JP3560158B2 - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に電源として備えられるスイッチング電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源回路として、例えばフライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知られている。これらのスイッチングコンバータはスイッチング動作波形が矩形波状であることから、スイッチングノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、電力変換効率の向上にも限界があることがわかっている。
そこで、先に本出願人により、各種共振形コンバータによるスイッチング電源回路が各種提案されている。共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数により構成することができるというメリットも有している。
【0003】
図13の回路図は、先に本出願人が提案した発明に基づいて構成することのできる、先行技術としてのスイッチング電源回路の一例を示している。この図に示す電源回路の基本構成としては、一次側スイッチングコンバータとして電圧共振形コンバータを備えている。
【0004】
この図に示す電源回路では、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiによって、商用交流電源(交流入力電圧VAC)から交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0005】
上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を入力して断続する電圧共振形コンバータとしては、1石によるシングルエンド方式が採用される。また駆動方式としては自励式の構成を採っている。この場合、電圧共振形コンバータを形成するスイッチング素子Q1には、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が選定される。このスイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。また、ベース−エミッタ間に対しては、クランプダイオードDD−抵抗RDの直列回路が接続される。ここで、並列共振コンデンサCrは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるリーケージインダクタンスL1と共に、一次側並列共振回路を形成しており、これによって電圧共振形コンバータとしての動作が得られるようになっている。
そして、スイッチング素子Q1のベースに対しては、駆動巻線NB−共振コンデンサCB−ベース電流制限抵抗RBから成る自励発振駆動回路が接続される。スイッチング素子Q1には、この自励発振駆動回路にて発生される発振信号を基とするベース電流が供給されることでスイッチング駆動される。なお、起動時においては整流平滑電圧Eiのラインから起動抵抗Rsを介してベースに流れる起動電流によって起動される。
【0006】
直交型制御トランスPRTは、上記駆動巻線NBと電流検出巻線NDの巻装方向に対してその巻装方向が直交するようにして制御巻線Ncが巻装されて構成され、後述するようにして一次側電圧共振形コンバータのスイッチング周波数を制御するために設けられる。
この直交形制御トランスPRTの構造については後述する。
【0007】
絶縁コンバータトランスPITは、一次側に得られるスイッチングコンバータのスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。この絶縁コンバータトランスPITは、EE型コアに対して一次巻線N1と二次巻線N2を分割して巻装し、中央磁脚に対してはギャップを形成することで、所要の結合係数による疎結合の状態が得られるようにして、飽和状態が得られにくいようにしている。
【0008】
この絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1は、その一端が電流検出巻線NDを介して直流入力電圧(整流平滑電圧Ei)のラインと接続され、多端がスイッチング素子Q1のコレクタに接続されている。スイッチング素子Q1は、直流入力電圧についてスイッチングを行うのであるが、上記した接続形態によって、一次巻線N1及び電流検出巻線NDには、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が供給されることとなり、スイッチング周波数に対応する周期の交番電圧が発生する。
【0009】
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されることで、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0010】
即ち、この電源回路では、一次側にはスイッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回路が備えられる。なお、本明細書では、このように一次側及び二次側に対して共振回路が備えられて動作する構成のスイッチングコンバータについては、「複合共振形スイッチングコンバータ」ともいうことにする。
【0011】
この場合の絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、先ず、二次巻線N2の巻終わり端部に対して整流ダイオードDO1のアノードを接続し、カソードを平滑コンデンサCO1の正極端子と接続することで、半波整流回路を形成している。この半波整流回路によっては、平滑コンデンサCO1の両端には、二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
また、この場合には、二次巻線N2に対してタップを設け、このタップ出力に対して、図示するようにして整流ダイオードDO2及び平滑コンデンサCO2から成る半波整流回路を形成している。そして、この半波整流回路によっては、上記二次側直流出力電圧EO1よりも低圧な二次側直流出力電圧EO2が得られる。
なお、具体的には、二次側直流出力電圧EO1=135V、二次側直流出力電圧EO2=15Vとなる。
【0012】
これら二次側直流出力電圧EO1,EO2は、それぞれ所要の負荷回路に対して供給されることになる。また、二次側直流出力電圧EO1は制御回路1の検出用電圧として分岐出力される。
【0013】
制御回路1は、直流出力電圧EO1と二次側アース間に抵抗R3−R4が直列に接続され、この接続点(分圧点)に対してシャントレギュレータQ3のコントロール端子が接続される。シャントレギュレータQ3のアノードはアースに接地され、カソードは直交型制御トランスPRTの制御巻線NCを介して、二次側直流出力電圧EO2のラインに対して接続される。また、ここではシャントレギュレータQ3のカソードは、コンデンサC11を介して抵抗R3、R4の接続点と接続されている。また、抵抗R4に対しては、コンデンサC3と抵抗R5の直列接続回路が並列に接続される。
【0014】
上記のような接続形態により形成される制御回路1は、直流出力電圧EO1を検出入力とする誤差増幅器として機能する。即ち、直流出力電圧EO1を抵抗R3、R4により分圧した電圧がコントロール電圧としてシャントレギュレータQ3のコントロール端子に対して入力される。従ってシャントレギュレータQ3では、直流出力電圧EO1に応じたレベルの電流を、制御電流Icとして制御巻線NCに対して流すようにされる。つまり、制御巻線NCに流れる制御電流レベルが可変制御されるものである。
制御巻線Ncに流れる制御電流レベルが可変されることで、直交型制御トランスPRTにおいては、駆動巻線NBのインダクタンスLBを可変するように制御することになる。これによって、自励発振駆動回路における駆動巻線NB−共振コンデンサCBから成る共振回路の共振周波数が変化し、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることになる。このようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変されることで、二次側直流出力電圧が一定となるように制御される。つまり、電源の安定化が図られる。
ここで、スイッチング周波数を可変するのにあたってはメインスイッチング素子Q1がオフとなる期間は一定とされたうえで、オンとなる期間を可変制御するように動作している。つまり、オン期間についての導通角制御を行うと共にスイッチング周波数制御を実行している。なお、本明細書では、このような複合的な制御を「複合制御方式」ということとしている。
【0015】
図14は、上記図13に示す構成の電源回路の要部の動作として、重負荷時における各部の動作波形を示している。ここでは主として一次側の動作が示されている。
自励発振駆動回路内の直列共振回路(NB,CB)では、駆動巻線NBに得られた交番電圧により共振動作を行うことで、図14(e)に示すように、正弦波状の直列共振電流I2が得られる。そして、この直列共振電流I2がベース電流制限抵抗RBを介することで、スイッチング素子Q1のベースには図14(d)に示すように、ベース電流(駆動電流)IBが流れる。この駆動電流IBによって、スイッチング素子Q1は、スイッチング動作を行う。
【0016】
この際、スイッチング素子Q1のコレクタに流れるコレクタ電流IQ1は、図14(b)に示す波形が得られる。また、スイッチング素子Q1//並列共振コンデンサCrの並列接続回路の両端には、図14(a)に示すようにして、この並列共振回路の作用によって並列共振電圧V1が発生する。この並列共振電圧V1は、図のように、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONは0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状のパルスとなる波形が得られ、電圧共振形としての動作に対応している。
【0017】
また、上記したタイミングによってスイッチング素子Q1がスイッチング動作を行うことで、一次巻線N1に流れる巻線電流I1は、図14(c)に示すようにしてスイッチング周期に応じた交番波形となる。
【0018】
ここで、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて、図14(e)の直列共振電流I2が正極性の領域は、図14(d)の駆動電流IBの順方向バイアス電流の領域に対応する。また、同じ期間TONにおいて、直列共振電流I2が負極性の領域は、駆動電流IBの逆方向バイアス電流となる。そして、この期間TONにおける駆動電流IBの逆方向バイアス電流の領域がスイッチング素子Q1の蓄積時間(tstg)となる。
【0019】
スイッチング素子Q1のベース−エミッタ間には、逆回復時間が長い低速のダンパーダイオードDDと抵抗RDの直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1がオフとなる期間TOFFでは、負となる直列共振電流I2が、抵抗RD→クランプダイオードDD→ベース電流制限抵抗RB→共振コンデンサCB→駆動巻線NBを介して流れるが、これが図14(g)のダンパー電流ID1として期間TOFFに得られる波形となる。
そして次に、期間TONが開始されると、並列共振コンデンサCrの充放電エネルギーが、クランプダイオードDD→スイッチング素子Q1のベース→コレクタを介して流れ、これが、期間TON開始時(ターンオン時)における負極性のダンパー電流(ID)となる。そして、この期間が終了すると、ダンパーダイオードDDは逆回復時間の領域となって正極性の方向に急峻に立ち上がり、以降は、図示するようにして、期間TON終了時にかけて徐々に0レベルとなっていく波形が得られる。
【0020】
上記のようにして駆動電流IB及びダンパー電流ID1が流れることに対応して、スイッチング素子Q1のベース−エミッタ間電圧VBEは、図14(f)に示すように、期間TOFFにおいては負極性による正弦波状で、期間TONにおいては、その開始時のダンパー期間では急峻に負極性にピークを持ち、これが終了すると正極性の一定レベルで0レベルに対してオフセットが与えられる波形となるものである。このオフセットレベルは、例えば抵抗RDの抵抗値により決定される。
【0021】
また、上記のようにして動作する図13の電源回路の定電圧制御特性を図15に示す。
二次側直流出力電圧EO1の負荷電流Ioが0〜1.5Aの範囲で変化するのに応じて、制御電流Icは、図のようにして変化する。つまり、負荷電流が増加して重負荷の条件となり、二次側直流出力電圧EO1が低下していくのに従って制御電流レベルを減少させるようにして制御が行われる。この結果、スイッチング周波数fsとしては、重負荷の条件となるのに従って低下していくようにして制御が行われる。
また、交流入力電圧VACの変動に対応するものとして、交流入力電圧VAC=120VとVAC=90Vの場合が示されているが、制御電流Icは、交流入力電圧VAC=120V時の条件のほうが交流入力電圧VAC=90V時の条件よりも増加しており、スイッチング周波数fsについては、交流入力電圧VAC=120V時の条件のほうが交流入力電圧VAC=90V時の条件よりも高くなっている。これは、交流入力電圧VACのレベルが高くなって二次側直流出力電圧EO1が上昇したとされる場合には制御電流Icは増加されるようにして制御され、これに応じてスイッチング周波数fsも上昇されるようにして制御されることを示している。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記構成において直交形制御トランスPRTは、共振電流検出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線NCが巻装された可飽和リアクトルである。
図17に直交形制御トランスPRTの構造を示す。図17(a)はその全体構造を説明するための外観斜視図、図17(b)は巻装される巻線の巻線方向を説明するための断面斜視図である。
図17(a)に示すように、直交形制御トランスPRTは、フェライトによる2つのダブルコの字形コア21,22を組み合わせた立体形コア20によって形成されている。
一方のダブルコの字形コア21は、図17(a)(b)に示されているように4本の磁脚21a,21b,21c,21dを有して構成される。また、他方のダブルコの字形コア22も、例えば図17(a)(b)に示されているように4本の磁脚22a,22b,22c,22dを有して構成される。そして、これら2つのダブルコの字形コア21,22の互いの磁脚21a〜21d,22a〜22dの端部を接合することで立体形コア20が形成されている。
【0023】
磁脚21a〜21dのそれぞれと磁脚22a〜22dのそれぞれの接合部分については、上段の2組或いは下段の2組において10μmのマイラーフィルムを挿入し、ギャップG=10μmとしている。そして図16に示すように、駆動巻線NBのインダクタンスLBの直流重畳特性は、制御電流Ic=10mA〜60mAに対して、インダクタンスLB=8μH〜2.5μHに変化する。
