JP3575844B2 - 粒状沈殿ケイ酸及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な粒状沈殿ケイ酸に関する。特に、本発明は、ゴム、プラスチック、樹脂等の充填剤に適した大きな粒子径と高い嵩比重を有し、しかも適度な粒子硬度を有しており、充填作業が容易であり、且つ粉じんの発生が著しく改善された新規な粒状沈殿ケイ酸及びその製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
沈殿ケイ酸粉末は通称ホワイトカーボンと呼ばれ、表面活性を有す白色度の高い粉末であり、ゴム補強充填剤をはじめ農薬用分散剤、塗料、樹脂、情報用紙、インク、歯磨き等様々な分野で使用されている。一般的に柔らかい凝集粒で、粉体の中でも最も軽い部類に属し、非常に飛散しやすく取扱い時に粉塵による作業環境の悪化が問題となっている。
また、粉体の嵩比重が低く、包装や貯蔵及び輸送費用の不経済、或いは流動性が悪くサイロの底壁等に残るなど問題点もある。このような難点を解消するために粒状品が強く要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、沈殿ケイ酸粉末をエラストマー充填剤として用いる場合、その性能を第一に考えるならば補強効果の上から、エラストマー中へ分散性の良い微粉体である事が望ましい。しかるに補強性能を多少犠牲にしても前述のような難点を解消する為に、種々の造粒方法が提案されている。
しかし、種々の造粒方法より粒状化した場合、オープンロールやバンバリーミキサー等で、ゴム等と混練した場合、沈殿ケイ酸粉末の分散性が損なわれ、ゴムの性質を決める、耐摩耗性、引張り強さ、伸び、反撥弾性等の性能が著しく低下する。例えば、特公昭56−41566号や特開平2−302312号に開示される、高濃度沈殿ケイ酸スラリーを噴霧乾燥する方法で得られる粒状品では、粒子径が小さく、又嵩比重も低く、造粒品本来の目的である作業性の改善や貯蔵及び輸送費の改善が不十分であった。
【0004】
又、特開昭54−110200号には、沈殿ケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾別、洗浄して得られるフィルターケークに、必要により粉末状沈降珪酸を混合して、固体含量が28〜40重量%になるように調整し、造粒機で圧縮成形し、乾燥することで顆粒状のケイ酸を得る方法が記載されている。しかし、沈殿ケイ酸のフィルターケークの含水量は一般に約80%であり、ケーク単独ではペースト状、更にはスラリーとなり顆粒状に成形することが困難である。そのため、実際には、粉末状沈降珪酸を混合して固体含量を所定範囲に調整する必要がある。
【0005】
本発明者らが、沈殿ケイ酸のフィルターケークに乾燥粉末を混合して含水率を低下させることで顆粒状に成形し易くする方法を試みたところ、粉末状沈降珪酸をフィルターケークと均一に混合することは困難であった。さらに、この方法により得られた顆粒状のケイ酸は、ゴムに添加した場合、所望の物性が安定して得られないという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、ゴムに添加した場合、微粉体を用いた場合と変わらない物性を有する、顆粒状の沈殿ケイ酸を提供することにある。
さらに詳しくは、本発明は、ゴムに添加した場合に微粉体を用いた場合と変わらない物性、即ち、分散性、強度、耐摩耗等が得られる新規な顆粒状の沈殿ケイ酸及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粒子径が500μm〜5mmの範囲に入る粒子の占める割合が80重量%以上であり、且つ粒子硬度が10〜30gfであることを特徴とする粒状沈殿ケイ酸に関する。
【0008】
さらに本発明は、好ましくは、嵩比重が250〜500g/リットルの範囲であり、BET比表面積が100〜300m2 /gの範囲である粒状沈殿ケイ酸である。
【0009】
更に本発明は、湿式法沈殿ケイ酸のフィルターケークを水分が50〜75%の範囲になるように乾燥し、次いで得られた沈殿ケイ酸ケークを造粒することを特徴とする、前記本発明の粒状沈殿ケイ酸の製造方法に関する。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0010】
