JP3568704B2 - 電子制御装置,メモリ書換装置及び電子制御装置のメモリ書換システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリに格納された制御プログラムや制御データを、該不揮発性メモリを電子制御装置に搭載した状態で書き換える技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば自動車のエンジンを制御する電子制御装置として、電気的にデータの書き換え(詳しくはデータの消去及び書き込み)が可能な不揮発性メモリにエンジン制御用の制御プログラム及び制御データを格納しておき、このような制御プログラムや制御データを、市場への供給後でも書き換え可能に構成されたものが提案されている。
【0003】
即ち、この種の電子制御装置は、通常時には、不揮発性メモリに格納されたデータにより構成される制御プログラム及び制御データに従ってエンジン等の制御対象を制御するのであるが、別途用意されたメモリ書換装置が接続されて、そのメモリ書換装置から書き換え指令を受けると、不揮発性メモリに格納されている現在のデータを消去し、その消去した領域に上記メモリ書換装置から送信されて来る新たなデータ(新たな制御プログラム及び制御データ)を書き込む、といった書換処理を行うように構成されている。
【0004】
一方、このような電子制御装置に接続される上記メモリ書換装置は、書き換えるべき新たなデータを記憶する記憶媒体を備えており、作業者によって所定の操作が行われると、上記記憶媒体に記憶されている新たなデータを電子制御装置へ送信するように構成されている。
【0005】
そして、こうした電子制御装置とメモリ書換装置とからなる、電子制御装置のメモリ書換システムでは、電子制御装置の不揮発性メモリに格納される制御プログラムや制御データを、メモリ書換装置から電子制御装置へ送信する新たな制御プログラムや制御データに書き換えることができ、これによって、電子制御装置の動作内容(制御内容)を任意に変更することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば自動車においては、異なる車種間ではもちろんであるが、同一車種であっても、グレード(搭載装備)やエンジンの型式、或いは仕向地(輸出国)等の違いによって、電子制御装置が行うべき制御の内容は異なっている。換言するならば、電子制御装置の不揮発性メモリに格納すべき制御プログラムや制御データは、その電子制御装置が制御する制御対象毎に異なっている。
【0007】
よって、この種の電子制御装置のメモリ書換システムでは、作業者が、電子制御装置(詳しくは、その制御対象)に不適合な制御プログラム等を構成するデータがメモリ書換装置側の記憶媒体に記憶されていることを知らずに、メモリ書換装置から電子制御装置へ、その不適合なデータを送信させてしまう可能性がある。そして、このような作業ミスが発生すると、電子制御装置が制御対象を適切に制御することができなくなるという問題があった。
【0008】
しかも、従来の電子制御装置では、不揮発性メモリの内容を書き換える書換処理を行うために実行される書換制御プログラムが、書き換え対象でない不揮発性メモリ(マスクROM等)に予め内蔵されているため、通常時においてCPUが暴走し、上記書換制御プログラムが誤って起動されると、不揮発性メモリに格納されていた正規の制御プログラムや制御データが失われたり変化したりしてしまうという可能性があった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、不揮発性メモリに格納される制御プログラムや制御データが不適合なものに書き換えられてしまうことを確実に防止できる電子制御装置と、この電子制御装置の不揮発性メモリに格納される制御プログラムや制御データを書き換えるのに好適なメモリ書換装置及び電子制御装置のメモリ書換システムを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の電子制御装置は、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリを備えており、通常時には、その不揮発性メモリに格納されたデータにより構成される制御プログラム及び制御データに従って所定の制御対象を制御するのであるが、外部からの書き換え指令を受けた場合には、外部装置から送信されて来る書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域に転送して該メモリ領域上で実行することにより、前記不揮発性メモリ内のデータを前記外部装置から送信されて来る新たなデータに書き換えるための書換処理を行う。尚、以下の説明において、書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域に転送して該メモリ領域上で実行することを、書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域に転送して起動する、という。
【0011】
そして、請求項1に記載の電子制御装置は、当該電子制御装置の識別情報を予め記憶する識別情報記憶手段と、判定手段と、転送許可手段とを備えており、判定手段は、外部からの前記書き換え指令を受けると、外部装置から前記書換制御プログラムが送信されて来る前に、前記外部装置との間で通信を行うことにより、前記外部装置側にて前記新たなデータ(即ち、不揮発性メモリに書き込むべき新たなデータ)と対応して予め記憶された情報であって当該新たなデータに適合する装置を示す識別情報と、識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定し、転送許可手段が、上記判定手段により前記両識別情報が一致していると判定された場合にのみ、前記書換制御プログラムの前記メモリ領域への転送を許可する。また、前記識別情報は、当該電子制御装置が制御するエンジンの型式や仕様、或いは、当該電子制御装置が搭載される車種名や車のグレード名毎に設定されている。
【0012】
つまり、請求項1に記載の電子制御装置では、外部からの書き換え指令を受けると、まず、外部装置との間で通信を行うことにより、外部装置側にて新たなデータと対応して予め記憶された識別情報と、識別情報記憶手段に記憶された自己の識別情報とが一致しているか否かを判定し、その両識別情報が一致している場合にのみ、外部装置から送信されて来る書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域に転送して起動するようにしている。そして、この書換制御プログラムを起動して実行することにより、不揮発性メモリ内のデータを外部装置から送信されて来る新たなデータに書き換える書換処理を行うようにしている。