【0024】
そして、図17(b)にも示されているように、例えばダブルコの字形コア22の2本の磁脚22c,22dには制御巻線NCが巻回され、ダブルコの字形コア21の磁脚21c,21bには検出巻線ND及び駆動巻線NBが巻回されている。
つまり、この直交形制御トランスPRTは、検出巻線ND及び駆動巻線NBに対して制御巻線NC が直交する方向に巻回された可飽和リアクトルとして構成される。
この直交形制御トランスPRTの制御巻線NCとしては、例えば60μmφのポリウレタン被覆銅線により1000T(ターン)巻回され、検出巻線NDは0.3mmφのポリウレタン被覆銅線により1T、駆動巻線NBは0.3mmφのポリウレタン被覆銅線により3T巻回される。
【0025】
このような直交形制御トランスPRTでは、制御巻線に流す制御電流量を少なくするために、ギャップGが上記のように10μmという程度に僅小なものとしている。ところがこのため製造時においてはそのギャップ厚の精度誤差が生じざるを得なくなるが、これは、直交型制御トランスPRTに巻装される駆動巻線NBのインダクタンス値についてばらつきを生じさせる。
またフェライトコアの透磁率、磁脚の接合時のずれ等のばらつきも、駆動巻線NBのインダクタンス値についてばらつきを生じさせる。
これらのことからインダクタンスLBの許容値は、インダクタンス値が±10%変動するものとしなければならない。
このためスイッチング素子Q1の増幅率hFEや蓄積時間tstgのばらつきが生ずるが、このばらつきに対して複合共振形コンバータの定電圧保証範囲を、例えば商用交流電源が100V系である場合に交流入力電圧VAC=100V±10%とするためには、直交形制御トランスPRTのインダクタンス可変範囲は十分なマージンをもって設計しなければならない。つまり実用化の場合のマージン設計が困難なものとなる。
【0026】
また直交形制御トランスPRTの巻線仕様は上記のとおりであり、さらに制御巻線NCと、検出巻線ND及び駆動巻線NBとを互いに直交する方向に巻回することは、製造上、巻線工程が非常に複雑となる。さらにダブルコの字形コア21、22のそれぞれ4本の磁脚をマイラフィルムを介してずれなく接合することも組立工程を難しくしている。即ち直交形制御トランスPRTは製造の難易度が高く、コストダウンも困難である。
【0027】
また直交形制御トランスPRTの制御巻線NCに流れる直流制御電流Icは、絶縁コンバータトランスPITの2次側の直流出力電圧E02ライン(15Vライン)から供給され、その供給電力は0.9W〜0.15Wの範囲で変動するが、この供給電力は無効電力であり、軽負荷時の電力損失が増加する。
【0028】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成する。
つまり、直流入力電圧についてスイッチングを行うスイッチング素子を備えるスイッチング手段と、一次巻線と二次巻線とを備え、一次巻線に得られる上記スイッチング手段のスイッチング出力を上記二次巻線に対して伝送する絶縁コンバータトランスと、スイッチング手段を形成するスイッチング素子に対して並列に接続される一次側並列共振コンデンサと絶縁コンバータトランスの一次巻線とにより形成され、スイッチング手段の動作を電圧共振形とするように設けられる一次側並列共振回路とを備える。
また、絶縁コンバータトランスの一次巻線に対して直列に接続される検出巻線、駆動巻線、及び制御巻線とが巻装され、検出巻線に得られるスイッチング出力により駆動巻線及び制御巻線に交番電圧を誘起するようにされたドライブトランスを備える。
また、駆動巻線と共振用コンデンサにより形成される直列共振回路を有して、駆動巻線に誘起される交番電圧の供給により上記直列共振回路が発振して得られる共振出力に基づいて上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して、二次側共振コンデンサを並列又は直列に接続することで形成される二次側共振回路を備える。
また、二次側共振回路に得られる交番電圧を入力して整流動作を行うことで直流出力電圧を得るように構成される直流出力電圧生成手段と、駆動巻線に対して制御巻線、及び導通制御素子としてのトランジスタ素子を直列に接続して形成される導通制御回路を有し、直流出力電圧のレベルに応じて導通制御素子における電流導通量を可変制御することによりスイッチング素子のスイッチング周波数を可変制御し、直流出力電圧についての定電圧制御を行うようにされる定電圧制御手段とを備えることとする。
【0029】
上記構成による電源回路は、ドライブトランスを備えることでスイッチング素子を自励式によって駆動する複合共振形コンバータとしての基本構成を採る。そして、定電圧制御のために、導通制御素子を備えた導通制御回路を設けるようにしている。この導通制御回路においては、自励式によりスイッチング駆動を行うスイッチング駆動手段に流れる電流が分岐され、ドライブトランスの制御巻線を介して導通制御素子に流れるようにされる。そして、この導通制御素子における電流導通量を可変することで、スイッチング駆動手段に流れる電流量を可変し、これによって、スイッチング素子のスイッチング周波数を可変制御するようにされる。
そしてこのような定電圧制御の構成であれば、例えば自励式の場合にスイッチング周波数可変制御のために用いられていた直交型制御トランスを省略することが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態としての電源回路の構成を示している。
この図1に示す電源回路は、一次側に電圧共振形コンバータを備えると共に二次側には並列共振回路を備えた複合共振形スイッチングコンバータとしての構成を採る。
この図に示す電源回路においては、先ず、商用交流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力電圧を得るための整流平滑回路として、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiからなる全波整流回路が備えられ、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成するようにされる。
【0031】
上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングルエンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータが備えられる。
ここでの電圧共振形コンバータは自励式の構成を採っており、スイッチング素子Q1としては、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が使用される。
スイッチング素子Q1のコレクタは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1を介して平滑コンデンサCiの正極と接続され、エミッタは一次側アースに接続される。
【0032】
また、スイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列に接続される。この並列共振コンデンサCrのキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるリーケージインダクタンスとによって一次側並列共振回路を形成する。そして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作に応じて、この並列共振回路による共振動作が得られることで、スイッチング素子Q1のスイッチング動作としては電圧共振形となる。
【0033】
また、スイッチング素子Q1 のベース−エミッタ間にはクランプダイオードDDが図示する方向によって接続される。ここでは、クランプダイオードDDのアノードがエミッタ(一次側アース)と接続され、カソードがベースに対して接続される。なお、この場合のクランプダイオードDDには低速リカバリ型のダイオード素子が選定される。
【0034】
ドライブトランスCDTは、スイッチング素子Q1を自励式により駆動するために設けられる。
この場合、ドライブトランスCDTの一次側は検出巻線NAとされ、この検出巻線NAは絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に直列に接続されていることで、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に伝達されたスイッチング素子Q1のスイッチング出力を検出するようになっている。そして、この検出巻線NAに得られる交番電圧が誘起される二次側に対して、駆動巻線NBが巻装される。この駆動巻線NBは、スイッチング素子Q1をスイッチング駆動する自励発振駆動回路を形成する。
さらに、本実施の形態の場合には、ドライブトランスCDTの一次側に対して制御巻線Ncが巻装される。
ここで、上記各巻線の巻き方向は、図示するようにして、駆動巻線NBと制御巻線Ncが同相で、これらの巻線NB,Ncに対して検出巻線NAが逆相となるようにして巻装されている。
【0035】
上記各巻線(NA,NB,Nc)が巻装されるドライブトランスCDTとしては、例えば図5に示すようなH字型フェライトコアによるものか、或いは図6のEI型フェライトコアによるものを採用できる。図5の場合は、H字型のフェライトコア100に対して、検出巻線NA、駆動巻線NB、及び制御巻線Ncを巻装することで形成される。
【0036】
図6の場合は、I型コア102とE型コア103を図のように組み合わせてEI型コアを形成する。そしてE型コア103の中央磁脚に分割ボビン103を配し、この分割ボビン103に例えば図示するようにして、検出巻線NA、駆動巻線NB、及び制御巻線Ncをそれぞれ巻装することで形成される。
この図5又は図6に示される構造のドライブトランスCDTは、例えば図17で説明した直交形制御トランスPRTに比較した場合には、相当に小型軽量なものとなっている。
【0037】
スイッチング素子Q1のベースに対しては、図示するように、[ベース電流制限抵抗RB−駆動巻線NB−時定数(共振用)コンデンサCB]の直列接続回路が接続される。この直列接続回路は、スイッチング素子Q1を自励式によりスイッチング駆動するための自励発振駆動回路となる。
【0038】
この場合、ドライブトランスCDTの検出巻線NAは絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と直列接続されている。このため、自励発振駆動回路におけるドライブトランスCDTの駆動巻線NBは、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力電圧により交番電圧が励起される。
そして、上記した自励発振駆動回路としては、コンデンサCBと駆動巻線NBのインダクタンスとによって、直列共振回路を形成する。
【0039】
上記自励発振駆動回路の駆動巻線NBには、上記もしたように、検出巻線NAにより励起されることで、ドライブ電圧としての交番電圧が発生する。このドライブ電圧によって直列共振回路(NB−CB)が自励的に発振動作を行うことで共振出力が得られることになる。そして、この共振出力がベース電流制限抵抗RBを介することで、スイッチング素子Q1のベースには、スイッチング駆動信号としてのベース電流が流れるようにされる。これにより、スイッチング素子Q1は、直列共振回路の共振周波数により決定されるスイッチング周波数でスイッチング動作を行うことになる。そして、そのコレクタに得られるスイッチング出力を絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に伝達する。
【0040】
また、この場合の起動抵抗Rsは、整流平滑電圧Eiのラインと駆動巻線NB−時定数コンデンサCBの接続点との間に対して挿入されている。例えば電源起動時においては、整流平滑電圧Eiから起動抵抗Rsを介し、さらに駆動巻線NB−ベース電流制限抵抗RBを介したベース電流が、スイッチング素子Q1のベースに流れることで、スイッチング動作を開始させるようになっている。
【0041】
また、本実施の形態のドライブトランスCDTに巻装される制御巻線Ncは、その巻始め端部側が駆動巻線NBの巻終わり端部と接続される。また、制御巻線Ncの巻終わり端部は、NPN型のバイポーラトランジスタによる導通制御素子Q2のコレクタと接続される。また、導通制御素子Q2のエミッタは一次側アースに接地されている。
このような接続形態によっては、駆動巻線NBと導通制御素子Q2とが、制御巻線Ncを介するようにして直列に接続されているものと見ることができる。
【0042】
ここで、絶縁コンバータトランスPITの一次側には三次巻線N3が巻装されており、この三次巻線N3に対して、図示するようにして、ダイオードD1とコンデンサC1から成る半波整流回路を接続することで、低圧の直流電圧を得るようにしている。そして、この低圧直流電圧は、抵抗R1からフォトカプラPCのフォトトランジスタを介して、導通制御素子Q2のベースに接続されるようになっている。また、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間には抵抗R2が挿入される。この抵抗R2の両端には、ベース−エミッタ間電圧VBE2が得られる。
導通制御素子Q2のベース側の回路が上記のようにして形成されていることで、この導通制御素子Q2は、フォトカプラPCのフォトトランジスタにおいて変化する電流導通量に応じて、コレクタ電流IQ2としての導通量を可変するようにして制御することとなる。
なお、フォトカプラPCのフォトトランジスタの電流導通量を制御するのは、二次側に設けられる制御回路1の動作となるのであるがこれについては後述する。
【0043】
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送する。
この絶縁コンバータトランスPITは、例えばフェライト材による2組のE型コアを互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアが備えられ、このEE型コアの中央磁脚に対して、分割ボビンを利用して一次巻線N1と、二次巻線N2をそれぞれ分割した状態で巻装している。そして、中央磁脚に対してはギャップを形成するようにしている。これによって、所要の結合係数による疎結合の状態が得られるようにしている。
ギャップは、2組のE型コアの各中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することが出来る。また、結合係数kとしては、例えばk≒0.85という疎結合の状態を得るようにしており、その分、飽和状態が得られにくいようにしている。
【0044】
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。
