JP3561310B2 - 乾留式油化装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばゴムやプラスチックで被覆された電線やケーブルの廃材、廃タイヤ等の高分子有機廃材を熱分解することにより油分を回収する乾留式油化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の乾留式油化装置としては、図5に示すようなものが知られており、このような装置を用いて高分子有機廃材を原料とする油分の回収が行われている。以下、この従来の乾留式油化装置について説明すると、この装置は、上記高分子有機廃材を熱分解することにより乾留ガスを発生させるガス発生炉9と、発生した乾留ガスを冷却することにより乾留ガス中に含まれる油分を分離回収する油分回収手段2と、油分を回収した残りの可燃成分を燃焼処理等して無公害化する排ガス処理手段4とから基本構成されている。ここで、上記のガス発生炉1cとしては特開平5−180425号公報および特開昭62−17513号公報により、上記油分回収手段2における熱交換器22および回収方法としては特開昭62−1431号公報および特開昭62−1432号公報により、上記排ガス処理手段4における2次燃焼方法としては特公昭59−9010号公報によりそれぞれ開示されている。
【0003】
上記ガス発生炉9は、炉内が上側の熱分解部91と下側の自己燃焼部92とに分けられた階段状の傾斜多段式に構成されており、上記自己燃焼部92には燃料タンク93aからの燃料を燃焼させる燃焼バーナ93と、燃焼のための空気をブロワ94aにより供給する空気供給手段94とが設けられている。
【0004】
そして、この従来の装置による油分を回収する手順は、まず、炉内の熱分解部91および自己燃焼部92内に原料を充填し、その自己燃焼部92内に空気供給手段94により外部から空気を供給しながらその自己燃焼部92内の原料を燃焼バーナ93により燃焼させる。そして、原料が燃焼し始めた後、上記燃焼バーナ93を停止し、上記の空気の供給を継続して原料を自己燃焼させ続け、その燃焼熱により熱分解部91の原料を熱分解させて乾留ガスを生成する。
【0005】
次に、この乾留ガスを上記油分回収手段2に導出して、熱交換器22,23,24に通すことにより冷却し、気液分離した油分を油貯蔵タンク27,28に回収する。そして、上記排ガス処理手段4において、油分として回収されずに乾留ガス内に残った低炭素数成分を2次燃焼室41で完全燃焼させ、この2次燃焼室41での燃焼排ガスを消煙用の熱交換器42、洗浄集塵用の洗煙塔43、および、ミストセパレータ44に通し、これにより無公害化した清浄ガスを煙突45から外気に排出する。
【0006】
以上、要するに、上記の従来の乾留式油化装置は、図6に原理図を示すように、ガス発生炉9内に空気を供給しながら燃焼バーナ93により原料Mを着火し、着火後、ガス発生炉9が所定の温度、例えば400℃となるまで燃焼バーナ93で着火し続け、上記所定の温度になれば、上記燃焼バーナ93による着火を停止して、以後、空気の供給継続により原料Mの一部(例えば10%)の自己燃焼を継続させ、この自己燃焼に伴う燃焼熱により残りの原料Mを熱分解させて乾留ガスを得るように構成されたものである。そして、ガス発生炉9の運転制御、すなわち、熱分解条件の制御は、空気の供給量の制御により自己燃焼度合いを制御し、これにより、ガス発生炉9内の温度を制御することにより行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の乾留式油化装置においては、熱分解のための熱を原料M自体を燃焼させることにより得るようになっているため、その燃焼させている原料は油分回収の原料として利用することができず、その分、原料に対する油分回収率である油化率が低下(最大でも50%程度)してしまうという不都合がある。
【0008】