【0013】
このような請求項1に記載の電子制御装置によれば、外部装置側にて、当該電子制御装置に適合しない制御プログラム及び制御データを構成する新たなデータが記憶されており、その不適合なデータが電子制御装置へ送信されそうな場合には、外部装置側の識別情報(即ち、外部装置側にて新たなデータと対応して予め記憶された情報であって当該新たなデータに適合する装置を示す識別情報)と、識別情報記憶手段に記憶された自己の識別情報とが一致しないため、当該電子制御装置は、書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域へ転送しなくなる。
【0014】
従って、請求項1に記載の電子制御装置によれば、不揮発性メモリ内の制御プログラムや制御データが、その電子制御装置に適合しない制御プログラムや制御データに、誤って書き換えられてしまうことを確実に防止することができる。
しかも、請求項1に記載の電子制御装置では、外部装置から送信されて来る書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域に転送して起動することにより、不揮発性メモリ内のデータを書き換える書換処理を行うように構成されているため、不揮発性メモリの内容を書き換える作業を終了した後に、当該電子制御装置の電源を一旦遮断すれば、揮発性のメモリ領域に転送された書換制御プログラムは消失する。
【0015】
よって、請求項1に記載の電子制御装置によれば、所定の制御対象を制御する通常時において、当該電子制御装置への電源供給を開始した後、万が一、プログラムを実行するCPUが暴走したとしても、書換処理を行うための書換制御プログラムは内蔵されていないため、不揮発性メモリに格納されている正規の制御プログラムや制御データが失われたり変化したりしてしまうことを確実に防止できる。
【0016】
尚、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリとしては、フラッシュEEPROM(以下、フラッシュROMという)或いはEEPROMが一般的であるが、電気的に書き換え可能な他のROMでも良い。また、書換制御プログラムが転送される揮発性のメモリ領域としては、データの読み出し及び書き込みが可能なRAMを用いることができる。
【0017】
ところで、請求項1に記載の電子制御装置において、判定手段としては、請求項2に記載のように、外部装置から送信されて来る前記外部装置側の識別情報を受信し、その受信した識別情報と識別情報記憶手段に記憶された識別情報とを比較することにより、前記外部装置側の識別情報と識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定するように構成することができる。
【0018】
そして、請求項2に記載のように構成した電子制御装置に接続される外部装置は、請求項3に記載のメモリ書換装置の如く構成すれば良い。
即ち、請求項3に記載のメモリ書換装置は、請求項2に記載の電子制御装置へ、前記書換制御プログラムと前記新たなデータとを送信するのであるが、前記新たなデータを、当該新たなデータに適合する装置を示す識別情報と対応させて予め記憶するデータ記憶手段を備えており、前記書換制御プログラムを送信する前に、前記新たなデータに対応する前記識別情報を前記電子制御装置へ送信する。
【0019】
そして更に、請求項4に記載された本発明のように、このような請求項3に記載のメモリ書換装置と、請求項2に記載の電子制御装置とから、電子制御装置に搭載された不揮発性メモリの内容を書き換えるための電子制御装置のメモリ書換システムを構成すれば、メモリ書換装置から電子制御装置へ、書換制御プログラムが送信される前に、新たなデータに適合する装置を示す識別情報が送信され、電子制御装置側では、メモリ書換装置からの識別情報と、識別情報記憶手段に記憶された自己の識別情報とが一致している場合にのみ、書換制御プログラムの揮発性のメモリ領域への転送が許可されることとなり、前述した請求項1に記載の電子制御装置による効果を確実に得ることができる。
【0020】
一方、請求項1に記載の電子制御装置において、判定手段としては、請求項5に記載のように、識別情報記憶手段に記憶されている識別情報を外部装置へ送信し、その後、外部装置側の識別情報と前記送信した識別情報とが一致しているか否かを表す応答信号を前記外部装置から受信することにより、前記外部装置側の識別情報と識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定するように構成することができる。
【0021】
そして、請求項5に記載のように構成した電子制御装置に接続される外部装置は、請求項6に記載のメモリ書換装置の如く構成すれば良い。
即ち、請求項6に記載のメモリ書換装置は、請求項5に記載の電子制御装置へ、前記書換制御プログラムと前記新たなデータとを送信するのであるが、前記新たなデータを、当該新たなデータに適合する装置を示す識別情報と対応させて予め記憶するデータ記憶手段を備えており、前記電子制御装置からの識別情報が、前記新たなデータに対応する識別情報と一致しているか否かを判定して、前記両識別情報が一致している場合に、前記電子制御装置へ、当該メモリ書換装置側の識別情報と前記電子制御装置の識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致していることを表す前記応答信号を送信し、その後、前記書換制御プログラムを送信する。
【0022】
そして更に、請求項7に記載された本発明のように、このような請求項6に記載のメモリ書換装置と、請求項5に記載の電子制御装置とから、電子制御装置に搭載された不揮発性メモリの内容を書き換えるための電子制御装置のメモリ書換システムを構成すれば、まず、電子制御装置からメモリ書換装置へ、識別情報記憶手段に記憶された識別情報が送信され、メモリ書換装置側にて、その電子制御装置からの識別情報と、新たなデータに対応する識別情報とが一致しているか否かが判定される。そして、両識別情報が一致している場合に、メモリ書換装置から電子制御装置へ、メモリ書換装置側の識別情報と電子制御装置の識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致していることを表す応答信号が送信され、その後、書換制御プログラムが送信される。