そして、この図1に示す回路においては、二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデンサC2が並列に接続される。従って、この場合には、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、二次巻線N2に誘起される交番電圧、及び検出巻線NAに得られる交番電圧は共振電圧となる。つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0045】
つまり、この電源回路は、一次側にはスイッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路を備え、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回路を備えた「複合共振形スイッチングコンバータ」とされるものである。
【0046】
上記のようにして形成される電源回路の二次側に対しては、二次巻線N2に接続される二次側整流ダイオードDO1と平滑コンデンサCO1とからなる半波整流回路が備えられ、これにより、二次巻線N2に誘起される交番電圧のほぼ等倍レベルに対応する二次側直流出力電圧EO1を得るようにしている。
また、ここでは、二次巻線N2に対してタップ出力を設けて、このタップ出力と二次側アース間に対して、図示するように、二次側整流ダイオードD02と平滑コンデンサCO2から成る半波整流回路を接続することで、低圧の二次側直流出力電圧EO2を得るようにしている。
この場合、二次側直流出力電圧EO1は、制御回路1に対して定電圧制御のための検出電圧として入力される。また、二次側直流電圧EO2は、制御回路1の動作電源として利用される。
【0047】
制御回路1は、直流出力電圧EO1と二次側アース間に抵抗R3−R4が直列に接続され、この接続点(分圧点)に対してシャントレギュレータQ3のコントロール端子が接続される。シャントレギュレータQ3のアノードは二次側アースに接地され、カソードはフォトカプラPCのフォトダイオード(カソード→アノード)、及び抵抗R6の直列接続を介して、二次側直流出力電圧EO2のラインに対して接続される。また、抵抗R4に対しては、コンデンサC3と抵抗R5の直列接続回路が並列に接続される。
【0048】
上記のような接続形態により形成される制御回路1は、直流出力電圧EO1を検出入力とする誤差増幅器として機能する。即ち、直流出力電圧EO1を抵抗R3、R4により分圧した電圧がコントロール電圧としてシャントレギュレータQ3のコントロール端子に対して入力される。従ってシャントレギュレータQ3では、直流出力電圧EO1に応じたレベルの電流を、フォトカプラPCのフォトトランジスタに流すようにされる。
フォトトランジスタにおける電流導通量が可変されれば、一次側において導通制御素子Q2のベースに接続されるフォトカプラPCのフォトトランジスタにおける電流導通量が可変されることになるので、前述したように、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2のレベルを可変制御することになるが、これにより、導通制御素子Q2のコレクタと接続される制御巻線Ncに流れる電流量が可変されることになる。この動作によっては、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変し、これによって二次側直流出力電圧が一定となるように安定化を図るようにされるのであるが、これについては後述する。
【0049】
図2及び図3は、図1に示した構成による電源回路における要部の動作を示す波形図である。図2においては、負荷電力Po=162Wの重負荷時における条件の場合の動作を示し、図3においては、負荷電力Po=0Wとなる無負荷時における条件の場合の動作を示している。
また、これらの図に示す動作を得るのにあたっては、各部品を次のようにして選定している。
駆動巻線NBのインダクタンスLB=10μH、
制御巻線Nc=20T(ターン)
検出巻線NA=4T
コンデンサCB=0.56μF
ベース電流制限抵抗RB=0.47Ω
なお、上記各巻線(NB,Nc,NA)についての上記各選定値は、ドライブトランスCDTについて図5に示したH字型のフェライトコア100を採用した場合であり、図6に示したEI型コアを用いる場合には、各巻線の巻き数はより少ないものとすることができる。具体的には、EI型コアとしてEI−12型を用いた場合、検出巻線NA=1T、駆動巻線NB=5T、制御巻線Nc=10Tとすることができる。
【0050】
ドライブトランスCDTに巻装される駆動巻線NBには、前述したようにして励起作用による交番電圧が発生する。そして、自励発振駆動回路(CB−NB−RB)は、この駆動巻線NBに発生した交番電圧を基として自励発振動作を行う。つまり、時定数コンデンサCBと駆動巻線NBとにより形成される直列共振回路が共振動作を行って、この共振出力を、ベース電流制限抵抗RBを介してベース電流としてスイッチング素子Q1のベースに流すようにされる。
【0051】
ここで、上記直列共振回路(CB−NB)の共振動作によって、時定数コンデンサCBには、図2(i)、図3(i)に示すように、スイッチング周期に対応する正弦波状の共振電圧V3が発生し、これに伴って、時定数コンデンサCBには、図2(j)、図3(j)に示す波形によって共振電流IO1が流れる。
【0052】
本実施の形態の場合、上記のようにして時定数コンデンサCBに流れる共振電流IO1は、ベース電流制限抵抗RBを介して駆動用電流IO2としてスイッチング素子Q1のベース側に流れていく経路と、制御巻線Ncを介するようにして導通制御素子Q2にコレクタ電流IQ2として流れる経路とに分流されることになる。
【0053】
駆動用電流IO2は、図2(k)、図3(k)に示すようにして、上記共振電流IO1(図2(j)、図3(j))と略同様の波形によって流れているが、さらに、この駆動用電流IO2は、スイッチング素子Q1のベースに流れるベース電流IBと、クランプダイオードDDに流れるダンパー電流IDとして分岐することになる。
【0054】
スイッチング素子がオンとなる期間TONにおいては、クランプダイオードDDの逆回復時間trrの効果によって、先ず、期間t3〜t1において、低速リカバリ型のクランプダイオードDDが導通して、図2(e)、図3(e)に示すようにしてダンパー電流IDが流れる。この期間t3〜t1のダンパー電流IDは、スイッチング素子Q1のベース→コレクタのPN接合を介して流れていく。
これに応じて、期間t3〜t1におけるスイッチング素子Q1のコレクタ電流IQ1としては、図2(b)、図3(b)に示すように、負極性の方向に流れる波形が得られる。また、ベース電流IBは、図2(c)、図3(c)に示すようにして、時点t3で正極性に立ち上がり、時点t1に至るまでに0レベルに下降していく。
【0055】
そして、この後の期間t1〜t2においては、クランプダイオードDDはオフとなる。このとき、ベース電流IB(図2(c)、図3(c))は、先ず正極性による順方向電流IB1が流れ、この後においてベース蓄積キャリア消滅時間tstgにより負極性に反転し、逆方向電流IB2が流れる。このベース電流IBに応じて、スイッチング素子Q1は導通することになり、図2(b)、図3(b)に示すようにして、スイッチング素子Q1のコレクタには、正極性のコレクタ電流IQ1が流れる。
【0056】
そして、ベース電流IB(図2(c)、図3(c))は、逆方向電流IB2が流れるベース蓄積キャリア消滅時間tstgが完了するとゼロレベルになり、これによって、スイッチング素子Q1はオフとなる期間TOFFに移行する。
【0057】
また、スイッチング素子Q1のベース−エミッタ間電圧VBE1は、図2(d)、図3(d)に示すように、期間TOFF(期間t2〜t3)及び期間TON内の期間t3〜t1においては、負極性が得られることで、スイッチング素子Q1は逆バイアスとなる。そして、期間TONにおける期間t1〜t2においては、0レベルに対して或る決まったオフセットが与えられたレベルを維持するようにされる。
【0058】
上記のようにしてスイッチング素子Q1がスイッチング動作を行うことで、一次側並列共振コンデンサCrの両端に得られる共振電圧V1は、図2(a)、図3(a)に示すようにして、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONでは0レベルで、オフとなる期間TOFFでは正弦波状のパルスとなる波形が得られる。これは、一次側スイッチングコンバータが電圧共振形の動作であることを示している。
【0059】
また、NPN型のバイポーラトランジスタである導通制御素子Q2の動作は、次のようになっている。
導通制御素子Q2のコレクタは、制御巻線Ncを介して駆動巻線NBと直列接続されていることで、前述もしたように、自励発振駆動回路(CB−NB−RB)内の共振電流IO1は、ベース電流制限抵抗RBを介して流れようとする駆動用電流IO2と、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2として分流して流れるようにされる。つまり、IO1=IO2+IQ2として表すことができる。
【0060】
ここで、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間電圧VBE2は、図2(h)、図3(h)に示すようにして、期間TOFF(期間t2〜t3)と、これに続く期間TON内の期間t3〜t1にかけては、負極性となっていることで、導通制御素子Q2に対しては逆バイアスがかかっている状態となる。これに応じて、自励発振駆動回路(CB−NB−RB)内の共振電流IO2についても、期間t2〜t3〜t1においては、負極性に反転した波形となっている。
このため、導通制御素子Q2は、いわゆる逆トランジスタとして動作し、期間t2〜t3〜t1においては、導通制御素子Q2においては、エミッタからコレクタに対して電流が流れることになる。これにより、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2は、図2(g)、図3(g)に示すようにして、期間t2〜t3〜t1においては、負極性となる波形が得られる。
【0061】
そして、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間電圧VBE2は、残る期間TON内の期間t1〜t2において、正極性の一定レベルを維持し、正極性のバイアスとなる。これに応じて、期間t1〜t2における導通制御素子Q2においても、コレクタからエミッタの方向に電流が反転して流れることになり、コレクタ電流IQ2としては、図2(g)、図3(g)に示すように、正極性に反転した波形となる。
なお、導通制御素子Q2のコレクタ−エミッタ間電圧V2は、上記のようにしてコレクタ電流IQ2が流れることで、図2(f)、図3(f)に示すように、期間t2〜t3〜t1においては負極性で、期間t1〜t2においては正極性となる波形が得られる。
【0062】
ここで、例えば交流入力電圧VACが上昇する、或いは、負荷電力が小さくなるなどして二次側直流出力電圧EO1のレベルが上昇したとする。制御回路1では、フォトカプラPCのフォトダイオードにおける電流導通量を増加させるようにして制御することになる。これによっては、一次側におけるフォトカプラPCのフォトトランジスタの導通量も増加するように制御されることになり、従って、導通制御素子Q2のベース電流が増加し、ベース−エミッタ間電圧VBE2の振幅も拡大されることになる。
【0063】
上記のようにして、導通制御素子Q2が制御されることで、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2の振幅も大きくなるように制御されることになる。
ここで、先にも述べたようにして、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2は、共振電流IO1から分岐して流れるものであって、IO1=IO2+IQ2として表すことができる。このため、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2の振幅が大きくなって、期間t1〜t2におけるコレクタ電流IQ2の電流量が増加した場合には、それだけ、駆動用電流IO2の電流量が少なくなるように変化することになる。この駆動用電流IO2を基として得られるベース電流IBの波形は、例えば図2(c)から図3(c)への遷移として示すようにして変化することになるが、これによっては、スイッチング素子Q1のベース蓄積キャリア消滅時間(tstg)は短くなる。これに伴い、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TON内の期間t1〜t2の長さが短くなっていくようにして可変されることになる。
【0064】
期間TON内の期間t1〜t2が短くなれば、その前の期間t3〜t1が不変であるとしても、期間TON全体の長さは短くなるのであるから、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数は高くなるようにして制御されることになる。これは、図2と図3の比較として、期間TON+TOFFから成る1スイッチング周期の時間長は、軽負荷の条件となるのに従って短くなっていることによって示されている。
そして、スイッチング周波数が可変制御されることによっては、例えば一次側並列共振回路の共振インピーダンスが可変されることとなって、絶縁コンバータトランスPITの一次側から二次側に対して伝送される電力も可変されることになるわけである。これにより、最終的には二次側直流出力電圧のレベルも可変制御されることとなり、電源の安定化が図られることとなる。
具体的には、負荷電力Po=162W〜0Wの変動範囲に対して、スイッチング周波数fs=80KHz〜135KHzの範囲で可変制御して定電圧化を図ることができる。
【0065】
なお、本実施の形態においてスイッチング周波数を可変制御するのにあたっては、スイッチング素子Q1がオフとなる期間TOFFは一定で、オンとなる期間TONについて可変するようにされている。つまり、この場合にも複合制御方式による定電圧制御動作が得られているものである。
【0066】
そして、上記した本実施の形態による定電圧制御回路系の構成とすれば、図13に示されていた直交型制御トランスPRTは省略されることとなる。これにより、本実施の形態では、直交型制御トランスPRT製造時におけるギャップのばらつき等に起因する駆動巻線NBについてのインダクタンス値のばらつきの問題は解消されることになる。
従って、交流入力電圧VACの範囲に対するマージンを少なく設定することが可能となるので、回路設計も容易なものとすることが可能になる。また、直交形制御トランスPRTの製造工程の困難性にかかる問題も解消される。さらにAC/DC電力変換効率の向上も図られる。
【0067】
また、図13の例のように直交形制御トランスPRTの制御巻線NCに制御電力を供給してスイッチング周波数を制御する構成ではないので、軽負荷時の無効電力を低減し、電力損失を低減できる。
