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JP3564055B2 - 重合体の製造方法および製造装置 - Google Patents
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JP3564055B2 - 重合体の製造方法および製造装置 - Google Patents

重合体の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合体の製造、特に水溶性重合体の製造に好ましく適用される製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水溶性重合体等の重合体、中でも、カルボキシル基を多数有するアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、これらの共重合体、または、これらにスルホン酸基、水酸基等が導入された重合体は、これらの組成や分子量を調整することにより、優れたカルシウムイオン捕捉作用、優れたクレー分散作用、優れた耐ゲル化能を発揮させ得ることが知られている。そのため、これらの重合体は、無機顔料分散剤、スケール防止剤、キレート剤、洗剤組成物、繊維処理剤、木材パルプ漂白助剤等、非常に広範囲の用途に渡って使用されている。
【0003】
これらの重合体の製造方法については、これまで、多くの研究、開発がなされており、例えば、特開昭62−270605号公報、特開平5−239114号公報、特開平5−247143号公報、特公平3−2167号公報、特公平3−14046号公報、特許第2574144号公報等で開示されている。
これら従来の研究、開発は、水溶性重合体等の特徴を活かし、上記種々の用途に対応すべく、組成、分子量等の調整や残存モノマー量の低減等に向けられてきた。
しかし、これまで、これら重合体の製造に関するスケールアップの問題については十分に検討されていなかった。実験室段階での100gからせいぜい5kg程度のスケールの製造プロセスを、1〜30t程度の非常に大きなスケールの実機プラントに移す場合には、除熱の問題を解決することが不可避であり、一般に、重合釜の表面積と内容積との関係から、スケールアップすればするほど、除熱能力が指数関数的に悪くなっていくとされている。
【0004】
重合体の製造は、安全性の面と、経済性の観点から、水系溶媒で、高温下、なるべくは沸点近傍で行うことが一般的である。そのため、除熱能力の悪化は、直ちに激しい発泡、すなわち、激しい沸騰状態を招き、攪拌効果が失われて、ついには反応液が重合釜からあふれ、重合自体の続行が不可となってしまうという問題を引き起こす。近年は、生産効率を高める関係上、原料濃度を高くする傾向にあり、なおさら、激しい発泡、すなわち激しい沸騰状態を招きやすくなって来た。
このような発泡、沸騰現象を抑制するために、沸騰によって蒸気化した反応液を冷却して前記反応容器内へ戻すためのコンデンサーが、製造装置の一部として、一般に設置されている。しかし、コンデンサーの冷却能力を越える程に発泡状態が激しくなると、還流量、すなわち蒸気線速度が非常に大きくなって、ついには発泡を抑えきれず、重合続行が不可能となったり、重合釜内にゲル物が付着する等の生産性の低下を招き、さらに、得られる重合体の重量分子量分布が広くなるという問題を生じる。一方、重合釜の熱量が不足しているために、発泡、沸騰現象が起こりにくく、蒸気線速度が低すぎる場合には、得られる重合体の分子量分布が広がったり、得られる重合体の再現性が大きく低下するという問題が生じる。
【0005】
このような問題は、重合体製造時の発泡の状態をあらかじめ正確に予測して、コンデンサーの冷却能力や重合釜の加熱具合等を調整することにより、解決することができるが、重合体製造時の発泡の状態は、重合系や重合釜等の諸条件により異なるため、あらかじめ正確に予測することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、最終的に得ようとする重合体の重量平均分子量から適切な蒸気線速度を規定し、実機プラントにおいて、発泡状態を一定レベル内に保ち、生産性および再現性よく、重合体を得ることができる重合体の製造方法および重合装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、重合体を実機レベルで、しかも高濃度、短時間で製造する上で生じる発泡の問題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、得ようとする重合体の重量平均分子量に対して許容される適切な蒸気線速度を正確に規定することにより、発泡状態を一定レベル内に保ち、得られる重合体の物性を制御することができることを見いだし、本発明を完成した。