また、上記の従来装置においては、ガス発生炉9内の温度制御が空気の供給量調節により行われているため、熱分解条件を安定的に維持制御することが困難になるという不都合がある。すなわち、炉内に供給された空気によって自己燃焼分の原料の燃焼のみならず、乾留ガス自体の燃焼が生じる場合があり、この場合、熱分解条件の変動を招きその制御が困難となる上、乾留ガスの減少に伴い油化率の低下を招き、さらには、油分の品質が不安定になる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、油化率の向上を図り、加えて、ガス発生炉の運転制御の容易を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、図1に示すように、高分子材料を熱分解して乾留ガスを発生させる乾留炉1と、この乾留炉1の上部に接続され、上記乾留ガスを冷却することにより油分を分離回収する油分回収手段2と、上記高分子材料に対しその熱分解温度下で接触しても高分子材料の自己燃焼を生じさせることのない高温ガスを発生させる高温ガス発生手段3とを備える。そして、この高温ガス発生手段3と上記乾留炉1とを、上記高温ガスのみが上記乾留炉1内に高分子材料を熱分解する熱媒体として吹き込まれるよう互いに接続する構成とし、また、高温ガス発生手段1を、油分回収手段により油分が回収された残りの乾留ガスを燃焼した燃焼排ガスにより高温ガスを生成する乾留ガス燃焼手段と、この乾留ガス燃焼手段とは別に設けられて独立して高温ガスを発生させる独立高温ガス発生手段と、これら乾留ガス燃焼手段および独立高温ガス発生手段と乾留炉との接続を、起動段階において上記独立高温ガス発生手段から高温ガスが乾留炉へ吹き込まれる一方、定常運転段階において上記乾留ガス燃焼手段から高温ガスが乾留炉へ吹き込まれるよう切換える供給切換手段とによって構成し、さらに、独立高温ガス発生手段を、コークス炉により構成するものである。
【0011】
【作用】
上記の構成により、請求項1記載の発明では、高温ガス発生手段により発生された高温ガスが乾留炉内に吹き込まれ、この高温ガスの熱により高分子材料(原料)の熱分解が行われる。そして、この熱分解により生じた乾留ガスが油分回収手段により冷却されて油分が分離回収される。上記熱分解に際し、上記高温ガスが原料に接触してもその原料が自己燃焼を生じることがないため、乾留炉内に充填された高分子材料の全量が熱分解による油化対象となり、従来の炉内に空気を供給し続けて原料の自己燃焼により熱分解のための熱を得る場合と比べ、油化対象が自己燃焼させる原料分増加し、乾留ガス自体が燃焼することがなくなるため油化率の向上が図られる。
【0012】
加えて、上記乾留炉内に吹き込まれる高温ガスが上記熱分解温度では原料の自己燃焼を生じさせないものであるため、熱分解による乾留ガスの生成が安定化し、油分回収の安定化に伴い油化率の向上が図られる上、上記高温ガスの熱自体で炉内温度の制御が可能になるため、従来の供給空気量の調節による炉内温度を制御する場合と比べ、熱分解条件の制御が容易になり安定した熱分解条件の維持が可能になる。
【0013】
さらに、起動段階では、供給切換手段によって独立高温ガス発生手段が乾留炉と接続され、この独立高温ガス発生手段で発生された高温ガスが乾留炉内に吹き込まれる。そして、この高温ガスにより乾留炉内が加熱昇温されて原料の熱分解が始まる。この熱分解により乾留ガスが定常的に発生するようになる定常運転段階になると、上記供給切換手段により乾留ガス燃焼手段が乾留炉と接続され、上記乾留ガスから油分回収手段で油分の回収が行われた後の残りの乾留ガスが上記乾留ガス燃焼手段において燃焼され、その燃焼排ガスが高温ガスとして上記乾留炉内に吹き込まれる。そして、この乾留ガス燃焼手段からの高温ガスにより乾留炉内での熱分解が継続される。
【0014】
【実施例】
以下、実施例を図面に基づいて説明する。
<第1実施例>
図2は、第1実施例に係る乾留式油化装置を示し、1aは乾留炉1(図1参照)としてのガス発生炉、2はこのガス発生炉1aで発生した乾留ガスから油分を分離回収する油分回収手段、3aは高温ガス発生手段3(図1参照)としての乾留ガス燃焼手段、4は排ガス処理手段である。
【0015】
−ガス発生炉1aの構成−
上記ガス発生炉1aは、鉛直筒状の原料導入部10と、乾留ガスを発生させるガス発生室11と、残渣燃焼室12と、残渣回収部13とから基本構成されたものであり、上記の原料導入部10を頂部としてガス発生室11から残渣燃焼室12および残渣回収部13にかけて各底面が階段状でかつ下り勾配にされて全体として傾斜多段式に構成されている。すなわち、本第1実施例におけるガス発生炉1aは、従来装置(図5参照)の自己燃焼部92と乾留ガスを発生させる熱分解部91との全体を、ガス発生室11とするものである。
【0016】