また、ドライブトランスCDTは、図5又は図6によりで説明したように、H字形フェライトコア或いは超小型のEI−12型フェライトコアによって構成が可能であり、図13の先行技術に示したように直交形制御トランスPRTを設ける場合に比べて大幅に小型軽量化を図ることができる。
【0068】
さらに、本実施の形態の構成であれば、導通制御素子Q2に流れる電流は非常に少なく、また、導通制御素子Q2にかかる電圧も低いものとなっている。このため、導通制御素子Q2としてのバイポーラトランジスタについては、耐圧30V、定格電流0.15A以下の、低耐圧小容量品を選定すればよいことになる。例えば、先に本出願人は、複合共振形スイッチングコンバータに対して、一次側並列共振電圧又は二次側共振電圧をクランプするアクティブクランプ回路を設け、このアクティブクランプ回路の導通角制御によって電源の安定化を図る構成を各種提案しているのであるが、この場合には、アクティブクランプ回路を形成するスイッチング素子(トランジスタ)については、一次側並列共振電圧レベル又は二次側共振電圧レベルに応じた高耐圧品を選定する必要があり、それだけコスト及びサイズの点などで不利であった。これに対して本実施の形態では、導通制御素子Q2としてのバイポーラトランジスタについて低耐圧小容量品が選定されるのであるから、それだけ低コスト化及び小型軽量化を実現することが可能となるものである。
【0069】
ここで図4に、図1に示した本実施の形態としての電源回路における特性として、電力変換効率特性、及びスイッチング周波数制御に要する制御電力を、先行技術として示した図13の電源回路との比較により示しておく。
この図から分かるように、負荷電力Po=0W〜162Wの負荷変動範囲に対応する制御電力Pcは、図13に示した電源回路が、0.60W〜0.15W程度であるのに対して、図1に示す電源回路は、0.07W〜0.05Wであり、図13に示した電源回路よりも著しく低下していることが示されている。
これは、図1に示す回路において導通制御素子Q2に流れる電流量が、図13に示す回路において制御巻線Ncに流す制御電流量よりも著しく少なくなっていることに依るものとされる。
また、電力変換効率ηAC−DCについては、負荷電力Po=0W〜162Wの負荷変動範囲にわたって、図13に示した電源回路よりも、図1に示した電源回路のほうが高くなっていることが示されている。つまり、図1に示した電源回路では、図13に示した電源回路と比較して、総合的に電力変換効率の向上が図られているものである。
【0070】
図7は、本発明の第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示している。なお、この図において図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この図7に示す電源回路としても、図5又は図6に示した構造のドライブトランスCDTを備えた構成とされるものである。
【0071】
この図に示す電源回路においては、一次側スイッチングコンバータへの入力電圧である整流平滑電圧Eiを生成するのにあたって倍電圧整流回路を設けるようにされる。この倍電圧整流回路は、商用交流電源ACに対して、整流ダイオードDi1,Di2、及び平滑コンデンサCi1,Ci2を、図示するようにして接続することで形成される。そして、交流入力電圧VACを入力して、この交流入力電圧VACの2倍のレベルに対応するレベルの整流平滑電圧Eiを生成する。
このようにして倍電圧整流回路を設ける構成は、例えば商用交流電源AC100V系において比較的重負荷の条件に対応する場合に好適とされる。
【0072】
また、この図に示す電源回路の二次側においては、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対してセンタータップを設けて二次側アースに接続した上で、図示するようにして2本の整流ダイオードDO1,DO2と平滑コンデンサCO1を接続することで全波整流回路を形成している。そして、この全波整流回路によって、平滑コンデンサCO1の両端電圧としての二次側直流出力電圧EO1を得るようにしている。
なお、この図においては、制御回路1を1つの機能ブロックとして示しているが、例えば実際には、図1に示した制御回路1と同様の内部構成が採られていればよい。
【0073】
このような第2の実施の形態としての構成においても、例えば図5及び図6により説明した構造を有するドライブトランスCDTを備え、また、図1の電源回路と同様の定電圧制御回路系の構成を採っていることで、直交型制御トランスPRTの省略をはじめとして、先の第1の実施の形態の電源回路と同様の効果を得ることができる。
【0074】
ところで、上記した各実施の形態の電源回路につき、二次側に備えられる整流回路系としては各図に示した構成に限定されることなく、例えば図8〜図12に示す構成を採るようにすることも考えられる。
図8においては、二次側並列共振回路(N2//C2)に対してブリッジ整流回路DBR及び平滑コンデンサCO1から成る全波整流回路を図示する接続形態によって接続することで二次側直流出力電圧EO1を得るようにした構成が示されている。
【0075】
また、図9においては、二次側並列共振回路(N2//C2)に対して、図示するようにして整流ダイオードDO1、整流ダイオードDO2、平滑コンデンサCOA,COBを接続することで、全波整流方式による倍電圧整流回路を形成している。この場合には、平滑コンデンサCOA−COBの直列接続回路の両端電圧として、二次巻線N2に発生する交番電圧レベルの2倍に対応する二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
【0076】
また、図10に示す二次側の構成としては、二次巻線N2の巻終わり端部に対して二次側直列共振コンデンサCsが直列に接続される。これによって、絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、二次巻線N2のリーケージインダクタンスと二次側直列共振コンデンサCsのキャパシタンスとによって二次側直列共振回路を形成することになる。従って、この場合には、一次側に設けられる一次側並列共振回路(N1,Cr)と、二次側に設けられる二次側直列共振回路(N2,Cs)とにより複合共振形コンバータを構成することになる。
そして、この二次側直列共振回路に対して、図に示すようにしてブリッジ整流回路DBR及び平滑コンデンサCO1を接続することで、二次側直列共振回路(N2,Cs)の共振作用により発生する二次側直列共振電圧を全波整流する全波整流回路が形成される。そして、平滑コンデンサCO1の両端に対しては、二次巻線N2に発生する交番電圧レベルの等倍に対応する二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
【0077】
また、図11においては、二次側直列共振回路(N2,Cs)に対して、整流ダイオードDO1、整流ダイオードDO2、平滑コンデンサCOA,COBを、図示するようにして接続することで倍電圧整流回路を形成している。
【0078】
また、図12においては、二次巻線N2に対して図示するようにして2組の二次側直列共振コンデンサCs1,Cs2を接続し、さらに4本の整流ダイオードDO1,DO2,D03,DO4を図示する接続形態によって接続して、二次側整流回路を形成する。このようにして構成される二次側整流回路としては、4倍電圧整流回路が形成される。
この4倍電圧整流回路の動作説明にあたり、[直列共振コンデンサCs1,整流ダイオードDO1,DO2、平滑コンデンサCOA]から成る回路の動作について述べる。
先ず、整流ダイオードDO1がオフとなり、整流ダイオードDO2がオンとなる期間においては、二次巻線N2の漏洩インダクタンスと直列共振コンデンサCs1による直列共振作用によって、整流ダイオードDO2により整流した整流電流を直列共振コンデンサCs1に対して充電する動作が得られる。
そして、整流ダイオードDO2がオフとなり、整流ダイオードDO1がオンとなって整流動作を行う期間においては、二次巻線N2に誘起された電圧に直列共振コンデンサCs1の電位が加わるという直列共振が生じる状態で平滑コンデンサCOAに対して充電が行われる動作となる。
上記のようにして整流動作が行われることで、平滑コンデンサCOAの両端には、二次巻線N2の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直流電圧(整流平滑電圧)が得られる。また、[直列共振コンデンサCs2,整流ダイオードDO3,DO4、平滑コンデンサCOB]の組とから成る整流回路によっても同様の動作によって、平滑コンデンサCOBの両端には、二次巻線N2の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直流電圧が得られることになる。
【0079】
そして、上記のようにして各段の整流回路によって倍電圧整流動作が行われる結果、直列接続された平滑コンデンサCOA−平滑コンデンサCOBの両端には、二次巻線N2の誘起電圧のほぼ4倍に対応する二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
【0080】
なお、上記各実施の形態においてはスイッチング素子を1組備えるシングルエンド方式の場合が示されているが、スイッチング素子を2組備える、いわゆるプッシュプル方式による、自励式の電圧共振形コンバータとされても構わないものである。
また、二次側についても、各図に示した以外の回路構成による整流回路が備えられて構わないものである。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、複合共振形コンバータとして、ドライブトランスを備えた自励式の構成を採る。これと共に、定電圧化のためのスイッチング周波数制御は、スイッチング素子を駆動する自励発振駆動回路(スイッチング駆動手段)の駆動巻線に対して、ドライブトランスに巻装した制御巻線と導通制御素子の直列接続回路(導通制御回路)を接続し、この直列接続回路の導通を制御することによって行うようにしている。そして、このような構成であれば、これまでスイッチング周波数制御に必要とされていた直交型制御トランスを省略することが可能になる。
これにより、直交型制御トランスのギャップのばらつき等に起因するインダクタンス値のばらつきの問題は解消されることになる。特に本発明におけるドライブトランスのインダクタンスのばらつきは±5%程度となる。このため、交流入力電圧の範囲に対するマージンを少なく設定することが可能となるので、回路設計も容易なものとすることが可能になる。また、直交形制御トランスの製造工程の困難性にかかる問題も解消されることになる。直交形制御トランスの制御巻線に制御電力を供給してスイッチング周波数を制御する構成ではないとされることで、軽負荷時の無効電力を低減し、電力損失を低減できることになる。つまり、AC/DC電力変換効率の向上も図られることになる。
また、本発明によるドライブトランスは、直交型制御トランスよりもはるかに小型であるために、それだけ電源回路の小型軽量化を促進することも可能となる。
【0082】
また、本発明としての導通制御回路に備えられる導通制御素子(バイポーラトランジスタ)には、低電圧及び小レベルの電流が印加されるので、定電圧制御に要する電力も低減されることになる。つまり、電源回路における無効電力が低減され、これによっても電源回路のAC/DC電力変換効率の低減を促進させることができる。また、導通制御素子としては、低耐圧、小容量品が選定されることにもなるので、この点でも、小型軽量化、及び低コスト化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図2】本実施の形態の電源回路における要部の動作(重負荷時)を示す波形図である。
【図3】本実施の形態の電源回路における要部の動作(無負荷時)を示す波形図である。
【図4】図1に示す電源回路について、負荷変動に対するAC−DC電力変換効率、及び定電圧化のための制御電力の各特性を、先行技術と比較して示す特性図である。
【図5】H字型コアによるドライブトランスの構造例を示す斜視図である。
【図6】EI型コアによるドライブトランスの構造例を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図8】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図9】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図10】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図11】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図12】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図13】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図14】図13に示す電源回路における要部の動作を示す波形図である。
【図15】図13に示す電源回路の定電圧制御特性を示す説明図である。
【図16】図13に示す回路における、駆動巻線NBのインダクタンスについての直流重畳特性を示す説明図である。
【図17】直交形制御トランスの構造例を示す斜視図及び断面図である。
【符号の説明】
1 制御回路、Q1 スイッチング素子、Q2 導通制御素子(バイポーラトランジスタ)、PIT 絶縁コンバータトランス、CDT ドライブトランス、DD クランプダイオード、N1 一次巻線、N2 二次巻線、Cr 一次側並列共振コンデンサ、NA 検出巻線、NB 駆動巻線、Nc 制御巻線、C2 二次側並列共振コンデンサ、PC フォトカプラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に電源として備えられるスイッチング電源回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源回路として、例えばフライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知られている。これらのスイッチングコンバータはスイッチング動作波形が矩形波状であることから、スイッチングノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、電力変換効率の向上にも限界があることがわかっている。
そこで、先に本出願人により、各種共振形コンバータによるスイッチング電源回路が各種提案されている。共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数により構成することができるというメリットも有している。
【0003】
図13の回路図は、先に本出願人が提案した発明に基づいて構成することのできる、先行技術としてのスイッチング電源回路の一例を示している。この図に示す電源回路の基本構成としては、一次側スイッチングコンバータとして電圧共振形コンバータを備えている。
【0004】