したがって、本発明にかかる重合体の製造方法は、重合開始剤に過硫酸塩または過酸化水素水を用いて水溶性重合体を製造する方法において、反応時に発生する蒸気を還流冷却して反応系に戻しつつ前記重合体を製造するにあたり、全反応時間の10%以上の時間において、最終的に得ようとする重合体の重量平均分子量の常用対数値と蒸気線速度の値との積が0.15以下となるように、該蒸気線速度を0.001〜0.035m/秒の範囲内で調整することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる重合体の製造装置は、前記製造方法に用いる重合体の製造装置であって、重合体を製造するための反応容器と、前記反応容器内の反応液を攪拌するための攪拌機と、蒸気化した反応液を冷却して前記反応容器内へ戻すためのコンデンサーとを備えている重合体の製造装置において、前記コンデンサー内の蒸気線速度をモニターするための蒸気線速度測定手段と、該蒸気線速度を調整するための蒸気線速度調整手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態として水溶性重合体の製造を例に挙げ、本発明を構成する各要件を項目毎に分けて詳細に説明する。
−蒸気線速度の調整−
<蒸気線速度>
本発明において、蒸気線速度とは、重合中に蒸気化した反応液が還流冷却されて反応系に戻る際の1秒当たりの還流量を、その時点での反応液の気液界面における反応容器の断面積で除した値、すなわち以下の式により算出されるものである。
【0010】
蒸気線速度(m/秒)=a(m)/b(m
a:1秒当たりのコンデンサーからの還流量
b:その時点で攪拌しない状態での反応液の気液界面における反応容器の断面積なお、コンデンサーからの還流量(a)は、例えば、コンデンサーから反応容器への帰りの流路中に設けた流量計によって測定すればよく、これにより、反応中、常に蒸気線速度をモニターすることができる。
本発明においては、最終的に得ようとする重合体の重量平均分子量の常用対数値と蒸気線速度の値との積が0.15以下、好ましくは0.12以下となるように、該蒸気線速度を0.001〜0.05m/秒の範囲内、好ましくは0.001〜0.04m/秒の範囲内、より好ましくは0.001〜0.035m/秒の範囲内で調整することが重要である。蒸気線速度を0.001m/秒未満とすると、実質的に還流状態とならず沸点以下の重合ということになるため、単量体の残存量が増大して生産性が低下したり、温度制御が困難になり、得られる重合体の再現性が悪くなるという問題を生じやすい。一方、蒸気線速度が0.05m/秒を越えると、発泡が限界を超え、もはや重合が不可の状態になる恐れがある。また、所望する重量平均分子量の常用対数値と蒸気線速度の値との積が0.15を越えると、発泡が激しくなり、重合続行が不可となる恐れがある。
【0011】
<蒸気線速度を維持する時間>
本発明においては、全反応時間の10%以上の時間において、蒸気線速度が前記値に調整されていなければならない。好ましくは、全反応時間の50%以上、さらに好ましくは80%以上の時間、最も好ましくは反応時間中常時、前記値に制御することがよい。全反応時間の10%未満の時間しか、蒸気線速度が前記値になっていない場合には、実質的に、発泡を一定レベル内に保つという効果を発揮することができない。
<蒸気線速度を調整する方法>
蒸気線速度を前記値に調整する方法は、特に制限されるものではないが、通常反応容器の側部に設けられているジャケットに、蒸気線速度が大きすぎる場合には冷却水を流して反応容器を冷却し、蒸気線速度が小さすぎる場合にはスチームを流して反応容器を加熱することによって、蒸気線速度を調整する方法が、主として採用される。この方法に加えてさらに、例えば、コンデンサーの周囲に冷却用ジャケットを設け、必要に応じてコンデンサーの冷却能力を上げる方法や、反応系内へ滴下する滴下液の温度を調整する方法や、滴下液の滴下時間を加減して反応速度を調整する方法等を併用することもできる。
【0012】
−重合体の製造−
本発明の製造方法を用いて得る重合体の種類は限定されないが、重合体の種類が水溶性重合体である場合が、本発明の効果が最も顕著であるので、好ましい。特に好ましくは、多くのカルボキシル基を有するアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、またはこれらの共重合体、あるいはこれらにスルホン酸基や水酸基等が導入された重合体が好適である。
以下では、水溶性重合体の製造を例に挙げて、本発明にかかる重合体の製造方法を説明する。
【0013】
<単量体成分>
重合体の原料である単量体の例は以下のとおりである。
▲1▼ カルボキシル基を含有する単量体
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸等のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、シトラコン酸等のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸系単量体、これらの塩および無水物である。
ここで、塩とは、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられ、これらは単独で使用されるか、併用される。以下では、これらを単に塩とのみ表記することがある。
【0014】
▲2▼ スルホン酸基を含有する単量体