【0023】
すると、電子制御装置側では、メモリ書換装置からの応答信号に応じて、メモリ書換装置側の識別情報と識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致している場合にのみ(即ち、メモリ書換装置からの応答信号が、メモリ書換装置側の識別情報と電子制御装置の識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致していることを表している場合にのみ)、書換制御プログラムの揮発性のメモリ領域への転送が許可されることとなり、前述した請求項1に記載の電子制御装置による効果を確実に得ることができる。
【0024】
但し、請求項2に記載の如く構成した電子制御装置、或いは請求項4に記載の電子制御装置のメモリ書換システムによれば、識別情報記憶手段に記憶された識別情報が、電子制御装置の外部に送信されることが無いため、電子制御装置側に記憶された識別情報を解読して不揮発性メモリに格納されたデータを故意に他のデータに書き換える、といった行為をより確実に防止することができ、このような点では、請求項5に記載の電子制御装置、或いは請求項7に記載の電子制御装置のメモリ書換システムよりも優れている。
【0025】
一方、請求項8に記載の電子制御装置は、請求項1に記載の電子制御装置と同様に、通常時には、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリに格納されたデータにより構成される制御プログラム及び制御データに従って所定の制御対象を制御し、外部からの書き換え指令を受けた場合には、外部装置から送信されて来る書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域に転送して起動することにより、前記不揮発性メモリ内のデータを前記外部装置から送信されて来る新たなデータに書き換えるための書換処理を行う。
【0026】
そして、請求項8に記載の電子制御装置は、当該電子制御装置の識別情報を予め記憶する識別情報記憶手段と、判定手段と、転送許可手段とを備えており、判定手段は、外部からの前記書き換え指令を受けると、外部装置から前記書換制御プログラムが送信されて来る前に、前記外部装置から送信されて来る識別情報を受信して、その受信した識別情報と、識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定し、転送許可手段が、上記判定手段により前記両識別情報が一致していると判定された場合にのみ、前記書換制御プログラムの前記メモリ領域への転送を許可する。また、前記識別情報は、当該電子制御装置が制御するエンジンの型式や仕様、或いは、当該電子制御装置が搭載される車種名や車のグレード名毎に設定されている。
【0027】
このような請求項8に記載の電子制御装置によれば、外部装置から書換制御プログラムを送信する前に、当該電子制御装置の識別情報記憶手段に記憶された識別情報と同一の識別情報を外部装置から送信してやらなければ、書換制御プログラムの揮発性のメモリ領域への転送が許可されない。よって、不揮発性メモリ内のデータ(制御プログラム及び制御データ)を、不用意に書き換えてしまうことや、故意に他のデータに書き換えることを確実に防止することができる。
【0028】
また、請求項8に記載の電子制御装置によれば、請求項1に記載の電子制御装置と同様に、外部装置から送信されて来る書換制御プログラムを揮発性のメモリ領域に転送して起動することにより、不揮発性メモリ内のデータを書き換える書換処理を行うように構成されているため、通常時において、プログラムを実行するCPUが暴走したとしても、不揮発性メモリに格納されている正規の制御プログラムや制御データが失われたり変化したりしてしまうことを確実に防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0030】
[第1実施例]
まず、図1は、自動車に搭載されて内燃機関型エンジンの制御を行うエンジン制御装置(以下、ECUという)2と、ECU2に内蔵されたエンジン制御用のプログラムやデータを書き換える際、或いは新規に書き込む際にECU2に接続されるメモリ書換装置4とからなる、実施例の電子制御装置のメモリ書換システム5の全体構成を表すブロック図である。
【0031】
図1に示すように、ECU2は、エンジンの運転状態を検出する様々なセンサからの信号を入力して波形処理する入力回路6と、入力回路6からのセンサ信号に基づき、エンジンを制御するための様々な処理を実行するシングルチップマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)8と、マイコン8からの制御信号に基づき、エンジンに取り付けられたインジェクタ(燃料噴射弁)やイグナイタ等のアクチュエータへ駆動信号を出力する出力回路10とを備えている。
【0032】
そして、マイコン8には、プログラムに従い動作する周知のCPU18と、CPU18を動作させるのに必要なプログラム及びデータを格納する不揮発性のROM20と、CPU18の演算結果等を一時格納するRAM22と、前記入力回路6等からの信号を受けると共に、出力回路10に制御信号を出力するためのI/O24と、メモリ書換装置4との間でデータ通信を行うための通信回路25とが備えられている。
【0033】
ここで、ROM20としては、電気的にデータの消去及び書き込みが可能なフラッシュROM(フラッシュEEPROM)20aと、データの書き換えが不能なマスクROM20bとを備えている。
そして、フラッシュROM20aには、ECU2の製造工程において当該マイコン8がECU2へ実装された後に、エンジン制御用の制御プログラム及び制御データが新規に書き込まれ、また、マスクROM20bには、リセット直後に実行されるブートプログラムと、当該マイコン8が搭載されるECU2の識別コード(以下、IDという)とが、当該マイコン8のECU2への実装前に予め格納されている。
【0034】
尚、上記IDは、ECU2が制御するエンジンの型式や仕様、或いは、ECU2が搭載される車種名や車のグレード名など毎に設定されている。また、マスクROM20bに代えて、フラッシュROM20aと同様に電気的にデータの消去及び書き込みが可能な不揮発性メモリを用いても、データの書き換えが禁止されていれば良い。