この図に示す電源回路では、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiによって、商用交流電源(交流入力電圧VAC)から交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0005】
上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を入力して断続する電圧共振形コンバータとしては、1石によるシングルエンド方式が採用される。また駆動方式としては自励式の構成を採っている。この場合、電圧共振形コンバータを形成するスイッチング素子Q1には、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が選定される。このスイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。また、ベース−エミッタ間に対しては、クランプダイオードDD−抵抗RDの直列回路が接続される。ここで、並列共振コンデンサCrは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるリーケージインダクタンスL1と共に、一次側並列共振回路を形成しており、これによって電圧共振形コンバータとしての動作が得られるようになっている。
そして、スイッチング素子Q1のベースに対しては、駆動巻線NB−共振コンデンサCB−ベース電流制限抵抗RBから成る自励発振駆動回路が接続される。スイッチング素子Q1には、この自励発振駆動回路にて発生される発振信号を基とするベース電流が供給されることでスイッチング駆動される。なお、起動時においては整流平滑電圧Eiのラインから起動抵抗Rsを介してベースに流れる起動電流によって起動される。
【0006】
直交型制御トランスPRTは、上記駆動巻線NBと電流検出巻線NDの巻装方向に対してその巻装方向が直交するようにして制御巻線Ncが巻装されて構成され、後述するようにして一次側電圧共振形コンバータのスイッチング周波数を制御するために設けられる。
この直交形制御トランスPRTの構造については後述する。
【0007】
絶縁コンバータトランスPITは、一次側に得られるスイッチングコンバータのスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。この絶縁コンバータトランスPITは、EE型コアに対して一次巻線N1と二次巻線N2を分割して巻装し、中央磁脚に対してはギャップを形成することで、所要の結合係数による疎結合の状態が得られるようにして、飽和状態が得られにくいようにしている。
【0008】
この絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1は、その一端が電流検出巻線NDを介して直流入力電圧(整流平滑電圧Ei)のラインと接続され、多端がスイッチング素子Q1のコレクタに接続されている。スイッチング素子Q1は、直流入力電圧についてスイッチングを行うのであるが、上記した接続形態によって、一次巻線N1及び電流検出巻線NDには、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が供給されることとなり、スイッチング周波数に対応する周期の交番電圧が発生する。
【0009】
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されることで、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0010】
即ち、この電源回路では、一次側にはスイッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回路が備えられる。なお、本明細書では、このように一次側及び二次側に対して共振回路が備えられて動作する構成のスイッチングコンバータについては、「複合共振形スイッチングコンバータ」ともいうことにする。
【0011】
この場合の絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、先ず、二次巻線N2の巻終わり端部に対して整流ダイオードDO1のアノードを接続し、カソードを平滑コンデンサCO1の正極端子と接続することで、半波整流回路を形成している。この半波整流回路によっては、平滑コンデンサCO1の両端には、二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
また、この場合には、二次巻線N2に対してタップを設け、このタップ出力に対して、図示するようにして整流ダイオードDO2及び平滑コンデンサCO2から成る半波整流回路を形成している。そして、この半波整流回路によっては、上記二次側直流出力電圧EO1よりも低圧な二次側直流出力電圧EO2が得られる。
なお、具体的には、二次側直流出力電圧EO1=135V、二次側直流出力電圧EO2=15Vとなる。
【0012】
これら二次側直流出力電圧EO1,EO2は、それぞれ所要の負荷回路に対して供給されることになる。また、二次側直流出力電圧EO1は制御回路1の検出用電圧として分岐出力される。
【0013】
制御回路1は、直流出力電圧EO1と二次側アース間に抵抗R3−R4が直列に接続され、この接続点(分圧点)に対してシャントレギュレータQ3のコントロール端子が接続される。シャントレギュレータQ3のアノードはアースに接地され、カソードは直交型制御トランスPRTの制御巻線NCを介して、二次側直流出力電圧EO2のラインに対して接続される。また、ここではシャントレギュレータQ3のカソードは、コンデンサC11を介して抵抗R3、R4の接続点と接続されている。また、抵抗R4に対しては、コンデンサC3と抵抗R5の直列接続回路が並列に接続される。
【0014】
上記のような接続形態により形成される制御回路1は、直流出力電圧EO1を検出入力とする誤差増幅器として機能する。即ち、直流出力電圧EO1を抵抗R3、R4により分圧した電圧がコントロール電圧としてシャントレギュレータQ3のコントロール端子に対して入力される。従ってシャントレギュレータQ3では、直流出力電圧EO1に応じたレベルの電流を、制御電流Icとして制御巻線NCに対して流すようにされる。つまり、制御巻線NCに流れる制御電流レベルが可変制御されるものである。
制御巻線Ncに流れる制御電流レベルが可変されることで、直交型制御トランスPRTにおいては、駆動巻線NBのインダクタンスLBを可変するように制御することになる。これによって、自励発振駆動回路における駆動巻線NB−共振コンデンサCBから成る共振回路の共振周波数が変化し、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることになる。このようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変されることで、二次側直流出力電圧が一定となるように制御される。つまり、電源の安定化が図られる。
ここで、スイッチング周波数を可変するのにあたってはメインスイッチング素子Q1がオフとなる期間は一定とされたうえで、オンとなる期間を可変制御するように動作している。つまり、オン期間についての導通角制御を行うと共にスイッチング周波数制御を実行している。なお、本明細書では、このような複合的な制御を「複合制御方式」ということとしている。
【0015】
図14は、上記図13に示す構成の電源回路の要部の動作として、重負荷時における各部の動作波形を示している。ここでは主として一次側の動作が示されている。
自励発振駆動回路内の直列共振回路(NB,CB)では、駆動巻線NBに得られた交番電圧により共振動作を行うことで、図14(e)に示すように、正弦波状の直列共振電流I2が得られる。そして、この直列共振電流I2がベース電流制限抵抗RBを介することで、スイッチング素子Q1のベースには図14(d)に示すように、ベース電流(駆動電流)IBが流れる。この駆動電流IBによって、スイッチング素子Q1は、スイッチング動作を行う。
【0016】
この際、スイッチング素子Q1のコレクタに流れるコレクタ電流IQ1は、図14(b)に示す波形が得られる。また、スイッチング素子Q1//並列共振コンデンサCrの並列接続回路の両端には、図14(a)に示すようにして、この並列共振回路の作用によって並列共振電圧V1が発生する。この並列共振電圧V1は、図のように、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONは0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状のパルスとなる波形が得られ、電圧共振形としての動作に対応している。
【0017】
また、上記したタイミングによってスイッチング素子Q1がスイッチング動作を行うことで、一次巻線N1に流れる巻線電流I1は、図14(c)に示すようにしてスイッチング周期に応じた交番波形となる。
【0018】
ここで、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて、図14(e)の直列共振電流I2が正極性の領域は、図14(d)の駆動電流IBの順方向バイアス電流の領域に対応する。また、同じ期間TONにおいて、直列共振電流I2が負極性の領域は、駆動電流IBの逆方向バイアス電流となる。そして、この期間TONにおける駆動電流IBの逆方向バイアス電流の領域がスイッチング素子Q1の蓄積時間(tstg)となる。
【0019】
スイッチング素子Q1のベース−エミッタ間には、逆回復時間が長い低速のダンパーダイオードDDと抵抗RDの直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1がオフとなる期間TOFFでは、負となる直列共振電流I2が、抵抗RD→クランプダイオードDD→ベース電流制限抵抗RB→共振コンデンサCB→駆動巻線NBを介して流れるが、これが図14(g)のダンパー電流ID1として期間TOFFに得られる波形となる。
そして次に、期間TONが開始されると、並列共振コンデンサCrの充放電エネルギーが、クランプダイオードDD→スイッチング素子Q1のベース→コレクタを介して流れ、これが、期間TON開始時(ターンオン時)における負極性のダンパー電流(ID)となる。そして、この期間が終了すると、ダンパーダイオードDDは逆回復時間の領域となって正極性の方向に急峻に立ち上がり、以降は、図示するようにして、期間TON終了時にかけて徐々に0レベルとなっていく波形が得られる。
【0020】
上記のようにして駆動電流IB及びダンパー電流ID1が流れることに対応して、スイッチング素子Q1のベース−エミッタ間電圧VBEは、図14(f)に示すように、期間TOFFにおいては負極性による正弦波状で、期間TONにおいては、その開始時のダンパー期間では急峻に負極性にピークを持ち、これが終了すると正極性の一定レベルで0レベルに対してオフセットが与えられる波形となるものである。このオフセットレベルは、例えば抵抗RDの抵抗値により決定される。
【0021】
また、上記のようにして動作する図13の電源回路の定電圧制御特性を図15に示す。
二次側直流出力電圧EO1の負荷電流Ioが0〜1.5Aの範囲で変化するのに応じて、制御電流Icは、図のようにして変化する。つまり、負荷電流が増加して重負荷の条件となり、二次側直流出力電圧EO1が低下していくのに従って制御電流レベルを減少させるようにして制御が行われる。この結果、スイッチング周波数fsとしては、重負荷の条件となるのに従って低下していくようにして制御が行われる。
また、交流入力電圧VACの変動に対応するものとして、交流入力電圧VAC=120VとVAC=90Vの場合が示されているが、制御電流Icは、交流入力電圧VAC=120V時の条件のほうが交流入力電圧VAC=90V時の条件よりも増加しており、スイッチング周波数fsについては、交流入力電圧VAC=120V時の条件のほうが交流入力電圧VAC=90V時の条件よりも高くなっている。これは、交流入力電圧VACのレベルが高くなって二次側直流出力電圧EO1が上昇したとされる場合には制御電流Icは増加されるようにして制御され、これに応じてスイッチング周波数fsも上昇されるようにして制御されることを示している。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記構成において直交形制御トランスPRTは、共振電流検出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線NCが巻装された可飽和リアクトルである。
図17に直交形制御トランスPRTの構造を示す。図17(a)はその全体構造を説明するための外観斜視図、図17(b)は巻装される巻線の巻線方向を説明するための断面斜視図である。
図17(a)に示すように、直交形制御トランスPRTは、フェライトによる2つのダブルコの字形コア21,22を組み合わせた立体形コア20によって形成されている。
一方のダブルコの字形コア21は、図17(a)(b)に示されているように4本の磁脚21a,21b,21c,21dを有して構成される。また、他方のダブルコの字形コア22も、例えば図17(a)(b)に示されているように4本の磁脚22a,22b,22c,22dを有して構成される。そして、これら2つのダブルコの字形コア21,22の互いの磁脚21a〜21d,22a〜22dの端部を接合することで立体形コア20が形成されている。
【0023】
磁脚21a〜21dのそれぞれと磁脚22a〜22dのそれぞれの接合部分については、上段の2組或いは下段の2組において10μmのマイラーフィルムを挿入し、ギャップG=10μmとしている。そして図16に示すように、駆動巻線NBのインダクタンスLBの直流重畳特性は、制御電流Ic=10mA〜60mAに対して、インダクタンスLB=8μH〜2.5μHに変化する。
【0024】
そして、図17(b)にも示されているように、例えばダブルコの字形コア22の2本の磁脚22c,22dには制御巻線NCが巻回され、ダブルコの字形コア21の磁脚21c,21bには検出巻線ND及び駆動巻線NBが巻回されている。
つまり、この直交形制御トランスPRTは、検出巻線ND及び駆動巻線NBに対して制御巻線NC が直交する方向に巻回された可飽和リアクトルとして構成される。
この直交形制御トランスPRTの制御巻線NCとしては、例えば60μmφのポリウレタン被覆銅線により1000T(ターン)巻回され、検出巻線NDは0.3mmφのポリウレタン被覆銅線により1T、駆動巻線NBは0.3mmφのポリウレタン被覆銅線により3T巻回される。
【0025】
このような直交形制御トランスPRTでは、制御巻線に流す制御電流量を少なくするために、ギャップGが上記のように10μmという程度に僅小なものとしている。ところがこのため製造時においてはそのギャップ厚の精度誤差が生じざるを得なくなるが、これは、直交型制御トランスPRTに巻装される駆動巻線NBのインダクタンス値についてばらつきを生じさせる。
またフェライトコアの透磁率、磁脚の接合時のずれ等のばらつきも、駆動巻線NBのインダクタンス値についてばらつきを生じさせる。