例えば、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3ブテンスルホン酸等のモノエチレン性不飽和スルホン酸系単量体およびこれらの塩である。
▲3▼ 水酸基を含有する単量体
例えば、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ビニルアルコール等のモノエチレン性不飽和水酸基含有系単量体である。
【0015】
▲4▼ その他の単量体
(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸等の含リン単量体である。
これら単量体▲1▼〜▲4▼は、単独で用いられるか、併用される。共重合体を得る場合は、必要に応じ、得られる重合体の水溶性を損なわない範囲で、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等の疎水性単量体を併用する。
【0016】
水溶性重合体を、その特徴を活かして、無機顔料分散剤、スケール防止剤、キレート剤、洗剤組成物、繊維処理剤、木材パルプ漂白助剤等の用途に用いる場合、それぞれの使用目的に応じて、その他の原料を配合する。
以下に好ましい単量体配合を示す。
(a)単量体▲1▼を好ましくは50 mol%以上、より好ましくは80 mol%以上、最も好ましくは100 mol%用いる。単量体▲1▼の中では、(メタ)アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)およびこれらの無水物が特に好ましい。アクリル酸(塩)/マレイン酸(塩)共重合体の場合、両単量体のモル比は40〜60/60〜40が好ましい。
【0017】
(b)単量体▲1▼を50 mol%以上、単量体▲2▼を30 mol%以下で含む配合である。単量体▲1▼、▲2▼の合計で80 mol%以上が好ましく、100 mol%がより好ましい。この場合、単量体▲1▼の中では、(メタ)アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)または無水物が、単量体▲2▼の中では3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スルホエチル(メタ)アクリレート(塩)が特に好ましい。
<溶媒>
溶媒としては有機溶媒でも良いが、水、特に新鮮水が好ましい。水を用いる場合でも、単量体の溶媒への溶解を良くするために、重合に悪影響を及ぼさない範囲で水に有機溶媒を適宜加えることがある。
【0018】
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;等が挙げられ、これらは単独で用いられるか、併用される。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、限定されないが、ラジカル重合開始剤が好ましい。過酸化水素、過硫酸塩またはこれらの併用が特に好ましい。場合により、連鎖移動剤、開始剤の分解促進剤として多価金属イオンが用いられる。
【0019】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物、及び過酸化水素が挙げられる。これらの中では、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩や過酸化水素が好ましい。これらは、単独で用いられるか、併用される。
【0020】
ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、単量体1 molあたり0.1g〜10gが好ましく、1〜8gがより好ましい。使用量が0.1gより少ない場合には単量体の残存量が大幅に増大する傾向があり、10gを越えると、もはや開始剤の添加効果はあまり向上せず、却って経済的に不利である。開始剤量が多い分、得られる重合体の純分量が低下するとも言える。
ラジカル重合開始剤の添加方法としては特に限定はされないが、滴下が好ましく、その分解性等に鑑みて、実質的に連続的に滴下する量を全使用量の50重量%以上とすることが好ましく、80重量%以上とすることがより好ましく、100重量%とすることが最も好ましい。
【0021】
滴下時間は、過酸化水素等の比較的分解が遅い開始剤の場合、後述する重合温度、重合pHにおいて、単量体の滴下終了時間よりも10分以上早く終了することが好ましく、20分以上早く終了することがより好ましい。単量体滴下終了時前10分以内で終了しても、反応そのものに悪影響はないが、添加した開始剤が重合終了時点で残る無駄があり、残存する開始剤が得られる重合体の熱的安定性に悪影響を及ぼす恐れもある。
他方、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等、比較的分解の早い開始剤の場合は、単量体滴下終了時間まで滴下することが好ましく、単量体滴下終了よりも5分以上遅く終了することがより好ましい。得られる水溶性重合体中の単量体残量を減じることが出来るからである。単量体滴下終了前にこれら開始剤の滴下を終了しても、重合反応に悪影響はないが、単量体残存の問題がある。