本発明の粒状沈殿ケイ酸は、粒子径が500μm〜5mmの範囲に入る粒子の占める割合が80重量%以上である。粒子径が500μm以下の粒状沈殿ケイ酸はこれまでも、エラストマー充填剤として使用されている。また、更に粒子径の小さい沈殿ケイ酸は、塗料、特殊紙、フィルム等比較的滑らかな表面状態が求められる分野で使用されている。しかし、粒子径が500μm以上の粒子の占める割合が上記範囲以下では、微粉が多いために取扱い時に粉塵の発生による作業環境の悪化が難点とである。それに対して、本発明では粒子径が小さくとも500μmである粒子が80%以上ある粒状沈殿ケイ酸であり、ゴム、樹脂等のエラストマー充填剤としての作業性を改善し、また貯蔵及び輸送費を改善するものである。
【0011】
一方、粒子径が5mmを超える粒子径が多い沈殿ケイ酸では、エラストマー中への充填が限られた時間で行われる為に分散不良となるという問題が起こる。従って、500μm〜5mmの範囲に入る粒子の占める割合が80重量%以上であることが必要である。
本発明の粒状沈殿ケイ酸は、好ましくは粒子径が500μm〜5mmの範囲に入る粒子の占める割合が85重量%以上である。
【0012】
また、本発明の粒状沈殿ケイ酸は、粒子硬度が10〜30gfの範囲である。粒子硬度は30gf以下であれば、実質的にゴム等への分散性が未造粒物と同等である。また、粒子硬度が30gfを超える沈殿ケイ酸は、比較的嵩比重も高く輸送中の粉化も少ないが、分散性が悪くゴム物性の劣化原因となり、本発明の目的とする用途分野では使用できない。一方、粒子硬度が10gf未満では、ゴム物性への影響は殆どないが、粉化し易く、取り扱い時に粉塵の発生が多くなり、作業環境の悪化の原因となる。本発明の粒状沈殿ケイ酸は、粒子硬度が好ましくは15〜25gfの範囲である。
【0013】
本発明の粒状沈殿ケイ酸は、嵩比重が250〜500g/リットルの範囲であることが好ましい。嵩比重が250g/リットル以上である沈殿ケイ酸造粒物であれば、実質的に粉塵の発生は少なく作業環境は改善され、さらに、貯蔵や輸送費の点でも優れている。また、嵩比重が500g/リットル以下であれば、エラストマー中への分散性も良好に保てるからである。より好ましい嵩比重は300〜400g/リットルの範囲である。
【0014】
本発明の粒状沈殿ケイ酸は、BET比表面積が、特にゴム補強充填剤として補強効果が充分発揮し得るという観点から、100〜300m2 /gの範囲であることが好ましい。好ましくは、BET比表面積は150〜250m2 /gの範囲である。
【0015】
以下、本発明の粒状沈殿ケイ酸の製造方法について説明する。
湿式法沈殿ケイ酸のフィルターケークの水分は一般に約80%である。本発明者らの検討の結果、このフィルターケークの水分を多くとも75%になるように乾燥することによって、フィルターケークがペースト状からスラリー状となることなしに造粒が可能であることを見出した。一方、乾燥したフィルターケークの水分が50%未満になると、造粒して得られる粒状物の粒子硬度が高くなり過ぎ、本発明の所定の範囲の粒子硬度を有する粒状沈殿ケイ酸が得られなくなる。粒子硬度が高くなり過ぎるとゴム等への分散が悪く、ゴム本来の物性である耐摩耗性、引っ張り強度等が劣化する。
フィルターケークの乾燥の程度は、好ましくは70〜60%の範囲である。
【0016】
本発明の方法で用いる湿式法沈殿ケイ酸は、まずケイ酸アルカリと鉱酸を反応させて得られるものである。反応後、得られた沈殿ケイ酸スラリーを濾過及び洗浄することにより、沈殿ケイ酸フィルターケークを得る。沈殿ケイ酸スラリーを得る反応方法は、例えばケイ酸ソーダと硫酸とを反応させて微細な水和ケイ酸スラリーを生成させる反応工程までは、特公昭38−17651号及び特公昭54−25235号等に開示されている公知の方法等と同様な操作により行われるが、望ましくは、ケイ酸ナトリウムと硫酸を同時滴下する反応方法である。また、濾過及び洗浄はフィルタープレスやベルトフィルター等を使用して工業的に大量処理することが可能である。
【0017】