上記原料導入部10の頂部には原料を供給するバケットコンベア14が連結されており、また、内部には各一対の開閉板が略V字状配置で相対向するように構成された3つの開閉ダンパー15a,15b,15cが所定の上下間隔毎に設けられている。そして、上記バケットコンベア14により搬送された原料が上記頂部から閉状態の上側開閉ダンパー15a上に投入されるようになっている。そして、上記3つの開閉ダンパー15a,15b,15cは、閉状態の上側開閉ダンパー15aに原料が投入された後、この上側開閉ダンパー15aをのみ開作動して閉状態の中間開閉ダンパー15b上に上記原料を落とし、次に、上記上側開閉ダンパー15aを閉状態にした後、中間開閉ダンパー15bをのみ開作動して閉状態の下側開閉ダンパー15c上に原料を落とす、というように原料を載せた開閉ダンパーをのみ順次開作動させることにより外気の侵入を可及的に防止しかつ原料の予熱乾燥を図った状態で原料を上記ガス発生室11に充填するようになっている。
【0017】
上記ガス発生室11は、上記原料導入部10側が各開閉ダンパー15a,15b,15cにより、残渣燃焼室12側が開閉ゲート16aによりそれぞれ仕切られて密閉状態になるようにされている。上記ガス発生室11の下部には、燃焼バーナ17が設けられるとともに、後述の高温ガス導出管32の下流端が接続されている。また、上記ガス発生室11の最上部であって下側開閉ゲート15cの下側位置には、乾留ガス導出管20の上流端が図示省略の開閉弁を介して接続されている。そして、上記ガス発生室11では、内部に充填された原料が、起動時には上記燃焼バーナ17により、定常運転時には上記高温ガス導出管32により吹き込まれる高温ガスによりそれぞれ加熱昇温されて熱分解により乾留ガスを発生させる一方、発生した乾留ガスが上記乾留ガス導出管20により油分回収手段2に導出されるようになっている。
【0018】
上記残渣燃焼室12は、ガス発生室11側の開閉ゲート16aと、残渣回収部13側の開閉ゲート16bとにより密閉可能になっており、内部で上記の熱分解された後の残渣を外気導入下で燃焼させるようになっている。また、上記残渣回収部13には冷却水槽13aと図示省略の回収コンベアとが設けられ、上記残渣燃焼室12での燃焼後の残渣が上記冷却水槽13aで冷却されて回収されるようになっている。なお、上記残渣燃焼室12には図示省略の排ガス導出管が接続されており、この排ガス導出管によって燃焼排ガスを排ガス処理手段4の2次燃焼室41に送給するようにされている。
【0019】
なお、図2中18a,18b,18cはそれぞれプッシャーであり、プッシャー18a,18bはガス発生室11内の原料の撹拌および残渣の残渣燃焼室12への押し出しを行い、プッシャ18cは残渣燃焼室12内の残渣の撹拌および燃焼後の残渣の残渣回収部13への押し出しを行うようになっている。
【0020】
−油分回収手段2の構成−
上記油分回収手段2は、乾留ガス導出管20を通して導出された乾留ガスに含まれる炭塵を除去するカーボンサイクロン21と、炭塵除去後の乾留ガスを冷却して油分を分離回収する第1,第2および第3の各熱交換器22,23,24と、この各熱交換器22,23,24で回収しきれなかった場合の油分回収及び後述の2次燃焼室41からのガスの逆流防止を行うバブリング槽25と、乾留ガスの吸引,圧送を行うブロワ26とから構成されている。そして、上記第1熱交換器22を通すことにより分離された油分が油タンク27に貯蔵される一方、上記第2および第3熱交換器23を通すことにより分離された油分が油タンク28に貯蔵されるようになっている。
【0021】
上記第1〜第3熱交換器22,23,24は、カーボンサイクロン21の頂部から下流側に向けて順に接続されており、第3熱交換器24の下流側がバブリング槽25のガス入口に接続されている。この第1バブリング槽25はガス入口から導入された乾留ガスを液中に気泡状態で通すことにより、その乾留ガス中に含まれる水溶性成分を除去し、回収しきれていない場合の油成分を回収し、かつ、ブロワ26側からのガスの逆流を阻止するようになっている。そして、乾留ガスは、ガス出口からブロワ26に吸引されて、その吐出側に接続された導管40を通して排ガス処理手段4および乾留ガス燃焼手段3aのいずれか一方に送られるようになっている。
【0022】
−乾留ガス燃焼手段3aの構成−