【0022】
開始剤滴下の開始は適宜で良い。例えば、単量体の滴下開始前でも良い。開始剤併用系の場合は、一つの開始剤の滴下を開始したのち、一定時間経過してから、あるいは一つの開始剤の滴下を終了してから、別の開始剤の滴下を開始するようにしても良い。要するに、開始剤の分解速度、単量体の反応性に応じて適宜設定すれば良いのである。
<連鎖移動剤>
本発明の製造方法では、重合反応に悪影響を及ぼさない範囲内で、連鎖移動剤をラジカル開始開始剤と併用しても良い。連鎖移動剤としては、例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、次亜リン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いられるか併用される。
【0023】
連鎖移動剤の使用量としては、重量比で開始剤量の2倍以内であることが好ましい。2倍を越えて使用しても、もはや添加効果は現れず、却って共重合体の純分の低下を招き、好ましくない。
連鎖移動剤は滴下する等の方法で反応系に添加される。滴下時間は、限定されず、場合に応じて適宜に設定すれば良い。
<多価金属イオン>
ラジカル重合開始剤の分解促進等の必要に応じて、多価金属イオンをラジカル重合開始剤と併用しても良い。有効な多価金属イオンとしては、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Cu、V2+、V3+、VO2+等が挙げられる。これらは単独で使用されるか、併用される。
【0024】
多価金属イオンの添加方法は、特に限定されないが、全量初期仕込することが好ましい。
使用量は、反応液全量に対し100 ppm以下であることが好ましい。100 ppmを越えて使用すると、得られた水溶性重合体の着色が大きく、用途によっては使用できないことがある。
多価金属イオンの供給形態については、特に制限はなく、重合反応系内でイオン化するものであれば、どのような金属化合物、金属であってもよい。このような金属化合物、金属としては、例えば、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム、無水バナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナダス[(NHSO・VSO・6HO]、硫酸アンモニウムバナダス[(NH)V(SO・12HO]、酢酸銅(II)、銅(II)、臭化銅(II)、アセチルアセテート、塩化第二銅、塩化銅アンモニウム、炭酸銅、塩化銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅(II)、硝酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅(II)、マレイン酸銅、リン酸銅、硫酸銅(II)、塩化第一銅、シアン化銅(I)、ヨウ化銅、酸化銅(I)、チオシアン酸銅、鉄アセチルアセナート、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸鉄、フマル酸鉄、マレイン酸鉄、乳酸第一鉄、硝酸第二鉄、鉄ペンタカルボニル、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄等の水溶性金属塩、五酸化バナジウム、酸化銅(II)、酸化第一鉄、酸化第二鉄等の金属酸化物、硫化銅(II)、硫化鉄等の金属硫化物、その他銅粉末、鉄粉末を挙げることができる。
【0025】
<重合方法>
重合方法としては、例えば、装置的には、ニーダー重合、攪拌重合等が挙げられ、方法的には、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明において、蒸気線速度の制御を効率よく行うためには、特に、攪拌溶液重合が好ましい。また、溶液重合には、その溶媒の種類の観点から、溶剤系重合、水系重合があるが、安全性の点からは水系重合が好ましい。従って、本発明において、最も好ましい重合方法は攪拌溶液水系重合である。
攪拌溶液水系重合について、以下で、詳細に説明する。
【0026】
不飽和ジカルボン酸系単量体の場合、全単量体使用量の50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは全量、を初期仕込みする。初期仕込量が50重量%未満であると未反応物が多くなり好ましくない。
不飽和モノカルボン酸系単量体の場合、全単量体使用量の70重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは全量、を実質的に連続的に滴下することにより反応系に添加する。滴下の割合が70重量%未満(すなわち、初期仕込量が30重量%以上)であると、非常に高分子量化しやすい。また、共重合体系の場合は、重合初期にブロック的に重合し、好ましくない。
【0027】
単量体添加時間は、単量体の重合性を考慮して適宜設定すれば良いが、好ましくは30〜240分間、より好ましくは60〜180分間である。添加時間が30分間より短いと、単位時間内における単量体添加量が多くなり、高濃度化が起きて、非常に高分子量の重合体を生成する。また、共重合の場合は、単量体がブロック的に重合してしまう恐れがある。240分を越えると、生産性が著しく落ちて、経済上好ましくない。