これらのことからインダクタンスLBの許容値は、インダクタンス値が±10%変動するものとしなければならない。
このためスイッチング素子Q1の増幅率hFEや蓄積時間tstgのばらつきが生ずるが、このばらつきに対して複合共振形コンバータの定電圧保証範囲を、例えば商用交流電源が100V系である場合に交流入力電圧VAC=100V±10%とするためには、直交形制御トランスPRTのインダクタンス可変範囲は十分なマージンをもって設計しなければならない。つまり実用化の場合のマージン設計が困難なものとなる。
【0026】
また直交形制御トランスPRTの巻線仕様は上記のとおりであり、さらに制御巻線NCと、検出巻線ND及び駆動巻線NBとを互いに直交する方向に巻回することは、製造上、巻線工程が非常に複雑となる。さらにダブルコの字形コア21、22のそれぞれ4本の磁脚をマイラフィルムを介してずれなく接合することも組立工程を難しくしている。即ち直交形制御トランスPRTは製造の難易度が高く、コストダウンも困難である。
【0027】
また直交形制御トランスPRTの制御巻線NCに流れる直流制御電流Icは、絶縁コンバータトランスPITの2次側の直流出力電圧E02ライン(15Vライン)から供給され、その供給電力は0.9W〜0.15Wの範囲で変動するが、この供給電力は無効電力であり、軽負荷時の電力損失が増加する。
【0028】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成する。
つまり、直流入力電圧についてスイッチングを行うスイッチング素子を備えるスイッチング手段と、一次巻線と二次巻線とを備え、一次巻線に得られる上記スイッチング手段のスイッチング出力を上記二次巻線に対して伝送する絶縁コンバータトランスと、スイッチング手段を形成するスイッチング素子に対して並列に接続される一次側並列共振コンデンサと絶縁コンバータトランスの一次巻線とにより形成され、スイッチング手段の動作を電圧共振形とするように設けられる一次側並列共振回路とを備える。
また、絶縁コンバータトランスの一次巻線に対して直列に接続される検出巻線、駆動巻線、及び制御巻線とが巻装され、検出巻線に得られるスイッチング出力により駆動巻線及び制御巻線に交番電圧を誘起するようにされたドライブトランスを備える。
また、駆動巻線と共振用コンデンサにより形成される直列共振回路を有して、駆動巻線に誘起される交番電圧の供給により上記直列共振回路が発振して得られる共振出力に基づいて上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して、二次側共振コンデンサを並列又は直列に接続することで形成される二次側共振回路を備える。
また、二次側共振回路に得られる交番電圧を入力して整流動作を行うことで直流出力電圧を得るように構成される直流出力電圧生成手段と、駆動巻線に対して制御巻線、及び導通制御素子としてのトランジスタ素子を直列に接続して形成される導通制御回路を有し、直流出力電圧のレベルに応じて導通制御素子における電流導通量を可変制御することによりスイッチング素子のスイッチング周波数を可変制御し、直流出力電圧についての定電圧制御を行うようにされる定電圧制御手段とを備えることとする。
【0029】
上記構成による電源回路は、ドライブトランスを備えることでスイッチング素子を自励式によって駆動する複合共振形コンバータとしての基本構成を採る。そして、定電圧制御のために、導通制御素子を備えた導通制御回路を設けるようにしている。この導通制御回路においては、自励式によりスイッチング駆動を行うスイッチング駆動手段に流れる電流が分岐され、ドライブトランスの制御巻線を介して導通制御素子に流れるようにされる。そして、この導通制御素子における電流導通量を可変することで、スイッチング駆動手段に流れる電流量を可変し、これによって、スイッチング素子のスイッチング周波数を可変制御するようにされる。
そしてこのような定電圧制御の構成であれば、例えば自励式の場合にスイッチング周波数可変制御のために用いられていた直交型制御トランスを省略することが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態としての電源回路の構成を示している。
この図1に示す電源回路は、一次側に電圧共振形コンバータを備えると共に二次側には並列共振回路を備えた複合共振形スイッチングコンバータとしての構成を採る。
この図に示す電源回路においては、先ず、商用交流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力電圧を得るための整流平滑回路として、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiからなる全波整流回路が備えられ、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成するようにされる。
【0031】
上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングルエンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータが備えられる。
ここでの電圧共振形コンバータは自励式の構成を採っており、スイッチング素子Q1としては、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)が使用される。
スイッチング素子Q1のコレクタは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1を介して平滑コンデンサCiの正極と接続され、エミッタは一次側アースに接続される。
【0032】
また、スイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列に接続される。この並列共振コンデンサCrのキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるリーケージインダクタンスとによって一次側並列共振回路を形成する。そして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作に応じて、この並列共振回路による共振動作が得られることで、スイッチング素子Q1のスイッチング動作としては電圧共振形となる。
【0033】
また、スイッチング素子Q1 のベース−エミッタ間にはクランプダイオードDDが図示する方向によって接続される。ここでは、クランプダイオードDDのアノードがエミッタ(一次側アース)と接続され、カソードがベースに対して接続される。なお、この場合のクランプダイオードDDには低速リカバリ型のダイオード素子が選定される。
【0034】
ドライブトランスCDTは、スイッチング素子Q1を自励式により駆動するために設けられる。
この場合、ドライブトランスCDTの一次側は検出巻線NAとされ、この検出巻線NAは絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に直列に接続されていることで、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に伝達されたスイッチング素子Q1のスイッチング出力を検出するようになっている。そして、この検出巻線NAに得られる交番電圧が誘起される二次側に対して、駆動巻線NBが巻装される。この駆動巻線NBは、スイッチング素子Q1をスイッチング駆動する自励発振駆動回路を形成する。
さらに、本実施の形態の場合には、ドライブトランスCDTの一次側に対して制御巻線Ncが巻装される。
ここで、上記各巻線の巻き方向は、図示するようにして、駆動巻線NBと制御巻線Ncが同相で、これらの巻線NB,Ncに対して検出巻線NAが逆相となるようにして巻装されている。
【0035】
上記各巻線(NA,NB,Nc)が巻装されるドライブトランスCDTとしては、例えば図5に示すようなH字型フェライトコアによるものか、或いは図6のEI型フェライトコアによるものを採用できる。図5の場合は、H字型のフェライトコア100に対して、検出巻線NA、駆動巻線NB、及び制御巻線Ncを巻装することで形成される。
【0036】
図6の場合は、I型コア102とE型コア103を図のように組み合わせてEI型コアを形成する。そしてE型コア103の中央磁脚に分割ボビン103を配し、この分割ボビン103に例えば図示するようにして、検出巻線NA、駆動巻線NB、及び制御巻線Ncをそれぞれ巻装することで形成される。
この図5又は図6に示される構造のドライブトランスCDTは、例えば図17で説明した直交形制御トランスPRTに比較した場合には、相当に小型軽量なものとなっている。
【0037】
スイッチング素子Q1のベースに対しては、図示するように、[ベース電流制限抵抗RB−駆動巻線NB−時定数(共振用)コンデンサCB]の直列接続回路が接続される。この直列接続回路は、スイッチング素子Q1を自励式によりスイッチング駆動するための自励発振駆動回路となる。
【0038】
この場合、ドライブトランスCDTの検出巻線NAは絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と直列接続されている。このため、自励発振駆動回路におけるドライブトランスCDTの駆動巻線NBは、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力電圧により交番電圧が励起される。
そして、上記した自励発振駆動回路としては、コンデンサCBと駆動巻線NBのインダクタンスとによって、直列共振回路を形成する。
【0039】
上記自励発振駆動回路の駆動巻線NBには、上記もしたように、検出巻線NAにより励起されることで、ドライブ電圧としての交番電圧が発生する。このドライブ電圧によって直列共振回路(NB−CB)が自励的に発振動作を行うことで共振出力が得られることになる。そして、この共振出力がベース電流制限抵抗RBを介することで、スイッチング素子Q1のベースには、スイッチング駆動信号としてのベース電流が流れるようにされる。これにより、スイッチング素子Q1は、直列共振回路の共振周波数により決定されるスイッチング周波数でスイッチング動作を行うことになる。そして、そのコレクタに得られるスイッチング出力を絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に伝達する。
【0040】
また、この場合の起動抵抗Rsは、整流平滑電圧Eiのラインと駆動巻線NB−時定数コンデンサCBの接続点との間に対して挿入されている。例えば電源起動時においては、整流平滑電圧Eiから起動抵抗Rsを介し、さらに駆動巻線NB−ベース電流制限抵抗RBを介したベース電流が、スイッチング素子Q1のベースに流れることで、スイッチング動作を開始させるようになっている。
【0041】
また、本実施の形態のドライブトランスCDTに巻装される制御巻線Ncは、その巻始め端部側が駆動巻線NBの巻終わり端部と接続される。また、制御巻線Ncの巻終わり端部は、NPN型のバイポーラトランジスタによる導通制御素子Q2のコレクタと接続される。また、導通制御素子Q2のエミッタは一次側アースに接地されている。
このような接続形態によっては、駆動巻線NBと導通制御素子Q2とが、制御巻線Ncを介するようにして直列に接続されているものと見ることができる。
【0042】
ここで、絶縁コンバータトランスPITの一次側には三次巻線N3が巻装されており、この三次巻線N3に対して、図示するようにして、ダイオードD1とコンデンサC1から成る半波整流回路を接続することで、低圧の直流電圧を得るようにしている。そして、この低圧直流電圧は、抵抗R1からフォトカプラPCのフォトトランジスタを介して、導通制御素子Q2のベースに接続されるようになっている。また、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間には抵抗R2が挿入される。この抵抗R2の両端には、ベース−エミッタ間電圧VBE2が得られる。
導通制御素子Q2のベース側の回路が上記のようにして形成されていることで、この導通制御素子Q2は、フォトカプラPCのフォトトランジスタにおいて変化する電流導通量に応じて、コレクタ電流IQ2としての導通量を可変するようにして制御することとなる。
なお、フォトカプラPCのフォトトランジスタの電流導通量を制御するのは、二次側に設けられる制御回路1の動作となるのであるがこれについては後述する。
【0043】
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送する。
この絶縁コンバータトランスPITは、例えばフェライト材による2組のE型コアを互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアが備えられ、このEE型コアの中央磁脚に対して、分割ボビンを利用して一次巻線N1と、二次巻線N2をそれぞれ分割した状態で巻装している。そして、中央磁脚に対してはギャップを形成するようにしている。これによって、所要の結合係数による疎結合の状態が得られるようにしている。
ギャップは、2組のE型コアの各中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することが出来る。また、結合係数kとしては、例えばk≒0.85という疎結合の状態を得るようにしており、その分、飽和状態が得られにくいようにしている。
【0044】
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。
そして、この図1に示す回路においては、二次巻線N2に対して二次側並列共振コンデンサC2が並列に接続される。従って、この場合には、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、二次巻線N2に誘起される交番電圧、及び検出巻線NAに得られる交番電圧は共振電圧となる。つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0045】
つまり、この電源回路は、一次側にはスイッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路を備え、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回路を備えた「複合共振形スイッチングコンバータ」とされるものである。
【0046】
上記のようにして形成される電源回路の二次側に対しては、二次巻線N2に接続される二次側整流ダイオードDO1と平滑コンデンサCO1とからなる半波整流回路が備えられ、これにより、二次巻線N2に誘起される交番電圧のほぼ等倍レベルに対応する二次側直流出力電圧EO1を得るようにしている。
また、ここでは、二次巻線N2に対してタップ出力を設けて、このタップ出力と二次側アース間に対して、図示するように、二次側整流ダイオードD02と平滑コンデンサCO2から成る半波整流回路を接続することで、低圧の二次側直流出力電圧EO2を得るようにしている。