【0035】
このようなECU2において、マイコン8(CPU18)は、リセット直後に、マスクROM20b内のブートプログラムを起動し、メモリ書換装置4が接続されていない通常時には、そのブートプログラムにてフラッシュROM20a内のエンジン制御プログラム(エンジン制御用の制御プログラム)をコールして、エンジンの制御を行う。
【0036】
また、マイコン8は、ブートプログラムを起動した際に、後述するように書換モードであると判定すると、フラッシュROM20a内の制御プログラムをコールすることなく、そのままブートプログラムを実行する。そして、後述する所定条件が成立すると、メモリ書換装置4から送信されて来る書込制御プログラムを受信してRAM22に格納し、その書込制御プログラムをコールしてRAM22上で実行することにより、フラッシュROM20aに格納されている現在の制御プログラム及び制御データを、その後メモリ書換装置4から送信されて来る新たな制御プログラム及び制御データに書き換える書換処理を行う。
【0037】
尚、フラッシュROM20aにエンジン制御用の制御プログラム及び制御データが未だ書き込まれていないECU2の製造時においても、フラッシュROM20aにエンジン制御用の制御プログラム及び制御データが新規に書き込まれるだけで全く同様である。
【0038】
一方、メモリ書換装置4は、ECU2側のマイコン8にフラッシュROM20aの書き換えを行わせるための処理を実行するCPU,ROM,RAM等を内蔵したマイコン30と、このマイコン30からの指令に応じて、ECU2側のマイコン8へ、フラッシュROM20aのデータ書換時に必要な書換電圧(本実施例では12V)Vppを供給する電源回路32と、ECU2の動作モードを、エンジンの制御を行う通常モードからフラッシュROM20aのデータを書き換える(或いは新規に書き込む)書換モードに変更させるための書換スイッチSWとを備えている。
【0039】
そして更に、メモリ書換装置4は、ECU2へ送信する書換制御プログラム(詳しくは、書換制御プログラムを構成するプログラムコード)が格納された第1のROM34と、ECU2のフラッシュROM20aに書き込むために用意される新たな制御プログラム及び制御データが格納された第2のROM36とを備えている。尚、第1のROM34と第2のROM36は、夫々、周知のICソケット38,40によって、当該メモリ書換装置4に着脱可能に設けられている。
【0040】
また、上記第2のRAM36には、それに格納されたエンジン制御用の制御プログラム及び制御データに適合するECUのID、即ち、データ書き換え対象であるECUのIDが格納されている。
このようなメモリ書換装置4とECU2との接続は、図1に示す如く、メモリ書換装置4側の雌コネクタ42FとECU2に設けられた雄コネクタ42Mとを嵌合することにより行われる。
【0041】
即ち、上記両コネクタ42F,42Mが嵌合されると、通信線44を介して、メモリ書換装置4側のマイコン30とECU2側のマイコン8との間におけるシリアルデータ通信が可能となり、また、電源供給線46を介して、メモリ書換装置4側の電源回路32からECU2側のマイコン8へフラッシュROM20aのデータ書換時に必要な書換電圧Vppが供給される。そして更に、メモリ書換装置4側で書換スイッチSWを介して接地電位(0V)に接続される信号線48が、ECU2側で抵抗器Rにより5Vにプルアップされたモード判定用信号ラインLに接続され、これにより、メモリ書換装置4側で書換スイッチSWがONされると、ECU2側においては上記モード判定用信号ラインLがハイレベル(5V)からロウレベル(0V)に変化することとなる。そして、ECU2のマイコン8は、前述の如くブートプログラムを起動した際に、モード判定用信号ラインLがロウレベルであれば、書換モードと判定する。
【0042】
次に、ECU2のマイコン8で実行される処理と、メモリ書換装置4のマイコン30で実行される処理について、図2及び図3を用いて説明する。
尚、図2は、ECU2のマイコン8で実行される処理を表すフローチャートであり、そのステップ(以下、単に「S」と記す)100〜S170の処理が、マスクROM20b内のブートプログラムによって実行され、S200の処理が、フラッシュROM20a内のエンジン制御プログラムによって実行される。そして、S300の処理が、メモリ書換装置4から送信されてRAM22に転送される書換制御プログラムによって実行される。また、図3は、メモリ書換装置4のマイコン30で実行される処理を表すフローチャートである。
【0043】
まず、ECU2では、車両のイグニッションスイッチがONされるなどして電源が投入され、マイコン8がリセット状態から動作を開始すると、マスクROM20bに格納されたブートプログラムが起動する。
そして、図2に示すように、まずS100にて、書換モードであるか否かを、モード判定用信号ラインLがロウレベルであるか否かによって判定し、モード判定用信号ラインLがロウレベルでなければ、書換モードではない通常モードであると判断して、S110に進み、エンジン制御プログラムへジャンプする。
【0044】
すると、フラッシュROM20aに格納されている制御プログラムが起動され、その後は、S200に示すように、エンジン制御用の制御データを参照して行われるエンジン制御処理が実行される。
尚、S200のエンジン制御処理は、入力回路6からの各種センサ信号とフラッシュROM20aに格納された制御データとに基づき、エンジンに対する最適な燃料噴射量や点火時期等を演算し、その演算結果に応じて、インジェクタやイグナイタ等のアクチュエータを駆動するための制御信号を出力回路10に出力する、といった手順で繰り返し実行される。そして、このようなエンジン制御処理が実行されることにより、エンジンの運転が可能となる。
【0045】
一方、ブートプログラムにおいて、上記S100で書換モードであると判断した場合、即ち、当該ECU2にメモリ書換装置4が接続されて書換スイッチSWがONされることにより、モード判定用信号ラインLがロウレベルであった場合には、フラッシュROM20a内のエンジン制御プログラムへジャンプすることなく、そのままS120に移行する。
【0046】
そして、このS120にて、後述するようにメモリ書換装置4から送信されて来るIDを受信するまで待機し、メモリ書換装置4からのIDを受信すると、次のS130に進んで、受信したメモリ書換装置4からのID(受信ID)と、マスクROM20bに格納されている自己のID(内蔵ID)とが一致しているか否かを判定する。そして、両IDが一致していると判定した場合には、S140に進んで、メモリ書換装置4へ、書換制御プログラムの送信を要求するための要求信号を送信する。