<重合時のpH>
重合時のpHについては、限定されないが、不飽和ジカルボン酸系単量体を用いる場合については以下の通りとするのが好ましい。
【0028】
不飽和ジカルボン酸系単量体を用いる場合は、前述の通り、その全使用量に対して50重量%以上を初期仕込みするが、初期仕込終了時(滴下開始直前あるいは重合開始直前)のpHは5〜13であり、好ましくは5〜12である。その後、他の添加物(他の単量体、開始剤、pH調整剤等)の添加開始により、重合が開始され、重合が進行するに連れ、徐々にpHが低下していくように設定されるのが好ましく、添加終了時点でpH4〜8に調整されるのが好ましい。これは以下の理由による。
一般に、不飽和ジカルボン酸系単量体は、例えば、不飽和モノカルボン酸系単量体に比べ、重合性が著しく低いため、初期仕込の段階で多く添加するのであるが、そのため、重合初期では不飽和ジカルボン酸系単量体の濃度が非常に高く、ブロック的に重合してしまう恐れがある。そこで、このジカルボン酸系単量体の重合性を制御する必要がある。ジカルボン酸系単量体は、カルボキシル基の双方ともが酸型、一方が酸型(すなわち半中和型)、双方ともが中和型と、3種類存在する。この中で、半中和型が反応性に最も富むことが知られている。そこで、この半中和型の存在量を制御することにより、ジカルボン酸系単量体の重合性を制御することが出来るのである。すなわち、重合初期段階ではある程度存在量を制限して重合性をある程度制御し、重合が進行しジカルボン酸系単量体の濃度が低減していくと、重合性も落ちてくるので、半中和型存在量を増大させていく必要がある。これらのことに鑑み、上記pHの設定を行う。
【0029】
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらは単独で用いられるか、併用される。これらの中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。本明細書では、これらのものを単に「pH調整剤」あるいは「中和剤」と言う場合がある。
<重合温度>
重合温度は、重合開始時(添加開始時)から重合終了時(全ての添加が終了した時、あるいは、熟成時間を設定する場合はその終了時)までは、重合開始から終了までの全反応時間の少なくとも10%以上の時間、好ましくは50%以上の時間、さらに好ましくは80%以上の時間、最も好ましくは反応時間中常時、反応液の沸点とする。沸点でない時間においては、反応液の沸点近傍の温度とすることが好ましく、少なくとも80℃以上とすることが好ましい。80℃未満とすると、重合開始剤の使用効率が悪くなり、得られる水溶性重合体の単量体残存量が増大して、好ましくない。沸点で行うことは、温度制御が非常に容易となり、そのため、得られる重合体の品質が非常に安定したものとなり、好ましい。
【0030】
初期仕込時および重合終了後のpH調整や濃度調整を行う際には、その温度は、特に限定されず適宜設定すれば良い。
<重合濃度>
重合濃度は、限定されず、必要に応じて適宜設定するが、好ましくは初期仕込時で35〜75重量%、より好ましくは40〜70重量%である。35重量%未満では、不飽和ジカルボン酸系単量体の反応性が非常に悪く、75重量%を越えると、単量体の水溶性がなくなって反応液がスラリー状となり、沈澱物が生じ、均一重合となり難い。重合終了時の濃度は35〜65重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましい。これに見合うように添加物の濃度調整を行う。重合終了時濃度が35重量%未満であると、結果的に重合中の単量体濃度が非常に低くなり、反応性が低くなって、得られる重合体中の単量体残存量が多くなり易い。65重量%を越えると、非常に高粘度となり、均一重合とならず、またハンドリング面からも好ましくない。
【0031】
<重合圧力>
重合圧力は、限定されるものではなく、常圧(大気圧)、加圧、減圧のいずれでも良い。
<重合体の重量平均分子量>
本発明によれば、所望する重量平均分子量の重合体を得ることができるのであるが、本発明の製造方法および製造装置は、特に、重量平均分子量500〜2,000,000、好ましくは1,000〜1,000,000の重合体を得るのに適している。
【0032】
<残存単量体量>
得られる水溶性重合体中の残存単量体量は、本発明によれば非常に少なくすることが出来るが、純分換算において5000 ppm以下、好ましい実施形態では4000 ppmとすることができる。
−製造装置−
本発明の重合体の製造装置は、重合体を製造するための反応容器と、前記反応容器内の反応液を攪拌するための攪拌機と、蒸気化した反応液を冷却して前記反応容器内へ戻すためのコンデンサーとを備えたものであって、さらに、前記コンデンサー内の蒸気線速度をモニターするための蒸気線速度測定手段と、該蒸気線速度を調整するための蒸気線速度調整手段とを備えたものである。
【0033】