この場合、二次側直流出力電圧EO1は、制御回路1に対して定電圧制御のための検出電圧として入力される。また、二次側直流電圧EO2は、制御回路1の動作電源として利用される。
【0047】
制御回路1は、直流出力電圧EO1と二次側アース間に抵抗R3−R4が直列に接続され、この接続点(分圧点)に対してシャントレギュレータQ3のコントロール端子が接続される。シャントレギュレータQ3のアノードは二次側アースに接地され、カソードはフォトカプラPCのフォトダイオード(カソード→アノード)、及び抵抗R6の直列接続を介して、二次側直流出力電圧EO2のラインに対して接続される。また、抵抗R4に対しては、コンデンサC3と抵抗R5の直列接続回路が並列に接続される。
【0048】
上記のような接続形態により形成される制御回路1は、直流出力電圧EO1を検出入力とする誤差増幅器として機能する。即ち、直流出力電圧EO1を抵抗R3、R4により分圧した電圧がコントロール電圧としてシャントレギュレータQ3のコントロール端子に対して入力される。従ってシャントレギュレータQ3では、直流出力電圧EO1に応じたレベルの電流を、フォトカプラPCのフォトトランジスタに流すようにされる。
フォトトランジスタにおける電流導通量が可変されれば、一次側において導通制御素子Q2のベースに接続されるフォトカプラPCのフォトトランジスタにおける電流導通量が可変されることになるので、前述したように、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2のレベルを可変制御することになるが、これにより、導通制御素子Q2のコレクタと接続される制御巻線Ncに流れる電流量が可変されることになる。この動作によっては、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可変し、これによって二次側直流出力電圧が一定となるように安定化を図るようにされるのであるが、これについては後述する。
【0049】
図2及び図3は、図1に示した構成による電源回路における要部の動作を示す波形図である。図2においては、負荷電力Po=162Wの重負荷時における条件の場合の動作を示し、図3においては、負荷電力Po=0Wとなる無負荷時における条件の場合の動作を示している。
また、これらの図に示す動作を得るのにあたっては、各部品を次のようにして選定している。
駆動巻線NBのインダクタンスLB=10μH、
制御巻線Nc=20T(ターン)
検出巻線NA=4T
コンデンサCB=0.56μF
ベース電流制限抵抗RB=0.47Ω
なお、上記各巻線(NB,Nc,NA)についての上記各選定値は、ドライブトランスCDTについて図5に示したH字型のフェライトコア100を採用した場合であり、図6に示したEI型コアを用いる場合には、各巻線の巻き数はより少ないものとすることができる。具体的には、EI型コアとしてEI−12型を用いた場合、検出巻線NA=1T、駆動巻線NB=5T、制御巻線Nc=10Tとすることができる。
【0050】
ドライブトランスCDTに巻装される駆動巻線NBには、前述したようにして励起作用による交番電圧が発生する。そして、自励発振駆動回路(CB−NB−RB)は、この駆動巻線NBに発生した交番電圧を基として自励発振動作を行う。つまり、時定数コンデンサCBと駆動巻線NBとにより形成される直列共振回路が共振動作を行って、この共振出力を、ベース電流制限抵抗RBを介してベース電流としてスイッチング素子Q1のベースに流すようにされる。
【0051】
ここで、上記直列共振回路(CB−NB)の共振動作によって、時定数コンデンサCBには、図2(i)、図3(i)に示すように、スイッチング周期に対応する正弦波状の共振電圧V3が発生し、これに伴って、時定数コンデンサCBには、図2(j)、図3(j)に示す波形によって共振電流IO1が流れる。
【0052】
本実施の形態の場合、上記のようにして時定数コンデンサCBに流れる共振電流IO1は、ベース電流制限抵抗RBを介して駆動用電流IO2としてスイッチング素子Q1のベース側に流れていく経路と、制御巻線Ncを介するようにして導通制御素子Q2にコレクタ電流IQ2として流れる経路とに分流されることになる。
【0053】
駆動用電流IO2は、図2(k)、図3(k)に示すようにして、上記共振電流IO1(図2(j)、図3(j))と略同様の波形によって流れているが、さらに、この駆動用電流IO2は、スイッチング素子Q1のベースに流れるベース電流IBと、クランプダイオードDDに流れるダンパー電流IDとして分岐することになる。
【0054】
スイッチング素子がオンとなる期間TONにおいては、クランプダイオードDDの逆回復時間trrの効果によって、先ず、期間t3〜t1において、低速リカバリ型のクランプダイオードDDが導通して、図2(e)、図3(e)に示すようにしてダンパー電流IDが流れる。この期間t3〜t1のダンパー電流IDは、スイッチング素子Q1のベース→コレクタのPN接合を介して流れていく。
これに応じて、期間t3〜t1におけるスイッチング素子Q1のコレクタ電流IQ1としては、図2(b)、図3(b)に示すように、負極性の方向に流れる波形が得られる。また、ベース電流IBは、図2(c)、図3(c)に示すようにして、時点t3で正極性に立ち上がり、時点t1に至るまでに0レベルに下降していく。
【0055】
そして、この後の期間t1〜t2においては、クランプダイオードDDはオフとなる。このとき、ベース電流IB(図2(c)、図3(c))は、先ず正極性による順方向電流IB1が流れ、この後においてベース蓄積キャリア消滅時間tstgにより負極性に反転し、逆方向電流IB2が流れる。このベース電流IBに応じて、スイッチング素子Q1は導通することになり、図2(b)、図3(b)に示すようにして、スイッチング素子Q1のコレクタには、正極性のコレクタ電流IQ1が流れる。
【0056】
そして、ベース電流IB(図2(c)、図3(c))は、逆方向電流IB2が流れるベース蓄積キャリア消滅時間tstgが完了するとゼロレベルになり、これによって、スイッチング素子Q1はオフとなる期間TOFFに移行する。
【0057】
また、スイッチング素子Q1のベース−エミッタ間電圧VBE1は、図2(d)、図3(d)に示すように、期間TOFF(期間t2〜t3)及び期間TON内の期間t3〜t1においては、負極性が得られることで、スイッチング素子Q1は逆バイアスとなる。そして、期間TONにおける期間t1〜t2においては、0レベルに対して或る決まったオフセットが与えられたレベルを維持するようにされる。
【0058】
上記のようにしてスイッチング素子Q1がスイッチング動作を行うことで、一次側並列共振コンデンサCrの両端に得られる共振電圧V1は、図2(a)、図3(a)に示すようにして、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONでは0レベルで、オフとなる期間TOFFでは正弦波状のパルスとなる波形が得られる。これは、一次側スイッチングコンバータが電圧共振形の動作であることを示している。
【0059】
また、NPN型のバイポーラトランジスタである導通制御素子Q2の動作は、次のようになっている。
導通制御素子Q2のコレクタは、制御巻線Ncを介して駆動巻線NBと直列接続されていることで、前述もしたように、自励発振駆動回路(CB−NB−RB)内の共振電流IO1は、ベース電流制限抵抗RBを介して流れようとする駆動用電流IO2と、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2として分流して流れるようにされる。つまり、IO1=IO2+IQ2として表すことができる。
【0060】
ここで、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間電圧VBE2は、図2(h)、図3(h)に示すようにして、期間TOFF(期間t2〜t3)と、これに続く期間TON内の期間t3〜t1にかけては、負極性となっていることで、導通制御素子Q2に対しては逆バイアスがかかっている状態となる。これに応じて、自励発振駆動回路(CB−NB−RB)内の共振電流IO2についても、期間t2〜t3〜t1においては、負極性に反転した波形となっている。
このため、導通制御素子Q2は、いわゆる逆トランジスタとして動作し、期間t2〜t3〜t1においては、導通制御素子Q2においては、エミッタからコレクタに対して電流が流れることになる。これにより、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2は、図2(g)、図3(g)に示すようにして、期間t2〜t3〜t1においては、負極性となる波形が得られる。
【0061】
そして、導通制御素子Q2のベース−エミッタ間電圧VBE2は、残る期間TON内の期間t1〜t2において、正極性の一定レベルを維持し、正極性のバイアスとなる。これに応じて、期間t1〜t2における導通制御素子Q2においても、コレクタからエミッタの方向に電流が反転して流れることになり、コレクタ電流IQ2としては、図2(g)、図3(g)に示すように、正極性に反転した波形となる。
なお、導通制御素子Q2のコレクタ−エミッタ間電圧V2は、上記のようにしてコレクタ電流IQ2が流れることで、図2(f)、図3(f)に示すように、期間t2〜t3〜t1においては負極性で、期間t1〜t2においては正極性となる波形が得られる。
【0062】
ここで、例えば交流入力電圧VACが上昇する、或いは、負荷電力が小さくなるなどして二次側直流出力電圧EO1のレベルが上昇したとする。制御回路1では、フォトカプラPCのフォトダイオードにおける電流導通量を増加させるようにして制御することになる。これによっては、一次側におけるフォトカプラPCのフォトトランジスタの導通量も増加するように制御されることになり、従って、導通制御素子Q2のベース電流が増加し、ベース−エミッタ間電圧VBE2の振幅も拡大されることになる。
【0063】
上記のようにして、導通制御素子Q2が制御されることで、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2の振幅も大きくなるように制御されることになる。
ここで、先にも述べたようにして、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2は、共振電流IO1から分岐して流れるものであって、IO1=IO2+IQ2として表すことができる。このため、導通制御素子Q2のコレクタ電流IQ2の振幅が大きくなって、期間t1〜t2におけるコレクタ電流IQ2の電流量が増加した場合には、それだけ、駆動用電流IO2の電流量が少なくなるように変化することになる。この駆動用電流IO2を基として得られるベース電流IBの波形は、例えば図2(c)から図3(c)への遷移として示すようにして変化することになるが、これによっては、スイッチング素子Q1のベース蓄積キャリア消滅時間(tstg)は短くなる。これに伴い、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TON内の期間t1〜t2の長さが短くなっていくようにして可変されることになる。
【0064】
期間TON内の期間t1〜t2が短くなれば、その前の期間t3〜t1が不変であるとしても、期間TON全体の長さは短くなるのであるから、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数は高くなるようにして制御されることになる。これは、図2と図3の比較として、期間TON+TOFFから成る1スイッチング周期の時間長は、軽負荷の条件となるのに従って短くなっていることによって示されている。
そして、スイッチング周波数が可変制御されることによっては、例えば一次側並列共振回路の共振インピーダンスが可変されることとなって、絶縁コンバータトランスPITの一次側から二次側に対して伝送される電力も可変されることになるわけである。これにより、最終的には二次側直流出力電圧のレベルも可変制御されることとなり、電源の安定化が図られることとなる。
具体的には、負荷電力Po=162W〜0Wの変動範囲に対して、スイッチング周波数fs=80KHz〜135KHzの範囲で可変制御して定電圧化を図ることができる。
【0065】
なお、本実施の形態においてスイッチング周波数を可変制御するのにあたっては、スイッチング素子Q1がオフとなる期間TOFFは一定で、オンとなる期間TONについて可変するようにされている。つまり、この場合にも複合制御方式による定電圧制御動作が得られているものである。
【0066】
そして、上記した本実施の形態による定電圧制御回路系の構成とすれば、図13に示されていた直交型制御トランスPRTは省略されることとなる。これにより、本実施の形態では、直交型制御トランスPRT製造時におけるギャップのばらつき等に起因する駆動巻線NBについてのインダクタンス値のばらつきの問題は解消されることになる。
従って、交流入力電圧VACの範囲に対するマージンを少なく設定することが可能となるので、回路設計も容易なものとすることが可能になる。また、直交形制御トランスPRTの製造工程の困難性にかかる問題も解消される。さらにAC/DC電力変換効率の向上も図られる。
【0067】
また、図13の例のように直交形制御トランスPRTの制御巻線NCに制御電力を供給してスイッチング周波数を制御する構成ではないので、軽負荷時の無効電力を低減し、電力損失を低減できる。
また、ドライブトランスCDTは、図5又は図6によりで説明したように、H字形フェライトコア或いは超小型のEI−12型フェライトコアによって構成が可能であり、図13の先行技術に示したように直交形制御トランスPRTを設ける場合に比べて大幅に小型軽量化を図ることができる。
【0068】
さらに、本実施の形態の構成であれば、導通制御素子Q2に流れる電流は非常に少なく、また、導通制御素子Q2にかかる電圧も低いものとなっている。このため、導通制御素子Q2としてのバイポーラトランジスタについては、耐圧30V、定格電流0.15A以下の、低耐圧小容量品を選定すればよいことになる。例えば、先に本出願人は、複合共振形スイッチングコンバータに対して、一次側並列共振電圧又は二次側共振電圧をクランプするアクティブクランプ回路を設け、このアクティブクランプ回路の導通角制御によって電源の安定化を図る構成を各種提案しているのであるが、この場合には、アクティブクランプ回路を形成するスイッチング素子(トランジスタ)については、一次側並列共振電圧レベル又は二次側共振電圧レベルに応じた高耐圧品を選定する必要があり、それだけコスト及びサイズの点などで不利であった。これに対して本実施の形態では、導通制御素子Q2としてのバイポーラトランジスタについて低耐圧小容量品が選定されるのであるから、それだけ低コスト化及び小型軽量化を実現することが可能となるものである。
【0069】
ここで図4に、図1に示した本実施の形態としての電源回路における特性として、電力変換効率特性、及びスイッチング周波数制御に要する制御電力を、先行技術として示した図13の電源回路との比較により示しておく。
この図から分かるように、負荷電力Po=0W〜162Wの負荷変動範囲に対応する制御電力Pcは、図13に示した電源回路が、0.60W〜0.15W程度であるのに対して、図1に示す電源回路は、0.07W〜0.05Wであり、図13に示した電源回路よりも著しく低下していることが示されている。