【0047】
すると、後述するようにメモリ書換装置4から当該ECU2へ書換制御プログラムが送信されて来るため、続くS150にて、メモリ書換装置4からの書換制御プログラムを受信して、RAM22の所定領域に転送・格納する。
そして、続くS160にて、S150でRAM22に格納した書換制御プログラムへジャンプする。
【0048】
これにより、メモリ書換装置4から送信されて来た書換制御プログラムがRAM22上で実行されて、フラッシュROM20aに格納されている現在の制御プログラム及び制御データを、メモリ書換装置4から送信されて来る新たな制御プログラム及び制御データに書き換えるための、S300の書換処理が行われる。
【0049】
尚、S300の書換処理は、例えば次のような手順で実行される。
1.まず、メモリ書換装置4からの消去指令に応じて、フラッシュROM20aに格納されているプログラム及びデータを消去する。
2.次に、メモリ書換装置4から新たな制御プログラム及び制御データが送信されて来るのを待ち、それらを受信すると、その受信した制御プログラム及び制御データを、旧来のプログラム及びデータが格納されていたフラッシュROM20aの記憶領域に順次書き込んで行く。
【0050】
3.そして、メモリ書換装置4からの全ての制御プログラム及び制御データを受信して、フラッシュROM20aの書き換えが完了すれば、その後、全ての処理を終了する。
そして、このようなS300の書換処理が実行されることにより、フラッシュROM20aに格納された制御プログラム及びデータが、メモリ書換装置4からの新たな制御プログラム及び制御データに書き換えられる。
【0051】
一方、ブートプログラムのS130にて、メモリ書換装置4から送信されて来たID(受信ID)と、マスクROM20bに格納されている自己のID(内蔵ID)とが一致していないと判定した場合には、S170に移行する。そして、このS170にて、メモリ書換装置4からのIDと当該ECU2側のIDとが一致していない旨を示すエラー信号を、メモリ書換装置4へ送信し、その後、当該ECU2側の処理を終了する。
【0052】
次に、メモリ書換装置4では、作業者によりECU2に接続されて書換スイッチSWがONされると、マイコン30が、図3に示す処理を実行する。
即ち、まずS400にて、第2のROM36に格納された新たな制御プログラム及び制御データに適合するECUのID(データ書き換え対象であるECUのID)を、第2のROM36から読み出し、その読み出したID(内蔵ID)をECU2へ送信する。
【0053】
すると、前述したように、ECU2側では、当該メモリ書換装置4からECU2へ送信したIDと、自己のマスクROM20bに格納されているIDとが一致しているか否かを判定し(S130)、両IDが一致していれば、当該メモリ書換装置4へ書換制御プログラムの要求信号を送信し(S140)、両IDが一致していなければ、当該メモリ書換装置4へエラー信号を送信するため(S170)、メモリ書換装置4側では、続くS410にて、ECU2から送信されて来る信号(要求信号或いはエラー信号)を受信し、その信号の種類を判定する。
【0054】
そして、ECU2からの信号が書換制御プログラムの要求信号であれば、S420に進んで、第1のROM34に格納されている書換制御プログラムをECU2へ送信する。そして更に、続くS430にて、ECU2へ、前述した消去指令を送信した後、第2のROM36に格納されている新たな制御プログラム及び制御データを送信する。
【0055】
すると、ECU2側では、前述した図2におけるS300の書換処理により(即ち、書換制御プログラムの実行により)、フラッシュROM20a内の制御プログラム及び制御データが、当該メモリ書換装置4から送信される新たな制御プログラム及び制御データに書き換えられることとなる。
【0056】
そして、メモリ書換装置4では、上記S430の処理を終えると、全ての処理が終了する。
一方、S410にて、ECU2からの信号がエラー信号であると判断した場合には、S440に移行して、所定の表示装置(図示省略)に、データの書き換えが出来ないことを示すエラー表示を行い、その後、当該メモリ書換装置4側の処理を終了する。
【0057】
尚、本第1実施例では、ECU2において、フラッシュROM20aが、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリに相当し、RAM22が、揮発性のメモリ領域に相当し、マスクROM20bが、識別情報記憶手段に相当している。そして、図2におけるS120及びS130の処理が、判定手段及び転送許可手段に相当している。また、メモリ書換装置4において、第2のROM36が、データ記憶手段に相当している。
【0058】
このような第1実施例のメモリ書換システム5において、ECU2のフラッシュROM20aに格納された制御プログラム及び制御データを書き換える場合には、作業者は、まず、メモリ書換装置4のICソケット38に、ECU2側で実行させる書換制御プログラムが格納された第1のROM34を装着すると共に、ICソケット40に、新たな制御プログラム及び制御データと、それに適合するECUのIDとが格納された第2のROM36を装着する。そして、メモリ書換装置4をECU2に接続して、メモリ書換装置4の書換スイッチSWをONすると共に、車両のイグニッションスイッチをONしてECU2を初期状態から作動させる。
【0059】
すると、メモリ書換装置4からECU2へ、第2のRAM36に格納された新たな制御プログラム及び制御データに適合するECUのIDが送信され(S400)、ECU2では、メモリ書換装置4からのIDと、マスクROM20bに格納されている自己のIDとが一致しているか否かを判定する(S130)。
【0060】
そして、両IDが一致している場合(S130:YES)には、ECU2からメモリ書換装置4へ、書換制御プログラムの要求信号が送信され(S140)、これに応答して、メモリ書換装置4からECU2へ、書換制御プログラムが送信される(S410:要求信号,S420)。
【0061】
その後、ECU2においては、メモリ書換装置4からの書換制御プログラムがRAM22に転送されて実行され(S150,S160,S300)、また、メモリ書換装置4においては、ECU2への新たな制御プログラム及び制御データの送信が行われ(S430)、このような両装置の動作により、ECU2に搭載されたフラッシュROM20aのデータ書き換えが行われる。