前記蒸気線速度測定手段としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、コンデンサーで冷却されて反応容器内へ戻る反応液の還流量を測定するための流量計を、例えば、コンデンサーから反応容器への帰りの流路中に設け、この流量計によって還流量を測定し、前述の計算式により蒸気線速度を算出する方法が挙げられる。
前記蒸気線速度調整手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、蒸気線速度を調整する方法として前述したように、反応容器の側部に、冷却水あるいはスチームを流すためのジャケットを設けることが好ましい。さらに好ましくは、例えば、反応容器の上側部と下側部とにセパレートされたジャケットを設け、上側部のジャケットに冷却水を、下側部のジャケットにスチームを流すようにするとよい。
【0034】
また、蒸気線速度を調整する他の方法としては、前記コンデンサーの冷却能力を調整することも有効である。コンデンサーの形態としては、例えば、コンデンサーの流路内に冷媒を流した冷却管あるいは冷却コイルが通っているタイプや、冷媒が流された冷却ジャケットでコンデンサーの流路の周囲が覆われているタイプ等が一般的であるが、このときの冷媒の流量や温度を変えることによって、コンデンサーの冷却能力を調整することができる。さらに、あらかじめ、コンデンサーの構造を、該コンデンサーの流路を流れる蒸気と前記冷却管や冷却コイルあるいは冷却ジャケット等との接触面積が大きくなるようにしておくことによって、冷却能力の向上を図ることもできる。なお、前記冷媒の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、水やアルコール(具体的には、エタノール等)等を用いることができる。
【0035】
本発明にかかる重合体の製造装置の実施形態の一例を、図1の断面図にて示す。図1において、反応容器1は、容器内部に、先端に羽がついた棒を回転させることによって容器内の反応液を攪拌する攪拌機2を備えている。また、反応容器1の上部には、コンデンサー3に通じる流路4が設けられている。コンデンサー3の流路内には、冷媒が流された冷却コイル5が通されており、これにより、蒸気化した反応液を冷却して、再び液化させる。そして、液化した反応液は、コンデンサー3から流路6を通って反応容器1に戻される。この流路6は、流路4の反応容器1の上部近くに繋がれており、流路6の途中には、還流量を測定するための流量計7が設けられている。なお、コンデンサー3の下部付近、すなわち流路6に繋がる出口近傍には、該製造装置内の圧力を大気圧に調整するためのベントライン8が設けられている。さらに、反応容器1の周囲、詳しくは底部から下側部にかけての外側には、スチームを流すための下部ジャケット9が設けられており、反応容器1の周囲、詳しくは側部中央付近から上側部にかけての外側には、冷却水を流すための上部ジャケット10が設けられている。下部ジャケット9に流すスチームや上部ジャケット10に流す冷却水の流量を調整することによって、還流量、すなわち前記蒸気線速度を制御するのである。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「%」は「重量%」を示す。
ここでは、まず、得られた重合体の重量平均分子量、単量体残存量の測定方法について説明する。
<重量平均分子量(以下、Mwと略す)の測定方法>
Figure 0003564055
【0037】
Figure 0003564055
<単量体残存量の測定方法>
GPCにより測定
・カラム;G−3000PWXL(東ソー製)
・カラム温度;35℃
・移動相;0.1%リン酸水溶液を調整し、その後0.45ミクロンのメンブランフィルターで濾過した水溶液。
【0038】
・流量;1.0ml/min
・検出器;UV 200nm
・検量線;それぞれ、実施例に使用したものと同じ組成の下記標準サンプルを用いて作成
アクリル酸……80%アクリル酸水溶液
マレイン酸……無水マレイン酸
なお、全ての単量体について、残存量は固形分に対してナトリウム塩換算値で表記した。
【0039】
以下、本発明の製造方法および装置が実機スケールで有効であることを実証するため、まず、実験室レベルの5kg以下のスケールで重合を行い、得られた重合体の重量平均分子量、残存単量体量を確認し、参考例として示す。その後、この参考例と同一の重合処方で1t以上にスケールアップした実施例および比較例を示す。なお、実施例において、蒸気線速度は、コンデンサーから反応容器への帰りの流路中に流量計を設け、この流量計にて測定される還流量から、前述の計算法により求めた。
(参考例1)
還流冷却器、攪拌機を備えた容量5リットルのSUS製サパラブル反応容器を用いて、Mw6,000のアクリル酸単独重合体を製造した。
【0040】