これは、図1に示す回路において導通制御素子Q2に流れる電流量が、図13に示す回路において制御巻線Ncに流す制御電流量よりも著しく少なくなっていることに依るものとされる。
また、電力変換効率ηAC−DCについては、負荷電力Po=0W〜162Wの負荷変動範囲にわたって、図13に示した電源回路よりも、図1に示した電源回路のほうが高くなっていることが示されている。つまり、図1に示した電源回路では、図13に示した電源回路と比較して、総合的に電力変換効率の向上が図られているものである。
【0070】
図7は、本発明の第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示している。なお、この図において図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この図7に示す電源回路としても、図5又は図6に示した構造のドライブトランスCDTを備えた構成とされるものである。
【0071】
この図に示す電源回路においては、一次側スイッチングコンバータへの入力電圧である整流平滑電圧Eiを生成するのにあたって倍電圧整流回路を設けるようにされる。この倍電圧整流回路は、商用交流電源ACに対して、整流ダイオードDi1,Di2、及び平滑コンデンサCi1,Ci2を、図示するようにして接続することで形成される。そして、交流入力電圧VACを入力して、この交流入力電圧VACの2倍のレベルに対応するレベルの整流平滑電圧Eiを生成する。
このようにして倍電圧整流回路を設ける構成は、例えば商用交流電源AC100V系において比較的重負荷の条件に対応する場合に好適とされる。
【0072】
また、この図に示す電源回路の二次側においては、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対してセンタータップを設けて二次側アースに接続した上で、図示するようにして2本の整流ダイオードDO1,DO2と平滑コンデンサCO1を接続することで全波整流回路を形成している。そして、この全波整流回路によって、平滑コンデンサCO1の両端電圧としての二次側直流出力電圧EO1を得るようにしている。
なお、この図においては、制御回路1を1つの機能ブロックとして示しているが、例えば実際には、図1に示した制御回路1と同様の内部構成が採られていればよい。
【0073】
このような第2の実施の形態としての構成においても、例えば図5及び図6により説明した構造を有するドライブトランスCDTを備え、また、図1の電源回路と同様の定電圧制御回路系の構成を採っていることで、直交型制御トランスPRTの省略をはじめとして、先の第1の実施の形態の電源回路と同様の効果を得ることができる。
【0074】
ところで、上記した各実施の形態の電源回路につき、二次側に備えられる整流回路系としては各図に示した構成に限定されることなく、例えば図8〜図12に示す構成を採るようにすることも考えられる。
図8においては、二次側並列共振回路(N2//C2)に対してブリッジ整流回路DBR及び平滑コンデンサCO1から成る全波整流回路を図示する接続形態によって接続することで二次側直流出力電圧EO1を得るようにした構成が示されている。
【0075】
また、図9においては、二次側並列共振回路(N2//C2)に対して、図示するようにして整流ダイオードDO1、整流ダイオードDO2、平滑コンデンサCOA,COBを接続することで、全波整流方式による倍電圧整流回路を形成している。この場合には、平滑コンデンサCOA−COBの直列接続回路の両端電圧として、二次巻線N2に発生する交番電圧レベルの2倍に対応する二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
【0076】
また、図10に示す二次側の構成としては、二次巻線N2の巻終わり端部に対して二次側直列共振コンデンサCsが直列に接続される。これによって、絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、二次巻線N2のリーケージインダクタンスと二次側直列共振コンデンサCsのキャパシタンスとによって二次側直列共振回路を形成することになる。従って、この場合には、一次側に設けられる一次側並列共振回路(N1,Cr)と、二次側に設けられる二次側直列共振回路(N2,Cs)とにより複合共振形コンバータを構成することになる。
そして、この二次側直列共振回路に対して、図に示すようにしてブリッジ整流回路DBR及び平滑コンデンサCO1を接続することで、二次側直列共振回路(N2,Cs)の共振作用により発生する二次側直列共振電圧を全波整流する全波整流回路が形成される。そして、平滑コンデンサCO1の両端に対しては、二次巻線N2に発生する交番電圧レベルの等倍に対応する二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
【0077】
また、図11においては、二次側直列共振回路(N2,Cs)に対して、整流ダイオードDO1、整流ダイオードDO2、平滑コンデンサCOA,COBを、図示するようにして接続することで倍電圧整流回路を形成している。
【0078】
また、図12においては、二次巻線N2に対して図示するようにして2組の二次側直列共振コンデンサCs1,Cs2を接続し、さらに4本の整流ダイオードDO1,DO2,D03,DO4を図示する接続形態によって接続して、二次側整流回路を形成する。このようにして構成される二次側整流回路としては、4倍電圧整流回路が形成される。
この4倍電圧整流回路の動作説明にあたり、[直列共振コンデンサCs1,整流ダイオードDO1,DO2、平滑コンデンサCOA]から成る回路の動作について述べる。
先ず、整流ダイオードDO1がオフとなり、整流ダイオードDO2がオンとなる期間においては、二次巻線N2の漏洩インダクタンスと直列共振コンデンサCs1による直列共振作用によって、整流ダイオードDO2により整流した整流電流を直列共振コンデンサCs1に対して充電する動作が得られる。
そして、整流ダイオードDO2がオフとなり、整流ダイオードDO1がオンとなって整流動作を行う期間においては、二次巻線N2に誘起された電圧に直列共振コンデンサCs1の電位が加わるという直列共振が生じる状態で平滑コンデンサCOAに対して充電が行われる動作となる。
上記のようにして整流動作が行われることで、平滑コンデンサCOAの両端には、二次巻線N2の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直流電圧(整流平滑電圧)が得られる。また、[直列共振コンデンサCs2,整流ダイオードDO3,DO4、平滑コンデンサCOB]の組とから成る整流回路によっても同様の動作によって、平滑コンデンサCOBの両端には、二次巻線N2の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直流電圧が得られることになる。
【0079】
そして、上記のようにして各段の整流回路によって倍電圧整流動作が行われる結果、直列接続された平滑コンデンサCOA−平滑コンデンサCOBの両端には、二次巻線N2の誘起電圧のほぼ4倍に対応する二次側直流出力電圧EO1が得られることになる。
【0080】
なお、上記各実施の形態においてはスイッチング素子を1組備えるシングルエンド方式の場合が示されているが、スイッチング素子を2組備える、いわゆるプッシュプル方式による、自励式の電圧共振形コンバータとされても構わないものである。
また、二次側についても、各図に示した以外の回路構成による整流回路が備えられて構わないものである。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、複合共振形コンバータとして、ドライブトランスを備えた自励式の構成を採る。これと共に、定電圧化のためのスイッチング周波数制御は、スイッチング素子を駆動する自励発振駆動回路(スイッチング駆動手段)の駆動巻線に対して、ドライブトランスに巻装した制御巻線と導通制御素子の直列接続回路(導通制御回路)を接続し、この直列接続回路の導通を制御することによって行うようにしている。そして、このような構成であれば、これまでスイッチング周波数制御に必要とされていた直交型制御トランスを省略することが可能になる。
これにより、直交型制御トランスのギャップのばらつき等に起因するインダクタンス値のばらつきの問題は解消されることになる。特に本発明におけるドライブトランスのインダクタンスのばらつきは±5%程度となる。このため、交流入力電圧の範囲に対するマージンを少なく設定することが可能となるので、回路設計も容易なものとすることが可能になる。また、直交形制御トランスの製造工程の困難性にかかる問題も解消されることになる。直交形制御トランスの制御巻線に制御電力を供給してスイッチング周波数を制御する構成ではないとされることで、軽負荷時の無効電力を低減し、電力損失を低減できることになる。つまり、AC/DC電力変換効率の向上も図られることになる。
また、本発明によるドライブトランスは、直交型制御トランスよりもはるかに小型であるために、それだけ電源回路の小型軽量化を促進することも可能となる。
【0082】
また、本発明としての導通制御回路に備えられる導通制御素子(バイポーラトランジスタ)には、低電圧及び小レベルの電流が印加されるので、定電圧制御に要する電力も低減されることになる。つまり、電源回路における無効電力が低減され、これによっても電源回路のAC/DC電力変換効率の低減を促進させることができる。また、導通制御素子としては、低耐圧、小容量品が選定されることにもなるので、この点でも、小型軽量化、及び低コスト化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図2】本実施の形態の電源回路における要部の動作(重負荷時)を示す波形図である。
【図3】本実施の形態の電源回路における要部の動作(無負荷時)を示す波形図である。
【図4】図1に示す電源回路について、負荷変動に対するAC−DC電力変換効率、及び定電圧化のための制御電力の各特性を、先行技術と比較して示す特性図である。
【図5】H字型コアによるドライブトランスの構造例を示す斜視図である。
【図6】EI型コアによるドライブトランスの構造例を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図8】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図9】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図10】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図11】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図12】実施の形態の他の二次側の構成例を示す回路図である。
【図13】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
【図14】図13に示す電源回路における要部の動作を示す波形図である。
【図15】図13に示す電源回路の定電圧制御特性を示す説明図である。
【図16】図13に示す回路における、駆動巻線NBのインダクタンスについての直流重畳特性を示す説明図である。
【図17】直交形制御トランスの構造例を示す斜視図及び断面図である。
【符号の説明】
1 制御回路、Q1 スイッチング素子、Q2 導通制御素子(バイポーラトランジスタ)、PIT 絶縁コンバータトランス、CDT ドライブトランス、DD クランプダイオード、N1 一次巻線、N2 二次巻線、Cr 一次側並列共振コンデンサ、NA 検出巻線、NB 駆動巻線、Nc 制御巻線、C2 二次側並列共振コンデンサ、PC フォトカプラ
Claims (3)
- 直流入力電圧についてスイッチングを行うスイッチング素子を備えるスイッチング手段と、
一次巻線と二次巻線とを備え、上記一次巻線に得られる上記スイッチング手段のスイッチング出力を上記二次巻線に対して伝送する絶縁コンバータトランスと、
上記スイッチング素子に対して並列に接続される一次側並列共振コンデンサと上記絶縁コンバータトランスの一次巻線とにより形成され、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とするように設けられる一次側並列共振回路と、
上記絶縁コンバータトランスの一次巻線に対して直列に接続される検出巻線、駆動巻線、及び制御巻線とが巻装され、上記検出巻線に得られるスイッチング出力により上記駆動巻線及び制御巻線に交番電圧を誘起するようにされたドライブトランスと、
上記駆動巻線と共振用コンデンサにより形成される直列共振回路を有して、上記駆動巻線に誘起される交番電圧の供給により上記直列共振回路が発振して得られる共振出力に基づいて上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して、二次側共振コンデンサを並列又は直列に接続することで形成される二次側共振回路と、
上記二次側共振回路に得られる交番電圧を入力して整流動作を行うことで直流出力電圧を得るように構成される直流出力電圧生成手段と、
上記駆動巻線に対して上記制御巻線、及び導通制御素子としてのトランジスタ素子を直列に接続して形成される導通制御回路を有し、上記直流出力電圧のレベルに応じて上記導通制御素子における電流導通量を可変制御することにより、上記スイッチング素子のスイッチング周波数を可変制御し、上記直流出力電圧についての定電圧制御を行うようにされる定電圧制御手段と、
を備えていることを特徴とするスイッチング電源回路。 - 上記ドライブトランスは、
上記検出巻線、上記駆動巻線、及び上記制御巻線が巻装されるH字型又はEI型フェライトコアを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 上記定電圧制御手段は、
フォトダイオード及びフォトトランジスタとから成るフォトカプラ、及びシャントレギュレータとを有し、
上記シャントレギュレータから上記フォトダイオードには、上記直流出力電圧のレベルの変動に応じて可変された電流量により電流が流れるようにされ、
上記フォトトランジスタは、上記フォトダイオードに流れる電流量に応じて上記導通制御素子における電流導通量を可変するようにされる、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
Priority Applications (5)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2001198725A JP3560158B2 (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | スイッチング電源回路 |
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