JP3564576B2 - ジルコニア粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水酸化ジルコニウム粉末を仮焼して得られた仮焼粉末をジルコニア製ボールを備えた粉砕機によって湿式粉砕してジルコニア粉末を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水酸化ジルコニウム粉末は、オキシ塩化ジルコニウム等の水溶性のジルコニウム塩水溶液から加水分解法や中和法により水酸化ジルコニウムスラリーを得、それを噴霧乾燥して製造されている。これを仮焼することによって、強く凝集した1mm前後の粗大粒子を含み、かつ平均粒子径が100μm前後であり、粒度分布幅の広い、ジルコニアを成分とする仮焼粉末が得られる。この仮焼粉末を平均粒子径が0.5〜1μm程度となるまで粉砕して、構造材料等の製造に使用されるジルコニア粉末が製造されている。
【0003】
特開平2−99151号公報では、セラミックス粉末を直径1mm以下のジルコニアなどからなるボールで粉砕する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
使用するボールがある程度大きいと、ボールがそれより小さい場合にくらべて、粉末をある程度の粒度まではより容易に粉砕しうるが、そのように粉砕したものをさらに平均粒子径1μm以下に粉砕するのにより長い時間を要する。たとえば、直径3mmのジルコニア製ボールによって前記の粒度特性の仮焼粉末を平均粒子径10μmまで粉砕するのは容易であるが、それをさらに1μm以下に粉砕するにはきわめて長い時間を要する。いっぽう、使用するボールが小さいと、ボールがそれより大きい場合にくらべて、目的の粒度となるまでの時間がより短くなるが、えられる粉末の粒度分布幅がより大きくなる。たとえば、前記の粒度特性の仮焼粉末を平均粒子径1.0μmまで粉砕して得られる粉末中の5.0μm以上のものの割合は、直径3mmのジルコニア製ボールを使用した場合は0.5wt%以下であり、直径2mmのジルコニア製ボールを使用した場合は1wt%以上である。
【0005】
ところで、焼結体の強度のバラツキは、通常、ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法(JIS R 1601)による3点曲げ強度の測定値をもとにしてワイブル統計から得られるワイブル係数で表され、一般的には、この係数が15以上であれば良好、10〜15では普通、10以下であればバラツキが大きいとされている。上記の直径3mmのボールを使用してえられる平均粒子径1.0μm、5.0μm以上のものの割合0.5wt%以下の粉末から製造されるジルコニア焼結体のワイブル係数は10〜12であるのに対して、直径2mmのボールを使用してえられる平均粒子径1.0μm、5.0μm以上のものの割合1wt%以上の粉末から製造されるジルコニア焼結体のワイブル係数は4〜7であるのでこの粉末は構造材用の原料粉末として好ましくない。
【0006】
このように、粉砕時間を短くして目的の粒度のものを得ようとすると、得られたものの粒度分布幅が大きくなってそれによって製造される焼結体の強度のバラツキが大きくなり;いっぽう、粒度分布幅を小さくしてそれによって製造される焼結体の強度のバラツキを小さくしようとすると、粉砕時間を長くしなければならない。
【0007】
本発明の目的は、このような問題の解決、すなわち、ジルコニア製ボールを備えた粉砕機によって粒度分布幅の大きい仮焼粉末を粉砕して平均粒子径1μm以下のジルコニア粉末を製造するにあたり、粉砕時間を短くし、かつ、えられる粉末の粒度分布幅を小さくすることができる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水酸化ジルコニウム粉末を仮焼して得られた仮焼粉末をジルコニア製ボールを備えた粉砕機によって湿式粉砕してジルコニア粉末を製造するにあたり、上記仮焼粉末を平均粒子径が2〜10μmになるまで直径3〜10mmのボールによって粗粉砕し(以下、この工程を「第1工程」という)、該粗粉砕によって得られた粉末を平均粒子径が1μm以下になるまで直径0.3〜2mmのボールによって湿式粉砕する(以下、この工程を「第2工程」という)ことからなるジルコニア粉末の製造方法、を要旨とするものである。