【0062】
これに対して、メモリ書換装置4からECU2へ送信されたIDとECU2に内蔵されたIDとが一致していない場合には(S130:NO)、ECU2は、メモリ書換装置4へエラー信号を送信して、全ての処理を終了し(S170)、メモリ書換装置4は、ECU2からのエラー信号を受けると(S410:エラー信号)、ECU2へ書換制御プログラムを送信することなく、エラー表示を行う(S440)。
【0063】
以上詳述したように、第1実施例のメモリ書換システム5では、まず、メモリ書換装置4が、新たな制御プログラム及び制御データに適合するECUのIDを送信し、ECU2は、メモリ書換装置4から送信されて来たIDと、マスクROM20bに格納されている自己のIDとが一致しているか否かを判定する。そして、ECU2は、メモリ書換装置4からのIDと自己のIDとが一致している場合にのみ、メモリ書換装置4へ書換制御プログラムの送信要求を送信すると共に、それに応答してメモリ書換装置4から送信されて来る書換制御プログラムをRAM22に転送して実行し、これにより、フラッシュROM20a内の制御プログラム及び制御データを、その後、メモリ書換装置4から送信されて来る新たな制御プログラム及び制御データに書き換えるようにしている。
【0064】
従って、このような第1実施例のECU2及びメモリ書換システム5によれば、作業者が、メモリ書換装置4のICソケット40に、ECU2に適合しない制御プログラム及び制御データが格納されたROM(第2のROM)36を装着してしまい、その不適合な制御プログラム及び制御データがECU2へ送信されそうな場合には、メモリ書換装置4側のID(即ち、第2のROM36にて新たな制御プログラム等と対応して予め記憶されたID)と、マスクROM20bに記憶されたECU2のIDとが一致しないため、ECU2では、書換制御プログラムのRAM22への転送動作へ移行しなくなる。よって、フラッシュROM20a内の制御プログラムや制御データが、そのECU2に適合しない制御プログラムや制御データに、誤って書き換えられてしまうことを確実に防止することができる。
【0065】
尚、このように制御プログラム及び制御データの書き換えが行われない場合には、作業者は、メモリ書換装置4側の第2のROM36を、ECU2に適合した制御プログラム及び制御データを記憶したものに変更してから、再度、書き換えのための作業を行えばよい。
そして更に、第1実施例のECU2では、メモリ書換装置4から送信されて来る書換制御プログラムを揮発性のRAM22に転送して起動することにより、フラッシュROM20a内のデータを書き換える書換処理を行うように構成されているため、フラッシュROM20aの内容を書き換える作業を終了した後に、当該ECU2の電源を一旦遮断すれば、RAM22に転送された書換制御プログラムは消失する。よって、第1実施例のECU2によれば、エンジンを制御する通常時において、当該ECU2への電源供給を開始した後、万が一、プログラムを実行するCPU18が暴走したとしても、書換処理を行うための書換制御プログラムは内蔵されていないため、フラッシュROM20aに格納されている正規の制御プログラムや制御データが失われたり変化したりしてしまうことを確実に防止できる。
【0066】
また、第1実施例のECU2及びメモリ書換システム5では、ECU2が、メモリ書換装置4からのIDを受信して、そのIDと自己のID(即ち、マスクROM20bに格納されたID)とが一致しているか否かを判定するようにしており、マスクROM20bに格納されたIDはECU2の外部に送信されることが無いため、当該ECU2側のIDを解読して、フラッシュROM20a内の制御プログラム等を故意に他のものに書き換える、といった行為を確実に防止することができる。
【0067】
そして、同様の理由により、例えば、フラッシュROM20a内のデータを読み出して外部へ送信するといった読出処理を行うためのプログラムを、ECU2のRAM22に転送させて実行させ、フラッシュROM20aの記憶内容を不正に読み取る、といった行為も防止でき、機密性を高めることができる。
【0068】
一方、上記第1実施例のメモリ書換システム5では、ECU2は、メモリ書換装置4からのIDと自分側のIDとが一致していないと判定すると、メモリ書換装置4へエラー信号を送信し、メモリ書換装置4は、ECU2からのエラー信号を受けると、表示装置にエラー表示を行うようにしている。
【0069】
従って、作業者は、書き換えようとして用意した新たな制御プログラム及び制御データがECU2に適合していないことを、メモリ書換装置4側のエラー表示によって、確実に知ることができる。
[第2実施例]
次に、第2実施例の電子制御装置のメモリ書換システムについて説明する。第2実施例のメモリ書換システムは、上述した第1実施例のメモリ書換システム5に対して、ECU2側とメモリ書換装置4側とで夫々実行される処理が異なるだけであり、ハードウェア上の構成については全く同じである。
【0070】
そこで以下、第2実施例のメモリ書換システムにおいて、ECU2側のマイコン8で実行される処理と、メモリ書換装置4側のマイコン30で実行される処理について、図4及び図5を用いて説明する。
尚、図4は、ECU2のマイコン8で実行される処理を表すフローチャートであり、第1実施例の図2と同じ処理については、同じステップ番号を付しているため、詳細な説明は省略する。また、図5は、メモリ書換装置4のマイコン30で実行される処理を表すフローチャートであり、第1実施例の図3と同じ処理については、同じステップ番号を付しているため、詳細な説明は省略する。
【0071】
まず、図4に示すように、ECU2のマイコン8は、リセットスタート直後のS100にて書換モードであると判定した場合には、フラッシュROM20a内の制御プログラムへジャンプすることなく、S125に移行する。
そして、このS125にて、マスクROM20bに格納されている自己のIDをメモリ書換装置4へ送信し、続くS135にて、後述するようにメモリ書換装置4から送信されて来る信号(応答信号)が、正常信号であるかエラー信号であるかを判定する。
【0072】