まず、反応容器にイオン交換水614.6gを仕込み、沸点まで昇温させた。攪拌下、沸点還流状態を維持しながら、次に、80%のアクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す)1622.2gを150分間に渡って、15%の過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す)85.8gを170分間に渡って、45%の次亜リン酸ナトリウム水溶液152.8gを170分間に渡って、いずれも実質的に均一速度で、それぞれ別々の滴下ノズルから、同時に滴下し始めた。全ての滴下終了後、さらに10分間、沸点還流状態を維持し、重合を完了させた。なお、重合中、発泡による問題は特になかった。
【0041】
以上のようにして、参考例1の重合体を得た。測定の結果、得られた重合体のMwは6,000、残存アクリル酸量は40ppmであった。
(実施例1)
沸点を維持するためにスチームを流したジャケットを側部に備え、反応時に発生する蒸気を冷却して反応系へ戻すための冷却用コンデンサーを上部に備えた反応容器を用いて、参考例1の仕込み量を1000倍にスケールアップした以外は同様の製造方法で、5tスケールにて、Mw6,000のアクリル酸単独重合体を製造した。
【0042】
なお、重合時間中は、発泡状態および還流量を見ながら、蒸気線速度が0.030m/秒となるように(所望する重合体のMw6,000、Mwの常用対数値と蒸気線速度との積は0.113)、ジャケットのスチーム量を調整した。
以上のようにして、実施例1の重合体を得た。測定の結果、得られた重合体のMwは6,000、残存アクリル酸量は60ppmであった。
(比較例1)
実施例1において、ジャケットに投入するスチーム量を、初期昇温時から常時一定に保ったこと以外は、即ち発泡状態、還流量により、スチーム投入量を調整しないこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、重合開始110分後に非常に激しく発泡し、重合続行不可となった。その時の蒸気線速度は0.060m/秒を越えていた。参考として、反応液のサンプリング分析を行った結果、生成した重合体のMwは6,000であったので、Mwの常用対数値と蒸気線速度との積は0.227を越えることになる。
【0043】
(参考例2)
参考例1と同様の装置を用いて、Mw50,000のマレイン酸/アクリル酸共重合体を製造した。
まず、反応容器にイオン交換水320gと48%の水酸化ナトリウム水溶液966gとを初期仕込みした後、攪拌下、溶融状態にした無水マレイン酸568gを投入した。その後、攪拌下、沸点還流状態を維持しながら、888gの80%AAを120分間に渡って、20.4gの35%の過酸化水素水を150分間に渡って、121.4gの15%NaPSを150分間に渡って、700gのイオン交換水を150分間に渡って、いずれも実質的に均一速度で、それぞれ別々の滴下ノズルから、同時に滴下し始めた。全ての滴下終了後、さらに30分間、沸点還流状態を維持し、重合を完了した。なお、重合中、発泡による問題は特になかった。
【0044】
以上のようにして、参考例2の共重合体を得た。測定の結果、得られた共重合体のMwは50,000、残存マレイン酸量は2900ppm、残存アクリル酸量は80pmであり、合計単量体残存量は3000ppm未満であった。
(実施例2)
沸点を維持するためにスチームを流した下部ジャケットと、除熱のために還流量を見ながら必要に応じて冷却水を流す上部ジャケットとにセパレートされたジャケットを側部に備え、反応時に発生する蒸気を冷却して反応系へ戻すための冷却用コンデンサーを上部に備えた反応容器を用いて、参考例2の仕込み量を5000倍にスケールアップした以外は同様の製造方法で、18tスケールにて、Mw50,000のマレイン酸/アクリル酸共重合体を製造した。
【0045】
なお、重合時間中は、発泡状態及び還流量を見ながら、蒸気線速度が0.021m/秒となるように(所望する重合体のMw50,000、Mwの常用対数値と蒸気線速度との積は0.099)、下部ジャケットのスチーム量および上部ジャケットの冷却水量を調整した。
以上のようにして、実施例2の共重合体を得た。測定の結果、得られた共重合体のMwは50,000、残存マレイン酸量は1600ppm、残存アクリル酸量は40pmであり、合計単量体残存量は1700ppm未満であった。
(比較例2)
実施例2において、上部ジャケットに冷却水を流さず、除熱のほとんどをもっぱらコンデンサーのみによって行い、かつ、下部ジャケットに投入するスチーム量を初期昇温時から常時一定に保ったこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。その結果、重合開始90分後に非常に激しく発泡し、重合続行が不可となった。その時の蒸気線速度は0.034m/秒であった。参考として、反応液のサンプリング分析を行った結果、生成した重合体のMwは45,000であったので、Mwの常用対数値と蒸気線速度との積は0.158になる。
【0046】
(参考例3)
参考例1と同様の装置を用いて、Mw800,000のアクリル酸単独重合体を製造した。
まず、反応容器にイオン交換水600gを初期仕込みし、攪拌下、沸点まで昇温した。次に、攪拌下、沸点還流状態を維持しながら、30%のアクリル酸水溶液1400gを60分に渡って、1%のアゾ系開始剤(商品名「V−50」和光純薬製)25gを80分間に渡って、いずれも実質的に均一速度で、それぞれ別々の滴下ノズルから、同時に滴下し始めた。全ての滴下終了後、さらに20分間、沸点還流状態を維持し、重合を完了した。なお、重合中、発泡による問題は特になかった。