得られた沈殿ケイ酸フィルターケークは、乾燥することにより、所定範囲に含水量を調整する(半乾燥する)。この乾燥に用いる乾燥機には特に制限はないが、例えば、通常の箱型乾燥機等を用いることができる。フィルターケークを所定含水量に乾燥するする本発明の方法は、沈殿ケイ酸ケークに乾燥粉を加えて練り混む方法や乾燥粉に水を加えて調整する方法に比べ、得られる粒状物をゴムに添加した場合、安定したエラストマー物性を得ることができる。
【0018】
所定の水分量に乾燥した沈殿ケイ酸フィルターケークは、常法により粒状化することができる。例えば、水分を調整した沈殿ケイ酸フィルターケークをニーダー等の混合機を通し、更に押出し造粒機を用いて粒状化し、バンド式乾燥機等の乾燥物に衝撃をあまり与えない方法により乾燥することで、本発明の粒状沈殿ケイ酸を得ることができる。尚、押出し造粒機の場合、成形孔の板厚は成形孔径と同一又は若干厚い方が、成形物の形状が良く微粉発生を押さえる点で望ましい。
【0019】
造粒機を通して粒状化した後の乾燥機は、乾燥物の移動や衝撃が少なく微粉発生の少ない箱型乾燥機やバンド乾燥又はターボドライヤー等の使用が望ましい。また乾燥時間は、特開昭54−110200号で示されているように短時間乾燥ではなく、5〜10時間のゆっくりした乾燥時間をとることで、適度な粒子硬度を示しエラストマー中への分散性の良い粒状品を得ることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、従来品と同様なエラストマー補強効果を有しながら、従来の粉状品での難点であった粉塵の発生を抑え、作業環境の改善や、貯蔵タンクや輸送費用の低減、或いは流動性良好な卓越した新規な粒状沈殿ケイ酸が得られる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて更に具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例における粒子径、嵩比重、BET比表面積及び粒子硬度の測定は次の方法で行った。
(I)粒子径の測定
ロータップ式標準ふるい振とう機(筒井理化学機器(株)社製)を用いて5mm、500μm網目の篩をセットし、試料100gを入れ5分間振動した後、篩上の試料重量を測定し、500μm〜5mm範囲の割合を表した。
(II)嵩比重の測定
JIS K−5101(顔料試験法)に規定するカサ試験法に準じ測定した。
(Loose Weight法)
(III)BET比表面積の測定
カンターソーブ(米国Quantachrome社製)を用いて1点法により測定した。
【0022】
(IV)粒子硬度の測定
JIS K−6221(造粒粒子の硬さ)試験法に準じ、粒子径1mmの粒子を上皿天秤に乗せ、粒に垂直に力を加え粒が破壊する時の荷重を読み取る、これを20点行い、その平均値をもって粒子硬度とし、単位はgfで表す。
(V)作業時の粉塵性
試料100gをディスポカップに入れ、約30cmの高さより試料を受け皿にゆっくり注ぎ、その時の粉塵発生度合いを調べた。
粉塵の発生度合いを◎、○、×で表示した。
(VI)ゴム物性試験
1)加硫ゴム片の目視判定及び加硫物性より、ゴム中の粒状ケイ酸の分散性(分散均一性)が優れているものは○、普通のものは△、悪いものは×の判定で表示した。
2)引っ張り強度
JIS K6301の試験法に準じ測定した。
3)耐摩耗性
アクロン型摩耗試験機を用いて、傾角15°、分銅6ポンド、試験回数1000回転での摩耗容積を測定した。
【0023】
実施例1
90℃に加熱した温水17,200mlに、3号ケイ酸ナトリウム溶液(Na2 O約7%、SiO2 約22%)637mlを加え攪拌しながら、次いで3号ケイ酸ナトリウム溶液(前記と同濃度)5,970mlと48%硫酸約1,200mlを、反応液のpHが9〜11を保つように60分間で同時注加した。更に48%硫酸を注加して反応液の酸性化を行った。
酸性化終了時のpHは約3.0とした。得られた沈殿ケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾別し、温水で充分洗浄を行い湿潤フィルターケークを得た。この時のケーク水分は80%であった。このフィルターケークを不二パウダル社製ディスクペレッター(F−5型)押し出し造粒機を用いて粒状に成形しようと試みた。しかし、成形時にペースト状、更にはスラリー状になってしまった。そのまま乾燥すると、不均一な径の粒子や一つの塊となってしまい、形状の良い粒子に成形することは困難であった。