上記乾留ガス燃焼手段3aは、上記ブロワ26からの乾留ガスを導入する乾留ガス導入管30と、この乾留ガス導入管30により導入された乾留ガスを燃焼して無酸素状態の高温ガスを生成する乾留ガス燃焼炉31と、この乾留ガス燃焼炉31で生成された高温ガスをガス発生炉1aのガス発生室11に吹き込む高温ガス導出管32とを備えている。
【0023】
上記乾留ガス導入管30は、上流端が上記導管40の中間位置に接続され、下流端が上記乾留ガス燃焼炉31に接続されており、その中間に上流側から第1開閉弁33および第2バブリング槽34が介装されている。また、この乾留ガス導入管30にはリターン配管35が付設されており、このリターン配管35の上流端は上記乾留ガス導入管30の第1開閉弁33と第2バブリング槽34との間の位置に第2開閉弁36を介して接続され、下流端は第3バブリング槽37を介して排ガス処理手段4の2次燃焼室41に接続されている。そして、上記第2開閉弁36の開閉調節によって、ブロワ26により送られる乾留ガスをこのリターン配管35を通して2次燃焼室41にリターンし、これにより、乾留ガス過剰時等における乾留ガス導入管30を通して乾留ガス燃焼炉31に導入する乾留ガスの量を調整するようになっている。なお、上記第2もしくは第3バブリング槽34,37は、乾留ガス燃焼炉31もしくは2次燃焼室41からのガスの逆流を阻止することにより、より一層の安全性を図るものである。
【0024】
上記乾留ガス燃焼炉31は、上記乾留ガス導入管30の下流端と、上記高温ガス導出管32の上流端とがそれぞれ接続されており、図示省略の着火部と、上記乾留ガス導入管30から導入される乾留ガスの流量検出器と、燃焼のための空気を供給する空気供給器と、上記流量検出器の検出値に基づいて上記空気供給器での空気供給量を調整することにより燃焼状態を制御する制御器とを備えている。この制御器は、上記流量検出器で検出された量の乾留ガスを完全燃焼させるに必要な理論的酸素量を求め、この理論的酸素量に基づいて上記乾留ガスの燃焼が不完全燃焼となるように上記理論的酸素量より所定量減じた量の酸素ガスが供給されるよう上記空気供給器での空気供給量を制御するようになっている。そして、上記乾留ガス燃焼炉31では、導入された乾留ガスを燃焼して供給された酸素ガスを完全に消費することにより酸素ガスを含まない所定温度の高温ガスとしての燃焼排ガスを生成するようになっている。
【0025】
そして、上記高温ガス導出管32は、上記乾留ガス燃焼炉31で生成された所定量の燃焼排ガスをガス発生炉1aのガス発生室11内に吹き込むようになっている。
【0026】
−排ガス処理手段4の構成−
上記排ガス処理手段4は、上述の導管40の下流端が接続された2次燃焼室41と、この2次燃焼室41での燃焼により生じた燃焼排ガスの冷却を行う消煙用熱交換器42と、冷却後の排ガスの洗浄集塵を行う洗煙塔43と、ミストセパレータ44と、清浄ガスを外気に排出させる煙突45とを備えている。
【0027】
上記2次燃焼室41は、導管40を通して導入される乾留ガスを空気供給下で燃焼させ、これにより、常温で気体であるため上記油分回収手段2で回収されない、乾留ガス中に残った低炭素数成分を完全燃焼させるようになっている。
【0028】
−第1実施例による油化処理の手順等−
上記構成の第1実施例による油化処理の手順を以下に説明する。
【0029】
まず、ガス発生炉1aのガス発生室11内に、原料として天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム,クロロプレンゴム等の合成ゴム、もしくは、ポリエチレン,ポリプロピレン等のオレフィン系プラスチック材料の他、ポリ塩化ビニル等のハロゲンを含むプラスチック材料等の油化対象となる高分子材料、具体的には、これらの材料を伴うゴムまたはプラスチック被覆電線、ゴムまたはプラスチック被覆ケーブル、もしくは、タイヤ等の高分子有機廃材を適当な長さ,大きさにして、原料導入部10を通して充填し、準備が終了する。
【0030】
次に、起動段階では、燃焼バーナ17によりガス発生室11内を加熱昇温してガス発生室11の底部の原料を別途供給する空気で燃焼させ、この燃焼熱により上部の原料を熱分解して乾留ガスを発生させる。この乾留ガスを乾留ガス導出管20から導出して、油分回収手段2で油分の回収を行った後、乾留ガス導入管30を介して乾留ガス燃焼炉31に導入する。
【0031】