そして、S135にて、メモリ書換装置4からの信号が正常信号であると判定した場合には、S150,S160,S300の処理、即ち、メモリ書換装置4からの書換制御プログラムを受信してRAM22に転送・格納し、その書換制御プログラムをRAM22上で実行することにより、フラッシュROM20aに格納されている制御プログラム及び制御データを、メモリ書換装置4から送信されて来る新たな制御プログラム及び制御データに書き換える処理を行う。
【0073】
これに対し、S135にて、メモリ書換装置4からの信号がエラー信号であると判定した場合には、そのまま当該ECU2側の処理を終了する。
尚、本第2実施例では、S125及びS135の処理が、判定手段及び転送許可手段に相当している。
【0074】
次に、図5に示すように、メモリ書換装置4のマイコン30は、まずS405にて、ECU2から送信されて来るIDを受信するまで待機し、ECU2からのIDを受信すると、S415に進んで、受信したECU2からのID(受信ID)と、第2のRAM36に格納されているECUのID(内蔵ID)とが一致しているか否かを判定する。
【0075】
そして、両IDが一致していると判定した場合には、S417に進んで、ECU2へ、当該メモリ書換装置4側のIDとECU2側のIDとが一致していることを表す正常信号を送信する。
すると、前述したように、ECU2側のマイコン8は図4のS150以降の処理実行を開始するため、当該メモリ書換装置4側では、上記S417で正常信号を送信した後、第1実施例の場合と同様に、S420及びS430の処理を実行して、第1のROM34に格納されている書換制御プログラムと、第2のROM36に格納されている新たな制御プログラム及び制御データとを、ECU2に順次送信する。
【0076】
一方、S415にて、ECU2からのID(受信ID)と、第2のRAM36に格納されているECUのID(内蔵ID)とが一致していないと判定した場合には、S445に移行して、ECU2へ、当該メモリ書換装置4側のIDとECU2側のIDとが一致していないことを表すエラー信号を送信した後、そのまま当該メモリ書換装置4側の処理を終了する。すると、ECU2では、前述したように、図4のS150以降の処理が実行されることなく、全ての処理が終了される。
【0077】
つまり、第2実施例のメモリ書換システムでは、第1実施例のメモリ書換システム5とは逆に、ECU2が、メモリ書換装置4へ自己のIDを送信し(S125)、メモリ書換装置4が、ECU2からのIDと、新たな制御プログラム及び制御データに適合するECUのIDとが一致しているか否かを判定するようにしている(S415)。そして、メモリ書換装置4は、両IDが一致している場合に(S415:YES)、ECU2へ、正常信号を送信し(S417)、その後、書換制御プログラムと新たな制御プログラム及び制御データを送信するようにしており(S420,S430)、ECU2は、メモリ書換装置4からの正常信号を受信した場合にのみ(S135:正常信号)、メモリ書換装置4側のIDと自己のIDとが一致していると判断して、メモリ書換装置4からの書換制御プログラムをRAM22に転送して実行する処理(S150,S160)を行うようにしている。
【0078】
そして、このような第2実施例のECU2及びメモリ書換システムによっても、第1実施例のものと同様に、作業者が、メモリ書換装置4のICソケット40に、ECU2に適合しない制御プログラム及び制御データが格納されたROM36を装着してしまい、その不適合な制御プログラム及び制御データがECU2へ送信されそうな場合には、メモリ書換装置4側のID(即ち、第2のROM36にて新たな制御プログラム等と対応して予め記憶されたID)と、マスクROM20bに記憶されたECU2のIDとが一致しないため、ECU2では、書換制御プログラムのRAM22への転送動作へ移行しなくなる。よって、フラッシュROM20a内の制御プログラムや制御データが、そのECU2に適合しない制御プログラムや制御データに、誤って書き換えられてしまうことを確実に防止することができる。
【0079】
また、第2実施例のECU2も、第1実施例のECU2と同様に、メモリ書換装置4から送信されて来る書換制御プログラムを揮発性のRAM22に転送して起動することにより、フラッシュROM20aの書換処理を行うように構成されているため、エンジンを制御する通常時において、プログラムを実行するCPU18が暴走したとしても、フラッシュROM20aに格納されている正規の制御プログラムや制御データが失われたり変化したりしてしまうことを確実に防止できる。
【0080】
[その他]
前述した第1実施例において、メモリ書換装置4側のIDは、第2のROM36に予め格納しておくのではなく、作業者が所定の入力装置を操作して入力するようにしても良い。
【0081】
そして、このようなメモリ書換システムによっても、メモリ書換装置4からECU2へ、ECU2のマスクROM20bに格納されたIDと同一のIDを送信してやらなければ、ECU2にて、書換制御プログラムのRAM22への転送が許可されないため、フラッシュROM20a内のデータ(制御プログラム及び制御データ)を、不用意に書き換えてしまうことや、故意に他のデータに書き換えようとする行為を確実に防止することができる。
【0082】
一方、前述した各実施例のECU2は、電気的にデータの書き込みが可能な不揮発性メモリとして、フラッシュROM20aを備えたものであったが、EEPROMを用いても良い。
また、上記実施例では、ECU2内にマスクROM20bとフラッシュROM20aとをそれぞれ持つ例を示したが、フラッシュROM20aのみとして、フラッシュROM20a内に、前述したマスクROM20bの内容(プログラムやID等)を、エンジン制御プログラムと領域を分けて記憶させても良い。
【0083】
また、上記各実施例では、エンジンを制御するECU2について説明したが、本発明の適用範囲は、これに限られない。即ち、例えばブレーキ、トランスミッション、サスペンション等の制御対象を制御する電子制御装置に対しても、全く同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の電子制御装置のメモリ書換システムの全体構成を表すブロック図である。
【図2】第1実施例のエンジン制御装置(ECU)側で実行される処理を表すフローチャートである。
【図3】第1実施例のメモリ書換装置側で実行される処理を表すフローチャートである。
【図4】第2実施例のエンジン制御装置(ECU)側で実行される処理を表すフローチャートである。
【図5】第2実施例のメモリ書換装置側で実行される処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