【0047】
以上のようにして、参考例3の重合体を得た。測定の結果、得られた重合体のMwは800,000、残存アクリル酸量は100pmであった。
(実施例3)
実施例2と同様の製造装置を用いて、参考例3の仕込み量を1000倍にスケールアップした以外は同様の製造方法で、2tスケールにて、Mw800,000のアクリル酸単独重合体を製造した。
なお、重合時間中は、発泡状態及び還流量を見ながら、蒸気線速度が0.009m/秒となるように(所望する重合体のMw800,000、Mwの常用対数値と蒸気線速度との積は0.053)、下部ジャケットのスチーム量および上部ジャケットの冷却水量を調整した。
【0048】
以上のようにして、実施例3の重合体を得た。測定の結果、得られた重合体のMwは800,000、残存アクリル酸量は120pmであった。
(比較例3)
実施例3において、アクリル酸水溶液濃度を30%から45%に代え、45%アクリル酸水溶液を933kg用いたこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。その結果、高濃度になった分、粘度が非常に高くなり、重合開始40分後には重合続行が不能となった。その時の蒸気線速度は0.026m/秒であった。参考として、反応液のサンプリング分析を行った結果、生成した重合体のMwは1,200,000であったので、Mwの常用対数値と蒸気線速度との積は0.158になる。
【0049】
以上より、蒸気線速度を制御しない場合には、除熱能力の大幅な低下から発泡が激しくなり、重合不可能となるが、反応中、所望する重合体のMwから算出される値に蒸気線速度を制御することによって、実機スケールにおいても効果的な発泡抑制が行え、効率よく重合体を製造できることが分かった。
【0050】
【発明の効果】
本発明にかかる重合体の製造方法および製造装置によれば、発泡の効果的な抑制ができるため、従来、実験室スケールと同様の製造方法では激しい発泡が起こり、実機スケールにスケールアップできなかった工程も、実験室レベルの製造方法をそのままスケールアップすることができる。そして、品質的にも実験室レベルの重合体と同等な重合体を得ることができるため、実験室スケールで、種々の用途に対応して重合体の組成、分子量等調整され開発された重合体を、実機スケールでも生産性良く、かつ、再現性良く合成できる。
【0051】
本発明にかかる重合体の製造方法および製造装置の具体的な用途としては、例えば、無機顔料分散剤、スケール防止剤、キレート剤、洗剤組成物、繊維処理剤、木材パルプ漂白助剤等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる重合体製造装置の一例を示す略式断面図
【符号の説明】
1 反応容器
2 攪拌機
3 コンデンサー
4,6 流路
5 冷却コイル
7 流量計
8 ベントライン
9 下部ジャケット
10 上部ジャケット

Claims (5)

  1. 重合開始剤に過硫酸塩または過酸化水素水を用いて水溶性重合体を製造する方法において、反応時に発生する蒸気を還流冷却して反応系に戻しつつ前記重合体を製造するにあたり、全反応時間の10%以上の時間において、最終的に得ようとする重合体の重量平均分子量の常用対数値と蒸気線速度の値との積が0.15以下となるように、該蒸気線速度を0.001〜0.035m/秒の範囲内で調整することを特徴とする、重合体の製造方法。
  2. 前記水溶性重合体が、カルボキシル基を多数有するアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、これらの共重合体、および、これらにスルホン酸基、水酸基等が導入された重合体からなる群から選ばれる水溶性重合体である
    請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. 前記重合開始剤が、過硫酸塩であり、
    前記重合体の原料となる単量体および前記重合開始剤を前記反応系に滴下するとともに、単量体の滴下よりも重合開始剤の滴下を5分以上遅く終了する
    請求項1または2に記載の重合体の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかの製造方法に用いる重合体の製造装置であって、重合体を製造するための反応容器と、前記反応容器内の反応液を攪拌するための攪拌機と、蒸気化した反応液を冷却して前記反応容器内へ戻すためのコンデンサーとを備えている重合体の製造装置において、前記コンデンサー内の蒸気線速度をモニターするための蒸気線速度測定手段と、該蒸気線速度を調整するための蒸気線速度調整手段と、をさらに備えていることを特徴とする、重合体の製造装置。
  5. 蒸気線速度測定手段として、前記コンデンサーで冷却されて反応容器内へ戻る反応液の還流量を測定するための流量計を備えた、請求項に記載の重合体の製造装置。
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