【0009】
以下、その詳細について説明する。
【0010】
オキシ塩化ジルコニウム等の水溶性のジルコニウム塩またはこれにイットリア、カルシア、マグネシア、セリアなどの安定化剤もしくは焼成して安定化剤となる化合物を含む水溶液を加水分解や中和処理することにより、水酸化ジルコニウムが生成する(本明細書において、水酸化ジルコニウムとは、このように安定化剤などの助剤を含むものをも意味するものとする。また、本発明による製品であるジルコニア粉末とは、ジルコニアのみを成分とする粉末または安定化剤などの助剤を含むジルコニアからなる粉末、すなわちジルコニアを主成分とする粉末を意味するものとする)。得られた水酸化ジルコニウムスラリーを、加水分解法であれば濃縮し、中和法であれば濾過・洗浄した後、乾燥することにより、水酸化ジルコニウム粉末が得られる。たとえば、水酸化ジルコニウムスラリーを噴霧乾燥機により乾燥すれば、最大150μm程度、平均粒子径50〜60μmの水酸化ジルコニウム粉末が得られる。
【0011】
得られる水酸化ジルコニウム粉末を700〜1200℃で仮焼することによりジルコニアを主成分とする仮焼粉末が得られる。噴霧乾燥機で得た水酸化ジルコニウム粉末を仮焼すると、粉末の凝集の程度は仮焼温度によって多少異なるが、最大径1mm前後、平均粒子径100μm前後の仮焼粉末(以下、とくにことわらないかぎり、「仮焼粉末」はこの粒度特性のジルコニアを主成分とする仮焼粉末を意味するものとする)が得られる。この仮焼粉末に水を添加してスラリーとしたうえで以下の粉砕に供する。
【0012】
第1工程では、直径3〜10mmのジルコニア製ボール(以下、「ボール」とは、ジルコニア製ボールを意味するものとする)によってスラリー中の粉末を平均粒子径が2〜10μmになるまで粉砕しなければならない。ボールの直径が3mmより小さいと、得られる粗砕粉末の粒度分布幅が大きくなり、それが原因して次の第2工程でも粒度分布幅の大きい粉末しか得られず;いっぽう、ボールの直径が10mmより大きくても、この第1工程の時間が長くなりすぎ;また、この工程で粉末を平均粒子径が2μmより小さくなるまで粉砕すると、すなわち直径3mm以上という比較的大きいボールによって平均粒子径2μm未満のような小さなものに粉砕するには、この第1工程における時間が長くなりすぎ;いっぽう、平均粒子径が10μmに達する前に粉砕を止めると、第2工程に供される粉末が大きすぎて第2工程で使用する小さなボールでは粒度分布幅の小さい粉末を得ることができなくなるからである。
【0013】
第2工程では、第1工程で得られたスラリー中の粉末を平均粒子径が1μm以下になるまで直径0.3〜2mm好ましくは1〜2mmのボールによって粉砕しなければならない。ボールの直径が2mmより大きいと、第1工程でえられた平均粒子径2〜10μmの粉末を平均粒子径1μm以下に粉砕するのに長い時間がかかるからである。通常入手しうる粉砕用ボールの直径の下限は0.3mmである。直径が0.3mmに満たないものもこの第2工程に使用しうるが、0.3〜2mmのものに比して効果がそれほど優れているわけでなく、直径0.3〜2mmのボールに替えて0.3mm未満のような製造の困難なボールを使用する実益は乏しい。
【0014】
第1工程では比較的容易に平均粒子径2〜10μmに粉砕することができるので、ボールを備えた粉砕機であれば、振動ミルなどのボール媒体ミルや塔式粉砕機、撹拌槽型などの媒体攪拌式粉砕機のいずれをも好適に使用することができる。第2工程にもボールを備えた型の粉砕機であればいずれのタイプのものをも使用しうるが、第1工程にくらべて粉砕が困難なので、媒体攪拌式粉砕機によって粉砕時間の短縮を図るのがよい。
【0015】
【作用】