2…エンジン制御装置(ECU) 4…メモリ書換装置
5…メモリ書換システム 6…入力回路
8,30…シングルチップマイクロコンピュータ(マイコン)
10…出力回路 18…CPU 20…ROM
20a…フラッシュROM 20b…マスクROM
22…RAM 24…I/O 25…通信回路 32…電源回路
34…第1のROM 36…第2のROM 38,40…ICソケット
42F…雌コネクタ 42M…雄コネクタ 44…通信線
46…電源供給線 48…信号線 SW…書換スイッチ
L…モード判定用信号ライン R…抵抗器
Claims (8)
- 通常時には、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリに格納されたデータにより構成される制御プログラム及び制御データに従って所定の制御対象を制御し、外部からの書き換え指令を受けた場合には、前記不揮発性メモリ内のデータを外部装置から送信されて来る新たなデータに書き換えるための書換処理を行う電子制御装置において、
当該電子制御装置は、前記外部装置から送信されて来る書換制御プログラムを、揮発性のメモリ領域に転送して該メモリ領域上で実行することにより、前記書換処理を行うように構成されていると共に、
当該電子制御装置の識別情報を予め記憶する識別情報記憶手段と、
前記書き換え指令を受けると、前記外部装置から前記書換制御プログラムが送信されて来る前に、前記外部装置との間で通信を行うことにより、前記外部装置側にて前記新たなデータと対応して予め記憶された情報であって当該新たなデータに適合する装置を示す識別情報と、前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により前記両識別情報が一致していると判定された場合にのみ、前記書換制御プログラムの前記メモリ領域への転送を許可する転送許可手段とを備え、
更に、前記識別情報は、当該電子制御装置が制御するエンジンの型式や仕様、或いは、当該電子制御装置が搭載される車種名や車のグレード名毎に設定されていること、
を特徴とする電子制御装置。 - 請求項1に記載の電子制御装置において、
前記判定手段は、
前記外部装置から送信されて来る前記外部装置側の識別情報を受信し、該受信した識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報とを比較することにより、前記外部装置側の識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定すること、
を特徴とする電子制御装置。 - 請求項2に記載の電子制御装置に前記外部装置として接続され、前記電子制御装置へ、前記書換制御プログラムと前記新たなデータとを送信するメモリ書換装置であって、
前記新たなデータを、当該新たなデータに適合する装置を示す識別情報と対応させて予め記憶するデータ記憶手段を備えると共に、前記書換制御プログラムを送信する前に、前記新たなデータに対応する前記識別情報を前記電子制御装置へ送信するように構成されていること、
を特徴とするメモリ書換装置。 - 請求項2に記載の電子制御装置と、請求項3に記載のメモリ書換装置と、を備えたことを特徴とする電子制御装置のメモリ書換システム。
- 請求項1に記載の電子制御装置において、
前記判定手段は、
前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報を前記外部装置へ送信し、その後、前記外部装置側の識別情報と前記送信した識別情報とが一致しているか否かを表す応答信号を前記外部装置から受信することにより、前記外部装置側の識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定するように構成されていること、
を特徴とする電子制御装置。 - 請求項5に記載の電子制御装置に前記外部装置として接続され、前記電子制御装置へ、前記書換制御プログラムと前記新たなデータとを送信するメモリ書換装置であって、
前記新たなデータを、当該新たなデータに適合する装置を示す識別情報と対応させて予め記憶するデータ記憶手段を備えると共に、前記電子制御装置からの識別情報が、前記新たなデータに対応する識別情報と一致しているか否かを判定して、前記両識別情報が一致している場合に、前記電子制御装置へ、当該メモリ書換装置側の識別情報と前記電子制御装置の識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致していることを表す前記応答信号を送信し、その後、前記書換制御プログラムを送信するように構成されていること、
を特徴とするメモリ書換装置。 - 請求項5に記載の電子制御装置と、請求項6に記載のメモリ書換装置と、を備えたことを特徴とする電子制御装置のメモリ書換システム。
- 通常時には、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリに格納されたデータにより構成される制御プログラム及び制御データに従って所定の制御対象を制御し、外部からの書き換え指令を受けた場合には、前記不揮発性メモリ内のデータを外部装置から送信されて来る新たなデータに書き換えるための書換処理を行う電子制御装置において、
当該電子制御装置は、前記外部装置から送信されて来る書換制御プログラムを、揮発性のメモリ領域に転送して該メモリ領域上で実行することにより、前記書換処理を行うように構成されていると共に、
当該電子制御装置の識別情報を予め記憶する識別情報記憶手段と、
前記書き換え指令を受けると、前記外部装置から前記書換制御プログラムが送信されて来る前に、前記外部装置から送信されて来る識別情報を受信し、該受信した識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された識別情報とが一致しているか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により前記両識別情報が一致していると判定された場合にのみ、前記書換制御プログラムの前記メモリ領域への転送を許可する転送許可手段とを備え、
更に、前記識別情報は、当該電子制御装置が制御するエンジンの型式や仕様、或いは、当該電子制御装置が搭載される車種名や車のグレード名毎に設定されていること、
を特徴とする電子制御装置。
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