電位に等しい状態で信号の増幅を行う増幅回路と、そのような増幅回路の製造を容易にする半導体素子とが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかるトランジスタの構成を示す模式的断面図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる増幅回路の構成を示す回路図である。
【図3】図2の増幅回路の入力端及び出力端の電圧の波形を示すグラフである。
【図4】図2の増幅回路の変形例の構成を示す回路図である。
【図5】図4の増幅回路の入力端及び出力端の電圧の波形を示すグラフである。
【図6】図2の増幅回路の変形例の構成を示す回路図である。
【図7】図2の増幅回路の変形例の構成を示す回路図である。
【図8】(a)及び(b)は、図1のトランジスタの変形例の構成を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 第1の半導体層
2 第2の半導体層
3 第3の半導体層
4 第4の半導体層
5 第5の半導体層
D ダイオード
Q トランジスタ
tB ベース端子
tBIAS バイアス端子
tC コレクタ端子
tE1 第1エミッタ端子
tE2 第2エミッタ端子
R1〜R8 抵抗器

Claims (6)

  1. 第1導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、
    前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、
    を備え、
    前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がコレクタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がエミッタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がエミッタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がコレクタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
    前記第のバイポーラトランジスタの前記エミッタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに入力信号を供給する入力手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記エミッタが発生する電圧を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに印加する手段と、
    前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
    を備えることを特徴とする増幅回路。
  2. 第2導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層に接合された第1導電型の第2の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第2導電型の第3の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第2導電型の第4の半導体層と、
    前記第4の半導体層に接合された第1導電型の第5の半導体層と、
    を備え、
    前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がエミッタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がコレクタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がコレクタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がエミッタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに入力信号を供給する入力手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタが発生する電圧を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに印加する手段と、
    前記第1のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
    を備えることを特徴とする増幅回路。
  3. 第1導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、
    前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、
    を備え、
    前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がコレクタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がエミッタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がエミッタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がコレクタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
    前記第のバイポーラトランジスタの前記エミッタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を飽和させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに入力信号を供給する入力手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路に流れる電流を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、
    前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
    を備えることを特徴とする増幅回路。
  4. 第2導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層に接合された第1導電型の第2の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第2導電型の第3の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第2導電型の第4の半導体層と、
    前記第4の半導体層に接合された第1導電型の第5の半導体層と、
    を備え、
    前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がエミッタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がコレクタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がコレクタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がエミッタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路を飽和させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに入力信号を供給する入力手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路に流れる電流を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、
    前記第1のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
    を備えることを特徴とする増幅回路。
  5. 第1導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層に接合された第2導電型の第2の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第3の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第1導電型の第4の半導体層と、
    前記第4の半導体層に接合された第2導電型の第5の半導体層と、
    を備え、
    前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がコレクタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がエミッタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がエミッタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がコレクタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
    前記第のバイポーラトランジスタの前記エミッタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路を能動領域で導通させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
    入力端と、前記入力端に印加された入力信号を表す電流を前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、を備える入力手段と、
    前記入力端の電位が前記第1のバイポーラトランジスタの前記エミッタの電位にほぼ等しくなるように、前記入力端と前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースとの間の電圧を制御する電位固定手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路に流れる電流を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、
    前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
    を備えることを特徴とする増幅回路。
  6. 第2導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層に接合された第1導電型の第2の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第2導電型の第3の半導体層と、
    前記第2の半導体層に接合された第2導電型の第4の半導体層と、
    前記第4の半導体層に接合された第1導電型の第5の半導体層と、
    を備え、
    前記第1、第2および第3の半導体層は、前記第1の半導体層がエミッタとして機能し、前記第2の半導体層がベースとして機能し、前記第3の半導体層がコレクタとして機能する第1のバイポーラトランジスタをなし、前記第2、第4および第5の半導体層は、前記第2の半導体層がコレクタとして機能し、前記第4の半導体層がベースとして機能し、前記第5の半導体層がエミッタとして機能する第2のバイポーラトランジスタをなす半導体素子と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタに、前記第1のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路を導通させるためのバイアス電流を供給し、前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに、前記第2のバイポーラトランジスタの前記エミッタおよび前記コレクタを含む電流路を能動領域で導通させるためのバイアス電流を供給するバイアス手段と、
    入力端と、前記入力端に印加された入力信号を表す電流を前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、を備える入力手段と、
    前記入力端の電位が前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタの電位にほぼ等しくなるように、前記入力端と前記第2のバイポーラトランジスタの前記ベースとの間の電圧を制御する電位固定手段と、
    前記第2のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路に流れる電流を前記第1のバイポーラトランジスタの前記ベースに供給する手段と、
    前記第1のバイポーラトランジスタの前記コレクタおよび前記エミッタを含む電流路にカスケードに接続される負荷に流れる電流の大きさを表す出力信号を外部に供給する出力手段と、
    を備えることを特徴とする増幅回路。
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