そして、乾留ガスが発生し始めその乾留ガスが乾留ガス燃焼炉31に導入されるようになる定常運転段階となれば、上記燃焼バーナ17による加熱を停止し、以後、ガス発生室11への空気の供給を遮断し、上記乾留ガス燃焼炉31で乾留ガスを燃焼することにより得られた所定温度(例えば800〜900℃)の燃焼排ガスを高温ガス導出管32を介して上記ガス発生室11内に吹き込み、この燃焼排ガスによりガス発生室11内の原料を無酸素状態で熱分解して乾留ガスの発生を継続させる。この定常運転段階では、吹き込まれる燃焼排ガスが酸素ガスを含まないものであるため、上記起動段階での原料の自己燃焼が止まり、以後、ガス発生室11内に充填されるすべての原料が乾留ガス生成のための熱分解の対象となる。なお、この定常運転の継続により発生する乾留ガスが増大して乾留ガス燃焼炉31への導入が過剰になる場合は、第2開閉弁36を開き乾留ガスの一部をリターン配管35を通して2次燃焼室41に導き、この2次燃焼室41で導入された乾留ガスを燃焼する。そして、その燃焼排ガスを消煙用熱交換器42、洗煙塔43およびミストセパレータ44を通すことにより清浄ガスにし、この清浄ガスを煙突45から大気に放出する。
【0032】
−第1実施例による作用,効果−
上記の定常運転状態では、ガス発生室11内に吹き込まれる高温ガスとしての燃焼排ガスが酸素ガスを含まないものであるため、起動段階での原料の自己燃焼が止まり、以後、ガス発生室11内に充填される原料の全量が乾留ガス生成のための熱分解の対象、すなわち、油化対象となる。このため、従来の熱分解のための熱を得るために炉内に空気を供給し続けて原料を自己燃焼させ続ける場合と比べ、自己燃焼させない分、油化対象を増加することができ、油化率の向上を図ることができる。
【0033】
加えて、上記熱分解のための炉内温度の制御を吹き込む燃焼排ガスの温度および量の調節により確実に行うことができ、従来の供給空気量の調節により炉内温度を制御する場合と比べ、熱分解条件の制御を容易に行うことができ、これにより、安定した熱分解条件を維持することができる。さらに、上記ガス発生室11内が上記の吹き込まれる燃焼排ガスによって確実に無酸素状態になるため、熱分解による乾留ガスの生成が安定化し、油分回収の安定化に伴い油化率の向上を図ることができる。
【0034】
また、上記のガス発生室11内に吹き込む高温ガスの生成を、乾留ガス燃焼炉31で油分回収後の乾留ガスを燃焼させることによって行っているため、その燃焼排ガスによって酸素ガスを含まない、または、極小量に減少した状態の高温ガスを容易かつ確実に得ることができる上、従来廃棄されていた上記油分回収後の乾留ガスの有効利用を図ることができる。
<第2実施例>
−第2実施例の構成−
図3は、第2実施例に係る乾留式油化装置を示す。本第2実施例は、高温ガス発生手段3(図1参照)を定常運転段階用の乾留ガス燃焼手段3aと、起動段階用の独立高温ガス発生手段3bとで構成し、これらを供給切換手段としての切換弁38によって運転段階に応じて切換えるようにしたものである。従って、本第2実施例におけるガス発生炉1bは、第1実施例のガス発生炉1aの如き起動時用の燃焼バーナ17を省略したもので構成されている。
【0035】
上記乾留ガス燃焼手段3aは、上記第1実施例のものと同様構成の乾留ガス導入管30と、乾留ガス燃焼炉31と、高温ガス導出管32とを備えており、その高温ガス導出管32の中間位置に上記切換弁38が介装されている。
【0036】
上記独立高温ガス発生手段3bは、コークス炉により構成されており、石炭,コークスを燃料として、これらを燃焼させて得られる二酸化炭素(CO2 )、一酸化炭素(CO)および窒素(N2 )等からなる燃焼排ガスによって、高温で酸素ガスを含まない高温ガスを発生させるようになっている。そして、この独立高温ガス発生手段3bに接続された高温ガス導出管39の下流端が上記切換弁38に接続されている。
【0037】
上記切換弁38は、例えば三方切換弁等が用いられて起動側と定常側とに切換可能に構成されている。そして、上記切換弁38は、これを起動側に切換えることにより上記高温ガス導出管39とガス発生室11とのみが互いに連通される一方、定常側に切換えることにより上記高温ガス導出管32とガス発生室11とのみが互いに連通されるようになっている。
【0038】