【0024】
そこで、前記方法で得られた水分80%のフィルターケークを、熱風循環式乾燥機に入れて水分を70%まで乾燥した。得られたケークを取り出して、不二パウダル社製ディスクペレッター(F−5型)押出し造粒機を用いて粒状に形成した後、再度、熱風循環式乾燥機で水分約5%まで乾燥を行い本発明の粒状沈殿ケイ酸を得た。
【0025】
上記本発明の粒状沈殿ケイ酸50部と固体状有機ゴムとしてスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR1502:日本合成ゴム社製)100部を配合し、更に加硫剤として硫黄2.0部、加硫促進剤としてジフェニルグアニジン(大内新興化学製ノックセラーD)1.2部、ジベンゾチアジルジスルフィド(大内新興化学製ノックセラーDM)0.8部、及び加硫助剤として酸化亜鉛3部とステアリン酸1部を添加した。更に、活性剤としてPEG(ポリエチレングリコール)#4000(第一工業製薬製)2部を添加した。これらを8インチロールを用いて、練り温度30℃にて混練して、ゴム組成物を得た。
該ゴム組成物を150℃で10分間加硫したものについて、ゴム物性試験を行った。
この時の製品の物性及びゴム配合試験結果を表1に示す。
【0026】
実施例2
実施例1と同様な方法で得られた水分80%のフィルターケークを、熱風循環式乾燥機に入れて水分を52%まで乾燥した。得られたケークを取り出して、実施例1と同様の押出し造粒機を用いて粒状に形成した後、再度熱風循環式乾燥機で水分約5%まで乾燥を行い本発明の粒状沈殿ケイ酸を得た。
得られた粒状沈殿ケイ酸を用いて、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。この時の製品の物性及びゴム配合試験結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
実施例1と同様な方法で得られた水分80%のフィルターケークを、軽く解砕した後、熱風循環式乾燥機に入れて水分が約5%になるまで乾燥を行い粒状沈殿ケイ酸を得た。
得られた粒状沈殿ケイ酸を用いて、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。この時の製品の物性及びゴム配合試験結果を表1に示す。
【0028】
比較例2
実施例1と同様な方法で得られた水分80%のフィルターケークを、熱風循環式乾燥機で水分40%まで乾燥した後、実施例1と同様の押出し造粒機を用いて粒状に形成した後、再度熱風循環式乾燥機で水分約5%まで乾燥を行い粒状沈殿ケイ酸を得た。
得られた粒状沈殿ケイ酸を用いて、実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。この時の製品の物性及びゴム配合試験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Claims (4)
- 粒子径が500μm〜5mmの範囲に入る粒子の占める割合が80重量%以上であり、且つ粒子硬度が10〜30gfであることを特徴とする粒状沈殿ケイ酸。
- 嵩比重が250〜500g/リットルの範囲である請求項1記載の粒状沈殿ケイ酸。
- BET比表面積が100〜300m2 /gの範囲である請求項1又は請求項2記載の粒状沈殿ケイ酸。
- 湿式法沈殿ケイ酸のフィルターケークを水分が50〜75%の範囲になるように乾燥し、次いで得られた沈殿ケイ酸ケークを造粒することを特徴とする、請求項1記載の粒状沈殿ケイ酸の製造方法。
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| JP28030194A JP3575844B2 (ja) | 1994-11-15 | 1994-11-15 | 粒状沈殿ケイ酸及びその製造方法 |
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| JPH08133721A JPH08133721A (ja) | 1996-05-28 |
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