本発明では、第1工程で使用するボールの直径3〜10mmが仮焼粉末の大きさに適合して、短い時間で粒度分布幅の狭い平均粒子径2〜10μmの粉末に粉砕され、また、第2工程で使用するボールの直径0.3〜2mmがこの第1工程で得られる粉末の粒度分布幅および平均粒子径に適合して、全体として短い時間で粒度分布幅の狭い平均粒子径1μm以下のジルコニア粉末が得られることになるものと考えられる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、水酸化ジルコニウムを仮焼してえられた仮焼粉末から、短い粉砕時間で粒度分布幅の狭い微細なジルコニア粉末を製造することができる。本発明によって得られた粉末を成形し、焼結することにより、ワイブル係数の大きいすなわち強度のバラツキの小さいジルコニア焼結体をうることができる。
【0017】
【実施例】
以下実施例を示す。
【0018】
実施例中の粒子径は、日機装(株)製レーザー回折式粒度分析計マイクロトラック7997−30PC SPAで測定したものである。
【0019】
実施例1
ZrO2換算値との合計に対してY2O3を3mol%含む、ZrO2換算濃度60g/lのオキシ塩化ジルコニウム水溶液を煮沸し、還流下で72時間加水分解して水酸化ジルコニウムスラリーを得、該スラリーのZrO2換算濃度が
350g/lとなるまで加熱濃縮した後、噴霧乾燥機を用い150℃の熱風下で乾燥し顆粒状の水酸化ジルコニウム粉末を得た。
【0020】
次に、水酸化ジルコニウム粉末を950℃で2時間仮焼してジルコニア粉末を得た。
【0021】
得られた粉末は、平均粒子径が110μmであり、1〜1.5mmの粗大粒子を含有するものであった。
【0022】
次に、仮焼して得たジルコニア粉末500gを500gの水に分散させてスラリーとした。該スラリーを直径3mmのジルコニア製ボールを用いた撹拌槽型媒体攪拌式粉砕機(ボール1リットル、回転ディスク直径80mm、ディスク回転数2380rpm)で3時間粉砕して、平均粒子径8.6μmのジルコニアスラリーを得た(第1工程)。
【0023】
次に、第1工程で得られたジルコニアスラリーを、ジルコニア製ボールを直径2mmのものに替えるほかは第1工程と同じ条件で3時間粉砕して、平均粒子径0.98μm、5.0μm以上の粗粒子0.4wt%のジルコニアスラリーを得た(第2工程)。
【0024】
該スラリーを得るのに、粉砕所要時間は合計で6時間であった。
【0025】
該スラリーを噴霧乾燥機を用い150℃の熱風下で乾燥し顆粒状のジルコニア粉末を得た。
【0026】
次に、得られた顆粒状のジルコニア粉末27gを用いて、静水圧1000kg/cm2で57mm×34mmの板状に成形した後、1500℃で2時間焼結して焼結体を得た。該焼結体の密度は6.073g/cm3であり、3点曲げ強度値は平均149.2kgf/mm2、最大171.3kgf/mm2および最小139.3kgf/mm2であり、ワイブル係数は11.5であった。(3点曲げ強度は、JIS R 1601に規定された試験法により、3mm×4mm×40mmの試験片10個についてスパン30mmで測定した。下記比較例2においても同じ)
比較例1
実施例1で得たジルコニアの仮焼粉末を実施例1の第1工程(ボール直径3mm)と同じ条件で粉砕した。平均粒子径が1.0μm以下となるのに10時間を要した。
【0027】
比較例2
実施例1で得た仮焼粉末を実施例1の第2工程(ボール直径2mm)と同じ条件で粉砕した。粉砕5時間で平均粒子径0.97μm、5.0μm以上の粗粒子1.3wt%のジルコニアスラリーを得た。
【0028】
該スラリーを実施例1と同じ条件で乾燥し、成形し、焼結してジルコニアの焼結体を得た。該焼結体の密度は6.066g/cm3であり、3点曲げ強度値は平均144.0kgf/mm2、最大168.8kgf/mm2および最小
96.6kgf/mm2であり、ワイブル係数は4.9であった。
Claims (1)
- 水酸化ジルコニウム粉末を仮焼して得られた仮焼粉末をジルコニア製ボールを備えた粉砕機によって湿式粉砕してジルコニア粉末を製造するにあたり、上記仮焼粉末を平均粒子径が2〜10μmになるまで直径3〜10mmのボールによって粗粉砕し、該粗粉砕によって得られた粉末を平均粒子径が1μm以下になるまで直径0.3〜2mmのボールによって湿式粉砕することを特徴とする、ジルコニア粉末の製造方法。
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