なお、上記乾留式油化装置のその他の構成は第1実施例のものと同様であるために、同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0039】
−第2実施例の作用,効果−
上記構成の第2実施例の場合、まず、起動段階では、切換弁38が起動側にされて独立高温ガス発生手段3bがガス発生室11と連通され、この独立高温ガス発生手段3bから所定温度(例えば800〜900℃)の高温ガスが上記ガス発生室11内に吹き込まれる。この高温ガスによってガス発生室11内が加熱昇温され、所定の温度(例えばほぼ400℃)になれば原料の熱分解が始まり乾留ガスが発生する。そして、この乾留ガスが、油分回収手段2での油分の回収の後、乾留ガス導入管30を通して乾留ガス燃焼炉31に導入される。
【0040】
次に、乾留ガスが定常的に発生する定常運転段階になれば、上記切換弁38が定常側に切換えられて乾留ガス燃焼手段3aの乾留ガス燃焼炉31がガス発生室11と連通され、この乾留ガス燃焼炉31から上記と同様の高温ガスがガス発生室11内に吹き込まれる。以後、この乾留ガス燃焼炉31からの高温ガスによって原料が熱分解されて乾留ガスの発生が継続され、油分の回収が継続して行われれる。
【0041】
従って、起動段階から定常運転段階のすべての運転段階において、ガス発生室11内に充填された原料の全量を油化対象とすることができ、第1実施例の場合よりも油化率の向上を図ることができる。例えば、原料として天然ゴムを用いた場合、炉内温度を350〜400℃の範囲にした時、油化率は65%になり、原料としてエチレンプロピレン(EP)ゴムを用いた場合、炉内温度を470〜520℃の範囲にした時、油化率は70%になり、また、原料として樹脂状のポリオレフィンを用いた場合、炉内温度を550〜600℃の範囲にした時、油化率は63%になるというように、従来の油化率50%程度から油化率を大幅に向上させることができる。なお、上記の油化率の値は油化し得る有機部分のみからなる原料を用いた場合の結果であるが、ゴム被覆ケーブルのように30〜70重量%の銅導体等の無機質が含まれている原料の場合であっても、その無機質を加熱するための熱量分だけ余分に高温ガスを吹き込む必要があるものの、油化率自体は上記と同じものを得ることができる。
【0042】
また、上記独立高温ガス発生手段3bでの燃料を油分回収手段2で前回までの運転により既に回収されて油タンク27,28に貯蔵されている生成油を用いることにより、乾留ガス燃焼手段3aでの乾留ガスの使用とあいまって、ガス発生炉1bで生成した乾留ガスのより一層の有効利用を図ることができ、エネルギー収支の向上を図ることができる。
<他の態様>
なお、上記第1および第2実施例に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含するものである。すなわち、上記第1実施例では、熱分解のための熱量を起動段階に燃焼バーナ17から、定常運転段階に乾留ガス燃焼手段3aからそれぞれ得ており、また、上記第2実施例では、上記熱量を起動段階に独立高温ガス発生手段3bから、定常運転段階に乾留ガス燃焼手段3aからそれぞれ得ているが、これに限らず、例えば起動段階および定常運転段階の双方において、熱分解のための熱量のすべてを独立高温ガス発生手段3bからの高温ガスにより得るようにしてもよい。すなわち、図4に示すように、上記の独立高温ガス発生手段3bの単独で高温ガス発生手段3を構成し、起動段階および定常運転段階の運転段階のいかんを問わず、上記独立高温ガス発生手段3bから吹き込まれる高温ガスによってのみガス発生室11内の原料の熱分解を行うようにしてもよい。
【0043】
上記第1および第2実施例では、乾留ガス燃焼炉31での燃焼制御において、制御器により空気供給器からの空気量の制御を行っているが、これに限らず、酸素ボンベ等を接続し、この酸素ボンベから供給される酸素ガス自体の量を制御するようにしてもよい。
【0044】
上記第1実施例における燃焼バーナ17と油タンク27,28とを接続することにより、その燃焼バーナ17の燃料として、前回までの運転により既に油タンク27,28に貯蔵された油を利用するようにしてもよい。これにより、上記回収油の有効利用、エネルギー収支の向上を図ることができる。
【0045】
また、上記第2実施例では、供給切換手段として切換弁を例示したが、これに限らず、例えば乾留ガス燃焼炉31および独立高温ガス発生手段3bをそれぞれ開閉弁を介して個別に乾留炉1bと接続するようにしてもよい。
【0046】
なお、第1および第2実施例では、乾留ガス燃焼炉31での燃焼を不完全燃焼状態に制御することにより酸素ガスを含まないか、極力減少した高温ガスを得るように構成しているが、例えば上記の燃焼を精密な完全燃焼状態になるよう制御することにより酸素ガスを含まない状態の燃焼排ガスを得ることも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における乾留式油化装置によれば、高分子材料の熱分解に際しその高分子材料と接触しても高分子材料の自己燃焼を生じさせることのない高温ガスを発生させる高温ガス発生手段を設け、この高温ガス発生手段を上記高温ガスのみが乾留炉内の高分子材料を熱分解する熱媒体として乾留炉に吹き込まれるよう乾留炉と接続しているため、乾留炉内に充填された高分子材料の全量を熱分解による油化対象とすることができる。従って、従来の炉内に空気を供給し続けて高分子材料の一部を自己燃焼させることにより熱分解のための熱を得る装置の場合と比べ、自己燃焼させる分の高分子材料をも油化対象とすることができ、油化対象の拡大により油化率の向上を図ることができる。また、上記乾留炉内に吹き込まれる高温ガスが上記熱分解温度では原料の自己燃焼を生じさせないものであるため、熱分解による乾留ガスの生成の安定化を図ることができ、油分回収の安定化、油化率のより向上を図ることができる。
【0048】
加えて、上記高温ガスの熱自体で乾留炉炉内の温度調節、すなわち、熱分解条件の制御が可能になるため、従来の供給空気量の調節で燃焼状態を調節することにより熱分解条件を制御する装置の場合と比べ、熱分解条件の制御を容易かつ的確に行うことができ、熱分解条件を安定した状態に維持することができる。
【0049】
さらに、起動段階では独立高温ガス発生手段からの高温ガスにより乾留炉内を昇温して高分子材料の熱分解を開始させ、定常運転段階では乾留ガス燃焼手段からの高温ガスにより上記の高分子材料の熱分解を継続させることができる。これにより、装置の起動段階から定常運転段階までのすべての運転段階を通して、乾留炉内に充填された高分子材料の全量を油化対象とすることができ、油化率のより一層の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成図である。
【図2】第1実施例を示す概略構成図である。
【図3】第2実施例を示す概略構成図である。
【図4】他の態様を示す概略構成図である。
【図5】従来装置の例を示す概略構成図である。
【図6】従来装置の原理的な構成図である。
【符号の説明】
1 乾留炉
1a,1b ガス発生炉(乾留炉)
2 油分回収手段
3 高温ガス発生手段
3a 乾留ガス燃焼手段(高温ガス発生手段)
3b 独立高温ガス発生手段(高温ガス発生手段)
38 切換弁(供給切換手段)
Claims (1)
- 高分子材料を熱分解して乾留ガスを発生させる乾留炉と、
この乾留炉に接続され、上記乾留ガスを冷却することにより油分を分離回収する油分回収手段と、
上記高分子材料に対しその熱分解温度下で接触しても高分子材料の自己燃焼を生じさせることのない高温ガスを発生させる高温ガス発生手段とを備えており、
この高温ガス発生手段と上記乾留炉とは、上記高分子材料を熱分解する熱媒体として上記高温ガスのみが乾留炉内に吹き込まれるよう互いに接続されており、
上記高温ガス発生手段は、
油分回収手段により油分が回収された残りの乾留ガスを燃焼した燃焼排ガスにより高温ガスを生成する乾留ガス燃焼手段と、
この乾留ガス燃焼手段とは別に設けられて独立して高温ガスを発生させる独立高温ガス発生手段と、
これら乾留ガス燃焼手段および独立高温ガス発生手段と乾留炉との接続を、起動段階において上記独立高温ガス発生手段から高温ガスが乾留炉へ吹き込まれる一方、定常運転段階において上記乾留ガス燃焼手段から高温ガスが乾留炉へ吹き込まれるよう切換える供給切換手段と、を備え、
上記独立高温ガス発生手段は、コークス炉により構成されていることを特徴とする乾留式油化装置。
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-
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